JP2562475Y2 - 建設機械のカウンターウエイト着脱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は移動式クレーン等の建設機械においてカウン
ターウエイトを着脱させるために用いるカウンターウエ
イト着脱装置に関するものである。

［従来の技術］ 移動式クレーン等の建設機械は、一般に、機械本体で
ある上部旋回体の後端部にカウンターウエイトを搭載
し、荷吊り時の荷重によるモーメントに対抗させてバラ
ンスを保持させるようにしてある。

上記建設機械では、道路輸送条件（重量制限）により
そのままの状態で輸送できない場合があり、軽量化する
ために、カウンターウエイトを取り外すことが必要とな
る。従来では、他のクレーンを用いて上部旋回体からカ
ウンターウエイトを吊上下させて取り外し、両者を輸送
現場まで別々に輸送した後、再び他のクレーンを用いて
カウンターウエイトを上部旋回体に搭載させるようにし
ていた。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記従来におけるカウンターウエイトの着
脱方式の場合には、他のクレーンの操作が必要不可欠で
あることに伴い、他のクレーンの作業を拘束する結果と
なり、経費面でも工期の面でも不利であった。

そこで、本考案は、他のクレーンを用いることなく自
力にてカウンターウエイトの着脱を行うことができるよ
うな建設機械のカウンターウエイト着脱装置を提供しよ
うとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記課題を解決するために、機械本体上の
前側部に固設したブーム架台にブームを起伏自在に取り
付け且つ機械本体の後端部のウエイト台上にカウンター
ウエイトを着脱自在に搭載させるようにしてある建設機
械における上記機械本体の後部と上記ブーム架台の上端
部との間に、前後方向に延びる２枚のシーブ支持フレー
ムを左右対称的に配して上記ウエイト台上に搭載される
カウンターウエイトの上面レベルよりも高い位置となる
ように固定設置し、該固定の左右のシーブ支持フレーム
の中間部位置間にホイスト用シーブを取り付けると共
に、該左右のシーブ支持フレームの各後部上に、コンプ
レッションメンバーとリフトシリンダの各下端を、該リ
フトシリンダが機械本体の後端側に位置するような配置
でそれぞれブームの起伏方向と同一面内で自在に回動す
るように取り付け、且つ該左右各側のコンプレッション
メンバーとリフトシリンダの各上端を左右方向に水平に
配した１本の軸により連結して、コンプレッションメン
バーとリフトシリンダの上端を合掌させた構成とすると
共に、左右のコンプレッションメンバー及びリフトシリ
ンダと軸とにより、前後方向から見て門型をなして上端
位置が上記ウエイト台の上方で上下方向へ変位し得るよ
うにしたカウンターウエイト取り扱い専用のリフト用ア
ームを構成し、更に該リフト用アームの水平に配した上
記軸の左右両端部に、それぞれガイドシーブを取り付
け、該各ガイドシーブに掛けた２本のリフトロープの各
一端を、上記ブームの左右側にそれぞれ設けた係止部に
係止させるようにすると共に、上記２本のリフトロープ
の各他端を、カウンターウエイトの上面左右位置に各々
結着させるようにした構成とする。

