JPH0812895A - 磁性体・高分子複合微粒子およびその製法 - Google Patents

磁性体・高分子複合微粒子およびその製法

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JPH0812895A
JPH0812895A JP10561595A JP10561595A JPH0812895A JP H0812895 A JPH0812895 A JP H0812895A JP 10561595 A JP10561595 A JP 10561595A JP 10561595 A JP10561595 A JP 10561595A JP H0812895 A JPH0812895 A JP H0812895A
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fine particles
polymer composite
magnetite
composite fine
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JP10561595A
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English (en)
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Yukio Ebisawa
幸夫 海老澤
Haruma Kawaguchi
春馬 川口
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Kanebo NSC KK
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Kanebo NSC KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】磁性体がポリマー中に均一に分散しており、磁
性特性にばらつきのない、そしてサブミクロンサイズで
も安定的に得られる、優れた磁性体・高分子複合微粒子
を提供する。 【構成】 単分散の吸水性ハイドロゲル粒子において、
そのゲル骨格1中にマグネタイト2が分散含有されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イムノラテックス,磁
性トナー,カラーピグメント等に用いられる磁性体・高
分子複合微粒子およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁性を有する機能性高分子がさま
ざまな分野で利用されている。例えば、医療分野におい
て、細胞分離や薬物送達等のキャリヤーとして磁性高分
子を用いることが試みられている。また、電子写真複写
技術の分野では、磁性高分子を現像用の磁性トナーとし
て利用している。さらに、各種印刷において、磁性高分
子をカラーピグメントとして利用することも行われてい
る。
【0003】このような磁性高分子は、通常、所定の磁
性体を高分子内に包含させた複合粒子として使用される
が、分散安定性がよいこと、大きさや磁性が揃っている
こと、使用時に磁性体の遺漏がないこと等が重要な要件
となるのであり、これらの要件を兼ね備えた複合粒子を
得るために、種々の製法が提案されている。例えば、磁
性トナーをコア材料とし、重合性ビニル単量体を添加混
合して重合させることにより磁性体・高分子複合粒子を
得る方法(特開昭61−246203号公報)や、磁性
体粒子と、アクリル酸アルキルエステル等の単量体と、
部分酸化ニトロセルロースとを混合して水性媒体中に分
散させて重合させることにより磁性体粒子を2種の重合
体の均一混合物で包含する方法(特開昭62−7526
7号公報)が提案されている。また、磁性粒子存在下で
水素懸濁重合を行い、特定の末端基を有するポリマーを
磁性粒子表面に生成させて磁性粒子を被覆する方法(特
開平2−252702号公報)や、重合性単量体を磁性
粉の存在下で懸濁媒体中に懸濁させ、粒子径の規制を行
いながら懸濁重合を行い、粒子表面が凹凸になった均一
粒径の複合粒子を得る方法(特開平5−40365号公
報)等も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法では、いずれも得られる複合粒子の粒子径が1μ
