JPH08120325A - 高清浄性極低炭素鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄性極低炭素鋼の製造方法

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JPH08120325A
JPH08120325A JP26056094A JP26056094A JPH08120325A JP H08120325 A JPH08120325 A JP H08120325A JP 26056094 A JP26056094 A JP 26056094A JP 26056094 A JP26056094 A JP 26056094A JP H08120325 A JPH08120325 A JP H08120325A
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molten steel
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Abstract

(57)【要約】 【目的】大型浸漬管を用いる高清浄性極低炭素鋼の製造
方法を提供する。 【構成】1本足筒状浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬し、浸漬
管内を真空排気して取鍋下部の浸漬管の投影面積内又は
/及び浸漬管下部内壁から不活性ガスを吹込む真空精錬
方法において、下記〜の条件を満たして浸漬管を浸
漬し、次いで真空脱炭し、脱炭後の炭素が30ppm 以下で
Al含有物質を添加し、5分以上の脱酸を行う高清浄性極
低炭素鋼の製造方法。 浸漬管内径Dと取鍋内径D0 との比D/D0 : 0.5〜
0.8 。 真空脱炭前の取鍋スラグ中(FeO) :2〜15%。 真空脱炭前又は脱炭後、取鍋スラグ中のCaO とAl2O3
との比(%CaO )/(%Al2O3 ): 0.8〜2.5 。 【効果】良好な脱炭速度を維持しながらスラグ中(FeO)
濃度を低下させ、短時間で高清浄性極低炭素鋼を得ると
共に、浸漬管耐火物の損耗を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は清浄性に優れた極低炭素
鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】極低炭素鋼は、転炉などを用いて経済的
に脱炭し得る限界まで大気圧下で脱炭し、その後真空脱
ガス装置を用いて減圧下で鋼中酸素あるいは添加酸素源
(取鍋スラグや吹き込み酸化性ガスまたは鉄酸化物など
の固体酸素)との反応により目的の濃度まで脱炭し、そ
の後脱酸剤を添加して成分調整・介在物低減処理を行う
方法で溶製される。一般的に、転炉では炭素濃度0.02〜
0.10重量%まで脱炭するが、この程度まで脱炭すると炭
素以外にも大量の鉄が酸化され、転炉終点時のスラグ中
のFeO 濃度が高くなる。このスラグの一部は出鋼時に溶
鋼と共に取鍋に流出してしまう。脱炭処理後に真空脱ガ
ス装置でAlによる脱酸処理を行うと、スラグ中のFeO が
溶鋼中のAlと反応してアルミナ系介在物が生成し、これ
が溶鋼中に供給され、鋼の清浄性が低下してしまう。
【0003】特開平2 277711号公報には、転炉出鋼時
あるいは出鋼後に取鍋にAlを添加してスラグ中(FeO) 濃
度を 0.2〜2.0 重量%とし、その後、真空脱ガス装置で
真空脱炭処理をするに際して、処理開始時に酸素ガスを
溶鋼トン当たり0.14〜1.4 Nm3添加し、炭素濃度が0.00
3 重量%以下となった時期にAlを添加して真空処理を5
分以上継続し、表面欠陥発生率を低減させる鋼の製造方
法が示されている。
【0004】本発明者らは、特開平1 92314 号公報に
おいて、1本足の筒状浸漬管を浸漬し、浸漬管内を真空
排気して浸漬管の投影面下の取鍋内下部から不活性ガス
を吹き込む際に、浸漬管内径Dと取鍋の内径D0 との比
D/D0 が0.5 以下の値となるように浸漬管の内径を定
