JPH08119189A - オイルタンカーの船体構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンプ、ポンプ駆動軸、配管および付属する
機器のメンテナンス性を向上する。 【構成】 オイルタンカー１の各カーゴタンク５内に
は、二重船殻内のボイドスペース６と船底の内殻２にお
いて連通するポンプ格納ボックス７が、デッキ４と船底
の内殻２との間にわたって設けられている。デッキ４上
からこれを貫通して導管８がボックス７内を通して設け
られており、導管８の先端部はボックス７の隔壁７ａを
貫通しカーゴタンク５内に配され、その先端８ａからオ
イルを吐出または吸入可能となっている。また、ボック
ス７内においては、導管８の途中にカーゴポンプ９が設
けられている。デッキ４上にはポンプ９の駆動装置のモ
ータ１０が設けられており、モータ１０とポンプ９との
間には、デッキ４を貫通しボックス７内を通したポンプ
駆動軸１１が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、オイルタンカーの船
体構造に関し、詳しくは、カーゴタンク用のオイル搬送
ポンプおよびその駆動装置ならびに付属する配管バルブ
等の修理、保守および点検を容易に実施することができ
るオイルタンカーの船体構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】二重船殻構造（ダブルハル＝double hul
l)のオイルタンカーにおいては、カーゴタンク内のオイ
ル搬送用のカーゴポンプとして、複数のカーゴタンク共
用のポンプを複数台（３台程度）備える場合と、専用ポ
ンプルームを持たず複数のカーゴタンク各々にそれぞれ
独立に１台づつポンプを備える場合とがある。後者、即
ち、カーゴタンク個々に１台づつポンプがある場合、ポ
ンプの数が多くなりメンテナンスの工程数が過多であっ
た。

【０００３】このような場合において、従来、各カーゴ
タンク毎に独立に設けられるポンプとしては、サブマー
ジポンプまたはディープウェルポンプ等が用いられてい
る。これらのポンプは、ポンプの本体部分（以下、「ポ
ンプ」という）とポンプ駆動装置とからなり、ポンプ
（本体部分）および付属する配管用バルブ等はカーゴタ
ンクの中に設けられオイル中に没する構造となってお
り、ポンプ駆動装置は、通常、オイルタンカーのデッキ
上またはポンプと一体でカーゴタンク内に設けられてい
る。ポンプがカーゴタンク内に設けられていると、ポン
プおよび付属する配管バルブ等の修理、保守および点検
作業には荷油が積載された場合にはこれを排出のうえ、
同区画を換気する必要があり且つ残油等で滑り易い環境
である等の問題があった。

【０００４】オイルタンカーの船体構造として、我々
は、特願平５−３４５２４８号において、オイルタンカ
ーの二重船殻内に形成されたスペースの少なくとも一部
をボイドスペース（void space）として使用し、更に、
二重船殻の内殻の内側および／または前記ボイドスペー
ス以外の前記スペース内に専用バラストタンクを設け、
および、前記内殻の内側に、前記内殻の一部によって前
記ボイドスペースと連通する、荷油管用バルブの格納ボ
ックスが形成されているオイルタンカーの船体構造を特
許出願した（以下、「先行技術１」という）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術１においても、複数のカーゴタンクに各々独立にポン
プを設ける場合については、ポンプ（本体部分）がカー
ゴタンクのオイル内に没するという問題は未解決であっ
た。

【０００６】従って、この発明の目的は、タンク各々に
独立のポンプを備える場合において、ポンプがオイル内
に没することなく、これら機器の検査およびメンテナン
ス性に優れたオイルタンカーの船体構造を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
オイルタンカーの船底の二重船殻の内殻の内側のカーゴ
タンク内に、前記内殻と前記オイルタンカーのデッキと
の間にわたって、前記二重船殻内のボイドスペースと連
通するポンプ格納ボックスが設けられており、前記デッ
キ上から前記デッキを貫通して前記ポンプ格納ボックス
内を通した導管が前記ポンプ格納ボックスの隔壁を貫通
してその先端を前記カーゴタンク内に配して前記先端よ
りオイルを吐出または吸入可能に設けられており、前記
ポンプ格納ボックス内には前記導管の途中にオイル搬送
用のポンプおよびバルブが設けられており、前記デッキ
上または前記ポンプ格納ボックス内には前記ポンプの駆
動装置が設けられていることに特徴を有するものであ
る。

