JP3318082B2 - 黒色微粒子の製造方法 - Google Patents

黒色微粒子の製造方法

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JP3318082B2 JP30375993A JP30375993A JP3318082B2 JP 3318082 B2 JP3318082 B2 JP 3318082B2 JP 30375993 A JP30375993 A JP 30375993A JP 30375993 A JP30375993 A JP 30375993A JP 3318082 B2 JP3318082 B2 JP 3318082B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置の液晶の
厚みを制御するスペーサー等に使用するに好適な黒色微
粒子の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】TN(Twisted Nematic)型の液晶表示装置
においては、液晶セルのギャップのバラツキが、応答速
度、視野角、コントラスト等の表示品質に大きく影響
し、表示ムラを生じさせる。特にSTN(Super Twiste
d Nematic)型液晶表示装置の液晶セルのギャップのバラ
ツキは0.05μm以下に制御される必要があるとさ
れ、スペーサーの精度が表示品位を大きく左右する。
【0003】ところで、液晶セルにおけるスペーサーの
散布密度を大きくすれば、ギャップのバラツキを小さく
することができるが、この手段ではスペーサーからの光
の漏れが増大する。このため、スペーサー自体を黒色等
に着色させ、光がスペーサー内を透過しないようにする
ことが行われている。
【0004】この種の技術として例えば、特開昭63−
89890号公報に提案されているように、金属アルコ
キシドの加水分解により得られた金属酸化物微粒子にア
ルカリ金属の存在下で有機物を導入し、これを250℃
以上の温度で処理して黒色化する方法、あるいは、特開
平3−279209号公報に提案されているように、シ
リカ微粒子を弗素化剤と有機溶媒に接触させ、シリカ微
粒子に有機物を導入し、この後、500℃以上に加熱し
て黒色化する方法がある。
【0005】しかしながら、特開昭63−89890号
公報に記載の方法では、有機物の残留量のコントロール
が難しいため、黒色度の調節が難しい上に、有機物をシ
リカ微粒子の内部に導入するのに用いられるアルカリ金
属も一緒に内部に残存するので、このアルカリ金属を除
去するため、鉱酸と接触させ完全に抽出する必要があ
る。また、特開平3−279209号公報に記載の方法
では、加熱時に弗素酸が発生し、焼成炉の炉材を腐食
し、不純物が混入する原因となる等の問題がある。
【0006】これらの点を考慮して、本発明者らはスペ
ーサー内にアルカリ金属が取り込まれず、また、焼成時
にも腐食性のガスの発生等のない方法を探索した。その
結果、シリカ粒子表面にコーティングされた酸化チタン
膜を、アンモニア等の還元性雰囲気下で焼成することに
よって黒色の部分還元酸化チタン膜が形成することを見
いだし、このようにして得られた黒色微粒子を液晶表示
装置用スペーサーとして用いることを提案している(特
願平3−184002号)。
【0007】しかしながら、特願平3−184002号
の方法は一回の反応によって形成される酸化チタン膜が
ナノメーターオーダーの非常に薄いものであるため、こ
れをアンモニアなどの還元性雰囲気下で焼成することに
よって黒色を呈するが、高度の遮光性が要求される場合
には必ずしも十分でなかった。また、十分な遮光性を得
るために何回も繰り返し酸化チタンのコーティングを行
なうことによって膜厚を厚くすることができるものの、
非常に面倒である上、得られた粒子の乾燥工程や還元焼
成工程において、シリカ粒子の表面に形成されている酸
化チタン膜にクラックが入ったり、酸化チタン膜が割れ
て剥がれたりして満足すべき黒色微粒子が得られない場
合があった。この原因は、乾燥工程での揮発物の蒸発お
よび粒子内部の高密度化による収縮、還元焼成時の熱に
よるシリカ微粒子と酸化チタン膜との膨脹率の差による
ものと思われる。
【0008】従って、本発明の目的は、上述の問題が解
決できる新規な黒色微粒子の製造方法、とりわけ、黒色
度が高く十分な遮光性を有し、かつ優れた電気絶縁性を
有する無機系黒色微粒子の製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】酸化チタン膜の原料であ
るチタンアルコキシドは、シリカの原料であるシリコン
アルコキシドに比べて加水分解速度が非常に速く、反応
の制御が難しい。従って、水への溶解度が高いメチルア
ルコールやエチルアルコールなどの低級アルコール中で
は、液中のあらゆる場所でチタンアルコキシドの加水分
解、重縮合反応が起こり、目的とするシリカ微粒子の表
面に生成される酸化チタン膜は結果的に非常に薄いもの
になってしまい、工業的にも添加したチタンアルコキシ
ドの酸化チタン膜への転化率は非常に低いものであっ