める真空脱炭処理方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来方法では以
下の問題点がある。
【0006】特開平2 277711号公報の方法では、真空
脱ガス装置で脱炭処理する前に溶鋼にAlを添加して脱酸
処理を行ない、スラグ中(FeO) 濃度を 0.2〜2.0 重量%
としているために、不可避的に溶鋼中溶解酸素が低下
し、脱炭のための酸素が常に不足し、酸素ガスを供給す
ることが不可欠である。すなわち、溶鋼中酸素濃度をい
ったん低下させ、その後酸素ガス添加により溶鋼中酸素
濃度を再び増加させるという脱炭反応に関しては、非効
率的な処理とならざるを得ないのである。また、この発
明公報では明記されていないが、酸素ガス供給時には真
空脱ガス装置内の真空度は通常100Torr 程度であるため
真空脱炭反応に必要な真空度5Torr以下への到達時間が
長くなってしまい、脱炭反応効率はこの点からも低下し
てしまう。
【0007】さらに真空脱炭時の酸素ガス供給時に、鋼
中炭素と反応しない未反応の酸素が溶鋼中のMnや鉄を酸
化させ、鉄歩留りの低下やMn合金原単位の増加によるコ
ストアップをもたらし、かつスラグ中(FeO) あるいは(M
nO) の増加により、スラグ中(FeO) 濃度は真空脱炭前の
0.2〜2.0 %よりも大きな値に増加してしまい、溶鋼の
清浄性への悪影響の問題も生じることになる。
【0008】特開平1 92314 号公報の方法で用いる浸
漬管は径が小さいものである。脱炭処理のみを考えた場
合、このように小さな浸漬管径であっても十分に極低炭
素鋼の溶製は可能である。しかし、近年ますます要求の
厳しくなってきた鋼の清浄性の観点から考えると、小径
浸漬管を用いた場合には真空脱炭後のスラグ中(FeO)濃
度の低減が非常に難しくなる。したがって、鋼の清浄性
を優先に考えると前記特開平2 277711号公報で提案さ
れるような非常に効率の悪い溶製方法を採用せざるを得
なくなってしまう。
【0009】本発明の目的は、大型浸漬管を用いる効率
のよい高清浄性極低炭素鋼の製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
清浄性極低炭素鋼の製造方法にある。
【0011】未脱酸または弱脱酸の溶鋼を取鍋へ出鋼し
た後、1本足を備えた筒状浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬
し、浸漬管内を真空排気して、取鍋下部の浸漬管の投影
面積内または/および浸漬管下部の内壁から不活性ガス
を吹き込む真空精錬方法において、下記〜の条件を
満たして、筒状浸漬管を浸漬し、次いで真空脱炭し、脱
炭後の溶鋼中炭素濃度が30ppm 以下で溶鋼中へAl含有物
質を添加して5分以上の脱酸処理を行う高清浄性極低炭
素鋼の製造方法。
【0012】浸漬管内径Dと取鍋内径D0 との比D/
0 が 0.5〜0.8 であること。
【0013】真空脱炭前の取鍋スラグ中の(FeO) を重
量%で2〜15%にすること。
【0014】真空脱炭前または脱炭後に、取鍋スラグ
中のCaO とAl2O3 との重量%比(%CaO )/(%Al
2O3 )を 0.8〜2.5 にすること。
【0015】
【作用】本発明方法を適用するための、1本足の筒状浸
漬管を用いる真空脱炭脱ガス装置の例を図1〜図3によ
り説明する。
【0016】図1は、取鍋1、1本足の筒状浸漬管2、
浸漬管外から溶鋼5内に浸漬した不活性ガス吹き込みラ
ンス3および取鍋底部の不活性ガス吹き込みポーラスプ
ラグ4を備えた装置の縦断面図である。ガス吹き込みラ
ンス3の先端およびポーラスプラグ4の位置は、取鍋1
の下部に対する浸漬管2の投影面積内の溶鋼下部にあ
る。浸漬管2には、排気口2Aおよび合金鉄やフラック
スの投入口2Bが設けられている。Dは浸漬管内径、D
0 は取鍋内径、6はスラグであり、図1は浸漬管2の浸
漬開始直後の状況を示している。
【0017】図2は、不活性ガス吹き込み羽口7を浸漬
管下部内壁に設けた装置を示す図である。以下、この羽
