JP3483166B2 - 酸化インジウムゾル、その製造方法および導電性被膜付基材 - Google Patents

酸化インジウムゾル、その製造方法および導電性被膜付基材

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JP3483166B2
JP3483166B2 JP27814894A JP27814894A JP3483166B2 JP 3483166 B2 JP3483166 B2 JP 3483166B2 JP 27814894 A JP27814894 A JP 27814894A JP 27814894 A JP27814894 A JP 27814894A JP 3483166 B2 JP3483166 B2 JP 3483166B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、酸化インジウムゾル、そ
の製造方法および導電性被膜付基材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、Snなどの異種元素を
含有する導電性酸化インジウム被膜は、液晶表示素子の
透明電極などとして用いられている。
【0003】この種の導電性酸化インジウム被膜は、真
空蒸着法、スパッタリング法などの乾式法、または以下
に述べる湿式法で基材上に形成されている。しかしなが
ら、乾式法で導電性酸化インジウム被膜を形成する場
合、被膜形成用装置が高価であり、しかも大面積の被膜
が得難いといった問題点があった。
【0004】また、湿式法では、無機または有機のイン
ジウム化合物を水および/または有機溶媒に溶解または
分散して含む塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成する
ことにより導電性酸化インジウム被膜が形成されてい
る。
【0005】たとえば、特開昭59−223229号公
報には、In・Sn複合酸化物ゾル組成物を塗布液とし
て用い、この塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成する
ことにより、導電性酸化インジウム被膜を形成する方法
が開示されている。
【0006】これら従来の湿式方においては、塗布液に
含まれるインジウム化合物は、無機または有機のインジ
ウム塩などいわゆる酸化インジウムの前駆体である。上
記特開昭59−223229号公報に開示されているI
n・Sn複合酸化物ゾル中の複合酸化物微粒子も、その
製造法からみて、非晶質の酸化物である。
【0007】したがって、このような塗布液を基材上に
塗布した後に乾燥しただけでは高い導電性を示す結晶性
酸化インジウムの被膜は得られず、基材上に塗布した後
の塗膜を400℃以上の高温で焼成してインジウム塩を
熱分解するとともに得られた酸化インジウムを結晶化す
ることにより、はじめて高導電性の酸化インジウム被膜
が形成される。上記特開昭59−223229号公報の
実施例でも500℃で焼成する工程を経て導電性被膜が
形成されている。
【0008】しかしながら、このように焼成工程で50
0℃程度の温度で加熱すると、基材がプラスチック基材
である場合には基材が損傷してしまい、また、基材がガ
ラス基材である場合には基材に歪み、割れなどが生じる
という問題点があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、プラスチック
基材が損傷したり、あるいはガラス基材に歪み、割れな
どが生じるような高温で焼成しなくても導電性に優れた
酸化インジウム被膜が基材上に形成できるような塗布液
として用いられる結晶性酸化インジウムのゾルおよびそ
の製造方法、ならびに導電性酸化インジウム被膜がプラ
スチックまたはガラス基材上に形成された高導電性被膜
付基材を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係る酸化インジウムゾルは、異
種元素を含有する結晶性酸化インジウムの粉末をpH1
〜5の酸性水溶液に分散させた分散液を調製し、該分散