た。そこで、本発明者らは、水ヘの溶解度が低いブタノ
ールなどの中級アルコール中にシリカ微粒子を分散さ
せ、シリカ微粒子の親水性を利用し、添加した水をシリ
カ微粒子表面に選択的に集め、この水により粒子表面で
のみチタンアルコキシドの加水分解、重縮合反応を起こ
すことにより、添加したチタンアルコキシドの酸化チタ
ン膜への転化率を高めるとともに、生成される酸化チタ
ン膜を所望の厚みにコントロールすることができること
を見い出した。また、シリカ微粒子の表面に酸化チタン
膜を形成する際に、シリカ微粒子をn−ブタノールなど
の水への溶解度の低い中級アルコール中に分散した分散
液に微量のアンモニア水などのアルカリを添加すること
により、シリカ微粒子表面のシラノール基が下式のよう
に、アルカリによりイオン化されて活性化され、 SiOH+NH3→SiO-NH 4 + この活性化されたシリカ微粒子が分散した溶液にチタン
アルコキシドを滴下することによってシリカ微粒子表面
で選択的にチタンアルコキシドの加水分解が行なわれ、
生成された酸化チタン層は下式に示されるようにシリカ
微粒子との間に化学的な結合が生じ、媒体の蒸発、還元
焼成時に起こる酸化チタン膜の割れや剥離が防止される
ことを見い出した。
【0010】
【化1】 そしてこのようにして得られた酸化チタン膜被覆無機シ
リカ微粒子を、還元性及び/又は窒化雰囲気下で焼成し
て酸化チタン膜を黒色膜とすることにより、十分な遮光
性を有する黒色微粒子を得ることができることを見い出
した。また上記黒色膜の表面に絶縁層を設けることによ
り、黒色微粒子に十分な絶縁性を付与できることも見い
出した。
【0011】本発明はこれらの知見に基づき完成されて
ものであり、本発明は、(1)金属酸化物からなる球状
粒子を中級アルコールを主体とするアルコール系溶媒に
分散して球状粒子の分散液を得る工程と、(2)前記分
散液にアルカリ水溶液を添加して金属酸化物球状粒子の
表面を活性化処理する工程と、(3)金属酸化物球状粒
子表面に、TiO2からなる酸化チタン膜を形成させて
酸化チタン膜付き球状粒子を得る工程と、(4)前記工
程で得られた酸化チタン膜付き球状粒子を還元性及び/
又は窒化雰囲気で焼成して前記酸化チタン膜を黒色化
し、黒色膜付き球状粒子を得る工程と、(5)前工程で
得られた黒色膜付き球状粒子の黒色膜表面に絶縁層を設
けて、黒色膜および絶縁層付き球状粒子を得る工程と、
を必須工程として含むことを特徴とする黒色微粒子の製
造方法(以下この方法を第1方法という)を要旨とする
ものである。
【0012】また本発明は、(1)金属酸化物からなる
球状粒子を中級アルコールを主体とするアルコール系溶
媒に分散して球状粒子の分散液を得る工程と、(2)前
記分散液にアルカリ水溶液を添加して金属酸化物球状粒
子の表面を活性化処理する工程と、(3)金属酸化物球
状粒子表面に、TiO2からなる酸化チタン膜を形成さ
せて酸化チタン膜付き球状粒子を得る工程と、(4)前
工程で得られた酸化チタン膜付き球状粒子の酸化チタン
膜の表面に絶縁層を設ける工程と、(5)前工程で得ら
れた酸化チタン膜および絶縁層付き球状粒子を還元性及
び/又は窒化雰囲気で焼成して前記酸化チタン膜を黒色
化し、黒色膜および絶縁層付き球状粒子を得る工程と、
を必須工程として含むことを特徴とする黒色微粒子の製
造方法(以下この方法を第2方法という)を要旨とする
ものである。
【0013】先ず、本発明の第1方法について説明す
る。第1方法において、工程(1)は金属酸化物からな
る球状粒子を中級アルコールを主体とするアルコール系
溶媒に分散して球状粒子の分散液を得る工程である。こ
の工程(1)において用いられる球状粒子は、一般に
0.5〜30μm、より好ましくは1.0〜15μmの
範囲の粒径を有するものが好ましい。また球状粒子を構
成する金属酸化物微粒子としては、シリカ、チタニア、
ジルコニア、酸化バリウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸
化クロム、酸化バナジウム、酸化ハフニウム、酸化マグ
ネシウム、酸化ストロンチウムなどの微粒子が挙げられ
るが、粒径精度、強度、硬度の点でシリカ微粒子を用い
るのが特に好ましい。シリカ微粒子は、シリコンアルコ
キシドを水、アンモニアおよびアルコールからなる反応
液中において加水分解および重縮合させることにより製
造される。この段階の未焼成シリカ粒子は、シラノール
基が多く、かつ有機物、水、アンモニアもかなり残存し
ており、強度、硬度も低い。この未焼成シリカ粒子を5
00〜1200℃で焼成するとシラノール基、有機物、
水、アンモニアが殆んど残存しない焼成シリカ粒子とな
り、強度、硬度が増加する。本発明の方法においては、
これら2種のシリカ微粒子のいずれも使用できる。
【0014】従来法では、表面にシラノール基の多い未
焼成シリカ微粒子に対しては接着性の良好な酸化チタン
膜を形成できたが、シラノール基の殆ど無い焼成シリカ
微粒子には酸化チタン膜は形成されるものの、界面の結
合力が弱く、割れたり、剥がれたりする恐れがあった。
これに対して、本発明では後記工程(2)においてアル
