JPH08132752A - 平版印刷用湿し水組成物 - Google Patents

平版印刷用湿し水組成物

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JPH08132752A
JPH08132752A JP26983194A JP26983194A JPH08132752A JP H08132752 A JPH08132752 A JP H08132752A JP 26983194 A JP26983194 A JP 26983194A JP 26983194 A JP26983194 A JP 26983194A JP H08132752 A JPH08132752 A JP H08132752A
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JP
Japan
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acid
ether
water
glycol
fountain solution
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JP26983194A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Matsumoto
博 松本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アラビアガム、イソプロピルアルコールを必
ずしも用いなくとも、環境安全性、作業安全性、経時保
存安定性、印刷適性及び浸し水適性の全てが優れる平版
印刷版用湿し水組成物を提供することである。 【構成】 置換基として片末端にメルカプト基を有し、
ケン化度が50〜100モル%であり、重合度(数平
均)が20〜2000であるポリビニルアルコールを含
有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平版印刷版のオフセット
印刷法に有用な湿し水組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、平版印刷版はPS版と呼ばれる感
光性平版印刷版より作成される。そしてこの平版印刷は
水と油が本質的に混じり合わない性質を巧みに利用した
印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反
撥する領域と、水を反撥し油性インキを受容する領域か
ら成り、前者が非画像領域であり、後者が画像領域であ
る。そして、湿し水で非画像領域を湿潤することにより
画像領域と非画像領域との界面化学的な差を拡大して、
非画像領域のインキ反撥性と画像領域のインキ受容性と
を増大させている。従来から一般的に知られている湿し
水としては、重クロム酸のアルカリ金属塩又はアンモニ
ウム塩、リン酸又はその塩、例えばアンモニウム塩等の
コロイド物質等を添加した水溶液がある。また、湿し水
には汚れ防止成分として水溶性高分子化合物を含有させ
ておくのが通例である。この水溶性高分子化合物は印刷
版の非画像部領域の汚れや印刷機の給水ロール汚れ等を
防止して安定に印刷する効果を与えている。このような
水溶性高分子化合物としてはアラビアガム、繊維素及び
その誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カル
ボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、エチルセルロース等)、殿粉誘導体(例えばデ
キストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピ
ル化殿粉、カルボキシメチル殿粉、リン酸化殿粉、オク
テニルコハク化殿粉等)、アルギン酸及びその誘導体
(例えばヒドロキシプロピル化アルギン酸、ヒドロキシ
エチル化アルギン酸等)等の天然物、ポリエチレングリ
コール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びそ
の共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合
体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体、酢酸ビ
ニル/無水マレイン酸共重合体等の合成親水性高分子等
が提案されている。しかしながら、これらの化合物だけ
を含む湿し水は、版の非画像部に均一に濡れ難い欠点が
あり、このため印刷物が時々汚れたり、また湿し水の供
給量を調節するのに相当の熟練を要するなどの問題があ
った。また、上記化合物中で性能の最も優れたアラビア
ガムはアフリカ大陸のアラビアガムベルト地帯のスーダ
ン国が主生産地であるため、近年旱魃等の自然現象又は
政冶不安定等のために入手が不安定になっている。その
ため、その代替親水性高分子の開発が望まれていた。そ
の他の中で特にカルボキシメチルセルロースがアラビア
ガムと同様な汚れ防止能力を有しているが、通常湿し水
が用いられるpH酸性領域では溶解性が大巾に低下し、
pH自動コントローラーを使用してランニング処理する
と滴下用ノズルが詰りやすくなる欠陥も有しているし、
また、湿し水は一般に商品にするときは経済上の理由か
ら濃縮化し、印刷に使用するときに水で希釈して使用す
る方法が一般的であるが、この濃縮化することが困難と
なる。なお、以降、濃縮化された物を湿し水組成物と呼
ぶ。
【0003】それ以外に、イソプロピルアルコールを約
20〜25%加えた水溶液を湿し水として用いるダール
グレン方式が提案されている。この方式によると、非画
像部への濡れが良くなり、印刷インキと水との供給量の
バランスの調整が容易である等の利点がある。しかし、
イソプロピルアルコールは蒸発し易いために、湿し水の
イソプロピルアルコール濃度を一定に保つための特殊な
装置が必要であり、価格の点において高価なものとな
る。また、イソプロピルアルコールは特有の不快臭があ
ることと共に、毒性の面でも問題があって作業環境上好
ましくない。またイソプロピルアルコールとアラビアゴ
ムを併用すると乳化が低下するため15%以上の高濃度
にできない。更に、近年産業公害に対する社会的関心が
非常に高まり、廃水中のクロムイオンの排出規制が厳し
くなり、またイソプロピルアルコールのような有機溶剤
の使用が安全衛生面から規制される傾向にある。このた
め、これらを含有しない湿し水が望まれていた。これら
の問題点を解決するためこれまでに、例えば特公昭55
−25075号公報、特公昭55−19757号公報、
特公昭58−5797号公報には、種々の界面活性剤を
含有する湿し水組成物が記載されているが、これらの問
題点を完全に解消するには充分ではなかった。更に、こ
れらの界面活性剤を含む湿し水はポンプ輪送や撹拌の際
に発泡し易いという欠点もあった。
