JPH08151605A - 橋梁用プレキャストブロックの製造方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 橋桁の平面線形、縦断勾配、または横断勾配
に基づいて要求される形状変化に対する調整が容易で、
製造コストの低減が可能な橋梁用プレキャストブロック
の製造方法および製造装置を提供する。 【構成】 製作台１１上で製作したプレキャストブロッ
クをマッチキャストブロックとして底版型枠１２（Ａ）
ごと調整台２１に載せ、製作台１１に次の底版型枠１２
（Ｂ）を載せ、型枠およびマッチキャストブロックをセ
ットして、コンクリートを打設する。養生後、底版型枠
１２（Ａ）上のマッチキャストブロックを分離し、移動
台車３１で仮置台４１へ運搬する。新マッチキャストブ
ロックを底版型枠１２（Ｂ）ごと調整台２１に載せ、繰
り返し作業により、順次、プレキャストブロックを製作
する。製作したプレキャストブロックについて、形状寸
法を計測し、設計値との誤差を累積計算し、マッチキャ
ストブロックの位置・姿勢を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、プレキャストブロッ
ク工法による橋梁の建設に用いる橋梁用プレキャストブ
ロックの製造方法および製造装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プレキャストブロック工法は、工場ある
いは製作ヤードで橋軸方向または橋軸直角方向に分割し
て構造物を製作し、架設現場に搬入し、プレストレスを
導入して一体構造物に作り上げる工法であり、橋梁の施
工等に用いられている。

【０００３】プレキャストブロック工法を橋梁の架設に
適用した場合の利点としては、以下のようなものが挙げ
られる。

【０００４】 プレキャストブロックを下部工の施工
中に製作し、ストックできるので、製作工程と架設工程
を別々に設定でき、工期が大幅に短縮できる。

【０００５】 プレキャストブロックの製作は、工場
または製作ヤードでの繰り返し作業となり、品質の安定
した構造物を造ることができる。また、機械化施工を行
うことで合理化、省力化が可能である。

【０００６】 ストックヤードでブロックを保管する
ことにより、架設後の乾燥収縮、クリープによる変形が
小さくなる。

【０００７】上述の点からして、プレキャストブロック
工法は、ＰＣ橋工事の分野で最も急速施工、省力化施工
が期待できる工法であるが、そのためにはブロックの製
作では型枠設備等の自動化、ブロックの架設では架設機
械の大型化を前提とし、大規模な橋梁工事において有利
な工法となる。

【０００８】なお、プレストレスの導入に関し、諸外国
では外ケーブルを使用する例が多く、それにより施工
性、経済性の向上が図られている。

【０００９】また、プレキャストブロック工法の代表的
な架設方法としては、工場またはヤードで製作された１
径間分のブロックを架設ガーダー上に運搬して、所定の
位置決め後、接合し、プレストレスを与えながら１径間
ずつ架設して行くスパンバイスパン工法と、橋脚を中心
にバランスを取り、左右交互または同時にブロックを接
合してプレストレスを与えながら張り出して行く片持ち
架設工法があり、前者は支間４０〜６０ｍ、後者は支間
６０〜１００ｍ程度のＰＣ桁橋に適している。

【００１０】このようなプレキャストブロック工法用の
プレキャストコンクリートブロックを製作する方法とし
ては、架設する１スパン分の製作台上で、１ブロックず
つ連続的に製作するロングラインマッチキャスト方式
と、既に製作されたプレキャストブロックを妻型枠（マ
ッチキャストブロック）として１ブロック分の型枠でプ
レキャストブロックを製作するショートラインマッチキ
ャスト方式がある。

【００１１】これらは、立地条件、経済性、能率の他、
橋の線形、規模、構造形式、桁断面形状、製作ヤード、
ストックヤード面積等について検討し、現場に合った方
式を採用される。

【００１２】このうち、本願発明が対象とするのは、製
作ヤードが比較的狭い面積で済むショートラインマッチ
キャスト方式の場合である。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】例えば、平面線形（曲
線部）における曲率半径を１５００ｍ以上、横断勾配の
変化量２．０％／２５０ｍ、横断勾配の変化量を１．５
％／４００ｍという条件のもとで、隣り合うプレキャス
トブロック間の形状変化を検討してみると、以下のよう
になる（橋軸直角方向の幅を１０ｍとする）。

