JPH08138920A - 加熱接合用永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

加熱接合用永久磁石およびその製造方法

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JPH08138920A
JPH08138920A JP6272709A JP27270994A JPH08138920A JP H08138920 A JPH08138920 A JP H08138920A JP 6272709 A JP6272709 A JP 6272709A JP 27270994 A JP27270994 A JP 27270994A JP H08138920 A JPH08138920 A JP H08138920A
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heat
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直正 木村
Katsutoshi Nozaki
勝敏 野崎
Mitsuya Hosoe
光矢 細江
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石本体を異材種部材に対して強固に接
合することのできる加熱接合用永久磁石を提供する。 【構成】 異材種部材8に加熱接合される永久磁石1で
あって、永久磁石本体2における異材種部材8に接合さ
れる面3に、希土類元素系合金よりなる接合材層4を一
体的に有する。希土類元素系合金は、合金元素AEとし
て、Cu、Al、Ga、Co、Fe、Ag、Ni、A
u、Mn、Zn、Pd、Sn、Sb、Pb、Bi、Cd
およびInから選択される少なくとも一種を5原子%≦
AE≦50原子%含有する。希土類元素を主成分とする
前記合金より生じた液相は永久磁石本体2および異材種
部材8に対して優れた濡れ性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加熱接合用永久磁石およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、希土類元素を含む永久磁石は、
非常に脆いため機械加工性が悪く、また高温下に曝され
ると、金属組織が変化するためそれに伴い磁気特性が低
下する、といった性質を有する。
【0003】そのため、永久磁石を、例えば異材種部材
であるモータの金属製ロータに接合する場合、あり差し
構造、ねじ止め、溶接等の取付手段を採用することがで
きないので、従来は接着剤が用いられている(例えば、
特開昭55−58760号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着剤
を用いると、永久磁石の濡れ性が悪いため接着強度が低
く、その上、温度上昇に伴いその接着強度が著しく低下
する、といった問題を生ずる。このような状況下ではモ
ータの高速回転化の要請に到底対応することはできな
い。また永久磁石、特に希土類元素を含む永久磁石は耐
食性に乏しいので何等かの防錆処理が必要である。
【0005】本発明は前記に鑑み、異材種部材に対して
強固に接合することが可能であり、また防錆能を有する
加熱接合用永久磁石およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る異材種部材
に加熱接合される永久磁石は、永久磁石本体における前
記異材種部材に接合される面に、希土類元素系合金より
なる接合材層を一体的に有し、その希土類元素系合金
は、合金元素AEとして、Cu、Al、Ga、Co、F
e、Ag、Ni、Au、Mn、Zn、Pd、Sn、S
b、Pb、Bi、CdおよびInから選択される少なく
とも一種を5原子%≦AE≦50原子%含有することを
特徴とする。
【0007】また本発明に係る加熱接合用永久磁石にお
いて、前記永久磁石本体は、前記接合材層を除いた全部
の表面を、Al、Ni、Au、TiまたはTiNの一種
よりなる防錆膜により被覆されていることを特徴とす
る。
【0008】さらに本発明は加熱接合用永久磁石を製造
するに当り、永久磁石本体における異材種部材と加熱接
合される面を除いた全部の表面に、Al、Ni、Au、
TiまたはTiNの一種よりなる防錆膜を形成する工程
と、前記加熱接合される面に、合金元素AEとして、C
u、Al、Ga、Co、Fe、Ag、Ni、Au、M
