JPH08131938A - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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JPH08131938A
JPH08131938A JP6280508A JP28050894A JPH08131938A JP H08131938 A JPH08131938 A JP H08131938A JP 6280508 A JP6280508 A JP 6280508A JP 28050894 A JP28050894 A JP 28050894A JP H08131938 A JPH08131938 A JP H08131938A
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JP
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gas
film
voltage
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coating
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Application number
JP6280508A
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English (en)
Inventor
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Yuji Eguchi
勇司 江口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】基材上に、撥水性又は親水性を有し、耐久性な
らびに硬度の優れた被膜の形成された積層体の製造方法
を提供する。 【構成】基材上に、1分子中に少なくとも2個の(メ
タ)アクリロイル基を有する化合物及び光重合性開始剤
からなる組成物を塗布し、活性光線を照射して硬化させ
て被膜を形成する第1の工程と、該被膜を形成した基材
を、少なくとも一方の対向面に固体誘電体が配設された
相対する一対の金属電極間に配置した後、不活性ガスと
表面処理用ガスとの混合ガス雰囲気中、大気圧近傍の圧
力下で金属電極間に電圧を印加し発生した放電プラズマ
を該被膜表面に接触させる第2の工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性又は親水性を有
し、耐久性に優れ且つ高硬度の被膜が形成された積層体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガラス、プラスチック等の基
材の表面を撥水化や親水化する方法が数多く提案されて
いる。撥水性を付与する有力な方法としては、基材面に
撥水性を有する被膜を形成する方法が挙げられ、例え
ば、特開平5−146745号公報には、Si(OR)
4 で表されるシリコンアルコキシドのアルコキシ基の1
部がフルオロアルキル基で置換された置換シリコンアル
コキシドからなるゾル溶液を基材面に塗布し焼成して撥
水性の被膜を形成する方法が提案されている。
【0003】しかしながら、この方法では、撥水性を発
現させるために、フルオロアルキル基を表面に配向させ
る必要があるため、長鎖のアルキル基のシリコンアルコ
キシドを用いているので、得られる撥水性被膜は硬度が
低く、過酷な環境下では摩耗すると共に、フルオロアル
キル基を含有するシリコンアルコキシドは高価であると
いう問題点があった。
【0004】上記問題点を解決するために、例えば、特
開平3−153859号公報には、金属酸化物とフッ素
系樹脂からなる混合層を物理蒸着法によって基材表面に
形成する方法が提案されている。しかしながら、この方
法では、金属酸化物とフッ素系樹脂の混合比を変えるこ
とにより硬度と撥水性が制御されるが、硬度と撥水性は
配合上からみて相反する因子であり、優れた撥水性と硬
度を両立させた積層体を得るのは難しいという問題点が
あった。
【0005】また、親水性を付与する方法としては、例
えば、界面活性剤を含有する組成物を基材表面に塗布す
る方法が挙げられるが、水と接触すると界面活性剤が水
により流失するため親水性を長期間にわたって維持する
のが難しいという問題点があった。
【0006】また、撥水性又は親水性を付与する別の方
法としては、0.01〜10Torr程度の低い圧力で
グロー放電プラズマにより基材表面を処理する方法や、
大気圧下でコロナ放電処理し表面を酸化する方法が一般
に広く知られ実用化されている。しかし、表面処理され
た酸化層の厚みは極めて薄いため、耐久性が悪いという
問題点があり、低い圧力で処理する場合は処理装置が高
価になるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、その目的は、基材上に、撥水性又は親水性を有
し、耐久性ならびに硬度の優れた被膜の形成された積層
体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体の製造方
法は、基材上に特定の組成物を塗布、硬化させて被膜を
形成する第1の工程と、該被膜表面に放電プラズマを接
触させる第2の工程からなる。
【0009】以下、第1の工程について説明する。上記
