JPH0813523B2 - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

高耐食性表面処理鋼板

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JPH0813523B2
JPH0813523B2 JP17961287A JP17961287A JPH0813523B2 JP H0813523 B2 JPH0813523 B2 JP H0813523B2 JP 17961287 A JP17961287 A JP 17961287A JP 17961287 A JP17961287 A JP 17961287A JP H0813523 B2 JPH0813523 B2 JP H0813523B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は自動車車体等に好適な高耐食性表面処理鋼板
に関する。
[従来の技術] 近年、自動車車体として使用される鋼板は優れた耐食
性が要求され、従来から使用されてきた冷延鋼板に代
り、耐食性の高い表面処理鋼板を使用する傾向が強くな
っている。
このような表面処理鋼板としては、まず亜鉛メッキ鋼
板をあげることができるが、この種の鋼板では耐食性を
高めるために亜鉛の付着量を多くする必要があり、これ
に伴って加工性、溶接性が劣化するという問題がある。
このような問題を改善するためNi,Fe,Mn,Mo,Co,Al,Cr等
の元素を1種または2種以上添加した亜鉛合金メッキ鋼
板や多層メッキ鋼板が研究開発されており、これらの鋼
板では上記亜鉛メッキ鋼板に比較して溶接性、加工性を
劣化させることなく耐食性を向上させることができる。
しかし、鋼板が自動車車体内板の袋構造部や曲り部(ヘ
ミング部)に適用される場合、その表面には高度な耐食
性が要求されるものであり、上記したような亜鉛合金メ
ッキ鋼板や多層メッキ鋼板ではその耐食性がいまひとつ
十分でないという問題がある。高度な耐食性を有する鋼
板として、特公昭45−24230号や特公昭47−6882号にみ
られるようなジンクリッチ系塗膜を施した防錆塗装鋼板
が研究開発されており、その代表的なものはジンクロメ
タルの名称で知られている。しかし、この防錆塗装鋼板
においても、プレス成形等の加工部では皮膜の剥離を生
じ、耐食性が劣化してしまう場合があり、自動車車体用
材料等の要求に応ずべき高耐食性防錆被覆鋼板として
は、未だ十分に満足できるものとは言い難い。
このようなことから本発明者等は、ジンクリッチ系塗
膜では防錆塗装鋼板の性能改善に限界があるとの観点か
ら、Zn粉末などの金属粉末を全く使用しない薄膜(約数
μ以下)状の保護皮膜を有する鋼板を新たに開発し、特
開昭58−224174号、特開昭60−50179号、特開昭60−501
80号及び特開昭60−50181号等として提案した。この鋼
板は亜鉛若しくは亜鉛合金メッキ鋼板をベースとし、こ
れにクロメート皮膜と最上層の有機複合シリケート皮膜
を施したもので、加工性及び耐食性に優れた特性を有し
ている。
さらに、自動車車体内面の一部の部位(トランクリッ
ド、フード等)では、カチオン電着塗膜に上塗りを施す
2コート以上の塗装をする場合があり、上記提案に係る
鋼板では、このような多層塗膜の場合の密着性に不安が
あることから、上記鋼板を改良し、多層塗膜密着性にも
優れた多層塗装用防錆鋼板の製造方法を特開昭60−1748
79号として提案した。
この発明は250〜350℃の高温焼付により有機高分子皮
膜を十分に架橋させ、多層塗装に対して、優れた塗装密
着性を確保するものであり、高分子皮膜の架橋が不十分
な場合、カチオン電着時に界面で発生するアルカリによ
り皮膜が軟膨潤し、塗装密着性が劣化するという点を高
温焼付の架橋により改善したものである。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、本発明者等のその後の研究により、上
記鋼板は250℃以上の高温焼付により非常に優れた塗装
密着性(2コート以上の多層塗装密着性)を確保できる
ものの、電着塗装が形成されにくい場合を想定した、所
謂裸耐食性(無塗装耐食性)に問題があり、表面処理皮
膜が損傷を受けた場合、例えば鉄素地まで達するクロス
カット、深絞り成形、ドロービード加工等を受た場合、
裸耐食性が上述した特開昭58−224174号等による鋼板と
比べてやや劣る傾向があることが判明した。
そこで、本発明者等は、上記問題点を改善するため、
先に特願昭61−69383号を提案した。この鋼板は、最上
層に緻密且つ強固でしかも耐アルカリ性に優れた樹脂皮
膜を形成させることにより、高度の塗装密着性と、耐食
性を得ている。また樹脂組成物皮膜の性質上焼付温度を
低温(250℃以下)とすることができるため、従来の鋼
板のような高温焼付によるクロメート皮膜の劣化がな
く、クロメート皮膜自体による良好な耐食性が保持され
る。このたむえ、この鋼板は、加工性及び溶接性ととも
に、優れた裸耐食性、多層塗装に対する塗装密着性及び
塗装耐食性を有している。しかしながら、自動車用高耐
食性表面処理鋼板は、優れた加工性、溶接性とともに、 1) 袋構造部やヘミング部等の電着塗膜が形成されに
くい部位の耐食性、すなわち高度の裸耐食性(未塗装耐
食性)。
2) トランクリッドやフード内面のような2コート
