JPH08126690A - 消臭剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 リン酸カルシウム系化合物、特に第３リン酸
カルシウム及び／又はハイドロキシアパタイトに銀塩を
担持させ、それを８００℃以上の温度で焼成してえられ
た銀担持リン酸カルシウム系化合物の微粉を消臭剤、特
に生体用消臭剤として使用する。 【効果】 銀を遊離することがないので生体に対して安
全に使用できるとともに、生体悪臭を発生させるバクテ
リアを効率よく殺菌するため悪臭の発生を完全に遮断す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は消臭剤、詳しくは銀を担
持させたリン酸カルシウム系化合物の消臭剤に関するも
のであり、加えて銀担持リン酸カルシウム系化合物は生
体に無害であるため、特に生体用消臭に有効な消臭剤に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】生活環境の向上に伴い各種の悪臭の除去
が問題となっている。例えば発生した悪臭を物理的に吸
着して除去する活性炭、その他多孔性物質を使用する吸
着除去剤、悪臭を化学的に分解して消臭する化学的消臭
剤、悪臭の発生を原因する微生物の活動を抑制する殺菌
剤、発生する悪臭を資化する微生物、或は悪臭をマスク
して悪臭を感じなくさせるマスク剤など各種の消臭剤が
開発使用されている。然しながら、悪臭の原因と考えら
れている物質、例えばアンモニア、アミン系物質、硫化
水素、硫化物系物質など、は多岐にわたり、その性質を
異にするため、１つの消臭剤で、全ての悪臭を有効に消
臭する消臭剤は存在しないと云っても過言ではないと云
えよう。

【０００３】生体も腋臭、汗臭、足臭、頭髪臭、生理臭
などの生体由来の悪臭を発生していることは周知の事実
であり、これら生体由来の悪臭は、生体分泌物のバクテ
リア分解により惹起されていると考えられ、制汗剤、殺
菌剤、マスキング剤などが単独又は任意に組合せて生体
の消臭剤として使用されているのが現状である。然しな
がら、汗のような生体分泌物の発生を完全に抑制するこ
とは生理学的観点から問題があると考えられ、悪臭の原
因となるバクテリアの繁殖を阻止するため殺菌剤を使用
することは、安全性の問題が指摘され効果的に十分な濃
度で殺菌剤を使用できず、マスキング剤は分泌物と混ざ
り合い、場合によってはかえって悪臭を発生するという
欠点がある。

【０００４】このため、特公平５−６４０６４号公報は
消臭剤、特に生体用消臭剤として、合成樹脂とハイドロ
キシアパタイトよりなる複合粉体を消臭剤として使用す
ることを提案している。確かにハイドロキシアパタイト
は骨の主成分であり、生体無害の物質で、吸着力も優れ
生体用消臭剤としての使用に適していると云えるが、蛋
白質とも強く結合する性質を有するため、バクテリアを
吸着固定化する性質を有している。従って生体分泌物を
分解し悪臭を発生させるバクテリアを固定化し、バクテ
リアの活性を助長する可能性がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は消臭剤、特に
生体内消臭剤であって、悪臭を除去するとともに生体分
泌物を分解して悪臭を発生させるバクテリアを効率よく
殺菌し、加えて生体に無害である消臭剤を提供すること
を課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は、銀を担持させたリン酸カルシウム系化合
物を消臭剤、特に生体用消臭剤に使用することを提案す
るものである。本発明に使用するリン酸カルシウム系化
合物は、例えば、第３リン酸カルシウム、ハイドロキシ
アパタイト、第２リン酸カルシウムなど、水不溶性、生
体無害で、吸着性の強いリン酸カルシウム系化合物から
適宜選択するが、特に人工骨として使用されている第３
リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトが好まし
い。

【０００７】銀塩水溶液にリン酸カルシウム系化合物を
添加し、要すれば加温下、充分撹拌してリン酸カルシウ
ム系化合物に、イオン交換又は吸着により銀塩を担持さ
せた後リン酸カルシウム系化合物を採取し、充分に水洗
後、乾燥して銀塩担持リン酸カルシウム系化合物をえ
る。えられた銀塩担持リン酸カルシウム系化合物は少く
とも８００℃以上、好ましくは９６０℃以上の温度で充
分焼成する。焼成工程により担持された銀塩は、金属銀
に変化するとともにリン酸カルシウム系化合物との結合
力が強化され、担持された銀は水溶液で処理されても銀
塩として水溶液中に溶離し、銀塩としての毒性を示すこ
とがない。