組成物は、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリ
ロイル基を有する化合物及び光重合性開始剤からなる。
【0010】上記1分子中に少なくとも2個の(メタ)
アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド
変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエ
チレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)ア
クリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチ〕)イソシ
アヌレート等、さらに二官能以上のウレタンアクリレー
ト、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート
等が挙げられる。
【0011】上記光重合開始剤としては、紫外線、可視
光線等の活性光線で上記(メタ)アクリロイル基を有す
る化合物を重合させる性質のあるものであれば、特に制
限はない。上記光重合開始剤のうち、紫外線で活性化す
るものとしては、例えば、ソジウムメチルジチオカーバ
メイトサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルフ
ァイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾ
イルモノサルファイド及びジサルファイドなどのサルフ
ァイド類;チオキサントン、エチルチオキサントン、2
−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジ
イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導
体;ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼ
ンジアゾニウム等の(ジ)アゾ化合物;ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒ
ラーケトン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアン
トラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルア
ントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロ
アントラキノン、ベンジルジメチルケタール、メチルフ
ェニルグリオキシレート等の芳香族カルボニル化合物;
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒ
ドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジエトキシ
アセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン等
のアセトフェノン誘導体;4−ジメチルアミノ安息香酸
メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメ
チルアミノ安息香酸ブチル、4−ジエチルアミノ安息香
酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル
類;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、キュメンハイドロ
パーオキサイド等の過酸化物;9−フェニルアクリジ
ン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセチ
ルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジン
誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−メ
チルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナジ
ン等のフェナジン誘導体;4,4’,4”−トリメトキ
シ−2,3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン
誘導体;2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量
体;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィンオキシド、ア
シルホスフォナート等のアシル化リン化合物などが挙げ
られる。
【0012】また、可視光線で活性化するものとして
は、例えば、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリ
フェニルビリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリ
ス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
3,3’−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケト
ン等が挙げられる。
【0013】上記組成物中、光重合開始剤の量は、少な