n、Zn、Pd、Sn、Sb、Pb、Bi、Cdおよび
Inから選択される少なくとも一種を5原子%≦AE≦
50原子%含有する希土類元素系合金よりなる接合材層
を形成する工程とを用いることを特徴とする。
【0009】
【作用】接合材層を構成する希土類元素系合金におい
て、前記のように特定された合金元素AEを特定量含有
させると、加熱下において希土類元素と合金元素AEと
が共晶反応を生じるため、接合材層が液相状態または固
液共存状態となる温度は比較的低くなる。これにより、
接合時における永久磁石本体および異材種部材の特性変
化を回避することができる。
【0010】また希土類元素を主成分とする接合材層よ
り生じた液相は高活性であって、種種の材質の永久磁石
本体および異材種部材に対して優れた濡れ性を発揮す
る。このような接合材層を用いることによって永久磁石
本体を異材種部材に対して強固に接合することができ
る。
【0011】さらに永久磁石は接合材層を一体的に有す
るので、接合作業性が良い。
【0012】ただし、希土類元素系合金において、合金
元素AEの含有量がAE<5原子%であるか、またはA
E>50原子%であると、固液共存状態における液相の
体積分率Vfが低くなるため接合強度が低下する。この
ことから、合金元素AEの含有量は、希土類元素との関
係において共晶組成またはそれに近い組成となるように
設定するのが望ましい。なお、二種以上の合金元素AE
を含有する場合には、それらの合計含有量が5原子%≦
AE≦50原子%となる。
【0013】また加熱接合用永久磁石は接合材層以外の
全部の表面に前記のように特定された防錆膜を有するの
で優れた耐食性を発揮する。
【0014】さらに前記製造方法によれば、防錆膜を備
えた加熱接合用永久磁石を容易に得ることができる。こ
の場合、前記両工程は何れが先に行われてもよい。
【0015】
【実施例】図1,2において、加熱接合用永久磁石1
は、永久磁石本体2と、その永久磁石本体2における異
材種部材に接合される面3に一体的に形成され、且つ希
土類元素系合金よりなる接合材層4と、接合材層4を除
いた永久磁石本体2の全部の表面5を被覆する防錆膜6
とよりなる。この防錆膜6は必要に応じて設けられる。
【0016】希土類元素系合金は、基本的には主成分で
ある希土類元素と、その希土類元素と共晶反応を行う合
金元素AEとから構成される。希土類元素はY、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Mm(ミッシュメタル)および
Luから選択される少なくとも一種である。また合金元
素AEは、Cu、Al、Ga、Co、Fe、Ag、N
i、Au、Mn、Zn、Pd、Sn、Sb、Pb、B
i、CdおよびInから選択される少なくとも一種であ
る。その合金元素AEの含有量は5原子%≦AE≦50
原子%に設定される。
【0017】希土類元素系合金における共晶合金を例示
すれば表1の通りである。
【0018】
【表1】 また希土類元素系合金における亜、過共晶合金としては
以下のものを挙げることができる。各化学式において、
数値の単位は原子%である(これは以下同じ)。Nd60
Cu40合金、Nd80Cu20合金、Nd50Cu50合金、N
90Al10合金、Nd80Co20合金、Sm75Cu25
金、Sm65Cu35合金、La85Ga15合金。さらに三元
系合金としては、Nd65Fe5 Cu30合金(液相発生温
度510℃)およびNd70Cu25Al5 (液相発生温度
474℃)を挙げることができる。
【0019】防錆膜6はAl、Ni、Au、Tiまたは
TiNの一種よりなる。
【0020】接合材層4、または接合材層4および防錆
膜6の形成には、電気メッキ処理または気相メッキ処
理、例えば物理蒸着法(イオンプレーティング、スパッ
タリング等)が適用される。
【0021】このように物理蒸着法を適用すると、薄
く、且つ組成が均一で、付着強度の高い薄層である接合
材層4および防錆膜6を能率良く形成することができ
る。これは、永久磁石本体2の前記面3および表面5が
複雑でも回り込み効果により実現される。
【0022】接合材層4は、それを構成する希土類元素
系合金が共晶系合金であって、比較的液相発生温度が低
いことから容易に非晶質化される。非晶質化接合材層4
は結晶粒界が少ないので優れた耐酸化性を有し、また接
合時に不純物となる酸化物を殆ど含まず、その上組成も
均一である。接合材層4の耐酸化性向上を図るために
は、その層4における非晶質相の体積分率VfがVf≧
