JP3774240B2 - 黒色系粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、平均粒径0.1〜10μm程度であって、粒度分布がシャープであり、しかも分散性の良好な球状の黒色系粒子ならびにその製造方法に関し、また該粒子をスペーサとして用いた表示装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
粒度分布がシャープで平均粒径が0.1μm以上と大きい金属酸化物粒子は液晶スペーサなどにその用途が期待されている。しかも黒色系粒子を液晶スペーサとして用いる場合は白色系粒子を用いる場合と比較して、スペーサ自体が目視されることがなく、表示される画像が鮮明になるので有用である。
【0003】
従来の技術として、特公平3−51644号公報および特開昭63−89890号公報に提案されているように、金属アルコキシドの加水分解により得られた金属酸化物粒子を250℃以上の温度で熱処理することにより黒色化する方法が知られている。しかし、この方法では粒子内部の残留有機基を焼成により炭化させて黒色化しているため、金属酸化物粒子を調製する際に、有機基であるアルコキシ基を一部残す条件で加水分解と縮合を行わせなければならず、有機基の残留量を制御することが困難であり、その結果、黒色度を制御することは難しく、さらに、粒子の粒子径が小さい場合には黒色度を示すY値が大きくなる可能性も高い。
【0004】
また、これ以外の黒色シリカ粒子の製造方法として特開平3−279209号公報に提案されているように、シリカ粒子をフッ素化剤および有機溶媒と接触させた後に500℃以上で熱処理することにより有機溶媒を炭化させ、カーボンによりシリカ粒子を黒色化する方法が提案されている。この方法では粒子の表面および内部に存在しているカーボンによってシリカ粒子が導電性となる恐れがある。さらに、フッ素化剤により粒子表面がポーラスになっており、カーボンが液晶中に抜け出し、液晶に配向乱れ等の悪影響を及ぼしたり、粒子の圧縮破壊強度が弱くなる可能性が考えられる。
【0005】
一方、金属酸化物粒子以外の黒色系粒子として樹脂系粒子が知られている。樹脂系粒子を黒色化する方法として合成時に染料等の着色剤を加える方法や、染料あるいは顔料によって着色する方法等が知られているが、染料あるいは顔料は遊離や溶出による脱色が生じ易く、安定性に欠けるという問題がある。さらに樹脂系粒子は、一般にシリカ粒子に比べて粒径のバラツキが大きく、熱または加圧によって変形してしまうため、液晶用スペーサーに用いた場合には均一な厚みを有する液晶層を提供することができず、画像にむらが生じたりあるいは色調異常をきたす恐れがある。
【0006】
【発明の目的】
本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、粒径が大きくしかも粒度分布がシャープでかつ単分散されている球状の黒色系粒子ならびにその製造方法を提供することを目的とするとともに、該粒子をスペーサとして使用した表示装置を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る黒色系粒子は、金属酸化物芯粒子と、この表面に設けられた黒色層と、この黒色層上に設けられた金属酸化物層とからなることを特徴としており、JIS Z 8701で定められるXYZ系で、Y値が10%以下と非常に黒色である。このような本発明に係る黒色系粒子は、平均粒径が0.1〜10μmで粒度分布がシャープでかつ単分散されている。
【0008】
本発明に係る黒色系粒子の製造方法では、金属アルコキシドを、水と有機溶媒との混合溶媒中で、塩基性触媒の存在下で加水分解するなどして芯(コア)となる含水金属酸化物粒子を製造する。次いでその含水金属酸化物粒子からなる芯粒子を、有機溶媒または酸を含む有機溶媒に分散させ、80〜200℃で液相が存在する条件で加熱処理して含水金属酸化物粒子の表面に有機基含有層を形成した後、その芯粒子の表面を芯粒子と異種または同種の金属酸化物前駆体で被覆し、次いで分散液から分離された粒子を250℃以上の温度で熱処理して有機基含有層を黒色層とするとともに金属酸化物前駆体を金属酸化物層とすることを特徴としている。
【0009】
このようにして得られた本発明に係る黒色系粒子は、液晶表示装置のスペーサとして用いられると、表示される画像が鮮明になるという優れた効果が得られる。また、本発明に係る黒色系粒子は粒子表面が金属酸化物の緻密な層で被覆されているので、絶縁性に優れ、カーボンが液晶中に抜け出したり、液晶に配向乱れが生ずる等の悪影響を及ぼすこともなく、粒子の圧縮破壊強度も改良され、さらに、金属酸化物の種類、組み合わせおよび被覆厚さによって粒子表面の帯電量を制御することも可能となる。
【0010】
また、上記の黒色系粒子は球状であるため、透明電極を傷付けることなく、しかも熱または加圧による変形が生じることもない。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る黒色系粒子及びその製造方法について具体的に説明する。本発明に係る黒色系粒子10は、その断面図を図1に示すように、芯となる金属酸化物粒子(芯粒子)1の表面が黒色層2が形成され、さらにこの黒色層2の表面が芯粒子と異種または同種の金属酸化物層3で被覆された構造をしている。
