JPH08143277A - 移動式建設機械におけるウェイトの取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】クローラ式下部走行体を備えた移動式建設機械
において、サイドフレームへのウェイトの取付けを機械
全体の幅をそれほどあるいは全く増大させることなく行
えるウェイトの取付け構造を提供する。また、サイドフ
レームへ取付けるウェイトの重量が増大可能となり、も
って上部旋回体へのウェイトの追加を減少させることが
可能となるウェイトの取付け構造を提供する。 【構成】下部走行体１を構成する左右のサイドフレーム
１２の外面１２ａの外方への突出部間に、ウェイト２０
を分散して取付けた。好ましくは、ウェイト２０をシュ
ー１ａの幅内に収容する。また、好ましくは、ウェイト
２０の外面にロープを接続して吊り、ウェイト２０の係
止部をサイドフレーム１２のブラケットに係止させてロ
ープを巻下げることにより、ウェイトが自重により係止
部を中心に下向きに回動してウェイトがサイドフレーム
に取付けられる構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クレーンまたはクレー
ンをベースマシンとしたバケット使用の掘削機のような
移動式建設機械において、クローラ式下部走行体にウェ
イトを取付ける構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７（Ａ）はクレーンにおける従来のウ
ェイト取付け構造を示す移動式クレーンの側面図、図７
（Ｂ）はブームを省略して示すクレーンの正面図であ
り、該クレーンは、クローラ式下部走行体１上に旋回装
置２を介して上部旋回体３を設置し、上部旋回体３にブ
ーム４を上部旋回体３上に搭載した起伏ウインチ５によ
り起伏されるように取付け、上部旋回体３に搭載した巻
上ウインチ６により、ブーム４の頂部から垂下するワイ
ヤロープ７を巻取り、繰り出してワイヤロープ７により
吊られた荷を巻上、巻下するものである。

【０００３】このような移動式クレーンにおいて、クレ
ーンによって吊り上げ可能な制限荷重は、図８に点線で
示すように、下部走行体１、旋回装置２および上部旋回
体３からなる本体の重量と、ブーム４の角度（作業半
径）から決定される。このようなクレーンにおいて、例
えば吊り上げ可能な荷重を上げて臨時の特殊作業や季節
作業に対処するため、上部旋回体３の後部に搭載される
カウンタウェイト８上にさらにウェイト９を追加した
り、旋回装置２を搭載するトラックフレーム１０の前後
にウェイト１１を取付けたり、下部走行体１を構成する
サイドフレーム１２の外面にウェイト１３を取付けるこ
とが行われる。図８の実線はウェイト９、１１、１３を
追加することにより増大した作業半径に対する吊り上げ
可能な制限荷重の曲線を示す。

【０００４】前記サイドフレーム１２に対する従来のウ
ェイト１３の取付けは、図７（Ａ）、（Ｂ）に示すよう
に、一体をなすウェイト１３を、サイドフレーム１２の
外面に設けたブラケット１４に、ウェイト１３に設けた
取付け部１５を結合して取付けることにより行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記ウェイト１３を取
付けるサイドフレーム１２の外面には、下部走行体１の
拡幅のために、トラックフレーム１０の両側の前後に設
けたビーム１０ａがそれぞれ摺動自在に嵌合されるガイ
ド筒１６が、サイドフレーム１２の外面に外方へ突出さ
せて設けられ、さらに配管用の筒１７等がサイドフレー
ム１２の外面より突出して設けられている。従来は、該
サイドフレーム１２に取付けるウェイト１３は、前記ガ
イド筒１６や配管用筒部１７の外側に一体のウェイト１
３が取付けられているため、ウェイト１３がシュー（ト
ラックリンク）１ａよりも外方に突出し、機械全体の幅
が大きくなり、移動の際に作業現場にある他の機械類に
ウェイト１３が当たり、機械類を破損させるおそれがあ
る。また、ウェイト１３がシュー１ａよりも外方に突出
すると、作業時に必要となる作業スペースが広がるた
め、狭い現場ではウェイト１３が付けられず、そのた
め、クレーンを最大能力で作業させることができない。

