JPH08142758A - 車両用内装部材 - Google Patents

車両用内装部材

Info

Publication number
JPH08142758A
JPH08142758A JP6312595A JP31259594A JPH08142758A JP H08142758 A JPH08142758 A JP H08142758A JP 6312595 A JP6312595 A JP 6312595A JP 31259594 A JP31259594 A JP 31259594A JP H08142758 A JPH08142758 A JP H08142758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin foam
interior member
foam layer
vehicle
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6312595A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Kawakami
保之 川上
Takaya Tejima
孝哉 手島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Inoac Corp
Original Assignee
Inoue MTP KK
Inoac Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Inoue MTP KK, Inoac Corp filed Critical Inoue MTP KK
Priority to JP6312595A priority Critical patent/JPH08142758A/ja
Publication of JPH08142758A publication Critical patent/JPH08142758A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Step Arrangements And Article Storage (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両衝突時に乗員(特に、胸部)を的確に保
護でき、製造コストの低い内装部材を提供する。 【構成】 車両用ドア部本体3の室内側の側面31に突
出した状態で配置される外殻部1と、外殻部1及び側面
31に挟まれた空間のうち少なくとも乗員の胸部に対応
する箇所に樹脂発泡層(A、B)で構成された衝撃吸収
部2を備え、樹脂発泡層(A、B)は、発泡倍率が略連
続的に変化する変化領域(X1 、X2 )を備える。樹脂
発泡層は、変化領域X1 等を備えた単独の樹脂発泡体、
又はこの様な発泡体と変化領域を備えない樹脂発泡体と
の積層体で構成できる。変化領域を備えた樹脂発泡体
は、所定のプレス処理で得られる。また、各樹脂発泡体
を、オレフィン系、スチレン系、ポリフェニレンオキシ
ドのビーズ発泡体で構成することが有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用内装部材に関す
る。更に詳しくは、車両の衝突時に乗員の胸部を的確に
保護でき、製造コストの低い車両用内装部材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、車両に対し、正面からの衝突のみ
ならず、側面からの衝突(以下、「側突」という。)に
ついても高い安全性が求められている。このため、図2
に示すドアトリムD等の様に、側突時に乗員と直接当た
る車両用内装部材(以下、「内装部材」という。)に、
十分な衝撃吸収能力を持たせようとする試みがなされて
いる。そして、この方策の1つとして、図9に示す様
に、内装部材Mの外殻部81の裏面側に、樹脂発泡体で
構成される単層のパット層82を配置することが行われ
てきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この内
装部材Mでは、以下の理由により、乗員の胸部の保護を
図ることが困難である。即ち、上記パット層82を、発
泡倍率が低く、硬質の樹脂発泡体により構成した内装部
材Mに対し、衝撃吸収試験を行えば、図10の変位応力
曲線(変形量−応力曲線)K1 が得られる。この曲線K
1 によれば、初期の立ち上がりに続き、高い初期応力S
1 を示し、側突の初期の段階に、乗員へ大きな衝撃が加
