JPH08140519A - コンクリート製の人工漁礁 - Google Patents

コンクリート製の人工漁礁

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JPH08140519A
JPH08140519A JP6315860A JP31586094A JPH08140519A JP H08140519 A JPH08140519 A JP H08140519A JP 6315860 A JP6315860 A JP 6315860A JP 31586094 A JP31586094 A JP 31586094A JP H08140519 A JPH08140519 A JP H08140519A
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MORINAGAGUMI KK
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚介類が好んで生息する理想的な閉鎖空間を
安価に形成する。 【構成】 コンクリート製の人工漁礁は、3枚以上の垂
直板3をコンクリートでもって形成している。成形され
た垂直板3は垂直方向を向くと共に、互いに放射状に配
設されている。垂直板3の外周縁には、上下に離されて
水平方向に延長する複数本の線材4を連結している。互
いに隣接する2枚の垂直板3と線材4とで閉鎖空間1を
形成している。線材4には、ロープ、ワイヤー等の紐
体、あるいは金属ロッドが使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海底に設置して人工的に
魚の生息環境を設ける人工漁礁に関する。
【0002】
【従来の技術】漁礁は、極めて広大な海底に魚の生息環
境を作るものである。漁礁は、小型のものを多数に設置
するものと、大型の漁礁を少なく設置するものとがあ
る。小型の漁礁は、1個の単価は安価にできるが、多数
に設置する必要があって、空体積当りの単価が高くな
る。漁礁の空体積当りの単価とは、漁礁のコストを閉鎖
される空間容積で割った値である。漁礁の空体積当りの
単価は、大型にすることによって安価にできる。
【0003】大型漁礁として、図1に示すように方形状
のブロックをピラミッド型に積み重ねるピラミッド漁礁
と、図2に示すように方形状のブロックを直方体に連結
する方形状漁礁とがある。これ等の図に示す漁礁は、ブ
ロックを連結する個数を調整して全体の大きさを変更で
きる。ブロックの連結数を多くすると大型になり、連結
数を少なくすると小型の漁礁となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1と
図2に示す漁礁は、ブロックを簡単にしかも強固に連結
するために、連結構造が複雑になると共に、連結作業に
手間がかかる欠点がある。さらに、連結部分を十分な強
度とするのが難しい欠点もある。それは、コンクリート
製のブロックを局部的に連結して大型漁礁とするからで
ある。コンクリート製のブロックは、連結部分を補強す
るために、鉄筋等の独得の構造で配筋する必要がある。
【0005】さらに、図3に示すように、4枚のコンク
リート製の垂直板3を放射状に配設した人工漁礁も開発
されている。この図に示すコンクリート漁礁は、放射状
に成形したコンクリート板の間に、魚介類を生息させる
閉鎖空間1を形成するために、下部にコンクリート製の
箱2を成形している。箱は内部に自由に魚介類が出入り
できるように、大きな貫通孔を開口している。この構造
の漁礁は、潮汐流、海流等の流動環境を垂直板3で効果
的に攪乱できる。ところで、流動環境の攪乱する部分に
は、イシダイ等の魚群が来遊することが経験的に知られ
ている。このことは、1989年度(第25回)水工学
に関する夏期研修会講義集(土木学会水理委員会198
9年7月)において、鳥取大学工学部教授の野田英男氏
が「水産土木の現状と問題点」のB−9−11からB−
9−12ページにも記載されている。この刊行物には、
模型水路に障害物7を設けると、図4に示すように流速
が変化し、流速が変化する部分には、図5ないし図7に
示すように、イシダイが好んで集まって遍在することが
示されている。図5ないし図7において黒くした部分
