JPH08142271A - 被覆用シート及びその製造方法 - Google Patents

被覆用シート及びその製造方法

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JPH08142271A
JPH08142271A JP6280512A JP28051294A JPH08142271A JP H08142271 A JPH08142271 A JP H08142271A JP 6280512 A JP6280512 A JP 6280512A JP 28051294 A JP28051294 A JP 28051294A JP H08142271 A JPH08142271 A JP H08142271A
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JP
Japan
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sheet
base material
material layer
layer
elastomer
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Application number
JP6280512A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Uno
拓明 宇野
Akitaka Miyake
顕隆 三宅
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐傷付性(耐スクラッチ性)や柔らかな接触
感(ソフトタッチ感)及び深絞り成形性に優れ、しかも
複雑な製造工程を経ることがなく製造が容易な被覆用シ
ート及びその製造方法を提供する。 【構成】 この被覆用シート10は、熱可塑性ウレタン
系エラストマーを主成分とする表面層11と熱可塑性エ
ラストマー(例えば熱可塑性オレフィン系エラストマ
ー)を主成分とする基材層12とを積層してなるシート
であって、基材層12を構成する熱可塑性エラストマー
は架橋されている(図1のA)。なお、表面層11と基
材層12とは接着性樹脂層(例えば酸変性されたエチレ
ン系樹脂層)13を介して積層されていてもよい(図1
のB)。このような被覆用シート10又は10' は、共
押出法にしてシートを成形し、その後基材層12を構成
する熱可塑性エラストマーを架橋させることにより容易
に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被覆用シート及びそ
の製造方法に関し、さらに詳しくいえば、建物や車両の
内装材、事務用機器や家電製品のハウジング、日用品な
どの成形品で、人が触る表面に被覆して良好な耐傷付性
と柔らかな感触とを付与するために用いられる被覆用シ
ート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の被覆用シートとしては、
主に、表面がエンボス加工された軟質塩化ビニル樹脂か
らなるシートが用いられ、このシートを表皮材とし、そ
の裏面側に発泡ポリウレタン等の発泡シートが積層され
た積層シートが用いられてきた。
【0003】しかし、軟質塩化ビニル樹脂からなるシー
トを表皮材として用いた場合、樹脂中に含有されている
可塑剤が滲み出して表面にべとつき感があり、しかも柔
軟性がまだ充分に満足のいくものではなかった。また、
表面処理等が必要でその製造工程も複雑であった。
【0004】このような欠点を改善するために、オレフ
ィン系樹脂と部分架橋エチレン−αオレフィン系共重合
体ゴムとのブレンド体からなり、表面がエンボス加工さ
れた熱可塑性エラストマーのシートを表皮材として用い
ることが提案されている(特公平1−14023号公報
参照)。
【0005】ところが、このような熱可塑性オレフィン
系エラストマーからなる被覆用シート(表皮材)は、耐
傷付性(耐スクラッチ性)や柔らかな感触(ソフトタッ
チ感)が充分に満足のいくものではない。また、耐熱性
や延伸性が充分でなく、真空成形等の熱成形により深絞
り加工を行う場合には、偏肉(厚肉部と薄肉部との差
が)大きく、深絞り加工性が充分に満足のいくものでは
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解決するもので、その目的とするところは、耐傷付
性(耐スクラッチ性)や柔らかな感触(ソフトタッチ
感)及び深絞り加工性(二次加工において厚みむらが小
さい)に優れ、しかも複雑な製造工程を経ることがなく
製造が容易な被覆用シート及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の被覆用シート
は、熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成分とする表
面層と、熱可塑性エラストマーを主成分とする基材層と
が積層されてなるシートであって、上記基材層を構成す