m以上であり、それよりも小さいサブミクロンサイズの
微粒子を安定して得ることができないという問題があ
る。また、磁性体がポリマー中に均一に分散しにくく、
どうしても磁性にばらつきが生じるという問題もある。
さらに、複合粒子の分散安定性や、包含した磁性体の遺
漏について、その要求に充分に応える性能のものが得ら
れていないという問題もある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、従来の製法では得ることのできなった、上記諸
課題に充分応えることのできる、優れた性能を有する磁
性体・高分子複合微粒子の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、単分散の吸水性ハイドロゲル粒子におい
て、そのゲル骨格中にマグネタイト微粒子が分散含有さ
れている磁性体・高分子複合微粒子を第1の要旨とし、
単分散の吸水性ハイドロゲル粒子を準備し、上記ハイド
ロゲル粒子を、硫酸鉄または塩化鉄が溶解された水溶液
中に分散させ膨潤させたのち、この水溶液中にアルカリ
を添加してマグネタイトを生成させ、生成マグネタイト
を上記ハイドロゲル粒子のゲル骨格中に沈着させること
により磁性体・高分子複合微粒子を得るようにした磁性
体・高分子複合微粒子の製法を第2の要旨とする。ま
た、上記のようにして得られた磁性体・高分子複合微粒
子をシードとしてさらにシード重合を行い、磁性体・高
分子複合微粒子の外周面を高分子層で被覆するようにし
た磁性体・高分子複合微粒子の製法を第3の要旨とす
る。
【0007】
【作用】すなわち、本発明は、従来、磁性体を核とし
て、その周囲で重合性単量体を重合させることにより、
磁性体を包含する高分子複合粒子を作製していたのに対
し、全く逆に、単分散で吸水性のハイドロゲル粒子を、
磁性体(マグネタイト)を生成させるための鉄イオンを
含有した水溶液中に分散させ、アルカリを添加すること
により、生成マグネタイトを上記ハイドロゲル粒子のゲ
ル骨格中に沈着させて、磁性体を含有する高分子微粒子
を作製するようにしたものである。この方法によれば、
各粒子内において磁性体が均一に分散しており、磁性の
揃ったものが得られるという利点を有する。そして、粒
子が単分散のハイドロゲル粒子を主体とするため、分散
安定性に優れている。特に、上記ハイドロゲル粒子の水
分を除去して粒子を収縮させることにより、従来得るこ
とのできなかったサブミクロンサイズのものを均一に得
ることができるという利点もある。さらに、磁性体であ
るマグネタイトがハイドロゲル粒子中に沈着状態で包含
されているため、遺漏しにくいという利点を有する。そ
して、このようにして得られた磁性体・高分子複合微粒
子をシードとしてさらにシード重合を行ってその外周面
を高分子層で被覆することにより、マグネタイトの遺漏
を完全に防止することができる。
【0008】つぎに、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に用いる、単分散で吸水性のハイド
ロゲル粒子としては、アクリルアミドとメチレンビスア
クリルアミドとメタクリル酸とを得られるハイドロゲル
粒子(PAAm粒子)、N−イソプロピルアクリルアミ
ドとメチレンビスアクリルアミドとを重合させてなるハ
イドロゲル粒子(PNIPAM粒子)、アクリルアミド
とアクリル酸の共重合架橋体、アクリルアミド加水分解
物架橋体、アクリル酸およびその共重合物の架橋体等が
あげられ、なかでもPAAm粒子およびPNIPAM粒
子を用いることが好適である。
【0010】そして、上記ハイドロゲル粒子は、そのゲ
ル骨格中に鉄イオンを取り込みやすいように、できる限
り水を含まない収縮状態になっていることが好ましく、
そのためには、上記ハイドロゲル粒子を、非水系で沈殿
重合により得ることが好適である。この場合、溶媒とし
ては、イソプロパノール、エタノール、あるいはイソプ
ロパノールとエタノールの混合物等があげられ、中でも
イソプロパノールを用いることが好適である。なお、重
合によって得られたハイドロゲル粒子は、通常、フリー
ズドライにより単離される。
【0011】また、本発明において、上記ハイドロゲル
粒子を分散させる水溶液としては、上記ハイドロゲル粒
子のゲル骨格中に鉄イオンを取り込ませることのできる
水溶液、例えば塩化鉄水溶液,硫酸鉄水溶液が用いられ