(カチオン電着+上塗り)以上の多層塗装に対する塗装
性(塗装密着性、塗装耐食性)。
が要求されるものであり、特に自動車車体の防錆性に
対する要望はさらに高まりつつある。したがって、この
点を考えると、上記鋼板は優れた裸耐食性(加工後の裸
耐食性を含む)を有してはいるものの、さらにその改善
がなされることが望ましい。
本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもの
で、加工性及び溶接性とともに、優れた裸耐食性、多層
塗装に対する塗装密着性及び塗装耐食性を有する高耐食
性表面処理鋼板を提供せんとするものである。
[問題を解決するための手段] このため本発明の基本的特徴とするところは以下の通
りである。
(1)亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表面にク
ロメート皮膜を有し、該クロメー皮膜の上部に、エポキ
シ樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と
少なくとも2個以上の一級水酸基とを付加せしめてなる
基体樹脂に、ポリイソシアネート化合物と、基体樹脂/
シリカの重量比が99/1〜30/70の割合のシリカと、(基
体樹脂+シリカ)の重量100部に対し0.1〜15部のシラン
化合物とが配合された樹脂組成物皮膜を有してなる高耐
食性表面処理鋼板。
(2)亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表面にク
ロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部にエポキ
シ樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と
少なくとも2個以上の一級水酸基とを付加せしめてなる
基体樹脂に、ポリイソシアネート化合物と、基体樹脂/
シリカの重量比が99/1〜30/70の割合のシリカと、(基
体樹脂+シリカ)の重量100部に対し0.1〜15部のシラン
化合物と、基体樹脂/添加物の重量比が99/1〜60/40で
ある難溶性クロム化合物および/またはリンモリブデン
酸アルミニウムからなる添加物とが配合された樹脂組成
物皮膜を有してなる高耐食性表面処理鋼板。
以下本発明の詳細を説明する。
本発明は亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板を出発
素材とし、その表面にクロメート皮膜、さらにその上部
に所定の添加剤を配合した塩基性エポキシ樹脂皮膜を有
する。
出発素材たる亜鉛系メッキ鋼板としては、亜鉛メッキ
鋼板、亜鉛−鉄合金メッキ鋼板、亜鉛−ニッケル合金メ
ッキ鋼板、亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板、亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板、亜鉛−コバルト−クロム合金メッキ
鋼板、さらにはこれら任意の鋼板のメッキ成分に、Ni,F
e,Mn,Mo,Co,Al,Cr等の元素を1種又は2種以上添加した
ものを用いることができ、さらに上記したようなメッキ
のうち同種又は異種のものを2層以上施した複合メッキ
鋼板であってもよい。例えばFe含有量の異なるFe−Zn合
金メッキを2層以上施したようなメッキ皮膜とすること
ができる。
これらのうち、特に耐食性の見地からは亜鉛−ニッケ
ル合金メッキ鋼板、亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板が好
ましく、これらの鋼板を用いる場合、亜鉛−ニッケル合
金メッキ鋼板はメッキ皮膜中のニッケル含有量を5〜20
wt%亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板はマンガン含有量を
30〜85wt%の範囲とすることが好ましい。
これらの亜鉛系メッキ鋼板のメッキ方法は電解法、溶
融法、気相法等のうち実施可能ないずれの方法を採用す
ることもできる。ただ、本発明の対象とするような防錆
鋼板は主として自動車車体の用途に供せられるものであ
り、このような用途ではメッキされる冷延鋼板の材質を
損なわないようにすることが重要であるため、熱の発生
しない電気メッキが有利であるということができる。
以上の素材メッキ鋼板の表面にはクロム酸処理による
クロメート皮膜が形成される。
このクロメート皮膜は、クロム付着量(dry)として
1〜1000mg/m2、好ましくは10〜200mg/m2程度(以上金
属クロム換算)とすることが適当である。クロム付着量
が1000mg/m2を超えると加工性、溶接性が劣化し、また1
mg/m2未満では皮膜が不均一となる可能性があり好まし
くない。またクロメート皮膜には6価のCrが存在したほ
うが好ましい。Cr6+は補修作用があり鋼板に傷がついた
場合そこから腐食を抑制する作用をする。
このような下地皮膜のためのクロメート処理は、反応
型、塗布型、電解型等の公知のいずれの方法によっても
よい。
塗布型クロメート処理液は、部分的に還元されたクロ
ム酸溶液を主成分とし、必要に応じこれに水分散性又水
溶性のアクリル樹脂等の有機樹脂及び/又は粒径数mμ
〜数百mμのシリカ(コロイダルシリカ、フュームドシ
リカ)を含有せしめたものである。この場合Cr3+/Cr6+
