JPH07164537A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents

発泡成形体の製造方法

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JPH07164537A
JPH07164537A JP5314977A JP31497793A JPH07164537A JP H07164537 A JPH07164537 A JP H07164537A JP 5314977 A JP5314977 A JP 5314977A JP 31497793 A JP31497793 A JP 31497793A JP H07164537 A JPH07164537 A JP H07164537A
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朋子 植松
Akitaka Miyake
顕隆 三宅
Koji Hachiman
浩司 八幡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】感触性に優れるとともに、耐擦過傷性及び成形
性に優れた発泡成形体の製造方法。 【構成】熱可塑性ウレタンエラストマー100重量部及
び弾性微粒子15〜150重量部からなる表面層、熱可
塑性樹脂層並びに熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤から
なる発泡性樹脂層が順次積層されてなる積層体を、表面
層を金型側に向けて金型に供給し、空気圧成形により成
形し、成形積層体を製造する第一工程、及び、得られた
成形積層体を、金型内で熱分解型発泡剤の分解温度以上
に加熱し、発泡性樹脂層を発泡させる第二工程からなる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発泡成形体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発泡成形体の製造方法として、特
公平1−14023号公報には、シボ加工されたポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマー層に熱融着で発泡体層
を積層した発泡積層体の製造方法が開示されている。
又、特開平1−95032号公報には、発泡性オレフィ
ンシートを発泡させ、発泡性樹脂層を成形し、真空成形
により発泡積層体を製造する方法が開示されている。し
かし、前者の製造方法では、発泡体層を別途、製造して
おく必要があり、又、後者の製造方法では、発泡性樹脂
層を形成してから、真空成形するため、成形性が不十分
であり、又、発泡体層がつぶれてしまうため、感触性が
低下するといった問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、感触性に優
れると共に、耐擦過傷性及び成形性に優れた発泡成形体
を容易に製造し得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明で用いられる積層
体は、表面層、熱可塑性樹脂層及び発泡性樹脂層が順次
積層されてなる。表面層は、熱可塑性ウレタンエラスト
マー及び弾性微粒子からなる。熱可塑性ウレタンエラス
トマーは、特に限定されず、一般的なものが用いられ
る。
【0005】熱可塑性ウレタンエラストマーとは、常温
でゴム弾性を示し、高温では可塑化されて各種の成形加
工が可能なものであり、一般に分子中にエントロピー弾
性を有するゴム成分(ソフトセグメント)が、ポリエー
テル、ポリエステル、またはポリカーボネートで構成さ
れ、塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセ
グメント)がウレタン結合で構成されたものである。該
熱可塑性ウレタンエラストマーは、その成形が可能な範
囲においては、分子内に部分架橋を有するものであって
もよい。
【0006】熱可塑性ウレタンエラストマーのガラス転
移点は、低いと、得られる発泡成形体の耐擦過傷性が低
下し、又、高いと、得られる発泡成形体の感触性が低下
するので、−50〜20℃のものが好ましい。
【0007】又、熱可塑性ウレタンエラストマーの重量
平均分子量は、大きいと、得られる発泡成形体の感触性
が低下し、又、小さいと、得られる発泡成形体の耐擦過
傷性が低下するので、20,000〜3,000,00
0が好ましい。
【0008】更に、熱可塑性ウレタンエラストマーの硬
度は、低いと、得られる発泡成形体の耐擦過傷性が低下
し、又、高いと、得られる発泡成形体の感触性が低下す
るので、JIS A硬度で、50〜98が好ましい。
