JPH08134843A - プレキャストブロック工法用架設ガーダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サポート方式のスパンバイスパンプレキャス
トブロック工法用の架設ガーダーにおいて、架設ガーダ
ーの形状を工夫することにより曲線部の施工を容易に
し、橋梁設計の自由度を増す。 【構成】 架設ガーダー１１を構成する２本の桁１１ａ
の先端部の所要区間について幅を細くし、曲線部で架設
ガーダー１１を送り出す際、架設ガーダー１１の曲率の
内側の桁１１ａと橋脚１がぶつかるのを回避する。架設
ガーダー１１を橋軸方向に所定量押し出した後、架設ガ
ーダー１１を横方向に移動し、さらに桁方向に送り出
す。このように、架設ガーダー１１と橋脚１との干渉を
避けながら、架設ガーダー１１の送り出しを行い、曲線
部における橋桁ブロックを架設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、工場またはヤードで
製作された橋桁ブロックを順次１径間ごと架設ガーダー
上に載せて架設するサポート方式のスパンバイスパンプ
レキャストブロック工法に用いる架設ガーダーの構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プレキャストブロック工法は、工場ある
いは製作ヤードで橋軸方向または橋軸直角方向に分割し
て構造物を製作し、架設現場に搬入し、プレストレスを
導入して一体構造物に作り上げる工法であり、橋梁の施
工等に用いられている。

【０００３】プレキャストブロック工法を橋梁の架設に
適用した場合の利点としては、以下のようなものが挙げ
られる。

【０００４】 プレキャストブロックを下部工の施工
中に製作し、ストックできるので、製作工程と架設工程
を別々に設定でき、工期が大幅に短縮できる。

【０００５】 プレキャストブロックの製作は、工場
または製作ヤードでの繰り返し作業となり、品質の安定
した構造物を造ることができる。また、機械化施工を行
うことで合理化、省力化が可能である。

【０００６】 ストックヤードでブロックを保管する
ことにより、架設後の乾燥収縮、クリープによる変形が
小さくなる。

【０００７】上述の点からして、プレキャストブロック
工法は、ＰＣ橋工事の分野で最も急速施工、省力化施工
が期待できる工法であるが、そのためにはブロックの製
作では型枠設備等の自動化、ブロックの架設では架設機
械の大型化を前提とし、大規模な橋梁工事において有利
な工法となる。

【０００８】なお、プレストレスの導入に関し、諸外国
では外ケーブルを使用する例が多く、それにより施工
性、経済性の向上が図られている。

【０００９】また、プレキャストブロック工法の代表的
な架設方法としては、工場またはヤードで製作された１
径間分のブロックを架設ガーダー上に運搬して、所定の
位置決め後、接合し、プレストレスを与えながら１径間
ずつ架設して行くスパンバイスパン工法と、橋脚を中心
にバランスを取り、左右交互または同時にブロックを接
合してプレストレスを与えながら張り出して行く片持ち
架設工法があり、前者は支間４０〜６０ｍ、後者は支間
６０〜１００ｍ程度のＰＣ桁橋に適している。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本願発明の架設ガーダ
ーの適用対象となるスパンバイスパンプレキャストブロ
ック工法では、架設ガーダーによるブロックの支持方法
に関し、ブロックを架設ガーダー上に載せて架設するサ
ポート方式と、ブロックを架設ガーダーに吊り下げて架
設するハンガー方式があり、前者は支点上の主桁（柱頭
部）をプレキャストブロックとする場合、後者は支点上
の主桁を場所打ちする場合に適している。

【００１１】このうち、サポート方式のスパンバイスパ
ンプレキャストブロック工法の場合、架設ガーダーが橋
桁の高さ以下に設置され、単径間の施工完了ごと、橋軸
方向に送り出され移動するが、そのとき先行して構築さ
れた先方の橋桁との干渉が問題となる。