くなると硬化が不十分となり、多くなると被膜が黄変し
たり、もろくなるので、上記(メタ)アクリロイル基を
有する化合物100重量部に対して、0.1〜20重量
部が好ましい。
【0014】上記組成物には、必要に応じて、他の単官
能(メタ)アクリレート化合物、増粘剤、有機高分子重
合体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、界面
活性剤等が添加されてもよい。
【0015】また、上記組成物は、必要に応じて、溶剤
で希釈されてもよい。上記溶剤としては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ等のセロソルブ類;さらに酢酸エチル、テ
トラヒドロフラン、トルエン等が挙げられ、これらは単
独で使用されても二種以上が併用されてもよい。
【0016】上記基材としては、アクリル樹脂、ポリカ
ーボネート等のプラスチック板;ガラス板等が挙げら
れ、密着性を向上させるために、コロナ放電処理、グロ
ー放電処理、紫外線、電子線、放射線等の電離活性線に
よる処理、粗面化処理、化学薬品処理、プライマー処理
等が施されてもよい。
【0017】本発明の第1の工程において、上記組成物
を基材上に塗布する方法としては、従来より公知の方法
が採用され、例えば、スプレーコート、バーコート、デ
ィッピング、ロールコート、スピンコート等の方法が挙
げられる。
【0018】上記組成物の塗布厚は、薄くなると均一な
塗膜の形成が難しく、厚くなるとクラック発生等の問題
が起こるため、0.1〜20μmが好ましい。
【0019】上記基材上に塗布された塗膜に光を照射し
て硬化させ、被膜を形成する。上記塗膜を硬化させるた
めの光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタル
ハライドランプ、キセノンランプ、低圧殺菌ランプ等が
挙げられる。
【0020】光の照射量は、(メタ)アクリロイル基を
有する化合物の種類、光重合開始剤の種類や量によって
適宜決定されるが、照射量が少なくすると硬化が不十分
となり、多くなると被膜の黄変やクラック発生等の問題
が起こるので、100mJ/cm2 〜10J/cm2
好ましい。
【0021】以下、第2の工程について説明する。第2
の工程では、第1の工程で形成された被膜表面に、不活
性ガスと表面処理用ガスとの混合ガスの雰囲気下、大気
圧近傍の圧力で放電プラズマを接触させる。
【0022】上記表面処理用ガスの種類は、処理の目的
に応じて適宜選択され、例えば、基材表面の表面エネル
ギーを低くして撥水性を付与する場合は、フッ素を含有
するガスの使用が好ましい。上記含フッ素ガスとして
は、例えば、四フッ化炭素(CF4 )、六フッ化炭素
(C2 6 )、六フッ化プロピレン(C3 6 )等フッ
化炭化水素ガス;一塩素化三フッ素化炭素ガス(CCl
3 )等のハロゲン化炭化水素ガス;六フッ化硫黄(S
6 )等のフッ化硫黄化合物などが挙げられるが、安全
性の点からはフッ化水素等の有害なガスを発生しない四
フッ化炭素、六フッ化炭素や六フッ化プロピレン等が好
ましい。
【0023】また、基材表面の表面エネルギーを高くし
て親水性を付与する場合は、表面にカルボニル基、ヒド
ロキシル基、アミノ基等の官能基を有する層を形成する
ために、表面処理用ガスとして炭化水素化合物のガスや
蒸気の使用が好ましく、炭化水素化合物としては、例え
ば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン等のアルカン系ガス類;エチレン、プロピレン、
ブテン、ペンテン等のアルケン系ガス類;ペンタジエ
ン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類;アセチレ
ン、メチルアセチレン等のアルキン系ガス類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェ
ナントレン等の芳香族炭化水素系ガス類;シクロプロパ
ン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類;シク
ロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系ガス
類;メタノール、エタノール等のアルコール系ガス類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系ガス類;メ
タナール、エタナール等のアルデヒド系ガス類などが挙
げられ、これらは単独で使用されても二種以上が併用さ
れてもよい。
【0024】また、上記以外の表面処理用ガスとして、
酸素ガス、酸素ガスと水素ガスとの混合ガスや水蒸気、
窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、アンモニアガス等も
使用可能である。
【0025】上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素ガスが挙げら
れ、これらは単独で用いられもよく二種以上が併用され
てもよい。特に、ヘリウムガスは準安定状態の寿命が長
いため、上記表面処理用ガスを励起するのに有利であ
る。ヘリウム以外の不活性ガスを用いる場合は、2体積
%以下の、アセトン、メタノール等の有機溶剤蒸気や、
メタン、エタン等の炭化水素ガスを併用するのが好まし
い。
【0026】上記表面処理用ガスと上記不活性ガスとの
