JPH08142398A - イオンフロー静電記録ヘッド - Google Patents

イオンフロー静電記録ヘッド

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JPH08142398A
JPH08142398A JP28810194A JP28810194A JPH08142398A JP H08142398 A JPH08142398 A JP H08142398A JP 28810194 A JP28810194 A JP 28810194A JP 28810194 A JP28810194 A JP 28810194A JP H08142398 A JPH08142398 A JP H08142398A
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JP
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electrode
opening
electrodes
molten salt
titanium
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JP28810194A
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English (en)
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Naohito Shiga
直仁 志賀
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は動作時に、第2電極の各開口部からの
放電状態を均一化してイオン発生量を安定化させ、かつ
第2電極の開口部周辺の電極表面の侵蝕状態のばらつき
を防止して耐久性を向上させ、安価に製造することを最
も主要な特徴とする。 【構成】第2電極14をステンレス材料によって形成
し、第2電極14の開口部14a内壁面及び開口部14
aの周囲表面に、溶融塩中からの電解析出によって成膜
されたチタン薄膜の被覆層22を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電式の印刷や複写に利
用されるイオンフロー静電記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば静電印刷などにおいて、
高電流密度のイオンを発生させ、これを抽出して選択的
に被帯電部材に付与して、この被帯電部材を画像上に帯
電させる静電記録装置が知られている。
【0003】この静電記録装置に用いられるイオンフロ
ー静電記録ヘッドには図3(A),(B)に示すよう
に、絶縁基板1上に同方向に略直線状に延設され、略平
行に並設された複数の第1電極2が設けられている。こ
れらの第1電極2は誘電体層3の一方の面に固着されて
いる。
【0004】また、誘電体層3の他方の面には第1電極
2の延設方向と異なる方向に延設された複数の第2電極
4が固着されている。そして、複数の第1電極2…と複
数の第2電極4…とでマトリックスが構成されている。
さらに、この第2電極4のマトリックスと対応する部位
にはイオン発生用の開口部4aが形成されている。
【0005】また、第2電極4の第1電極2と反対側に
は絶縁体層5を介して第3電極6が配設されている。こ
れらの絶縁体層5および第3電極6には第2電極4の開
口部4aと対応する開口部5a,6aが形成されてお
り、これらの開口部5a,6aによってイオン流通過口
7が形成されている。
【0006】そして、第1電極2と第2電極4との間の
マトリックスの選択された部分に対応する第1電極2と
第2電極4との間に交互に高電圧を印加することによ
り、その部分に対向する第2電極4の開口部4a近傍に
正・負のイオンが発生する。
【0007】また、第2電極4と第3電極6との間には
バイアス電圧が印加され、その極性によって決まるイオ
ンのみが発生したイオンから選択的に抽出され、イオン
流通過口7を通過し、第3電極6と対向配置される被帯
電部材を部分的に帯電させることができる。したがっ
て、マトリックス構造の電極を選択的に駆動することに
より、ドットによる静電記録を行なうことができる。
【0008】ここで使用される誘電体層3を形成する誘
電物質は、イオン発生のために印加される高電圧でも絶
縁破壊しないことが要求される。また、この誘電体層3