【0012】
芯粒子1に用いられる金属酸化物としては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23などの酸化物またはこれらの複合酸化物が用いられる。好ましくは金属アルコキシドの加水分解物を酸化して形成された金属酸化物粒子が用いられ、さらに好ましくはSiO2が用いられる。
【0013】
黒色層2は、芯粒子1の表面に存在する有機基を炭化することによって形成された層である。このような有機基は、芯粒子の表面に存在する水酸基をアルコールなどでエステル化することにより芯粒子表面に導入されたものが大部分で、原料の金属アルコキシドの未分解物も一部含まれる。
【0014】
黒色層2が形成された芯粒子1の表面を被覆する金属酸化物3としては、特に制限はなく、周期表の3A族、3B族、4A族、4B族、5A族、5B族、6A族の金属の酸化物が用いられ、この金属酸化物は芯粒子を形成する金属酸化物と同一であっても異なっていてもよい。具体的には、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、Sb23、MoO3、WO3等が、単独または組み合わせて用いられる。金属酸化物3の膜厚は特に限定されないが、黒色系粒子10の導電性をなくし、黒色度に影響を及ぼさないようにするため、0.1μmから1μmの膜厚であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る黒色系粒子は、JIS Z 8701で定められる色のXYZ系で、色の明るさに相当するY値が10%以下、好ましくは6%以下であることが望ましく、非常に黒色性に優れている。しかもこの黒色系粒子は、シャープな粒度分布(CV値≦3%)を有している。平均粒径は0.1〜10μmの範囲で任意の大きさに正確に制御されており、その上粒子同士が凝集することが少なく球状であり、熱または加圧によって変形することもない。
【0016】
次に、本発明に係る黒色系粒子の製造方法について説明する。
芯粒子となる含水金属酸化物粒子の製造方法は、金属アルコキシドを、水と有機溶媒との混合溶媒中で、塩基性触媒の存在下で加水分解する等の従来の方法で製造しうる。好ましい方法としては、特公平3−51643号公報で紹介された粒子製造方法が挙げられる。
【0017】
本発明でいう含水金属酸化物とは、酸化金属の水和物または金属水酸化物等の総称であり、その内部および表面には水酸基が存在する。
次に、上記方法により得られた含水金属酸化物粒子を有機溶媒に分散させる。ここで用いられる有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が用いられ、特にアルコール類が単独あるいは組み合わせて用いられる。さらに黒色度を上げるためには、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価の低級アルコールを用いることが好ましい。
【0018】
有機溶媒に分散させる際の含水金属酸化物粒子濃度については特に限定されないが、加熱処理中に粒子が分散媒中で単分散をしていることが好ましいため、酸化物に換算して20重量%以下であることが好ましい。
【0019】
含水金属酸化物粒子を分散させる有機溶媒は、そのままで用いられるが、酸を加えた有機溶媒に分散させて熱処理することによりさらに焼成後の黒色度を向上させることもできる。ここで用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸等の無機酸や酢酸等の有機酸等を使用することができる。
【0020】
有機溶媒中の酸の濃度は特に限定されないが、含水金属酸化物粒子のエステル化を十分に行い、さらに含水金属酸化物粒子に悪影響を与えないようにするために、0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0021】
次いで有機溶媒または酸を含む有機溶媒に分散された含水金属酸化物粒子分散液を80〜200℃において液相が存在する条件で加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、含水金属酸化物粒子表面の水酸基がエステル化されると考えられ、含水金属酸化物の表面に有機基含有層が形成される。処理時間はとくに限定されないが、一般に1〜30時間の範囲から採用される。
【0022】
なおこのような加熱処理により、含水金属酸化物粒子の内部の水酸基も一部エステル化される。
このようにして得られた表面に有機基を有する有機基含有層が形成された含水金属酸化物粒子は、次いで金属酸化物前駆物質でその表面を被覆される。
【0023】