【００１４】プレキャストブロックの橋軸方向の長さを
１．０〜３．０ｍとしたときの、幅方向（橋軸直角方
向）両端（曲率に関する外側端をＡ端、内側端をＢ端と
する）の長さ（mm）とその差（mm）は表１のようにな
る。

【００１５】

【表１】

【００１６】同様に、プレキャストブロックの橋軸方向
の長さを１．０〜３．０ｍとしたときの、上記縦断勾配
における橋軸方向の高さの変化量は表２のようになる。

【００１７】

【表２】

【００１８】同じく、上記横断勾配におけるＡ端とＢ端
（橋軸直角方向両端）の高さの差は表３のようになる。

【００１９】

【表３】

【００２０】上記の値を考慮すると、プレキャストブロ
ックの橋軸方向の長さが３．０ｍの場合でも、縦断勾
配、横断勾配による変化量は１mm前後であり、プレキャ
ストブロック単体で考えると、型枠設置誤差の範囲とな
る。

【００２１】製作の自動化を考えた場合等において、こ
のような極わずかの変化量を制御対象とすることは不可
能ではないにしても、費用等を考えた場合効果がでない
と考えられる。特に、プレキャストブロックの製作台に
ついて、型枠との関係でこのような調整を行うことは困
難で、設備コストが高くつく他、作業も煩雑となる。

【００２２】本願発明は、このような橋梁用プレキャス
トブロックの製造に関し、橋桁の平面線形、縦断勾配、
または横断勾配に基づいて要求される形状変化に対する
調整が容易で、製造コストの低減が可能な製造方法およ
び製造装置を提供することを目的としたものである。

【００２３】

【課題を解決するための手段】本願請求項１の発明は、
製作台上に所定のプレキャストブロック形状に合わせて
組んだ型枠に対し、既に製作された隣接位置のプレキャ
ストブロックの片側の端面をマッチキャストのための妻
型枠として用いて、コンクリートう打設することにより
順次新たなプレキャストブロックを製作して行くショー
トラインマッチキャスト方式による橋梁用プレキャスト
ブロックの製造方法において、橋桁の平面線形、縦断勾
配、または横断勾配に基づいて要求されるプレキャスト
ブロックの形状変化に対し、製作されたプレキャストブ
ロックの形状を測定し、複数のプレキャストブロックに
ついて設計値との誤差を累積計算して行き、累積誤差が
所定の範囲を越えるごとに、あるいは所定数のプレキャ
ストブロック製作ごとに、累積誤差に基づいて製作台に
対するマッチキャストブロックの位置を調整することを
特徴とする。

【００２４】すなわち製作誤差による補正は累積値によ
りグループ単位で行うという考え方によりプレキャスト
ブロックの製造を行うものである。

【００２５】本願請求項２は上記請求項１の発明におい
て、マッチキャストブロックを調整台によって支持する
ものであり、調整台が橋軸直角方向、上下方向、および
橋軸方向の位置調整機構を備え、マッチキャストブロッ
クの位置・姿勢を制御することができる。

【００２６】本願請求項３は上記請求項２の発明におい
て、調整台が水平面内での回転機構も備え、調整台によ
りマッチキャストブロックの橋軸直角方向、上下方向、
橋軸方向の移動、および回転による位置調整を行うもの
である。

【００２７】本願請求項４は請求項２の発明において、
マッチキャストブロックを、調整台との間に水平面内で
の回転機構を備えた回転台を介在させて支持し、橋桁の
平面線形における曲線部について回転台によりマッチキ
ャストブロックを回転させて位置調整を行うものであ
る。なお、この回転台を調整台の一部ととらえれば、請
求項３に含まれるものである。

【００２８】本願請求項５は、上記請求項１〜４の発明
において、製作台が固定されており、既に製作された隣
接位置のマッチキャストブロックの位置調整のみで、プ
レキャストブロックの形状変化に対する調整を行うもの
である。橋桁の支持方式により、橋桁の断面が略一定と
なる場合、拡幅部等を除けば、プレキャストブロックの
形状は主として橋桁の平面線形、縦断勾配、または横断
勾配のみを考慮すればよく、その場合製作台を固定と
し、マッチキャストブロックの位置調整のみで対応させ
ることができる。