はイオンを効率良く発生させ、絶縁破壊にも耐えられる
程度の厚さを必要とするため、高誘電率を有するものが
適している。例えば、特開平2−153760号公報で
は誘電体層3の材料として、シリコーン変性ポリエステ
ルアルキド樹脂中に酸化チタン粉を混在させたものが用
いられている。
【0009】また、同公報では第2電極4用の材料とし
てはステンレス鋼のシートが用いられているとともに、
この第2電極4を誘電体層3に固着する接着剤8にはシ
リコーン系の感圧接着剤が用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−15376
0号公報に開示されているように、第2電極4の材料と
してステンレス鋼のシートを用いた場合には、この第2
電極4は厚さ5μm以下の接着剤8の層を介して誘電体
層3の表面に固着される。この場合、第2電極4の厚さ
や、接着剤8の塗布条件、第2電極4との貼り合わせ作
業時の加圧のばらつき、或いは第2電極4の開口部4a
内に露出される誘電体層3の表面の接着剤除去条件等に
より、第2電極4と誘電体層3の表面との間の接着状態
に局部的なばらつきが発生する問題がある。そのため、
イオンフロー静電記録ヘッドの動作時には第2電極4の
開口部4aの内周壁面以外に、第2電極4の非開口部の
表面からも放電が発生するおそれがある。
【0011】このように、第2電極4の開口部4aの内
周壁面以外の部分から局部的に放電が発生した場合に
は、イオンフロー静電記録ヘッドの動作時に、局部的に
放電状態のばらつきが発生するので、静電記録される画
像の画質が低下する問題がある。
【0012】さらに、イオンフロー静電記録ヘッドの動
作によって生じる、経時的な第2電極4の開口部4aの
周辺のステンレス表面の酸化劣化速度にも、局部的にば
らつきが発生するので、耐久性の向上を図る上でも問題
がある。
【0013】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、イオン発生時に、第2電極の各開口部
からの放電状態を均一化してイオン発生量を安定化させ
ることができるとともに、第2電極の開口部周辺の電極
表面の侵蝕状態のばらつきを防止することができ、耐久
性の向上を図ることもでき、加えて安価に製作できるイ
オンフロー静電記録ヘッドを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は絶縁基
板上に一方向にかつ平行に延設された複数の第1電極
と、この第1電極と交差する方向に延設され、前記第1
電極とともにマトリックスを形成し、このマトリックス
と対応する部位に開口部が形成された複数の第2電極
と、この第2電極に対し前記第1電極とは反対側に配置
され、前記マトリックスと対応する部位に開口部が形成
された第3電極と、前記第1電極と第2電極との間に設
けられた誘電体層と、前記第2電極と第3電極との間に
設けられ、前記マトリックスに対応する部位に開口部が
形成された絶縁体層とを備えたイオンフロー静電記録ヘ
ッドにおいて、前記第2電極をステンレス材料によって
形成し、少なくとも前記第2電極の開口部内壁面及び前
記開口部の周囲表面に、溶融塩中からの電解析出によっ
て成膜されたチタンの薄膜を被覆した被覆層を設けたも
のである。
【0015】請求項2の発明は請求項1の溶融塩は塩化
物−フッ化物混合溶融塩であり、且つ前記電解析出はパ
ルス電析法によるものである。請求項3の発明は請求項
2の溶融塩中にフッ化セリウムを添加するものである。
【0016】
【作用】請求項1の発明ではイオン発生時に第2電極の
開口部の内壁面及びこの開口部の周囲表面のチタン薄膜
の被覆層を通した放電となり、第2電極の各開口部から
の放電にともなう第2電極の開口部の内壁面及びこの開
口部の周囲表面状態の劣化を少なくし、各開口部の放電
イオン量を均一化するようにしたものである。さらに、
安価なステンレス材料によって形成された第2電極の開
口部内壁面及び開口部の周囲表面に、チタン薄膜の被覆
層を設けることにより、第2の電極全体を耐食性に優れ
るチタンで製作するよりも、安価に製作できるようにし
たものである。
【0017】請求項2の発明では請求項1の溶融塩を塩
化物−フッ化物混合溶融塩にすることにより、効率良く
チタンイオンを発生させ易くするとともに、パルス波形
を用いるパルス電析法により、電解析出を行うことによ
り、電析時の大電流により不安定なチタンの結晶を生む