カリでシリカ微粒子の活性化処理を行なうため、焼成シ
リカ微粒子表面にも水酸化物イオンをリッチにすること
ができ、加水分解速度が粒子表面で選択的に加速される
ために、従来法ではコーティングが困難であった焼成シ
リカ微粒子に酸化チタン膜をコーティングできるという
利点を有する。
【0015】工程(1)においては、上記球状粒子をア
ルコール系溶媒に分散させて球状粒子の分散液を得る
が、用いられるアルコール系溶媒は、ブタノール、ペン
タノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、ノナノール、デカノールなどの炭素数4〜10の中
級アルコールに限定される。その理由は、これらの中級
アルコールを用いると、後記工程(3)において形成さ
れる酸化チタン膜の膜厚が厚くなることが明らかとなっ
ているからである。これらの中級アルコールは直鎖のも
の及び分岐のもののいずれでもよく、これら中級アルコ
ールを単独のみならず混合してもよい。また上記の中級
アルコールとともに、メタノール、エタノール、プロパ
ノールなどの低級アルコールもしくは親水性の有機溶
媒、例えばアセトニトリル、THF、DMF、DMSO
等を全アルコールに対して少量(例えば20vol%未
満)添加することもできる。
【0016】次に、工程(2)は、前記工程(1)で得
られた球状粒子の分散液にアルカリ水溶液を添加して金
属酸化物球状粒子の表面を活性化処理する工程である。
この活性化処理は、アルカリが金属酸化物球状粒子の表
面に作用することにより、同表面のシラノール基からの
プロトン脱離を促進するための処理であり、この活性化
処理を行なうことにより、後記の工程(3)において形
成される酸化チタン膜と金属酸化物球状粒子との密着
性、ひいては後記の工程(4)において形成される部分
還元酸化チタン及び/又は窒化チタンからなる黒色膜と
金属酸化物球状粒子との密着性が向上し、被覆層の剥離
や割れが防止される。特に球状粒子としてシリカを用い
た場合、シリカ球状粒子と、その表面に形成される酸化
チタン層とは、シリカと酸化チタンとの収縮率の差が大
きいため、焼成処理により、被膜の剥離や割れの問題が
懸念されたが、本発明においてこの活性化処理により、
これらの問題を解決したことは特筆すべきことである。
【0017】この活性化処理に用いられるアルカリ水溶
液としては、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アル
カリ土類金属水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩などのアルカリの水溶液が用いられるが、特にア
ンモニア水溶液を用いるのが好ましい。
【0018】次に、工程(3)は、前記工程(2)を経
た分散液に酸化チタンを形成し得るチタン化合物を添加
し、加水分解して、前記球状粒子の表面に式TiO2
示される酸化チタン(化学量論量のチタンと酸素からな
る酸化チタン)の膜を形成する工程である。この工程
(3)で用いられる、酸化チタンを形成し得るチタン化
合物としては、一般式 Ti(OR)4又はTi(R′)n(OR)4-n (式中、RおよびR′はアルキル基もしくはアシル基、
特に炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素2〜6個の
アシル基であり、nは1〜3の整数である)で示される
チタンアルコキシド、又はこれらの部分加水分解物が挙
げられる。RおよびR′の具体例は、メチル基、エチル
基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、
直鎖又は分岐ペンチル基、アセチル基、プロピオニル基
である。分散液中に添加されたこれらのチタン化合物
は、いわゆるゾルゲル法により加水分解され、球状粒子
の表面に酸化チタン膜が形成される。形成される酸化チ
タン膜の膜厚は、目的に応じて適宜決定されるが、通常
は0.01〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5
μmである。本発明によれば、前述したように工程
(1)においてアルコール溶媒として、炭素数4〜10
の中級アルコールを用いることにより、酸化チタン層の
膜厚を厚くすることができるという利点がある。次に、
工程(4)は前記工程(3)で得られ酸化チタン膜付き
球状粒子を還元性及び/又は窒化雰囲気で焼成して、還
元及び/又は窒化し、酸化チタン膜を黒色化する工程で
ある。この工程(4)において、還元性雰囲気は水素ガ
スなどの還元性ガスを用いることにより、また窒化雰囲
気は窒素ガスなどの窒化ガスを用いることにより達成さ
れる。また還元性及び窒化雰囲気は還元性ガスでもあ
り、窒化ガスでもあるアンモニアガスを用いることによ
り、又は水素ガスと窒素ガスとを併用することにより達
成される。焼成は、通常高温炉中で行なわれ、その温度
は通常800〜1,000℃、より好ましくは850〜
950℃の範囲である。この還元性及び/又は窒化雰囲
気での焼成処理により、酸化チタン膜は、式TiO
n(1.5<n<2、より好ましくは1.6<n<1.