の割合は1/1〜1/3,pHは1.5〜4.0(より好ましくは2〜
3)が好ましい。Cr3+/Cr6+の割合は一般の有機還元剤
(例えば糖類、アルコール類等)や無機還元剤を使用し
て所定の割合に調節する。また塗布型クロメート処理と
しては、ロールコーター法、浸漬法、スプレー法等、い
ずれの方法を使用してもよい。塗布型クロメート処理で
は、クロメート処理後水洗することなく乾燥して皮膜を
得る。このように水洗することなく乾燥するのは、通常
行なわれる水洗ではCr6+が除去されるためであり、Cr3+
/Cr6+の割合をそのまま安定して維持させ、上部に形成
される塩基性エポキシ樹脂皮膜により腐食環境下でのCr
6+の過剰流出を抑制し、長期間に亘って効果的に不働態
化作用を維持させ高耐食性能を得ることができる。
一方、電解型クロメート処理では、無水クロム酸と、
硫酸、リン酸フッ化物またはハロゲン酸素酸等のアニオ
ンの1種又は2種以上を含有する浴で陰極電解処理を施
し、水洗・乾燥して皮膜を形成せしめる。以上の2つの
処理方法によるクロメート皮膜を比較すると、塗布型ク
ロメートは電解型クロメートと比較して皮膜中に6価ク
ロムを多く含有しているため耐食性が優れており、その
上、後述するように加熱処理した場合、皮膜が緻密で且
つ強固になるため、電解型クロメートに較べより耐食性
が良好になる、一方、電解型クロメートは加熱処理の有
無に拘らず皮膜の完成度が高いという長所があり、ま
た、皮膜付着量コントロールが容易であるという利点が
ある。耐食性を考慮すると塗布型クロメートが最も望ま
しい。また、自動車用防錆鋼板では片面処理鋼板とする
場合が多く、この観点からすると塗布型、電解型が望ま
しい。
上記クロメート皮膜上には所定の添加剤を配合した塩
基性エポキシ樹脂皮膜が形成される。
この樹脂皮膜は、エポキシ樹脂の末端に少なくとも1
個の塩基性窒素原子と少なくとも2個以上の一級水酸基
とを付加せしめてなる基体樹脂に、ポリイソシアネート
化合物を配合し、且つこれに添加剤としてシランとシラ
ン化合物とを配合した樹脂組成物を加熱硬化せしめた皮
膜である。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロロ
ヒドリンとを縮合反応させた縮合物を主体としたものが
好ましい。エポキシ樹脂としては、例えばエポキシ化
油、エポキシポリブタジエンのような脂肪族構造、或い
は脂環族構造のみからなるものがあるが、優れた耐食性
を得るためには上記縮合物を主体としたエポキシ樹脂を
用いるのが好ましい。エポキシ樹脂としては例えばエピ
コート828,1001,1004,1007,1009,1010(いずれもシェル
化学社製)等を用いることができる。このエポキシ樹脂
は、特に低温での硬化を必要とする場合には数平均分子
量1500以上のものが望ましい。なお、上記エピコートは
単独または異る種類のものを混合して使用することがで
きる。エキポシ樹脂に塩基性窒素原子と一級水酸基を導
入するには、例えばアルカノールアミンおよび/または
アルキルアルカノールアミンをエポキシ樹脂のオキシラ
ン基に付加せしめる方法を採ることができる。これらの
アミンとしては例えば、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、ジメチルアミノエタノール、モノプロパ
ノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールア
ミンなどがあり、これらのアミンを単独又は混合で使用
する。
また他の方法として、エポキシ樹脂を、部分的に他の
化合物で変性してもよい。但し、この場合にはエポキシ
樹脂1分子中に平均2モル以上の一級水酸基を含有させ
ることが必要である。
エポキシ樹脂の部分的変性の方法は、 (1)モノカルボン酸によるエステル化(モノカルボン
酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大分油脂肪酸、ヒマ
シ油脂肪酸などの飽和または不飽和脂肪酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸などの低分子脂肪族モノカルボン酸、安
息香酸などの芳香族モノカルボン酸など) (2)脂肪族又は芳香族アミンによる変性(脂肪族また
は芳香族アミンとしては、モノメチルアミン、ジメチル
アミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、イソプロ
ピルアミンなどの脂肪族アミン、アニリンなどの芳香族
アミンなど) (3)オキシ酸類による変性(オキシ酸類としては、乳
酸、γ−オキシプロピオン酸など)などがある。
なお、ジカルボン酸(例えばアジピン酸、セバチン酸
等)による変性方法もあるが、この方法は、エポキシ樹
脂が必要以上に高分子量化し過ぎること、さらには分子
量分布を一定にコントロールすることが反応制御上困難
であること、耐食性の向上が認められないこと等の理由
から本発明の皮膜を得るには不適当な方法である。
本発明の皮膜を形成する場合の硬化方法は、イソシア
ネートと基体樹脂中の水酸基との間のウレタン化反応を
主反応とすることが好適ではあるが、皮膜形成前の樹脂
組成物を安定に保存せしめるためには、硬化剤のイソシ
アネートを保護する必要がある。イソシアネート化合物
の保護方法としては、加熱時に保護基が脱離し、イソシ