50%(ただし、Vf=100%を含む)であることが
望ましい。
【0023】加熱接合用永久磁石1の製造に当っては、
永久磁石本体2における異材種部材と接合される面3に
Cu板、Al板、四フッ化エチレン樹脂板等によりマス
キングを施し、その面3を除いた全部の表面5に防錆膜
6を形成する工程と、前記マスキングを除去した後前記
面3に接合材層4を形成する工程とが用いられる。
【0024】加熱接合用永久磁石1を異材種部材に接合
するに当っては、永久磁石1の接合材層4に異材種部材
を重ね合せ、次いでその重ね合せ物を真空加熱炉内に設
置して、加熱下で接合材層4を液相状態または固液共存
状態にし、その後炉冷する、といった方法が採用され
る。
【0025】この場合、加熱温度Tは接合材の組成によ
って異なるが、前記組成の各種希土類元素系合金は比較
的低い加熱温度Tにて液相状態または固液共存状態とな
るので永久磁石本体2および異材種部材の特性を変化さ
せるようなことはない。
【0026】また希土類元素を主成分とする接合材層4
より生じた液相は高活性であって、種々の材質の部材、
例えば鋼製部材、希土類元素を含む永久磁石本体2(接
着剤やろう材に対して非常に濡れ性が悪い)等に対して
優れた濡れ性を発揮する。このような接合材層4を用い
ることによって永久磁石本体2を異材種部材に対して強
固に接合することができる。
【0027】加熱時間tは、それが長過ぎる場合には永
久磁石本体2および異材種部材の特性変化を招来するの
で、t≦10時間であることが望ましく、生産性向上の
観点からはt≦1時間である。
【0028】〔実施例1〕純度99.9%のNdと純度
99.9%のCuとを、共晶組成を有するNd70Cu30
合金が得られるように秤量し、次いでその秤量物を真空
溶解炉を用いて溶解し、その後鋳造を行ってNd70Cu
30合金インゴットを得た。
【0029】図3に示すように、永久磁石本体2とし
て、縦20mm、横20mm、厚さ3mmのNdFeB系永久
磁石(住友特殊金属社製、商品名NEOMAX−28U
H)を選定した。
【0030】先ず、永久磁石本体2の前記面3にCu板
を用いてマスキングを施し、また蒸発源として純度9
9.9%のAlインゴットを用い、電源電圧4kV、A
r雰囲気10-3Torr、Alインゴットの加熱温度約14
00℃の条件でイオンプレーティングを行い、前記面3
を除いた全部の表面5に厚さ約10μmのAl製防錆膜
6を形成した。
【0031】次いで永久磁石本体2よりマスキングを除
去し、また蒸発源として前記Nd70Cu30合金インゴッ
トを用い、電源電圧5kV、Ar雰囲気10-3Torr、N
70Cu30合金インゴットの加熱温度約1300℃の条
件でイオンプレーティングを行い、永久磁石本体2の前
記面3に厚さ約50μmのNd70Cu30合金製接合材層
4を形成して、図3に示す加熱接合用永久磁石1を得
た。
【0032】異材種部材として、図3に示すように厚さ
0.4mmの冷間圧延鋼板7を積層してなり、縦10mm、
横10mm、長さ20mmの直方体状積層体8を選定した。
その積層体8において、各冷間圧延鋼板7はかしめ手段
9により接合されている。また積層体8の貫通孔10は
引張り試験においてチャックとの連結に用いられる。
【0033】加熱接合に当っては、加熱接合用永久磁石
1の接合材層4上に、積層体8の各鋼板端面よりなる接
合面を下向きにして重ね合わせ、その重ね合せ物を真空
加熱炉内に設置して、加熱温度T=530℃、加熱時間
t=10分間の加熱工程、それに次ぐ炉冷よりなる接合
処理を行って、図4に示すように永久磁石1と積層体8
とよりなる接合体11を得た。この接合処理において
は、加熱温度TがT=530℃であって、図5に示す共
晶点520℃を超えているので、接合材層4は共晶組成
を有することから液相状態となる。
【0034】比較のため、前記同様の永久磁石本体2と
前記同様の積層体8とをエポキシ樹脂系接着剤(日本チ
バガイギ社製、商品名アラルダイト)を介し重ね合せて
重ね合せ物を作製し、その重ね合せ物を乾燥炉内に設置
して、加熱温度200℃、加熱時間60分間の加熱工
程、それに次ぐ炉冷よりなる接合処理を行って、永久磁
石本体2と積層体8とをエポキシ樹脂系接着剤を介して
接合した接合体を得た。
【0035】各接合体について室温下および150℃の
加熱下で引張り試験を行ったところ、表2の結果を得
た。
【0036】
【表2】 表2から明らかなように、接合材層4を用いた接合体1
1は、室温下および150℃の加熱下において、エポキ