る。なお、上記塩化鉄水溶液もしくは硫酸鉄水溶液の濃
度は、マグネタイトが析出する限界の高濃度で行うこと
が好適であり、その限界濃度は、塩化鉄水溶液では1
7.7重量%(以下「%」と略す)に設定することが好
適である。なお水溶液中の鉄イオン濃度が低すぎるとマ
グネタイトを析出させることができない。
【0012】上記ハイドロゲル粒子ゲル骨格中に取り込
まれた鉄イオンからマグネタイトを生成するには、アル
カリを添加することによって、系のpHを高める必要が
あるが、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム,水
酸化カリウム,アンモニア等が用いられる。そして、こ
れらのアルカリによって、pHを8〜14、なかでもp
H10に調整することが、磁性の強いマグネタイトを得
ることができ好適である。
【0013】本発明では、上記各材料を用い、例えばつ
ぎのようにして磁性体・高分子複合微粒子を得ることが
できる。すなわち、まず上記単分散の吸水性ハイドロゲ
ル粒子を準備する。この状態では、ハイドロゲル粒子は
水を含有せず、図1(a)に模式的に示すように、ゲル
骨格1が縮んで全体が小さく収縮した状態になってい
る。つぎに、上記ハイドロゲル粒子を、硫酸鉄または塩
化鉄が溶解された水溶液中に分散させ膨潤させる。これ
により、鉄イオンを含有する水溶液が、上記ハイドロゲ
ル粒子のゲル骨格1中に吸収されて粒子全体が膨潤し、
粒子内に鉄イオンが分散状態で取り込まれる。そして、
この水溶液中にアルカリを添加して系のpHを高め、マ
グネタイトを生成させて生成マグネタイトを上記ハイド
ロゲル粒子のゲル骨格1中に沈着させるのである。この
状態を図1(b)に示す。2がマグネタイトである。
【0014】このようにして得られた磁性体・高分子複
合微粒子は、ハイドロゲル粒子のゲル骨格中にマグネタ
イトが均一に分散しており、各粒子の磁性が揃ったもの
となる。また、粒子自体の分散安定性に優れている。特
に、上記ハイドロゲル粒子の水分を除去して粒子を収縮
させることにより、従来得ることのできなかったサブミ
クロンサイズのものを均一に得ることができる。さら
に、磁性体であるマグネタイトがハイドロゲル粒子中に
沈着状態で包含されているため、遺漏しにくい。
【0015】なお、上記製法において、ハイドロゲル粒
子中にマグネタイトを沈着させる際、ハイドロゲル粒子
外においてもマグネタイトが生成する場合がある。この
余剰マグネタイトは、複合粒子表面から脱落して、この
複合粒子を使用する系において汚染物質となり、悪い影
響を及ぼすおそれがあるため、除去することが好まし
い。除去手段としては、予め水溶液中に水溶性ポリマー
(例えばデキストラン)を共存させておき、上記水溶性
ポリマーによって上記余剰マグネタイトをフェロフルイ
ドとし、遠心分離にかけることが好適である。また、よ
り充分に除去するには、上記水溶性ポリマーを使用する
だけでなく、得られた液を、30分〜1時間程度超音波
にかけたのち遠心分離することが好ましい。
【0016】さらに、上記製法では、得られた磁性体・
高分子複合微粒子において、ハイドロゲル粒子に沈着し
たマグネタイトが、ハイドロゲル粒子表面にも露出する
場合がある。そこで、得られた磁性体・高分子複合微粒
子をシードとして、さらにシード重合を行い、図2に示
すように、磁性体・高分子複合微粒子の外周面を高分子
層3で被覆するようにしてもよい。このようにすると、
磁性体・高分子複合微粒子に包含されるマグネタイトの
遺漏を完全に防止することができ、使用に際して磁性が
弱くなったり消失したりすることがない。
【0017】なお、上記シード重合を行う場合、用いる
重合性単量体としては、どのようなものを用いても差し
支えはないが、粒子の特性を維持するためには、シード
部分を形成する単量体と同一のものを用いることが好ま
しい。また、特定の目的に使用する場合に、必要な官能
基を有する単量体を用いることもできる。
【0018】つぎに、実施例について説明する。
【0019】
【実施例1】アクリルアミド(AAm)/メチレンビス
アクリルアミド(MBAAm)/メタクリル酸(MA
c)=4.930/1.887/1.756(g)の組
成からなるモノマーを60ミリリットルのイソプロパノ