表面に有機基含有層が形成された含水金属酸化物粒子の表面を被覆する方法としては、従来公知の種々の方法があるが、具体的には金属アルコキシドを原料とする方法が挙げられる。金属アルコキシドとしては、珪素、アルミニウム、チタン、アンチモン等のアルコキシドが用いられるが、アルコキシドを形成しうるどのような金属のアルコキシドであっても用いることができる。金属アルコキシドにより芯粒子の表面を被う方法としては、芯粒子を水と有機溶媒との混合溶媒に分散し、その分散液をアルカリ性または酸性に保ちながら金属アルコキシドを添加して加水分解し、芯粒子上に金属アルコキシド加水分解物を付着させる方法がある。
【0024】
金属アルコキシド以外の金属塩を加水分解して芯粒子の表面を被覆する方法もある。この場合の被覆原料としては、珪酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム等の金属オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩などを用いることができる。
【0025】
これらの方法としては、予め、上記化合物の水溶液を調整しておき、芯粒子を水に分散させてpH10以上に調整した分散液中に攪拌しながら上記水溶液を徐々に添加する方法がある。2種類以上の金属酸化物で表面を被覆する場合は、上記化合物の水溶液を個別に添加しても、混合水溶液を添加してもよい。
【0026】
上記の方法に従って金属酸化物前駆物質で芯粒子の表面を被覆した粒子を常法に従って乾燥すると、分散性の良好な球状の粒子が得られる。この段階で得られる粒子は、まだ白色系である。次いでこの粒子を、250℃以上、好ましくは250〜1000℃の温度で空気または窒素などの不活性ガス雰囲気中などで熱処理すると、白色系の粒子は黒色系に変化して、分散性の良好な黒色系の粒子が得られる。
【0027】
白色系粒子の熱処理温度は、上述のように250℃以上、好ましくは250〜1000℃であるが、熱処理温度が250℃未満であると、白色系粒子の黒色化は起こるが、黒色化に長時間を要するため好ましくなく、一方熱処理温度が1000℃を越えると、粒子間の焼結が起こることがあるため好ましくない。
【0028】
このようにして得られた黒色系粒子は、前述したような金属酸化物(芯粒子)、黒色層、金属酸化物層からなっており、粒子の黒色化の程度は主として、芯粒子の表面の黒色層に基づくものである。もちろん、芯粒子中に残存する金属アルコキシドの未分解物に由来する有機基、および表面のエステル化の際に同時にエステル化されて生成した粒子内部の有機基の炭化によって芯粒子も若干黒色化される。従って、芯粒子と黒色層との境界は明確ではない。また、最外殻の金属酸化物が金属アルコキシドの加水分解による場合は、やはりアルコキシドの未分解物が残存するからこれによる有機基の炭化によって多少黒色化する。
【0029】
本発明では、上記のようにして製造された黒色系粒子をスペーサとして用いて液晶表示装置などの表示装置が提供されるが、表示装置としては液晶表示装置のほかに、エレクトロクロミックディスプレイ(EDC)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶プリンター、タッチパネル、光変調素子などに用いられる。本発明の黒色系粒子を上記表示装置のスペーサとして組込む場合には、従来公知の方法をそのまま適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る黒色系粒子は、JIS Z 8701で定められるXYZ系で、Y値が10%以下と非常に黒色であり、しかも平均粒径が0.1〜10μmでしかも変動係数(CV値)が3%以下であり、粒度分布がシャープである。
【0031】
さらにこの黒色系粒子の表面は、金属酸化物の緻密な層で被われているので絶縁性に優れており、液晶表示装置用スペーサとして用いた場合液晶中へのカーボンの抜け出しが起こらないので液晶に配向乱れ等の悪影響を及ぼすこともなく、粒子の破壊強度も向上している。現在、液晶表示素子を作成する際の基板へのスペーサの散布方法としては、乾式散布と湿式散布が一般に使用される。乾式散布を行う際には、イオン風中に粒子を通したり、摩擦によって粒子に帯電させ、その粒子同士の反発力によって粒子を分散させ、粒子同士を凝集させないように散布を行っている。本発明の粒子は、表面の金属酸化物の種類と量を変化させて粒子の帯電量を制御することが可能であるので、乾式散布を行う際の粒子の反発力が制御され、任意の散布状態が粒子によって選択できる。しかも、散布される基板にも粒子と反対の電荷を与えることにより基板と粒子の接着性を増すこともできる。このようにして、乾式散布時の粒子の分散性を向上させることも可能となった。
【0032】
このようにして得られた本発明に係る黒色系粒子はJIS Z 8701で定められるXYZ系で、Y値が10%以下と非常に黒色であり、しかも粒度分布がシャープであるため、液晶表示装置のスペーサーとして用いられると、表示される画像が鮮明になるという優れた効果が得られる。
【0033】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】
