JP2801469B2 - バイポーラ膜 - Google Patents

バイポーラ膜

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JP2801469B2 JP4179541A JP17954192A JP2801469B2 JP 2801469 B2 JP2801469 B2 JP 2801469B2 JP 4179541 A JP4179541 A JP 4179541A JP 17954192 A JP17954192 A JP 17954192A JP 2801469 B2 JP2801469 B2 JP 2801469B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水電解電圧が低く、陰
イオン交換層と陽イオン交換層の接着性が高く、かつ耐
薬品性および耐久性に優れたバイポーラ膜に関し、特に
中性塩を分解し、アルカリと酸を効率よく得ることがで
きる水分解電気透析法において有用なバイポーラ膜に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】バイポ
ーラ膜は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が貼り合わ
さった構造をしており、その製造方法も種々提案されて
いる。例えば陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を、ポリ
エチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り合
わせ硬化接着する方法(特公昭32−3962号)、陽
イオン交換膜と陰イオン交換膜を、イオン交換性接着剤
で接着する方法(特公昭34−3961号)、陽イオン
交換膜と陰イオン交換膜に、微粉の陰または陽イオン交
換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物を塗布し圧
着させる方法(特公昭35−14531号)、陽イオン
交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物からな
る糊状物質を塗布し、これに放射線照射することによっ
て製造する方法(特公昭38−16633号)、陰イオ
ン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルア
ミン類を付着させた後、電離性放射線を照射し架橋させ
る方法(特公昭51−4113号)、イオン交換膜の表
面に反対荷電を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重
合体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−371
90号)、ポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニル
ベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠
にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シート
を取り外して残りの部分にクロロメチル化、次いでアミ
ノ化処理する方法(米国特許3562139号)等が挙
げられる。しかしながら、これらの方法によって得られ
るバイポーラ膜においては、一般に水を分解しようとす
るとき、水の理論電解電圧(0.83ボルト)よりはる
かに高い電圧がかかってしまい、高電力消費を要すると
いう問題がある。
【0003】また、エレクトロケミカ アクタ(Ele
ctrochemica Acta)Vol.31,N
o9,PP1175〜1176(1986)には、タン
グステン酸ナトリウム、硝酸クロム、メタケイ酸ナトリ
ウム、三塩化ルテニウムなど一種またはそれ以上の無機
電解質溶液により予め表面処理した陽イオン交換膜と陰
イオン交換膜を重ね合わせプレスして、水電解電圧の低
いバイポーラ膜を得る製法が報告されている。しかしな
がら、この製法による水電解電圧の低いバイポーラ膜
は、使用に際して比較的早く水電解電圧が上昇してしま