デンドライト成長を抑え、かつイオンの濃度分極を避け
て濃度分布を改善できるようにしたものである。
【0018】請求項3の発明では請求項2の溶融塩中に
フッ化セリウムを添加することにより、フッ素イオンの
濃度を増加し、これによりフッ化チタン錯体あるいは塩
化物−フッ化チタン錯体イオンをより安定にすると同時
に、チタン錯体イオンの還元反応を一旦生じさせること
により、3価の活性イオンとして吸着しやすいセリウム
がチタンと共析しようとしてチタンの析出を誘導させ、
これを促進させるようにしたものである。
【0019】
【実施例】以下、本発明のイオンフロー静電記録ヘッド
の第1の実施例について図1および図2(A)〜(F)
を参照して説明する。図1は静電記録装置のイオンフロ
ー静電記録ヘッドの概略構成を示すもので、11はイオ
ンフロー静電記録ヘッドの絶縁基板である。
【0020】この絶縁基板11上にはイオン発生用の誘
導電極である複数の第1電極12…が設けられている。
これらの複数の第1電極12…は一方向に向けて略平行
に並設されている。
【0021】また、絶縁基板11および第1電極12…
上には誘電体層13が設けられている。この誘電体層1
3の表面には後述する方法で製造された放電電極である
複数の第2電極14…が設けられている。
【0022】さらに、複数の第2電極14…は誘電体層
13における絶縁基板11とは反対側の面に配置され、
第1電極12…と交差する方向に並設されており、第1
電極12…と第2電極14…とによってマトリックスが
構成されている。そして、第2電極14…にはこのマト
リックスと対応する部位にそれぞれイオン発生用の開口
部14a…が形成されている。
【0023】ここで、第2電極14の本体21はステン
レス材料によって形成されている。そして、この第2電
極本体21の表面(第2電極14の各開口部14aの内
壁面及び各開口部14aの周囲表面)には溶融塩中から
の電解析出によって成膜されたチタンの薄膜が被覆され
た被覆層22が設けられている。
【0024】また、誘電体層13における第2電極14
…の並設面側には第2電極14…を埋設する状態で絶縁
体層15が設けられている。さらに、絶縁体層15の表
面には帯状の第3電極16が接着されている。この第3
電極16には第1電極12…と第2電極14…とのマト
リックスと対応する部位に開口部16a…が形成されて
いる。
【0025】また、絶縁体層15には第2電極14…の
各開口部14a…と第3電極16の各開口部16a…と
の間を連通する開口部15a…が形成されている。そし
て、第3電極16の開口部16a…は絶縁体層15の開
口部15a…を介して第2電極14…の開口部14a…
と連通されてイオンフロー静電記録ヘッドのイオン流通
過口17…が形成されている。
【0026】そして、イオンフロー静電記録ヘッドの動
作時には印字信号にもとづいて第1電極12…と第2電
極14…との間のマトリックスが適宜選択され、選択さ
れたマトリックス部分に対応する第1電極12…と第2
電極14…との間に交流電圧が印加される。
【0027】これにより、選択されたマトリックス部分
に対応する第2電極14…の開口部14a…内の近傍部
位に正・負イオンが発生する。このとき、第2電極14
…と第3電極16との間にはバイアス電圧が印加され、
その極性によって決まるイオンのみが第2電極14…の
開口部14a…内の近傍部位に発生したイオンから抽出
される。
【0028】そして、抽出されたイオンは絶縁体層15
の開口部15aおよび第3電極16の開口部16a…を
通過し、図示しない誘電体ドラムを局部的に帯電させ
る。したがって、第1電極12…および第2電極14…
の選択的駆動により、誘電体ドラム上にドット潜像を形
成することができる。
【0029】次に、上記イオンフロー静電記録ヘッドの
製造方法について、図2(A)〜(F)を参照して具体
的に説明する。本実施例では絶縁基板11は厚さ0.6
mmで表面をグレーズ処理した純度96%のアルミナ製
基板によって形成されている。さらに、この絶縁基板1
1の板面にはその表面が洗浄された後、スクリーン印刷
によって金レジネートが全面に塗布される。
【0030】続いて、絶縁基板11上の金レジネート塗
布層に次のフォトエッチング処理が施されることによ
り、絶縁基板11上に第1電極12が形成される。この
フォトエッチング処理工程では絶縁基板11上の金レジ
ネート塗布層の表面に厚さ10μmのレジストフィルム
がラミネートされる。さらに、このレジストフィルムの