わることを示している。一方、上記パット層82を、発
泡倍率が高く、軟質の樹脂発泡体で構成した場合には、
同図の変位応力曲線K2 に示す様に、発泡体が衝撃に対
して終始、低いレベルの発生応力を示し、衝撃吸収量が
不十分になると考えられるからである。
【0004】これに対して、図11に示す様に、パット
層82を、硬質の発泡体82aと、軟質の発泡体82b
との複層構造とした内装部材Nも提案されている(特開
平4−293640号公報、実開平5−514号公
報)。しかしながら、この内装部材Nでも、側突の初期
段階に加わる比較的、大きな衝撃を吸収するのは、専
ら、硬質の発泡体82aである。上記軟質の発泡体82
bでは、全体を通じて、一様に剛性が低くなっているた
め、側突初期に加わる比較的、大きな衝撃を吸収する機
能は低いからである。従って、この内装部材Nに対し
て、衝撃試験を行えば、図10に示す変位応力曲線K3
が得られる。そして、この曲線K3 によれば、上記変位
応力曲線K1 と同様に、高い初期応力S3 を示すことに
なる。このため、この内装部材Nによっても、乗員の胸
部を的確に保護する機能は低い。
【0005】この様に、上記従来の内装部材M、Nは、
乗員の胸部の保護に必ずしも適していない。即ち、胸部
の的確な保護のためには、側突の初期の段階に、大きな
衝撃が、乗員に対して瞬く間に伝わることを回避するこ
とが必要である。しかも、側突の初期、中期及び後期を
通じ、ある程度の変形率を維持しつつ、十分に衝撃を吸
収できることが必要である。具体的には、図10の理想
曲線(直線)K4 の様に、パット層82の変位に応じ、
発生応力が略連続的に上昇する衝撃特性を備えた内装部
材であることが望ましい。
【0006】本発明は上記観点に鑑みてなされたもので
あり、側突時に乗員の胸部を的確に保護でき、製造コス
トの低い内装部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本第1発明の内装部材
は、車両用ドア部本体の室内側の側面に、該室内側の側
面より室内方向に突出した状態で配置される外殻部と、
該外殻部及び該室内側の側面に挟まれた空間のうちで、
少なくとも乗員の胸部に対応する箇所に樹脂発泡層で構
成された衝撃吸収部を備えた内装部材であり、該樹脂発
泡層は、発泡倍率が車幅方向に沿って略連続的に変化す
る変化領域を備えることを特徴とする。
【0008】上記「車両用ドア部本体(以下、「ドア部
本体」という。)」は、車両用ドア部のうちで、本発明
の内装部材に相当する部分を除いた部分である。上記外
殻部は、上記内装部材の意匠面側を構成するものであ
る。例えば、ドア部本体のインナーパネルの略全体を覆
うドアトリム、乗員の胸部に対応する箇所に配置される
ドアトリムアッパー等における意匠面側の部分、若しく
は意匠面側を構成する表皮材等を例示できる。また、そ
の材質は種々選択でき、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ
プロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
(ABS)等の樹脂材料により構成されるものや、本
革、合成皮革等で構成されるもの等を例示できる。更
に、外殻部は、表皮層のみの単層構造のもでも、表皮層
の裏面側に基材層を備えたり、バッキング処理等が施さ
れて複層構造となったものでもよい。
【0009】また、この外殻部と上記衝撃吸収部とは、
別体でも、一体でもよい。そして、一体の場合には、内
装部材の意匠面側の部分を外殻部と観念し、その他の部
分を衝撃吸収部と観念してもよい。また、衝撃吸収部の
表面にモールドコート法等で塗料膜を形成し、この塗料
膜の部分を外殻部と観念してもよい。尚、外殻部の裏面
及び衝撃吸収部の間、衝撃吸収部及び上記ドア部本体の
室内側の側面の間に、摩れ音防止用の不織布等の他部材
を配置することもできる。
【0010】また、上記衝撃吸収部は、外殻部の車体外
板側(裏面側)の面全体のうちで、側突時に乗員の胸部
が当接する箇所のみに配置してもよいし、それよりも広
範囲に配置してもよい。但し、後者の場合に、外殻部が
乗員の他の部位の当接する箇所に至る大きさであれば、
当接する各部位に応じた他の衝撃吸収部を配置すること
が好ましい。例えば、胸部が当接する箇所には、本発明
の衝撃吸収部を配置し、腰部が当接する箇所には、腰部
の保護に適する衝撃吸収部を配置することが好ましい。
尚、腰部の保護に適するものとしては、例えば、図10
の曲線K3 に沿った衝撃特性を示す衝撃吸収部を挙げる