ったり、さらにはバイポーラ膜自体が容易に陽イオン交
換膜とイオン交換膜に剥離してしまうなど耐久性に問
題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記し
たような従来技術の問題点を解決して、水電解電圧の上
昇が小さく、かつ電流効率が高く、耐薬品性および長時
間の通電に対して優れた耐久性を有するバイポーラ膜の
開発につとめた。その結果、陰イオン交換層の母体とし
て主鎖に不飽和結合を有しないスチレン系ブロック共重
合体を用いることにより、所望の目的が達成されるバイ
ポーラ膜を得て、既に提案した(特願平4−15708
7号)。本発明の目的は、上記の新規なバイポーラ膜に
基づき、さらにアニオン交換層とカチオン交換層の接着
性が高く、長時間使用の耐久性に優れたバイポーラ膜を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、陽イオ
ン交換膜と、主鎖に不飽和結合を有しないスチレン系
ブロック共重合体および陰イオン交換基が導入可能な
能基を有する分子量15000以下の重合体の混合物
母体とした多価アミンによる架橋構造を有する陰イオン
交換体とよりなることを特徴とするバイポーラ膜が提
供される。
【0006】本発明における陽イオン交換膜は特に限定
されず、公知の陽イオン交換膜である。例えばスルホン
酸基、カルボン酸基などのイオン交換基を有する陽イオ
ン交換膜が使用できるが、バイポーラ膜の用途上から酸
性下においてもイオン交換基が解離しているスルホン酸
基を有する陽イオン交換膜が望ましい。また陽イオン交
換膜は、重合型、均一型、不均一型、あるいは補強材の
有無や製造方法に由来する陽イオン交換膜の種類、形式
などいかなるものであってもよい。なお、陽イオン交換
膜の中に陰イオン交換基を若干有するような陽イオン交
換膜であっても、陽イオンの輸率が90%以上であれ
ば、本発明の陽イオン交換膜として十分である。
【0007】本発明に用いる陽イオン交換膜は、水電解
電圧の上昇をさらに小さくするために、その少なくとも
表面に存在するイオン交換基の対イオンを重金属イオン
にイオン交換して重金属イオン型にすることもできる。
このような本発明にいう重金属イオンとしては、原子番
号が20〜90のハロゲン、不活性気体元素を除くイオ
ンであり、一般に鉄(II,III)、チタン(IV)、スズ
(II,IV)、ジルコニウム(IV)、パラジウム(II)、
ルテニウム(III)などが望ましい。重金属イオン型の
陽イオン交換膜を得る方法は、公知のイオン交換法が採
用でき、一般に陽イオン交換膜を重金属塩の溶液に浸漬
する方法、陽イオン交換膜に重金属塩の溶液を塗布また
は噴霧する方法などによって達成される。このような重
金属イオン型陽イオン交換膜における重金属イオンは、
該膜の厚み方向に均一に分布している必要はなく、少な
くとも陰イオン交換体被膜を形成させる側に存在してい
ればよく、その割合は全イオン交換容量の0.001〜
100%、特に0.01〜50%が好ましい。
【0008】本発明において、陰イオン交換体の母体と
なる主鎖に不飽和結合を有しないスチレン系ブロック共
重合体は、詳しくはポリスチレンのセグメント(ブロッ
ク)とポリオレフィンのセグメント(ブロック)よりな
る共重合体であり、具体的にはポリスチレンと例えばポ
リエチレン、ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリ(エ
チレン−ブチレン)などのほか、ポリブタジエン、ポリ
イソプレンなどの水素添加ポリマーとのブロック共重合
体であるスチレン系の飽和型熱可塑性エラストマーであ
る。さらにポリオレフィンのセグメントを式により示す
と、
【0009】
【化1】
【0010】などである。
【0011】このようなスチレン系ブロック共重合体に
おけるポリスチレンの含有量は、一般に10〜85重量
%、特に30〜70重量%が好ましい。即ち、ポリスチ
レンの含有量が10重量%より少ない共重合体では、得
られる陰イオン交換体被膜の電気抵抗が高くなり、水電
解電圧が上昇するため好ましくない。またポリスチレン
の含有量が85重量%より多い共重合体では、得られる
陰イオン交換体被膜が脆く、機械的強度が低下するため
好ましくない。