【０００６】また、このようなウェイト１３の外方への
突出幅を小さくすれば、サイドフレーム１２には重量の
あるウェイト１３を取付けられず、その分、カウンタウ
ェイト８上に付加するウェイト９等の重さを大きくしな
ければならず、その結果、上部旋回体３のフレームの強
度も大きくしなければならず、上部旋回体３の大型化、
重量化を招くという問題点があった。また、その結果、
クレーンの重心が上に上がるため、安定度が低下する
上、旋回の際の慣性力が増大して、目標の旋回停止位置
からずれ易くなるという問題点があった。

【０００７】また、左右のサイドフレーム１２にそれぞ
れ一体のウェイト１３が取付けられるため、サイドフレ
ーム１２に取付けるウェイト１３による制限荷重の微調
整はできないという問題点があった。

【０００８】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
サイドフレームへのウェイトの取付けを機械全体の幅を
それほどあるいは全く増大させることなく行えると共
に、サイドフレームへ取付けるウェイトの重量が増大可
能となり、もって上部旋回体へのウェイトの追加を減少
させることが可能となる移動式建設機械におけるウェイ
トの取付け構造を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、クローラ式下
部走行体のサイドフレームの側面とシューの外端との間
には、前記ガイド筒等の突出部以外の領域において、ウ
ェイトを取付け可能な空間が存在することに着眼し、下
部走行体を構成する左右のサイドフレームの外面の突出
部間に、ウェイトを分散して取付けたことを特徴とす
る。

【００１０】

【作用】本発明においては、サイドフレームの外面の突
出部間にウェイトが分散して取付けられることにより、
サイドフレームの外面とシューの外端との間の空間がウ
ェイト取付け用空間として有効に利用でき、ウェイトの
外方への突出幅を減少あるいは無くすことができ、かつ
上部旋回体へのウェイト追加量を減少させることができ
る。

【００１１】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す下部走行体の
平面図、図２はその側面図である。２０は本発明により
サイドフレーム１２に付加されたウェイトであり、該ウ
ェイト２０は、トラックフレーム１０の端部を摺動自在
に嵌合するガイド筒１６や、配管用の筒１７や、駆動輪
２１の駆動装置２２や、従動輪２３の位置を調整してシ
ュー１ａの弛みを防止するアジャスタ２４やリブ２５
等、サイドフレーム１２の外面１２ａ（縦板１２ｂの外
側の面）から突出した部分間に分散して配置される。

【００１２】図３は本実施例のウェイト２０の取付け構
造を示す側面図、図４はその正面図、図５は本実施例の
ウェイト２０の背面図、図６はその取付け作業の説明図
であり、サイドフレーム１２にはそれぞれ各ウェイト２
０ごとに外側の縦板１２ｂの外面１２ａの上部に、係止
用凹部２６ａ（図６参照）を有する一対のウェイト取付
け用ブラケット２６を溶接等により固着し、縦板１２ｂ
の下部には外れ止め用のロッド３５を挿着する孔付きの
ブラケット２８を溶接等により固着する。

【００１３】一方、ウェイト２０は矩形の厚板状をなす
ブロックでなり、該ウェイト２０の上部のサイドフレー
ム１２側の両側の角部に凹部２０ａを設け、該凹部２０
ａに前記ブラケット２６の凹部２６ａに係止させる係止
部を構成するロッド３０を、その一端をウェイト２０に
植設し、他端を支持ピース３１（該支持ピース３１の基
端はウェイト２０にピン３２により固定される）に貫通
して横向きに取付ける。