【００２９】本願請求項６の発明は、本願の橋梁用プレ
キャストブロックの製造方法に使用するための製造装置
に関するものであり、型枠をセットして、コンクリート
の打設によりプレキャストブロックを製作するための固
定された製作台と、片側の妻型枠としてのマッチキャス
トブロックを支持するための調整台とを有し、調整台が
搭載したマッチキャストブロックをそれぞれ橋軸直角方
向、上下方向、橋軸方向に移動させるための調整手段
と、マッチキャストブロックを水平面内で回転させるた
めの回転手段を備えていることを特徴とする。

【００３０】

【実施例】次に、図示した実施例について説明する。な
お、以下に述べる実施例はあくまで特定の実施例を示し
たものであり、本願発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。

【００３１】図１〜図４は、本願発明の製造方法による
作業手順と、使用する装置の概要を示したものである。

【００３２】図２は、製造設備の平面配置を示したもの
で、図中１１は床面に固定された製作台、２１は既に製
作されたプレキャストブロック１をマッチキャストブロ
ック１ａとして支持する調整台、３１は新たなプレキャ
ストブロック１を製作後、マッチキャストブロック１ａ
を切り離して、仮置台４１まで運搬移動するための移動
台車である。

【００３３】製作台１１の上面には底版型枠１２を載
せ、外型枠１３等を組んで、一方の側面から台車３２に
搭載した内型枠１４と妻型枠１５をセットするようにな
っている。

【００３４】調整台２１は、例えば図４(a) 〜(c) に示
すように、版あるいは桁をすべり支承、ガイド等を介し
て複層に重ね、水平方向の油圧シリンダー２２，２３や
上下方向の油圧ジャッキ２４等により、橋軸直角方向
（ｘ方向）、上下方向（ｙ方向）、および橋軸方向（ｚ
方向）の位置調整機構を備えたものである。

【００３５】なお、図示したものは、調整台２１の上部
に球面ジョイント２５を介して回転台２６を載置し、油
圧ジャッキ２４で回転台２６の高さを調整し、回転台２
６上部のテーブル２７を油圧シリンダー２８で回転させ
て、マッチキャストブロック１ａの位置・姿勢を調整す
る構成となっており、回転台２６を移動台車３１と調整
台２１間で乗り換えられるようにしたものであるが、調
整台２１自体に回転調整機構を設けることもできる。

【００３６】図３は、ｘ，ｙ，ｚ方向の位置調整機能を
有する調整台２１と回転台２６および移動台車３１の関
係を簡略化して示したもので、移動台車３１は製作台１
１まで移動できる必要があるため、調整台２１を台車レ
ール３３の外側に配置してある。

【００３７】マッチキャストブロック１ａを調整台２１
に載せた後は、移動台車３１はジャッキダウンして退去
する。また、マッチキャストブロック１ａ運搬時には、
移動台車３１の上に回転台２６、底版型枠１２およびマ
ッチキャストブロック１ａが載る。

【００３８】図１(a) 〜(c) はプレキャストブロック１
の製造における作業手順の概略を示したもので、以下の
ように作業を行う。なお、図中、底版型枠１２につい
て、Ａ，Ｂ，Ｃの符号を付すことで、作業過程における
複数の底版型枠１２の移動の様子を表示している。

【００３９】 底版型枠１２（Ａ）を製作台１１に載
せ、外型枠、内型枠、妻型枠等の他の型枠を組んで、コ
ンクリートを打設する（図１(a) 参照）。

【００４０】 製作されたプレキャストブロックを新
マッチキャストブロックとして底版型枠１２（Ａ）ごと
調整台２１に載せ、製作台１１に次の底版型枠１２
（Ｂ）を載せ、他の型枠を組み、マッチキャストブロッ
クを所定位置にセットして、コンクリートを打設する
（図１(b) 参照）。

【００４１】 養生後、底版型枠１２（Ａ）上のプレ
キャストブロックを、底版型枠１２（Ｂ）上に新たに製
作したプレキャストブロックと分離し、移動台車３１に
より仮置台４１へ運搬する（図１(b) 右側参照）。