エチルアルコール48.7gと水38.9gとの混合液を攪拌しながら35℃に保ち、この混合液にアンモニアガス7.2gを溶解させた。この混合液にエチルシリケート(SiO2換算濃度28重量%)1.74gを加えて2時間攪拌を続けて白濁液を得た。
【0035】
この白濁液にNaOH1重量%水溶液0.3gを加え、攪拌下35℃に保ち、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、エチルアルコール455gと水886gとの混合液および前記のエチルシリケート570gを同時に徐々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液103gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持し、含水酸化物粒子としてシリカ粒子が分散した分散液(I)を得た。
【0036】
分散液(I)から遠心分離により取り出したシリカ粒子を、メチルアルコール2450gと35重量%塩酸87gとの混合液に分散し、オートクレーブ中で150℃で18時間加熱処理を行った。
【0037】
加熱処理した後、遠心分離により取り出されたエステル化シリカ粒子100gを、エチルアルコール1398gと水1146gを加え、攪拌下35℃に保ち、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、エチルアルコール358gと水456gとの混合液および上記のエチルシリケート182gを同時に徐々に添加した。全量添加後、液中にNaOH1重量%水溶液103gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持しシリカで被覆されたシリカ粒子分散液を得た。この分散液を110℃で乾燥し白色系粒子を得た。
【0038】
次に、このようにして得られた白色系粒子を、空気雰囲気下で650℃で2時間処理し、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0039】
【実施例2】
実施例1の分散液(I)114gを攪拌下35℃に保ち、エチルアルコール63gと水51gを加えアンモニアガスでpH11.5にコントロールしながら、エチルアルコール638gと水814gとの混合液および上記のエチルシリケート325gを同時に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液65gを加え、これを70℃に加熱した。このシリカ粒子分散液189.2gを攪拌下65℃に保ち、エチルアルコール232gと水190gを加えアンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、エチルアルコール614gと水876gとの混合液および上記のエチルシリケート414gを同時に徐々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液130gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持し、含水酸化物としてシリカ粒子が分散した分散液(II)を得た。
【0040】
分散液(II)から遠心分離により粒子を取り出し、エチルアルコール3000gに分散し、酸を添加せずに150℃で18時間オートクレーブ中で加熱処理を行った。
【0041】
加熱処理した後、遠心分離により取り出されたエステル化シリカ粒子100gを、エチルアルコール1398gと水1146gを加え、攪拌下65℃に保ち、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、エチルアルコール59gと水99gとの混合液および上記のエチルシリケート56gを同時に徐々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液78gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持し、シリカで被覆されたシリカ粒子分散液を得た。この分散液を110℃で乾燥し、白色系粒子を得た。
【0042】
次に、このようにして得られた白色系粒子を、空気雰囲気下で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0043】
【実施例3】
実施例2の分散液(II)から取り出した粒子を、メチルアルコール2450g、35重量%塩酸87gの混合液に分散し、150℃で18時間オートクレーブ中で加熱処理を行った。
【0044】
加熱処理した後、取り出されたエステル化シリカ粒子(シリカ粒子(1))100gを、エチルアルコール1398gと水1146gを加え、攪拌下65℃に保ち、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、エチルアルコール59gと水99gとの混合液および上記のエチルシリケート56gを同時に徐々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液78gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持し、シリカ被覆シリカ粒子分散液を得た。この分散液を110℃で乾燥し、白色系粒子を得た(シリカ粒子(2))。
