JPH08118546A - 積層体およびその製法 - Google Patents

積層体およびその製法

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JPH08118546A
JPH08118546A JP6264046A JP26404694A JPH08118546A JP H08118546 A JPH08118546 A JP H08118546A JP 6264046 A JP6264046 A JP 6264046A JP 26404694 A JP26404694 A JP 26404694A JP H08118546 A JPH08118546 A JP H08118546A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム
層が積層形成されている積層体であって、上記熱可塑性
樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合
表層部に水酸基が1.4%以上の割合で存在している。 【効果】上記構成をとる積層体は、フッ素樹脂層と熱可
塑性樹脂層もしくはゴム層との接着強度が高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ素樹脂層上に熱可
塑性樹脂層もしはゴム層が積層形成された積層体に関す
ものであり、詳しくは、上記フッ素樹脂層と熱可塑性樹
脂層もしくはゴム層とが接着強度1.2N/mm以上で
強固に接着している積層体およびその製法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】薬品やガソリン等に対する耐腐食性に優
れているフッ素樹脂は、種々の樹脂製品に使用されてい
るが、多くの場合、フッ素樹脂単独で用いるのではな
く、このフッ素樹脂から形成されたフッ素樹脂層と、例
えば熱可塑性樹脂やゴムから形成された層とを積層した
積層体として用いられている。このような積層体は、フ
ッ素樹脂の優れた特性と、熱可塑性樹脂等が備える耐摩
耗性等の力学的特性を兼ね備えるものである。
【0003】上記積層体を製造するに際し、一般のフッ
素樹脂ではなく、熱可塑性樹脂層等と接合する接合表層
部が改質処理された特殊なフッ素樹脂が用いられてい
る。これは、一般のフッ素樹脂の他の構成材料に対する
接着性が著しく低いため、例えば、接着剤を用いた接着
処理だけでは強固に接着しないからである。また、ガソ
リン等の燃料や薬品と接触するような特殊な用途に使用
される積層体は、一般の積層体より高い接着強度(1.
2N/mm以上)が要求されている。これは、ガソリン
等との接触によりフッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層等とが
剥離するおそれがあるからである。
【0004】従来の接合表層部が改質処理されたフッ素
樹脂としては、例えば、以下に示す2種類のフッ素樹脂
があげられる。 (1)金属ナトリウム錯体により樹脂表面がエッチング
処理されたフッ素樹脂(例えば、「Ind.Eng.C
hem.,50,329,1958年」に記載のも
の)。 (2)スパッタリングにより樹脂表面に凹凸が形成され
たフッ素樹脂(例えば、「特公昭58−25742号公
報」に記載のもの)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
改質処理されたフッ素樹脂は、種々の問題を有してい
る。すなわち、上記(1)の金属ナトリウム錯体で改質
されたフッ素樹脂は、これを用いた積層体の接着力が経
時的に低下するという問題がある。特に、紫外線を照射
した場合に、上記接着力の低下が著しい。さらに、上記
金属ナトリウム錯体溶液による改質方法は、フッ素樹脂
の金属ナトリウム錯体溶液への浸漬や洗浄等の工程を必
要とするため、処理工程が長く複雑であるという問題も
有する上、金属ナトリウム錯体溶液は、人に対する安全
性の問題もある。
【0006】また、上記(2)のスパッタリング処理さ
れたフッ素樹脂は、流動性が低い接着剤を用いると接着
性が悪くなり、またスパッタリング処理により形成され
た樹脂表面の凹凸が、摩耗により簡単に消失するという
問題がある。このため、このスパッタリング処理された
フッ素樹脂を用いて積層体を製造する際、その取扱に細
心の注意を払う必要があり、このため、積層体の製造効
率が悪くなる。
【0007】さらに、これら従来の改質フッ素樹脂は、
接着剤を使用せず熱可塑性樹脂等を直接積層した場合の