［作用］ ブームの起伏動作と門型のリフト用アームの回動操作
を行うと、カウンターウエイトを２本ロープによる２点
吊りにて上下方向及び前後方向へ安定した状態で移動さ
せることができる。したがって、カウンターウエイトを
自力にて着脱することができるようになる。上記リフト
用アームはカウンターウエイト取り扱い専用となってい
て、リフト用アームのガイドシーブには荷役用のロープ
を掛けないようになっていることから、カウンターウエ
イトの着脱時にリフト用アームを回動させても、荷役用
のロープに影響を与えることはない。又、リフト用アー
ムを構成するコンプレッションメンバーとリフトシリン
ダが共に、搭載時のカウンターウエイトの上面レベルよ
りも高い位置に固定設置したシーブ支持フレーム上に取
り付けてあることから、格納時にはカウンターウエイト
と干渉することなく後方へ倒すことができて高さを低く
することができる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すもので、
建設機械の一例としてクローラクレーンについて示す。
機械本体である上部旋回体１の前側部に固設したブーム
架台15にブーム２を伸縮及び起伏自在に取り付け、且つ
上部旋回体１の後端部に設けたウエイト台３上にカウン
ターウエイト４を着脱自在に搭載させるようにしてある
構成において、上記上部旋回体１ノ後部と上記ブーム架
台15の上端部との間に、前後方向に延びる２枚のシーブ
支持フレーム６を左右対称的に配して上記ウエイト台３
に搭載されるカウンターウエイト４の上面レベルよりも
高い位置となるように固定設置し、該左右のシーブ支持
フレーム６の中間部位置間に荷役用のロープ14を掛ける
ようにしたホイスト用シーブ５を取り付けると共に、該
左右のシーブ支持フレーム６の各後部上に、コンプレッ
ションメンバー７とリフトシリンダ８の各下端を、該リ
フトシリンダ８が上部旋回体１の後端側に位置するよう
な配置でそれぞれブーム２の起伏方向と同一面内で自在
に回動するように取り付け、且つ該左右各側のコンプレ
ッションメンバー７とリフトシリンダ８の各上端を左右
方向に水平に配した１本の軸９により連結して、コンプ
レッションメンバー７とリフトシリンダ８の上端を合掌
させた構成とすると共に、左右のコンプレッションメン
バー７及びリフトシリンダ８と軸９とにより、前後方向
から見て門型をなし且つリフトシリンダ８の伸縮により
コンプレッションメンバー７がシーブ支持フレーム６へ
の取付部を支点として起伏方向へ回動して上端位置がウ
エイト台３の上方で上下方向へ変位できるようにしたカ
ウンターウエイト取り扱い専用のリフト用アーム10を構
成する。又、上記リフト用アーム10における軸９の左右
両端部に、カウンターウエイト４の着脱時に用いる２本
のリフトロープ11を掛けるためのガイドシーブ12をそれ
ぞれ取り付け、且つ該各ガイドシーブ12に掛けた２本の
リフトロープ11の各一端を、上記ブーム２の左右側にそ
れぞれ設けた係止部としてのアンカープレート13に係止
させるようにすると共に、上記２本のリフトロープ11の
各他端を、カウンターウエイト４の上面左右位置に設け
たアイプレート4aに各々結着させるようにして、カウン
ターウエイト４を左右２本のリフトロープ11で２点吊り
できるようにする。

上部旋回体１のウエイト台３上に搭載されているカウ
ンターウエイト４を取り外す場合には、先ず、第１図の
実線で示す如く、リフト用アーム10のリフトシリンダ８
を操作することによりコンプレッションメンバー７を起
伏動作させて、左右のガイドシーブ12をカウンターウエ
イト４の真上に位置させるようにし、更に、上記左右の
ガイドシーブ12に所要の長さを有するリフトロープ11を
掛け、該リフトロープ11の一端をブーム２のアンカープ
レート13に係止すると共に、リフトロープ11の他端をカ
ウンターウエイト４のアイプレート4aに結着して、リフ
トロープ11に弛みの出ないようにブーム２を所要の角度
位置に保持させる。かかる状態において、第１図の２点
鎖線で示す如く、上記ブーム２を若干前方へ倒すことに
より、カウンターウエイト４を左右２本のリフトロープ
11で吊り上げてウエイト台３から浮かした状態とする。
次に、第１図の一点鎖線で示す如く、リフト用アーム10
のリフトシリンダ８を短縮動作させることによりガイド
シーブ12を後方下側へ変位させて、カウンターウエイト
４をウエイト台３の上方位置から後方位置へずらす。し
かる後、第１図の破線で示す如く、ブーム２を起立させ
つつリフトシリンダ８を更に短縮動作させて行くことに
よりカウンターウエイト４を地上へ吊り下ろす。カウン
ターウエイト４を取り外した後は、リフトロープ11を取
り外しておく。