ール(i−PrOH)中に添加し、アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)0.025gを触媒として沈殿重
合を行った。重合条件は、反応温度60℃、攪拌速度2
00rpm、重合時間22時間(1時間窒素置換)とし
た。そして、得られた重合液を12000rpm×20
分の遠心分離を3回繰り返して精製したのちフリーズド
ライすることにより粒子を単離し、PCS(動的光散乱
を用いた光子相関分光法)による粒子径がDn=674
nm、Dw=682nmのハイドロゲル粒子を得た。
【0020】このようにして得られたハイドロゲル粒子
2.0gに、17.7%の塩化鉄溶液4ミリリットルを
加えて分散させたのち、1N−NaOHを加えながら攪
拌を行い、溶液のpHを10にした。そして、溶液がう
す茶色を呈した時点で遠心分離にかけ、3000rpm
で落ちず5000rpmで落ちた粒子を評価用サンプル
aとした。
【0021】上記サンプルaについて、SEM(走査型
電子顕微鏡)による形態観察を行ったところ、図3
(a)に示すようであった。また、TEM(透過型電子
顕微鏡)による粒子の超薄切片の観察を行ったところ、
図3(b)に示すようであった。これらを観察すること
により、サンプルaの粒子の粒子径は、マグネタイトを
沈着させる前のハイドロゲル粒子とほぼ同径で、この粒
子中にマグネタイトが、均一かつ多量に沈着しているこ
とがわかった。ただ、粒子周辺にも多量のマグネタイト
が付着し、また粒子同士が凝集している部分がある。
【0022】
【実施例2】モノマーの組成を、AAm/MBAAm/
MAc=2.610/0.999/0.930(g)と
した。それ以外は上記実施例1と同様にして評価用サン
プルbを得た。ただし、このものは、PCSによる粒子
径がDn=530nm、Dw=559nmで、上記実施
例1の粒子よりも小径である。このものについても、S
EMによる形態観察およびTEMによる粒子の超薄切片
の観察を行った(図4《a》,《b》参照)。この結果
から、サンプルbの粒子も、サンプルaの粒子同様、マ
グネタイトを沈着させる前のハイドロゲル粒子とほぼ同
径で、この粒子中にマグネタイトが均一かつ多量に沈着
していることがわかった。ただ、粒子周辺にも多量のマ
グネタイトが付着し、また粒子同士が凝集している部分
がある。
【0023】
【実施例3】上記実施例1と同様にして得られたハイド
ロゲル粒子0.2gを、17.7%塩化鉄溶液4ミリリ
ットル中に分散させたのち、デキストラン4.0gを溶
解させた7%アンモニア水4ミリリットルを加えてしば
らく攪拌した。溶液は黒色に変化した。この液を120
00rpm×15分の遠心分離に3回かけて生成したフ
ェロフルイドを除去した。それ以外は実施例1と同様に
して、評価用サンプルcを得た。このもののTEM写真
を図5に示す。この結果から、粒子周辺のマグネタイト
がある程度除去されていることがわかる。
【0024】
【実施例4】上記実施例1と同様にして得られたハイド
ロゲル粒子0.2gを、17.7%塩化鉄溶液4ミリリ
ットル中に分散させ、さらにデキストラン4.0gを溶
解した。その後、7%アンモニア水4ミリリットルを加
えてしばらく攪拌した。溶液はうす茶色を呈した。それ
以外は実施例3と同様にして、評価用サンプルdを得
た。このもののTEM写真を図6に示す。この結果か
ら、粒子周辺のマグネタイトが殆ど除去されていること
がわかる。
【0025】
【実施例5】上記実施例4と同様にして複合粒子を得た
のち、1時間超音波にかけ、さらに遠心分離を行うこと
により、評価用サンプルeを得た。このもののTEM写
真を図7に示す。この結果から、粒子周辺のマグネタイ
トがほぼ完全に除去され、粒子が均一な単分散になって
いることがわかる。
【0026】
【実施例6】上記実施例5で得られたサンプルeをシー
ドとして、下記の条件でシード重合を行い、評価用サン
プルfを得た。このもののSEM写真を図8に示す。 〔組成〕 シード/NIPAM/MBAAm/H2 O/
KPS=3/8/0.09/120/0.03(g) 〔条件〕 70℃,200rpm,4時間 〔粒子精製〕 6000rpm×15分の遠心分離を3
【0027】
【実施例7〜15】実施例1と同様にして得られたハイ
ドロゲル粒子2.0gを、塩化鉄10ミリリットルに分
散し、20%デキストラン溶液10ミリリットルを加え
て60℃で攪拌した。つぎに7%アンモニア水20ミリ