上に予め第1電極12のパターンが描画されたフォトマ
スクが載置される。そして、このフォトマスクを介して
レジストフィルムが紫外線で露光されたのち、現像して
レジストのパターニングが行われる。さらに、ここでパ
ターニングされたレジストをマスクにして絶縁基板11
上の金レジネート塗布層のエッチングを行うことによ
り、図2(A)に示すように絶縁基板11上に第1電極
12のパターンが形成される。
【0031】さらに、絶縁基板11における第1電極1
2のパターン形成面側に、ガラスバインダー系の比誘電
率14の誘電体ペーストが塗布され、850℃で焼き付
けられる。この作業が4回繰り返されて図2(B)に示
すように厚さ30μmの誘電体層13が形成される。
【0032】次に、厚さ30μmのSUS304製ステ
ンレス箔をフォトエッチング加工することにより、図2
(C)に示すように第2電極14の本体21が成形され
る。この第2電極14の本体21には複数の第2電極1
4…および各第2電極14の開口部14a…のパターン
が形成されている。
【0033】また、第2電極14の本体21が成形され
た後、この第2電極本体21の表面全体に溶融塩中から
の電解析出によって成膜されたチタンの薄膜が被覆され
た被覆層22を形成する次の被覆層形成工程が行われ
る。この被覆層形成工程では、まず、第2電極14の本
体21がアセトンで超音波洗浄され、乾燥後、電解析出
用のカソード電極としてアルミナ製電解セルにセットさ
れる。ここで、電解用の対極であるアノード電極として
は、純度99.5%、直径10mmφのチタン棒または
チタン板が用いられる。
【0034】また、電解析出に用いられる溶融塩として
は、例えば塩化物溶融塩、フッ化物溶融塩、塩化物−フ
ッ化物混合溶融塩等のハロゲン化物の溶融塩が用いられ
る。なお、本実施例の溶融塩としては脱水した等モルK
Cl−NaCl(塩化カリウム−塩化ナトリウム)混合
塩120gに、24gのK2 TiF6 と適量のチタン線
を添加したものが用いられる。
【0035】そして、電解セルをアルゴンガス不活性雰
囲気下で、500℃以上の目的温度、例えば600℃に
加熱昇温したのち、チタン補助電極を用いて予備電解を
行い、TiとTi4+とが反応される。さらに、この状態
で1時間経過した後、700℃まで昇温してパルス電流
によるチタンコーティングが行われ、第2電極14の本
体21の表面にチタン薄膜の被覆層22が電析される。
なお、溶融塩からの電解析出にはパルス電流や、パルス
電位等のパルス電析法が用いられる。ここで、パルス電
流の場合、カソード方向のみの波形、またはアノードに
反転する波形等方法がある。本実施例のアルミナ製電解
セルではアノード反転したパルス電流が用いられる。こ
のパルス電流は−1.0A/cm2 で0.5秒、続いて
−0.5A/cm2 で3.5秒、引き続き0.5A/c
2 で1.0秒を1周期として設定されている。
【0036】また、第2電極14の本体21の表面への
チタン薄膜の被覆層22の電析後、この電析部品を徐冷
し、超音波水洗後、乾燥させることにより、図2(D)
に示すように第2電極本体21にチタン薄膜の被覆層2
2が電析された第2電極14の電析部品が製作される。
なお、この第2電極14の電析部品のX線回析の結果、
ここで得られたチタン薄膜の被覆層22の結晶配向性
は、(011)面のピーク強度が最も強く現れた。
【0037】次に、この第2電極14における誘電体層
13側の表面に、シリコーン系粘着剤23を厚さ約5μ
mにスプレーで塗布し、第1電極12と位置合わせしな
がら図2(E)に示すように第2電極14を誘電体層1
3上に貼り付ける。
【0038】続いて、誘電体層13と第2電極14の表
面に厚さ50μmの感光性のフィルム状絶縁体層15が
真空ラミネートされたのち、通常の感光性フィルムと同
様に、露光・現像等のフォトリソグラフィー処理が施さ
れて図2(F)に示すように開口部15aが形成され
る。
【0039】次に、第2電極14…の開口部14a…と
対応した開口部16a…が予め形成された第3電極16
が絶縁体層15の開口部15aと第3電極16の開口部
16aとを位置合わせさせた状態で絶縁体層15上に重
ね合わされて図1に示すイオンフロ−静電記録ヘッドが
製造される。なお、第3電極16はステンレス箔をフォ
トエッチングにより作製し、絶縁体層15と第3電極1
6とは粘着剤や両面テープで貼り合わせる他、第3電極
15上から片面テープで絶縁体層15に貼り付けてもよ