一方、地上に置かれているカウンターウエイト４を上
部旋回体１のウエイト台３に搭載する場合には、上述し
た取り外し手順と逆の手順にて容易に行うことができ
る。

このように、本考案においては、リフト用アーム10が
門型構造としてあり、しかもこの門型のリフト用アーム
10の水平な軸９の左右両端部にガイドシーブ12を設け
て、左右のガイドシーブ12に掛けた左右２本のリフトロ
ープ11にてブーム２とカウンターウエイト４を継ぐこと
により、カウンターウエイト４を２点吊りできるように
してあるので、ブーム２の起伏動作とリフト用アーム10
の回動操作を適宜行うことによって、カウンターウエイ
ト４を左右に振らつかせたりすることなく上下方向及び
前後方向へ安定した状態で移動させることができ、カウ
ンターウエイト４の着脱作業を他のクレーンを用いるこ
となく運転室の操作にて（自力にて）容易に行うことが
できる。

上記において、門型としたリフト用アーム10は前後方
向に長くしたシーブ支持フレーム６の後部上に取り付け
てあるので、カウンターウエイト４の荷重を支える専用
の取付部材を不要にできることにより部品点数の面及び
重量の面で有利であり、しかもリフト用アーム10にカウ
ンターウエイト取り扱い専用としてあって、左右のガイ
ドシーブ12には荷役用のロープ14を掛けることはなく、
荷役用のロープ14は固定設置のシーブ支持フレーム６上
のホイスト用シーブ５に掛けるようになっているので、
カウンターウエイト４の着脱時にリフト用アーム10を回
動させても荷役用のロープ14に張力変動等の影響を与え
ることはなく、且つ荷役用のロープ14を操作することな
くカウンターウエイト４の着脱作業を行うことができ
る。又、上記門型のリフト用アーム10を構成するコンプ
レッションメンバー７とリフトシリンダ８は、リフトシ
リンダ８が後側に位置するように組み立ててあるので、
カウンターウエイト４の荷重支持をピストン面積が大と
なる側で行うことができる点で有利である。すなわち、
耐負荷条件が有利となるのでシリンダ径を細くできる。
更に、リフトシリンダ８が後側に位置していることか
ら、リフト用アーム10を後方へ倒して格納状態とする
と、ガイドシーブ12を上方へ突出させることがないの
で、荷役作業の邪魔になるようなことはないと共に、高
さを低くすることができ、又、この際、リフトシリンダ
８はロッドを短縮させた状態となることから、外部から
損傷を受ける心配もない。更に又、コンプレッションメ
ンバー７とリフトシリンダ８はウエイト台３上に搭載す
るカウンターウエイト４の上面レベルよりも高い位置に
固定設置したシーブ支持フレーム６に取り付けてあって
ガイドシーブ12はウエイト台３の上方のみで上下方向へ
変位できればよいので、コンプレッションメンバー７と
リフトシリンダ８は共に長さを短くすることができる。

なお、本考案は上記実施例にのみ限定されるものでは
なく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変
更を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上述べた如く、本考案の建設機械のカウンターウエ
イト着脱装置によれば、次の如き種々の優れた効果を発
揮する。

機械本体の後部とブーム架台の上端部との間に、ウ
エイト台上に搭載されるカウンターウエイトの上面レベ
ルよりも高い位置となるように前後方向に延びる左右の
シーブ支持フレームを固定設置し、該シーブ支持フレー
ムの後部上に、上端を１本の軸で連結して合掌させたコ
ンプレッションメンバーとリフトシリンダの各下端を、
リフトシリンダが機械本体の後端側に位置するように回
動自在に取り付けた構成のリフト用アームを採用してい
るので、リフト用アームを後方へ倒して格納状態とする
と、上記軸上のガイドシーブを上方へ突出させることが
なくて荷役作業に支障を来すことなく、又、カウンター
ウエイトに干渉することなく倒すことができることか
ら、カウンターウエイトを取り外さずに建設機械を輸送
する場合でも高さを低くすることができて有利である。