液を粉砕処理工程に付した後、液相を保持しながら50
〜250℃の温度で加熱処理する工程を経て得られ、異
種元素を含有する結晶性酸化インジウム微粒子が水およ
び/または有機溶媒に分散されていることを特徴として
いる。
【0011】 本発明に係る第1の酸化インジウムゾル
の製造方法は、異種元素を含有する結晶性酸化インジウ
ムの粉末をpH1〜5の酸性水溶液に分散させた分散液
を調製し、この分散液を粉砕処理工程に付した後、液相
を保持しながら50〜250℃の温度で加熱処理して結
晶性酸化インジウムの水性ゾルを得る工程を有すること
を特徴としている。
【0012】本発明に係る第2の酸化インジウムゾルの
製造方法は、上記のようにして得られた水性ゾルの分散
媒である水の少なくとも一部を有機溶媒で置換して結晶
性酸化インジウムのオルガノゾルを得ることを特徴とし
ている。
【0013】本発明に係る導電性被膜付基材は、前記本
発明に係る酸化インジウムゾルからなる塗布液から形成
された導電性被膜を基材上に有することを特徴としてい
る。
【0014】
【発明の具体的説明】酸化インジウムゾル まず、本発明に係る酸化インジウムゾルについて具体的
に説明する。
【0015】本発明に係る酸化インジウムゾルでは、異
種元素を含有する結晶性酸化インジウム微粒子が水およ
び/または有機溶媒に分散されている。本明細書中で異
種元素を含有する結晶性酸化インジウムとは、酸化イン
ジウム中に1種または2種以上の異種元素(In以外の
元素)が含有されていて、これらの異種元素がInに代
わって酸化インジウム結晶の一部を構成しているか、あ
るいは酸化インジウムと固溶した状態で存在している結
晶性の酸化インジウムを意味し、異種元素化合物と酸化
インジウムとの単なる混合物ではない。
【0016】このような結晶性酸化インジウムを形成す
るのに適当な異種元素としては、Si、Ge、Sn、Z
r、Ti、Fなどが挙げられる。これらの異種元素の含
有量が少なすぎると、酸化インジウム結晶中を伝導する
電子の密度が低くなり、充分な導電性を有する酸化イン
ジウムが得られないことがある。逆にこれらの異種元素
の含有量が多すぎると、酸化インジウムの結晶性が低下
して酸化インジウム結晶中を伝導する電子の移動度が低
くなり、充分な導電性を有する酸化インジウム微粒子が
得られないことがある。
【0017】このような点から、異種元素がSi、G
e、Sn、ZrおよびTiから選ばれる1種または2種
以上である場合、これらの異種元素は、酸化インジウム
中に酸化物換算量(ただし、異種元素がSnである場合
はSnO2 換算量であり、異種元素がTiである場合は
TiO2 換算量である)で1〜20重量%含まれていこ
とが好まく、また、異種元素がFである場合には、Fと
して酸化インジウム中に0.1〜10重量%含まれてい
ことが好ましい。
【0018】本発明の酸化インジウムゾルで用いられる
異種元素を含有する結晶性酸化インジウム微粒子は、結
晶性であり、500℃以上の高温焼成を経て得られるbi
xbyite型酸化インジウムと同様のX線回折パターンを示
す。
【0019】この微粒子の平均粒径は約5〜250nm
であることが好ましい。このようにすると、この微粒子
から安定性に優れた酸化インジウムゾルを製造すること
ができると同時に酸化インジウムゾルから透明性に優れ
た導電性被膜を形成することができる。
【0020】また、この微粒子は、ゾル中に約30重量
%以下の量で含まれていることが好ましく、この量を越
えるとゾルの安定性が損なわれる場合がある。上記範囲
の平均粒径を有する酸化インジウム微粒子を上記のよう
な量で含む酸化インジウムゾルは、ゲル化を起こすこと
もなく、また長期間、たとえば室温で1年以上にわたっ
て微粒子の凝集・沈降もなく、安定である。
【0021】酸化インジウムゾルの製造方法 次いで、本発明に係る酸化インジウムゾルの製造方法に
ついて説明する。本発明に係る酸化インジウムゾルは、
異種元素を含有する結晶性酸化インジウム微粒子が水中
に分散されている水性ゾル(第1の酸化インジウムゾ
ル)と、同微粒子が有機溶媒あるいは有機溶媒と水との
混合溶媒中に分散されているオルガノゾル(第2の酸化
