JPH0813900B2 - バイポーラ膜の製造方法 - Google Patents

バイポーラ膜の製造方法

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JPH0813900B2
JPH0813900B2 JP31854188A JP31854188A JPH0813900B2 JP H0813900 B2 JPH0813900 B2 JP H0813900B2 JP 31854188 A JP31854188 A JP 31854188A JP 31854188 A JP31854188 A JP 31854188A JP H0813900 B2 JPH0813900 B2 JP H0813900B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、特に低電圧で水分解し得るバイポーラ膜の
簡便な製造方法に関する。
〔従来の技術〕
バイポーラ膜は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が
貼り合さった構造をしており、その製造方法も種々提案
されている。例えば陽イオン交換膜と陰イオン交換膜
を、ポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物
で貼り合せ硬化接着する方法(特公昭32−3962号),陽
イオン交換膜と陰イオン交換膜をイオン交換性接着剤で
接着させる方法(特公昭34−3961号),陽イオン交換膜
と陰イオン交換膜とを微粉のイオン交換樹脂陰または陽
イオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物を
塗布し圧着させる方法(特公昭35−14531号),陽イオ
ン交換膜の表面にビニルピリジンのポリマーとエポキシ
化合物からなる糊状物質を塗布し、これに放射線照射す
ることによって製造する方法(特公昭38−16633号),
陰イオン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とア
リルアミン類を付着させた後、電離性放射線を照射架橋
させる方法(特公昭51−4113号),イオン交換膜の表面
に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合
体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−37190
号),ポリエチレンフイルムにスチレン,ジビニルベン
ゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠に挾
み付け、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り
ばすして残りの部分にクロルメチル化,アミノ化処理す
る方法(米国特許3562139号)などがある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記した方法により得られるバイポーラ
膜においては、一般に水を分解しようとするとき、水の
理論電解電圧よりはるかに高い電圧がかかってしまい、
高電力消費を要するという問題や、バイポーラ膜の製造
も容易でないという問題があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記した問題に鑑み鋭意研究の結果、
水の分解電圧の上昇が小さく、且つ水の電解効率の高い
バイポーラ膜が簡単に得られることを見出して、本発明
を提案するに至ったものである。即ち、本発明は、陰イ
オン交換膜の表面に予め陽イオン交換基を導入した後、
陽イオン交換膜を接合させることを特徴とするバイポー
ラ膜の製造方法である。
本発明における陰イオン交換膜は、特に限定されず、
公知の陰イオン交換膜を用いることが出来る。
例えば、4級アンモニウム塩基,ピリジニウム塩基な
どのイオン交換基を有する陰イオン交換膜が使用できる
が、バイポーラ膜の用途上から耐アルカリ性の4級アン
モニウム塩基を有する陰イオン交換膜が望ましい。ま
た、陰イオン交換膜は、重合型,縮合型,均一型,不均
一型,あるいは補強芯材の有無や製造方法に由来する陰
イオン交換膜の種類,型式などいかなるものであっても
よい。
次に、陰イオン交換膜の表面に予め陽イオン交換基を
導入する方法としては、一般に下記の2方法がある。即
ち、陰イオン交換基を導入または陰イオン交換基に交換
可能な官能基を有する膜状高分子物質中に、予め陽イオ
