JP2009023549A - 自動車内装用樹脂部材、および自動車内装用樹脂部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂粒子(A)を熱可塑性樹脂(B)中に分散させたシート状の自動車内装用部材であって、樹脂粒子(A)の少なくとも一部が、熱可塑性樹脂(B)で形成される表面から突出して、ざらざらとした触感が得られるようにしたことを特徴とする自動車内装用樹脂部材;この自動車内装用部材に基材用樹脂(C)が積層してなり、熱可塑性樹脂(B)の表面から樹脂粒子(A1)の少なくとも一部が突出していることを特徴とする自動車内装用樹脂部品によって提供する。
【選択図】図1
Description
一方、樹脂成型品でも、極力、高級感、素材感を出すために、比較的安価な人工皮革やモケット素材など外観や触感の良いものや、比較的柔らかい素材を表層にしたり、表面にシボを付けることが行われている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これらの方法では、外観は、艶があり模様等は皮革様になるものの、感触、暖かみ、ざらざら感、吸放湿性が皮革様にならず、いかにも安価な樹脂製であるという感触を与えてしまう。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、その表面の算術平均傾斜(RΔa値)が0.05〜1.0の範囲であることを特徴とする自動車内装用樹脂部材が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、樹脂粒子(A)が、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、又はウレタン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする自動車内装用樹脂部材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、樹脂粒子(A)の平均粒径が、40〜500μmであることを特徴とする自動車内装用樹脂部材が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、熱可塑性樹脂(B)の厚さが、1〜8mmであることを特徴とする自動車内装用樹脂部材が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、熱可塑性樹脂(B)が、熱可塑性エラストマー、又はウレタン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする自動車内装用樹脂部材が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第10の発明において、基材用樹脂(C)が、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂アロイ、又はポリスチレン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする自動車内装用樹脂部品が提供される。
また、本発明の自動車内装用樹脂部品は、この自動車内装用樹脂部材に含まれる樹脂粒子が外側(車室内側)になるように基材用樹脂と積層しているので、これをインスツルメントパネル、ドアトリム等の人が触れる部分に使うことで、居住空間としての車室内の快適性を向上することができる。
本発明の自動車内装用樹脂部材は、樹脂粒子(A)を熱可塑性樹脂(B)中に分散させたシート状の自動車内装用部材であって、樹脂粒子(A)の少なくとも一部が、熱可塑性樹脂(B)で形成される表面から突出して、ざらざらとした触感が得られるようにしたことを特徴とする。
樹脂粒子(A)は、前記のとおり非発泡性の樹脂粒子(A1)と発泡性の樹脂粒子(A2)がある。非発泡性の樹脂粒子(A1)は、発泡剤を含有しないものであり、発泡性の樹脂粒子(A2)は、発泡剤を含有した熱膨張性粒子である。樹脂粒子の材質は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(B)と比べて硬いものが好ましい。なお、発泡性の樹脂粒子(A2)は、以下、熱発泡粒子ということがある。
また、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマー、ウレタン等からなる熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中では、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ウレタン樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂の中ではプロピレン系樹脂がより好ましい。
なお、上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、多いと、部材シートの表面性が低下することがあり、又、少ないと、部材シートの柔軟性及び伸びが低下して熱成形性が低下することがあるので、1〜8重量%が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。
上記プロピレン系樹脂のメルトインデックス(以下、「MI」という)は、大きすぎると、部材シートの耐熱性が低下することがあり、又、小さすぎると、部材シートの熱成形性が低下するとともに、得られる成形品の表面性も低下することがあるので、0.1〜30g/10分が好ましい。なお、本発明において、プロピレン系樹脂のMIとは、JIS K7210に基づき、温度190℃、荷重21.168Nの条件下で測定されたものをいう。