インジウムゾル)とに大別される。
【0022】まず、本発明に係る第1の酸化インジウム
ゾルの製造方法について説明すると、下記の通りであ
る。本発明に係る第1の酸化インジウムゾルの製造方法
は、異種元素を含有する結晶性酸化インジウムの粉末
を、酸性またはアルカリ性水溶液に分散した分散液を調
製する工程、次いで前記分散液を、液相を保持しながら
50〜250℃の温度で加熱処理して結晶性酸化インジ
ウムの水性ゾルを得る工程とを有している。
【0023】この水性ゾルの原料として用いられる異種
元素を含有する結晶性酸化インジウム粉末は、たとえば
異種元素の塩とインジウム塩との混合水溶液中でこれら
の塩を加水分解し、得られた加水分解物を乾燥・焼成す
ることにより得られる。好ましくは特開昭63−115
19号公報に開示された方法で製造された導電性酸化イ
ンジウム微粉末が用いられる。
【0024】このような方法で得られた異種元素を含有
する結晶性酸化インジウム粉末は、この粉末に良好な導
電性を付与するために、通常、400℃以上で加熱処理
がなされる。この結果、一次粒子が焼結して数μm〜数
百μmの平均粒径を有する二次粒子からなる粉末が得ら
れる。このような粒径の大きな粉末を用いて酸化インジ
ウムゾルを製造するためには、これらの粉末を粉砕する
必要がある。
【0025】しかし、これらの粉末を水に分散させてボ
ールミルやサンドミルなどによる通常の方法でコロイド
次元の粒径まで粉砕しようとすると、粉砕効率が悪く、
また得られた粉砕粒子は不安定で分散媒中ですぐに凝集
してしまう。
【0026】本発明に係る酸化インジウムゾルの製造方
法では、まず、これらの焼結二次粒子からなる粉末を、
直接、あるいは通常の機械的手段で若干粉砕した後、酸
性水溶液またはアルカリ性水溶液に分散させて該粉末の
分散液を調製する。
【0027】この際、酸としては、塩酸、硝酸などの鉱
酸、あるいは酢酸、酒石酸、オクチル酸などの有機酸を
用いることができ、また、アルカリとしては、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、あるいはエタ
ノールアミン類、第4級アンモニウム塩などを用いるこ
とができる。また、前記酸性水溶液のpHは1〜5であ
ることが好ましく、前記アルカリ性水溶液pHは9〜1
3であることが好ましい。
【0028】本発明では、前記粉末の分散液が50〜2
50℃の温度で加熱処理される。この加熱処理は、通
常、空気雰囲気中でなされるが、窒素、アルゴンなどの
不活性ガス雰囲気中または水素などの還元雰囲気中で行
ってもよい。
【0029】この加熱処理の温度が分散媒の沸点を越え
る場合には、前記分散液の液相が保持されるようにオー
トクレーブなどを用いて前記分散液の加熱処理が加圧条
件下で行われる。
【0030】この加熱処理温度が50℃未満の場合に
は、この加熱処理工程を経て製造された異種元素を含有
する結晶性酸化インジウムの水性ゾル中でこの酸化イン
ジウム微粒子が凝集し易く、また、この水性ゾルを基材
上に塗布して導電性酸化インジウム被膜を形成する際に
酸化インジウム微粒子が凝集したり、あるいはこの被膜
形成過程で被膜の厚さにむらが生じたりする傾向があ
る。逆に250℃を越える場合には、分散液中に含まれ
ている異種元素を含有する結晶性酸化インジウム粒子の
うちの一部が溶解してこれらの粒子が凝集する傾向があ
る。
【0031】本発明では、上記のような工程を経ること
によって、分散液中の粉末がコロイド次元の粒径まで微
細化される。すなわち、結晶性酸化インジウム粉末の分
散液を酸性またはアルカリ性とし、この酸性またはアル
カリ性分散液を加熱処理することにより、結晶性酸化イ
ンジウム粉末の水分散液を加熱処理した場合に比較して
結晶性酸化インジウム粉末の微細化が著しく促進され
る。また、この加熱処理によって微細化された粉末の表
面で酸化インジウムの再結晶化が促進され、得られる結
晶性酸化インジウム微粒子の安定化および導電性の向上
が図られる。
【0032】上述した結晶性酸化インジウムの水性ゾル
を製造する際、原料として用いられる結晶性酸化インジ
ウム粉末の焼結がルーズな場合には結晶性酸化インジウ