【００１２】すなわち、例えば橋梁の平面線形がある曲
率半径で設計されている場合、２本一組の架設ガーダー
を送り出して行く際、曲率半径方向の内側に位置するガ
ーダーが橋脚の柱頭部にぶつかることが考えられる。

【００１３】曲率半径が大きく直線に近い場合には、架
設ガーダーの横移動などによりある程度対処可能である
が、架設ガーダー自体２径間以上の長さの長大な桁とな
るため、曲率半径が小さくなると横移動だけでは対処で
きなくなる。

【００１４】本願発明はこのようなサポート方式のスパ
ンバイスパンプレキャストブロック工法用の架設ガーダ
ーにおいて、架設ガーダーの形状を工夫することにより
曲線部の施工を容易にし、橋梁設計の自由度を増すこと
を目的としたものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本願発明の架設ガーダー
は、サポート方式のスパンバイスパンプレキャストブロ
ック工法用の架設ガーダーであり、２径間をまたぐ２本
の桁で構成され、桁の先端部の幅を細くすることで、曲
線部等の施工部を容易にしたものである。

【００１６】また、断面を小さくすることで、曲げ剛性
が小さくなり、干渉が生じる場合にもガーダー自体の曲
がりで対処しやすい構造となる。

【００１７】なお、架設ガーダーの先端部は支点から張
り出した形で支持されており、また架設中のブロックが
載荷されない位置であるため、剛性が小さくなることに
よる問題はなく、かえって自重を減らすことができると
いう利点がある。

【００１８】桁の構成は、トラス桁、ボックス桁等特に
限定されない。

【００１９】また、架設ガーダーの施工スパン（ブロッ
クを直接支持する区間）全長にわたり、架設ガーダーの
上方にジャバラ式に伸縮する屋根（上屋）を装備するこ
とで、全天候型の施工が可能となる。

【００２０】

【実施例】以下、図示した具体的な実施例について説明
する。

【００２１】図３は、本願発明の対象となるサポート方
式のスパンバイスパンプレキャストブロック工法におけ
る施工および機械構成の概要を示したものである。ま
た、図６および図７は橋型クレーン１４によるブロック
３の移動台車２１上への搭載の様子の詳細を、図８およ
び図９は橋脚１柱頭部のガーダー送り出し装置１２部分
の詳細を示したものである。

【００２２】なお、以下に述べる実施例はあくまで一実
施例であり、本願発明は実施例に限定されるものではな
い。

【００２３】(1) 本実施例における施工方針は以下の通
りである。

【００２４】 施工支間は、４０〜６０ｍ程度とす
る。

【００２５】 ブロック３単体の重量は１００ｔ程度
までとする。

【００２６】 架設可能なブロック３単位長さ当たり
の重量は、３０ｔ／ｍを標準とする。

【００２７】 架設ガーダー１１は、手延桁方式にて
単スパンごとに架設し、移動する。

【００２８】 架設ガーダー１１は、ガーダー受支柱
４上のガーダー送り出し装置１２により支持され、平行
かつ横断勾配、縦断勾配に合わせ設置する。

【００２９】 ブロック３は、ブロック製作ヤードか
ら架設地点まで、架設完了した橋桁２上をトレーラー２
４またはレール走行式の自動搬送車を用いて運搬する。

【００３０】 ガーダー受支柱４、ガーダー送り出し
装置１２の設置、撤去工事は、地上から移動式クレーン
１３により施工する。

【００３１】(2) 本実施例における機械構成は以下の通
りである。

【００３２】 架設ガーダー１１ ２径間をまたぐ２本の桁１１ａで構成され、先端部は、
平面線形に対応するため幅を狭くしている。架設ガーダ
ー１１後部は、ブロック移動台車格納庫として使用す
る。