【０００８】請求項２記載の発明は、オイルタンカーの
船底の二重船殻の内殻の内側のカーゴタンク内に、前記
二重船殻内のボイドスペースと連通するポンプ格納ボッ
クスが設けられており、前記オイルタンカーのデッキ上
から前記デッキおよび前記ポンプ格納ボックスの隔壁を
貫通して前記ポンプ格納ボックス内を通した導管がその
先端を前記カーゴタンク内に配して前記先端よりオイル
を吐出または吸入可能に設けられており、前記ポンプ格
納ボックス内には前記導管の途中にオイル搬送用のポン
プおよびバルブが設けられており、前記デッキ上または
前記ポンプ格納ボックス内には前記ポンプの駆動装置が
設けられていることに特徴を有するものである。

【０００９】

【作用】請求項１記載の発明によれば、カーゴタンク内
に、ボイドスペースと連通するポンプ格納ボックスを船
底の内殻とデッキとの間にわたって設けたので、このポ
ンプ格納ボックス内に、ポンプおよびポンプ駆動軸なら
びに導管の大部分およびバルブが収容され（ポンプ駆動
装置が収容されることもある）、これら機器および付属
する配管バルブ等がオイル中に没することがない。しか
も、ポンプ格納ボックスとボイドスペースとが連通して
いるので、ボイドスペースからまたは上甲板からポンプ
格納ボックス内に接近、進入可能であり、ドライスペー
スでの検査およびメンテナンスが可能となりメンテナン
ス性が大幅に向上する。

【００１０】請求項２記載の発明によれば、カーゴタン
ク内の船底の内殻に、ボイドスペースと連通するポンプ
格納ボックスを設け、ポンプをポンプ格納ボックス内に
設けたので（ポンプ駆動装置がボックス内に入ることも
ある）、ポンプおよび付属する配管バルブ等の機器がオ
イル中に没することがない。しかも、ポンプ格納ボック
スとボイドスペースとが連通しているので、ボイドスペ
ースからポンプ格納ボックス内に接近、進入可能であ
り、ドライスペースでの検査およびメンテナンスが可能
となりメンテナンス性が大幅に向上する。

【００１１】

【実施例】次に、この発明を図面を参照しながら説明す
る。

【００１２】〔実施例１〕図１は請求項１記載の発明に
係る実施例１を示す概略水平断面図、図２は図１のＡ−
Ａ線断面図、図４は導管内部のオイルの動きを説明する
図２、図３の部分断面図である。図１および図２に示す
ように、オイルタンカー１は、内殻２と外殻３とを備
え、隔壁１２により仕切られたカーゴタンク５を複数備
える二重船殻型オイルタンカーである。各カーゴタンク
５内には、二重船殻内（内殻２と外殻３との間の空間）
のボイドスペース６と船底の内殻２において連通するポ
ンプ格納ボックス７が設けられている。４はデッキであ
り、ポンプ格納ボックス７は、該デッキ４と船底の内殻
２との間にわたって設けられている。デッキ４の上から
下方に、該デッキ４を貫通して導管８がポンプ格納ボッ
クス７内を通して設けられており、該導管８の先端部は
ポンプ格納ボックス７の隔壁７ａを貫通しカーゴタンク
５内に配され、その先端８ａからオイルを吐出または吸
入可能となっている。また、ポンプ格納ボックス７内に
おいては、導管８の途中にオイル搬送用のカーゴポンプ
（以下、「ポンプ」という）９が設けられている。デッ
キ４上にはポンプ９の駆動装置のモータ１０が設けられ
ており、モータ１０とポンプ９との間には、デッキ４を
貫通しそしてポンプ格納ボックス７内を通したポンプ駆
動軸１１が設けられている。モータ１０はポンプ格納ボ
ックス７内に設けられる場合もある。図４に示すオイル
１３のルートは、１４が荷上（unloading ）の場合、１
５が荷積（loading ）の場合を示す。

【００１３】ポンプ９、導管８の大部分および付属する
配管バルブ（図示せず）、ポンプ駆動軸１１等の機器
は、ポンプ格納ボックス７内に設けられておりオイル中
に没することがないので、作業者は連通するボイドスペ
ース６からまたは上甲板からポンプ格納ボックス７内に
接近、進入でき、ドライスペースでの検査およびメンテ
ナンスが可能となりメンテナンス性が大幅に向上する。