ム粉末を粉砕する必要はないが、この焼結が強固な場合
には、結晶性酸化インジウム粉末を酸性またはアルカリ
性水溶液中に分散させた後、サンドミル、ボールミルな
どで粉砕することが好ましい。この結晶性酸化インジウ
ム粉末の粉砕処理は、前記加熱処理の前に行ってもよ
く、また、前記加熱処理と同時に行ってもよい。
【0033】以上の工程を経て製造された結晶性酸化イ
ンジウムの水性ゾルを導電性酸化インジウム被膜形成用
塗布液として用いる場合、この水性ゾルを直接塗布液と
して用いることもできるが、塗布液が塗布される基材が
酸またはアルカリに侵され易い性質を示す場合には、た
とえば限外ろ過膜またはイオン交換樹脂を通してこの水
性ゾルの脱酸または脱アルカリ処理が行われる。
【0034】次いで本発明に係る第2の酸化インジウム
ゾルの製造方法について説明する。本発明に係る第2の
酸化インジウムゾルの製造方法は、上記のようにして得
られた水性ゾルの分散媒である水の少なくとも一部を有
機溶媒で置換する工程を有している。
【0035】この溶媒置換は、水性ゾルが酸またはアル
カリを含んだ状態で行ってもよく、あるいはこの水性ゾ
ルに脱酸または脱アルカリ処理を施した後に行ってもよ
い。この水性ゾルの溶媒置換の際に用いられる有機溶媒
としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i
−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノ
ール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
グリセリンなどのアルコール類、メチルセルソルブ、エ
チルセルソルブ、テトラヒドロフランなどのエーテル
類、メタノールアミン、エタノールアミン、モルホリン
などのアミン類、ジメチルホルムアミド、N−メチル−
2−ピロリドンなどの酸アミド類などが挙げられる。
【0036】上記水性ゾルの溶媒置換工程で、必ずしも
水性ゾルの分散媒である水の全てを有機溶媒で置換する
必要はなく、一部を有機溶媒で置換してもよい。以上の
ような溶媒置換工程を経て異種元素を含有する結晶性酸
化インジウムのオルガノゾルを製造することができる
が、このオルガノゾルの分散媒は、2種以上の有機溶媒
の混合溶媒であってもよい。
【0037】導電性被膜付基材 本発明に係る導電性被膜付基材は、ガラス、プラスチッ
ク、金属、セラミックなどからなる平板、立体物、フィ
ルムなどの基材上に上記のようにして製造された本発明
に係る酸化インジウムゾルからなる塗布液から形成され
た通常、10〜300nm、好ましくは30〜200n
mの膜厚の導電性被膜を有している。
【0038】この導電性被膜付基材は、導電性被膜の表
面抵抗が小さく、透明性に優れ、しかもヘーズが小さい
ので液晶表示素子やタッチパネルの透明電極付基板、陰
極線管の前面板、その他の電極付基材などに好適に応用
することができる。
【0039】この導電性被膜付基材は、基材上に本発明
に係る酸化インジウムゾルからなる塗布液をディッピン
グ法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フ
レキソ印刷法などの方法で塗布し、次いで得られた塗膜
を乾燥・焼成することによって製造される。
【0040】本発明では、上記の焼成を200℃以下の
低温で行っても従来の導電性酸化インジウム被膜と同等
の高い導電性を示す。したがって、従来の導電性酸化イ
ンジウム被膜付基材のように500℃以上の温度で加熱
する必要ななく、このため、このような高温加熱に起因
する損傷、歪み、割れなどが生じることはない。
【0041】この導電性被膜付基材を製造する際、本発
明に係る酸化インジウムゾルのみからなる塗布液を用い
てもよいが、本発明に係る酸化インジウムゾルに加えて
染料、有機顔料、あるいはカーボンブラックなどの無機
顔料を含む塗布液を用いてもよい。このような着色剤を
含む塗布液からは着色された導電性被膜が基材上に形成
される。
【0042】上記のようにして形成された導電性被膜に
より一層の機械的強度が要求されるときは、この導電性