【0004】他方、米国特許第3,877,372号に
は、エチレングリコールモノブチルエーテルと、へキシ
レングリコール及びエチレングリコールの少なくとも1
種との混合物を含有する湿し水が記載されている。米国
特許第4,278,467号には、n−へキソキシジエ
チレングリコール、n−へキソキシエチレングリコー
ル、2−エチル−1,3−へキサンジオール、n−ブト
キシエチレングリコールアセテート、n−ブトキシジエ
チレングリコールアセテート、3−ブトキシ−2−プロ
パノールの少なくとも1種を含有する湿し水が記載され
ている。特開昭57−199693号公報には、2−エ
チル−1,3−へキサンジオールと、完全水溶性のプロ
ピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ジエチレングリゴール、へキシレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、トリプロパングリコール、1,5−ペンタンジオ
ールの少なくとも1種を含有する温し水が記載されてい
る。これらの湿し水はイソプロピルアルコールを含有し
ないため、安全衛生面で有利ではあるが、陽極酸化アル
ミニウム基板のPS版では印刷中の非画像部の濡れが十
分でないため、高速印刷時に非画像部に汚れが生じた
り、画像部の網点の形状がムラ状となる、いわゆる網点
画像部の絡みが発生してしまう問題があった。またこれ
らイソプロピルアルコール代替溶剤は一般に溶解能力が
低いため、特に濃縮化した場合、水溶性高分子を冷水、
温水に溶解するとき、膨潤した粒子が凝集して、いわゆ
る「ママコ」と呼ばれる粘性の塊りができて容易に溶解
しにくくなり、作業性にも影響し、実用化が困難である
と考えられていた。即ち平版印刷版用アラビアガム代替
湿し水として要求される諸特性を全て満足するものでは
なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記諸
欠点を解決した、アラビアガムに代る水溶性高分子を使
用した平版印刷用湿し水組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下の平版印刷
用湿し水組成物を用いることで上記目的が容易に解決で
きることを見い出し本発明に到達したものである。即
ち、本発明は、置換基として片末端にメルカプト基を有
し、ケン化度が50〜100モル%であり、重合度(数
平均)が20〜2000であるポリビニルアルコールを
含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物であ
る。本発明に用いられる上記ポリビニルアルコールとし
ては、置換基として片末端にメルカプト基を有し、ケン
化度が50〜100モル%、好ましくは60〜99.5
モル%であり、重合度(数平均)が20〜2000、好
ましくは30〜1000であるポリビニルアルコールで
あればいずれのものでもよい。ここで、ケン化度が50
未満では、不感脂化力が低く、印刷版が汚れ易くなる。
また、重合度(数平均)が2000を越えると、版上の
画像部へのインキのノリが悪化し、更に湿し水補充装置
のノズルが詰まり易くなる。重合度(数平均)が20未
満だと本発明の効果が得られなくなる。
【0007】これら水溶性高分子化合物の合成方法は、
従来公知のいずれの方法でもよいが、具体的には特開平
4−323203号、特開平4−63884号公報等に
詳しく記載され開示されている方法が好ましい。本発明
における平版印刷用湿し水における上記ポリビニルアル
コールの添加量としては、上記ポリビニルアルコールの
種類、含有量、他の添加剤等により、種々変動するが、
使用時の平版印刷用湿し水における上記ポリビニルアル
コールの含有量としては、使用時の湿し水(以下単に
「湿し水」ともいう)に対して0.0001〜0.1重
量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.0003〜
0.05重量%の範囲である。本発明の平版印刷用湿し
水組成物は、平版印刷用湿し水に使用されることによ
り、アラビアガム、イソプロピルアルコールを必ずしも
使用しなくとも、上述のような環境安全性、作業安全
性、経時保存安定性及び湿し水適性の全てが優れるとい
った著しい効果を有する湿し水が得られる。
【0008】本発明における平版印刷用湿し水組成物に
は、上記ポリビニルアルコール以外に、本発明の効果が
得られる範囲内で他の水溶性高分子と混合して使用して
もよい。例えば、アラビアガム、澱粉誘導体(例えば、
デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロ
ピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱
粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、アルギン
酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス)等の天然物及びその変性体、ポリエチレングリコー
ル及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘
導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及び
その共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニ
ルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニ
ル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸
及びその共重合体の合成物が挙げられる。混合可能な水
溶性高分子の含有量は、湿し水に対して0.0001〜
0.1重量%が適しており、より好ましくは、0.00
05〜0.05重量%である。
【0009】本発明の平版印刷用湿し水組成物には、上
記水溶性高分子以外に、下記のような添加物を添加する
ことができる。本発明における湿し水組成物にはpH緩
衝剤として水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれら
の塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整あ
るいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング
又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、例
えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳
酸、酢酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン
酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホ
ン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無
機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が
挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム
塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、
無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、ある
いは2種以上の混合物として使用してもよい。
【0010】これらの化合物の本発明における湿し水へ
の添加量は0.001〜0.3重量%の範囲が好まし
く、湿し水のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いる
ことが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、ア
ルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含
有したpH7〜11のアルカリ性領域で用いることもで
きる。本発明における湿し水組成物には、動的表面張力
の調節又は印刷インキの混入率(乳化率)を適度な範囲
に抑えるために、さらに必要に応じて、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン及び/又は酸
化プロピレン付加物、アセチレンアルコール又はアセチ
レングリコールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレ
ン付加物からなる少なくとも一種の化合物を含有させて
おくことができる。このアセチレンアルコール又はアセ
チレングリコールとしては、例えば2,4,7,9−テ
トラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−
ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチ
ル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチ
ン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−
3,6−ジオール等の酸化エチレン及び/又は酸化プロ
ピレン付加物が好ましく使用される。本発明における湿
し水においては、上記化合物は0.0001〜1重量%
の範囲で使用できる。
【0011】更に本発明における湿し水組成物には、平
版印刷版へ湿し水を施した時に迅速に非画像部に湿し水
が行きわたる性能を付与することを目的として界面活性
剤を添加してもよい。例えば、アニオン型界面活性剤と
しては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシア
ルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジア
ルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ア
ルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシ
ポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキ
シエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メ
チル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アル
キルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油ス
ルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸
アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エ
ステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸
エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部
分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の
部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮
合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスル
ホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0012】非イオン型界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリス
チリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロビレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸
部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロビレン
グリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂
肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが
挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界
面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が
好ましく用いられる。
【0013】更に、シリコン誘導体又はフッ素誘導体等
の界面活性剤も挙げられる。これらの界面活性剤の含有
量は発泡の点を考慮すると、湿し水中に1.0重量%以
下、好ましくは0.001〜0.5重量%が適当であ
る。更に、本発明における湿し水組成物には、平版印刷
版の非画像部に施された湿し水が早期に蒸発してしまう
のを防止するため、湿潤剤を含有させることができる。
例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ブチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレ
ングコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジ
グリセリン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単
独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般
に、上記湿潤剤は湿し水中0.001〜0.1重量%の
量で使用することが好ましい。
【0014】更に、本発明における濃縮湿し水組成物に
はキレート化合物を添加してもよい。通常、濃縮湿し水
組成物は水道水、井戸水等を加えて希釈して使用され
る。この際希釈する水道水や井戸水に含まれているカル
シウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易
くする原因となることもある。このような場合、キレー
ト化合物を添加して、上記欠点を解消することができ
る。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレ
ンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウ
ム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム
塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ
酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシ
エチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そ
のナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム
塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そ
のカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレ
ンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩な
どのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカン
トリカルボン酸類を挙げることが出来る。上記のキレー
ト剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代りに有機ア
ミンの塩も有効である。これらのキレート剤は湿し水組
成物中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ば
れる。湿し水中に添加する量としては0.0001〜
1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.1重量%
が適当である。
【0015】更に必要に応じて本発明における湿し水組
成物には下記に示す化合物を添加することができる。こ
れらの化合物は、直接給水方式、間接給水方式などの種
々の湿し水供給方式に対する適性を付与するため、ある
いは種々の給水ローラーに対する濡れ性を向上させると
いった様々な目的をもって添加される。その具体例とし
ては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブ
チルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、
エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレン
グリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノタ
ーシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノタ
ーシャリブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
ターシャリブチルエーテル、エチレングリコールモノヘ
キシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテ
ル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチ
レングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレング
リコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、テトラプロピレングリコール、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメ
チルエーテル、
【0016】トリプロピレングリコールモノメチルエ一
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピル
エーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエー
テル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
イソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイ
ソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャ
リブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシ
ャリブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノタ
ーシャリブチルエーテル、分子量200〜1000のポ
リプロピレングリコール及びそれらの化合物のモノメチ
ルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテ
ル、及びイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル等
が挙げられる。中でも、エチレングリコールモノブチル
エーテル、分子量200〜1000のポリプロピレング
リコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、平均付加モル数が2〜7のポリプロピレングリコー
ルのモノアルキル(C1〜C4)エーテルが好ましい。こ
れらの化合物は単独でも2種以上の化合物を併用しても
よく、好適に使用できる範囲は湿し水中0.1〜5重量
%であり、より好ましい範囲は0.5〜3重量%であ
る。
【0017】更に本発明における湿し水組成物には防錆
剤、各種着色剤、消泡剤、防腐剤などを添加することが
できる。例えば防錆剤としてはベンゾトリアゾール、5