【００１４】ウェイト２０の外面のほぼ中央には凹部２
０ｂを設け、該凹部２０ｂ内にはクレーン等のロープ３
３によるウェイト２０を吊り上げるための吊り部を構成
するシャックル３４を、大きいウェイト２０には２個、
小さいウェイト２０には１個設ける。

【００１５】これらのウェイト２０の取付けは、図６に
示すように、別の小型クレーンのロープ３３に取付けた
フックを、シャックル３４に接続した別のシャックルま
たはロープ３３に掛ける等の手段によって接続して吊
り、ウェイト２０の前記ロッド３０を前記ブラケット２
６の凹部２６ａに係止させ、ロープ３３を巻下げること
により、ウェイト２０が自重によりロッド３０を中心に
下向きに回動して、図３に示すように、ウェイト２０の
下端内面２０ｃがサイドフレーム１２の下端の縁１２ｃ
に当接し、この状態でウェイト２０の両側のブラケット
２８にロッド３５に挿着してウェイト２０の下部の外面
に当接させてウェイト２０の外方への移動を防止し、ウ
ェイト２０を固定する。ウェイト２０の取外しは、上記
と逆の手順により行う。

【００１６】このように、サイドフレーム１２の外面１
２ａの突出部間にウェイト２０が分散して取付けられる
ことにより、サイドフレーム１２の外面１２ａとシュー
１ａの外端との間の空間がウェイト取付け用空間として
有効に利用でき、ウェイト２０の外方への突出幅を減少
させるか、あるいは実施例で示すようにシュー１ａから
ウェイト２０が外方に突出させずにシュー１ａの幅内に
収容して取付けることができる。従って、サイドフレー
ム１２へのウェイト２０の取付けを機械全体の幅をそれ
ほど増大させることなく、あるいは全く増大させること
なく行えるから、他の機械類にウェイト２０が衝突する
おそれがない。また、本実施例のように、シュー１ａか
らウェイト２０が突出しない構造とすれば、トレーラに
よる運搬時にもウェイト２０を取外す必要がなく、クレ
ーンの運搬に伴う分解時間、段取り時間を短縮できる。

【００１７】また、従来においてはウェイト取付けには
不使用であった空間がウェイト２０の取付けに使用され
るため、サイドフレーム１２へのウェイトの追加重量を
従来より増大させることができ、その分、前記カウンタ
ウェイト８上の追加ウェイト９を減少させることができ
る。その結果、上部旋回体３のフレームの強度も大きく
する必要がなく、上部旋回体３が大型化、重量化するこ
とがない。また、クレーンの重心が下に下がるため、安
定度が向上する上、旋回の際の慣性力が減少して、旋回
作業における停止位置のずれを無くし、旋回操作が安定
化、容易化する。また、ウェイト２０の数や種類を、ク
レーンの吊荷の重量に合わせて選定して取付けることに
より、追加ウェイトが過大となることなく、最適な追加
ウェイト搭載状態で作業が行える。さらに、ウェイト２
０の取付けが、従来より小型の小回りのきくクレーンに
より容易に行うことができる。

【００１８】また、本実施例においては、ウェイト２０
の係止部（ロッド３０）をブラケット２６の凹部２６ａ
に係止し、ウェイト２０の自重を利用してウェイト２０
を降ろすだけでウェイト２０が自重により回動してサイ
ドフレーム１２に添って取付けられ、また、逆の作業に
よって取外すことができるので、ウェイト２０の着脱が
容易にかつ安定して行える。

【００１９】本発明は、クレーン以外に、ブームから垂
下するワイヤロープによりクラムシェルバケットを取付
けて掘削作業を行う掘削機等、本体に追加ウェイトを付
加して作業を行う他の移動式建設機械に用いることがで
きる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１によれば、サイドフレームの外
面の突出部間にウェイトを分散して取付ける構造とした
ので、ウェイトの取付けを機械全体の幅をそれほど増大
させることなく行えるから、作業現場における他の機械
類に追加ウェイトが衝突して破損させたりする事故の発
生を防止できる。また、ウェイトの取付けを機械全体の
幅をそれほど増大させることなく行えるから、作業時に
必要となる作業スペースが狭くてすむため、狭い現場で
もサイドフレームにウェイトを取付けて作業でき、クレ
ーンを最大能力で作業させることができる。