シ樹脂系接着剤を用いたものに比べて接合強度が高く、
その接合強度は両環境下において殆ど変わらず、またそ
のばらつきも小さかった。
【0037】接着剤を用いた接合体は室温下における接
合強度が低い上にそのばらつきが大きく、また150℃
の加熱下ではその接合強度が室温下のそれの3分の1に
低下した。
【0038】NdFeB系永久磁石、SmCo系永久磁
石等の希土類元素を含む永久磁石本体2は、接合処理時
の加熱温度TがT>650℃になると、その磁気特性、
特に保磁力 Ic (磁化の強さI=0)が低下傾向とな
る。ただし、残留磁束密度Brおよび保磁力 Bc (磁
束密度B=0)は殆ど変わらず、したがって最大磁気エ
ネルギ積(BH)maxは略一定である。前記接合材層
4を用いた接合処理において、その加熱温度TはT=5
30℃であってT≦650℃であるから、永久磁石本体
2の磁気特性を変化させるようなことはない。
【0039】また前記永久磁石本体2の濡れ性の悪さ
は、その結晶粒界に希土類元素濃度、この実施例ではN
d濃度の高い相が存在していることに起因する。前記接
合材層4を用いた接合処理において、その接合材層4は
液相状態となっており、Ndを主成分とするNd70Cu
30合金より生じた液相は、高活性であると共に前記結晶
粒界に存するNd濃度の高い相と主成分を共通にするこ
とから永久磁石本体2に対して優れた濡れ性を発揮し、
また前記高活性化に伴い冷間圧延鋼板7よりなる積層体
8に対する濡れ性も極めて良好である。
【0040】したがって、前記のような接合材層4を用
いることによって、永久磁石本体2の磁気特性を損うこ
となく、その永久磁石本体2を積層体8に対して強固に
接合することができる。この接合技術は、モータ用ロー
タに対する永久磁石本体2の接合に適用され、回転数が
10000rpm 以上である高速回転モータの実現を可能
にするものである。
【0041】また前記接合体11について、その接合体
11を、60℃、相対湿度90%の環境に30日間保持
する、といった耐食性試験を行ったところ、永久磁石本
体2における錆の発生がAl系防錆膜6によって確実に
防止されていることが判明した。
【0042】〔実施例2〕実施例1と同様のNd70Cu
30合金インゴットにスタンプミルによる粉砕処理を施
し、次いで分級処理を行って粒径106μm以下のNd
70Cu30合金粉末を得た。
【0043】永久磁石本体2として、実施例1と同様の
縦10mm、横10mm、厚さ3mmのNdFeB系永久磁石
(住友特殊金属社製、商品名NEOMAX−28UH)
を選定した。
【0044】そして、図6に示すように、永久磁石本体
2の正方形をなす両面3に、Nd70Cu30合金粉末を用
いたフラッシュ蒸着法を施して、厚さ20μmのNd70
Cu 30合金製接合材層4を形成し、これにより加熱接合
用永久磁石1を得た。
【0045】フラッシュ蒸着法の条件は、Pt製加熱ボ
ートの温度900℃、加熱ボートへのNd70Cu30合金
粉末の供給量15mg/min 、雰囲気の圧力5×10-5To
rrである。Nd70Cu30合金粉末を前記供給量にて加熱
ボートに供給すると、加熱ボートに到達したNd70Cu
30合金粉末は、その全部が直ちに蒸発して永久磁石本体
2の面3に付着するので、接合材層4における組成がN
70Cu30合金のそれと略同一となり、組成変化が抑制
される。
【0046】異材種部材として、図6に示すように実施
例1と同様の厚さ0.3mmの冷間圧延鋼板7を積層して
なり、縦10mm、横10mm、長さ15mmの2つの直方体
状積層体8を選定した。その積層体8において、各冷間
圧延鋼板7はかしめ手段9により接合されている。また
積層体8の貫通孔10は引張り試験においてチャックと
の連結に用いられる。
【0047】加熱接合に当っては、図6に示すように、
一方の積層体8の各鋼板端面よりなる接合面上に加熱接
合用永久磁石1を、その一方の接合材層4を下向きにし
て重ね合せ、また他方の接合材層4上に他方の積層体8
を、その各鋼板端面よりなる接合面を下向きにして重ね
合せ、これにより重ね合せ物を作製した。次いで、重ね
合せ物を真空加熱炉内に設置して、加熱温度T=530
℃、加熱時間t=30分間の加熱工程、それに次ぐ炉冷
よりなる接合処理を行って、図7に示すように2つの積
層体8により永久磁石1を挟むようにそれら1,8を接
合材層4を介して接合した接合体11を得た。
【0048】比較のため前記同様のNd70Cu30合金イ
ンゴットにマイクロカッタによる切断加工を施して、N