い。
【0040】そこで、上記構成のイオンフロー静電記録
ヘッドでは次の効果を奏する。すなわち、第2電極14
の開口部14aの内壁面及び開口部14aの周囲表面が
高融点で耐食性が高いチタン薄膜である被覆層22で被
覆されているので、イオンフロー静電記録ヘッドの第2
電極14の各開口部14aからのイオン発生時には被覆
層22を通した放電となる。そのため、この放電による
第2電極14の各開口部14aの内壁面及び開口部14
aの周囲表面からの酸化、劣化が防止できるので、これ
に伴う第2電極14の表面の侵食が防止できる。その結
果、第2電極14の各開口部14aの内壁面及び開口部
14aの周辺の表面状態を経時的にも安定で、均一な状
態に維持することができるので、各開口部14aからの
放電状態を均一化してイオン発生量を安定化させること
ができ、静電記録される画像の高画質化を図ることがで
きる。
【0041】また、第2電極14の本体21を安価なス
テンレス材料(ステンレス箔)によって形成し、この第
2電極本体21の表面(第2電極14の各開口部14a
の内壁面及び各開口部14aの周囲表面)だけに電解表
面処理を行いチタンの薄膜が被覆された被覆層22を設
けたので、第2電極14全体を耐食性に優れるチタンで
製作する場合に比べて安価に製作することができる。そ
のため、格別に高価なチタン合金製の部品を加工するこ
となく、安価にイオンフロー静電記録ヘッドを製作する
ことができるので、イオンフロー静電記録ヘッド全体の
コスト低下を図ることができる。
【0042】さらに、ステンレス製の第2電極14の表
面を所定の溶融塩中の電解析出法でチタンコーティング
する方法では第2電極本体21のステンレス表面に耐食
性に優れるチタンの被覆層22が薄膜状に成膜され、且
つその膜は緻密で被覆性に優れたものとなる。
【0043】なお、溶融塩中の電解析出法でチタンコー
ティングする際のネット電流量の制御を高精度に行うこ
とにより、第2電極本体21のステンレス表面に成膜さ
れるチタン薄膜の被覆層22の性質・膜厚を再現性良く
することができる。
【0044】また、溶融塩中の電解析出法で使用される
溶融塩として塩化物系、フッ化物系、塩化物−フッ化物
混合系等のハロゲン系の溶融塩を用いることにより、効
率良くチタンイオンを発生させ易く、更に、電解析出に
パルス波形を用いることにより、電析時の大電流により
不安定なチタンの結晶を生むデンドライト成長を抑える
ことができるとともに、イオンの濃度分極を避けて濃度
分布を改善できる。
【0045】特に、パルス電流による電析の初期に、分
布が均一で、表面被覆率が高い結晶核が生成及び成長す
ることは、平滑で緻密な電析薄膜になる為の必要条件で
ある。なお、電解析出にパルス電流を利用した場合には
直流電析よりも電析物の結晶粒は大きくなるが、これは
吸着阻害効果が強められたためと考えられる。さらに、
パルス電流の場合には、反転電流により、電析薄膜の突
出部や、エッジ部が優先放電して溶解し、チタン薄膜の
被覆層22を一層平滑化することができる。
【0046】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。これは、第1の実施例において、第2電極本体2
1の表面全体に溶融塩中からの電解析出によってチタン
薄膜の被覆層22を形成する被覆層形成工程で電解析出
に使用される溶融塩として、脱水した等モルKCl−N
aCl混合塩120gに、24gのK2 TiF6 (フッ
化チタンカリウム)と適量のチタン線を添加したものを
用いた代わりに、脱水した共晶LiCl(塩化リチウ
ム)−NaCl−KCl(52−10−38mol%)
の混合塩を用い、ここに2mol%のK2 TiF6 と適
量のチタン線を添加したものを用いたものである。その
他は、第1の実施例と同様である。なお、本実施例で用
いたパルス電流は、−0.45A/cm2 で0.5秒、
続いて−0.2A/cm2 で4秒、引き続いて0.5A
/cm2 で0.5秒を1周期として設定したものであ
る。
【0047】そこで、上記構成のものにあっては第1の
実施例と同様の効果が得られる他、本実施例では特に第
1の実施例よりも若干電流密度を少なくして被覆層形成
工程で電解析出処理できるので、第2電極本体21の表
面全体により緻密な被覆層22を成膜できる。
【0048】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。これは、第2の実施例において用いた溶融塩中