【００３３】 橋型クレーン１４ ブロック３を搬送車より吊り上げ、ブロック移動台車２
１に載せるためのクレーンで、橋軸方向に横行・走行が
可能である。

【００３４】 移動台車設置格納ホイスト１５ 橋型クレーン１４の両側に張り出して２基設置され、主
にブロック移動台車２１の格納および架設ガーダー１１
上へブロック移動台車２１を搭載するために使用され
る。

【００３５】 ブロック移動台車２１ 架設ガーダー１１上面のレール上をブロック３を搭載し
て移動する台車であり、前後、左右、上下の微調整が可
能である。

【００３６】 移動台車送り装置２２ ブロック移動台車２１を順次送り出す装置で、橋型クレ
ーン１４下部の架設ガーダー１１上に設置されている。

【００３７】 その他 ガーダー受支柱４、ガーダー送り出し装置１２（ガーダ
ー水平移動装置、位置決め調整機能付き）、移動足場２
３、屋根装置３１等がある。

【００３８】(3) 本実施例におけるブロック３の架設作
業は、以下のように行う。

【００３９】最も標準的な架設手順は、先頭のブロック
３ａから橋型クレーン１４を用いて順次ブロック移動台
車２１に搭載し、移動台車送り装置２２により所定の位
置間隔（ブロック３等間隔）で移動させ、最後部（最も
手前側）のブロック３ｂの搭載完了後、順次接合位置ま
で引き戻す。

【００４０】移動台車２１は、連結器により等間隔に調
整され、かつ上下、左右、前後のブロック位置決め微調
整装置を装備している。

【００４１】ブロック３は、移動足場２３上から接着剤
を塗布した後、移動台車送り装置２２、引き寄せ鋼棒に
より順次引き寄せながら接合する。

【００４２】外ケーブルの敷設完了後、間詰め部の打
設、緊張を行い、単径間の施工を完了する。

【００４３】拡幅部の単位長さ当たりブロック重量が標
準を越える場合は、中間に仮設ベントを設け対応する。

【００４４】柱頭部の施工は、架設手順が異なるがプレ
キャスト、現場打ち双方の施工法で架設可能である。背
割れ部分や間詰め部の位置が異なる場合でも、移動台車
送り装置２２の設置位置を移動させる（送り装置のジャ
ッキ２２ａ（図６参照）を使用し移動する）ことにより
対応する。

【００４５】プレキャストブロック３の養生を目的とし
て、架設ガーダー１１上の施工スパン全長に渡りジャバ
ラ式屋根装置３１（架設ガーダー外側に敷設されたレー
ル上を移動する）を装備している。

【００４６】(4) 本実施例における架設ガーダー１１の
移動は、以下のように行う。

【００４７】単径間の緊張完了後、移動台車２１の調整
ジャッキをブロック３から解放し、ガーダー送り出し装
置１２の固定ジャッキ１２ａを解放して送り出しローラ
ー１２ｂに架設ガーダーをあずける（図８参照）。

【００４８】移動台車２１は、移動台車送り装置２２に
より連結された状態で最も間隔を狭くしておく。あらか
じめ前方の橋脚１にはガーダー受支柱４、ガーダー送り
出し装置１２を移動式クレーン１３により設置してお
く。

【００４９】架設ガーダー１１の左右の桁１１ａをガー
ダー送り出し装置１２により同時に手延べ桁方式により
送り出す。平面線形の半径のきつい径間については送り
出し途中で水平移動調整を行う。

【００５０】送り出し完了後、上下、左右、前後の調整
を行い、架設ガーダー１１を固定する。

【００５１】橋型クレーン１４は、橋桁１上の搬送台車
用のレールおよび橋型クレーン１４のレールユニットを
自力で敷設しながら所定の位置まで移動する。

【００５２】架設ガーダー１１上に存置した移動台車２
１を移動台車送り装置２２により引き寄せながら、橋型
クレーン１４に併設した移動台車設置格納ホイスト１５
により格納仮置きする。