ことができる。更に、衝撃吸収部の車幅方向に沿った厚
み等は、内装部材全体を通じて一定である必要はない。
例えば、内装部材に外形に併せて変化させることもでき
る。
【0011】上記「樹脂発泡層」は、本第2発明に示す
様に、上記「変化領域を備えた樹脂発泡体」単独で構成
されても、この様な樹脂発泡体と「変化領域を備えない
樹脂発泡体」との積層体により構成してもよい。また、
これらの樹脂発泡体として、本第4発明に示すオレフィ
ン系、スチレン系若しくはポリフェニレンオキシドのビ
ーズ発泡体等を例示できる。これらの発泡体を用いた場
合には、本内装部材を一層効率良く、製造できる。但
し、この他のビーズ発泡体や、ウレタンフォーム等を用
いてもよい。
【0012】上記「変化領域を備えた樹脂発泡体」を得
るための一手法として、本第3発明で述べた「プレス処
理」を例示できる。この「プレス処理」は、発泡倍率が
一様な樹脂発泡体(以下、「基本発泡体」という。)の
表面側及び裏面側の少なくとも一方より、加熱しなが
ら、厚み方向に沿ってプレスすることを意味している。
そして、この処理で、基本発泡体中にボイドが潰れた
り、小さくなり、発泡倍率の低下する部分を生じさせ、
上記変化領域を備えた樹脂発泡体を得ようとするもので
ある。即ち、この基本発泡体の加熱のなされた面(以
下、「加熱面」という。)に近い部分では、熱の影響を
大きくうけ、発泡倍率を大きく低下させる。一方、加熱
面から遠ざかるに従い、熱の影響をうけ難くなるため、
発泡倍率の低下は小さくなるか、殆ど低下しない。この
ため、基本発泡体の発泡倍率は、加熱面に向かって序々
に小さくなる様に変化し変化領域を備えた樹脂発泡体が
得られる。尚、この処理により、基本発泡体全体を変化
領域にしても、その一部を変化領域にしてもよい。
【0013】上記樹脂発泡層に占める変化領域の割合
は、本発明の目的を達成できる限り特に問わないが、本
第5発明に示す様に、樹脂発泡層の車幅方向に沿った全
肉厚の30〜100%に相当する厚み分だけ、存在する
ことが好ましい。樹脂発泡層中に30%程度の変化領域
が存在しなければ、本発明の目的が十分に達成できない
場合もあるからである。尚、内装部材の肉厚を大き目に
すれば、内装部材がドア部本体の側面より大きく突出し
た状態となり、車内空間を著しく狭めたり、乗員に圧迫
感を与えねない。このため、内装部材、ひいては、樹脂
発泡層の肉厚は、この様な不具合を生じない範囲(自家
用車の場合に40〜70mm程度)で定められることが
多い。そして、この様に、限られた肉厚(自家用車の場
合に60mm程度)の下でも、第5発明に示す場合に
は、樹脂発泡層中に十分な量の変化領域を確保できる。
【0014】また、この樹脂発泡層は、本第5発明に示
す様に、15〜45倍のうちの所定の値を最高発泡倍率
とし、且つ、該最高発泡倍率の30〜70%の所定の値
を最低発泡倍率とすることが好ましい。上記「最低発泡
倍率」を、この様に定めるのが好ましいのは、以下の理
由による。この発泡倍率が最高発泡倍率の30%未満と
なれば、樹脂発泡層の車幅方向に沿った硬度差が過大と
なる。このため、樹脂発泡層に衝撃が加わった場合に、
その高発泡側の領域から低発泡側の領域に向かい、時間
を掛けて序々に変形させることが困難になる恐れがあ
る。一方、この発泡倍率が最高発泡倍率の70%を越え
れば、上記硬度差が必要以上に小さくなるため、上記樹
脂発泡層の発泡倍率を、全体を通じて一様にした場合と
大差がなくなる恐れがあるからである。
【0015】また、上記「最高発泡倍率」を、15〜4
5倍とするのが好ましいのは、以下の理由による。この
最高発泡倍率が15倍未満であれば、樹脂発泡層全体が
硬めとなり、側突の初期段階に乗員に大きな衝撃が伝わ
る恐れがある。一方、45倍を越えれば、樹脂発泡層中
に、この様に高い発泡倍率を示し、必要以上に柔らかな
部分が存在すると共に、この最高発泡倍率を基準とし
て、その30〜70%の範囲に規制される最低発泡倍率
も高目になる。そして、樹脂発泡層全体が、柔らか目と
なり、衝撃吸収量が小さくなるおそれがある。
【0016】尚、発泡倍率が15〜45倍程度の基本発
泡体に対して、上記「プレス処理」を行えば、本第5発
明に示す様な樹脂発泡層を得ることが容易である。ま
た、この処理の条件を、基本発泡体の発泡倍率、材質、
厚み等を考慮しながら種々選択し、上記最高及び最低発
泡倍率の他に、上記「変化領域の割合」、「変化領域に
おける発泡倍率の減少率」等も適宜、選択することもで
きる。
【0017】更に、本第5発明の一層好ましい態様とし