接着性が悪いという共通の問題を有している。例えば、
フッ素樹脂と熱可塑性樹脂とを用いて積層体を製造する
場合、上記熱可塑性樹脂を加熱溶融して融着させる方法
がある。この加熱融着法によれば、接着剤の塗布や乾燥
工程が省略されるため、積層体の製造工程が簡略化され
るようになり、また接着剤を溶解させるための有機溶剤
を使用する必要がなくなり、作業環境が安全になるとい
う利点がある。しかし、上記のように、従来の改質フッ
素樹脂は、加熱融着法による接着性が悪いため、加熱融
着法の上記利点が生かせないのが実情である。
【0008】このように、従来の改質フッ素樹脂は、充
分な接着性の向上がないため、これを用いて得られる積
層体は、実用に供することが可能な接着強度を備えるも
のではない。そして、このような従来の技術により製造
されている積層体は、その製造において、作業の安全
性,製造効率,コスト等の問題がある。しかし、前述の
ように、フッ素樹脂層の層上に、熱可塑性樹脂層もしく
はゴム層が積層形成された積層体は、優れた特性を有す
るため、上記問題を解決することが強く望まれている。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層
との接着強度が1.2N/mm以上と充分に高く、かつ
その製造が簡単で、作業安全性やコストの問題がない積
層体およびその製法の提供をその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしく
はゴム層が積層形成されている積層体であって、上記熱
可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層
の接合表層部に、水酸基が1.4%以上の割合で存在し
ている積層体を第1の要旨とし、フッ素樹脂層上に、熱
可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成された積層体の
製法であって、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対
する上記フッ素樹脂層の接合表層部に対して減圧プラズ
マ処理を施し、このフッ素樹脂層の接合表層部上に熱可
塑性樹脂層もしくはゴム層を形成する積層体の製法を第
2の要旨とする。
【0011】
【作用】すなわち、本発明者らは、フッ素樹脂の熱可塑
性樹脂等に対する接着性の向上を目的として、その改質
を中心に、一連の研究を重ねた。その過程で、フッ素樹
脂の接着性の発現機構を詳細に調べたところ、接着性が
発現するのは、フッ素樹脂表層部に水酸基が存在する場
合であることを突き止めた。これを、フッ素樹脂とポリ
アミド樹脂とを例にとり説明すると、図3に示すよう
に、フッ素樹脂中に水酸基が存在すれば、この水酸基
(−OH)と、ポリアミド樹脂のアミド結合(−NHC
O−)中の酸素原子(−C=O)との間で水素結合が起
こり、接着性が発現するのである。そこで、フッ素樹脂
表層部の水酸基と接着性の発現との関係についてさらに
研究を重ねたところ、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層も
しくはゴム層とからなる積層体において、上記熱可塑性
樹脂層もしくはゴム層に対するフッ素樹脂層の接合表層
部に、水酸基が1.4%以上存在すれば、積層体の接着
強度が1.2N/mm以上の実用的な接着強度となるこ
とを突き止めた。そして、減圧プラズマ処理により、特
殊な設備等を用いることなく、フッ素樹脂の接合表層部
に対し、容易かつ安全に上記特定割合の水酸基を導入す
ることが可能であることを見出し、上記知見と併せて本
発明に到達した。本発明により、充分な接着強度を備え
た高性能の積層体を簡単にかつ低コストで提供すること
が可能となる。
【0012】なお、本発明において、上記フッ素樹脂層
の接合表層部における水酸基量(%)は、光電子分光法
(ESCA)で測定した値をいい、また、水酸基の割合
は、フッ素樹脂の接合表層部の水素原子を除く全原子個
数に対し、水酸基(−OH)の酸素原子数の割合をい
う。
【0013】つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0014】本発明の積層体は、フッ素樹脂層と熱可塑
性樹脂層もしくはゴム層とを積層したもので、上記熱可
塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の
接合表層部には、水酸基が1.4%以上存在している。