【0012】上記したスチレン系ブロック共重合体は、
陰イオン交換基が導入可能な官能基が従来公知の方法で
導入される。即ち、一般に所定のスチレン系ブロック共
重合体をハロメチル化することにより得られる。ハロメ
チル化方法としては、特に制限されず公知の方法が用い
られる。例えば、スチレン系ブロック共重合体または低
分子量の重合体をハロメチル化剤に安定な溶剤に溶解
し、ハロメチル化剤と反応させることができる。溶剤と
してはクロロホルム,ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素が用いられる。ハロメチル化剤としては、クロ
ロメチルメチルエーテルや塩酸−パラホルムアルデヒド
などが使用できる。触媒としては塩化スズや塩化亜鉛な
どが使用できる。
【0013】本発明における陰イオン交換基が導入可能
官能基を有する分子量15000以下の重合体(以下
陰イオン交換基が導入可能な低分子量の重合体ともい
う)は、例えばハロメチル化ポリスチレン、ハロメチル
化ポリスルホン、ハロメチル化ポリフェニレンオキシド
などのハロメチル基を有するポリマーが一般に用いられ
る。これら陰イオン交換基が導入可能な低分子量の重合
体の分子量は、一般に15000以下、特に10000
以下が好ましい。即ち、分子量が15000以上の重合
体では、ハロメチル化したスチレン系ブロック共重合体
と混合して陽イオン交換膜上に溶液として流延する場合
に、該重合体が陽イオン交換膜の細孔の中に進入でき
ず、物理的なアンカー効果が発現しないため、接着強度
が上がらず好ましくない。
【0014】本発明のバイポーラ膜は、上記したハロメ
チル化したスチレン系ブロック共重合体とハロメチル基
を有する低分子量の重合体との混合溶液を用いて陽イオ
ン交換膜上に陰イオン交換体の被膜を形成することによ
り得られる。即ち、ハロメチル化したスチレン系ブロッ
ク共重合体およびハロメチル基を有する低分子量の重合
体を適当な割合で混合して溶剤に溶解し、陽イオン交換
膜上に流延し被膜を形成させた後、多価アミンと反応さ
せて架橋構造を有する陰イオン交換体の被膜を形成させ
る方法;ハロメチル化したスチレン系ブロック化共重合
体およびハロメチル基を有する低分子量の重合体を適当
な割合で混合して溶剤に溶解し、多価アミンを加えアミ
ノ化し、陽イオン交換膜上に流延し架橋構造を有する陰
イオン交換体の被膜を形成させる方法;ハロメチル化し
たスチレン系ブロック化共重合体およびハロメチル基を
有する低分子量の重合体を適当な割合で混合して、多価
アミンでアミノ化した後、溶剤に溶解し陽イオン交換膜
上に流延し架橋構造を有する陰イオン交換体の被膜を形
成させる方法などが採用される。
【0015】本発明におけるハロメチル化した低分子量
の重合体とハロメチル化したスチレン系ブロック共重合
体の混合物中のハロメチル基を有する低分子量の重合体
の割合は、一般に10〜60重量%、特に20〜50重
量%が好ましい。即ち、ハロメチル基を有する低分子量
の重合体の割合が10重量%より少ないと、物理的なア
ンカー効果が低く、得られる陰イオン交換体の被膜と陽
イオン交換膜の接着強度が上がらず好ましくない。また
ハロメチル基を有する低分子量の重合体の割合が60重
量%より多いと、得られる陰イオン交換体の被膜が脆
く、機械的強度が低下するため好ましくない。
【0016】上記のハロメチル化した重合体またはアミ
ノ化した重合体を溶解するために使用される溶剤として
は、例えばテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、ジメチルホルムアミドなどの単独系、または
クロロホルム−メタノール、ジクロロエタン−メタノー
ルなどの混合系のものが適宜、選択して用いられる。ハ
ロメチル化重合体またはアミノ化重合体の溶液は、濃度
として一般に0.1〜35重量%に調製される。
【0017】また多価アミンとしては、1分子中に2個
以上の1〜3級アミノ基を有するものであれば特に制限
されず、例えばエチレンジアミン,トリメチレンジアミ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロ
パンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−