【0045】
このようにして得られたシリカ粒子(2)を、空気雰囲気下で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0046】
【実施例4】
実施例3で得られたシリカ粒子(1)100gを、エチルアルコール1398gと水1146gを加え、攪拌下65℃に保ち、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながら、水39gおよびアルミニウムイソプロポキシド22gをエチルアルコール23gに溶解した液を同時に徐々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液65gを加え、これを70℃に加熱して2時間保持し、アルミナで被覆されたシリカ粒子分散液を得た。この分散液を110℃で乾燥し白色系粒子を得た。
【0047】
このようにして得られた白色系粒子を、空気雰囲気下で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0048】
【実施例5】
実施例3で得られたシリカ粒子(2)を、窒素雰囲気下で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0049】
【実施例6】
シリカ粒子(1)100gを水1105gに分散し、攪拌下80℃に保ちアンモニアガスでpH11.5にコントロールしながら、SiO2として1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液1047gと、Al23として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液1047gとを同時に添加した。次いで陽イオン交換樹脂によりナトリウムを除去し、110℃で乾燥し、白色系SiO2−Al23で被覆されたシリカ粒子を得た。
【0050】
次に、このようにして得られた白色系粒子を、空気雰囲気下で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0051】
【実施例7】
実施例6のアルミン酸ナトリウム水溶液の代わりに、0.5重量%の炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液1047gを用いた以外は実施例6と同様にしたところ、SiO2−ZrO2被覆シリカ黒色系粒子が得られた。
【0052】
【実施例8】
エチルアルコール48.7gと水38.9gの混合溶液にアンモニアガスを吹き込みpHを9.5とした後、SiO2換算濃度39重量%のメチルシリケート1.12gとTiO2換算濃度7重量%のテトラステアリルオキシチタニウム0.9gを加え、2時間攪拌し、白濁液を得た。この白濁液にNaOH1重量%水溶液0.38gを加え、35℃に保持してアンモニアガスでpHを9.5にコントロールしながら、エチルアルコール412gと水804gの混合溶液および上記のメチルシリケート300gと上記のテトラステアリルオキシチタニウム246gの混合液を同時に除々に加えた。全量添加後、NaOH1重量%水溶液62gを加えた後70℃、2時間加熱し、SiO2−TiO2粒子分散液を得た。さらに、この分散液248gに、エチルアルコール112gと水90gを加えたのち、アンモニアガスでpHを9.5にコントロールしながら、エチルアルコール1254gと水1600gの混合溶液、および上記のメチルシリケート328gと上記のテトラステアリルオキシチタニウム270gの混合液を同時に除々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液68gを加え、70℃、2時間加熱することにより、含水酸化物粒子として、SiO2−TiO2粒子が分散した分散液を得た。
【0053】
この分散液から遠心分離により粒子を取り出し、メチルアルコール2450g、35%塩酸87gの混合溶液に分散し、150℃、18時間オートクレーブ中で加熱処理した。
【0054】
加熱処理後、遠心分離により取り出したエステル化粒子100gをエチルアルコール1398gと水1146gの混合溶液に分散し、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながらエチルアルコール279gと水356gの混合溶液および実施例1のエチルシリケート142gを同時に加えた。次いでNaOH1重量%水溶液95gを加え、70℃、2時間加熱し、シリカ被覆SiO2−TiO2粒子分散液を得た。これを110℃で乾燥後、空気中で650℃で2時間処理したところ、表1に示す黒色系粒子が得られた。
【0055】
【実施例9】