【0009】熱可塑性ウレタンエラストマーとしては、
例えば、日本ミラクトラン社から商品名ミラクトランE
375で、旭硝子社から商品名PN3429で、大日本
インキ化学社から商品名T7890で販売されている。
【0010】上記表面層に、弾性微粒子が含有されるこ
とにより、表面層に凹凸が形成され、艶消し効果が生ず
ると共に、感触性が向上する。
【0011】上記弾性微粒子は、形状が変形するまで加
圧した後、解圧すると、弾性回復し、元の形状を保持す
るものであれば、特に限定されず、例えば、ポリウレタ
ン、アクリル酸エステル−ウレタン共重合体、ポリスチ
レン、スチレン−イソプレン共重合体等からなる弾性微
粒子が挙げられ、又、得られる発泡成形体の感触が、硬
くても良い場合や柔軟な熱可塑性エラストマーを用いる
場合には、シリカ、マイカ等の無機材料や架橋されたポ
リメタクリル酸メチルからなる、高硬度の弾性微粒子が
用いられてもよい。
【0012】弾性微粒子の粒径は、大きいと、表面層の
膜厚にもよるが、空気圧成形した場合に、表面層に亀裂
が生ずることがあり、又、小さいと、得られる発泡成形
体の感触性が向上しないことがあるので、1〜50μm
が好ましい。
【0013】又、弾性微粒子の添加量は、多いと、積層
体を空気圧成形した場合に、表面層に亀裂が生じ、又、
少ないと、得られる発泡成形体の感触性が向上しないの
で、熱可塑性ウレタンエラストマー100重量部に対し
て、15〜150重量部に限定され、特に30〜150
重量部が好ましい。又、1種のみを添加しても、2種以
上を混合して添加してもよい。
【0014】熱可塑性ウレタンエラストマーからなる表
面層の厚みは、各層の厚みによって異なるが、得られる
発泡成形体の耐擦過傷性、感触性等を考慮すると、一般
に、5〜100μmが好ましい。
【0015】上記表面層に、シボ加工が施すことは、得
られる発泡成形体に革模様等が付与され、外観が向上
し、好適である。
【0016】上記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹
脂は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、アクリ
ル系ポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、酸変性ポリ
フェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、
ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ア
イオノマー、ハードセグメントとしてポリウレタン、ソ
フトセグメントとしてポリエーテル、ポリエステル、ポ
リカーボネート等を持つブロック共重合体等を有する熱
可塑性ポリウレタン系エラストマー、ハードセグメント
としてポリプロピレン、ソフトセグメントとしてエチレ
ンを持つものや、エチレンと共に少量のジエン成分を持
つもの(順にEPM(エチレン−プロピレン−メチレン
結合)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンメチ
レン結合)、総称してEPR(エチレン−プロピレンゴ
ム))、これらをブレンドして得られたものや、これら
に更に有機過酸化物を添加することにより部分架橋した
ものや、不飽和ヒドロキシ単量体、不飽和カルボン酸の
誘導体でグラフト変性されたもの、その他ブチルゴムグ
ラフトポリエチレン等を有する熱可塑性ポリオレフィン
系エラストマー、ハードセグメントとしてポリエステ
ル、ソフトセグメントとしてポリエーテルを持つ共重合
体等を有する熱可塑性ポリエステル系エラストマー等が
挙げられるが、熱可塑性エラストマーを用いると、高感
触性が得られ、好適である。
【0017】熱可塑性エラストマーを用いる際、発泡成
形体の得たい感触によっても異なるが、一般に、JIS
A硬度で、50〜98のものが好ましい。又、熱可塑
性樹脂として、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー
を用いる場合は、ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエ
チレン等のポリオレフィン系樹脂を添加することは、積
層体の成形性が向上し、好適である。
【0018】ポリオレフィン系樹脂の添加量は、多い
と、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーのゴム弾性
が低下することがあり、又、少ないと、積層体の成形性
が低下することがあるので、熱可塑性エラストマー10
0重量部に対して、10〜70重量部が好ましい。