リットルを加えて、下記の表1のとおり攪拌時間を変え
て攪拌し、実施例3と同様にして遠心分離にてフェロフ
ルイドを除去した。そして、遠心分離で3000rpm
で落ちず5000rpmで落ちた粒子を単離しサンプル
g〜oとした。
【0028】
【表1】
【0029】上記サンプルg〜oのマグネタイト含有率
を測定するために、マグネタイトを沈着させる前のハイ
ドロゲル粒子、マグネタイト、フェロフルイドのTG−
DTA(熱分析)を行った上で、各サンプル(複合粒
子)についてTG−DTAを行った。上記ハイドロゲル
粒子の測定結果を図9に示し、マグネタイトの測定結果
を図10に示し、フェロフルイドの測定結果を図11に
示した。各サンプルの測定結果は図10に近似するので
略す。そして、各サンプルの測定結果におけるハイドロ
ゲル粒子およびマグネタイトの残量からそれぞれのマグ
ネタイト含有率を計算した。その結果を下記の表2に示
す。
【0030】
【表2】
【0031】
【実施例16】上記実施例7〜15では実験をビーカー
で行ったのに対し、同様の実験を四つ口フラスコで行っ
た。そして、7%アンモニア水を加える前に、1時間ほ
ど窒素置換を行い、酸素を遮断した。アンモニア水添加
後の攪拌時間は24時間とした。それ以外は上記実施例
7〜15と同様にして、サンプルpを得た。
【0032】上記サンプルg,i,j,l,m,pにつ
いて、SQUID磁束計により複合粒子にどの程度の磁
性が付与されているかを測定した。その結果を図12,
図13に示す。なお、図12は複合粒子1g当たりの磁
性を示し、図13は複合粒子中に含まれるマグネタイト
1g当たりの磁性を示す。
【0033】また、サンプルc(実施例3),サンプル
e(実施例5),サンプルf(実施例6)についても、
同様にSQUID磁束計により磁性を測定した。その結
果(複合粒子1g当たりの磁性)を図14,図15に示
す。
【0034】
【実施例17〜20】100ミリリットルの四つ口フラ
スコに、下記の表3に示す量のシード粒子(実施例5と
同様にして得られたもの)とグリシジルメチルアクリレ
ート(GMA)を入れ、H2 Oを45ミリリットル加え
て室温で、下記の表3に示す条件で攪拌したのち、窒素
雰囲気下で、70℃に設定された恒温槽内にセットし、
200rpmで約1時間攪拌した。つぎに、下記の表3
に示す量の重合開始剤(V−50,和光純薬工業社製)
をH2 O5ミリリットルに溶解させたものを注入し、2
4時間攪拌してシード重合を行うことにより、サンプル
q〜tを得た。
【0035】
【表3】
【0036】上記サンプルq〜tについて、各シード粒
子およびシード重合後の粒子のマグネタイトの含有率
を、TG−DTAによって測定した。その結果を下記の
表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】上記の結果から、サンプルq,rは、GM
Aが重合している分、シード重合後のマグネタイト含有
率が低くなっているが、サンプルs,tは、シード重合
前後で、マグネタイト含有率がほぼ同じ値となっている
ことがわかる。
【0039】なお、上記サンプルq,rを、i−PrO
Hに分散させたのち凍結乾燥したもののSEM写真を図
16(サンプルq),図17(サンプルr)に示す。ま
た、この乾燥粒子の粒径をノギスで測定し、Dnおよび
Dwを算出した。この結果を下記の表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】上記の結果から、シード重合後の粒径は確
実に大きくなっていることがわかる。これはシード粒子
がGMAモノマーの浸入で膨潤するとともにその表面が
GMAで被覆されたためと考えられる。
【0042】さらに、上記サンプルq,rについて、シ
ード粒子およびシード重合後の粒子の磁性を、SQUI
D磁束計によって測定した。その結果を、図18(サン
プルq),図19(サンプルr)に示す。これにより、
GMAが重合された分、シード重合前に比べてシード重
合後の磁性は小さくなっているが、前記TG−DTAに
よるマグネタイト含有率を考慮し、粒子中に含有される
マグネタイト自体の磁性を求めたところ、磁性の値はシ
ード重合前後でほぼ同じとなった。このことから、シー
ド重合前後では、マグネタイト自体の磁性は変化しない
ことがわかる。
【0043】
【応用例】上記実施例17で得られたサンプルqにペプ