9)で示される部分還元酸化チタン及び/又はTiNで
示される窒化チタンとに転化され、黒色化される。
【0019】工程(5)は、前記工程(4)で得られた
黒色膜付き球状粒子の表面に絶縁層を設ける工程であ
る。この絶縁層は、上述の如く絶縁性を有する金属酸化
物であれば、その種類は問わないが、化学的耐久性、熱
的安定性に優れている点でシリカが好ましく用いられ
る。シリカからなる絶縁層の形成は、シリコンアルコキ
シド(テトラアルコキシシランなど)と、黒色酸化チタ
ン膜付き球状粒子とを水−アルコール溶剤中でアンモニ
アによりpHをアルカリ性に調整して混合して、シリコン
アルコキシドを前記アンモニアにより活性化処理し、同
時にシリコンアルコキシドを加水分解重縮合させること
により行なうのが好ましい。
【0020】絶縁層の厚さは、黒色微粒子の絶縁性を可
能にする厚さであれば、特に限定されないが、0.02
〜1.0μmであるのが好ましく、0.05〜0.5μ
mであるのが特に好ましい。絶縁層を形成した後、黒色
膜の再酸化を防止するため、還元性及び/又は窒化雰囲
気で再び焼成しても良い。
【0021】又、このような焼成処理を行なわない場合
には、絶縁層として形成されたシリカ層が未焼成である
ため表面にシラノール基が多い。そこで、この表面のシ
ラノール基を利用してビニルトリエトキシシラン、メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン等のシランカップリング
剤等による表面処理が容易にできる。そのため、液晶表
示装置のスペーサーの湿式散布の場合においては、分散
させる溶媒の親水性もしくは親油性に合わせて表面改質
を行ない分散性を高めることや、乾式散布の場合に必要
とされる粉体としての高流動性を付与すること、さらに
反応性未端基の導入によりモノマーをグラフト重合し、
粒子を樹脂コーティングすることが可能となる等の特徴
を有する。
【0022】以上の工程(1)〜(5)からなる第1方
法を実施することにより得られた黒色微粒子は、(i)
酸化チタン膜の還元及び/又は窒化により形成された黒
色膜が厚く、黒色化度が高く、かつ亀裂、剥離しにくい
ので、十分な遮光性を有する、(ii)黒色膜上に絶縁層
が設けられているので電気絶縁性に優れている、などの
特長を有し、液晶表示装置用スペーサーとして好適に使
用される。
【0023】次に本発明の第2方法について説明する。
第2方法において、金属酸化物球状粒子を中級アルコー
ルを主体するアルコール系溶媒に分散して球状粒子の分
散液を得る工程(1)、前記分散液にアルカリ水溶液を
添加して金属酸化物球状粒子の表面を活性化処理する工
程(2)、および金属酸化物球状粒子表面にTiO2
らなる酸化チタン層を形成する工程(3)は、前記第1
の方法におけると同一であるので、ここでは、その説明
を省略する。
【0024】第2方法が前記第1方法と異なる点は、第
1方法が酸化チタン膜の黒色化処理の後、絶縁層を設け
ているのに対し、第2方法では酸化チタン膜に絶縁層を
設けた後、酸化チタン膜の黒色化処理を行なう点であ
る。
【0025】すなわち、第2方法においては、前記工程
(3)の後、まず酸化チタン膜の表面に絶縁層を設ける
工程(4)を行なう。形成される絶縁層の種類および厚
さ並びに絶縁層の形成条件は、第1方法の工程(5)に
おける方法と同一である。
【0026】第2方法においては、前記工程(4)で得
られた酸化チタン膜および絶縁層付き球状粒子を工程
(5)において、還元性及び/又は窒化雰囲気で焼成処
理し、酸化チタン膜を黒色化する。この還元性及び/又
は窒化雰囲気下での焼成処理の条件は、第1方法の工程
(4)におけると基本的に同様であるが、第2方法の工
程(5)においては、黒色化されるべき酸化チタン膜上
に絶縁層が存在し、酸化チタン膜の還元及び/又は窒化
による黒色化が、絶縁層を介して流入した還元性及び/
又は窒化ガス(例えばアンモニアガスなど)が酸化チタ
ン膜と接触することによって行なわれるため、この点を
考慮して還元及び/又は窒化処理条件を決定する必要が
ある。例えば第2方法(A)の工程(5)においては、
第1方法の工程(4)におけるよりもアンモニアガスに
よる還元時間を長くするのが好ましい。
【0027】上述のように、第2方法は、絶縁層を形成
したのち、酸化チタン膜の黒色化を行なっている点で、
酸化チタン膜の黒色化の後、絶縁層を形成する第1方法
と異なるが、第2方法で得られた黒色微粒子も、第1方
法で得られた黒色微粒子と同様に十分な遮光性を有し、
また電気絶縁性にも優れており、液晶表示装置用スペー
サーとして好適に用いられる。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明する。 実施例1(第1方法) 工程(1) 金属酸化物からなる球状粒子として、平均粒子径が6.
07μmの単分散シリカ微粒子を用い、アルコール系溶
媒としてn−ブタノールを用いて、シリカ微粒子11.