に、CeF3 (フッ化セリウム)を1mol%添加した
ものである。その他は、第1の実施例と同様である。
【0049】そして、電解析出に使用される溶融塩中に
フッ化セリウムの添加により、フッ素イオンの濃度が増
加してフッ化チタン錯体あるいは塩化物−フッ化チタン
錯体イオンがより安定になると同時に、チタン錯体イオ
ンの還元反応が一旦生じると、3価の活性イオンとして
吸着しやすいセリウムがチタンと共析しようとして、チ
タンの析出を誘導し促進する。なお、溶融塩中のフッ化
セリウムの添加量は1mol%以上で十分な効果が得ら
れる。そのため、電解析出中のチタンの析出が促進され
て、第2電極本体21の表面全体により緻密で均一で被
覆性に富んだ被覆層22を成膜できる。但し、この場合
には被覆層22中の結晶粒は大きくなり、被覆層22の
膜厚が厚くなり易いので、予め放電特性に対する第2電
極14の厚さ設定をシミュレーションしておく必要があ
る。
【0050】そこで、上記構成のものにあっては第2の
実施例と同様の効果が得られる他、本実施例ではさらに
電析薄膜である被覆層22の均一性、被覆性が向上し、
その結果、耐食性も向上させることができる。
【0051】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、本発明に用いられる誘電体層13
としては、誘電体粉末、例えば高誘電率の無機物粉末を
有機高分子材料中、或いはセラミック系バインダー中に
分散させたペースト状のものを、加圧焼成したり、グリ
ーンシート化して焼成し、シート状に成形したものを用
いることができる。ここで、誘電体粉末としては、酸化
チタン、チタン酸バリウム、ジルコン酸鉛等を用いるこ
とができる。さらに、ポリフッ化ビニリデンや、シアノ
基含有ポリマーや、シアノエチルソルビトール含有ポリ
マー等の有機高誘電率フィルムを用いることもできる。
【0052】また、有機高分子材料としては、熱硬化性
アルキド樹脂や、エポキシ樹脂等の合成樹脂成分、ある
いは金属アルコキシド等の有機化合物に必要に応じて有
機溶剤を添加したものを、セラミック系バインダーとし
ては低融点ガラス、水ガラス、非結晶ガラス、結晶性ガ
ラス等を用いることができる。
【0053】また、第2電極本体21の溶融塩中の電解
析出法での電解浴温度は、十分に溶融させられる500
〜900℃の範囲位を適用すればよい。特に、十分に脱
水およびTi2+等の低価チタンイオンを生成させるため
には500〜600℃でチタン補助電極を用いて予備電
解すると良い。但し、電解浴温度が750〜800℃を
超えると、結晶粒は大きくなり、耐食性に優れる(01
1)面よりも若干耐食性の劣る(110)面が多く配向
してくる。さらに、電解浴温度が550℃未満の場合に
は銀白色の金属光沢のある良好な膜とならないため、電
解浴温度は好ましくは550℃以上750℃以下で処理
する方が良い。但し、欠陥をより少なく、且つチタン薄
膜の被覆層22の膜厚を厚くしても良い場合には、電解
浴温度としては原子の拡散速度が大きくなり、結晶化が
十分に達成される高温度域を用いた方が良い。
【0054】さらに、その他本発明の要旨を逸脱しない
範囲で種々変形実施できることは勿論である。次に、本
出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
【0055】記 (付記項1) 絶縁基板上に一方向にかつ平行に延設さ
れた複数の第1の電極と、この第1の電極と交差する方
向に延設され、前記第1の電極とともにマトリックスを
形成し、このマトリックスに対応する部位に開口部が形
成された複数の第2の電極と、この第2の電極に対し前
記第1の電極とは反対側に配置され、前記マトリックス
に対応する部位に開口部が形成された第3の電極と、前
記第1の電極と第2の電極との間に設けられた誘電体層
と、前記第2の電極と第3の電極との間に設けられ、前
記マトリックスに対応する部位に開口部が形成された絶
縁層とを具備するイオンフロー静電記録ヘッドにおい
て、前記第2の電極がステンレス製であり、その表面の
全部または一部に、溶融塩中からの電解析出によるチタ
ンの薄膜を成膜した事を特徴とするイオンフロー静電記
録ヘッド。
【0056】(付記項2) 前記溶融塩が塩化物−フッ
化物混合溶融塩であり、且つ前記電解析出がパルス電析
法によることを特徴とする特許請求第1項記載のイオン
フロー静電記録ヘッド。 (付記項3) 前記溶融塩中にフッ化セリウムを添加す