【００５３】移動足場２３を張り出し、ブロック３架設
準備を完了する。

【００５４】(5) 次に、本実施例における施工手順を、
図４(a) 〜(d) および図５(e) 〜(h)に基づいて説明す
る。

【００５５】 プレキャストブロック３の送り出し
（図４(a) 参照） 橋型クレーン１４により吊り上げられたブロック３を、
架設ガーダー１１上のブロック移動台車２１上に搭載す
る。ブロック３を搭載した移動台車２１は、前後、左
右、上下の仮調整を行い移動台車送り装置２２により前
方へ送り出す。

【００５６】 プレキャストブロック３の接合（図４
(b) 参照） 移動台車２１は、順次等間隔に調整連結され、ブロック
３を搭載し、前方へ移動する。径間の必要数のブロック
３を搭載し、送り出しを完了する。その後、手前側から
単ブロック毎接着剤を塗布し、移動台車送り装置２２お
よび引寄せ鋼棒を用いて接合する。

【００５７】 外ケーブルの敷設、緊張（図４(c) 参
照） 間詰め部分のコンクリート打設後、外ケーブルの敷設、
緊張を行い、径間の施工を完了する。移動台車２１の間
隔を最短にし、移動足場２３（図３(c) 参照）の引き込
みを行い（移動足場２３は半割り形式になっており、中
央で左右に分かれる）、架設ガーダー１１をガーダー送
り出し装置１２上にあずけ、移動の準備を完了する。前
方の橋脚１では、事前に移動式クレーン１３を用いてガ
ーダー受支柱４、ガーダー送り出し装置１２を設置して
おく。

【００５８】 架設ガーダー１１の送り出し（図４
(d) 参照） 橋型クレーン１４をそのままにし、左右の架設ガーダー
１１を同時にガーダー送り出し装置１２により手延べ桁
方式により送り出す。橋梁の線形によっては、送り出し
途中で橋桁１と干渉しないように横移動を行う。

【００５９】 架設ガーダー１１の位置決め固定（図
５(e) 参照） 架設ガーダー１１の送り出し完了後、縦断勾配、横断勾
配、線形に合わせ、架設ガーダー１１を微調整（前後、
左右、上下）し、架設ガーダー１１を支える固定ジャッ
キ１２ａ（油圧スクリュージャッキ（図８参照））によ
り橋脚１上に固定する。

【００６０】 橋型クレーン１４の移動、設置（図５
(f) 参照） 架設ガーダー１１固定後、橋型クレーン１４を前方架設
地点まで移動させる。この際、橋型クレーン１４の走行
レールを橋型クレーン１４自力で前方に盛りかえる。所
定の位置まで移動した後、橋型クレーン１４を位置決め
し、固定する。施工完了した径間の橋脚１に設置された
ガーダー受支柱４およびガーダー送り出し装置１２は、
地上より移動式クレーン１３等を用いて撤去する。

【００６１】 移動台車２１の格納、架設準備（図５
(g) 参照） 橋型クレーン１４を所定の位置に設置し、架設ガーダー
１１上に搭載されたままになっている移動台車２１を架
設開始に必要な台数（架設ガーダー１１に格納可能な台
数）のみを残し、橋型クレーン１４に併設されている移
動台車設置格納ホイスト１５により橋桁２上の格納場所
に仮保管する。

【００６２】 ブロック３の運搬、架設開始（図５
(h) 参照） 前方のブロック３ａから橋型クレーン１４により移動台
車２１上に搭載し、架設を開始する。

【００６３】図１(a) 〜(d) は、本願発明の架設ガーダ
ー１１の平面形状と曲線施工部における橋脚１との位置
関係を示したもので、図２(a) は図１(a) における位置
ａ，ｂでの断面変化を示す断面図、(b) は図１(a) のＡ
−Ａ線断面図、(c) は図１(c) のＢ−Ｂ線断面図であ
る。