【００４２】 新マッチキャストブロックを底版型枠
１２（Ｂ）ごと調整台２１に載せ、製作台１１に次の底
版型枠１２（Ｃ）を載せる（図１(c) 参照）。

【００４３】以上の作業の繰り返しにより、順次、プレ
キャストブロックが製作されるが、製作したプレキャス
トブロックについて、形状寸法を計測し、複数のプレキ
ャストブロックについて設計値との誤差を累積計算して
行き、この累積誤差に基づいて調整台２１のｘ，ｙ，ｚ
方向の位置調整および回転台によるθの調整を行い、製
作台１１側を固定したままマッチキャスト側の位置・姿
勢の調整することで、橋桁の平面線形、縦断勾配、横断
勾配に応じたプレキャストブロックの製作を行うことが
できる。

【００４４】図５〜図７は、本願発明のより具体的な実
施例として、プレテンション方式でプレストレスを導入
する場合のプレキャストブロックの製作装置を示したも
のである。

【００４５】周辺設備を含む装置の構成は以下の通りで
ある。

【００４６】(a) 本体フレーム５１ 主にプレテンションの反力を受けるフレームでプレテン
ション導入装置５２を搭載する架台と、打設時の作業
床、外型枠１３の横支持等を受け持つ。

【００４７】(b) 製作台１１ 底版型枠１２を載せ、型枠の高さ調整を可能にするジャ
ッキを装備した架台で、プレキャストブロック１製作時
自重を支える。

【００４８】(c) 外型枠１３ 張出し床版の下面型枠とウェブの外型枠、および型枠を
支える支持フレームからなり、上下左右の調整機構を持
つ。

【００４９】(d) 内型枠１４ 移動可能な台車３２から張り出して取り付けられ、後部
に配置されたカウンターウエイト１６によりバランスを
取っている。打設時は張出し先端部に設けたジャッキ１
７により内型枠１４を支える構造となっている。

【００５０】(e) 移動台車３１ 打設時はマッチキャストブロック１ａの受け台として機
能し、上下左右平面上の回転調整が可能である。また、
脱型時はマッチキャストブロック１ａ、製作ブロックの
それぞれの運搬台車となり、製作台１１の下部から仮置
台４１の下部へ都度移動する設備である。

【００５１】(f) 仮置台４１ マッチキャストブロックとしての機能が終了したブロッ
クを移動台車３１により運搬し、ストックヤードへ保管
する前に仮置きする台座である。

【００５２】(g) 底版型枠１２ 製作ブロック、マッチキャストブロック、仮置きブロッ
クを載せる底版型枠兼パレットの機能を持つ。製作台１
１、移動台車３１、仮置台４１の上に常に載せ、ローテ
ーションを行い運用する。

【００５３】(h) 妻型枠１５ バルクヘッドの意味で、製作されるプレキャストブロッ
クの妻部分の型枠である。片側の妻はマッチキャストブ
ロック１ａで位置決めされる。

【００５４】(i) 側面せき板１８ 床版両サイドの型枠で、プレキャストブロック１の幅を
決定する。ＰＣ鋼線２配置時の位置決めを兼ねる。

【００５５】(j) プレテンション導入装置５２ 本体フレーム５１両側４本の支柱にそれぞれ２本のジャ
ッキを配し、ジャッキに支えられた２組の梁にＰＣ鋼線
２を固定し、両側からプレテンションを導入する設備で
ある。

【００５６】以上の設備を用いたプレキャストブロック
の製作手順は次のようになる。

【００５７】(1) 完成したプレキャストブロック１の下
部に移動台車３１を配置し、完成したプレキャストブロ
ック１をジャッキ３１ａにより、底版型枠１２に載った
まま移動台車３１に載せ換える。

【００５８】(2) 移動台車３１を移動させ、プレキャス
トブロック１をマッチキャストブロック１ａとして仮位
置決めし、移動台車３１を固定する。

【００５９】(3) 清掃済みの底版型枠１２をクレーンに
より製作台１１の上に載せ、仮位置決めをする。外型枠
１３、妻型枠１５、側面せき板１８を仮位置決めする。

【００６０】(4) 測量により平面線形、縦断勾配、横断
勾配を考慮し、仮位置決めした製作台１１、マッチキャ
ストブロック１ａ、外型枠１３等の型枠を芯出しして固
定する。

