JPH08140188A - 電気音響変換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品点数及び組付治具の削減と組立工数の大
幅な低減が出来ると共に、組立作業性の向上が図れる電
気音響変換器を提供する。 【構成】 樹脂製フレームと内磁型の磁気回路から成る
動電型の電気音響変換器において、樹脂製フレーム５と
一体且つ同心上に柱状突起部５ａを形成し、この柱状突
起部５ａによって磁極２と中心極３と永久磁石４で構成
される磁気回路を樹脂製フレーム５に固定して磁極２と
中心極３とで所望なギャップＧを形成し、このギャップ
Ｇの中心に位置するようボイスコイル７を配設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主にヘッドホンやマイ
クロホン等に使用される小型の電気音響変換器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】電気音響変換器には、様々な種類、構造
があるが、動電型（ムービングコイル型）で内磁型の磁
気回路を備えた電気音響変換器としては、図３（ｄ）又
は図４（ｄ）に示すように、磁極（ヨーク）２２，３２
と中心極（センタポール）２３，３３と永久磁石（マグ
ネット）２４，３４で磁気回路を構成し、この磁気回路
をフレーム２５，３５に嵌合すると共に接着剤で固定
し、互いに接着剤で貼り付け固定した振動板２６，３６
とボイスコイル（ムービングコイル）２７，３７をフレ
ーム２５，３５に貼り付け固定したものが知られてい
る。なお、３８は固定金具である。

【０００３】図３（ｄ）に示す電気音響変換器２１の組
立方法は、図３（ａ）〜（ｃ）に示すように、先ず磁極
２２と中心極２３と永久磁石２４で形成されるギャップ
（間隙）Ｇを一定に保持するため、ギャップ治具２８を
使用すると共に接着剤によって互いを貼り付け固定する
（図３（ａ））。次いで、磁極２２と中心極２３と永久
磁石２４で構成された磁気回路をフレーム２５に嵌合
し、接着剤で固定する（図３（ｂ））。更に、振動板２
６とボイスコイル２７を接着剤で貼り付け固定し、これ
をフレーム２５に接着剤で貼り付け固定する（図３
（ｃ））。この時、ボイスコイル２７がギャップＧの中
心に位置するように固定する。

【０００４】また、図４（ｄ）に示す電気音響変換器３
１の組立方法は、図４（ａ）〜（ｃ）に示すように、先
ず中心部に貫通孔を形成した磁極３２と中心極３３と永
久磁石３４を用い、磁極３２と中心極３３と永久磁石３
４を重ねた後にギャップＧを一定に保持するように固定
金具３８を各貫通孔に通し、固定金具３８をかしめて固
定する（図４（ａ））。次いで、磁極３２と中心極３３
と永久磁石３４で構成された磁気回路をフレーム３５に
嵌合し、接着剤で固定する（図４（ｂ））。更に、振動
板３６とボイスコイル３７を接着剤で貼り付け固定し、
これをフレーム３５に接着剤で貼り付け固定する（図４
（ｃ））。この時、ボイスコイル３７がギャップＧの中
心に位置するように固定する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたも
ののうち前者においては、図３（ａ）に示すように、専
用のギャップ治具２８を使用するため、量産を考慮する
と多数のギャップ治具が必要になると共に、作業性及び
生産性が悪いという問題点を有していた。

【０００６】また、後者においては、図４（ａ）に示す
ように、固定金具３８を必要とすると共に、一定のギャ
ップＧを形成するため固定金具３８による組付精度を維
持する必要から、更にギャップ治具が必要になるという
問題点を有していた。

【０００７】また、両者においては、フレーム２５，３
５と磁気回路を接着剤等で固定する接着工程が必要であ
り、この工程を不要とする手段として磁極２２，３２を
フレーム２５，３５成形時にインサート成形する方法も
考えられるが、コスト高になるという問題点を有してい
た。

【０００８】本発明は、従来の技術が有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、部品点数及び組付治具の削減と組立工数の大幅
な低減が出来、組立作業性の向上が図れると共に、フレ
ームがある範囲内で変わるようなことがあっても、柱状
突起が同一であれば同一磁気回路部品が使用できるとい
う汎用性が拡大できる電気音響変換器を提供しようとす
るものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明は、樹脂製フレームと内磁型の磁気回路から成る動
電型の電気音響変換器において、前記樹脂製フレームと
一体且つ同心上に柱状突起部を形成し、この柱状突起部
によって前記磁気回路を前記樹脂製フレームに固定した
ものである。

【００１０】

【作用】柱状突起部によって磁気回路が樹脂製フレーム
に固定されると共に、磁気回路のギャップが一定に形成
される。

【００１１】

【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。ここで、図１は本発明に係る電気音響変換器
の断面図、図２は同じく組立工程説明図である。

【００１２】図１に示すように、電気音響変換器１は、
磁極（ヨーク）２と中心極（センタポール）３と永久磁
石（マグネット）４で磁気回路を構成し、この磁気回路
を樹脂製フレーム５に嵌合し、互いに接着剤で貼り付け
固定した振動板６とボイスコイル（ムービングコイル）
７を樹脂製フレーム５に貼り付け固定している。