る熱可塑性エラストマーが架橋されていることを特徴と
し、それにより上記の目的を達成することができる。
【0008】また、この発明の被覆用シートの製造方法
は、熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成分とする表
面層と熱可塑性エラストマーを主成分とする基材層とを
共押出してシートを成形し、その後上記基材層を構成す
る熱可塑性エラストマーを架橋させることを特徴とし、
それにより上記の目的を達成することができる。
【0009】以下、図面を参照しながら、この発明を詳
細に説明する。図1(A)はこの発明の被覆用シートの
一例を示す断面図、(B)はこの発明の被覆用シートの
他の例を示す断面図であり、11は表面層、12は基材
層、13は接着性樹脂層、10及び10’は被覆用シー
トである。
【0010】この発明において、表面層11を構成する
熱可塑性ウレタン系エラストマーは、常温でゴム弾性を
有し、高温では可塑化されて各種の形状に成形加工が可
能なものであり、一般に分子中にエントロピー弾性を有
するゴム成分(ソフトセグメント)として、ポリエーテ
ル、ポリエステル、ポリカーボネートを有し、塑性変形
を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント)と
して、ウレタン結合で構成されたセグメントを有してい
る。なお、成形可能な範囲において、分子内に部分架橋
を有するものであってもよい。
【0011】上記熱可塑性ウレタン系エラストマーのガ
ラス転移点(Tg)は、−50〜20℃が好ましい。ガ
ラス転移点が高すぎると低温衝撃性が低下し、逆にガラ
ス転移点が低すぎると耐傷付性が悪くなる。また、分子
量が高すぎるとシートの剛性が低下し、逆に分子量が低
すぎるとシートの柔軟性が悪くなるので、重量平均分子
量で2万〜300万の範囲が好ましい。また、その硬さ
は裏面側に積層される基材層やその他の層の硬さや、厚
みによっても異なるが、JIS A硬度で50〜98程
度の範囲のものが好ましい。
【0012】このような熱可塑性ウレタン系エラストマ
ーとしては、例えば、日本ミラクトラン社製のミラクト
ランE990P(商品名)、旭硝子社製のPN3429
(商品名)、大日本インキ化学社製のT7890(商品
名)等が挙げられる。
【0013】上記熱可塑性ウレタン系エラストマーに
は、表面層11の表面に艶消し感(スエード感)を付与
するために、弾性微粒子を含有させてもよい。ここで、
弾性微粒子とは、その形状が変形するまで加圧した後に
開放した際に、弾性回復する性質を有する微粒子であっ
て、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−
ウレタン樹脂、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共
重合体等からなり、上記熱可塑性ウレタン系エラストマ
ーの溶融混練成形の際に溶融しないものが用いられる。
【0014】これ等の弾性微粒子の形状は、球状のもの
に限らず、冷凍粉砕などの手段で得られる非球状のもの
も使用することができる。弾性微粒子の平均粒径は、通
常、1〜50μm 、好ましくは5〜40μm の範囲とさ
れ、上記熱可塑性ウレタン系エラストマー100重量部
に対して、通常、20〜200重量部、好ましくは50
〜150重量部が含有される。なお、上記弾性微粒子は
一種に限らず、二種以上を併用してもよい。
【0015】弾性微粒子の平均粒径が1μm を下回る
と、充分な艶消し感を有する表面層が得にくくなり、逆
に平均粒径が50μm を上回ると、表面層をシート状に
押出し展延する際に表面に亀裂が生じやすくなる。ま
た、熱可塑性ウレタン系エラストマー100重量部に対
する含有量が20重量部より少なくなると表面層の表面
に良好な艶消し感が付与されず、逆に含有量が200重
量部より多くなると表面層を押出し展延する際に表面に
亀裂が生じやすくなる。
【0016】表面層11を構成する上記熱可塑性ウレタ
ン系エラストマーは、主に、良好な耐傷付性を付与する
ためのもので、この表面層11の厚さは一般に5〜50
0μm で比較的薄く形成され、このように比較的薄くて
も良好な耐傷付性が付与される。
【0017】また、この発明において、基材層12を構
成する熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を有
し、高温では可塑化されて各種の形状に成形加工が可能
なものであり、一般に分子中にエントロピー弾性を有す
るゴム成分(ソフトセグメント)と、塑性変形を防止す
るための分子拘束成分(ハードセグメント)とを有して
いる。なお、成形可能な範囲において、分子内に部分架
橋を有するものであってもよい。
【0018】このような熱可塑性エラストマーとして
は、スチレン系、ウレタン系、オレフィン系、エステル
系、塩化ビニル系、アミド系、アイオノマー系、天然ゴ
ム系、フッソ樹脂系、ブチルゴムグラフトポリエチレ