被膜上に保護膜を形成することもできる。この保護膜を
形成する際には、通常の保護膜形成用塗布液、例えばア
ルコキシシラン加水分解物を含むシリカ系被膜形成用塗
布液が用いられる。
【0043】また、上記のようにして形成された導電性
被膜上に、この導電性被膜よりも屈折率の低い透明被膜
をそれぞれの光学的膜厚をコントロールしながら形成す
れば、反射防止性の導電性被膜付基材が得られる。さら
に、この屈折率の低い透明被膜を上述したようなシリカ
系被膜形成用塗布液を用いて形成すれば、反射防止性能
に優れ、しかも機械的強度が高い導電性被膜付基材が得
られる。
【0044】
【発明の効果】本発明に係る酸化インジウムゾルは異種
元素を含有する結晶性酸化インジウム微粒子のゾルであ
るので、基材上に、このゾルを含む塗布液を塗布し、2
00℃以下の低温で乾燥・焼成して酸化インジウム被膜
を形成しても高い導電性を有する被膜付基材が得られ
る。
【0045】このため、本発明によれば、酸化インジウ
ム被膜に高導電性を付与するために500℃以上の焼成
過程を経て製造する必要がある従来の導電性酸化インジ
ウム被膜付基材に比較して耐熱性の低い基材にも導電性
被膜付基材が形成できる。
【0046】また、本発明の酸化インジウムゾルを含む
塗布液から基材上に形成された導電性被膜中の酸化イン
ジウム微粒子の平均粒径は約250nm以下であるの
で、この導電性被膜は、従来のμm程度の粒子からなる
導電性酸化インジウム粉末と塗料用樹脂とからなる塗布
液から形成された導電性被膜のような酸化インジウム微
粒子の粒径が大きいことに起因する透明性の低下はな
く、透明性に優れている。
【0047】さらに本発明に係る酸化インジウムゾル中
の異種元素を含有する酸化インジウム微粒子が結晶性で
あるため、このゾルからなる塗布液から基材上に形成さ
れた導電性被膜の屈折率は、1.7〜2.0と高い。こ
のようにして基材上に形成された導電性酸化インジウム
被膜上に低屈折率の被膜を積層すれば、導電性および反
射防止性に優れた導電性被膜付基材を提供することが可
能である。
【0048】すなわち、本発明によれば、導電性および
反射防止性に優れた導電性被膜付基材が提供可能であ
る。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0050】
【実施例1】硝酸インジウム79.9gを水686gに
溶解した硝酸インジウム水溶液と、スズ酸カリウム1
2.7gを10重量%水酸化カリウム水溶液に溶解した
スズ酸カリウム水溶液とを調製した。
【0051】50℃に加熱された1000gの水に攪拌
しながら前記硝酸インジウム水溶液と前記スズ酸カリウ
ム水溶液とを添加し、系内のpHを11に保持しながら
水溶液中の硝酸インジウムとスズ酸カリウムとを加水分
解した。このようにして生成した微粒子をろ別し、洗浄
し、乾燥した後、空気中350℃で3時間焼成し、さら
に空気中600℃で6時間焼成してSnがドープしたI
2 3 (SnO2 :17.5重量%)の微粉末(A)
を得た。
【0052】この微粉末(A)200gを純水500g
に分散した分散液のpHを濃塩酸で1.0に調製した
後、この分散液をサンドミルに収容し、この分散液中の
微粉末(A)をサンドミルで5時間粉砕した。次いでこ
の分散液をオートクレーブ中で液相に保ちながら250
℃で1時間加熱して固形分濃度20重量%のゾルAを得
た。
【0053】このゾルA中の微粒子の平均粒径は40n
mであった。このようにして得られたゾルAは、6ケ月
以上にわたって微粒子の凝集・沈降もなく、安定であっ
た。
【0054】このゾルA中に含まれている微粒子の乾燥
後のX線回折図を図1に示す。図1は、この微粒子がBi
xbyite型のIn2 3 であることを示している。
【0055】
【参考例1】スズ酸カリウム12.7gに加えてフッ化
アンモニウム1.79g用いた以外は実施例1と同様に
してSnおよびFがドープしたIn2 3 (SnO2
17.1重量%、F:2.0重量%)の微粉末(B)を
得た。
【0056】この微粉末(B)200gを純水500g
に分散した分散液のpHを濃硝酸で4.0に調製した