【００６４】架設ガーダー１１を構成する２本の桁１１
ａは直線的に延び、先端部の所要区間について幅を細く
してある。なお、図の実施例では２本の桁１１ａ間の内
法寸法が最大となるよう外側面を面一している。

【００６５】図１(a) は直線部から曲線部に移るときの
架設ガーダー１１と橋脚１の位置関係を示しており、架
設ガーダー１１の桁１１ａの先端部が後部と同じ幅の場
合、曲率の内側の桁１１ａと橋脚１がぶつかるのを、先
端部の幅を細くしていることで回避可能としている。

【００６６】図１(b) の状態まで架設ガーダー１１を押
し出した後、架設ガーダー１１の主として前部を横方向
に移動すると、図１(c) の状態となり、さらに桁方向に
押し出したのが、図１(d) の状態である。

【００６７】このようにして、曲線施工において架設ガ
ーダー１１と橋脚１との干渉を避けながら、架設ガーダ
ー１１の送り出しを行うことができる。

【００６８】

【発明の効果】本願発明では架設ガーダーを構成する桁
の先端部の幅を細くなっているため、曲線施工部等にお
いてガーダーと橋脚柱頭部等との干渉が生じにくい。

【００６９】また、先端部の曲げ剛性が小さくなり、干
渉が生じる場合でもガーダー自体の曲がりである程度対
処可能となる。

【００７０】さらに、架設ガーダーの自重を減らすこと
にもつながり、ガーダーの送り出しや支持方法について
も有利である。

【００７１】架設ガーダーの上方にジャバラ式に伸縮す
る屋根を装備することで、全天候型の施工が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 (a) 〜(d) は本願発明の架設ガーダーの平面
形状と曲線施工部における橋脚との位置関係を示す平面
図である。

【図２】 図１に対応する橋軸直角方向の断面を示した
もので、(a) は位置ａ，ｂでの断面変化を示す断面図、
(b) は図１(a) のＡ−Ａ線断面図、(c) は図１(c) のＢ
−Ｂ線断面図である。

【図３】 本願発明の対象となるサポート方式のスパン
バイスパンプレキャストブロック工法の概要を示したも
ので、(a) は架設中の橋梁の側面図、(b) はＣ−Ｃ線断
面図、(c) はＤ−Ｄ線断面図、(d) はＥ−Ｅ線断面図で
ある。

【図４】 (a) 〜(d) は本願発明の対象となるサポート
方式のスパンバイスパンプレキャストブロック工法の一
実施例における施工手順を示す側面図である。

【図５】 (e) 〜(h) は図５(d) に続く施工手順を示す
側面図である。

【図６】 橋型クレーンによるブロックの移動台車上へ
の搭載の様子を示す側面図である。

【図７】 図６に対応する橋軸直角方向の断面図であ
る。

【図８】 橋脚柱頭部のガーダー送り出し装置の側面図
である。

【図９】 図８に対応する橋軸直角方向の断面図であ
る。

【符号の説明】

１…橋脚、２…橋桁、３…ブロック、４…ガーダー受支
柱、１１…架設ガーダー、１２…ガーダー送り出し装
置、１３…移動式クレーン、１４…橋型クレーン、１５
…移動台車設置格納ホイスト、２１…ブロック移動台
車、２２…移動台車送り装置、２３…移動足場、２４…
トレーラー、３１…屋根装置、

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工場またはヤードで製作された１径間分
   のプレキャストブロックを、架設ガーダー上に載せて１
   径間ずつ架設するサポート方式のスパンバイスパンプレ
   キャストブロック工法用の架設ガーダーであり、２径間
   をまたぐ２本の桁で構成され、前記桁の先端部所定区間
   の幅を細くしたことを特徴とするプレキャストブロック
   工法用架設ガーダー。
2. 【請求項２】 施工スパン全長にわたり、架設ガーダー
   の上方にジャバラ式に伸縮する屋根を装備した請求項１
   記載のプレキャストブロック工法用架設ガーダー。