【0015】上記フッ素樹脂層は、通常のフッ素樹脂を
層状に形成した後、上記熱可塑性樹脂層等に対する接合
表層部に、後述する改質処理を行うことにより得られ
る。
【0016】上記フッ素樹脂層の形成材料であるフッ素
樹脂としては、例えば、エチレンとテトラフルオロエチ
レンの共重合体(ETFE),ポリビニリデンフルオラ
イド(PVDF),ポリクロロトリフルオロエチレン
(CTFE),エチレンとクロロトリフルオロエチレン
の共重合体(ECTFE),フッ化ビニリデンとテトラ
フルオロエチレンの共重合体,フッ化ビニリデンとヘキ
サフルオロプロピレンの共重合体,フッ化ビニリデンと
テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの
三元共重合体,ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E),テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピ
レンの共重合体(FEP),テトラフルオロエチレンと
パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PF
A),フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共
重合体,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン
の共重合体等があげられる。これらは単独であるいは2
種類以上併用される。このなかでも、加工性,柔軟性,
耐久性が優れるという理由からETFEを用いることが
好ましい。
【0017】そして、上記フッ素樹脂には、その物性改
良の目的で充填剤を配合することが好ましい。このよう
な充填剤としては、例えば、酸化チタン,硫酸バリウ
ム,炭酸カルシウム,シリカ,カーボンブラック,ケイ
酸マグネシウム,ケイ酸アルミニウム,酸化亜鉛,アル
ミナ,硫酸カルシウム,硫酸アルミニウム,水酸化カル
シウム,水酸化アルミニウム,タルク,二酸化モリブデ
ン,ウィスカー,短繊維類,黒鉛,金属粉,ケイ砂,軽
石粉,スレート粉,雲母粉,アスベスト,ガラス球等が
あげられる。この充填剤の配合割合は、通常、フッ素樹
脂100重量部(以下「部」と略す)に対し、30部以
下に設定され、好ましくは、5〜20部の範囲に設定さ
れる。
【0018】また、上記フッ素樹脂には、導電性を付与
することが好ましい。すなわち、前述のように、ガソリ
ン等の燃料と接触するような特殊な用途に使用される積
層体において、積層体に静電気が発生すると、燃料に引
火する危険性があるからである。このフッ素樹脂への導
電性の付与は、例えば、フッ素樹脂に導電剤を配合する
ことによりその目的を達成することができる。上記導電
剤としては、カーボンブラック,微細なステンレス性金
属繊維類等があげられる。この導電剤の配合割合は、フ
ッ素樹脂100部に対し、0.5〜30部の範囲に設定
することが好ましい。この範囲で導電剤を配合すると、
得られる積層体のフッ素樹脂層の体積低効率が1010Ω
・cm以下となって、静電気を積層体外部に放電して逃
がすことが可能となり、上記特殊用途の積層体におい
て、ガソリン等の燃料への引火等の事故が未然に防止さ
れるようになる。
【0019】つぎに、上記熱可塑性樹脂層およびゴム層
について説明する。
【0020】上記熱可塑性樹脂層の形成材料は、特に制
限するものではなく、ポリアミド樹脂やポリエステル樹
脂等があげられる。このなかで、耐摩耗性等の力学的特
性が優れるという理由から、ポリアミド樹脂を使用する
ことが好ましい。このポリアミド樹脂としては、例え
ば、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロ
ン12等があげられ、これらは単独でもしくは2種類以
上併用される。このなかでも、特に、耐摩耗性および成
形加工性の特性に優れる、ナイロン11,ナイロン12
が好ましい。
【0021】上記ポリアミド樹脂には、加工特性の改善
および柔軟性の向上のために、必要に応じ、可塑剤が配
合される。この可塑剤としては、スルホンアミド類,オ
キシ安息香酸エステル類があげられる。この可塑剤の配
合割合は、通常、ポリアミド樹脂100部に対し、20
部以下に設定される。
【0022】そして、上記ゴム層の形成材料は、特に制
限するものではなく、例えば、エピクロルヒドリンゴム
(CO),エピクロルヒドリンとエチレンオキシドとの
等モルのコポリマー(通称ECO,別名CHC),アク