ン、1,2−ブタジエン系、トランス−1,4−イソプ
レン系など各種のものが適宜用いられる。これ等の熱可
塑性エラストマーの硬さは、得ようとする被覆用シート
の感触によって異なるが、一般にJIS A硬度で50
〜98程度のものが好ましい。なお、基材層12は、こ
れ等の熱可塑性エラストマーを用いた単層でも複層でも
よい。
【0019】特に、基材層12の裏面側に、発泡シート
としてオレフィン系樹脂発泡シートを積層する場合、基
材層12を構成する熱可塑性エラストマーとしては、オ
レフィン系樹脂発泡シートとの接着性の面からオレフィ
ン系エラストマーが好ましい。
【0020】上記オレフィン系エラストマーは、ハード
セグメントとして、ポリプロピレンを有し、ソフトセグ
メントとして、エチレン−プロピレンターポリマー(E
PT)やエチレン−プロピレンラバー(EPR)、或い
はこれ等のブレンド物、或いは成形可能な範囲において
部分架橋したもの、或いは不飽和ヒドロキシ単量体や不
飽和カルボン酸の誘導体でグラフト変性したもの等を有
している。
【0021】このような熱可塑性オレフィン系エラスト
マーとしては、例えば、三井石油化学社製のミラストマ
ー8030N(商品名)やミラストマー5030N(商
品名)等が挙げられる。なお、熱可塑性オレフィン系エ
ラストマーを使用する場合は、この熱可塑性オレフィン
系エラストマーの押出成形性等を改良するために、ポリ
プロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのオレフィ
ン系樹脂がブレンドされていてもよい。
【0022】そして、上記基材層12を構成する熱可塑
性エラストマーは架橋されている。この基材層12の架
橋度は、ゲル分率で1〜40%が好ましく、5〜30%
がさらに好ましい。ゲル分率が低すぎると延伸性が悪く
なって深絞り加工時に被覆用シートに破れが生じやすく
なり、逆にゲル分率が高すぎると伸びにくくなって深絞
り加工ができなくなる。
【0023】ここで、ゲル分率は、架橋した試料(基材
層)を240メッシュのステンレス網に包み、これを1
20℃のキシレンに24時間浸漬してステンレス網内に
残る不溶解部分(ゲル分)の重量を測定し、(不溶解部
分の重量/浸漬前の試料の重量)×100(%)で求め
る。
【0024】基材層12を構成する熱可塑性エラストマ
ーを架橋するには、この基材層に電子線等の電離性放射
線を照射する架橋方法が好適に採用される。この場合、
必要に応じて、熱可塑性エラストマーに、架橋助剤とし
て、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート等の多官能性モノマーを含有させておくの
が好ましい。その他、有機過酸化物を用いる架橋方法、
シラン化合物を用いる架橋方法、多官能性ポリマーを用
いる架橋方法など公知の架橋方法が採用される。
【0025】基材層12を構成する熱可塑性エラストマ
ーは、上記表面層11を補強し、柔軟なソフトタッチ感
を付与し、また表面層11の表面に良好なエンボス加工
を施すための支持体となるもので、基材層2の厚さは一
般に150〜3000μm で上記表面層よりも厚く形成
される。
【0026】この発明の被覆用シートは、図1(A)に
示すように、上述の表面層11と基材層12とが直接熱
融着により積層されて被覆用シート10が構成されても
よく、また図1(B)に示すように、接着性樹脂層13
を介して接着されることにより積層されて被覆用シート
10’が構成されてもよい。
【0027】上記接着性樹脂層13を構成する樹脂とし
ては、表面層11及び基材層12を構成する樹脂と接着
性を有するポリマーが用いられる。このような樹脂分と
しては、主鎖又は側鎖に水酸基、アミド基、エポキシ
基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基等の官能基を
有する化合物を含むポリマーが好ましく、例えば、酸変
性されたポリエチレン、酸変性されたポリプロピレン、
酸変性されたスチレン−ブダジエン−スチレン共重合体
(SBS)、酸変性されたスチレン−エチレン・ブチレ
ン−スチレン共重合体(SEBS)などが好適である。
【0028】なお、上記基材層12の裏面側には、クッ
ション性を付与するために、熱可塑性樹脂発泡シートが
積層されていてもよい。この種の熱可塑性樹脂発泡シー
トとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレ
フィン系樹脂発泡シート、ポリスチレン、スチレン−無
水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂発泡シー
ト、ウレタン系樹脂発泡シート、塩化ビニル系樹脂発泡
シート、各種熱可塑性エラストマーからなる発泡シート
が挙げられる。
【0029】これ等の熱可塑性樹脂発泡シートの厚さ
は、一般に1000〜5000μm とするのが好まし
い。発泡シートの発泡倍率は、良好なクッション性やソ
フトタッチ感を付与するために5〜50倍程度が好まし