70Cu30合金よりなり、且つ縦10mm、横10mm、厚
さ0.2mmの薄板状接合材を得た。
【0049】そして前記同様のNdFeB系永久磁石と
2つの積層体とを2つの接合材を用いて前記と同一条件
で加熱接合し、これにより、図7に示す接合体11と同
様の接合体を得た。
【0050】各接合体について室温下および150℃の
加熱下で引張り試験を行ったところ、表3の結果を得
た。
【0051】
【表3】 表3から明らかなように、接合材層4を用いた接合体1
1は、室温下および150℃の加熱下において、薄板状
接合材を用いた接合体に比べて接合強度が高く、その接
合強度は両環境下において全然変わらず、またそのばら
つきも小さかった。これは、フラッシュ蒸着による接合
材層4の組成が均一であって、その強度が鋳造による接
合材のそれよりも高いことに起因する。
【0052】〔実施例3〕永久磁石本体2として、実施
例2と同様の縦10mm、横10mm、厚さ3mmのNdFe
B系永久磁石(住友特殊金属社製、商品名NEOMAX
−28UH)を選定した。
【0053】そして、図6に示すように、永久磁石本体
2の正方形をなす両面3に、NdターゲットおよびCu
ターゲットを用いた多元スパッタ法(実施例2ではN
d、Cuの二元スパッタ法)を施して堆積速度 約0.
3μm/min にて厚さ20μmのNd70Cu30合金製接
合材層4を形成し、これにより加熱接合用永久磁石1を
得た。この場合、Nd70Cu30合金は非晶質単相構造で
あった(即ち、Vf=100%)。
【0054】多元スパッタ法の条件は次の通りである。
使用装置 マグネトロン型三元同時高周波スパッタ装置
(実施例では二元のみ使用);永久磁石本体の冷却方式
水冷;永久磁石本体の回転数 30rpm ;Ndターゲ
ットのNd純度 99.9%;Ndターゲットの寸法
直径80mm、厚さ5mm;CuターゲットのCu純度9
9.9%;Cuターゲットの寸法 直径80mm、厚さ5
mm;スパッタガス Ar;スパッタガス圧 1Pa;永
久磁石本体の面を洗浄するための逆スパッタ投入電力1
00W、10分間;Nd、Cuターゲット表面をエッチ
ングして洗浄するためのプレスパッタ 投入電力100
W、20分間;接合材層形成時のスパッタ Ndターゲ
ットでは投入電力300W、Cuターゲットでは投入電
力250W(Cuのスパッタ率はNdのそれの3倍であ
るため、前記のように投入電力を調節する)。
【0055】加熱接合に当っては、加熱接合用永久磁石
1と2つの積層体8とを、実施例2同様に重ね合せて重
ね合せ物(図6参照)を作製し、次いで実施例2と同一
条件で加熱接合し、これにより接合体11を得た(図7
参照)。
【0056】接合体11について室温下および150℃
の加熱下で引張り試験を行ったところ、表4の結果を得
た。表4には、比較のため表3の薄板状接合材を用いた
場合の測定値も示されている。
【0057】
【表4】 表4から明らかなように、接合材層4を用いた接合体1
1は、室温下および150℃の加熱下において、薄板状
接合材を用いた接合体に比べて接合強度が高く、その接
合強度は両環境下において全然変わらず、またそのばら
つきも小さかった。これは、多元スパッタ法による接合
材層4の金属組織が非晶質単相構造であることから組成
が極めて均一であると共に酸化物量が僅少であって、そ
の強度が鋳造による接合材のそれよりも高いことに起因
する。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、前記のよ
うに構成することによって、比較的低温にて異材種部材
に対して強固に接合することが可能な加熱接合用永久磁
石を提供することができる。特に、接合材層は、その組
成により、希土類元素を含む永久磁石本体と異材種部材
との接合において、永久磁石本体の磁気特性を損うこと
なく接合強度を高め得る、といった利点を有する。また
永久磁石本体と接合材層とを一体化したので、接合作業
性を向上させることができる。
【0059】請求項5記載の発明によれば、前記効果に
加え防錆能を有する加熱接合用永久磁石を提供すること
ができる。
【0060】請求項6記載の発明によれば、防錆能を持
つ加熱接合用永久磁石を容易に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱接合用永久磁石の斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】加熱接合用永久磁石と積層体との重ね合せ関係