後、この分散液をサンドミルに収容し、この分散液中の
微粉末(B)をサンドミルで8時間粉砕した。次いでこ
の分散液を40℃で24時間加熱して固形分濃度20重
量%のゾルBを得た。
【0057】このゾルB中の微粒子の平均粒径は8nm
であった。このようにして得られたゾルBは、6ケ月以
上にわたって微粒子の凝集・沈降もなく、安定であっ
た。
【0058】
【参考例2】 実施例1の加水分解工程で得られた微粒子
をろ別し、洗浄した後、この微粒子をSiO2換算量で
20重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製 SI
−550、平均粒径5.5nm)5gと混合した。この
混合物を乾燥し、次いで実施例1と同様にして焼成して
SnおよびSiがドープしたIn23(SnO2:1
7.1重量%、SiO2:2.2重量%)の微粉末
(C)を得た。
【0059】この微粉末(C)200gを純水500g
に分散した分散液のpHをモノエタノールアミンで1
0.0に調製した後、この分散液をサンドミルに収容
し、この分散液中の微粉末(C)をサンドミルで1時間
粉砕した。次いで、この分散液を80℃で10時間加熱
して固形分濃度20重量%のゾルCを得た。
【0060】このゾルC中の微粒子の平均粒径は80n
mであった。このようにして得られたゾルCは、6ケ月
以上にわたって微粒子の凝集・沈降もなく、安定であっ
た。
【0061】
参考例3】シリカゾルの代わりにZrO2換算で5重
量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液3gを用いた
以外は参考例2と同様にしてSnおよびZrがドープし
たIn23(SnO2:17.4重量%、ZrO2:0.
3重量%)の微粉末(D)を得た。
【0062】この微粉末(D)200gを純水500g
に分散した分散液のpHを水酸化カリウムで13.0に
調製した後、この分散液をサンドミルに収容し、この分
散液中の微粉末(D)をサンドミルで3時間粉砕した。
次いでこの分散液をオートクレーブ中で液相に保ちなが
ら150℃で1時間加熱して固形分濃度20重量%のゾ
ルDを得た。
【0063】このゾルD中の微粒子の平均粒径は210
nmであった。このようにして得られたゾルDは、6ケ
月以上にわたって微粒子の凝集・沈降もなく、安定であ
った。
【0064】
【比較例1】微粉末(A)200gを純水500gに分
散した分散液に濃塩酸を加えなかった以外は実施例1と
同様にして固形分濃度20重量%のゾルEを得た。
【0065】このゾルE中の微粒子の平均粒径は150
0nmであった。このようにして得られたゾルEでは、
オートクレーブ処理直後に微粒子の凝集および沈降が生
じていることが観察された。
【0066】
【比較例2】微粉末(A)200gを粉砕処理した後の
分散液に加熱処理を施さなかった以外は実施例1と同様
にして固形分濃度20重量%のゾルFを得た。
【0067】このゾルF中の微粒子の平均粒径は40n
mであった。このようにして得られたゾルFでは、24
時間経過後に微粒子の凝集および沈降が生じていること
が観察された。
【0068】
【実施例2、参考例4〜6、比較例3、4】実施例1
参考例1〜3、比較例1、2で得られたゾルA〜Fをエ
タノール/水混合溶液(エタノール/水=40/60重
量比)で希釈し、固形分濃度1.5重量%の塗布液を調
製した。
【0069】この塗布液をブラウン管用14”パネル上
に塗布し、下記条件で導電性被膜を形成した。 パネル表面温度:40℃ 塗布法 :スピナー法(100rpm、60秒) 焼成条件 :200℃、30分 このようにして得られた導電性被膜付基材につき、下記
項目の測定・評価を行った。
【0070】表面抵抗:表面抵抗計(三菱油化(株)製
LORESTA)で測定した。 ヘーズ :ヘーズコンピュータ(スガ試験機製)で測定
した。 外観 :目視観察により、白濁、微小斑点およびむら
のないものを良(○)として評価した。
【0071】以上の結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【実施例3、参考例7〜9、比較例5】エチルシリケー