て、上記樹脂発泡層が上記最高発泡倍率の30〜70%
の範囲の発泡倍率を示す高減衰領域を、上記樹脂発泡層
の車幅方向に沿った肉厚の15〜35%に相当する厚み
分だけ、存在させた内装部材を例示できる。この高減衰
領域は、樹脂発泡層中においての最低発泡倍率を示す部
分を含む幅を持った領域である。また、この領域は、変
化領域と一致しても、変化領域の一部であってもよい。
そして、この態様に示す様に、上記高減衰領域の発泡倍
率、及び同領域の存在割合を定めれば、上記各発明の目
的がより確実に達成できる。
【0018】本第6発明では、上記衝撃吸収部の車幅方
向に沿う衝撃入力による該車幅方向に対する50%変形
時の発生応力を3〜9kgf/cm2 とする。上記「5
0%変形時の発生応力」は、内装部材若しくは所定の試
験片に車幅方向に沿った衝撃入力を加え、樹脂発泡層
が、この入力の方向(車幅方向)に沿って50%変形
(変位)したときに生ずる応力を示している(以下、
「50%発生応力」という。)。そして、内装部材の衝
撃吸収能力を十分なものとするためには、この応力の範
囲を「2〜10kgf/cm2 」とすることが必要にな
る。この応力が10kgf/cm2 を越える場合には、
大きな衝撃力を乗員へ伝えてしまう。また、2kgf/
cm2 未満の場合には、樹脂発泡層が、衝撃に対して終
始、低いレベルの発生応力を示し、衝撃吸収量が不十分
になると考えられるからである。そして、この発生応力
のより好ましい範囲は、「3〜9kg/cm2 」であ
り、本発明はこれに準拠したものである。
【0019】
【作用】本第1発明の内装部材は、外殻部と、その裏面
側に配置された衝撃吸収部と、を備えている。この衝撃
吸収部は、樹脂発泡層で構成され、しかも、この樹脂発
泡層は、発泡倍率が車幅方向に沿って略連続的に変化す
る変化領域を備えている。従って、この樹脂発泡層は、
剛性を略連続した状態にしつつ、剛性を略連続的に変化
させる部分を備えている。
【0020】この結果、側突の際、樹脂発泡層は、発泡
倍率が高めで、剛性のより低い部分から変形を始め、序
々に、しかも、ある程度の時間をかけて、発泡倍率のよ
り低く、剛性のより高い部分に向かって変形を伝える。
このため、側突の初期に、乗員に大きな衝撃を一度に与
えることはなく、しかも、この初期段階を経過した後
は、時間を掛けて十分に衝撃を吸収する。そして、本内
装部材は、上記図10の理想曲線K4 に略沿った衝撃吸
収性能を示すことが可能となる。また、本6発明では、
上記衝撃吸収部の50%発生応力を、胸部の保護を目的
とする内装部材として好ましい範囲に定める。従って、
乗員の胸部の保護の万全が図られる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。 (1)内装部材の概要 本実施例では、いずれも、図1に示す様な縦断面形状を
備えた2種類の内装部材(試験品NO.1及び2)を作
製した。これらの試験品は、図2に示す様に、ドア部本
体3の室内側の側面31の上部に配置されたドアトリム
アッパーD1 について適用したものである。
【0022】このドアトリムアッパーD1 は、外殻部1
と、衝撃吸収部2とを備えている。上記外殻部(厚み;
2.5mm)1は、意匠面を構成する表皮層(ポリ塩化
ビニル製)11と、その裏面側に配置された基材層(ポ
リプロピレン製)12とを備えている。そして、この外
殻部1は、上記側面31への取着時に、略箱状となりな
がら、車両の室内方向に膨らんだ状態になる。尚、ドア
トリムアッパーD1に、パワーウィンドの操作スイッ
チ、ドアグリップ、ドアノブを一体に組み込む場合に
は、外殻部1の所定位置に、それらの組付け用凹部、穴
部を形成することもできる。
【0023】上記衝撃吸収部2は、図1に示す様に、上
記外殻部1と、上記側面31とが形成する空間のうち
で、乗員の胸部に対応する箇所に配置されている。但
し、この衝撃吸収部2を、これよりも広範囲に配置して
もよい。また、衝撃吸収部2の肉厚、形状等は、全体を
通じて一定である必要はなく、外郭部1の形状、上記ス
イッチの形状等との関係で変化してもよい。
【0024】そして、試験品NO.1では、この衝撃吸
収部2を図3に示す様な樹脂発泡層(厚み;約60m
m)Aで構成した。この発泡層Aは、変化領域を備えた
第1発泡体(厚み;40mm、材質;ポリプロピレン発
泡ビーズ)A1 と、変化領域を備えない第2発泡体(厚
み;20mm、材質;ポリプロピレン発泡ビーズ)A2
との積層体で構成されている。尚、この第1発泡体A1