リルニトリルブタジエンゴム(NBR),NBRとポリ
塩化ビニル(PVC)とのブレンドゴム(NBR/PV
C),クロロプレンゴム(CR),クロロスルホン化ポ
リエチレン(CSM),塩素化ポリエチレン(CP
E),エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)
等があげられる。このなかでも、耐熱性や耐オゾン性等
の特性が優れるという理由から、ECO,NBR,NB
R/PVC,CSMが好ましく、特に好ましくは、EC
Oである。
【0023】つぎに、本発明の積層体の製法について、
シート状積層体の製法を例にとり、図1の工程概略図に
基づき説明する。
【0024】図1に示すように、シート状積層体1の製
法は、シート状フッ素樹脂層2を準備する工程(a)
と、シート状フッ素樹脂層2の接合表層部2aに対し減
圧プラズマ処理4する工程(b)と、必要に応じ、減圧
プラズマ処理後のシート状フッ素樹脂層2接合表層部2
aに富酸素化空気5を接触させる工程(c)と、シート
状フッ素樹脂2接合表層部2a上に熱可塑性樹脂3ある
いはゴム層3を積層形成する工程(d)とから構成され
る。
【0025】まず、図1(a)に示すようなシート状フ
ッ素樹脂層2を形成する。これは、上記フッ素樹脂に必
要に応じて充填剤等の各種添加剤を所定の割合で配合
し、これを押出機等により押出てシート状に成形するこ
とにより形成することができる。
【0026】つぎに、図1(b)に示すように、このシ
ート状フッ素樹脂2の接合表層部2aに対し、減圧プラ
ズマ処理4を行う。この減圧プラズマ処理4は、シート
状フッ素樹脂層2接合表層部2aに水酸基を導入するこ
とができる処理であれば、特に制限するものではない。
このような減圧プラズマ処理として、グロー放電等の低
温プラズマ処理を選択することが好ましい。これは、低
温プラズマ処理が簡便な方法であり、かつ薬品やガソリ
ンに対する耐腐食特性等のフッ素樹脂が本来有する優れ
た特性を損なうことなく、その表層部の改質処理を行う
ことが可能な方法だからである。この低温プラズマ処理
を具体的に説明すると、低圧力下のガス雰囲気(減圧)
において、電極に高電圧を印加した際に発生するグロー
放電によって生じるプラズマ中に、被処理体(シート状
フッ素樹脂層2)を暴露する方法である(例えば、「低
温プラズマ化学,穂積啓一郎編、化学の領域、増刊11
1号、南江堂出版、1976年発行」に記載の方法)。
【0027】上記低温プラズマ処理等の減圧プラズマ処
理の条件は、シート状フッ素樹脂層2接合表層部2aに
対し、1.4%以上の割合で水酸基を導入することが可
能な条件であれば、特に制限するものではない。一般的
な条件としては以下の通りである。
【0028】雰囲気ガス種類 : H2 や,He,
2 ,Ne,Ar等の不活性ガス。 雰囲気ガス圧力 : 10〜1000Pa 高周波電源(RF)出力 : 10〜300W 処理時間 : 1秒〜5分
【0029】また、上記条件の好適範囲としては、以下
に示す通りである。
【0030】雰囲気ガス種類 : H2 ,N2 ,Ar 雰囲気ガス圧力 : 10〜300Pa RF出力 : 10〜300W 処理時間 : 1秒〜1分
【0031】そして、上記減圧プラズマ処理は、例え
ば、図2に示す減圧プラズマ処理装置12を用いて行わ
れる。この減圧プラズマ処理装置12は、密閉状チャン
バー6内に、電極7a,7bが互いに対峙する状態で配
置されたものであり、この電極7a,7bには、高周波
電源8が接続されている。また、この密閉状チャンバー
6の所定位置には、雰囲気ガスの導入口9および排出口
10が設けられ、それぞれ雰囲気ガス供給装置(図示せ
ず)および真空ポンプ(図示せず)と配管を通じて連通
している。図において、矢印11,13は、雰囲気ガス
の流入,流出状態をそれぞれ示すものである。
【0032】この減圧プラズマ処理装置12を用いた減
圧プラズマ処理は、例えば、つぎのようにして行われ
る。すなわち、図示のように、上記チャンバー6内の電
極7a,7bの間に、シート状フッ素樹脂層2を配置す
る。一方、排出口10から、チャンバー6内の空気を排
気し、ついで導入口11から雰囲気ガスを導入して密閉
状チャンバー6内を所定の減圧状態とする。この状態
で、高周波電源8により、上記所定の条件で、電極7
a,7bに印加して、電極7a,7b間でプラズマを発
生させる。そして、このプラズマ処理後、空気中へ取り
出すと、シート状フッ素樹脂層2の接合表層部2aに対
し、水酸基が導入される。この水酸基の導入割合は、上