リフト用アームの取付部材として前後方向に延びる
シーブ支持フレームを採用して、該シーブ支持フレーム
にシーブの支持機能とカウンターウエイトの荷重支持機
能を併せもたせるようにしたので、カウンターウエイト
の荷重を支える専用の取付部材を不要にでき、部品点数
や重量面で有利となる。

リフト用アームを構成するコンプレッションメンバ
ーとリフトシリンダは、共にカウンターウエイトの上面
レベルよりも高い位置に配置してあって、ガイドシーブ
がウエイト台の上方のみで上下方向に変位できるように
操作できればよいので、長さを短くすることができて、
重量物であるカウンターウエイトを安定よく吊って支持
することができる。

リフト用アームはリフトシリンダが後側に配置して
あることから、耐負荷条件が楽で安定動作確保の面で有
利であり、又、格納時にはリフトシリンダのロッドを短
縮状態にできることから、ロッドが外部から損傷を受け
る心配がない。

上記リフト用アームは前後方向から見て門型として
あり、且つ左右２本のリフトロープでカウンターウエイ
トを２点吊りするようにしてあるので、ブームの起伏動
作とリフト用アームの回動操作により、カウンターウエ
イトを左右に振らつかせることなく安定して上下させた
り前後に移動させることができ、これにより他のクレー
ンを用いることなく自力にてカウンターウエイトの着脱
作業を容易に行うことができ、建設機械の輸送に伴う経
費の削減及び工期の短縮化を図ることができる。

リフト用アームはカウンターウエイト取り扱い専用
としてあることから、シーブ支持フレーム上のホイスト
用シーブに掛けてある荷役用のロープに何ら影響を与え
ることなく操作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の建設機械のカウンターウエイト着脱装
置の一実施例を示すクローラクレーンの概略側面図、第
２図は第１図のII-II矢視図である。 １……上部旋回体（機械本体）、２……ブーム、３……
ウエイト台、４……カウンターウエイト、５……ホイス
ト用シーブ、６……シーブ支持フレーム、７……コンプ
レッションメンバー、８……リフトシリンダ、９……
軸、10……リフト用アーム、11……リフトロープ、12…
…ガイドシーブ、13……アンカープレート（係止部）、
14……荷役用のロープ、15……ブーム架台。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機械本体上の前側部に固設したブーム架台
   にブームを起伏自在に取り付け且つ機械本体の後端部の
   ウエイト台上にカウンターウエイトを着脱自在に搭載さ
   せるようにしてある建設機械における上記機械本体の後
   部と上記ブーム架台の上端部との間に、前後方向に延び
   る２枚のシーブ支持フレームを左右対称的に配して上記
   ウエイト台上に搭載されるカウンターウエイトの上面レ
   ベルよりも高い位置となるように固定設置し、該固定の
   左右のシーブ支持フレームの中間部位置間にホイスト用
   シーブを取り付けると共に、該左右のシーブ支持フレー
   ムの各後部上に、コンプレッションメンバーとリフトシ
   リンダの各下端を、該リフトシリンダが機械本体の後端
   側に位置するような配置でそれぞれブームの起伏方向と
   同一面内で自在に回動するように取り付け、且つ該左右
   各側のコンプレッションメンバーとリフトシリンダの各
   上端を左右方向に水平に配した１本の軸により連結し
   て、コンプレッションメンバーとリフトシリンダの上端
   を合掌させた構成とすると共に、左右のコンプレッショ
   ンメンバー及びリフトシリンダと軸とにより、前後方向
   から見て門型をなして上端位置が上記ウエイト台の上方
   で上下方向へ変位し得るようにしたカウンターウエイト
   取り扱い専用のリフト用アームを構成し、更に該リフト
   用アームの水平に配した上記軸の左右両端部に、それぞ
   れガイドシーブを取り付け、該各ガイドシーブに掛けた
   ２本のリフトロープの各一端を、上記ブームの左右側に
   それぞれ設けた係止部に係止させるようにすると共に、
   上記２本のリフトロープの各他端を、カウンターウエイ
   トの上面左右位置に各々結着させるようにした構成を有
   することを特徴とする建設機械のカウンターウエイト着
   脱装置。