の表面(室内方向を向く面)及び第2発泡体A2 の裏面
(ドア部本体3方向を向く面)の接合は、両面テープ、
接着剤、粘着剤等を用いて行うことができる。
【0025】更に、この第1発泡体A1 は、発泡倍率が
15倍で、肉厚が60mmの基本発泡体の表面及び裏面
を、所定のプレス型の一対のプレス用鋼板に挟み込ん
で、肉厚が40mmになる迄、熱プレスして(加熱温
度;240℃、圧力;6kgf/cm2 )作製したもの
である。但し、この熱プレスは、基本発泡体の裏面側の
みを加熱して行ったものである。そして、この第1発泡
体A1 では、下方側(裏面側)の半分(A11及びA12
が、上方側に向い発泡倍率を5倍から15倍に序々に増
加させる変化領域X1 になっている。また、その他の部
分(A13及びA14)の発泡倍率は、略一定(15倍)に
なっている。
【0026】更に、上記第2発泡体A2 は、上記基本発
泡体と同様なビーズ発泡体で構成されている。従って、
第1発泡体A1 及び第2発泡体A2 は、その接合箇所に
おいて、発泡倍率を15倍に揃えている。そして、第2
発泡体A2 と第1発泡体A1の上方側(表面側)の半分
(A13及びA14)を併せた部分が発泡倍率の一様な定値
領域C1 となる。
【0027】一方、試験品NO.2の衝撃吸収部2は、
図4に示す様な樹脂発泡層(厚み;約60mm)Bで構
成されている。この発泡層Bも、変化領域を備えた第1
発泡体(材質;ポリプロピレン発泡ビーズ)B1 と、変
化領域を備えない第2発泡体(材質;ポリプロピレン発
泡ビーズ)B2 との積層体で構成されている。
【0028】そして、この第1発泡体B1 は、試験品N
O.1で用いた基本発泡体と同様のものを、肉厚が50
mmとなる迄、熱プレスして作製したものである。ま
た、第2発泡体B2 の肉厚は10mmとされているた
め、樹脂発泡層Bの肉厚は、試験品NO.1と同様にな
っている。更に、試験品NO.1の場合よりも、基本発
泡体の圧縮量が少ないため、変化領域X2 は、上記変化
領域X1 に比べて、やや小さい。その他の点に関して
は、上記樹脂発泡層Aと同様である。そして、図5に示
す様に、上記各樹脂発泡層(衝撃吸収部2)A、Bの裏
面側を除く部分に、上記外殻部1を被せて各ドアトリム
アッパーD1 が作製される。尚、両者の固定は、ホット
メルトによる接着、振動溶着等により行うことができ
る。但し、両者が、始めから一体である場合には、この
様な固定を行う必要はない。
【0029】(2)性能試験及びその評価 基本試験 本実施例では、上記各試験品の衝撃吸収性能を評価する
ために、各試験品に対応した2種類の試験用サンプル
(サンプルNO.1及び2)を用意した。これらのサン
プルは、図5に示す様に、上記各試験品の衝撃吸収部2
と同様にして作製したパット部2aと、該各試験品の外
殻部1と同様にして作製した外周壁部1aとを備えてい
る。そして、外周壁部1aは、パット部2aの全周囲の
うちの裏面側211aを除く、周囲の部分を取り囲んで
いる。更に、各サンプルの外形寸法は、いずれも、約□
120mm×60mmとなっており、外周壁部1aの厚
みは、上記外殻部1と同様な厚み(約2.5mm)とな
っている。
【0030】本性能試験は、20.6kgの衝突子を、
上記パット部2aの表面側212a、衝突スピード6m
/sで衝突させる衝撃吸収試験である。そして、この試
験により得られた各サンプルの変位応力曲線を図6に示
す。同図によれば、いずれのサンプルの変位応力曲線
も、初期の立ち上がり部分より、序々に発生応力を増加
させており、図10の理想曲線(直線)K4 に近い外形
を示している。また、50%発生応力は、サンプルN
O.1において約7.2kgf/cm2 、サンプルN
O.2において約8.6kgf/cm2 となっており、
いずれも好ましい値を示している。従って、各試験品に
係わるドアトリムアッパーD1 によれば、乗員の胸部を
的確に保護できる。
【0031】補助試験 本実施例では、上記基本試験に加えて、以下に述べる補
助試験を行った。この試験は、上記サンプルNO.1の
パット部2aに対して、2通りの静圧縮試験を施したも
のである。具体的には、パット部2aの裏面側211a
より圧縮力を加える静圧縮試験(補助試験1)と、表面
側212aより圧縮力を加える静圧縮試験(補助試験
2)とを行った。また、これらの試験は、いずれも、パ
ット部2aの厚み方向(車幅方向)に沿った変形速度が
50mm/minとなる状態で行われたものである。そ
して、各試験により得られた変位応力曲線を図7に示
す。
【0032】この結果によれば、パット部2aの発泡倍