口7を浸漬管内壁羽口という。図2(a) は真空排気した
状況を示す縦断面図、図2(b) は図2(a) の羽口7の線
における水平断面の概略図である。
【0018】図3は、不活性ガス吹き込みポーラスプラ
グ4を取鍋底部に、浸漬管内壁羽口7を浸漬管下部内壁
に、それぞれ設けた装置を示す図である。図3(a) は真
空排気した状況を示す縦断面図、図3(b) は図3(a) の
羽口7の線における水平断面の概略図である。
【0019】本発明方法では上記図1〜図3のような装
置を用いて、次のような方法で高清浄性極低炭素鋼を製
造する。
【0020】転炉などで処理した溶鋼を未脱酸あるいは
弱脱酸で取鍋1へ出鋼し、1本足を備えた筒状浸漬管2
を取鍋1内の溶鋼5に浸漬し、浸漬管2内を真空排気し
て、取鍋1の下部の浸漬管2の投影面積内または/およ
び浸漬管2の下部の内壁から不活性ガスを吹き込みなが
ら真空精錬を行う。本発明方法の前提となる望ましい条
件や方法は次のとおりである。
【0021】真空脱炭中には溶鋼中活量酸素を、望まし
くは200ppm以上、さらに望ましくは300ppm以上に保つ。
これは、活量酸素が低すぎると脱炭に必要な酸素が足り
なくなり、脱炭反応が酸素移動律速となってその速度が
低下してしまうからである。
【0022】このために、溶鋼に酸化鉄や酸化マンガン
等の固体酸素を添加、吹き付けもしくは吹込みをしても
よいし、純酸素(純度90%以上)、二酸化炭素、Ar−O2
混合ガスまたはN2 O2混合ガス等の酸化性ガスを吹き付
けもしくは吹き込みにより供給してもよい。
【0023】上記の固体酸素や酸化性ガスの吹き付け
は、別に設けた昇降ランスあるいは浸漬管内壁に別に設
けた斜め上吹き羽口から行ってもよい。また、吹き込み
を行う場合には、浸漬管内壁羽口あるいは別に設けた溶
鋼内に浸漬可能な昇降ランス羽口から行ってもよい。
【0024】攪拌用の不活性ガスは、浸漬管投影面積内
の取鍋下部からであれば、前述のポーラスプラグや浸漬
ガス吹き込みランス以外に、底吹き羽口を用いてもよ
い。
【0025】撹拌用の不活性ガスを浸漬管内壁羽口から
吹き込む場合は、羽口は浸漬管下端から100mm 以上500m
m 以下の位置に設けることが望ましい。100mm 未満では
浸漬管下端部の溶損量が小さくても、羽口の損傷につな
がる。一方、500mm を超える場合には、浸漬管内湯面に
近くなりすぎるためにスプラッシュが増大し、浸漬管内
地金付きによる操業阻害が生じてしまう。
【0026】さらに、図2に示すように浸漬管内壁羽口
7からのみ撹拌ガスを吹き込む場合、その羽口角度θは
浸漬管の中心角で120 度以上240 度以下であることが望
ましい。θが 120度未満の範囲にのみ羽口7を配置する
と溶鋼下降流面積が相対的に大きくなり、溶鋼の下降流
速が低下して取鍋底部の溶鋼流動が停滞するからであ
る。一方、θが240 度を超えると溶鋼下降流面積が小さ
すぎるために、やはり十分な溶鋼下降流を形成させるこ
とができなくなる。
【0027】羽口間角度Δθは、5度以上30度以下とす
るのが望ましい。これは、浸漬管内の溶鋼上昇流域内で
気泡を平均的に分散させるためである。5度未満では隣
接した羽口から吹き込まれたガスが合体し、上昇流を発
生させる効率が低下する。一方、30度を超えると羽口間
で局所的にガスの存在分布が粗になる領域が生じ、局所
的に上昇流を発生させる効率が低下する。
【0028】図3に示すように取鍋1の下部からのガス
吹き込みと浸漬管2の内壁からのガス吹き込みを併用す
る場合は、浸漬管2の投影面の同一半円内に取鍋下部か
らのガス吹き込み羽口またはポースプラグ4と浸漬管内
壁羽口7とが納まるように配置することが望ましい。取
鍋下部からのガス吹き込みによる溶鋼循環が、浸漬管内
壁羽口からのガス吹き込みにより促進されるからであ
る。
【0029】そして、いずれの場合も下記式で表される
撹拌動力ε/Aを10以上とすることが望ましい。取鍋下部
からのガス吹き込みと浸漬管内壁からのガス吹き込みを
併用する場合は、それぞれの撹拌動力の和が10以上とな
ればよい。