は、イシダイが集まった部分を示している。ただし、図
4は流速を30cm/secとしたときの流速の変化を
示し、図5ないし図7は、順番に流速を15.8cm/
sec、25.7cm/sec、41.3cm/sec
としている。これ等の図に示すように、魚群は、流動環
境の背面部分に好んで来遊する性質がある。図3に示す
形状のコンクリート漁礁は、効果的に流動環境を乱すこ
とができるので、魚群の好む流動環境とすることができ
る。しかしながら、この構造のコンクリート漁礁は、閉
鎖空間1に好んで生息する魚介類を生息させるために、
箱形のコンクリートを成形する必要があり、全体として
製造コストが高くなる欠点がある。
【0006】さらに、コンクリート製のブロックを連結
して製造される漁礁は、海藻を繁茂させるのに時間がか
かる欠点もある。それは、コンクリートが硬化反応する
ときに強いアルカリが表面に移行して、海藻の繁殖に悪
い環境となるからである。さらに困ったことに、コンク
リート製のブロックは、極めて長期間にわたってアルカ
リが表面移行して、海藻の繁殖を阻害する欠点がある。
【0007】本発明は、この欠点を解決することを目的
に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単
かつ容易に、しかも空体積当りの単価を低減し、魚介類
が好んで生息する閉鎖空間1を形成できるコンクリート
製の人工漁礁を提供することにある。さらにまた、本発
明の他の重要な目的は、短時間に海藻を繁殖できるコン
クリート製の人工漁礁を提供するにことある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート製
の人工漁礁は、前述の目的を達成するために下記の構成
を備える。人工漁礁は、3枚以上の垂直板3をコンクリ
ートでもって成形している。成形された垂直板3は、垂
直方向を向くと共に、互いに放射状に配設されている。
さらに、垂直板3の外周縁には、上下に離されて水平方
向に延長する複数本の線材4を連結している。放射状に
配設された互いに隣接する2枚の垂直板3と線材4と
で、漁礁の外周に閉鎖空間1を形成している。
【0009】さらに、本発明の請求項2に記載される人
工漁礁は、垂直板3に上方に延長して垂直ロッド10を
固定し、この垂直ロッド10に線材4を巻き付けて閉鎖
空間1をさらに増大している。本発明の人工漁礁は、線
材4として、鉄等の金属ロッド、あるいは、ロープやワ
イヤー等の紐体が使用できる。
【0010】
【作用】本発明のコンクリート漁礁は、この好ましい実
施例を示す図8に示すように、コンクリートで4枚の垂
直板3を放射状に成形し、垂直板3の外周に水平に所定
の間隔で線材4を連結している。隣接する垂直板3は、
あらゆる方向に流動する、潮汐流や海流の流動環境を効
果的に乱すことができ、魚群が好んで集まる環境とする
ことができる。さらに、本発明の人工漁礁は、垂直板3
の外周に線材4を連結する独得の構造よって、垂直板3
と線材4とで、漁礁にとって大切な閉鎖空間1を形成し
ている。この構造の閉鎖空間1は、魚介類の生息空隙と
して正に理想的な環境にできる。さらに、垂直板3の外
周に線材4を固定して閉鎖空間1を形成するので、極め
て安価に製造できる特長がある。とくに、線材4にロー
プやワイヤーを使用することができ、これ等の線材4を
固定する人工漁礁は、沈設する直前に装着できる。
【0011】さらに、本発明の人工漁礁は、全体をコン
クリート製とせず、コンクリート製の垂直板3に線材4
を連結している。線材4には、金属ロッドも使用できる
が、理想的な線材4は、ロープやワイヤー等の紐体であ
る。紐体は表面に無数の凹凸があり、しかもコンクリー
トのように強アルカリではないので、海中を浮遊する海
藻の胞子が付着しやすく、短期間に海藻を繁茂できる特
長がある。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するための人工漁礁を例示するものであって、
本発明は人工漁礁を下記のものに特定しない。
【0013】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0014】図8に示すコンクリート製の人工漁礁は、
4枚の垂直板3をコンクリートでもって一体的に成形し