1,6−ヘキサンジアミンなどのジアミン類、イミノビ
スプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのトリア
ミン類、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジンなど
のポリアミン類などが用いられる。なかでも、1分子中
に2個の3級アミノ基を有するジアミン類は、ハロメチ
ル基との反応性が高く容易に入手できることから、特に
好適に使用される。
【0018】次いで、ハロメチル化重合体またはアミノ
化重合体の溶液は、陽イオン交換膜上に流延した後、自
然乾燥、または加熱によって溶剤を蒸発させて、所望の
陰イオン交換体の被膜を形成させる。かくして、陽イオ
ン交換膜層と、主鎖に不飽和結合を有しないハロメチル
化されたスチレン系ブロック共重合体及びハロメチル基
を有する分子量15000以下の重合体の混合物のハロ
メチル基を多価アミンと反応させて得た架橋構造を有す
る陰イオン交換体層とよりなるバイポーラ膜となる。
【0019】このようにして得られる本発明の陰イオン
交換体の被膜におけるイオン交換容量は、特に制限され
ないが一般に0.2〜4.0ミリ当量/g(乾燥樹
脂)、好ましくは0.5〜2.5ミリ当量/g(乾燥樹
脂)である。即ち、陰イオン交換体の被膜におけるイオ
ン交換容量が4.0ミリ当量/g(乾燥樹脂)より大き
いと、水電解電圧における電流効率が低くなり好ましく
ない。また、陰イオン交換体の被膜におけるイオン交換
容量が0.2ミリ当量/g(乾燥樹脂)より小さいと、
電気抵抗が高くなり水電解電圧が上昇するため好ましく
ない。
【0020】なお、本発明において、陽イオン交換膜の
表面はハロメチル化重合体またはアミノ化重合体の溶液
を流延するにあたり、十分に乾燥すること、またサンド
ペーパーなどで粗面化することにより、よく密着した陰
イオン交換体の被膜が形成され、耐久性に優れたバイポ
ーラ膜を得ることができる。粗面化の方法としては、一
般にサンドペーパーなどを用いて陽イオン交換膜の表面
を処理して、微細な凸凹をつける方法、または長尺の陽
イオン交換膜を製造し、巻き取りの際にガイドロールに
凸凹を設け、接触により該膜の表面に凸凹をつける方法
が採用される。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、水電解電圧が低く、且
つ耐薬品性,長時間使用の耐久性に優れ、さらに陰イオ
ン交換層と陽イオン交換層の接着性が高いバイポーラ膜
を容易に得ることができる。したがって、このような本
発明のバイポーラ膜を用いた水の電気分解においては、
電力原単位を大幅に低減できる効果がある。特に最近、
酸とアルカリの中和生成物である塩は排水規制の強化か
ら外洋投棄が難しいため、本発明のバイポーラ膜は、こ
のような塩の水溶液から酸とアルカリを再生する方法に
おいて極めて有用である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。
【0023】なお、実施例および比較例におけるバイポ
ーラ膜の特性は、次のような測定により求めた。即ち、
有効通電面積10cm2 のバイポーラ膜で隔てられた二
室型のアクリル製セルの両室に白金電極を設け、陽極室
側に1.00N−水酸化ナトリウム水溶液100ml
を、また陰極室側に1.00N−塩酸水溶液100ml
をそれぞれ供して、1アンペアの直流電流を5〜10時
間通電後、両室の酸、塩基および塩の量を測定すること
により、バイポーラ膜の水電解効率として水酸イオンの
発生効率(ηOH)と水素イオンの発生効率(ηH)を
求めた。さらに、バイポーラ膜の両側のごく近傍に白金
線電極を設け、バイポーラ膜の水電解電圧を測定した。
【0024】また、長時間の通電においては、上記の二
室型のアクリル製セルを用いて、陽極室側に4.00N
−水酸化ナトリウム水溶液を、また陰極室側に4.00
N−塩酸水溶液をそれぞれ供して、40℃の恒温水槽中
で1アンペアの直流電流を通電した。
【0025】陰イオン交換層と陽イオン交換層の接着強
度は、JIS Z 0237に準じて実施した。また、
その際使用した引張試験機はTENSILON UTM
−1−5000B(TOYO BALDWIN Co.