率の低い側から圧縮力を加えた補助試験1でも、発泡倍
率の高い側から圧縮力を加えた補助試験2でも、略同様
な圧縮特性を示している。従って、上記パット層2aの
低発泡側211a及び高発泡側212aのいずれの方向
から圧縮力が加わっても、良好な圧縮特性を示すことが
判る。従って、上記各試験品のドアトリムD1 では、各
樹脂発泡層A、Bの低発泡側を、側突時に衝撃の加わる
車両ドア部3の側に向けているが、高発泡側を車両ドア
部3側に向けても、十分な衝撃吸収機能を発揮すると考
えられる。
【0033】更に、本実施例の変形例として、図8に示
す様な樹脂発泡層Eを備えた内装部材を例示できる。こ
の内装部材は、表面側及び裏面側に2つの変化領域
31、X32を配置し、これらに挟まれた部分に定値領域
3 を配置したものである。この様に、発泡層Eの表裏
両面側が低発泡となり、内部が高発泡となっていてもよ
い。尚、この樹脂発泡層Eは、上記実施例と同様な基本
発泡体を、表裏両面側より加熱した状態で熱プレスすれ
ば得ることできる。また、本変形例は、単一の樹脂発泡
体で、樹脂発泡層Eを構成した一例を示すものである。
【0034】また、上記実施例及び変形例の内装部材
は、以下に示す様な利点をも有している。例えば、図1
1に示す様に、従来の樹脂発泡層(体)82を用いた内
装部材Nでは、樹脂発泡層82と、ドア部本体83との
間に、不織布等で構成される「擦れ音防止用部材88」
を配置することが多い。これは、従来の樹脂発泡層82
では、ドア部本体83を向いた面(裏面)がざらついた
状態にあることが多ため、車両の走行中に、樹脂発泡層
82及びドア部本体83が擦れて不快な音を発生させる
恐れがあるからである。一方、本実施例及び変形例の内
装部材では、樹脂発泡層A、B、Eの裏面等が加熱さ
れ、ソリッドな状態となっている。従って、この様に、
ソリッドな状態の面をドア部本体3に向けた状態にすれ
ば、敢えて、上記の様な「擦れ音防止用部材88」を用
いる必要はない。
【0035】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
本実施例では、ドアトリムアッパーD1 について述べた
が、ドア部本体3の室内側の側面全体を覆うドアトリム
等の様な他の内装部材についても適用することができ
る。また、本実施例の樹脂発泡層2は、新たな衝撃吸収
用内装材として従来の内装部材と別個に設けることもで
き、車両の室内構造に幅広く対応できる。
【0036】更に、本実施例では、図12及び13に示
す様な応用例を例示できる。このうち、図12に示す応
用例は、内部に配置された一対の変化領域X41、X
42と、表裏両面側に配置された一対の定値領域C41、C
42とからなる樹脂発泡層Fを備えている。また、各領域
は、いずれも、別体の樹脂発泡体で構成されおり、各発
泡体の接合箇所では、隣接する他の発泡体と発泡倍率を
連続させた状態になっている。また、上記各変化領域X
41、X42は、いずれも、樹脂発泡層Fの中央に向かっ
て、発泡倍率を減少させている。
【0037】また、図13に示す応用例は、内部に配置
された定値領域C5 と、表裏両面側に配置された一対の
変化領域X51、X52とからなる樹脂発泡層Gを備えてい
る。本発泡層Gにおいても、上記発泡層Fと同様に、各
領域が別体の樹脂発泡体で構成され、各接合部分の発泡
倍率は連続している。但し、表面側に配置された変化領
域X51は、発泡層Gの表面側に向かって発泡倍率を減少
させ、裏面側に配置された変化領域X52は、発泡層Gの
裏面側に向かって発泡倍率を減少させている。これらの
応用例に関しても、上記実施例と同様な試験用サンプル
を作製し、同様な衝撃吸収試験を行った。そして、その
試験により得られた変位応力曲線を図14に示す。但
し、同図における応用試験1は、樹脂発泡層Eを備えた
サンプルに対して行ったものであり、応用試験2は、樹
脂発泡層Gを備えたサンプルに対して行ったものであ
る。これによれば、上記各応用例の場合にも、良好な衝
撃吸収特性を備えている。これらの応用例では、樹脂発
泡層F、Gが、多数の樹脂発泡体を積層して構成されて
いる。従って、特に厚手の樹脂発泡層を必要としたり、
樹脂発泡層を異なる種類の樹脂発泡体の積層体で構成し
たい場合等に有効である。
【0038】
【発明の効果】以上の様に、本各発明の内装部材によれ
ば、乗員の胸部を的確に保護できる。また、本第3発明
の内装部材では、変化領域を熱プレスにより、簡易に得
ているため、高性能でありながら、製造効率が高く、製