アネート基が再生する保護方法を採用できる。
イソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個
のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環族(複素環を
含む)または芳香族イソシアネート化合物、もしくは、
それらの化合物を多価アルコール部分反応せしめた化合
物である。たとえば、 (1)m−またはp−フエニレンジイソシアネート、2,
4−または2,6−トリレンジイソシアネート、またはp−
キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、 (2)上記(1)の化合物の単独又は混合と多価アルコ
ール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど
の2価アルコール類、グリセリン、トリメチロールプロ
パンなどの3価アルコール、ペンタエリスリトールなど
の4価アルコール、ソレビトール、ジペンタエリスリト
ールなどの6価アルコールなど)との反応生成物で1分
子中に少なくとも2個のイソシアネートが残存する化合
物。
などがある。
また、この保護剤(ブロック剤)としては、例えば、 (1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、オクチルアルコールなど脂肪族モノアルコール類 (2)エチレングリコールおよび/またはジエチレング
リコールのモノエーテル類、例えばメチル、エチル、プ
ロピル(n−iso)、ブチル(n−,iso,sec)などのモ
ノエーテル (3)フェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール (4)アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシムな
どのオキシム などがあり、これらの1種または2種以上と前記イソ
シアネート化合物とを反応させることにより、少なくと
も常温下で安定に保護されたイソシアネート化合物を得
る。
このようなイソシアネート化合物は、硬化剤として基
体樹脂(固形分)100部に対して5〜80部、好ましくは1
0〜50部の割合で配合することが好ましい。イソシアネ
ート化合物は吸水性があり、これを80部を超えて配合す
ると密着性を劣化させてしまう。加えて、自動車用の表
面処理鋼板として電着塗装やスプレー塗装を行なった場
合、未反応のイソシアネート化合物が塗膜中に移動し、
塗膜の硬化阻害や密着性不良を起してしまう。このよう
な観点からイソシアネート化合物は80部以下の配合量と
する。
さらに、架橋剤として、メラミン、尿素およびベンゾ
グアナミンから選ばれた1種以上にホルムアルデヒドを
反応させてなるメチロール化合物の一部もしくは全部に
炭素数1〜5の1価アルコールを反応させてなるアルキ
ルエーテル化アミノ樹脂をイソシアネート化合物と併用
してもよい。なお、樹脂は以上のような架橋剤で十分架
橋するが、さらに低温架橋性を増大させるため、公知の
硬化促進触媒を使用することが望ましい。この硬化促進
触媒としては、例えば、N−エチルモルホリン、ジブチ
ルスズラウレート、ナフテン酸コバト、塩化第1スズ、
ナフテン酸亜鉛、硝酸ビスマスなどがある。また、付着
性など若干の物性向上を狙いとして、上記樹脂組成物に
公知のアクリル、アルキッド、ポリエステル等の樹脂を
併用することもできる。
本発明の皮膜形成組成物は、基本樹脂であるエポキシ
樹脂の塩基を低分子酸で中和し、水分散もしくは水溶型
組成物として使用することも可能であるが、250℃以下
の低温乾燥、特に170℃以下の極低温乾燥を必要とする
ようなBH鋼板用皮膜材として使用する場合には、そのよ
うな中和操作を行なわず、有機溶剤に溶解せしめた組成
物として使用するのがより望ましい。すなわち、水分散
若しくは水溶剤型組成物では、水溶化のために必要とさ
れる酸性化合物が皮膜中で塩を形成し、湿潤環境下で水
分を皮膜中及び皮膜下に吸収し易く、また低温乾燥条件
では十分に強固な皮膜を得ることができずないなどの理
由から耐食性、密着性がやや劣る傾向がある。この有機
溶剤種としては、通例塗料業界で使用する有機溶媒の1
種または2種以上の混合溶剤が使用できるが、その目的
のためには高沸点のアルコール系溶媒を避けるのが好ま
しい。これには例えばエチレングリコールもしくはジエ
チレングリコール、モノアルキルエーテル類、C5以上の
一級水酸基を有するアルコール類が挙げられる。このよ
うな溶剤は、皮膜の硬化反応を阻害する。推奨される溶
剤としては炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテ
ル系溶剤が挙げられ、また低分子C4以下のアルコール
類、もしくは2級、3級の水酸基を有するアルコール類
も好適である。本発明で以上のような樹脂組成物を設け
る狙いとしては次のような点をあげることができる。す
なわち、高度な耐食性と2コート以上の多層塗膜密着性
を得るために、ベースとしてエポキシ樹脂を採用し、
素地やカチオン電着との高密着性と高耐食性を得ること
を期待し、また樹脂の極性を塩基性とすることによっ
て、カチオン電着時に界面に発生するアルカリによる樹
脂構造の劣化をなくし、硬化剤としてイソシアネート
を使用することによって、低温硬化により十分に緻密な