【００１３】また、樹脂製フレーム５には、磁極２と中
心極３と永久磁石４の各中心部に形成した貫通孔２ａ，
３ａ，４ａに嵌合し、磁極２と中心極３と永久磁石４で
構成する磁気回路に一定のギャップＧを形成する柱状突
起部５ａが樹脂製フレーム５の中心に一体に形成されて
いる。

【００１４】電気音響変換器１の組立工程は、図２に示
すように、先ず柱状突起部５ａをガイドとして利用し、
磁極２と中心極３と永久磁石４の各貫通孔２ａ，３ａ，
４ａに柱状突起部５ａを嵌合して磁極２と中心極３と永
久磁石４を樹脂製フレーム５上に積重ねて磁気回路を形
成する（図２（ａ））。

【００１５】ここで、柱状突起部５ａの外径寸法と、磁
極２と中心極３と永久磁石４の各貫通孔２ａ，３ａ，４
ａの内径寸法との関係は、次のようになる。磁極２及び
中心極３の内径（貫通孔２ａ，３ａの径）は、柱状突起
部５ａの外径に対し、例えば１００分の５ミリメートル
程度大きくすれば、ギャップ治具を使用した従来品と同
等若しくは、それ以下の寸法公差で電気音響変換器１の
組立が可能である。

【００１６】また、永久磁石４の内径（貫通孔４ａの
径）は、柱状突起部５ａの外径より１００分の５ミリメ
ートル以上大きければよく、永久磁石４の外径は、柱状
突起部５ａの先端をかしめ固定後に中心極３の外径より
大きくならなければよい。更に、磁極２の外径は、樹脂
製フレーム５に抵抗なく装着出来る寸法であればよい。

【００１７】従って、柱状突起部５ａの外径と磁極２及
び中心極３の内径を適切に設定することにより、磁気回
路のギャップＧを一定に保つことが可能になり、図３
（ａ）に示すギャップ治具２８を必要としない。また、
柱状突起部５ａと樹脂製フレーム５は、一体に形成され
るため、図４（ａ）に示す固定金具３８のような専用部
品も必要としない。

【００１８】次いで、柱状突起部５ａの先端を、例えば
超音波溶着等によってかしめ、接着剤等による接着工程
を経ることなく、樹脂製フレーム５に磁極２と中心極３
と永久磁石４を同時に固定する（図２（ｂ））。このよ
うに、従来別々の工程で行っていた磁気回路の形成と、
樹脂製フレーム５と磁気回路の固定は、同一工程で行う
ことが可能になる。

【００１９】更に、ボイスコイル７は振動板６に中心軸
を合せて接着し、振動板６は樹脂製フレーム５の外周よ
り一段下がった円周部５ｂに接着等の方法で固定される
（図２（ｃ））。この時、ボイスコイル７は磁極２と中
心極３とで形成されるギャップＧの中心に位置し、音響
変換器が形成される。

【００２０】なお、図１に示す柱状突起部５ａの中心に
形成される孔は、音質調整用のダクトであり、本発明を
実施する際に孔の有無は問わない。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、柱
状突起部を樹脂製フレームの中心に一体に形成すること
と、前記したように柱状突起部よりわずかに中心径の大
きい磁気回路構成部品を使用することにより、ギャップ
治具や固定金具などの専用治具や部品を用いずに電気音
響変換器の組立が可能になり、部品点数及び組付治具の
削減と同時に大幅な工数低減が図れる。

【００２２】また、磁気回路の形成作業と、樹脂製フレ
ーム５と磁気回路の固定作業において、煩雑な接着剤な
どによる接着作業が不要となり、作業性が向上する。

【００２３】更に、従来の構造では、フレームとヨーク
が一対になり嵌合していたため、夫々専用の部品の組合
せとなり、部品の種類が非常に多く必要としていたが、
本発明は、フレームの柱状突起部の外径とセンタポー
ル、マグネット、ヨークの嵌合寸法が変わらなければ、
センタポール、マグネット、ヨークの外径は自由に変え
ることが出来、一種類のフレームでまたは一組の磁気回
路部品との組合せで様々な特性を持った音響変換器を作
ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電気音響変換器の断面図

【図２】本発明に係る電気音響変換器の組立工程説明図

【図３】従来技術の組立工程説明図

【図４】従来技術の組立工程説明図

【符号の説明】

１…電気音響変換器、２…磁極（ヨーク）、２ａ，３
ａ，４ａ…貫通孔、３…中心極（センタポール）、４…
永久磁石（マグネット）、５…樹脂製フレーム、５ａ…
柱状突起部、６…振動板、７…ボイスコイル（ムービン
グコイル）、Ｇ…ギャップ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂製フレームと内磁型の磁気回路から
   成る動電型の電気音響変換器において、前記樹脂製フレ
   ームと一体且つ同心上に柱状突起部を形成し、この柱状
   突起部によって前記磁気回路を前記樹脂製フレームに固
   定したことを特徴とする電気音響変換器。