造コストも低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のドアトリムアッパーの縦断面図であ
る。
【図2】車両内部の概略図である。
【図3】試験品NO.1に係わる樹脂発泡層Aの縦断面
図である。
【図4】試験品NO.2に係わる樹脂発泡層Bの縦断面
図である。
【図5】実施例で用いた試験用サンプルの斜視図であ
る。
【図6】実施例の衝撃吸収試験で得られた変位応力曲線
の概略図である。
【図7】実施例の静圧縮試験で得られた変位応力曲線の
概略図である。
【図8】実施例の変形例に係わる樹脂発泡層Eの縦断面
図である。
【図9】従来例のドアトリムアッパーの縦断面図であ
る。
【図10】各種内装部材に衝撃吸収試験を行って得られ
る各変位応力曲線(変形量−応力曲線)の概略図であ
る。
【図11】従来例のドアトリムアッパーの縦断面図であ
る。
【図12】実施例の応用例に係わる樹脂発泡層Fの縦断
面図である。
【図13】実施例の応用例に係わる樹脂発泡層Gの縦断
面図である。
【図14】応用例に関して衝撃吸収試験を行って得られ
た変位応力曲線の概略図である。
【符号の説明】
1 ;ドアトリムアッパー、D;ドアトリム、1;外殻
部、2;衝撃吸収部、A、B、E、F、G;樹脂発泡
層、A1 、B1 ;第1発泡体1 、A2 、B2 ;第2発泡
体、X1 、X2 、X31、X32、X41、X42、X51
52;変化領域、C1、C2 、C3 、C41、C42
5 ;定値領域、3;ドア部本体。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用ドア部本体の室内側の側面に、該
    室内側の側面より室内方向に突出した状態で配置される
    外殻部と、 該外殻部及び該室内側の側面に挟まれた空間のうちで、
    少なくとも乗員の胸部に対応する箇所に樹脂発泡層で構
    成された衝撃吸収部を備えた車両用内装部材であり、 該樹脂発泡層は、発泡倍率が車幅方向に沿って略連続的
    に変化する変化領域を備えることを特徴とする車両用内
    装部材。
  2. 【請求項2】 上記樹脂発泡層が、上記変化領域を備え
    た単独の樹脂発泡体、又は上記変化領域を備えた樹脂発
    泡体と上記変化領域を備えない樹脂発泡体とを車幅方向
    に沿って積層した積層体で構成される請求項1記載の車
    両用内装部材。
  3. 【請求項3】 上記変化領域を備えた樹脂発泡体は、表
    面側及び裏面側の少なくとも一方から加熱しつつ、厚み
    方向に沿ってプレス処理の施された樹脂発泡体である請
    求項2記載の車両用内装部材。
  4. 【請求項4】 上記各樹脂発泡体が、オレフィン系、ス
    チレン系若しくはポリフェニレンオキシドのビーズ発泡
    体である請求項2又は3記載の車両用内装部材。
  5. 【請求項5】 上記樹脂発泡層は、15〜45倍のうち
    の所定の値を最高発泡倍率とし、且つ、該最高発泡倍率
    の30〜70%の所定の値を最低発泡倍率とすると共
    に、 上記変化領域が、該樹脂発泡層の車幅方向に沿った全肉
    厚の30〜100%に相当する厚み分だけ、存在する請
    求項1乃至4のいずれかに記載の車両用内装部材。
  6. 【請求項6】 上記衝撃吸収部の車幅方向に沿う衝撃入
    力による該車幅方向に対する50%変形時の発生応力が
    3〜9kgf/cm2 である請求項1乃至5のいずれか
    に記載の車両用内装部材。
JP6312595A 1994-11-22 1994-11-22 車両用内装部材 Pending JPH08142758A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6312595A JPH08142758A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 車両用内装部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6312595A JPH08142758A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 車両用内装部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08142758A true JPH08142758A (ja) 1996-06-04

Family