【0030】ε/A=〔6.18 ・Q ・ T ・ ln(1+ ρgH/Po)〕
/(W ・π・ D2/4) ただし、 Q: 撹拌ガス流量(Nm3/min)、 T: 溶鋼温度
(K) 、ρ: 溶鋼密度(kg/m3) 、 g: 重力加速度
(m/sec2)、H: 浸漬管内溶鋼表面を基準とした吹込ガス
の吹込深さ(m) 、Po: 浸漬管内雰囲気圧力(Pa)、 W:
溶鋼処理量(ton) 、D: 浸漬管内径(m) 本発明方法で 上記の方法で処理するとき、さらに下記
〜の条件を満足させ、かつ脱炭後の溶鋼中炭素濃度
が30ppm 以下で溶鋼中へAl含有物質を添加し、5分以上
の脱酸処理を行う。
【0031】浸漬管内径Dと取鍋内径D0 との比D/
0 を 0.5〜0.8 に維持する。
【0032】真空脱炭前の取鍋スラグ中の(FeO) を重
量%で2〜15%にする。
【0033】真空脱炭前または脱炭後に、取鍋スラグ
中のCaO とAl2O3 との重量%比(%CaO )/(%Al
2O3 )を 0.8〜2.5 にする。
【0034】上記〜および脱酸前および脱酸の各条
件の限定理由を以下に説明する。%およびppm は重量基
準である。
【0035】D/D0 : 0.5〜0.8 本発明方法の特徴の一つは、D/D0 を大きい範囲に維
持し、大径の1本足筒状浸漬管を用いることである。
【0036】250 トン取鍋内に収容した溶鋼を用いて、
上記比D/D0 と脱炭速度、脱酸処理後スラグ中(FeO)
濃度および浸漬管補修頻度との関係を調査した。
【0037】図4は、脱炭速度に及ぼすD/D0 の影響
を示す図である。D/D0 が大きくなり、浸漬管内で溶
鋼が真空下にさらされる面積が大きいほど浸漬管内の反
応界面積が増大し、脱炭反応速度は増加する。この傾向
はD/D0 が0.5 以上で顕著となる。
【0038】図5は脱酸後スラグ中の(FeO) 濃度に及ぼ
すD/D0 の影響を示す図である。
【0039】浸漬管内径Dが増加するにしたがって真空
脱炭処理後の脱酸処理におけるスラグ中(FeO) 濃度の低
減効果は大きくなり、この効果はD/D0 が0.8 を超え
ても認められる。しかし、D/D0 が0.8 を超え、必要
以上に浸漬管内径Dを大きくすると浸漬管の溶損速度が
高まって耐火物の補修頻度が増加したり、浸漬管寿命が
低下するなどの問題も生じた。
【0040】 真空脱炭前の取鍋スラグ中の(FeO) 濃度:2〜15% この条件の確保は、溶鋼中にAlまたはAl含有物質を添加
するか、もしくはスラグ中にスラグ改質剤を添加する方
法で行う。
【0041】250 トン取鍋内に収容した溶鋼を用いて、
脱炭速度と脱炭前スラグ中FeO 濃度と関係を調査した結
果を、図6により説明する。
【0042】図6は、脱炭速度に及ぼす真空脱炭前スラ
グ中(FeO) 濃度の影響を示す図である。このスラグ中(F
eO) 濃度を前記特開平2 277711号公報で提案されるよ
うな0.2 〜 2.0%の範囲に低くした場合、溶鋼中の活量
酸素が低下し、スラグ中の低級酸化物からの酸素供給が
少なくなり、良好な脱炭速度が維持できない。しかし図
示するように、真空脱炭前スラグ中(FeO) 濃度が2%以
上であれば、脱炭速度が急速に速くなる。すなわち、こ
の条件下では溶鋼中の酸素濃度の低下がないため、真空
脱炭時に酸素ガス供給は、その添加量を極く少量に抑制
することが可能となり、早期に浸漬管内を高真空度に
し、かつ脱炭速度の向上を図ることができる。また、酸
素ガスによる溶鋼中のMn、鉄の酸化も極微少量に抑制す
ることができる。さらに、本発明方法のような大型浸漬
管を用いて真空下ガス強撹拌を実施すれば、真空脱炭前
スラグ中(FeO) 濃度が2%以上であっても脱酸処理中に
十分に還元し、脱酸処理後スラグ中(FeO) 濃度を望まし
い1%以下に低下させることができるのである。
【0043】一方、真空脱炭前のスラグ中(FeO) 濃度を
15%以下とする理由は、この濃度が15%を超えて高すぎ
ると、本発明方法のような大型浸漬管を用いて真空下ガ
ス強撹拌をもってしても、脱酸処理中のスラグ中(FeO)
濃度を1%以下に低減することが困難だからである。