Ltd.,製)を用い、幅30mmの湿潤状態のバイポ
ーラ膜の試験片につき温度25℃、引張速度20mm/
minの条件で測定を行った。
【0026】実施例1 スルホン酸基をイオン交換基として持つ陽イオン交換膜
(商品名:ネオセプタCM−1、徳山曹達社製)を予め
サンドペーパーで処理して一方の表面を粗面化し、室温
で風乾した。
【0027】また、ポリスチレンのセグメント(65重
量%)とポリイソプレンの水素添加されたセグメント
(35重量%)から成る主鎖に不飽和結合を有しない共
重合体100gをクロロホルム1000gに溶解し、1
00gのクロロメチルメチルエーテルと10gの塩化ス
ズを加え、40℃で15時間反応させ、メタノール中で
沈澱,洗浄した後、乾燥させ、クロロメチル化したスチ
レン系ブロック共重合体を得た。
【0028】次に、分子量が3500のクロロメチル化
ポリスチレンを上記のクロロメチル化したスチレン系ブ
ロック共重合体と混合し、クロロメチル化ポリスチレン
の割合が20重量%になるように調製した。
【0029】このようにして得られたクロロメチル化重
合体をクロロホルム/メタノール(容量比5:1)の混
合溶剤に溶かして15重量%のクロロメチル化重合体溶
液とした後、上記の陽イオン交換膜の粗面化した表面に
塗布、乾燥し厚みが23μmのクロロメチル化重合体の
被膜を形成させた。
【0030】さらに、このクロロメチル化重合体の被膜
を有する陽イオン交換膜をN,N,N’,N’−テトラ
メチル−1,3−プロパンジアミンのメタノール溶液
(10重量%)に30℃で50時間浸漬し、十分に水洗
した後、バイポーラ膜を得た。
【0031】得られたバイポーラ膜についてその特性を
測定したところ、水電解効率はηOH=98.9%,η
H=99.1%で水電解電圧は1.9ボルトであった。
このバイポーラ膜の特性は4ヶ月間の通電を経ても変わ
らず、またバイポーラ膜中に気泡および水泡の発生も認
められなかった。
【0032】比較例1 実施例1と同じ陽イオン交換膜を予めサンドペーパーで
処理して一方の表面を粗面化した。次いで、陰イオン交
換膜(商品名:ネオセプタAM−1、徳山曹達社製)を
上記陽イオン交換膜の粗面化した側に重ねバイポーラ膜
を作製した。
【0033】得られたバイポーラ膜についてその特性を
測定したところ、水電解電圧は最初3.5ボルトであっ
たものが24時間通電後には5.8ボルトに上昇し、水
電解効率はηOH=98.0%,ηH=98.1%であ
った。また、このバイポーラ膜は6時間経過後には膜中
に気泡が発生しており、50時間経過後には発生した気
泡が大きくなり、実質的に水電解が行えない状態となっ
た。
【0034】実施例2 実施例1と同じ陽イオン交換膜(商品名:ネオセプタC
M−1、徳山曹達社製)を予めサンドペーパーで処理し
て一方の表面を粗面化し、2重量%の塩化第一スズ水溶
液に25℃で1時間浸漬した後、イオン交換水で充分に
洗浄し、室温で風乾した。
【0035】次いで、実施例1で得られたクロロメチル
化したスチレン系ブロック共重合体と分子量が5000
のクロロメチル化ポリスルホンを混合して、クロロメチ
ル化ポリスルホンの割合が40重量%になるように調製
した。
【0036】このようにして得られたクロロメチル化重
合体をクロロホルム/メタノール(容量比5:1)の混
合溶剤に溶かして18重量%の溶液とした後、上記のス
ズイオン型陽イオン交換膜の粗面化した表面に塗布、乾
燥し厚みが25μmの被膜を形成させた。
【0037】次に、このクロロメチル化重合体の被膜を
有するスズイオン型陽イオン交換膜をN,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンのメタ
ノール溶液(10重量%)に30℃で75時間浸漬し、
充分に水洗した後、バイポーラ膜を得た。
【0038】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.88N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.5%,ηH=99.
5%、水電解電圧は1.3ボルトであった。
【0039】さらに、このバイポーラ膜を40℃の4N
−NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HC
l中に1時間浸漬するという操作を6回繰り返して、充
分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=99.4%,ηH=99.3
%、水電解電圧は1.3ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜の接着強度は0.64N/cmであった。こ
のバイポーラ膜の特性は3ヶ月間の通電を経ても変わら
ず、またバイポーラ膜中に気泡および水泡の発生も認め
られなかった。
【0040】比較例2 実施例2で得られたクロロメチル化したスチレン系ブロ
ック共重合体をクロロホルム/メタノール(容量比5:
1)の混合溶剤に溶かして18重量%の溶液とした後、
上記のスズイオン型陽イオン交換膜の粗面化した表面に
塗布、乾燥し厚みが25μmのの被膜を形成させた。
【0041】次に、このクロロメチル化重合体の被膜を
有するスズイオン型陽イオン交換膜をN,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンのメタ
ノール溶液(10重量%)に30℃で75時間浸漬し、
充分に水洗した後、バイポーラ膜を得た。
【0042】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.20N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.3%,ηH=99.