【0019】上記熱可塑性樹脂層の厚みは、各層の厚み
によって異なるが、得られる発泡成形体の感触性、成形
性等を考慮すると、一般に、200〜3000μmが好
ましい。
【0020】発泡性樹脂層は、熱可塑性樹脂及び熱分解
型発泡剤からなる。上記熱可塑性樹脂は、発泡可能であ
れば良く、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、
ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレ
ン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレ
ン系樹脂;ポリウレタン、ポリエーテルウレタン等のポ
リウレタン系樹脂;軟質ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビ
ニル系樹脂;ABS樹脂;上記熱可塑性ポリウレタン系
エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマ
ー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー等が挙げられ
る。
【0021】上記熱分解型発泡剤は、分解温度が上記発
泡性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点以上であれ
ば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、
ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリヒドラジノ
トリアジン、アゾジカルボン酸バリウム、アゾビスイソ
ブチロニトリル、ヒドラゾジカルボンアミド、p−トル
エンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
【0022】なお、ポリマーに対するガス透過性の低い
窒素ガスを発生する有機系窒素含有化合物が特に好まし
く、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、トリヒドラジノトリアジン等が挙
げられる。
【0023】熱分解型発泡剤の添加量は、多いと、破泡
し、均一なセルができないことがあり、又、少ないと、
発泡しないことがあるので、熱可塑性樹脂100重量部
に対して、1〜25重量部が好ましい。
【0024】熱可塑性樹脂が、結晶性ポリマーの場合
等、融点を越えると、粘弾性が著しく低下する場合は、
セルの大きさや発泡性樹脂層の発泡倍率の制御が困難と
なることがあるので、必要に応じて、熱可塑性樹脂を架
橋してもよい。
【0025】架橋方法としては、、特に限定されない
が、例えば、電子線照射により架橋する方法、有機過酸
化物を添加し、有機過酸化物の分解温度以上に加熱して
架橋する方法、架橋剤を添加した上で電子線照する方
法、架橋剤を添加した上で有機過酸化物を添加し、有機
過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法等が挙
げられる。
【0026】上記架橋剤は、特に限定されないが、例え
ば、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、エ
チレングリコールジメタクリレート等のオキシム化合
物;ニトロフェノール等のニトロソ化合物;ジビニルベ
ンゼン等のビニルモノマー等の分子中に2重結合を少な
くとも1個有する多官能性モノマー等が挙げられる。
【0027】架橋剤の添加量は、多いと、樹脂の溶融粘
度が高くなり、発泡しない場合があり、又、少ないと、
セルが破泡し、発泡倍率が低下する場合があるので、熱
可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が
好ましい。
【0028】上記有機過酸化物は、特に限定されない
が、例えば、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミル
パーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン、1,3−ビス
(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,
' −ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0029】有機過酸化物は、一般に、熱可塑性樹脂1
00重量部に対して、0.01〜3重量部添加される。
【0030】上記発泡性樹脂層の発泡倍率は、低いと、
発泡性樹脂層によるクッション性が向上せず、得られる