高架橋密度皮膜を得、添加剤としてシリカとシラン化
合物を配合することにより、高度の耐食性を得る、とい
うものである。
これを詳細に説明すると、まず、ベース樹脂にビスフ
ェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応からなる
エポキシ樹脂用いることにより、自動車車体防錆用とし
て通常用いられているカチオン電着塗料との優れた密着
性が期待できる。また、樹脂構造として塩基性窒素原子
と一級水酸基を導入することにより、 (1)カチオン電着時に発生するアルカリによる皮膜破
壊を防止し、下地クロメート及びカチオン電着塗膜との
密着性を安定化させ、 (2)一級水酸基と選択された有機溶媒組成が架橋剤
(イソシアネート)との低温反応性を高め、 (3)さらに、エポキシ1分子中に2モル以上の水酸基
を導入することによって十分に緻密な架橋構造の皮膜が
得られる。2モル以下では十分な架橋が得られない。
(4)また添加剤としてシリカ、シラン化合物を配合す
ることにより、厳しい環境下でも優れた耐食性が得られ
る。
以上の樹脂組成物皮膜は、当該組成物をロール絞り、
ロールコーター、或いはエアナイフ等の方法により所定
膜厚に塗布した後、板温80〜250℃(好ましくは100〜20
0℃)で焼付加熱することにより得られる。本発明鋼板
はこのような低温焼付により得られるという大きな特徴
がある。
この焼付温度が80℃未満では皮膜の架橋が進まず、十
分な耐食性を得ることができず、一方、250℃を超える
高温焼付になると、上述した特開昭60−174879号と同様
耐食性が劣化してくる。これは250℃を超える高温焼付
では、クロメート皮膜成分中に含有される水分の揮酸
と、水酸基 どうしの脱水縮合反応の急速な進行とにより、クロメー
ト皮膜のクラック発生によるクロメート皮膜の破壊が進
行し、またCr6+の還元が進んでCr6+の不働態化作用が低
減すること等によるものと推定される。
本発明は樹脂組成物皮膜中にシリカはを含有させ防食
効果を向上させることを特徴としている。シリカは基体
樹脂/シリカの重量比で99/1〜30/70、好ましくは90/10
〜50/50の範囲で配合される。このシリカ配合による防
食性改善のメカニズムは必ずしも明らかではないが、腐
食環境下で溶出したZn2+とシリカとが反応し、安定な腐
食生成物を生成して孔食的腐食を阻止し、これによって
長期の防食性向上効果が得られるものと推定される。こ
こで、シリカの配合量が基本樹脂/シリカ:99/1未満で
あると、配合による防食性向上効果が期待できず、一
方、30/70超になると被膜の多孔質化のため2コート以
上の多層系塗膜の密着性が低下してしまう。
本発明で使用するシリカには、コロイダルシリカ、フ
ュームドシリカと呼ばれる親水性シリカと疎水性シリカ
とがある。これらシリカのうち、親水性シリカでも耐食
性向上効果は期待できるが、後述するように疎水性シリ
カの方が耐食性を顕著に向上させる。シリカの粒径とし
ては、 1mμ〜500mμが適当であり、特に5mμ〜100mμが好まし
い。
コロイダルシリカ(シリカゲル)或いはフューメドシ
リカとして知られている親水性シリカは、その表面が水
酸基(シラノール基Si−OH)で覆われており、親水性
を示す。このシラノール基は反応性に富むため各種有機
化合物と反応しやすく、シリカ表面を有機化することが
できる。
疎水性シリカは、このような親水性シリカ表面のシラ
ノール基に一部またはほとんどをメチル基やアルキル基
等で置換反応させ、シリカ表面を疎水化させたものであ
る。
疎水性シリカの製法は多種多用であり、その代表的な
ものとして、アルコール類、ケトン類、エステル類など
の有機溶剤、シラン類、シラザン類、ポリシロキサン類
などの反応であり、反応の方法としては、有機溶媒中に
おける反応加圧法、触媒加熱法等がある。
シリカは優れた防食効果を有しているが、特に疎水性
シリカが耐食性を向上させる上で有効である。例えば上
述した特開昭58−224174号などにおいて、有機樹脂に親
水性ノコロダイルシリカを添加することが示されてい
る。しかしながら、親水性シリカは親水性が強いために
溶剤との相溶性が悪く、またその強い親水性のために水
の浸透を招き易く、これが耐食性が低下する原因とな
り、特に湿潤環境下での初期錆を招き易いものと推定さ
れる。
このため本発明鋼板の製造に際しては、表面を疎水化
したシリカ(疎水性シリカ)を塩基性樹脂に配合し、塩
基性エポキシ樹脂との相溶性を高め、高耐食性を得るよ
うにしたほうが好ましい。
このような疎水性シリカとしては、例えばメチルア
ルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−プチルアルコール、
エチルセロゾルブ、エチレングリコールなどの溶剤に分
散した有機溶剤分散コロイド状シリカ(例えば、触媒化
成工業社製CSCAL 1132、1232、1332、1432、1532、162
2、1722、1724等)、表面を有機溶剤または反応性シ
ラン化合物等で疎水化したシリカ、すなわち疎水性超微
粒子シリカ(例えば、日本エアロジル社製R974、R811、
R812、R805、T805、R202、RY200、RX200等)等がある。
以上のような疏水性シリカは塩基性エポキシ樹脂に安
定して分散する。
さらに本発明は、樹脂組成物中に第三成分としてシラ
ン化合物、すなわちジまたはトリアルコキシシラン化合