1%、水電解電圧は1.4ボルトであった。
【0043】さらに、このバイポーラ膜を40℃の4N
−NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HC
l中に1時間浸漬するという操作を6回繰り返して、充
分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=98.4%,ηH=98.4
%、水電解電圧は1.5ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜は、接着強度が0.16N/cmで、直径1
mm以上の水泡が20cm2のバイポーラ膜中に8個発
生していた。
【0044】次いで、このバイポーラ膜を1ヶ月間通電
すると、バイポーラ膜中の水泡が次第に大きくなり、接
着強度は0.10N/cmに低下した。またバイポーラ
膜の特性を測定したところ、水電解効率はηOH=8
6.2%,ηH=86.4%に低下し、水電解電圧は
1.9ボルトに上昇した。
【0045】実施例3 実施例2と同じ陽イオン交換膜(商品名:ネオセプタC
M−1、徳山曹達社製)を予めサンドペーパーで処理し
て一方の表面を粗面化し、2重量%の塩化第一鉄水溶液
に25℃で1時間浸漬した後、イオン交換水で充分に洗
浄し、室温で風乾した。
【0046】また、ポリスチレンのセグメント(50重
量%)とポリブタジエンの水素添加されたセグメント
(50重量%)から成る主鎖に不飽和結合を有しない共
重合体50gをクロロホルム1000gに溶解し、50
gのクロロメチルメチルエーテルと10gの塩化スズを
加え、30℃で45時間反応させ、メタノール中で沈澱
し洗浄、乾燥し、クロロメチル化したスチレン系ブロッ
ク共重合体を得た。
【0047】次に、分子量が3000のクロロメチル化
ポリスチレンを上記のクロロメチル化したスチレン系ブ
ロック共重合体と混合し、クロロメチル化ポリスチレン
の割合が30重量%になるように調製した。
【0048】このようにして得られたクロロメチル化重
合体をテトラヒドロフランに溶解し20重量%の溶液と
した後、この溶液にN,N,N’,N’−テトラメチル
−1,6−ヘキサンジアミンを3重量%加えた。次に、
この調製した溶液を、上記の鉄イオン型の陽イオン交換
膜の粗面化した側に塗布、乾燥してアミノ化共重合体の
被膜の厚みが30μmであるバイポーラ膜を作製した。
【0049】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.78N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.4%,ηH=99.
4%で水電解電圧は1.3ボルトであった。
【0050】さらに、このバイポーラ膜を40℃の4N
−NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HC
l中に1時間浸漬するという操作を6回繰り返して、充
分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=99.3%,ηH=99.3
%、水電解電圧は1.3ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜の接着強度は0.77N/cmであった。こ
のバイポーラ膜の特性は4ヶ月間の通電を経ても変わら
ず、バイポーラ膜中に気泡および水泡の発生も認められ
なかった。
【0051】比較例3 実施例3において得たクロロメチル化したスチレン系ブ
ロック共重合体をテトラヒドロフランに溶解し20重量
%の溶液とした後、この溶液にN,N,N’,N’−テ
トラメチル−1,6−ヘキサンジアミンを3重量%加え
た。次に、この調製した溶液を、上記の鉄イオン型の陽
イオン交換膜の粗面化した側に塗布、乾燥して、被膜の
厚みが35μmであるバイポーラ膜を作製した。
【0052】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.19N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.2%,ηH=99.