ン交換基を導入または陰イオン交換基に変換可能な官能
基を有する化合物を存在させておき、 (1)初めに膜状高分子物の表面に陽イオン交換基を導
入して、その後内部に陰イオン交換基を導入する方法 (2)初めに膜状高分子物に陰イオン交換基を導入して
後に、その表面部に陽イオン交換基を導入する方法 がある。
上記(1)の方法では、例えばクロルメチルスチレ
ン,ジビニルベンゼンスチレンを主成分とする膜状高分
子物を作っておき、はじめにその表面部を例えば硫酸に
てスルホン化して、陽イオン交換基を導入し、次いで内
部に存在するクロルメチル基をトリメチルアミンと反応
させて4級アンモニウム塩基を導入して陰イオン交換基
として、本発明の陰イオン交換膜の表面に予め陽イオン
交換基を導入する。
上記(2)の方法では、例えば4−ビニルピリジン,
ジビニルベンゼン,スチレンを主成分とする膜状高分子
物を作っておき、ヨウ化メチルにてピリジル基を4級塩
であるピリジニウム基にして陰イオン交換膜とし、次い
で、膜表面のスチレンのベンゼン環に硫酸にて陽イオン
交換基を導入して、陰イオン交換膜の表面に予め陽イオ
ン交換基を導入する。
なお、陽イオン交換基の導入は、陰イオン交換膜の両
側であってもよいが、片面の方が好ましく、少なくとも
陽イオン交換基との接合面に存在させる必要がある。ま
た、陰イオン交換膜の表面部に入れる陽イオン交換基層
の厚みが、厚くなると両性膜あるいは陽イオン交換膜と
なってしまい、あまりに薄いと得られるバイポーラ膜の
電圧低下の効果が発揮できない。したがって、陰イオン
交換膜の表面における陽イオン交換基層の厚みは、一般
に0.01〜10μmが適当で、好ましくは0.1〜5μmであ
る。
本発明で接合させる陽イオン交換基としては、特に限
定されず、公知の陽イオン交換基を用いることができ
る。例えば、スルホン酸基,カルボン酸基,硫酸エステ
ル基のようなイオン交換基を有するイオン交換膜が使用
できる。また、陽イオン交換膜は、重合型,縮合型,均
一型,不均一型,あるいは補強芯材の有無や、製造方法
に由来する陽イオン交換膜の種類、型式などいかなるも
のであってもよい。
本発明において、上記した表面に予め陽イオン交換基
を導入した陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを接合さ
せる方法は、公知の方法が採用されるが、一般に接着剤
を用いる接着方法である。このような接着剤を用いる場
合は、得られる膜(接合部分)の電気抵抗を増大させな
いために、親水性の接着剤が好ましい。親水性の接着剤
としては、例えばデンプン,アルギン酸,ニカワ,アラ
ビヤゴム,ゼラチン,ポリビニルアルコール,ポリアク
リル酸,ポリメタクリル酸,ポリアクリルアミド,ポリ
エチレンオキサイド,ポリマレイン酸共重合体、ポリエ
チレンイミン,スチレンスルホン酸とアクリル酸の共重
合物,N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレー
トとアクリル酸の共重合物,2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホネートナトリウムとアクリル酸の共
重合物などである。さらに、陰イオン交換膜と陽イオン
交換膜とを強固に接着させるために、接合部分に三次元
網状構造を有するのが好ましい。したがって、このよう
な三次元網状構造を形成させるために、架橋剤がそれぞ
れ上記したような接着剤のポリマーに対して適宜選択し
て用いられる。架橋剤としては、一般に反応性のメチロ
ール基,カルボキシル基,アミノ基,アルデヒド基,エ
ポキシ基,ハロアルキル基などの官能基を複数個有する
化合物、または上記の官能基を2個以上を有する化合物
が用いられ、例えばトリメチロール化メラミン,エチレ
ングリコール,グリセリン,マレイン酸,m,p−フタル
酸,無水フタル酸,無水ピロメリット酸,エチレンジア
ミン,ジエチレントリアミン,メタフェニレンジアミ
ン,グルタルアルデヒド,ホルムアルデヒド,エピクロ
ルヒドリン,ビスフェノールAジグリシジルエーテル,
1.4−ジブロムブタン,1.6−ジブロムヘキサン,などで
ある。なお、このような接着剤を用いて陰イオン交換膜
と陽イオン交換膜とを接着させる方法は、一般に陰イオ
ン交換膜と陽イオン交換膜との間に接着剤をはさみプレ
ス、または必要に応じて加熱する手段がとられる。この
とき、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜は、それぞ
れ含水、含有機溶媒、または乾燥状態であってもよい。
〔作用〕