【００６１】(5) 鉄筋組立ヤードにて、ユニットに組み
上げられた鉄筋をクレーンにより型枠内に配置する。

【００６２】(6) 内型枠１４を移動し、張出し部分先端
をマッチキャストブロック１ａ内部に支持し、測量によ
り内型枠１４を位置決め固定する。

【００６３】(7) ＰＣ鋼線２を型枠内に配置固定する。

【００６４】(8) ＰＣ鋼線２をプレテンション装置５２
に固定し、所定の張力をかける。

【００６５】(9) 内型枠１４上面のハッチから打設ホー
スにより、床版部分のコンクリート打設を行う。順次、
ウェブ部分、床版部分のコンクリートを打設する。

【００６６】(10) 一定の養生期間を置き、ＰＣ鋼線２
の切断、内型枠１４の脱型、マッチキャストブロック１
ａの縁切り、妻型枠１５の脱型を行う。

【００６７】(11) 縁切りしたマッチキャストブロック
１ａは、移動台車３１により仮置台４１上に底版型枠１
２ごと仮置きされる。

【００６８】(12) 仮置きされたプレキャストブロック
１は、後でクレーンによりストックヤードへ運搬され、
保管される。

【００６９】(13) 移動台車３１は、再度、製作台１１
の下面まで移動し、上記(1) の作業へ移る。

【００７０】以上の作業過程において、プレキャストブ
ロック１の形状寸法を計測し、複数のプレキャストブロ
ックについて設計値との誤差を累積計算して行き、この
累積誤差に基づいて調整台２１のｘ，ｙ，ｚ方向の位置
調整および回転θの調整を行い、マッチキャスト側の位
置・姿勢の調整を行うことは、前述の実施例の場合と同
様である。

【００７１】図８〜図１２は、本願発明の他の具体的な
実施例として、ポストテンション方式でプレストレスを
導入する場合のプレキャストブロックの製作装置を示し
たものである。

【００７２】鉄筋加工、ブロックの養生等を含む全工程
を概略的に説明すると次のようになる。

【００７３】(1) 鉄筋加工・組立 鉄筋加工図に基づいて、自動切断、自動加工した各々の
鉄筋を組立ヤードにセットされた鉄筋組立て架台で、１
プレキャストブロック分を組み立てて、ユニット化す
る。

【００７４】鉄筋組立て架台は、軽量鉄骨等で製作し、
ゲージ枠に単管等の材料を用いて、鉄筋を組み立てる。
この単管を取り外し、組み立てられた鉄筋ユニットを門
型クレーン等でストックヤードへ搬送し、仮置きする。

【００７５】鉄筋ユニットには、鉄筋組立て中にＰＣ鋼
材用のシースも定位置に壊れないよう配置しておく。

【００７６】(2) 型枠 プレキャストブロックの製作型枠は、底版型枠１２、外
型枠１３（張出し床版型枠を含む）、内型枠１４（床版
型枠を含む）、妻型枠１５およびマッチキャストブロッ
ク１ａで構成される。

【００７７】この型枠は繰り返し使用するので、ブロッ
クの精度を確保するために、十分な剛性と強度を有した
ものとする。妻型枠は接合キーを取り付けた構造とす
る。

【００７８】また、組立て、脱型が容易でブロック製作
寸法の変化に対応できるように柔軟性を持たせた型枠構
成にする。

【００７９】型枠の組立ては、測量結果から固定した底
版型枠１２に、高さ、方向、傾き等の調整を自動化した
調整台２１上のマッチキャストブロック１ａを接合さ
せ、セットする構造設備とする。

【００８０】型枠をセットする測量については、コンク
リートのクリープ・乾燥収縮が終了した後の橋面を所定
の位置にするため、いかに精度良く測量し、ブロックを
製作するかが重要である。そのためには、基準線の位置
が最も重要で、製作台１１の基準線を視準できるような
位置に強固な測量台を設置する。