46gをn−ブタノール140mlに添加し、30分間
超音波照射を行なってシリカ微粒子の分散液を得た。
【0029】工程(2) 得られたシリカ微粒子の分散液に25%アンモニア水
0.5mlを滴下混合し30℃で30分間攪拌すること
によりシリカ微粒子の表面を活性化処理した。
【0030】工程(3) 酸化チタンを形成し得るチタン化合物として、チタンテ
トラブトキシドを用い、このチタンテトラブトキシド
5.45gをn−ブタノール20mlに溶解した溶液を
前記工程(2)を経た分散液に10分かけて滴下混合
し、30℃で1時間攪拌した。その後、0.5%アンモ
ニア水8.14mlを2−プロパノール20mlに溶解
した溶液を30分かけて滴下した後、反応系を60℃に
昇温して12時間攪拌して、チタンテトラブトキシドの
加水分解反応を終了させた。反応終了後、反応液を静置
して粒子を沈降させた後、デカンテーションにより上澄
み液を取り除いた。さらにメタノール、水の順でデカン
テーションを繰り返した後、凍結乾燥を行なって、酸化
チタン(TiO2)の薄膜を有するシリカ微粒子を得
た。
【0031】工程(4) 凍結乾燥された酸化チタン薄膜付きシリカ微粒子を石英
ガラス製のボートに入れ、これを石英チューブからなる
炉芯管内に設置し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素を
パージした。次いで200℃/hrの昇温速度で昇温
し、500℃に達した時点で液化アンモニアボンベから
アンモニアガスを250ml/minの流速で導入しな
がら850℃まで昇温し、この温度で4時間保持し、還
元及び窒化処理を終了させ、部分還元酸化チタンと窒化
チタンからなる黒色膜を形成した。得られた黒色膜付き
シリカ微粒子は母粒子であるシリカ微粒子の単分散性を
維持していた。
【0032】またX線光電分光法(XPS又はESC
A)により、黒色膜の組成を求めた。X線光電分光分析
の条件は以下のとおりである。 機種名 :アルバック・ファイ(株)製 ESCA−
5400 真空度 :3〜5×10-9Pa X線源 :MgKα(1253.6eV) 分析面積 :1.1mmφ 光電子取込み時間 :1.0〜10.0min/element スパッタリング処理 :なし パスエネルギー :178.95eV その結果、部分還元酸化チタンTiOnにおけるnの平
均値は1.75であり、TiO1.75とTiNとが約70
%と約30%の割合で存在することが明らかとなった。
また黒色膜の膜厚は、電子顕微鏡により被覆前後の粒径
を測定した結果0.05μmであることが明らかとなっ
た。さらに、黒色膜付きシリカ微粒子を顕微鏡(250
0倍)観察した結果、黒色膜の剥離や割れは認められな
かった。
【0033】工程(5) 工程(4)で得られた黒色膜付きシリカ微粒子5.00
gをn−ブタノール63mlに添加し、30分間超音波
照射を行なって分散させた後、25%アンモニア水0.
30mlを滴下混合し、30分間30℃で攪拌して活性
化処理した。次に、1.74gのテトラエトキシシラン
をn−ブタノール20mlに溶解した溶液を10分かけ
て滴下混合し、1時間30℃で混合した。この溶液に2
5%アンモニア水3.70gを2−プロパノール10m
lに溶解した溶液を30分かけて滴下し、12時間攪拌
し、反応を終了させた。
【0034】反応終了後、反応液を静置して粒子を沈殿
させた後、デカンテーションにより上澄み液を取り除い
た。メタノール、水の順でデカンテーションを繰り返し
た後、凍結乾燥を行なって、黒色膜付きシリカ粒子の表
面に絶縁層が形成された乾燥粒子を得た。
【0035】得られた乾燥粒子を石英ガラス製のボート
に入れ、これを石英チューブからなる炉芯管内に設置
し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素をパージした。次
いで200℃/hrの昇温速度で昇温し、500℃に達
した時点で、黒色膜の再酸化を防止するため、液化アン
モニアボンベよりアンモニアガスを炉芯管内に導入し、
さらに800℃まで昇温してこの温度で4時間保持し
た。このようにして得られた黒色膜および絶縁層付きシ
リカ粒子の電導度を測定してところ、8.49×10
-12S/cmと優れた絶縁性を示した。
【0036】さらに、得られた微粒子は、JIS Z8
701で定められる色のXYZ系でY値が0%の黒色粒
子であった。また、この黒色微粒子はシリカ母粒子の上
に0.05μmの厚さの黒色膜と0.10μmの厚さの
シリカ絶縁層を被覆したものであり、粒子径分布は母粒
子であるシリカ微粒子の粒子径分布の単分散性を維持し
ていた。
【0037】実施例2(第1方法) 実施例1の工程(5)において、乾燥粒子の焼成処理を
行なわない以外は実施例1と同様にして黒色粒子を得
た。得られた粒子の電導度を測定したところ、9.12
×10-11S/cmと優れた絶縁性を示した。さらに、
Y値が0%の黒色粒子であった。また、この黒色粒子の
粒子径分布は母粒子であるシリカ微粒子の粒子径分布の
単分散性を維持していた。この粒子は絶縁層として形成
されたシリカ層が未焼成であるため表面にシラノール基
が多い。そこで、この表面のシラノール基を利用してビ
ニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン等のシランカップリング剤等による表面処理が容易
できる。そのため、液晶表示装置用スペーサーの湿式散
布の場合においては、分散させる溶媒の親水性もしくは
親油性に合わせて表面改質を行ない分散性を高めること
や、乾式散布の場合に必要とされる粉体としての高流動
性を付与すること、さらに反応性未端基の導入によりモ
ノマーをグラフト重合し、粒子を樹脂コーティングする
ことが可能となる等の特徴を有する。
【0038】実施例3(第1方法) 本実施例は、中級アルコール系溶媒として、実施例1で
用いたn−ブタノールの代りにt−アミルアルコール
(2−メチル−2−ブタノール)を用いた実施例であ
り、以下にその詳細を示す。
【0039】工程(1) 金属酸化物からなる球状粒子として、平均粒子径が6.