物のモノマー若しくはオリゴマーを含むことを必須とし
ている。
シラン化合物は塩基性エポキシ樹脂とシリカ成分との
間の架橋剤として機能すると考えられる。
すなわちシラン化合物を添加すると、樹脂皮膜は架橋
密度が増してより強固なバリヤー皮膜となり、このため
裸耐食性が向上するとともに、加工による皮膜の損傷も
減少し加工後の耐食性も向上するものと推定される。
また、シラン化合物によりクロメート皮膜と樹脂との
界面及びシリカ成分と樹脂との界面の密着力が高まり、
この結果特に湿潤環境下での水の浸透が防止され、塗装
後耐食性も向上することになる。
このようなシラン化合物としては、ジビニルシメトキ
シシラン、ジビニルジ−β−メトキシエトキシシラン、
ジ(γ−グルシドプロピル)ジメトキシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス−β−メトキシエトキ
シシラン、γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン、
β−(3,4エポキシクロルヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、N−β−アミノエチル−γ−プロピルメチル
ジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−プロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシランなど、或いはこれらのオリゴマーがあげられ
る。
シラン化合物の添加量は、塩基性エポキシ樹脂固形分
とシリカ成分の固形分の和100部に対して、0.1〜15部、
好しくは0.5〜10部である。配合量が0.1部未満ではシラ
ン化合物の配合効果が十分得られず、一方、15部を超え
て配合しても配合量に見合う効果は期待できず、却って
経済性を損うことになる。
本発明はさらに樹脂組成物皮膜中に上記シリカととも
に難溶性クロム化合物および/またはリンモリブデン酸
アルミニウムを含有させることができ、これにより厳し
い腐食環境下で防食性をさらに向上させることができ
る。腐食環境下では、皮膜中のクロム化合物からCr6+
微量に溶出し、これが長期に亘って不働態化作用を発揮
し、また、リンモリブデン酸アルミニウムからはリン酸
が微量溶出し、亜鉛イオンと反応して不溶性のリン酸塩
を形成し、これらの結果腐食の進行が抑制され耐食性が
向上するものと考えられる。
難溶性クロム化合物とリンモリブデン酸アルミニウム
は選択的または複合して配合されるが、この添加物のト
ータルの配合量は基体樹脂/添加物の重量比で99/1〜60
/40、好ましくは95/5〜65/35の範囲に規制される。添加
物の配合量が99/1未満であると、配合による耐食性向上
効果があまり期待できず、一方、60/40を超えて配合す
ると添加物の吸水作用のため2コート以上の多層系塗膜
の密着性及び耐食性が低下してしまう。
上記難溶性クロム化合物としては、クロム酸ストロン
チウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウ
ム、クロム酸カルシウム、クロム酸亜鉛カリウムの各粉
末を用いることができ、これらの1種または2種以上を
基体樹脂に分散させる。これら以外のクロム化合物は、
基体樹脂との相溶性が劣ったり、或いは防食効果は認め
られるものの可溶性Cr6+を多く含有しているため2コー
ト塗装密着性が悪い等問題を有しており、本発明の目的
には適さない。
なお、本発明は以上の添加成分たる難溶性クロム化合
物、リンモリブデン酸アルミニウムの他に、公知の他の
添加剤、防錆顔料等の使用を妨げるものではない。
上述したような樹脂組成物皮膜はクロメート皮膜上に
0.1〜3.5g/m2、好ましくは0.3〜2.0g/m2の付着量で形成
させることが望ましい。皮膜付着量が0.1g/m2未満であ
ると、十分な耐食性が得られず、一方、3.5g/m2を越え
ると溶接性(特に連続多点溶接性)が低下するものであ
り、0.1〜3.5g/m2の範囲が特に自動車用高耐食性表面処
理鋼板として適当である。
なお、自動車車体にはカチオン電着塗装が施される
が、クロメート皮膜+樹脂組成物皮膜の湿潤電気抵抗が
200KΩ/cm2を越えるとカチオン電着塗膜がうまく形成さ
ないという問題があり、このため自動車車体を主たる用
途とする本発明鋼板では、クロメート皮膜+樹脂組成物
皮膜の湿潤抵抗を200KΩ/cm2以下に抑えるよう両皮膜を
形成させることが好ましい。
本発明は、以上述べたような皮膜構造を有する両面ま
たは片面に有する鋼板を含むものである。
本発明鋼板の態様としては例えば以下のようなものが
ある。
(1)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 片面…Fe面 (2)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 片面…メッキ皮膜 (3)両面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 なお、本発明の高耐食性表面処理鋼板は自動車に限ら
ず、家電、建材等の用途にも用いることができる。
[実施例] 自動車車体内面対応の鋼板として、第1−a表及び第
1−b表に示すような異なるメッキ成分と皮膜付着量の
本発明材につき密着性試験及び耐食性試験を行った。ま