また、上記熱膨張性マイクロカプセルをポリエチレンなどのベースレジンなどとマスターバッチ化したペレットを用いることもできる。このような熱膨張性マイクロカプセルペレットとして、積水化学工業株式会社製の「Advancell」(登録商標)耐熱グレード開発品番「EMS−023MB」や「EMS−024MB」などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(B)は、自動車内装用樹脂部材のベースとなる樹脂、すなわちマトリクス樹脂であって、上記樹脂粒子と同じくポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー(TPOなど)、ウレタン樹脂など、通常自動車内装部品に使用されている樹脂であれば、特に限定されない。熱可塑性エラストマー、又はウレタン樹脂から選ばれる1種以上の有機樹脂であることが好ましい。特に、部材シートに柔らかさを与えることが有効であるために、硬度の低いTPOなどの樹脂を使うことが好ましい。熱可塑性樹脂は、後で詳述する自動車内装用樹脂部品において、表層部分の樹脂であり、基材となる樹脂と同じでも異なる種類でも良い。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、ソフトセグメントが、アジペート型エステルタイプ、エーテルタイプ、カプロラクトンタイプ、ポリ炭酸タイプが挙げられる。例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂(大日精化社製、商品名「レザミン2283」)を例示できる。
本発明の自動車内装用樹脂部品は、上記した自動車内装用部材に基材用樹脂(C)が積層してなり、熱可塑性樹脂(B)の表面から樹脂粒子(A1)の少なくとも一部が突出していることを特徴とする。以下、この本発明の自動車内装用樹脂部品を積層体ともいう。
基材用樹脂(C)としては、一般的なものでよく、例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、塩ビ樹脂等の熱可塑性樹脂が使用できる。軽量化の為、基材用樹脂を発泡体とすることが好ましい。製法は、前記発泡性の樹脂粒子と同様なものを用いた粒子発泡でも良いし、化学発泡剤を用いたガス発泡でも良い。
基材用樹脂の厚さは、特に制限されないが、例えば、1〜10mmであることが望ましい。10mmよりも厚いと、軽量性が低下することがあり、又、薄すぎて1mm未満であると、積層体の曲げ強度等の機械的強度が低下することがある。
本発明において、自動車内装用樹脂部材(部材シート)を製造するには、まず、表皮層を構成する樹脂粒子を用意し、これを熱可塑性樹脂(B)に配合して、マスターバッチを調製する。
実際には、熱可塑性樹脂の表面に集中して樹脂粒子を配置する場合と、熱可塑性樹脂中の全体に樹脂粒子を分散する場合で、同じ表面触感でも配合量が異なる。すなわち、熱可塑性樹脂の表面に樹脂粒子を集中して配置する場合では、樹脂粒子を熱可塑性樹脂に対して、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%とする。また、熱可塑性樹脂中の全体に樹脂粒子を分散する場合では、熱可塑性樹脂に対して、1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%とする。
また、加熱加圧の時間は、樹脂が完全に溶融し且つ発泡剤が完全に分解するする時間以上とすればよく、3〜15分が好ましい。その後、プレス板、平板用金型等の型や無端ベルト等を開いて除圧することにより、発泡性の樹脂を発泡させ冷却してから脱型する。
また、上記の架橋性で発泡性の熱可塑性樹脂の粉末、粒子に替えて、予め樹脂を有機過酸化物やイソシアネート等の架橋剤により架橋させるか、或いは電子線やガンマ線等の電離性放射線で架橋させた発泡済みの熱可塑性樹脂の粒子を用いることもできる。上記電離性放射線としては、従来から樹脂の架橋に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、α線、β線、ガンマ線、電子線等が挙げられる。
また、表層になる上記部材シートを金型キャビティー内に挿入してから基材用樹脂を射出してシート化し、一度に積層体を射出成形により作製してもよい。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、マイカ、酸化チタン、シラスバルン、ガラスバルン、フライアッシュバルン、ガラス繊維粉、炭素繊維粉、ウィスカー等が挙げられ、この中でも、樹脂に対する剛性向上の効果が大きく、得られる積層体の寸法安定性が優れているという点で、タルク、マイカが好ましい。
積層体の触感を指で擦ることにより調べ、一般的な従来品と対比して以下の評価基準に基づいて評価を行なった。
(評価基準)
A:得られた積層体の方が明らかに従来品よりも大幅によい触感を有する。
B:得られた積層体の方がやや従来品よりも良い触感を有する。
C:得られた積層体と従来品Aとの触感の差異がほとんどない。
D:従来品Aの方が得られた積層体よりも触感がよい。
まず、熱発泡性粒子を未発泡の状態でポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーTPO(三井化学株式会社 ミラストマー)中に50質量%含まれるマスターバッチを用意した。熱発泡性粒子としては、積水化学工業株式会社製の「Advancell」(登録商標)EHM301を用いた。