77μmの単分散シリカ微粒子を用い、中級アルコール
系溶媒としてt−アミルアルコールを用いて、シリカ微
粒子6.31gをt−アミルアルコール140mlに添
加し、30分間超音波照射を行なってシリカ微粒子の分
散液を得た。
【0040】工程(2) 得られたシリカ微粒子の分散液に25%アンモニア水
0.30mlを滴下混合し30℃で30分間攪拌するこ
とによりシリカ微粒子の表面を活性化処理した。
【0041】工程(3) 酸化チタンを形成し得るチタン化合物として、チタンテ
トラブトキシドを用い、このチタンテトラブトキシド
5.45gをt−アミルアルコール20mlに溶解した
溶液を前記工程(2)を経た分散液に10分かけて滴下
混合し、30℃で1時間攪拌した。その後、0.5%ア
ンモニア水8.34mlを2−プロピルアルコール20
mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した後、反応系
を60℃に昇温して12時間攪拌して、チタンテトラブ
トキシドの加水分解反応を終了させた。反応終了後、反
応液を静置して粒子を沈降させた後、デカンテーション
により上澄み液を取り除いた。さらにメタノール、水の
順でデカンテーションを繰り返した後、凍結乾燥を行な
って、酸化チタン(TiO2)膜を有するシリカ微粒子
を得た。
【0042】工程(4) 凍結乾燥された酸化チタン膜付きシリカ微粒子を石英ガ
ラス製のボートに入れ、これを石英チューブからなる炉
芯管内に設置し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素をパ
ージした。次いで200℃/hrの昇温速度で昇温し、
500℃に達した時点で液化アンモニアボンベからアン
モニアガスを250ml/minの流速で導入しながら
850℃まで昇温し、この温度で4時間保持し、還元及
び窒化処理を終了させ、部分還元酸化チタンと窒化チタ
ンからなる黒色膜を形成した。得られた黒色付きシリカ
粒子は母粒子であるシリカ微粒子の単分散性を維持して
いた。またX線光電分光法(XPS又はESCA)によ
り、黒色膜の組成を求めたところ、実施例1とほぼ同様
の結果が得られた。また黒色膜の膜厚は、0.05μm
であった。さらに、黒色膜付きシリカ微粒子を顕微鏡
(2500倍)観察した結果、被覆層の剥離や割れは認
められなかった。
【0043】工程(5) 工程(4)で得られた黒色膜付きシリカ微粒子4.00
gをN−ブタノール63mlに添加し、30分間超音波
照射を行なって分散させた後、25%アンモニア水0.
30mlを滴下混合し、60分間30℃で攪拌して活性
化処理した。次に、1.74gのテトラエトキシシラン
をn−ブタノール20mlに溶解した溶液を10分かけ
て滴下し、1時間30℃で攪拌した。この溶液に25%
アンモニア水3.70mlを2−プロパノール10ml
に溶解した溶液を30分かけて滴下し、12時間攪拌
し、反応を終了させた。
【0044】反応終了後、反応液を静置して粒子を沈降
させた後、デカンテーションにより上澄み液を取り除い
た。メタノール、水の順でデカンテーションを繰り返し
た後、凍結乾燥を行ない、黒色膜付きシリカ微粒子の表
面に絶縁層が形成された乾燥粒子を得た。
【0045】得られた乾燥粒子を石英ガラス製のボート
に入れ、これを石英チューブからなる炉芯管内に設置
し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素をパージした。次
いで200℃/hrの昇温速度で昇温し、500℃に達
した時点で液化アンモニアボンベよりアンモニアガスを
炉芯管内に導入し、さらに800℃まで昇温してこの温
度で4時間保持した。このようにして得られた黒色膜及
び絶縁層付きシリカ微粒子の電導度を測定したところ、
9.02×10-12S/cmと絶縁性を示した。
【0046】さらに、得られた粒子は、JIS Z87
01で定められる色のXYZ系でY値が0%の黒色粒子
であった。また、この黒色微粒子はシリカ微粒子の上に
0.05μmの厚さの黒色膜と0.10μmの厚さのシ
リカ絶縁層を被覆したものであり、粒子径分布は母粒子
であるシリカ微粒子の粒子径分布の単分散性を維持して
いた。
【0047】実施例4(第2方法) 工程(1) 金属酸化物からなる球状粒子として、平均粒子径が6.