【0044】 取鍋スラグ中の(%CaO )/(%Al2O3 ): 0.8〜2.5 この条件を確保するために、真空脱炭前または脱炭後に
CaO 含有フラックスを添加する。添加時期は、取鍋への
出鋼時、浸漬管の浸漬前または脱炭後である。
【0045】脱炭前に添加する場合は、出鋼時と浸漬管
の浸漬前に分けて添加してもよい。脱炭後に添加する場
合は、浸漬管内のみ、浸漬管内外のいずれでもよい。フ
ラックスは、CaO-Al2O3 、Ca0-CaF2、Ca0-CaF2-MgOなど
を用いることができる。
【0046】図7は、同じく250 トン溶鋼を対象とした
場合の、脱酸後の取鍋スラグ中(FeO) 濃度に及ぼす真空
脱炭前スラグ中(FeO) 濃度とスラグ(%CaO )/(%Al
2O3)との関係を示す図である。脱酸にはAlを用い、こ
のとき添加したCaO 含有フラックスはCaO-Al2O3 プリメ
ルトフラックスである。
【0047】本発明方法での脱酸処理では、大型浸漬管
を用いて真空下ガス強撹拌を実施するが、取鍋スラグの
融点が非常に高くなると、スラグの滓化が悪化し、スラ
グ中(FeO) の還元速度が十分に確保できないため、スラ
グ中の(FeO) を望ましい1%以下にすることが困難とな
る。このスラグ滓化はスラグ中のCaO とAl2O3 との比
(%CaO )/(%Al2O3 )と強い相関がある。
【0048】図7に示すように、脱酸処理後のスラグ中
(FeO) を(%CaO )/(%Al2O3 )との関係で整理する
と、脱酸処理後のスラグ中(FeO) を1%以下にするため
には取鍋スラグ中の(%CaO )/(%Al2O3 )を、0.8
以上2.5 以下にする必要がある。
【0049】次に、脱酸前条件を脱炭後の溶鋼中炭素濃
度が30ppm 以下とし、脱酸条件をAl含有物質を添加し、
5分以上の脱酸処理を行うこととした理由を述べる。
【0050】脱炭後の溶鋼中炭素濃度を30ppm 以下とす
るのは、極低炭素鋼を得るための条件である。脱酸時間
がAl含有物質添加後5分未満では、生成したAl2O3 介在
物が十分に浮上分離しきれない。
【0051】脱酸時の溶鋼中sol.Al濃度は0.01%以上、
できれば0.03%以上が望ましい。スラグ中の(FeO) を還
元するためには、溶鋼中のsol.Alが或る程度以上必要で
あるためである。sol.Alが0.01%未満ではAlの還元力が
弱く、スラグ中の(FeO) を1%以下に低減することがで
きない。sol.Alが0.03%以上であればスラグ中の(FeO)
の還元速度は向上し、脱酸時間を短縮することができ
る。
【0052】
【実施例】
(実施例1)250 トン取鍋に収容した未脱酸溶鋼(温度
1620〜1660℃)中に1本足浸漬管を浸漬し、浸漬管内を
真空排気した状態で取鍋底吹き羽口からArガスを3Nm3
/min吹き込み、真空脱炭処理を行い極低炭素鋼を溶製
し、脱炭処理能力を調査した。
【0053】取鍋内径Dは4m で一定とし、浸漬管内径
0 を1.5m、1.8m、2m、2.5m、3m、3.5mで変化させた。
到達真空度は 0.7〜1.5Torr とした。条件と結果を表1
に示す。
【0054】ただし、脱炭速度Kcは溶鋼中の炭素重量濃
度が300ppmから20ppm に到達するのにかかった時間Tcを
用い、下記の式で計算した。
【0055】Kc=ln(300/20)/Tc
【0056】
【表1】
【0057】表1に示すように、脱炭条件として望まし
いのはD/Dが0.5 以上の場合であることがわか
る。また、D/D0 が0.5 以上であっても脱炭前スラグ
中(FeO)が2%未満では、脱炭速度が著しく低下してし
まうこと、D/D0 が、0.8 を超えても脱炭速度は低下
しないことがわかる。
【0058】(実施例2)次に、上記と同様に真空脱炭
した後に、金属Alを添加し、さらにCaO-Al2O3 系プリメ
ルトフラックス15k/溶鋼トンを浸漬管内に添加して脱酸
処理を行い、D/D0 と脱酸処理能力との関係を調査し
た。脱酸処理後の溶鋼温度は1580〜1610℃、溶鋼中sol.