チドを固定し、このペプチド固定粒子で、特定のレセプ
タータンパク質を分離精製することができるかどうかを
検討することにより、本願発明の複合微粒子の生医学へ
の応用可能性を追求した。すなわち、まず複合微粒子
(サンプルq)20mgを500マイクロリットルの1
0mMのリン酸バッファー(pH8.0)で2回洗浄
し、同バッファー200マイクロリットルに溶解してあ
るペプチド(5μmol)を加えてよく攪拌した。この
固定化反応は、50℃,125rpmの振とう下で24
時間行った。そして、未反応のペプチドを遠心分離によ
って取り除き、さらに粒子を500マイクロリットルの
2.5M−NaCl溶液で3回洗浄した。つぎに、未反
応のエポキシ基をマスクするために、粒子を1M−Tr
is−HCl(pH7.4)に分散させ4℃で24時間
反応させた。このようにして得られたペプチド固定粒子
(GRGDS固定粒子)を、ストレージバッファーで2
回洗浄し、同バッファー500マイクロリットルに分散
させ4℃で保存した。
【0044】一方、健康人よりACD(acid−ci
trate−dextrose:クエン酸ナトリウム7
5mM,クエン酸38mM,グルコース123mM)採
血した全血30ミリリットルを300gで15分間遠心
分離し、上清部分を採取して多血小板血漿(PRP)を
得た。これに、約5ミリリットルのACD溶液を加え7
分間静置した。つぎに、2000rpmで遠心分離を行
い、上澄みを除去したのち、沈殿した血小板をPBS
(−)で3回洗浄し、さらにPBS(+)で1回洗浄し
た。洗浄後の血小板に200mM−オクチルグルコサイ
ドおよび3mM−PMSEを含むPBS(+)バッファ
ー10ミリリットルを加えて攪拌したのち、氷上で20
分間振とうした。その後、4℃、20000rpmで3
0分間遠心分離を行ったのち、上清をマイクロチューブ
に分注し、−80℃で保存した。
【0045】前記GRGDS固定粒子2.5mgをPB
SOPバッファー200マイクロリットルで3回洗浄し
たのち、可溶化膜タンパク質1.4ミリリットルを加え
て攪拌し、4℃で60分放置した。反応後、遠心分離
(12000rpm,9分間)を行い、未吸着のタンパ
ク質を除去し、粒子をPBSOPバッファー500マイ
クロリットルで4回洗浄した。洗浄の際の遠心分離は、
12000rpmで4分間行った。そして、洗浄後の粒
子に、GRGDS−PBSOPバッファー50マイクロ
リットルを加え、再分散させたのち4℃で1時間放置
し、粒子表面のGRGDSに吸着したレセプタータンパ
ク質を溶出し、溶出液を分離した。精製後のGRGDS
固定粒子は、5mM−EDTA−PBSOPバッファー
で洗浄後、125μリットルのストレージバッファーに
分散させ4℃で保存した。各タンパク質溶液の一部を、
SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動)で確認し、残りは−80℃で保存した。
【0046】上記SDS−PAGEによる確認の結果、
目的とするレセプタータンパク質が他のタンパク質に比
べ、選択的にGRGDSに吸着することがわかった。し
たがって、精製を繰り返すことにより、目的とするレセ
プタータンパク質を分離精製することが可能と思われ
る。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明は、単分散で吸水
性のハイドロゲル粒子を、磁性体(マグネタイト)を生
成させるための鉄イオンを含有した水溶液中に分散さ
せ、アルカリを添加することにより、生成マグネタイト
を上記ハイドロゲル粒子のゲル骨格中に沈着させて、磁
性体を含有する高分子微粒子を作製するようにしたもの
である。この方法によれば、各粒子内において磁性体が
均一に分散しており、磁性の揃ったものが得られるとい
う利点を有する。そして、粒子が単分散のハイドロゲル
粒子を主体とするため、分散安定性に優れている。特
に、上記ハイドロゲル粒子の水分を除去して粒子を収縮
させることにより、従来得ることのできなかったサブミ
クロンサイズのものを均一に得ることができるという利
点もある。さらに、磁性体であるマグネタイトがハイド
ロゲル粒子中に沈着状態で包含されているため、遺漏し
にくいという利点を有する。そして、このようにして得
られた磁性体・高分子複合微粒子をシードとしてさらに