07μmの単分散シリカ微粒子を用い、アルコール系溶
媒としてn−ブタノールを用いて、シリカ微粒子11.
46gをn−ブタノール140mlに添加し、30分間
超音波照射を行なってシリカ微粒子の分散液を得た。
【0048】工程(2) 得られたシリカ微粒子の分散液に25%アンモニア水
0.5mlを滴下混合し30℃で30分間攪拌すること
によりシリカ微粒子の表面を活性化処理した。
【0049】工程(3) 酸化チタンを形成し得るチタン化合物として、チタンテ
トラブトキシドを用い、このチタンテトラブトキシド
5.45gをn−ブタノール20mlに溶解した溶液を
前記工程(2)を経た分散液に10分かけて滴下混合
し、30℃で1時間攪拌した。その後、0.5%アンモ
ニア水8.14mlを2−プロパノール20mlに溶解
した溶液を30分かけて滴下した後、反応系を60℃に
昇温して12時間攪拌して、チタンテトラブトキシドの
加水分解反応を終了させた。反応終了後、反応液を静置
して粒子を沈降させた後、デカンテーションにより上澄
み液を取り除いた。さらにメタノール、水の順でデカン
テーションを繰り返した後、凍結乾燥を行なって、酸化
チタン(TiO2)の薄膜を有するシリカ微粒子を得
た。
【0050】工程(4) 凍結乾燥された酸化チタン膜付きシリカ微粒子5.00
gをn−ブタノール63mlに添加し、30分間超音波
照射を行なって分散させた後、25%アンモニア水0.
30mlを滴下混合し、30分間30℃で攪拌して活性
化処理した。次に、1.74gのテトラエトキシシラン
をn−ブタノール20mlに溶解した溶液を10分かけ
て滴下混合し、1時間30℃で攪拌した。この溶液に、
25%アンモニア水3.70gを2−プロパノール10
mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、12時間攪
拌し、反応を終了させた。
【0051】反応終了後、反応液を静置して粒子を沈降
させた後、デカンテーションにより上澄み液を取り除い
た。メタノール、水の順でデカンテーションを繰り返し
た後、凍結乾燥を行なった。このようにして、酸化チタ
ン膜付きシリカ微粒子の表面に絶縁層を形成させた乾燥
粒子を得た。
【0052】工程(5) 工程(4)で得られた乾燥粒子を石英ガラス製のボート
に入れ、これを石英チューブからなる炉芯管内に設置
し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素をパージした。次
いで200℃/hrの昇温速度で昇温し、500℃に達
した時点で液化アンモニアボンベよりアンモニアガスを
炉心管内に導入し、さらに800℃まで昇温してこの温
度で6時間保持し、酸化チタン膜を部分的に還元及び窒
化し黒色化した。このようにして得られた黒色膜及び絶
縁層付き粒子の電導度を測定したところ、8.49×1
-12S/cmと絶縁性を示した。
【0053】さらに、得られた粒子は、JIS Z87
01で定められる色のXYZ系でY値が0%の黒色粒子
であった。また、この黒色微粒子はシリカ絶縁層を被覆
したものであり、粒子径分布は母粒子であるシリカ微粒
子の粒子の単分散性を維持していた。
【0054】実施例5(第1方法) 工程(1)、工程(2)、工程(3) 実施例1と同様にして行った。
【0055】工程(4) 凍結乾燥した酸化チタン薄膜付きシリカ微粒子を石英ガ
ラス製のボートに入れ、水素雰囲気還元炉の炉芯管内に
設置し、窒素ガスによって炉芯管内の酸素をパージし
た。次いで、毎時200℃の昇温速度で昇温し、500
℃に達した時点で水素ガスを500ml/minの流速
で導入しながら900℃まで昇温し、さらにこの温度で
5時間保持し、酸化チタンを部分還元して黒色化した。
【0056】実施例1と同様にして、X線光電分光法に
より黒色膜の組成を分析した結果、部分還元酸化チタン
TiOnにおけるnは1.75であった。
【0057】工程(5) 工程(4)で得られた黒色膜付きシリカ微粒子5.0g
をn−ブタノール63mlに添加し、30分間超音波照
射を行って分散させた後、25%アンモニア水0.30
mlを滴下混合し、30℃で30分間攪拌して活性化処
理した。次に、1.74gのテトラエトキシシランをn
−ブタノール20mlに溶解した溶液を10分かけて滴
下混合し、30℃で1時間混合した。この溶液に、25
%アンモニア水3.70gを2−プロパノール10ml
に溶解した溶液を30分かけて滴下し、12時間攪拌し
て反応を終了させた。反応終了後、反応液を静置して粒
子を沈澱させた後、デカンテーションにより上澄み液を
取り除いた。メタノール、水の順にデンカンテーション
を繰り返した後、凍結乾燥を行って、黒色膜付きシリカ
粒子の表面に絶縁層が形成された乾燥粒子を得た。
【0058】得られた乾燥粒子を石英ガラス製のボート
に入れ、これを水素雰囲気還元炉の炉芯管内に設置し、
窒素ガスによって炉内の酸素をパージした。次いで、毎
時200℃の昇温速度で昇温し、300℃に達した時点
で水素ガスを500ml/minの速度で導入し、さら