【００２１】また、従来不使用であったサイドフレーム
の外面の空間がウェイトの取付けに有効に利用できるの
で、サイドフレームへ取付けるウェイトの重量を増大さ
せることが可能となり、もって上部旋回体へのウェイト
の追加を減少させることが可能となり、上部旋回体の大
型化、重量化を防止できる。また、これに伴い、旋回動
作の安定化し、旋回操作が容易となる。

【００２２】また、追加ウェイトの追加重量を細かく選
定できるので、不必要に大きなウェイトを取付けること
なく、吊り荷重に対して最適の追加ウェイト搭載状態で
作業が行える。さらに、サイドフレームへのウェイトの
取付けが、従来より小型の小回りのきくクレーンにより
容易に行うことができる。

【００２３】請求項２によれば、サイドフレームに取付
けるウェイトをシューの幅内に納めてシューより外側に
突出しない構造としたので、トレーラ等による建設機械
の輸送時にもウェイトを取外す必要がなくなり、クレー
ンの運搬に伴う分解時間、段取り時間を短縮できる。

【００２４】請求項３によれば、ウェイトの係止部をブ
ラケットへ係止させ、吊りロープを降ろすことにより、
ウェイトが自重で回動してウェイトがサイドフレームに
取付けられ、逆の作業で取外しができるようにしたの
で、ウェイトの着脱が容易にかつ安定して行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す下部走行体の平面図で
ある。

【図２】図１の側面図である。

【図３】本実施例のウェイトの取付け構造を示す側面図
である。

【図４】本実施例のウェイトの正面図である。

【図５】本実施例のウェイトの背面図である。

【図６】本実施例のウェイトの取付け作業の説明図であ
る。

【図７】（Ａ）はクレーンにおける従来のウェイト取付
け構造を示す移動式クレーンの側面図、（Ｂ）はブーム
を省略して示す正面図である。

【図８】クレーン本体へのウェイト追加による吊り荷重
の増大を説明する作業半径と吊り荷重との相関図であ
る。

【符号の説明】

１：下部走行体、１ａ：シュー、１０：トラックフレー
ム、１０ａ：ビーム、１２：サイドフレーム、１６：ガ
イド筒、１７：配管用の筒、２０：ウェイト、２６：ブ
ラケット、２６ａ：凹部、２８：ブラケット、３０：ロ
ッド（係止部）、３４：シャックル（吊り部）、３５：
ロッド

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クローラ式下部走行体を備えた移動式建設
   機械において、 前記下部走行体を構成する左右のサイドフレームの外面
   の外方への突出部間に、ウェイトを分散して取付けたこ
   とを特徴とする移動式建設機械におけるウェイトの取付
   け構造。
2. 【請求項２】請求項１において、 前記ウェイトを前記下部走行体のシューの幅内に収容し
   たことを特徴とする移動式建設機械におけるウェイトの
   取付け構造。
3. 【請求項３】請求項１または２において、 前記サイドフレームにウェイト取付け用のブラケットを
   設け、 前記ウェイトの上部に、該ブラケットに係止させる係止
   部を設けると共に、ウェイトの外面に、ロープにより吊
   り上げた際にウェイトのサイドフレーム対向面が下向き
   となる吊り部を設け、 前記吊り部にロープを接続して吊り、ウェイトの前記係
   止部をサイドフレームの前記ブラケットに係止させてロ
   ープを巻下げることにより、ウェイトが自重により係止
   部を中心に下向きに回動してウェイトがサイドフレーム
   に取付けられる構造としたことを特徴とする移動式建設
   機械におけるウェイトの取付け構造。