エチルアルコール48.7gと水38.9gの混合溶液にアンモニアガスを吹き込みpHを9.5とした後、SiO2換算濃度39重量%のメチルシリケート1.12gとFe23換算濃度29重量%の鉄ブトキシド2.3gとを加え、2時間攪拌し、白濁液を得た。この白濁液にNaOH1重量%水溶液0.38gを加え、35℃に保持してアンモニアガスでpHを9.5にコントロールしながら、エチルアルコール417gと水813gとの混合溶液および上記のメチルシリケート300gと上記の鉄ブトキシド59gの混合液を同時に除々に加えた。全量添加後、NaOH1重量%水溶液62gを加えた後70℃で、2時間加熱し、SiO2−Fe23粒子分散液を得た。さらに、この分散液224gに、エチルアルコール124gと水100gを加えた後、アンモニアガスでpHを9.5にコントロールしながら、エチルアルコール1254gと水1600gとの混合溶液、および上記のメチルシリケート328gと上記の鉄ブトキシド65gとの混合液を同時に除々に添加した。全量添加後、NaOH1重量%水溶液68gを加え、70℃、2時間加熱することにより、含水酸化物粒子として、SiO2−Fe23粒子が分散した分散液を得た。
【0056】
この分散液にヒドラジン1水和物2gを添加したのち、遠心分離により粒子を取り出し、エチルアルコール3000gに分散し、150℃、18時間オートクレーブ中で加熱処理した。
【0057】
加熱処理後、遠心分離により取り出したエステル化粒子100gをエチルアルコール1398gと水1146gとの混合溶液に分散し、アンモニアガスでpHを11.5にコントロールしながらエチルアルコール308gと水394gの混合溶液および実施例1のエチルシリケート157gを同時に加えた。次いでNaOH1重量%水溶液98gを加え、70℃、2時間加熱し、シリカ被覆SiO2−Fe23粒子分散液を得た。これを110℃で乾燥後、空気中で650℃で2時間処理したところ、表1に示す粒子が得られた。
【0058】
【比較例1】
実施例2の分散液(II)を加熱処理を行うことなく110℃で乾燥した後、空気雰囲気下で200℃で2時間熱処理したところ、表1に示す白色系粒子が得られた。
【0059】
表1のそれぞれの測定法は次のとおりである。
(1)平均粒径
電子顕微鏡写真を画像解析装置により測定した。
(2)Y値
S&Mカラーコンピューター:SM4−CH型(スガ試験機製)を用い、円柱セル内に粒子をいれ、45°反射法にて測定した。
(3)体積固有抵抗
室温、100kg/cm2加圧下で測定した。
【0060】
【表1】
Figure 0003774240
【0061】
【実施例10】
[液晶表示装置の評価]
実施例2、3、6、比較例1で得られた黒色系粒子を用いて、液晶表示セルを製造した。
【0062】
それぞれの実施例および比較例で得られた黒色系粒子1.5gをシール用樹脂(三井東圧製、エポキシ系樹脂)100gに分散させてインキ組成物を調製した。得られたインキ組成物を、2cm×2cmの液晶表示装置用研磨ガラス基板上に透明電極、配向膜が形成された積層体の配向膜の周縁にスクリーン印刷機で印刷して、液晶表示装置用基板を得た。
【0063】
次に、エチルアルコール1000mlに、黒色系粒子0.05gを分散させ、この分散液を用いて室温60℃、湿度3%に保たれた噴霧室内に置かれた上記の液晶表示装置基板上のシール用樹脂が設けられていない部分に噴霧した。次いでこれを、90℃で30分間予備乾燥した後、これと、透明電極および配向膜が設けられてなる別の液晶表示装置用ガラス基板とを貼り合わせ、加熱して樹脂を硬化させて液晶表示装置用セルを100枚作成した。
【0064】
このようにして得られた液晶表示装置用セルの液晶層の厚さを測定し、スペーサ粒子のうちの凝集粒子の有無を観察した。
さらに上記セルにSBE液晶(メルク社製)を注入して、液晶表示素子を作成し、表示回路に組み込んで液晶表示装置を組み立て、表示部のコントラストを比較した。
【0065】
これらの液晶表示装置について、得られた結果を表2に示す。それぞの測定法は次のとおりである。
(1)液晶層の厚さ
セルの中央部・右側部・左側部をダイアモンドカッターで切断し、それぞれ液晶層の厚さを電子顕微鏡で測定し、その平均厚さ、標準偏差を算出した。
(2)粗大粒子
表示部のスペーサの粗大粒子(凝集粒子)の有無を目視で観察し、粗大粒子が存在するセルの枚数を数えた。
(3)表示性能
表示性能は目視によりコントラストを比較した。
【0066】
【表2】
Figure 0003774240

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る黒色系粒子の断面図である。
【符号の説明】
10…黒色系粒子
1…金属酸化物粒子
2…黒色層
3…金属酸化物層

Claims (1)

  1. 含水金属酸化物粒子が有機溶媒または酸を含む有機溶媒に分散された分散液を80〜200℃で液相存在下で加熱処理して含水金属酸化物粒子の表面に有機基含有層を形成した後、該粒子の表面をさらに金属酸化物前駆体で被覆し、次いで該被覆粒子を250℃以上の温度で熱処理して、有機基含有層を黒色層とするとともに金属酸化物前駆体を金属酸化物層とすることを特徴とする黒色系粒子の製造方法。
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