Alは0.02〜0.06%とした。その他の条件と結果を表2に
示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2に示すように、D/D0 が0.5 以上に
おいて、スラグ中(FeO) 濃度の低減効果も大きく、製鋼
条件に起因する冷延鋼板の欠陥発生率の低減効果も著し
いことがわかる。また、D/D0 が0.5 以上であって
も、スラグ中(%CaO )/(%Al2O3 )が0.8 以上2.5
以下の範囲にない場合には、スラグ中(FeO) 濃度が十分
に低下しないことがわかる。
【0061】さらに、D/D0 が0.5 以上で、かつ、ス
ラグ中(%CaO )/(%Al2O3 )が0.8 以上2.5 以下の
範囲であっても、真空脱炭前のスラグ中(FeO) 濃度が15
%を超えると、やはり脱酸後のスラグ中(FeO) 濃度は、
十分に低下しないことがわかる。
【0062】(実施例3)上記のような条件内で多数処
理試験を行い、D/D0 と浸漬管の溶損との関係を調査
した。この結果の例を表3に示す。ただし、浸漬管寿命
および浸漬管補修頻度は、D/D0 =0.375 の場合を基
準にして指数化した。
【0063】
【表3】
【0064】表3から、D/D0 が0.5 未満でも浸漬管
寿命に大差はないものの、D/D0が0.8 を超えると浸
漬管の寿命が低下し、補修頻度が著しく増加することが
わかる。
【0065】
【発明の効果】本発明方法によれば、真空脱炭時の脱炭
速度を低下させずにスラグ中(FeO) 濃度の低下を得るこ
とができる。極低炭素鋼製造の処理時間を延長させるこ
となく高清浄性鋼を得るとともに、浸漬管耐火物の損耗
を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置例を説明する
図である。
【図2】本発明方法を実施するための別の装置例を説明
する図である。
【図3】本発明方法を実施するためのさらに別の装置例
を説明する図である。
【図4】脱炭速度に及ぼすD/D0 の影響を示す図であ
る。
【図5】脱酸後スラグ中の(FeO) 濃度に及ぼすD/D0
の影響を示す図である。
【図6】脱炭速度に及ぼす真空脱炭前スラグ中(FeO) 濃
度の影響を示す図である。
【図7】取鍋スラグ中(FeO) 濃度に及ぼす真空脱炭前ス
ラグ中(FeO) 濃度とスラグの(%CaO )/(%Al2O3
との関係を示す図である。
【符号の説明】
1:取鍋、 2:浸漬管、 2A:投入口、 2B:排
気口、3:ガス吹き込みランス、4:ポーラスプラグ、
5:溶鋼、 6:スラグ、7:浸漬管内壁羽口

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未脱酸または弱脱酸の溶鋼を取鍋へ出鋼し
    た後、1本足を備えた筒状浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬
    し、浸漬管内を真空排気して取鍋下部の浸漬管の投影面
    積内または/および浸漬管下部の内壁から不活性ガスを
    吹き込む真空精錬方法において、下記〜の条件を満
    たして、筒状浸漬管を浸漬し、次いで真空脱炭し、脱炭
    後の溶鋼中炭素濃度が30ppm 以下で溶鋼中へAl含有物質
    を添加して5分以上の脱酸処理を行うことを特徴とする
    高清浄性極低炭素鋼の製造方法。 浸漬管内径Dと取鍋内径D0 との比D/D0 が 0.5〜
    0.8 であること。 真空脱炭前の取鍋スラグ中の(FeO) を重量%で2〜15
    %にすること。 真空脱炭前または脱炭後に、取鍋スラグ中のCaO とAl
    2O3 との重量%比(%CaO )/(%Al2O3 )を 0.8〜2.
    5 にすること。
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