混合比は、用いられるガスの種類によって適宜決定され
るが、混合ガス中表面処理用ガスの濃度は、高くなると
高電圧を印加しても放電プラズマが発生し難くなるの
で、10体積%以下が好ましく、より好ましくは0.1
〜5体積%である。
【0027】上記混合ガス雰囲気中で、大気圧近傍の圧
力下で金属電極間に電圧を印加し放電プラズマを発生さ
せる。上記大気圧近傍の圧力としては、100〜800
Torrが好ましく、より好ましくは圧力調整が容易で
装置が簡便になる700〜780Torrである。
【0028】上記放電プラズマ処理は、基材を加熱又は
冷却して行ってもよいが、室温下で十分可能である。
【0029】本発明の製造方法の第2工程を、図面を参
照しながら説明する。図1は、第2工程に使用される装
置を示し、この装置は、電源部1、処理容器2、上部電
極4及び下部電極5から構成されている。電源部1は、
kHz台の周波数の電圧を印加可能であり、耐熱性の低
い基材に撥水性の被膜を形成するには、5〜30kHz
の低い周波数が好ましい。
【0030】上記放電プラズマは、電圧を電極に印加す
ることによって発生させるが、電界強度は、弱くなると
処理に時間がかかり過ぎ、強くなるとアーク放電に移行
する挙動を示すので、1〜40kV/cm程度が好まし
い。
【0031】上記処理容器2は、耐熱ガラス製のものが
使用されるが、電極との絶縁が保たれていれば、ステン
レス製やアルミニウム製の金属製であってもよい。この
処理容器2内には、相対する一対の平行平板型の上部電
極4と下部電極5とが配設されている。電極構造として
は、平行平板型以外の、円筒対向平板型、球対向平板
型、双曲面対向平板型又は同軸円筒型であってもよく、
複数の細線と平板からなるものであってもよい。上部電
極4及び下部電極5の材質としては、ステンレス、真
鍮、アルミニウム、銅等が挙げられる。
【0032】上記下部電極5の上部電極4に対向する側
には、その電極全体を覆うように固体誘電体6が配置さ
れている。電極の一部でも固体誘電体6で覆われていな
い部分が生じると、そこからアーク放電が起こるので好
ましくない。また、上記固体誘電体6は、必ずしも、下
部電極5に配置される必要はなく、上部電極4に配置さ
れていてもよく、上部電極4と下部電極5の両方に配置
されていてもよい。
【0033】上記固体誘電体6としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)等のプラスチック類;SiO2 、Al2
3、ZrO2 、TiO2 等の金属酸化物単体やこれら
の化合物が挙げられ、その形状は、シート状、フィルム
状のいずれであってもよい。
【0034】上記固体誘電体6の厚みは、薄くなると電
圧印加時に絶縁破壊が起こってアーク放電が発生し易く
なり、厚くなると放電プラズマを発生するのに高電圧を
要するので、0.05〜4mmが好ましい。
【0035】上部電極4と下部電極5の間の距離は、固
体誘電体6の厚み、基材7の厚み、印加電圧の大きさ、
ガス流量等によって適宜決定されるが、短くなると未使
用のガスが多くなって非能率的となり、長くなると放電
プラズマの均一性が損なわれるので、1〜30mmが好
ましい。
【0036】上記基材7は、図1では固体誘電体6上に
配置されているので、その片面(図の上面)のみがプラ
ズマ放電処理されるが、基材7の両面にプラズマ放電処
理を必要とする場合は、上部電極4と下部電極5の間の
処理空間3に浮かせた状態で放電プラズマを接触させれ
ばよい。
【0037】上記放電プラズマ処理時には、表面処理用
ガスをガス導入管8から、不活性ガスをガス導入管9か
ら、それぞれ処理空間3に供給する。なお、上部電極4
が多孔構造を有すると、表面処理用ガスを処理空間3に
均一に供給することにより、均一な放電プラズマを接触
させることができるので好ましいが、処理空間3に表面
処理用ガス及び不活性ガスを攪拌しながら供給したり、
前記ガスを高速で基材7に吹きつけて供給することによ
り、均一な供給が可能であれば、必ずしも多孔構造であ
る必要はない。
【0038】上記表面処理用ガス及び不活性ガスは、マ
スフローコントローラー(図示しない)によって、流量
が制御されており、過剰のガスは出口10から排出され
る。なお、処理容器2内に表面処理用ガス及び不活性ガ
スを導入する際には、該容器2内に残存する空気を排気
孔11から排出するのが好ましい。
【0039】上記放電プラズマ処理に要する時間は、電
極への印加電圧の大きさによって決定され、例えば、フ
ッ化炭素ガスを使用して撥水処理を行う場合は、上記印
加電圧の範囲では5秒間程度で撥水化処理は完了し、そ
れ以上は時間をかけて処理しても撥水化効果は向上せ
ず、短時間の処理で十分である。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)第1の工程 下記成分からなる組成物をメイヤーバーによって、3m
m厚のポリカーボネート板(旭硝子社製「レキサン」)
基材上に塗布し、50℃で2分間乾燥した後、高圧水銀
灯により500mJ/cm2 の紫外線を照射して硬化さ
せ、膜厚5μmの被膜を形成した。 ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 6g (日本化薬社製「カラヤッドDPHA」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0041】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には1mm厚、直径120mmのポ