発泡成形体の感触性が低下し、又、高いと、発泡性樹脂
層の強度が低下するので、5〜50倍が好ましい。
【0031】発泡体の厚みは、各層の厚みによって異な
るが、得られる成形性被覆シートの耐擦過傷性、感触
性、成形性等を考慮すると、一般に、1000〜300
0μmが好ましい。
【0032】上記表面層と熱可塑性樹脂層、又は、熱可
塑性樹脂層と発泡性樹脂層の接着性が悪い場合は、各々
の層間に、接着剤層を設けることが好ましい。
【0033】接着剤層に用いられる樹脂は、特に限定さ
れず、例えば、酸変性されたスチレン−ブタジエン−ス
チレン共重合体、酸変性されたスチレン−エチレン−ス
チレン共重合体、酸変性されたポリエチレン、酸変性さ
れたポリプロピレン等の主鎖又は側鎖に水酸基、アミド
基、エポキシ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基
等の官能基を有する接着性ポリマー等が挙げられる。
【0034】接着剤層の厚みは、各層の厚みによって異
なるが、得られる発泡成形体の耐擦過傷性、感触性、成
形性等を考慮すると、一般に、5〜50μmが好まし
い。
【0035】上記表面層、熱可塑性樹脂層、発泡性樹脂
層には、必要に応じて、物性を損なわない範囲内で、顔
料、染料等の着色剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;ヒン
ダードアミン等の紫外線安定剤等を添加してもよい。
【0036】上記着色剤として、特に限定されず、例え
ば、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン
系顔料、キナクリドン系顔料等の顔料;アゾ系染料、ア
ントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベン
ゼン系染料等の染料;アルミ粉、ニッケル粉、金粉等の
金属粉等が挙げられる。
【0037】着色剤は、発泡成形体の用途等により異な
るが、一般に、各々の層を構成する熱可塑性ウレタンエ
ラストマー又は熱可塑性樹脂100重量部に対して、2
〜400重量部添加される。
【0038】又、得られる発泡成形体に種々の機能を付
与するために、上記表面層、基材層、発泡性樹脂層に、
必要に応じて、物性を損なわない範囲内で、導電性材
料、結露防止剤、フォトクロミック化合物、防錆剤、防
菌剤、防カビ剤、艶消し剤等の機能付与剤が添加されて
もよい。
【0039】本発明である積層体の製造方法は、特に限
定されず、以下に、製造方法の一例を挙げる。発泡性樹
脂層に含有される熱分解型発泡剤の分解温度以下で、、
共押出成形方法によって積層シートを製造することがで
き、共押出成形方法とは、2台以上の押出機を用い、各
々押し出された樹脂を、1つに合流して積層体を製造す
る方法である。このような方法には、例えば、マルチマ
ニホールド法、マルチスロットルダイ法、フィードブロ
ック法等が挙げられ、特に限定されない。
【0040】マルチマニホールド法とは、ダイ内に層数
分のマニホールドを有し、ダイ内において、各々の層を
積層させる方法であり、マルチスロットルダイ法とは、
ダイ内では、各層を別々の流れにして、ダイを出た直後
に、各々の層を積層させる方法であり、フィードブロッ
ク法とは、ダイに入る直前に取り付けた特殊ブロックで
各々の層を合流させ、積層させる方法である。
【0041】発泡性樹脂層等の2以上の添加剤を含有し
単軸押出機では溶融混練が不十分な場合は、2軸押出機
により、混練しつつ押し出してもよいし、別途、バンバ
リーミキサー等により、溶融混練し、ペレタイザー等に
よりペレット化したものを、単軸押出機で押し出しても
よい。
【0042】上記共押出成形方法の他に、発泡性樹脂層
は、含有される熱分解型発泡剤の分解温度以下で行う必
要はあるが、各層ごとにシート状物を製造し、これをロ
ールにより圧着一体化し、積層シートを製造する方法で
もよいが、各層間の接着性を考慮すると、共押出成形方
法が好ましい。
【0043】積層シートを、伸長することは、得られる
積層体の表面層に含有される弾性微粒子によって、微細
な凹凸が形成され、感触感が向上し、好適である。ここ
で、伸長とは、溶融状態にある積層体を伸ばすことをい
う。
【0044】伸長の倍率は、低いと、効果がなく、又、
高いと積層体が破損することがあるので、1.1〜3.
0倍が好ましい。
【0045】積層体の伸長方法は、特に限定されず、例
えば、溶融状態にある積層体を引取ロールで引取り、伸
長する方法が挙げられる。この際、引取ロールに、シボ
加工を施すことは、伸長と同時に、表面層にシボ模様を
形成することができ好適である。
【0046】本発明の第一工程は、積層体を、表面層を