ID=18031097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6312595A Pending JPH08142758A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 車両用内装部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08142758A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001341601A (ja) * 2000-03-31 2001-12-11 Nifco Inc 乗物用内装品
WO2012170671A3 (en) * 2011-06-10 2013-04-25 Henkel Ag & Co. Kgaa Effective vibration damping across a broad temperature range
CN112585056A (zh) * 2018-08-31 2021-03-30 Sika技术股份公司 用于绝缘结构元件的系统

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001341601A (ja) * 2000-03-31 2001-12-11 Nifco Inc 乗物用内装品
WO2012170671A3 (en) * 2011-06-10 2013-04-25 Henkel Ag & Co. Kgaa Effective vibration damping across a broad temperature range
US9121470B2 (en) 2011-06-10 2015-09-01 Henkel Ag & Co. Kgaa Effective vibration damping across a broad temperature range
EP2742256A4 (en) * 2011-06-10 2015-10-14 Henkel Ag & Co Kgaa EFFECTIVE VIBRATION DAMPING VIA A WIDE TEMPERATURE RANGE
CN112585056A (zh) * 2018-08-31 2021-03-30 Sika技术股份公司 用于绝缘结构元件的系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2990057B2 (ja) 車体側部のエネルギー吸収構造
JP3076865B2 (ja) 自動車のカウリング部材、特にドアカウリング支持体
JP2010520121A (ja) 補強用発泡体を有する、歩行者に安全な自動車フード
US8444209B2 (en) Trim for vehicles and door trim for vehicles
JP3488864B2 (ja) 車両用衝撃吸収部材
JPH08142758A (ja) 車両用内装部材
US6832810B2 (en) Flexible headliner for automotive vehicle
JP4218879B2 (ja) 自動車用内装部品
JP3121951B2 (ja) 自動車用内装部品
JPH04362415A (ja) 自動車用ドア
JPH082358A (ja) 車両の乗員保護用パッディング構造
JP2914598B2 (ja) 自動車用ドアトリム
JP2524791Y2 (ja) 車両のエネルギー吸収構造
JP2914595B2 (ja) 車両側部の衝撃吸収構造
JP3121952B2 (ja) 車両側部の衝撃吸収構造
JP2860940B2 (ja) 車両用ドア構造
JP2574732Y2 (ja) 自動車のピラー構造
JPH0995197A (ja) 車体側部のエネルギー吸収構造
JP2004175284A (ja) 車両側部のエネルギー吸収構造
JP4049253B2 (ja) 自動車用内装部品
JP2001206177A (ja) 車体側部のエネルギー吸収構造
JPH04293640A (ja) トリム構造
JP2001080008A (ja) 車輌用内装材
JP2553798Y2 (ja) 自動車用ドア
JPS583712Y2 (ja) キヤクブホゴソウチ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040518

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041005