リフルオロエチレンシートを被覆し、その上に上記被膜
を形成した基材を載せ、装置内を1Torrまで油回転
ポンプで排気した。次いで、四フッ化炭素ガスを流量1
0sccmで多孔構造の上部電極から、また、Heガス
を流量990sccmでガス導入管から、それぞれ装置
内へ導入し、757Torrの圧力とした。その後、1
5kHz、3.8kVの電圧を電極に15秒間印加し、
積層体を得た。尚、電圧の印加に伴って放電プラズマの
発光が観察された。
【0042】(実施例2)第1の工程 第1の工程において、下記成分からなる組成物を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネー
ト板基材上に膜厚5μmの被膜を形成した。 ・ジペンタエリスリトールトリアクリレート(2モル)とヘキサメチレン ジイソシアネート(1モル)との縮合物 6g (共栄社化学製「UA306H」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0043】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には2mm厚、直径120mmの石
英ガラス板を被覆し、その上に被膜を形成した基材を載
せ、装置内を1Torrまで排気した。次いで、六フッ
化炭素ガスを流量5sccmで多孔構造の上部電極か
ら、また、Heガスを流量995sccmでガス導入管
から、それぞれ装置内へ導入し、757Torrの圧力
とした。その後、15kHz、4.1kVの電圧を電極
に15秒間印加し、積層体を得た。尚、電圧の印加に伴
って放電プラズマの発光が観察された。
【0044】(実施例3)第1の工程 第1の工程において、下記成分からなる組成物を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネー
ト板基材上に膜厚5μmの被膜を形成した。 ・6官能オリゴエステルアクリレート 6g (東亜合成社製「M9050」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0045】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には2mm厚、直径120mmのT
iO2 焼結体を被覆し、その上に被膜を形成した基材を
載せ、装置内を1Torrまで排気した。次いで、四フ
ッ化炭素ガスを流量15sccmで多孔構造の上部電極
から、また、Heガスを流量985sccmでガス導入
管から、それぞれ装置内へ導入し、757Torrの圧
力とした。その後、15kHz、3.1kVの電圧を電
極に15秒間印加し積層体を得た。尚、電圧の印加に伴
って放電プラズマの発光が観察された。
【0046】(比較例1)第1の工程での被膜形成を行
わずに、実施例1と同様な第2の工程のみを行って積層
体を得た。
【0047】(実施例4)第1の工程 下記成分からなる組成物を使用したこと以外は、実施例
1と同様にして、ポリカーボネート板基材上に膜厚5μ
mの被膜を形成した。 ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 6g (日本化薬学製「カラヤッドDPHA」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0048】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には2mm厚、直径120mmのT
iO2 焼結体を被覆し、その上に被膜を形成した基材を
載せ、装置内を1Torrまで排気した。次いで、窒素
ガスを流量5sccmで多孔構造の上部電極から、ま
た、Heガスを流量995sccmでガス導入管から、
それぞれ装置内へ導入し、757Torrの圧力とし
た。その後、15kHz、3.1kVの電圧を電極に1
5秒間印加し、積層体を得た。尚、電圧の印加に伴って
放電プラズマの発光が観察された。
【0049】(実施例5)第1の工程 下記成分からなる組成物を使用したこと以外は、実施例
1と同様にして、ポリカーボネート板基材上に膜厚5μ
mの被膜を形成した。 ・ペンタエリスリトールトリアクリレート(2モル)とネキサメチレン ジイソシアネート(1モル)との縮合物 6g (共栄社化学製「UA306H」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0050】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には2mm厚、直径120mmのT
iO2 焼結体を被覆し、その上に被膜を形成した基材を
載せ、装置内を1Torrまで排気した。次いで、酸素
ガスを流量10sccmで多孔構造の上部電極から、ま
た、Heガスを流量990sccmでガス導入管から、
それぞれ装置内へ導入し、757Torrの圧力とし
た。その後、15kHz、3.1kVの電圧を電極に1
5秒間印加し、積層体を得た。尚、電圧の印加に伴って
放電プラズマの発光が観察された。
【0051】(実施例6)第1の工程 下記成分からなる組成物を使用したこと以外は、実施例
1と同様にして、ポリカーボネート板基材上に膜厚5μ