金型側に向けて雌型金型に供給し、空気圧成形により成
形し、成形積層体を製造する工程である。ここで、空気
圧成形とは、真空成形及び圧空成形をいう。
【0047】積層体を、金型に供給する方法は、特に限
定されず、空気圧成形により、積層体を、成形できるよ
うに供給すればよい。
【0048】金型は、真空成形又は圧空成形できるもの
であれば良く、雌型金型であっても、雄形金型であって
もよく、特に限定されない。なお、雌型金型を用いる場
合は、雌型金型に、シボ加工を施しておくことは、空気
圧成形と同時に、表面層にシボ模様が形成され好適であ
る。
【0049】空気圧成形を行う際、積層体の成形が困難
な場合は、積層体を、発泡性樹脂層及び熱可塑性樹脂層
を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上、且つ、発泡性
樹脂層に含有される熱分解型発泡剤の分解温度以下に加
熱して成形を行うのが好ましい。この際、予め加熱して
から空気圧成形しても、空気圧成形と同時に加熱しても
よい。
【0050】この際、加熱手段は、特に限定されず、例
えば、熱盤やヒーター等が挙げられるが、温度制御を正
確にするために、熱盤を有する空気圧成形可能金型を用
いるのが好ましい。
【0051】空気圧成形時、積層体の絞りが大きい場合
には、プラグアシスト成形方法やマッチモールド成形方
法を用いてもよい。なお、プラグアシスト成形方法と
は、雌型と略相似形の雄形を用い、成形適温になった積
層体を雌型に押し込んだ後に、雌型より真空成形し、成
形する方法をいい、マッチモールド成形方法とは、成形
品の形状の雌型金型及び雄形金型間に積層体を挟み、空
圧プレスで加圧し、成形する方法である。
【0052】本発明の第二工程は、成形積層体を、金型
内で熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡性樹
脂層を発泡させる工程である。
【0053】加熱する方法は、特に限定されず、例え
ば、熱盤やヒーター等が挙げられるが、特に、熱分解型
発泡剤の分解温度以上に迅速に加熱するためには、高温
設定可能な熱盤やヒーターが好ましい。
【0054】金型内で、成形積層体を加熱する際、必要
に応じて、金型と表面層が剥離しないように、成形積層
体を吸引してもよい。
【0055】得られた発泡積層体は、得られた形状のま
ま使用してもよいが、成形品に積層して用いる場合は、
発泡性樹脂層が積層される成形品の形状にあわせて、発
泡性樹脂層が発泡して得られた発泡体層の処理を行って
もよい。
【0056】又、発泡積層体を成形品に積層して用いる
場合は、発泡性樹脂層の発泡後、雄形金型又は雌型金型
を用いて、雄形金型と雌型金型との間に、成形品を形成
する樹脂を供給し、発泡成形体が積層された成形品を製
造してもよい。
【0057】このような方法として、特に限定されない
が、例えば、雌型金型に樹脂を供給した後、金型を締め
て成形するスタンピング成形方法や金型を締めた後、雌
型金型と雄形金型の間に、樹脂を供給する射出成形方法
等がある。
【0058】成形品を形成する樹脂としては、一般に成
形に用いられる樹脂であれば、特に限定されず、例え
ば、上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、熱可塑
性ポリオレフィン系エラストマー、熱可塑性ポリエステ
ル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ABS樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ
エーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロ
ン等、及び、これらにガラス繊維やシリカ等の無機充填
剤を含有したもの等が挙げられる。
【0059】なお、成形品を形成する樹脂を、発泡性樹
脂層を形成する熱可塑性樹脂と同一のものを用いること
は、発泡性樹脂層と成形品との密着性が向上し、好適で
ある。
【0060】
【作用】本発明である発泡成形体の表面層には、熱可塑
性ウレタンエラストマーを用いているので、成形性に優
れ、又、成形後、膜厚が薄くなった場合にも、耐擦過傷
性の低下を生じない。
【0061】更に、発泡性樹脂層を発泡させた、発泡体
層を設けることで、得られる発泡成形体の感触性の向上
を図ることができる。
【0062】又、積層体を一定形状に成形した後、発泡
性樹脂層を発泡させるので、発泡体層を積層させた状態
で成形するのとは異なり、凹凸や曲面部分での成形性が
優れ、又、発泡体層自体が潰れたり、更には、独立気泡
の発泡セルが潰れたり、変形することがない。
【0063】