次に、樹脂粒子が4重量部となるようにマスターバッチを上記と同じポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーTPO(三井化学株式会社 ミラストマー)と混合してから共に押出した。この際、180℃に加熱し、さらに電子線を照射して架橋させ、発泡した樹脂粒子を含む厚さ2mmの発泡シート(部材シート)を作製した。発泡性樹脂粒子(A2)は、発泡後に、平均粒径が150μmとなった。
別途、PP樹脂製の射出成形によるドアトリム(基材用樹脂、厚さ4mm)を作製し、このドアトリム上部の部分のみに、上記発泡シートを加熱融着により貼り付けて積層体を得た。この積層体表面の粗さを評価した結果、RΔa=0.247、Rp=23.68μmであった。
被験者10人(男5人、女5人)に、発泡シートを貼った部分と貼らない部分の触感による官能評価を実施したところ、全ての被験者がAの評価であり、表1の結果となり、本発明の部材シートが明らかに触感を向上させた。
樹脂粒子が2重量部となるようにマスターバッチをポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーTPO(三井化学株式会社 ミラストマー)と混合した以外は、実施例1と同様にして、発泡した樹脂粒子を含む厚さ3mmの発泡シート(部材シート)を作製した。表面の粗さを評価した結果、RΔa=0.154、Rp=22.94μmであった。
被験者10人(男5人、女5人)による官能評価の結果は、実施例1と同様であった。
樹脂粒子として、実施例1の熱発泡粒子の代わりに、非発泡性のプロピレン樹脂(密度0.90g/cm3、MFR0.5g/10分のブロックコポリマー(日本ポリケム(株)製))を用いて、これを予め平均粒径が300μmとなるように粉砕した。
次に、樹脂粒子がポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーTPO(三井化学株式会社 ミラストマー)中に50質量%含まれるマスターバッチとした。樹脂粒子が4重量部となるようにマスターバッチをポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーTPO(三井化学株式会社 ミラストマー)と混合し、150℃に加熱してから、そのまま押出した。これにより樹脂粒子を含む厚さ5mmの発泡シート(部材シート)を作製した。
表面の粗さを評価した結果、RΔa=0.109、Rp=48.12μmであった。
被験者10人(男5人、女5人)による官能評価の結果は、実施例1と同様であった。
上記実施例1と同じ材料を用い、製造条件を変えて、シートを作製した。シートの表面粗さRΔa=0.03、Rp=8.0μmとなった。
同じ被験者10人(男5人、女5人)に、発泡シートを貼った部分と貼らない部分の触感による官能評価を実施したところ、表1に示すように、被験者のうちA、Bの評価が7人で、C、Dの評価が3人であった。
これは、樹脂粒子の発泡が不十分であったためと考えられる。
樹脂粒子として、実施例3と同じ非発泡性のプロピレン樹脂を用いて、これを予め平均粒径が30μmとなるように粉砕した以外は実施例3と同様にして、マスターバッチを調製してから押出して、樹脂粒子を含む厚さ5mmのシート(部材シート)を作製した。
同じ被験者10人(男5人、女5人)に、シートを貼った部分と貼らない部分の触感による官能評価を実施したところ、被験者のうちA、Bの評価が6人で、C、Dの評価が4人であった。
これは、樹脂粒子の粒径が小さいために、シート表面のざらざら感がなくなったためと考えられる。
2 熱可塑性樹脂
3 基材用樹脂
Claims (9)
- 樹脂粒子(A)を熱可塑性樹脂(B)中に分散させたシート状の自動車内装用部材であって、樹脂粒子(A)の少なくとも一部が、熱可塑性樹脂(B)で形成される表面から突出して、ざらざらとした触感が得られるようにしたことを特徴とする自動車内装用樹脂部材。
- その表面の最大山高さ(Rp値)が、10〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- その表面の算術平均傾斜(RΔa値)が、0.05〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- 樹脂粒子(A)が、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、又はウレタン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- 樹脂粒子(A)の平均粒径が、40〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- 熱可塑性樹脂(B)の厚さが、1〜8mmであることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- 熱可塑性樹脂(B)が、熱可塑性エラストマー、又はウレタン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装用樹脂部材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載された自動車内装用部材に基材用樹脂(C)が積層してなり、熱可塑性樹脂(B)の表面から樹脂粒子(A1)の少なくとも一部が突出していることを特徴とする自動車内装用樹脂部品。
- 基材用樹脂(C)が、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂アロイ、又はポリスチレン樹脂から選ばれる1種以上の合成樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の自動車内装用樹脂部品。
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