に800℃まで昇温し、この温度で4時間保持して焼成
した。
【0059】得られた粒子の電導度を測定したところ、
5.13×10-13S/cmと、優れた絶縁性を示し
た。更に、得られた微粒子は、JIS Z8701で定
められた色のXYZ系でY値が0%の黒色粒子であっ
た。この黒色微粒子は、母粒子であるシリカ微粒子の上
に厚さ0.05μmの還元型酸化チタン黒色層が被覆さ
れ、その上にさらに0.1μm厚のシリカ絶縁層が被覆
されたものであり、粒子径分布は母粒子であるシリカ微
粒子の粒子径分布の単分散性を維持していた。
【0060】実施例6(第2方法) 工程(1)、工程(2)、工程(3)、工程(4) 実施例4と同様にして行った。
【0061】工程(5) 工程(4)で得られた乾燥粒子を石英ガラス製のボート
に入れ、これを水素雰囲気還元炉の炉芯管内に設置し、
窒素ガスによって炉内の酸素をパージした。次いで、毎
時200℃の昇温速度で昇温し、500℃に達した時点
で水素ガスを500ml/minで導入し、さらに90
0℃まで昇温し、この温度で5時間保持し、酸化チタン
層を部分還元して黒色化した。
【0062】得られた粒子の電導度を測定したところ、
9.23×10-13S/cmと、絶縁性を示した。さら
に得られた粒子は、JIS Z8701で定められた色
のXYZ系でY値が0%の黒色粒子であった。この黒色
微粒子は、母粒子であるシリカ粒子上に厚さ0.05μ
mの部分還元酸化チタン層と、さらにその上に厚さ0.
1μmのシリカ層が被覆されたものであり、粒子径分布
は母粒子であるシリカ微粒子の粒子径分布の単分散性を
維持していた。
【0063】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、黒
色度が高く十分な遮光性を有し、かつ優れた電気絶縁性
を有し、液晶表示装置用スペーサー等に好適な黒色微粒
子の製造方法が提供された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪井 和彦 岐阜県岐阜市薮田西2丁目1番1号 宇 部日東化成株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−180816(JP,A) 特開 平3−279923(JP,A) 特開 平3−63629(JP,A) 特開 平4−42811(JP,A) 特開 平4−89318(JP,A) 特開 昭58−91037(JP,A) 特開 昭63−206315(JP,A) 特開 昭63−89890(JP,A) 特開 昭63−94224(JP,A) 特表 平6−503064(JP,A) 米国特許3553001(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500 C01G 23/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)金属酸化物からなる球状粒子を中
    級アルコールを主体とするアルコール系溶媒に分散して
    球状粒子の分散液を得る工程と、(2)前記分散液にア
    ルカリ水溶液を添加して金属酸化物球状粒子の表面を活
    性化処理する工程と、(3)金属酸化物球状粒子表面
    に、TiO2からなる酸化チタン膜を形成させて酸化チ
    タン膜付き球状粒子を得る工程と、(4)前記工程で得
    られた酸化チタン膜付き球状粒子を還元性及び/又は窒
    化雰囲気で焼成して前記酸化チタン膜を黒色化し、黒色
    膜付き球状粒子を得る工程と、(5)前工程で得られた
    黒色膜付き球状粒子の黒色膜表面に絶縁層を設けて、黒
    色膜および絶縁層付き球状粒子を得る工程と、を必須工
    程として含むことを特徴とする黒色微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)金属酸化物からなる球状粒子を中
    級アルコールを主体とするアルコール系溶媒に分散して
    球状粒子の分散液を得る工程と、(2)前記分散液にア
    ルカリ水溶液を添加して金属酸化物球状粒子の表面を活
    性化処理する工程と、(3)金属酸化物球状粒子表面
    に、TiO2からなる酸化チタン膜を形成させて酸化チ
    タン膜付き球状粒子を得る工程と、(4)前工程で得ら
    れた酸化チタン膜付き球状粒子の酸化チタン膜の表面に
    絶縁層を設ける工程と、(5)前工程で得られた酸化チ
    タン膜および絶縁層付き球状粒子を還元性及び/又は窒
    化雰囲気で焼成して前記酸化チタン膜を黒色化し、黒色
    膜および絶縁層付き球状粒子を得る工程と、を必須工程
    として含むことを特徴とする黒色微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の方法によ
    り得られた黒色微粒子からなる液晶表示装置用スペーサ
    ー。
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