【実施例】
(実施例1)フィードタイプのダイ(クローレン社製)
及び各々の口径が、30φ、30φ、40φ、40φの
4台の押出機(プラスチック工学研究所社製)を有する
4層の共押出装置を用い、熱可塑性ウレタンエラストマ
ー(旭ガラス工業(株)社製商品名ユーファインPN3
429 JIS A硬度 85)100重量部及び弾性
微粒子(積水化成品工業(株)社製 商品名ウレタンビ
ーズテクポリマーUB20、平均粒径20μm)70重
量部をバンバリーミキサーで、180℃で混練し、ペレ
ット化したものを、190℃に保持された口径30φの
押出機に、変性ポリオレフィン(三井石油化学工業
(株)社製 商品名アドマーQF551)を、180℃
に保持された口径30φの押出機に、熱可塑性オレフィ
ン系エラストマー(三井石油化学工業(株)社製 商品
名ミラストマー8030N)50重量部、熱可塑性オレ
フィンエラストマー(三井石油化学工業(株)社製 商
品名ミラストマー5030N)30重量部、直鎖低密度
ポリエチレン(三井石油化学工業(株)社製 商品名U
Z2021L)10重量部、ポリプロピレン(三井石油
化学工業(株)社製 商品名F650)10重量部をペ
レットブレンドしたものを、220℃に保持された40
φの押出機に供給し、200℃に保持された、フィード
ブロックダイにて押出し、更に、ポリエチレン(三菱油
化社製 商品名G201)100重量部、アゾジカルボ
ンアミド2.5重量部及びジクミルパーオキシド0.6
重量部をバンバリーミキサーに供給し、130℃で混練
し、ペレット化したものを、130℃に保持された口径
40φの押出機に供給し、130℃に保持されたTダイ
で、同時に押出し、線圧5Nのロール間を通して熱融着
によりラミネート化するとともに、2倍に伸長し、厚さ
が各々30μmの表面層、10μmの接着剤層、400
μmの熱可塑性樹脂層、400μmの発泡性樹脂層が、
順次積層されてなる、伸長された積層体を得た。
【0064】実施例1において用いた雌型金型1及び積
層体6を吸引した熱盤5を示す模式断面図を図1に、積
層体6を、雌形金型1のキャビティに密着させた状態を
示す模式断面図を図2に示した。
【0065】実施例1で用いた雌型金型1は、真空成形
可能であり、且つ、雌型金型1の底部2は、150mm
×80mmの矩形であり、深さが20mm、雌形水平部
4が500mm、更に、雌形傾斜部3は、垂直面に対し
て、45°傾斜しており、更に、底部2には、真空成形
のための直径0.2mmの吸引孔7が設けられている。
【0066】又、実施例1で用いられた熱盤5は、積層
体6の吸引、加熱を同時に行うことが可能なものであ
る。かかる熱盤5は、300mm×300mmの矩形で
あり、直径0.5mmの吸引・圧空孔8が、10mm間
隔で900個設けられている。
【0067】図1に示すように、雌型金型のキャビティ
上で、熱盤5に、積層体6を吸引した状態で、熱盤5に
より積層体6を140℃で5分間加熱し、積層体6を成
形可能な温度に加熱するとともに、発泡性樹脂層を架橋
させた。その後、熱盤5で、雌形金型1のキャビティを
締めた上で、熱盤5に設けられた吸引・圧空孔8からエ
アを吹き出すと同時に吸引孔7から吸引し、キャビティ
に積層体を密着させ、成形し、成形積層体9を得た。
【0068】ヒーター10を用いて成形積層体9を加熱
する状態を示す模式断面図を、図3に示した。ヒーター
10を、熱盤5の代わりに雌形金型1上に設置し、ヒー
ター10により、雌型金型1内において、成形積層体9
の発泡性樹脂層を220℃に加熱し、発泡させ、発泡成
形体16を得た。
【0069】雄形金型11により、雌形金型1のキャビ
ティを締めた状態を示す模式断面図を、図4に示した。
雄形金型11は、凸部が、145mm×75mmの矩形
であり、高さが15mm、雄形水平部14が、500m
m、更に、雄形傾斜部14は、垂直面に対して、45°
傾斜しており、更に、雄形金型の中央部には、ランナー
15が設けられている。
【0070】上記雄形金型11を用いて、キャビティを
締め、ポリプロピレン17(三菱油化社製 商品名BC
3)をキャビティ内に、速度100mm/s、保圧25
0kg/cm2 、保圧時間7秒、成形温度200℃で、
射出し、ポリプロピレン層が積層された発泡成形品を得
た。
【0071】得られた発泡成形品の外観、発泡体層のセ
ル状態、耐擦過傷性、クッション性、感触性を以下の方
法で測定し、外観及びセル状態の結果については、以下
に、耐擦過傷性、クッション性及び感触性については、
その結果を表1に示した。
【0072】(外観)得られた発泡成形品を目視観察し
た結果、発泡成形品の各層の破断や各層間の剥離等は、
認められず、外観は良好であった。 (セル状態)得られた発泡成形品を目視観察した結果、