記プラズマ発生の諸条件により調整することができる。
【0033】なお、この発明において、フッ素樹脂2の
接合表層部2aとは、フッ素樹脂2の接合面部分および
これから一定の深さ(厚み)までの部分をいう。これ
は、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層等とが接着する場合
において、その接着に関与する部分は、面部分だけでな
く、面部分を含む一定の厚みを持った部分だからであ
る。
【0034】つぎに、必要に応じて、減圧プラズマ処理
4されたシート状フッ素樹脂2接合表層部2aに対し、
酸素濃度を高くした富酸素化空気を接触させる処理(以
下適宜「富酸素化空気処理」ともいう)を行う。
【0035】上記富酸素化空気処理は、通常、内部を富
酸素化空気雰囲気にした処理槽に、上記減圧プラズマ処
理をしたフッ素樹脂を投入することにより行われる。上
記富酸素化空気の酸素含有量は、通常、20〜25℃で
富酸素化空気全体の20〜90体積%、好ましくは20
〜70体積%である。そして、この富酸素化空気は、水
蒸気圧が、1〜40mmHgであることが好ましく、特
に好ましくは4〜36mmHgである。
【0036】このように、必要に応じ、富酸素化空気処
理を施すのは、つぎの理由による。すなわち、フッ素樹
脂に対し、減圧プラズマ処理をすると、樹脂表層部に水
酸基が導入されることは確実な事実であるが、導入量が
不充分となる場合があり、この場合、減圧プラズマ処理
後に富酸素化空気処理を施すと、充分量の水酸基を導入
することが可能となるからである。
【0037】上記の減圧プラズマ処理による水酸基導入
機構や、その後に行われる富酸素化空気処理による水酸
基導入機構について、明確に説明することはできない
が、本発明者らは、積層体に関する一連の研究において
得た知見から、以下に示す2つの経路を通じてフッ素樹
脂に水酸基が導入されるものと推察している。
【0038】まず、第1の経路としては、フッ素樹脂に
対して減圧プラズマ処理を行うと、フッ素樹脂表層部の
炭素原子が活性化して炭素ラジカルが発生し、この炭素
ラジカルと、雰囲気ガス中に含まれる酸素原子および水
素原子とが結合してフッ素樹脂表層部に水酸基が導入さ
れる経路が考えられる。また、第2の経路としては、減
圧プラズマ処理により生成するフッ素樹脂表層部の炭素
ラジカルにより、雰囲気ガス中の水分が解離して水酸基
が生成し、この水酸基が、上記炭素ラジカルと結合して
フッ素樹脂表層部に水酸基が導入される経路が考えられ
る。
【0039】そして、上記第1の経路の場合、通常、減
圧プラズマ処理を行う雰囲気ガス中の酸素原子は微量で
あるため、フッ素樹脂表層部への水酸基の導入が不充分
となるおそれがある。そこで、減圧プラズマ処理後、フ
ッ素樹脂表層部に富酸素化空気を接触させることによ
り、フッ素樹脂表層部の炭素ラジカルに効果的に酸素を
結合させることが可能となって、充分量の水酸基を導入
することが可能となると考えられる。ここで、上記富酸
素化空気としては、前述のように、水蒸気圧が1〜40
mmHgのものが好ましく、特に好ましくは、4〜36
mmHgのものである。
【0040】また、フッ素樹脂表層部への水酸基の導入
は、上記各経路を別々に経由するのではなく、上記2つ
の経路を同時に経由するものと考えられることから、減
圧プラズマ処理後のフッ素樹脂には、相対湿度の高い富
酸素化空気を接触させることが好ましい。
【0041】つぎに、このような減圧プラズマ処理4お
よび富酸素化空気処理5の後、シート状フッ素樹脂層2
の接合表層部2aの上に、熱可塑性樹脂層3もしくはゴ
ム層3が積層形成される。
【0042】まず、上記熱可塑性樹脂層3を形成する場
合について説明すると、まず、前述の熱可塑性樹脂を押
出成形等によりシート状に成形してシート状熱可塑性樹
脂層を準備し、この一面を加熱溶融させる。この加熱溶
融の条件は、熱可塑性樹脂の融点等により適宜決定され
る。そして、上記シート状フッ素樹脂層2接合表層部2
aの上に、上記加熱溶融されたシート状熱可塑性樹脂層
3を、その加熱溶融面が上記フッ素樹脂層2接合表層部
2aと対面するように配置する。ついで、圧力0.1〜
30kgf/cm2 ,時間0.5〜10分間の条件で、
プレス機で両シートをプレスしながら室温まで冷却し
て、両者を接着させる。このようにして、フッ素樹脂層
2の上に熱可塑性樹脂層3が積層形成されたシート状積
層体1を作製することができる。
【0043】一方、ゴム層を形成する場合は、上記熱可
塑性樹脂層を形成する場合と同様に、シート状未加硫ゴ