く、特に20〜50倍程度が好ましい。特に、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂発泡シー
トは接着剤なしで熱融着により積層できるので好適であ
る。
【0030】さらに、上記発泡シートの少なくとも外側
面には、被覆される成形体の表面への熱接着が容易に行
えるように、ホットメルト接着剤を塗布しておいてもよ
い。なお、上記発泡シートの内側面にもホットメルト接
着剤が塗布されている場合は、上記基材層12との熱接
着が容易となる。この種のホットメルト接着剤として
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル
系、ポリアミド系、アイソタクチックポリプロピレン
系、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体系のホッ
トメルト接着剤が挙げられる。
【0031】この発明の被覆用シートは上述のように構
成されている。このような被覆用シートを製造するに
は、次のような方法が好適に採用される。先ず、図2に
示すように、熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成分
とする表面層11と、熱可塑性エラストマーを主成分と
する基材層22とを共押出してシート(10)を成形
し、その後このシートを、例えば電子線照射装置50に
導入して、表面層11側或いは基材層12側から適当線
量の電子線を照射して、基材層12を構成する熱可塑性
エラストマーを架橋させる。こうして、図1(A)に示
すような被覆用シート10が製造される。
【0032】上記表面層11と基材層12とを接着性樹
脂層13を介して積層する場合は、上記表面層11と接
着性樹脂層13と基材層12とをこの順で積層される状
態に共押出してシート(10’)を成形し、その後上記
と同様にして表面層11側或いは基材層12側から適当
線量の電子線を照射して、基材層12を構成する熱可塑
性エラストマーを架橋させる。こうして、図1(B)に
示すような被覆用シート10’が製造される。
【0033】なお、基材層12を構成する熱可塑性エラ
ストマーを架橋させる方法は、上記電子線等の電離性放
射線を照射する架橋方法以外に、前述の有機過酸化物を
用いる架橋方法、シラン化合物を用いる架橋方法、多官
能性ポリマーを用いる架橋方法など公知の架橋方法が採
用される。
【0034】共押出し方法としては公知の方法が採用さ
れる。例えば、2台の押出機1aと1bからそれぞれ表
面層11と基材層12とを構成する樹脂を溶融押出し、
これ等の溶融樹脂が積層される状態に共押出金型20内
に導入して層状に合流させ、これを共押出金型20のス
リットから共押出して、表面層11と基材層12とが積
層された一体のシート10を得る。
【0035】また、シート10’を得る場合は、3台の
押出機1aと1cと1bからそれぞれ表面層11と接着
性樹脂層13と基材層12とを構成する樹脂を溶融押出
し、これ等の溶融樹脂をこの順で積層される状態に共押
出金型20内に導入して層状に合流させ、これを共押出
金型20のスリットから共押出して、表面層11と接着
性樹脂層13と基材層12とが積層された一体のシート
10’を得る。
【0036】なお、基材層12の裏面側に熱可塑性樹脂
発泡シート30を積層する場合は、図2に示すように、
共押出金型20のスリットから共押出して、表面層11
と基材層12とからなる一体のシート(10)、或いは
表面層11と接着性樹脂層13と基材層12とからなる
一体のシート(10’)を、一対の押圧ロール40,4
0の間に移送する。また、同時に、熱可塑性樹脂発泡シ
ート30を上記一対の押圧ロール40,40の間に移送
する。そして、一対の押圧ロール40,40の押圧力に
よりシート(10)或いはシート(10’)と発泡シー
ト30とが熱接着される。共押出して得られた直後のシ
ート(10)或いは(10’)は、再加熱せずとも熱接
着可能な程度の熱を保持しているので、接着剤を使用し
なくても熱可塑性樹脂発泡シート30は容易に接着され
る。
【0037】なお、共押出されたシート(10)或いは
(10’)は、一対の押圧ロール40,40により冷却
されるが、その際、表面層11側の押圧ロール40とし
て、表面を粗面化したエンボス加工用のロールを使用
し、このロール温度を表面層11を構成する熱可塑性ウ
レタン系エラストマーの軟化点以下、好ましくは室温〜
100℃とすることにより、表面層11の表面にエンボ
ス加工を施すことができる。
【0038】また、この発明で用いる表面層11などを
構成する各種樹脂には、必要に応じて着色剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など等の各種添加剤を配
合して用いてもよい。
【0039】上述の被覆用シート10或いは10’を成
形品の表面に被覆するには、公知の方法が採用される。
例えば、予め成形された成形品(骨材又は芯材と呼ばれ
ることもある)の表面に加熱された被覆用シート10或