本発明の作用機構は未だ充分に明らかでないが、陰イ
オン交換膜の表面に陽イオン交換基を導入することによ
り、接合されて得られるバイポーラ膜の陽イオン交換基
と陰イオン交換基との境界が、かなり接近あるいは混り
合ったものとなり、その境界部に非電導性の水の層が出
来にくいため、水分解時の電圧が低くなるものと推測さ
れる。これに対して、従来の陽イオン交換膜と陰イオン
交換膜を接着したバイポーラ膜では、接合部の境界面に
水の層が出来易く、水分解時の電圧が高くなると考えら
れる。
〔効果〕
以上に説明したように、本発明の製造方法によれば、
水の分解電圧の低いバイポーラ膜を容易に得ることが出
来る。したがって、かかる本発明のバイポーラ膜を用い
た水の電気分解においては、電力原単位を大巾に低減で
きるという効果に寄与する。特に最近、酸とアルカリと
の中和生成物である塩が、排水規制の強化から外洋投棄
が難しくなり、この塩をもう一度、酸とアルカリに再生
したいという要望が強い。本発明のバイポーラ膜は、こ
のような塩の水溶液から酸およびアルカリを製造する方
法に極めて有用である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこ
れに限られるものではない。なお、バイポーラ膜の性質
は次の如く測定した。即ち、有効膜面積10cm2であるバ
イポーラ膜の陽イオン交換膜側に1N−塩酸水溶液を100m
l,陰イオン交換膜側に1N−水酸化ナトリウムを100ml置
き、10A/dm2の電流密度で、4〜16時間の通電後、各部
屋の酸,塩基および塩の量を測定することにより、バイ
ポーラ膜の加水分解効率として水素イオン,水酸イオン
の電流効率(ηH,ηOH)と塩素イオンナトリウムイオン
の電流効率(ηCl,ηNa)を求めた。また、そのときの
バイポーラ膜による電圧降下も測定した。
実施例1 ビニルベンジルクロリド50部,スチレン35部,純度50
%のジビニルベンゼン15部,ベンゾイルパーオキサイド
2部,スチレンオキサイド2部およびアクリロニトリル
−ブタジエンゴム5部からなる粘稠なポリマー溶液を調
製した。このポリマー溶液をガラス板間において、窒素
雰囲気中の70℃で16時間の加熱重合を行なって高分子膜
状物を得た。次に、この高分子膜状物を96%硫酸に60℃
で所定時間浸漬し、膜状物の表面にスルホン酸基を導入
した。さらに、トリメチルアミンアセトン混合水溶液中
において30℃で1日処理して、膜状物の内部に陰イオン
交換基を導入し陰イオン交換膜を得た。また、比較例の
ために、上記の高分子膜状物の表面にスルホン酸基を導
入することなく、トリメチルアミンのみの処理した陰イ
オン交換膜を得た。
上記で得た2種類の陰イオン交換膜それぞれと徳山曹
達社製の陽イオン交換膜(CM−1)の間に、5%ポリビ
ニルアルコールと5%グルタルアルデヒドの等量よりな
る混合物を塗り、50℃にて加熱プレスを1時間行い、接
着しバイポーラ膜とした。これら得られた実施例と比較
例のバイポーラ膜について、その性能を第1表に示す。
上記から、表面をスルホン化した陰イオン交換膜を用
いることによって製造した実施例のバイポーラ膜が、低
い電圧にて水分解が起こることがわかる。
実施例2 スチレン85部,純度50%のジビニルベンゼン15部,ベ
ンゾイルパーオキサイド2部およびジオクチルフタレー
ト20部からなるモノマー混合溶液中に厚さ100μmのポ
リエチレンフイルムを60℃にて1時間浸漬した後、ビニ
ロンフイルムで両側を被覆した後、オートクレープにて
80℃で10時間重合して膜状高分子物とした。その後、ク
ロルスルホン酸と硫酸の混合液中において40℃で1時間
スルホン化を行い、陽イオン交換膜とした。
この陽イオン交換膜と実施例1で製造した2種の陰イ
オン交換膜とを、5%ポリビニルアルコールと5%マレ
イン酸水溶液との等量よりなる混合液を接着剤として両
膜の間にはさみ、90℃にて1時間加熱プレス接着して、
それぞれバイポーラ膜を得た。これら得られた実施例と
比較例のバイポーラ膜について、性能を第2表に示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰イオン交換膜の表面に予め陽イオン交換
    基を導入した後、陽イオン交換膜を接合させることを特
    徴とするバイポーラ膜の製造方法。
JP31854188A 1988-12-19 1988-12-19 バイポーラ膜の製造方法 Expired - Lifetime JPH0813900B2 (ja)

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