セルの破壊は、認められず、セルの形状も、略均一な形
状を有していた。 (耐擦過傷性)得られた発泡成形品の底部のコーナ部付
近及び傾斜部について、テーバースクラッチテスタ
((株)東洋精機製作所)による引っかき強さ試験を行
い、目視により表面層に傷が付いたり、破れたりする時
の外観変化の加重(50〜500g)を以下の等級で表
し、4級以上を満足する加重を示した。 5級 外観変化が、全く認められないもの 4級 外観変化が、わずかに認められるがほとんど目立
たないもの 3級 外観変化が、明らかに認められるが目立ちの少な
いもの 2級 外観変化が、やや著しいもの 1級 外観変化が、かなりいちじるしいもの (クッション性、感触性)得られた発泡成形品の底部に
ついて、10人の人間の官能試験を下記評価で行い、合
計点が、30点以上を○、1〜30点を△、0以下を×
とした。 非常に良い 5点 良い 3点 普通 0点 少し悪い −3点 悪い −5点 (比較例1)実施例1と同様にして、表面層、接着層及
び熱可塑性樹脂層が、順次積層された、三層積層体を得
た。溶融状態にある三層積層体の一面に、シート状の発
泡体(積水化学工業(株)社製 商品名ソフトロン 発
泡倍率5倍)を積層し、線圧5Nのロール間を通し、ラ
ミネート化し、表面層が30μm、接着層が10μm、
熱可塑性樹脂層が400μm、発泡体層が2000μm
の発泡積層体を得た。
【0073】積層体の代わりに、得られた発泡積層体を
用いて、発泡性樹脂層を発泡する工程を除いた他は、実
施例1と同様にして、成形し、成形された発泡積層体を
得た。
【0074】更に、実施例1と同様にして、ポリプロピ
レン(三菱油化社製 商品名BC3)を積層し、ポリプ
ロピレン層が積層された、射出成形品を得た。得られた
射出成形品の外観、発泡体層のセル状態、耐擦過傷性、
クッション性、感触性を、実施例1と同様の方法で測定
し、外観及びセル状態については、下記に、耐擦過傷
性、クッション性及び感触性については、その結果を表
1に示した。
【0075】(外観)得られた射出成形品を目視観察し
た結果、発泡成形品の各層の破断や各層間の剥離等は、
認められず、外観は良好であった。 (セル状態)得られた射出成形品を目視観察した結果、
セルの破壊は、認められなかった。空気圧成形において
延伸されなかった部分では、セルの形状は、略均一であ
ったが、空気圧成形において延伸された部分では、セル
の形状が延伸方向に伸ばされ変形していた
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明の構成は、上記の通りであり、本
発明によれば、感触性に優れるとともに、耐擦過傷性及
び成形性に優れた発泡成形体を容易に得ることができ
る。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、雌型金型1及び積層体6を吸引した熱
盤5を示す模式断面図である。
【図2】図2は、積層体6を、雌形金型1のキャビティ
に密着させた状態を示す模式断面図である。
【図3】図3は、ヒーター10を用いて成形積層体9を
加熱する状態を示す模式断面図である。
【図4】図4は、雌形金型1のキャビティを締めた状態
を示す模式断面図である。
【符号の説明】 1 雌形金型 2 底部 3 雌形傾斜部 4 雌形水平部 5 熱盤 6 積層体 7 吸引孔 8 吸引・圧空孔 9 成形積層体 10 ヒーター 11 雄形金型 12 凸部 13 雄形傾斜部 14 雄形水平部 15 ランナー 16 発泡成形体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 19:00 101:12 105:04 B29L 9:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ウレタンエラストマー100重量
    部及び弾性微粒子15〜150重量部からなる表面層、
    熱可塑性樹脂層並びに熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤
    からなる発泡性樹脂層が順次積層されてなる積層体を、
    表面層を金型側に向けて金型に供給し、空気圧成形によ
    り成形し、成形積層体を製造する第一工程、及び、得ら
    れた成形積層体を、金型内で熱分解型発泡剤の分解温度
    以上に加熱し、発泡性樹脂層を発泡させる第二工程から
    なることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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