た比較材として第2表に示す各鋼板についても同様の試
験を行なった。
各鋼板のメッキ成分は下記の通りであり、表中のクロ
メート皮膜及び塩基性エポキシ樹脂皮膜を有する各鋼板
については、メッキ鋼板をアルカリ脱脂後、水洗・乾燥
し、これに塗布型クロメート処理液をロールコーターで
塗布し或いは電解クロメート処理浴に浸漬して電解クロ
メート皮膜を形成し、乾燥後第2層として塩基性エポキ
シ樹脂液をロールコーターで塗布した。さらに乾燥後、
加熱処理し空冷した。
Ni−Zn合金電気メッキ・・Ni含有量12% Fe−Zn合金電気メッキ・・Fe含有量25% Mn−Zn合金電気メッキ・・Mn含有量60% なお、塗布型クロメート処理、電解クロメート処理及
び塩基性エポキシ樹脂液の詳細は以下の通りである。
●塗布型クロメート処理条件 Cr3+/Cr6+=2/3,pH=2.5(KOHでpH調整) 固形分20g/のクロメート処理液を常温でロールコータ
ーにて塗布後乾燥した。
●電解クロメート処理条件 CrO3:50g/、H2SO4:0.5g/,浴温50℃の浴により、電
流密度4.9A/dm2,電解時間2.0秒で陰極電解処理し、水洗
・乾燥した。
●樹脂組成物 以下のようにして作成した基体樹脂及び硬化剤を第3表
の割合で混合し、樹脂組成物を作成した。
○基体樹脂 (I)環流冷却器、撹拌装置、温度計および窒素ガス吹
込み装置を付した反応装置にエピコート1004(シェル化
学社製エキシポ樹脂:分子量 約1600)1600gにペラル
ゴン酸(試薬)57g、キシレン80gを加え、170℃で反応
物の酸価がほぼ0になるまで反応せしめた。そののち減
圧下でキシレンを除去し、反応中間体[A]を得た。
(II)撹拌装置、環流冷却器、温度計、液体滴下装置を
付した反応装置にエピコート1009(シェル化学社製エポ
キシ樹脂:分子量3750)1880g(0.5モル)とメチル−イ
ソブチレケトン/ミシレン=1/1(重量比)の混合溶媒1
000gを加えたのち、撹拌加熱し、溶媒の沸点下で均一に
溶解した。そののち70℃まで冷却し、液体滴下装置に分
取したジ(n−プロパノール)アミン70gを70分間を要
して滴下した。この間、反応温度を70℃に保持した。滴
下終了後120℃で2時間保持し、反応を完結せしめた。
得られた反応物を樹脂Aとする。樹脂Aの有効成分は66
%である。
(III)上記(II)と同じ反応装置に(I)で得た反応
中間体[A]1650gとキシレン1000gを秤取し、1000℃に
加熱、これに液体滴下装置に分取したジエタノールアミ
ン65gとモノエタノールアミン30gとを30分要して滴下し
た。そののち120℃で2時間保持し、反応を完結せしめ
た。得られた反応生成物を樹脂Bとする。樹脂Bの有効
成分は63%であった。
○硬化剤 (I)温度計、撹拌装置及び環流冷却器を付属してある
反応容器に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート250
部、ジイソブチルケトン50部を取り、均一に撹拌混合し
た後、エチレングリコールモノエチルエーテル184部を
加え、90℃で2時間、次いで110℃で3時間反応させ、
完全にウレタン化した硬化剤aを得た。硬化剤aの有効
成分は89%であった。
(II)温度計、撹拌器及び滴下ロート付還流冷却器を付
属してある反応容器にイソホロンジイソシアネート222
部を取り、これにメチルイソブチルケトン100部を加
え、均一に溶解した後、50%のトリメチロールプロパン
のメチルイソブチルケトン溶液88部を、前記滴下ロート
から70℃に保持した撹拌状態のイソアネート溶液中に1
時間を要して滴下した。この後、さらに1時間、70℃に
保持した後、90℃で1時間保持した。その後、n−ブチ
ルアルコール230部を加え、90℃で3時間反応せしめて
ブロック化イソシアネートを得た。この硬化剤を硬化剤
bとする。硬化剤bの有効成分は76%であった。
また密着性試験は、リン酸処理後の供試材を関西ペイ
ント社製カチオン電着塗料N0.9210で20μ膜厚の電着塗
装を行った後、関西ペイント社製アルミラックN0.002を
35μスプレー塗装し、2コート塗装とした。また3コー
ト塗装については、電着塗装後、関西ペイント社製KPX
−27シーラを40μ、関西ペイント社製アミラック#805
ホワイトを40μ塗装した。密着性試験は1次密着性及び
2次密着性を試験した。1次密着性試験は、各供試材塗
膜面に1mm間隔で100個のゴバン目を刻み、接着テープを
このゴバン目に貼着・剥離することにより行い、また2
次密着性試験は、塗装後各供試材を40℃の温水(純水)
に120時間浸漬した後取り出し、その後30分以内に上記
と同様1mm間隔のゴバン目を刻み、このゴバン目に接着
テープを貼着・剥離することにより行った。
また耐食性試験は、 以上を1サイクルとしたサイクルテストで行ない、第
1表及び第2表中の所定のサイクルで評価した。なお、
平板のサンプルは下部にクロスカットを入れ試験した。
耐食性試験のうち加工後耐食性については、 ビード形状 先端角 60゜ 先端R 0.5 ビード高さ 5mm サンプルサイズ 25mm×300mm 引き抜き速度 200mm/min 押し付け力 500Kg のドロービード試験で加工した供試材を600サイクルで
試験した。
また塗装後耐食性については、電着塗装後クロスカッ
トを入れ、600サイクルで試験を行い、最大フクレ幅を