ト(SiO2:28重量%)100g、エタノール39
0g、純水67.2g、61%HNO32.8gの混合
液を、エタノール60g、ブタノール20g、ジアセト
ンアルコール20gからなる希釈液で固形分濃度0.8
5重量%に希釈した被膜形成用塗布液を調製した。
【0074】 実施例2、参考例4〜6および比較例4
で得られた導電性塗布液を、ブラウン管用14"パネル
上に、その表面温度を40℃に保持しながらスピナー法
(100rpm、60秒)で塗布した。
【0075】次いで、ブラウン管用14”パネルの表面
温度を40℃に保持しながら、得られた被膜上に、上記
被膜形成用塗布液を、上記と同様にして塗布した。しか
る後、得られた積層被膜付基材を200℃で30分間焼
成して導電性被膜付基材を得た。
【0076】このようにして得られた導電性被膜付基材
につき、それぞれの反射率を分光光度計(日本分光社:
U−best)で測定した。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る酸化インジウムゾルの一
例につき、その中に含まれている結晶性酸化インジウム
微粒子のX線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩 崎 幸 博 福岡県北九州市若松区北湊町13番2号 触媒化成工業株式会社若松工場内 (56)参考文献 特開 平5−221639(JP,A) 特開 平6−219743(JP,A) 特開 平5−170442(JP,A) 特開 昭62−182116(JP,A) 特開 昭63−11519(JP,A) 特開 平6−247716(JP,A) 特開 平6−87631(JP,A) 特開 平6−309932(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 15/00 B01J 13/00 H01B 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異種元素を含有する結晶性酸化インジウ
    ムの粉末をpH1〜5の酸性水溶液に分散させた分散液
    を調製し、該分散液を粉砕処理工程に付した後、液相を
    保持しながら50〜250℃の温度で加熱処理する工程
    を経て得られる、異種元素を含有する結晶性酸化インジ
    ウム微粒子が水および/または有機溶媒に分散されてい
    る酸化インジウムゾル。
  2. 【請求項2】 前記異種元素がSi、Ge、Sn、Zr
    およびTiから選ばれる1種または2種以上であり、前
    記結晶性酸化インジウム微粒子中に酸化物換算量で0.
    1〜20重量%含まれていることを特徴とする請求項1
    に記載の酸化インジウムゾル。
  3. 【請求項3】 前記異種元素がFであり、前記結晶性酸
    化インジウム微粒子中に0.1〜10重量%含まれてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の酸化インジウムゾ
    ル。
  4. 【請求項4】 異種元素を含有する結晶性酸化インジウ
    ムの粉末をpH1〜5の酸性水溶液に分散させた分散液
    を調製し、該分散液を粉砕処理工程に付した後、液相を
    保持しながら50〜250℃の温度で加熱処理して結晶
    性酸化インジウムの水性ゾルを得ることを特徴とする酸
    化インジウムゾルの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の水性ゾルの分散媒であ
    る水の少なくとも一部を有機溶媒で置換して結晶性酸化
    インジウムのオルガノゾルを得ることを特徴とする酸化
    インジウムゾルの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の酸化インジウムゾルを
    含む塗布液から形成された導電性被膜を基材上に有する
    ことを特徴とする導電性被膜付基材。
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