ることを特徴とする特許請求第2項記載のイオンフロー
静電記録ヘッド。
【0057】
【発明の効果】請求項1の発明によれば第2電極をステ
ンレス材料によって形成し、少なくとも第2電極の開口
部内壁面及び開口部の周囲表面に、溶融塩中からの電解
析出によって成膜されたチタンの薄膜を被覆した被覆層
を設けたので、チタン薄膜の被覆層を通した放電とな
り、この放電による第2電極の表面からの酸化、劣化が
防止できる。そのため、第2電極表面の侵食を防止して
第2電極の各開口部内壁面及び開口部周辺の表面状態が
経時的にも安定で、均一な状態に維持され、耐久性を高
めることができるとともに、各開口部からの放電も安定
で均一化し、静電画像の高画質化を図ることができる。
さらに、安価なステンレス材料によって形成された第2
電極の開口部内壁面及び開口部の周囲表面に、チタン薄
膜の被覆層を設けることにより、第2の電極全体を耐食
性に優れるチタンで製作するよりも、安価に製作でき
る。
【0058】請求項2の発明によれば請求項1の溶融塩
を塩化物−フッ化物混合溶融塩にすることにより、効率
良くチタンイオンを発生させ易くするとともに、パルス
波形を用いるパルス電析法により、電解析出を行うこと
により、電析時の大電流により不安定なチタンの結晶を
生むデンドライト成長を抑え、かつイオンの濃度分極を
避けて濃度分布を改善できる。
【0059】請求項3の発明によれば請求項2の溶融塩
中にフッ化セリウムを添加することにより、フッ素イオ
ンの濃度を増加し、これによりフッ化チタン錯体あるい
は塩化物−フッ化チタン錯体イオンをより安定にすると
同時に、チタン錯体イオンの還元反応を一旦生じさせる
ことにより、3価の活性イオンとして吸着しやすいセリ
ウムがチタンと共析しようとしてチタンの析出を誘導さ
せ、これを促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例のイオンフロ−静電記
録ヘッドの要部の縦断面図。
【図2】 同実施例のイオンフロ−静電記録ヘッドの製
造工程を示す説明図。
【図3】 (A)はイオンフロ−静電記録ヘッドの概略
構成を示す要部の縦断面図、(B)はイオンフロ−静電
記録ヘッドの断面斜視図。
【符号の説明】 11…絶縁基板、12…第1電極、13…誘電体層、1
4…第2電極、15…絶縁体層、16…第3電極、22
…被覆層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に一方向にかつ平行に延設さ
    れた複数の第1電極と、この第1電極と交差する方向に
    延設され、前記第1電極とともにマトリックスを形成
    し、このマトリックスと対応する部位に開口部が形成さ
    れた複数の第2電極と、この第2電極に対し前記第1電
    極とは反対側に配置され、前記マトリックスと対応する
    部位に開口部が形成された第3電極と、前記第1電極と
    第2電極との間に設けられた誘電体層と、前記第2電極
    と第3電極との間に設けられ、前記マトリックスに対応
    する部位に開口部が形成された絶縁体層とを備えたイオ
    ンフロー静電記録ヘッドにおいて、 前記第2電極をステンレス材料によって形成し、少なく
    とも前記第2電極の開口部内壁面及び前記開口部の周囲
    表面に、溶融塩中からの電解析出によって成膜されたチ
    タンの薄膜を被覆した被覆層を設けたことを特徴とする
    イオンフロー静電記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記溶融塩は塩化物−フッ化物混合溶融
    塩であり、且つ前記電解析出はパルス電析法によるもの
    であることを特徴とする請求項1に記載のイオンフロー
    静電記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記溶融塩中にフッ化セリウムを添加す
    ることを特徴とする請求項2に記載のイオンフロー静電
    記録ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20190122787A (ko) 2017-03-01 2019-10-30 고쿠리츠 다이가쿠 호진 교토 다이가쿠 티탄박 또는 티탄판의 제조 방법, 및 캐소드 전극

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