ている。一体成形された4枚の垂直板3は、垂直方向を
向き、かつ、互いになす角度を90度として、放射状に
配設している。4枚の垂直板3を連結する中心部分は、
補強するために厚く成形している。垂直板3は、図示し
ないが、内部に鉄筋を埋設して補強している。1枚の垂
直板3の大きさは、上下の高さが10m、1枚の水平方
向の長さを10m、厚さを30cmとするものである。
この寸法の人工漁礁は、2.5トン/m3の鉄筋を埋設
して、コンクリート重量が約300トンとなる。
【0015】ただ、本発明の人工漁礁は、垂直板3の寸
法を前記のものに特定しない。垂直板3の寸法は、たと
えば、上下幅と水平方向の長さとを1〜30m、好まし
くは3〜20m、さらに好ましくは5〜15mとする。
垂直板3の大きさは、集漁対照の魚の種類、沈設する水
深、沈設する海底の環境、一緒に沈設される漁礁の数、
大きさ、形状等を考慮して最適値に設計される。さら
に、垂直板3の厚さは、垂直板3の大きさや埋設する鉄
筋量等を考慮して、たとえば、5cm〜1m、好ましく
は10〜80cm、さらに好ましくは20〜50cmの
範囲に設定される。
【0016】図8に示す人工漁礁は、4枚の垂直板3を
放射状に配設している。本発明の人工漁礁は、3枚、あ
るいは、5枚以上の垂直板を放射状に配設することもで
きる。3枚の垂直板を成形した人工漁礁は、安価にでき
る特長はあるが、閉鎖空間全体の容積が小さくなる。5
枚以上の垂直板を成形した人工漁礁は、閉鎖空間全体の
容積を大きくして、複雑な形状にできる。ただし、垂直
板を多くすると、コンクリートの使用量が多くなり、ま
た、成形するのに手間がかかって製造コストが高くな
る。製造コストと漁礁としての性能を考慮すると、図に
示すように4枚の垂直板3を一体成形したものが理想で
ある。
【0017】3枚以上の垂直板は、コンクリートで一体
成形することによって簡単に能率よく製造できる。ただ
し、複数枚の垂直板を別々に成形して、放射状に連結し
て製造することもできる。複数の垂直板を連結する人工
漁礁は、垂直板の連結部分に鉄筋を突起させ、鉄筋を連
結して連結できる。
【0018】放射状の垂直板3の外周には、上下に離さ
れて、水平方向に延長する複数本の線材4を固定する。
線材4は、互いに隣接する2枚の垂直板3との間に、閉
鎖空間1を形成する。垂直板3に固定される線材4の上
下間隔は、10cmである。ただし、線材4の間隔は、
人工漁礁の大きさや集漁対照の魚の種類等を考慮して、
3〜80cm、好ましくは5〜50cm、さらに好まし
くは8〜30cmとすることができる。線材4の間隔を
小さくした人工漁礁は、小さい魚類を線材4の隙間に通
過させて、大きな魚を通過できないようにできる。この
ため、小さい魚を大きい魚から保護する人工漁礁として
最適である。
【0019】線材4は、ロープやワイヤー等の紐体を理
想とする。紐体である線材4は、垂直板3を成形した
後、表面に巻き付けることによって、極めて簡単に固定
できるからである。線材4を上下に位置ずれなく固定す
るには、図9に示すように、垂直板3の外周縁に一定の
間隔で凹部5を成形し、この凹部5に線材4を位置させ
る。
【0020】線材4に使用されるロープは、外径を20
mmφとするものである。ただ、ロープには、太さが1
0〜30mmとするものも使用できる。とくに、大きな
垂直板3を使用する人工漁礁は、隣接する垂直板3の外
周間隔が長くなるので、太いロープを使用する。ワイヤ
ーはロープに比較して十分な強度があるので、ロープよ
りも細いものを使用できる。ただし、ワイヤーは金属製
のために、腐食するので、耐用年数を考慮して、たとえ
ば、外径を5mm〜15mmとするものを使用する。
【0021】さらに、線材4には、金属ロッドも使用で
きる。金属ロッドには鉄製のロッドが使用される。鉄ロ
ッドは、付着する海藻の生育に大切な栄養分である鉄分
を補給して、効率よく海藻を繁茂できる。金属ロッドの
線材4は図10に示すように、垂直板3の外周部に一定
の間隔で貫通孔6を成形し、この貫通孔6に線材4を挿
入して固定する。線材4は先端に雄ネジを設け、雄ネジ
にスペーサー8を介してナット9をねじ込んで垂直板3
に固定する。スペーサーは、垂直板3に接触する面に4
5度の傾斜面がある。線材に金属ロッドを使用する人工
漁礁は、線材4で垂直板3の外周を補強できる特長があ