シード重合を行ってその外周面を高分子層で被覆するこ
とにより、マグネタイトの遺漏を完全に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に用いるハイドロゲル粒子の状
態を模式的に示す説明図、(b)は上記ハイドロゲル粒
子にマグネタイトを沈着させた状態を模式的に示す説明
図である。
【図2】本発明において、得られた磁性体・高分子複合
微粒子にさらにシード重合を施した粒子の状態を模式的
に示す説明図である。
【図3】(a)は実施例1で得られたサンプルaのSE
M写真、(b)は同サンプルaのTEM写真である。
【図4】(a)は実施例2で得られたサンプルbのSE
M写真、(b)は同サンプルbのTEM写真である。
【図5】実施例3で得られたサンプルcのTEM写真で
ある。
【図6】実施例4で得られたサンプルdのTEM写真で
ある。
【図7】実施例5で得られたサンプルeのTEM写真で
ある。
【図8】実施例6で得られたサンプルfのSEM写真で
ある。
【図9】ハイドロゲル粒子のTG−DTAによる熱分解
特性曲線図である。
【図10】マグネタイトのTG−DTAによる熱分解特
性曲線図である。
【図11】フェロフルイドのTG−DTAによる熱分解
特性曲線図である。
【図12】サンプルg,i,j,l,m,pの磁性特性
を示す曲線図である。
【図13】サンプルg,i,j,l,m,pの磁性特性
を示す曲線図である。
【図14】上記サンプルc,eの磁性特性を示す曲線図
である。
【図15】上記サンプルfの磁性特性を示す曲線図であ
る。
【図16】実施例17で得られたサンプルqのSEM写
真である。
【図17】実施例18で得られたサンプルrのSEM写
真である。
【図18】サンプルqの磁性特性を示す曲線図である。
【図19】サンプルrの磁性特性を示す曲線図である。
【符号の説明】
1 ゲル骨格 2 マグネタイト
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図5】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単分散の吸水性ハイドロゲル粒子におい
    て、そのゲル骨格中にマグネタイト微粒子が分散含有さ
    れていることを特徴とする磁性体・高分子複合微粒子。
  2. 【請求項2】 上記ハイドロゲル粒子が、アクリルアミ
    ドとメチレンビスアクリルアミドとメタクリル酸とを重
    合させてなる請求項1記載の磁性体・高分子複合微粒
    子。
  3. 【請求項3】 上記ハイドロゲル粒子が、N−イソプロ
    ピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドとを
    重合させてなる請求項1記載の磁性体・高分子複合微粒
    子。
  4. 【請求項4】 単分散の吸水性ハイドロゲル粒子を準備
    し、上記ハイドロゲル粒子を、硫酸鉄または塩化鉄が溶
    解された水溶液中に分散させ膨潤させたのち、この水溶
    液中にアルカリを添加してマグネタイトを生成させ、生
    成マグネタイトを上記ハイドロゲル粒子のゲル骨格中に
    沈着させることにより磁性体・高分子複合微粒子を得る
    ようにしたことを特徴とする磁性体・高分子複合微粒子
    の製法。
  5. 【請求項5】 上記ハイドロゲル粒子として、アクリル
    アミドとメチレンビスアクリルアミドとメタクリル酸と
    を非水系沈殿重合させることにより得られたものを用い
    る請求項4記載の磁性体・高分子複合微粒子の製法。
  6. 【請求項6】 上記ハイドロゲル粒子として、N−イソ
    プロピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミド
    とを非水系沈殿重合させることにより得られたものを用
    いる請求項4記載の磁性体・高分子複合微粒子の製法。
  7. 【請求項7】 請求項4で得られた磁性体・高分子複合
    微粒子をシードとしてさらにシード重合を行い、磁性体
    ・高分子複合微粒子の外周面を高分子層で被覆するよう
    にしたことを特徴とする磁性体・高分子複合微粒子の製
    法。
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