【００８１】(3) 鉄筋ユニットセット 底版型枠１２、外型枠１３が製作すべきブロックの位置
にセットされた時点で、ストックヤードに仮置きしてお
いた鉄筋ユニットを運び、型枠内に配置する。

【００８２】(4) コンクリート打設 コンクリートポンプ車で、ウェブ、下床版、上床版の順
序でコンクリートを直接型枠内に打ち込み、締固めを行
う。この時、ＰＣ鋼材用のシース、埋設物等に、十分気
をつける。

【００８３】締固めは内部振動機あるいは型枠振動機の
併用で行う。また、上床版の表面は、簡易フィニッシャ
ーを使用して仕上げる。

【００８４】(5) 養生 プレキャストブロック１脱型時の所要コンクリート圧縮
強度を１４０kgf/cm²程度として、材令１日でこの強度
を確保するには、室内温度を２５〜３０°Ｃに保たれた
中で養生することが望ましく、必要に応じ、給熱養生
（蒸気養生）とする。

【００８５】(6) ブロックの切離し・型枠脱型 妻型枠１５の切離しには、マッチキャスト方式の接合面
の品質を確保するため、剥離剤を塗布したり、あるいは
シートを貼り付け、接合キーおよびコンクリートの縁を
傷つけないように脱型する。

【００８６】脱型されたブロックは水洗いを施し、マッ
チキャストブロック１ａとして、次の作業に備える。

【００８７】(7) 保管 マッチキャスト終了後、床版横締めのＰＣ鋼材を挿入
し、緊張して、移動式クレーンでストックヤードに運
ぶ。ストックは、Ｈ鋼等の枕材を使用して、床版が水平
になるように置く。

【００８８】ストックヤードは、できるだけ架橋地点に
近い位置が望ましく、その広さは製作速度、架設速度等
の釣り合いで、必要な面積を決定する。

【００８９】作業効率を上げるために、ブロックの搬
入、搬出が容易に行なえるクレーン等の設備の配置をす
る。また、ストックヤードのスペースによっては、ブロ
ックを２〜３段に多段積みしなければならない。この場
合、搬出順序を考慮し、仮置きする。

【００９０】架設時のブロック間継目施工に用いる接着
剤は、高強度、耐久性および施工性等が要求され、ブロ
ックの架設工程に影響のないようストックヤードにスト
ックした１スパン分のプレキャストブロック１を、条件
良く保管するために移動式上屋等で雨対策をする。

【００９１】以上の作業過程における調整台２１のｘ，
ｙ，ｚ方向の位置調整および回転θの調整によるマッチ
キャストブロック１ａの位置・姿勢の調整は、上記の２
つの実施例の場合と同様である。

【００９２】

【発明の効果】 橋桁の平面線形、縦断勾配、または横断勾配に基づ
く形状変化に対し、主として調整が容易なマッチキャス
トブロックの位置・姿勢の調整で対処し、計測・制御シ
ステムの単純化が図れる。従って、プレキャストブロッ
ク製作の自動化も容易となり、製作コストの大幅低減が
可能である。

【００９３】 調整を複数のブロックごとあるいは累
積誤差に基づいて行うことで、個々のブロック製作ごと
高精度にセットする必要がない。また、累積誤差に基づ
いて調整することで、橋桁全体としての高い精度を確保
することができる。また、プレキャストブロックの製作
が現場施工と並行作業となる場合、現場施工の誤差をブ
ロック製作において調整することも容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本願発明によるプレキャストブロックの製造
方法における作業手順と設備配置を概略的に示した平面
図である。

【図２】 図１の実施例における製造設備の配置を示し
た平面図である。

【図３】 図１の実施例における調整台と回転台および
移動台車の関係を簡略化して示した橋軸方向からの正面
図である。

【図４】 図１の実施例における調整台と回転台の具体
例を示したもので、(a) は平面図、(b) は橋軸直角方向
からみた正面図、(c) は側面図である。

【図５】 プレテンション方式でプレストレスを導入す
る場合の製作装置の具体的な実施例を示した断面図であ
る（ブロック中心線の左側は図７のＡ−Ａ線断面、右側
はＢ−Ｂ線断面に相当する）。