mの被膜を形成した。 ・6官能オリゴエステルアクリレート 6g (東亜合成社製「M9050」) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 240mg (チバガイギー社製「イルガキュアー184」) ・4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 120mg (チバガイギー社製「カヤキュアーEPA」) ・メチルエチルケトン 4g
【0052】第2の工程 図1に示した装置において、直径80mmの金属円板を
上部及び下部電極として電極間距離が5mmとなるよう
に配置し、下部電極には2mm厚、直径120mmのT
iO2 焼結体を被覆し、その上に被膜を形成した基材を
載せ、装置内を1Torrまで排気した。次いで、流量
7sccmの酸素ガスと流量3sccmの四フッ化炭素
ガスの混合ガスを多孔構造の上部電極から、また、He
ガスを流量990sccmでガス導入管から、それぞれ
装置内へ導入し、757Torrの圧力とした。その
後、15kHz、3.1kVの電圧を電極に15秒間印
加し、積層体を得た。尚、電圧の印加に伴って放電プラ
ズマの発光が観察された。
【0053】(比較例2)第1の工程での被膜形成を行
わずに、実施例4と同様にして第2の工程のみを行い、
積層体を得た。
【0054】上記実施例及び比較例で得られた積層体に
関し、下記の性能評価を行い、その結果を表1に示し
た。 (1)鉛筆硬度 JIS K5400に準拠して鉛筆硬度を測定した。
【0055】(2)接触角 2mmの水滴を1cm間隔で滴下し、接触角測定装置
(協和界面科学社製「CA−D」)を用いて静的接触角
を測定した。尚、実施例1〜3及び比較例1について
は、積層体の作製直後ならびに60℃の水中に7日間放
置処理後に測定した。また、実施例4〜6及び比較例2
については、積層体の作製直後ならびに60℃オーブン
中に7日間放置処理後に測定した。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の積層体の製造方法の構成は、上
述の通りであり、基材上に撥水性又は親水性を有し、耐
久性ならびに硬度に優れた被膜の形成された積層体を提
供する。従って、撥水性を有する積層体は、水滴防止、
汚染防止等の用途に好適に用いられ、親水性を有する積
層体は、接着剤のアンカー層や、眼鏡、鏡の防曇材等の
用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で、基材上に撥水性又は親水
性の形成に使用される装置を示す概要図である。
【符号の説明】
1 電源 2 耐熱性ガラス容器 3 処理空間 4 上部電極 5 下部電極 6 固体誘電体 7 基材 8 処理用ガス導入管 9 不活性ガス導入管 10 ガス排出口 11 排気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 5/00 F 7415−4F Z 7415−4F 7/00 E 7415−4F 7/02 7415−4F 7/24 301 T 7415−4F 302 P 7415−4F C08J 7/04 S 7/18 C09D 4/02 PDV // C08F 2/52 MDY

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、1分子中に少なくとも2個の
    (メタ)アクリロイル基を有する化合物及び光重合性開
    始剤からなる組成物を塗布し、活性光線を照射して硬化
    させ被膜を形成する第1の工程と、該被膜を形成した基
    材を、少なくとも一方の対向面に固体誘電体が配設され
    た相対する一対の金属電極間に配置した後、不活性ガス
    と表面処理用ガスとの混合ガス雰囲気中、大気圧近傍の
    圧力下で金属電極間に電圧を印加し発生した放電プラズ
    マを該被膜表面に接触させる第2の工程からなることを
    特徴とする積層体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5939182A (en) * 1994-05-19 1999-08-17 Minnesota Mining And Manufacturing Company Polymeric article having improved hydrophilicity and a method of making the same
JP2013010933A (ja) * 2011-06-01 2013-01-17 Fujifilm Corp プラズマ重合膜の製造方法、画像形成方法、及びプラズマ重合膜

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US5939182A (en) * 1994-05-19 1999-08-17 Minnesota Mining And Manufacturing Company Polymeric article having improved hydrophilicity and a method of making the same
JP2013010933A (ja) * 2011-06-01 2013-01-17 Fujifilm Corp プラズマ重合膜の製造方法、画像形成方法、及びプラズマ重合膜

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