を示す斜視図である。
【図4】接合体の正面図である。
【図5】Cu−Nd系状態図の要部を示す。
【図6】加熱接合用永久磁石と積層体との重ね合せ関係
を示す斜視図である。
【図7】接合体の斜視図である。
【符号の説明】
1 加熱接合用永久磁石 2 永久磁石本体 3 面 4 接合材層 5 表面 6 防錆膜 8 積層体(異材種部材)
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】
【表1】 また希土類元素系合金における亜、過共晶合金としては
以下のものを挙げることができる。各化学式において、
数値の単位は原子%である(これは以下同じ)。Nd60
Cu40合金、Nd80Cu20合金、Nd50Cu50合金、N
90Al10合金、Nd80Co20合金、Sm75Cu25
金、Sm65Cu35合金、La85Ga15合金。さらに三元
系合金としては、Nd65Fe5 Cu30合金(液相発生温
501℃)およびNd70Cu25Al5 (液相発生温度
474℃)を挙げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 30/00 A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異材種部材(8)に加熱接合される永久
    磁石(1)であって、永久磁石本体(2)における前記
    異材種部材(8)に接合される面(3)に、希土類元素
    系合金よりなる接合材層(4)を一体的に有し、その希
    土類元素系合金は、合金元素AEとして、Cu、Al、
    Ga、Co、Fe、Ag、Ni、Au、Mn、Zn、P
    d、Sn、Sb、Pb、Bi、CdおよびInから選択
    される少なくとも一種を5原子%≦AE≦50原子%含
    有することを特徴とする加熱接合用永久磁石。
  2. 【請求項2】 前記接合材層(4)は物理蒸着による薄
    層である、請求項1記載の加熱接合用永久磁石。
  3. 【請求項3】 前記接合材層(4)における非晶質相の
    体積分率VfがVf≧50%である、請求項1または2
    記載の加熱接合用永久磁石。
  4. 【請求項4】 前記永久磁石本体(2)は希土類元素を
    含む、請求項1,2または3記載の加熱接合用永久磁
    石。
  5. 【請求項5】 前記永久磁石本体(2)は、前記接合材
    層(4)を除いた全部の表面(5)を、Al、Ni、A
    u、TiまたはTiNの一種よりなる防錆膜(6)によ
    り被覆されている、請求項1,2,3または4記載の加
    熱接合用永久磁石。
  6. 【請求項6】 永久磁石本体(2)における異材種部材
    (8)と加熱接合される面(3)を除いた全部の表面
    (5)に、Al、Ni、Au、TiまたはTiNの一種
    よりなる防錆膜(6)を形成する工程と、前記加熱接合
    される面(3)に、合金元素AEとして、Cu、Al、
    Ga、Co、Fe、Ag、Ni、Au、Mn、Zn、P
    d、Sn、Sb、Pb、Bi、CdおよびInから選択
    される少なくとも一種を5原子%≦AE≦50原子%含
    有する希土類元素系合金よりなる接合材層(4)を形成
    する工程とを用いることを特徴とする加熱接合用永久磁
    石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接合材層(4)の形成に物理蒸着法
    を適用する、請求項6記載の加熱接合用永久磁石の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記接合材層(4)および防錆膜(6)
    の形成に物理蒸着法を適用する、請求項6記載の加熱接
    合用永久磁石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011061038A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Toyota Central R&D Labs Inc 希土類磁石とその製造方法および磁石複合部材
WO2013176096A1 (ja) * 2012-05-21 2013-11-28 日本発條株式会社 積層体および積層体の製造方法

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