る。
【0022】さらに、図11〜図13に示す人工漁礁
は、垂直板の上面に、一定の水平間隔で垂直ロッド10
を固定している。垂直ロッド10には、一定の上下間隔
で線材4を巻き付けている。垂直ロッド10は、たとえ
ば直径を20〜100mmφとする鋼管である。垂直ロ
ッド10の全長、すなわち高さは、垂直板3の高さを1
00として、たとえば10〜100%、好ましくは20
〜80%、さらに好ましくは30〜70%、最適には約
50%に設計される。図11に示すように、1枚の垂直
板3に所定の間隔で垂直ロッド10を固定するものは、
垂直ロッド10の水平間隔をたとえば、20cm〜5
m、好ましくは30cm〜4m、さらに好ましくは50
cm〜3m、最適には約2mに設計する。
【0023】
【発明の効果】本発明のコンクリート製の人工漁礁は、
魚群を効果的に集漁できることに加えてね、魚介類が好
んで生息する閉鎖空間を安価に作ることができる特長が
ある。それは、本発明の人工漁礁が、コンクリート製の
垂直板を放射状に配設し、垂直板の外周に一定の間隔で
線材を固定して、垂直板と線材とで魚介類の生息する閉
鎖空間を作るからである。とくに本発明の人工漁礁は、
垂直板の外周を、従来の漁礁のように、コンクリートで
はなくて線材で閉塞することを特長とする。線材は、コ
ンクリートに比較して安価に閉鎖空間を構成できると共
に、コンクリートのように強アルカリとならいロープや
ワイヤー、あるいは金属線等とすることができる。これ
等の線材は、コンクリートに比較すると短期間に海藻を
繁茂できる。ロープやワイヤー等の紐体は、表面に無数
の凹凸があるので、海中を浮遊する海藻を胞子を効果的
に捕捉して海藻を効果的に繁殖できる。鉄製の金属ロッ
ドは、海藻の生育に大切な栄養分を補給して、短期間に
効率よく海藻を繁茂させる。線材に効果的に海藻が繁茂
すると、多くの海藻が生育する線材の奧に閉鎖空間を構
成できる本発明の人工漁礁は、魚介類の極めて快適な生
息環境を設けることができる。
【0024】さらに本発明の請求項2に記載する人工漁
礁は、垂直板に垂直ロッドを固定し、この垂直ロッドに
線材を連結している。この構造の人工漁礁は、垂直ロッ
ドと線材でもって、さらに安価に閉鎖空間を増大できる
特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のコンクリート漁礁の一例を示す斜視図
【図2】従来のコンクリート漁礁の他の例を示す斜視図
【図3】さらに従来のコンクリート漁礁の他の例を示す
斜視図
【図4】水路に配設した部材が水流の流動環境を乱す状
態を示す垂直断面図
【図5】図4に示す水路にイシダシが集まる状態を示す
垂直断面図
【図6】図4に示す水路にイシダシが集まる状態を示す
垂直断面図
【図7】図4に示す水路にイシダシが集まる状態を示す
垂直断面図
【図8】本発明の実施例の人工漁礁を示す斜視図
【図9】垂直板に線材を連結する状態を示す要部の正面
【図10】垂直板に線材を連結する他の具体例を示す断
面図
【図11】本発明の他の実施例の人工漁礁を示す斜視図
【図12】図11に示す人工漁礁の平面図
【図13】図11に示す人工漁礁の側面図
【符号の説明】
1…閉鎖空間 2…箱 3…垂直板 4…線材 5…凹部 6…貫通孔 7…障害物 8…スペーサー 9…ナット 10…垂直ロッド

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3枚以上の垂直板(3)がコンクリートで
    もって成形されており、成形された垂直板(3)は垂直方
    向を向くと共に、互いに放射状に配設されており、さら
    に、垂直板(3)の外周縁には、上下に離されて水平方向
    に延長する複数本の線材(4)が連結されており、互いに
    隣接する2枚の垂直板(3)と線材(4)とで閉鎖空間が形成
    されてなることを特徴とするコンクリート製の人工漁
    礁。
  2. 【請求項2】 垂直板(3)に上方に延長して垂直ロッド
    (10)が固定され、この垂直ロッド(10)に線材(4)が巻き
    付けられる状態で連結されている請求項1に記載のコン
    クリート製の人工漁礁。
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