【０００８】銀のリン酸カルシウム系化合物への担持量
は、使用する銀塩水溶液の銀塩濃度を適宜調整すること
により容易に選択することができるが、担持量が少なす
ぎるとえられた焼成物の抗菌力が弱くなり、水洗が不充
分の場合は、リン酸カルシウム系化合物に吸着又はイオ
ン交換により担持されず、遊離の状態で銀塩が存在し、
焼成してもリン酸カルシウム系化合物と結合せずに銀が
遊離の状態で存在し、水溶液での処理により銀塩として
水溶液中に溶離し、その毒性を示す場合がある。このた
め焼成前の銀塩の担持量は充分に水洗し、遊離の銀塩を
除去し、飽和吸着量以下に調製する必要がある。一般に
焼成後の銀のリン酸カルシウム系化合物への担持量は、
リン酸カルシウム系化合物の重量に対し0.０１〜１０
％、好ましくは0.１〜５％程度で充分に抗菌性を発揮す
る。この様にしてえられた焼成銀担持リン酸カルシウム
系化合物は、４０μｍ以下に微粉砕され、消臭剤とし
て、特に生体用消臭剤として使用される。微粉化した方
が表面積が大きくなり、消臭効果が高くなるので、好ま
しくは１０μｍ以下に微粉砕した方が良い。

【０００９】微粉砕された銀担持リン酸カルシウム系化
合物は、そのまま消臭剤として生体に適用できるが、従
来から使用されている消臭剤添加成分、例えば油脂類、
ロウ類、脂肪酸類、アルコール類、多価アルコール類、
糖類、滑剤、界面活性剤、ビタミン類、ホルモン類、色
素、噴射剤、制汗剤、マスキング剤及び水など、と配合
して使用することも可能であり、その配合は銀担持リン
酸カルシウム系化合物が安定な物質であるため、常法に
より容易に行うことができる。これら成分と配合して使
用する場合、焼成銀担持リン酸カルシウム系化合物の配
合量は、全量に対し重量で0.１〜５０％程度で充分に目
的を達する。

【００１０】

【作用】本発明による銀担持リン酸カルシウム系化合物
は、銀を遊離することがなく安全に使用できるとともに
リン酸カルシウム系化合物の吸着力により発生する悪臭
をよく吸着、除去するとともに、銀の抗菌力により悪い
臭いを発生させるバクテリアを殺菌するため、積極的に
臭いの元を断つので効果的である上、衛生上も好ましい
生体用消臭剤である。以下に実施例を示して具体的に本
発明を説明する。

【００１１】

【実施例１】 （消臭パウダー） 成分 重量（％） 銀0.１％担持ハイドロキシアパタイト ５０ タルク ５０

【００１２】

【実施例２】 （消臭スプレー） 成分 重量（％） 銀５％担持リン酸３カルシウム ０．１ エタノール ４５ 水 ４．９ ＬＰＧ ５０

【００１３】

【実施例３】 （消臭液） 成分 重量（％） 銀１％担持ハイドロキシアパタイト ２ エタノール ６０ 水 ３８

【００１４】上記実施例１〜３の消臭剤を作成し、下記
の方法で消臭試験を行った。

【実施例４】 （消臭試験）腋下臭のある男性の片側腋下に上記の消臭
剤をそれぞれ塗布し、２４時間後の腋下臭により消臭効
果を判定した。又、実施例１〜３のそれぞれの消臭剤か
ら、銀担持リン酸カルシウム系化合物を除いたものを対
照として反対側の腋下で試験を行った。実施例１〜３の
それぞれの消臭剤に対し、各５名の試験を行った。結果
を表１に示す。以上の結果より、銀担持リン酸カルシウ
ム系化合物を含有した消臭剤の有効性が確かめられた。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【発明の効果】本発明の銀を担持したリン酸カルシウム
系化合物は安定な物質であり、担持された銀を遊離する
ことがなく担体であるリン酸カルシウム系化合物が生体
に無害であるため、安全に消臭剤として使用できる。特
に生体分泌物の発する悪臭の除去に使用すると、悪臭を
除去するとともに悪臭を発生する原因となっているバク
テリアを殺菌するため、悪臭の除去が完全に行われる利
点を有し、生体用消臭剤としてすぐれている。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 銀を担持させたリン酸カルシウム系化合
   物を含有することを特徴とする消臭剤。
2. 【請求項２】 銀の担持量がリン酸カルシウム系化合物
   に対し重量で0.１〜５％である請求項１記載の消臭剤。
3. 【請求項３】 リン酸カルシウム系化合物がハイドロキ
   シアパタイト及び／又は第３リン酸カルシウムである請
   求項１又は２記載の消臭剤。