【図６】 図５に対応する平面図である。

【図７】 図５に対応する橋軸方向の断面図である。

【図８】 ポストテンション方式でプレストレスを導入
する場合の製作装置の具体的な実施例を示した斜視図で
ある。

【図９】 図８の実施例における橋軸直角方向の断面図
である（ブロック中心線の左側は図１２のＣ−Ｃ線断
面、右側はＤ−Ｄ線断面に相当する）。

【図１０】 図９に対応する平面図である。

【図１１】 図９のＥ−Ｅ線断面図である。

【図１２】 図９のＦ−Ｆ線断面図である。

【符号の説明】

１…プレキャストブロック、１ａ…マッチキャストブロ
ック、２…ＰＣ鋼線、１１…製作台、１２…底版型枠、
１３…外型枠、１４…内型枠、１５…妻型枠、１６…カ
ウンターウエイト、１７…ジャッキ、１８…側面せき
板、２１…調整台、２２…油圧シリンダー（ｘ方向）、
２３…油圧シリンダー（ｚ方向）、２４…油圧ジャッキ
（ｙ方向）、２５…球面ジョイント、２６…回転台、２
７…テーブル、２８…油圧シリンダー（回転θ）、３１
…移動台車、３１ａ…ジャッキ、３２…台車、３３…台
車レール、４１…仮置台、５１…本体フレーム、５２…
プレテンション導入装置、

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 和之 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 小谷 一三 東京都調布市飛田給２丁目19番１号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 徳山 清治 東京都調布市飛田給２丁目19番１号 鹿島 建設株式会社技術研究所内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 製作台上に所定のプレキャストブロック
   形状に合わせて組んだ型枠に対し、既に製作された隣接
   位置のプレキャストブロックの片側の端面をマッチキャ
   ストのための妻型枠として用いて、コンクリートを打設
   することにより順次新たなプレキャストブロックを製作
   して行くショートラインマッチキャスト方式による橋梁
   用ブロックの製造方法において、橋桁の平面線形、縦断
   勾配、または横断勾配に基づいて要求されるプレキャス
   トブロックの形状変化に対し、製作されたプレキャスト
   ブロックの形状を測定し、複数のプレキャストブロック
   について設計値との誤差を累積計算して行き、前記累積
   誤差に基づいて製作台に対するマッチキャストブロック
   の位置を調整することを特徴とする橋梁用プレキャスト
   ブロックの製造方法。
2. 【請求項２】 前記マッチキャストブロックを、橋軸直
   角方向、上下方向、および橋軸方向の位置調整機構を備
   えた調整台によって支持し、前記調整台の調整により位
   置調整を行う請求項１記載の橋梁用プレキャストブロッ
   クの製造方法。
3. 【請求項３】 前記調整台が水平面内での回転機構も備
   え、調整台により前記マッチキャストブロックの橋軸直
   角方向、上下方向、橋軸方向の移動、および回転による
   位置調整を行う請求項２記載の橋梁用プレキャストブロ
   ックの製造方法。
4. 【請求項４】 前記マッチキャストブロックを、前記調
   整台との間に水平面内での回転機構を備えた回転台を介
   在させて支持し、橋桁の平面線形における曲線部につい
   て前記回転台によりマッチキャストブロックを回転させ
   て位置調整を行う請求項２記載の橋梁用プレキャストブ
   ロックの製造方法。
5. 【請求項５】 製作台は固定されており、既に製作され
   た隣接位置のマッチキャストブロックの位置調整のみ
   で、プレキャストブロックの形状変化に対する調整を行
   う請求項１、２、３または４記載の橋梁用プレキャスト
   ブロックの製造方法。
6. 【請求項６】 型枠をセットして、コンクリートの打設
   によりプレキャストブロックを製作するための固定され
   た製作台と、片側の妻型枠としてのマッチキャストブロ
   ックを支持するための調整台とを有し、前記調整台は搭
   載したマッチキャストブロックをそれぞれ橋軸直角方
   向、上下方向、橋軸方向に移動させるための調整手段
   と、前記マッチキャストブロックを水平面内で回転させ
   るための回転手段を備えていることを特徴とする橋梁用
   プレキャストブロックの製造装置。