いは10’を載置し、両者を一体に熱成形する方法や、
被覆用シート10或いは10’をホットスタンピング成
形、真空成形、圧縮成形等により予め金型内で賦形し、
成形品の成形と同時にこの成形品の表面に熱接着させる
方法が採用される。
【0040】
【作用】この発明の被覆用シートは、熱可塑性ウレタン
系エラストマーを主成分とする表面層と、熱可塑性エラ
ストマーを主成分とする基材層とが積層されてなるシー
トであって、上記基材層を構成する熱可塑性エラストマ
ーが架橋されており、特に表面層が熱可塑性ウレタン系
エラストマーから主として構成されているので、柔軟で
耐傷付性(耐スクラッチ性)に優れ、副次的に柔軟な感
触(ソフトタッチ感)が付与される。
【0041】また、基材層が熱可塑性エラストマーから
主として構成されているので、この基材層により上記表
面層が補強され、しかも良好な柔軟な感触(ソフトタッ
チ感)が付与される。さらに、上記基材層の熱可塑性エ
ラストマーが架橋されているので、耐熱性が向上すると
ともに延伸性が向上し、二次加工においても厚みむらの
小さい良好な深絞り加工性が付与される。
【0042】また、この発明の被覆用シートの製造方法
は、熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成分とする表
面層と熱可塑性エラストマーを主成分とする基材層とを
共押出してシートを成形し、その後上記基材層を構成す
る熱可塑性エラストマーを架橋させるもので、複雑な製
造工程を経ることなしに、共押出法により容易に上記の
性能を有する被覆用シートが得られる。
【0043】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を示す。実施例1 表面層11:熱可塑性ウレタン系エラストマー樹脂(日
本ミラクトラン社製、ミラクトランE990P)100
重量部と弾性微粒子(大日本インキ社製、バーノックC
FB101−40クリアー、平均粒径8μm )50重量
部との混合物。 基材層12:熱可塑性オレフィン系エラストマー樹脂
(三井石油化学社製、ミラストマー5030N)70重
量部と直鎖状低密度ポリエチレン(三井石油化学社製、
UZ2021L)20重量部とポリプロピレン樹脂(三
井石油化学社製、F650)10重量部とジビニルベン
ゼン0.2重量部との混合物。 接着性樹脂層13:酸変性されたエチレン系樹脂(三井
石油化学社製、アドマーQF551)。
【0044】図2に示すように、3台の押出機1a、1
c、1b、からそれぞれ表面層11、接着性樹脂層1
3、基材層12を構成する上記樹脂を溶融押出し、これ
等の溶融樹脂を表面層11、接着性樹脂層13、基材層
12の順で積層される状態にマルチマニホールドタイプ
の共押出金型20内に導入して層状に合流させ、これを
共押出金型20オのスリットから、表面層11と接着性
樹脂層13と基材層12とからなる一体のシート(1
0’)を共押出した。なお、図2において、共押出金型
20内の点線は、押出機1a、1c、1bから押出され
た溶融樹脂又はそれからなるシートを意味する。
【0045】押出機1a、1c、1bの樹脂温度は、表
面層11が190℃、接着性樹脂層13が190℃、基
材層12が230℃、共押出金型2の温度は200℃で
行った。また、シート10’の引取速度は5m/分であ
った。得られたシート(10’)の各層の厚みは、表面
層11が10μm 、接着性樹脂層13が10μm 、基材
層12が300μm であった。
【0046】共押出しにより得られた直後のシート(1
0’)の基材層11の外側面に、厚さ2000μm のポ
リプロピレン発泡シート30を重ね合わせ、これを一対
の押圧ロール40,40に通した。押圧ロール40,4
0の温度はいずれも40℃になるように制御した。その
後この発泡シート30が積層されたシート(10’)
を、電子線照射装置50に導入して、基材層11側から
電子線を1Mradの線量で照射して、基材層12を構
成する熱可塑性オレフィン系エラストマーを架橋させ
る。こうして、外側面に発泡シート30が熱接着された
被覆用シート10’を製造した。
【0047】得られた被覆用シート10’の基材層12
のゲル分率を測定したところ、そのゲル分率は5%であ
った。なお、この基材層12のゲル分率は、別に、発泡
シート30を積層せずに、それ以外は上記と同様にして
製造した表面層11と接着性樹脂層13と基材層12と
からなる被覆用シート10’を用いて測定した。この場
合、表面層11は120℃のキシレンに溶解せず、接着
性樹脂層13は120℃のキシレンに溶解するので、こ
れを考慮して基材層12のゲル分率を算出した。
【0048】また、得られた被覆用シート10’を加熱
(表面層11側の温度140℃、発泡シート30側の温
度150℃)し、これをコップ状の真空成形型(内径1
00mm、深さ30mm、底部コーナーのRが5mmで、吸引
孔は底部中央に1箇所、側壁部に4箇所設けられてい
る)を用いて真空成形を行った。その結果、底部の厚み