4%で水電解電圧は1.3ボルトであった。
【0053】さらに、このバイポーラ膜を40℃の4N
−NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HC
l中に1時間浸漬するという操作を6回繰り返して、充
分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=95.1%,ηH=95.0
%、水電解電圧は1.4ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜は、接着強度が0.17N/cmで、直径1
mm以上の水泡が20cm2のバイポーラ膜中に14個
発生していた。
【0054】次いで、このバイポーラ膜を1ヶ月間通電
すると、バイポーラ膜中の水泡が次第に大きくなり、接
着強度は0.09N/cmに低下した。またバイポーラ
膜の特性を測定したところ、水電解効率はηOH=8
0.3%,ηH=80.5%に低下し、水電解電圧は
2.5ボルトに上昇した。
【0055】実施例4 分子量が5000のクロロメチル化ポリスチレンと実施
例3において得たクロロメチル化したスチレン系ブロッ
ク共重合体と混合し、クロロメチル化ポリスチレンの割
合が25重量%になるように調製した。
【0056】次に、上記のクロロメチル化重合体をテト
ラヒドロフランに溶解し25重量%の溶液とした後、こ
の溶液にN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−
ヘキサンジアミンを4重量%加えた。次いで、この調製
した溶液を、実施例1において得たスズイオン型の陽イ
オン交換膜の粗面化した側に塗布、乾燥して、被膜の厚
みが28μmであるバイポーラ膜を作製した。
【0057】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.82N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.1%,ηH=98.
9%で水電解電圧は1.3ボルトであった。
【0058】さらに、このバイポーラ膜を40℃の4N
−NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HC
l中に1時間浸漬するという操作を20回繰り返して、
充分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=98.7%,ηH=98.7
%、水電解電圧は1.3ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜の接着強度は0.79N/cmであった。こ
のバイポーラ膜の特性は3ヶ月間の通電を経ても変わら
ず、バイポーラ膜中に気泡および水泡の発生も認められ
なかった。
【0059】比較例4 実施例3において得たクロロメチル化したスチレン系ブ
ロック共重合体をテトラヒドロフランに溶解し25重量
%の溶液とした後、この溶液にN,N,N’,N’−テ
トラメチル−1,6−ヘキサンジアミンを4重量%加え
た。次いで、この調製した溶液を、実施例1において得
たスズイオン型の陽イオン交換膜の粗面化した側に塗
布、乾燥して、被膜の厚みが30μmであるバイポーラ
膜を作製した。
【0060】このようにして得られたバイポーラ膜は、
接着強度が0.20N/cmで、その特性を測定したと
ころ、水電解効率はηOH=99.0%,ηH=98.
8%で水電解電圧は1.3ボルトであった。
【0061】次に、このバイポーラ膜を40℃の4N−
NaOH中に1時間浸漬し、次に40℃の4N−HCl
中に1時間浸漬するという操作を20回繰り返して、充
分に水洗した後、バイポーラ膜の特性を測定したとこ
ろ、水電解効率はηOH=90.2%,ηH=90.5
%、水電解電圧は2.7ボルトであった。また、このバ
イポーラ膜は、接着強度が0.10N/cmで、直径1
mm以上の水泡が20cm2のバイポーラ膜中に38個
発生していた。
【0062】次いで、このバイポーラ膜を3週間通電す
ると、バイポーラ膜中の水泡が次第に大きくなると共
に、水電解電圧が10ボルト以上になり、実質的に水電
解が行えない状態となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 47/12 B01J 47/12 B // C08L 25:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換膜と、主鎖に不飽和結合
    を有しないスチレン系ブロック共重合体および陰イオン
    交換基が導入可能な官能基を有する分子量15000以
    下の重合体の混合物を母体とした多価アミンによる架橋
    構造を有する陰イオン交換体とよりなるバイポーラ
    膜。
  2. 【請求項2】 陽イオン交換膜層と、主鎖に不飽和結合
    を有しないハロメチル化されたスチレン系ブロック共重
    合体及びハロメチル基を有する分子量15000以下の
    重合体の混合物のハロメチル基を多価アミンと反応させ
    て得た架橋構造を有する陰イオン交換体層とよりなるバ
    イポーラ膜。
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