−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾ
イミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。着色剤と
しては食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄
色色素としてはCINo.19140、15985、赤色
色素としてはCINo.16185、45430、162
55、45380、45100、紫色色素としてはCI
No.42640、青色色素としてはCINo.4209
0、73015、緑色色素としてはCINo.4209
5、等が挙げられる。又消泡剤としてはシリコン消泡剤
が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれ
も使用できる。更に、防腐剤としては、フェノール又は
その誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒド
ロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導
体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジ
ンの誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリ
ン又はグアニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾー
ルの誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体ブロ
モニトロプロパノール等が挙げられる。好ましい添加量
は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮す
る量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異な
るが、湿し水に対し、0.001〜1.0重量%の範囲
が好ましく、また種々のカビ、細菌、酵母に対して効力
のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好まし
い。本発明の組成物は濃縮化しているので、使用すると
き水道水、井戸水等で30倍〜500倍に希釈して用い
る方が経済的で好ましい。
【0018】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではな
い。なお、%は特に指定のない限り重量%を示す。 湿し水組成物の調整 撹拌機スリーワンモーター(新東科学(株)製)を用い
て、回転数400rpmで、表−1に記載の水溶性樹脂
A、B、C、D、E及び表−2に記載の各水溶性樹脂を
水に溶解し、溶解後、順次表−2に記載の添加物を加え
て溶解する。表−2に記載の実施例1〜5、及び比較例
6〜12に示した湿し水組成物を調製した。単位はグラ
ムであり、水を加えて1000mlとした。但し、比較例
6、7は冷水では溶解性が劣るため50〜60℃に加温
して溶解する。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】ここで、上記の中で実施例1〜3、及び比
較例6、8に記載の水溶性樹脂が完全に溶解するまでの
所要時間を測定した。その結果を下記表−3に示す。表
−3に示すとおり、比較例6、8に比べて、本発明の水
溶性樹脂A、B及びCは、著しく溶解性に優れているこ
とが判る。
【0023】
【表4】
【0024】次に、各調液した実施例1〜5、比較例6
〜12の湿し水組成物を、200倍に希釈し、その溶液
にイソプロピルアルコールを5%添加し、下記に示す種
々の印刷適性を調べた。又、実施例4、5、比較例7及
び9の湿し水は1:40に希釈し、そのままの溶液で印
刷適性について調べた。ここで、印刷機としてはハイデ
ルスピードマスター(アルカラー給水装備)を用いて、
東洋インキ(株)MK−Vシアンインキと使用プレート
として富士写真フイルム(株)製のFPS−IIIを標準
条件で製版したものを用いて印刷テストを実施した。そ
の時の印刷適性の評価結果を表−4に示した。
【0025】
【表5】
【0026】a.乳化性:10000枚印刷したとき、
インキ練ロール上のインキの乳化状態を調べる。インキ
が濁って、濃度が低下しないかを見た。 良い。 A やや悪い。 B 悪い。 C b.連続安定性:真水を湿し水として用いて、1000
0枚印刷し、汚れを生じない湿し水の量(最少水あげ
量)を求め、上記各種の湿し水をこの最少水あげ量で用
いて印刷を行い、印刷物の汚れが発生するまでの印刷枚
数により判定する。 10000枚以上 A 10000〜3000枚 B 3000枚未満 C c)濃縮原液の安定性:ポリエチレンビンに入れ、常温
(室内)と40℃/80%RH条件及び−5℃の各種条
件での経時安定性を調べた。 変化なし A やや変化あり B 変化あり C 液分離する D d)ノズルによる自動補充装置の滴下安定性:ノズル詰
りについて調べた。 良好 A ノズルの縁部に固形分有り B 詰りやすい C 本発明の湿し水組成物である実施例1〜5では、(a)
〜(d)の項目のいずれについても優れており、良好な
印刷物が得られ、印刷適性が優れていることが判る。ま
た、湿し水適性も優れ、且つ経時安定性も良好であるこ
とがわかった。一方、比較例6〜12では、全ての項目
を満足するものはなかった。また、比較例11、12に
おいては、ケン化度、重合度(数平均)が本発明の範囲
を外れる場合、各々連続安定性、滴下安定性が悪化して
しまった。更に、比較例6に示すようにアラビアゴムを
用いた場合よりも、本発明の湿し水組成物(実施例1)
は、滴下安定性が優れていることが判る。一方、本発明
の実施例1〜5において、印刷機の水あげ用メータリン
グロールに対するインキの付着汚れ、及び5000及び
10000枚印刷したところで、印刷機の運転を休止
し、画像部のインキが非画像部に滲みでている程度を調
べたところ、本発明のものはいずれも良好な結果が得ら
れた。
【0027】
【発明の効果】本発明により、アラビアガム、イソプロ
ピルアルコールを必ずしも用いなくとも、環境安全性、
作業安全性、経時保存安定性、印刷適性及び浸し水適性
の全てが優れる平版印刷版用湿し水組成物を提供するこ
とができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換基として片末端にメルカプト基を有
    し、ケン化度が50〜100モル%であり、重合度(数
    平均)が20〜2000であるポリビニルアルコールを
    含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。
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