は1050μm 、底部コーナー部の厚みは600μm
で、厚みむらは小さく深絞り加工性は良好であった。そ
の結果をまとめて表1に示した。
【0049】また、得られた被覆用シート10’の外
観、耐傷付性(耐スクラッチ性)及び柔らかい感触(ソ
フトタッチ感)を次の方法で評価し、その結果をまとめ
て表1に示した。
【0050】被覆用シートの外観は目視により判定し
た。また、耐傷付性(耐スクラッチ性)は、テーバース
クラッチテスター(東洋精機製作所製)を用いて引っ掻
き強さ試験を行い、目視により表面層に傷が付いたり、
破れたりする時の外観変化の荷重(50g〜500g)
を以下の等級で表し、4級以上を満足する荷重を示し
た。柔らかい感触及びクッション性は、良い場合を○で
示し、悪い場合を×で示した。
【0051】耐傷付性の等級 5級:外観変化が全く認められないもの。 4級:僅かに外観変化が認められるが、殆ど目立たない
もの。 3級:外観変化が認められるが、目立ちの少ないもの。 2級:外観変化がやや著しいもの。 1級:外観変化がかなり著しいもの。
【0052】実施例2 基材層12におけるジビニルベンゼンを1重量部に増量
した。それ以外は実施例1と同様に行った。その結果を
まとめて表1に示した。
【0053】実施例3 基材層12におけるジビニルベンゼンを2重量部に増量
した。それ以外は実施例1と同様に行った。その結果を
まとめて表1に示した。
【0054】比較例1 基材層12におけるジビニルベンゼンを配合しなかっ
た。また、電子線を照射しなかった。それ以外は実施例
1と同様に行った。その結果をまとめて表1に示した。
【0055】比較例2 表面層11及び接着性樹脂層13を用いなかった。ま
た、電子線を照射しなかった。それ以外は、実施例1と
同様に行った。その結果をまとめて表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】上述の通り、この発明の被覆用シート
は、熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成分とする表
面層と、熱可塑性エラストマーを主成分とする基材層と
が積層されてなるシートであって、上記基材層を構成す
る熱可塑性エラストマーが架橋されているので、耐傷付
性(耐スクラッチ性)や柔らかな感触(ソフトタッチ
感)優れ、しかも二次加工において厚みむらは小さく深
絞り加工性に優れる。
【0058】また、この発明の製造方法によれば、複雑
な製造工程を経ることなしに共押出成形法により容易に
上記のような優れた性能を有する被覆用シートを得るこ
とができ、生産性に優れている。
【0059】したがって、この発明の被覆用シートは、
建物や車両の内装材、事務用機器や家電製品のハウジン
グ、日用品などの成形品で、人が触る表面に被覆して良
好な耐傷付性と柔らかな感触とを付与する成形品の製造
に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の被覆用シートの一例を示す
断面図、(B)はこの発明の被覆用シートの他の例を示
す断面図である。
【図2】この発明の被覆用シートの製造方法の一例を示
す説明図である。
【符号の説明】
10 被覆用シート 10' 被覆用シート 11 表面層 12 架橋された基材層 13 接着性樹脂層 20 共押出金型 30 発泡シート 40 一対の押圧ロール 50 電子線照射装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成
    分とする表面層と、熱可塑性エラストマーを主成分とす
    る基材層とが積層されてなるシートであって、上記基材
    層を構成する熱可塑性エラストマーが架橋されているこ
    とを特徴とする被覆用シート。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ウレタン系エラストマーを主成
    分とする表面層と熱可塑性エラストマーを主成分とする
    基材層とを共押出してシートを成形し、その後上記基材
    層を構成する熱可塑性エラストマーを架橋させることを
    特徴とする被覆用シートの製造方法。
JP6280512A 1994-11-15 1994-11-15 被覆用シート及びその製造方法 Pending JPH08142271A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100444297B1 (ko) * 2002-02-18 2004-08-16 유피씨(주) 폴리올레핀계 수지 조성물을 포함하는 섬유의 제조방법

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KR100444297B1 (ko) * 2002-02-18 2004-08-16 유피씨(주) 폴리올레핀계 수지 조성물을 포함하는 섬유의 제조방법

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