【００１４】〔実施例２〕図３は請求項２記載の発明に
係る実施例２を示す断面図である。図３に示すように、
オイルタンカー１は、内殻２と外殻３とを備え、カーゴ
タンク５を複数備える二重船殻型オイルタンカーであ
る。各カーゴタンク５内には、船底の内殻２の内側に、
二重船殻内（内殻２と外殻３との間の空間）のボイドス
ペース６と船底の内殻２において連通するポンプ格納ボ
ックス７が設けられている。デッキ４の上から下方に、
該デッキ４およびポンプ格納ボックス７の隔壁７ａを貫
通し、ポンプ格納ボックス７内を通して導管８が設けら
れている。そして、ポンプ格納ボックス７の隔壁７ａを
貫通した導管８の先端部はカーゴタンク５内に配され、
その先端８ａからオイルを吐出または吸入可能となって
いる。また、ポンプ格納ボックス７内においては、導管
８の途中にオイル搬送用のポンプ９が設けられている。
デッキ４上にはポンプ９の駆動装置のモータ１０が設け
られており、モータ１０とポンプ９との間には、デッキ
４およびポンプ格納ボックス７の隔壁７ａを貫通してポ
ンプ駆動軸１１が設けられている。また、この場合も駆
動装置（モータ１０）がポンプ格納ボックス７内に収容
される場合もある。

【００１５】ポンプ９および付属する配管バルブ（図示
せず）等の機器は、ポンプ格納ボックス７内に設けられ
ておりオイル中に没することがないので、作業者は連通
するボイドスペース６からポンプ格納ボックス７内に接
近、進入でき、ドライスペースでの検査およびメンテナ
ンスが可能となりメンテナンス性が大幅に向上する。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、以下に示すような工業上有用な効果がもたらされ
る。 請求項１記載の発明によれば、カーゴタンク内にデ
ッキと船底の内殻との間にわたって船底の内殻において
ボイドスペースと連通するポンプ格納ボックスを設け、
ポンプ、ポンプ駆動軸、導管および付属する配管バルブ
等の機器をポンプ格納ボックス内に設けたので、また、
サブマージポンプなどではポンプ駆動装置がポンプ格納
ボックス内に設けされる場合もあり、作業者は連通する
ボイドスペースからまたは上甲板からポンプ格納ボック
ス内に接近、進入でき、ドライスペースでの検査および
メンテナンスが可能となりメンテナンス性が大幅に向上
する。 請求項２記載の発明によれば、カーゴタンク内に船
底の内殻においてボイドスペースと連通するポンプ格納
ボックスを設け、ポンプおよび付属する配管バルブ等の
機器をポンプ格納ボックス内に設けたので作業者は連通
するボイドスペースからポンプ格納ボックス内に接近、
進入でき、ドライスペースでの検査およびメンテナンス
が可能となりメンテナンス性が大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のオイルタンカーの実施例１を示す概
略水平断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】この発明のオイルタンカーの実施例２を示す垂
直断面図である。

【図４】導管内部のオイルの動きを説明する図２、図３
の部分断面図である。

【符号の説明】

１：オイルタンカー ２：内殻 ３：外殻 ４：デッキ ５：カーゴタンク ６：ボイドスペース ７：ポンプ格納ボックス ７ａ：ポンプ格納ボックスの隔壁 ８：導管 ８ａ：導管の先端 ９：ポンプ １０：モータ １１：ポンプ駆動軸 １２：隔壁 １３：オイル １４：荷上 １５：荷積

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オイルタンカーの船底の二重船殻の内殻
   の内側のカーゴタンク内に、前記内殻と前記オイルタン
   カーのデッキとの間にわたって、前記二重船殻内のボイ
   ドスペースと連通するポンプ格納ボックスが設けられて
   おり、前記デッキ上から前記デッキを貫通して前記ポン
   プ格納ボックス内を通した導管が前記ポンプ格納ボック
   スの隔壁を貫通してその先端を前記カーゴタンク内に配
   して前記先端よりオイルを吐出または吸入可能に設けら
   れており、前記ポンプ格納ボックス内には前記導管の途
   中にオイル搬送用のポンプおよびバルブが設けられてお
   り、前記デッキ上または前記ポンプ格納ボックス内には
   前記ポンプの駆動装置が設けられていることを特徴とす
   るオイルタンカーの船体構造。
2. 【請求項２】 オイルタンカーの船底の二重船殻の内殻
   の内側のカーゴタンク内に、前記二重船殻内のボイドス
   ペースと連通するポンプ格納ボックスが設けられてお
   り、前記オイルタンカーのデッキ上から前記デッキおよ
   び前記ポンプ格納ボックスの隔壁を貫通して前記ポンプ
   格納ボックス内を通した導管がその先端を前記カーゴタ
   ンク内に配して前記先端よりオイルを吐出または吸入可
   能に設けられており、前記ポンプ格納ボックス内には前
   記導管の途中にオイル搬送用のポンプおよびバルブが設
   けられており、前記デッキ上または前記ポンプ格納ボッ
   クス内には前記ポンプの駆動装置が設けられていること
   を特徴とするオイルタンカーの船体構造。