測定してその半分の値で評価を行った。なお、各試験結
果の評価基準は以下の通りである。
(1)平板未塗装耐食性、加工後耐食性 ◎ :赤錆発生なし ○+:赤錆5%未満 ○ :〃 5%以上10%未満 ○−:〃 10% 〃20% 〃 △ :〃 20% 〃50% 〃 × :〃 50 〃 (2)塗装後耐食性 ◎ :フクレ幅 0.5mm未満 ○+: 〃 0.5mm以上1.0mm未満 ○ : 〃 1.0 〃 2.0mm 〃 ○−: 〃 2.0 〃 3.0mm 〃 △ : 〃 3.0 〃 5.0mm 〃 × : 〃 5.0 〃 (3)2コート及び3コート密着性 ◎ :剥離面積 0% ○+: 〃 5%未満 ○ : 〃 5%以上10% 〃 ○−: 〃 10% 〃20% 〃 △ : 〃 20% 〃50% 〃 × : 〃 50% 〃 以上の実施例から解るように、本発明鋼板は、最上層
に、塩基性のエポキシ樹脂を基体樹脂とし、シリカ成分
とシラン化合物とが配合された高架橋密度でしかも高度
の耐アルカリ性を有する強固なカバー皮膜が得られ、し
かも樹脂が低温硬化性であるため、クロメート皮膜の劣
化、Cr6+の還元を生じさせることなくクロメート皮膜自
体の良好な耐食性を確保できる。
塗装後耐食性に関しては、塩基性エポキシ樹脂を基体
樹脂としてシラン化合物とシリカ成分を必須成分とする
本発明例の鋼板は、シラン化合物を含まない塩基性エポ
キシ樹脂を基体樹脂とする従来の鋼板と比べ、クロメー
ト皮膜と樹脂との界面、シリカ成分と樹脂との界面の密
着が良好なために、塗膜の損傷部からの横方向への水の
侵入が少なく、また樹脂皮膜もより強固であるため、良
好な塗装後耐食性を得ている。
加工後耐食性に関しては、本発明例はシラン化合物を
含まない従来の塩基性エポキシ樹脂を基体樹脂とする鋼
板と比べ、樹脂皮膜の架橋が進みより強固な皮膜となっ
ており、このため加工による皮膜損傷が少なく、また耐
アルカリ・耐酸性も向上しているため加工後耐食性も向
上している。
なお、本実施例は自動車車体内面対応の鋼板として試
験を行ったものであるが、このような鋼板は家電、建材
等の材料としても優れた特性を有するものである。
[発明の効果] 以上述べた本発明によれば、最上層の塩基性エポキシ
樹脂とシリカ成分とがシラン化合物により架橋し、強固
で耐アルカリ・耐酸性に優れた樹脂皮膜を形成するた
め、高度の塗装密着性と耐食性を得ることができ、また
特に加工による皮膜の損傷が少なく、優れた加工後耐食
性を得ることができる。またクロメート皮膜と樹脂の界
面、シリカ成分と樹脂の界面の密着力が高いため、塗膜
下の腐食の進行が抑えられ、優れた塗装後耐食性が得ら
れる。
加えて本発明鋼板は低温焼付で製造することができる
ため、生産性の向上とエネルギー原単位の低減を図るこ
とができるとともに、170℃以下、好ましくは150℃以下
の焼付温度とすることにより焼付硬化性を有するいわゆ
るBH性鋼板を素材とする高耐食性表面処理鋼板の製造を
可能ならしめるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江夏 亮 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 三代沢 良明 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 西本 忠史 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 小沢 一彦 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表
    面にクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
    に、エポキシ樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性
    窒素原子と少なくとも2個以上の一級水酸基とを付加せ
    しめてなる基体樹脂に、ポリイソシアネート化合物と、
    基体樹脂/シリカの重量比が99/1〜30/70の割合のシリ
    カと、(基体樹脂+シリカ)の重量100部に対し0.1〜15
    部のシラン化合物とが配合された樹脂組成物皮膜を有し
    てなる高耐食性表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表
    面にクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
    に、エポキシ樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性
    窒素原子と少なくとも2個以上の一級水酸基とを付加せ
    しめてなる基体樹脂に、ポリイソシアネート化合物と、
    基体樹脂/シリカの重量比が99/1〜30/70の割合のシリ
    カと、(基体樹脂+シリカ)の重量100部に対し0.1〜15
    部のシラン化合物と、基体樹脂/添加物の重量比が99/1
    〜60/40である難溶性クロム化合物および/またはリン
    モリブデン酸アルミニウムからなる添加物とが配合され
    た樹脂組成物皮膜を有してなる高耐食性表面処理鋼板。
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