ムを準備し、これを上記シート状フッ素樹脂層2接合表
層部2aの上に配置する。ついで、圧力0.1〜30k
gf/cm2 ,時間0.5〜10分間の条件で、プレス
機で両シートをプレスし、シート状フッ素樹脂層2にシ
ート状未加硫ゴムを圧着させる。そして、このシート状
未加硫ゴムを加硫することにより、フッ素樹脂層2の上
にゴム層3が積層形成されたシート状積層体1を作製す
ることができる。上記ゴム加硫の条件は、用いるゴムの
種類等により適宜決定されるが、通常、150〜180
℃×20〜90分である。また、上記プレス時におい
て、加熱処理を施してプレス加硫を行うこともできる。
このプレス加硫の条件としては、圧力は上記プレスと同
一であり、上記ゴム加硫は、ゴムの種類により適宜決定
されるものである。このプレス加硫を行うことにより、
上記プレス圧着とゴム加硫とを一工程で行うことができ
るようになり、シート状積層体の製造効率が向上するよ
うになる。
【0044】なお、本発明の積層体では、フッ素樹脂層
の接合表層部に対し減圧プラズマ処理および必要に応じ
富酸素化空気処理を行い、この接合表層部に接着剤を塗
布した後、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成しても
よい。このように、接着剤を用いると、本発明の積層体
において上記両層の接着強度がより一層向上するように
なる。上記接着剤としては、ポリエステル系接着剤等が
あげられ、この他に、シラン系カップリング処理剤を使
用することもできる。この接着剤塗布による接着強度の
向上効果は、ゴム層を形成したときに顕著である。
【0045】このような一連の工程(図1参照)を経
て、シート状積層体が作製されるが、本発明の積層体
は、シート状の形態に限定されず、フッ素樹脂層と熱可
塑性樹脂層もしくはゴム層とが積層されているものであ
れば、その形態は問わない趣旨である。シート状以外の
形態の積層体としては、例えば、燃料タンクや薬品タン
ク等の容器形態の積層体があげられる。この場合、ガソ
リンや薬品と接触する内層としてフッ素樹脂層が形成さ
れ、この内層の外周面に熱可塑性樹脂層等が形成される
という構成をとる。さらに、フッ素樹脂を用いた積層体
は、ガソリン等の燃料や薬品に対する耐腐食性に優れる
ため、チューブ形状に押出成形することにより自動車用
燃料ホースとして使用できる他、自動車等の燃料配管部
等に使用する部品や、薬品製造等に使用される部材等に
使用することができる。
【0046】このように、上記所定の条件で減圧プラズ
マ処理および必要に応じて富酸素化空気処理を施すこと
により、フッ素樹脂の接合表層部に対し水酸基が1.4
%以上の割合で導入されるようになる。前述のように、
この水酸基量は、ESCAで測定した値をいう。このE
SCAは、光電子分光装置(例えば、ES−200,国
際電気社製)を用い、フッ素樹脂接合表層部を分析する
方法である。この測定条件は、例えば、以下に示す通り
である。
【0047】励起X線:Al,Kα1,2 線(1486.
6eV) X線出力:10kV,20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
【0048】なお、上記ESCAにおいて、フッ素樹脂
接合表層部の水酸基を直接検出するのではなく、水酸基
を化学修飾して検出することが、測定精度の上からも好
ましい。この水酸基の化学修飾について説明すると、フ
ッ素樹脂接合表層部に対し、下記の一般式(1)で表さ
れる含ケイ素反応試薬(HMDS)を接触させる。する
と、フッ素樹脂層表層部において、下記の反応式(2)
に示す反応が生起し、水酸基とケイ素(Si)とが置換
する。そして、このケイ素量をESCAで測定すること
により、フッ素樹脂接合表層部の水酸基量を定量するこ
とができる。
【0049】
【化1】
【0050】
【化2】
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の積層体は、フッ
素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成
されたものであって、上記フッ素樹脂層の接合表層部に
1.4%以上の割合で水酸基が存在する。このように、
特定割合以上の水酸基を接合表層部に有する改質フッ素
樹脂は、上記水酸基から奏される水素結合により、熱可
塑性樹脂もしくはゴムと、1.2N/mm以上の高い接
着力で接着するようになる。したがって、本発明の積層
体は、上記両層の剥離が発生しなくなり、耐久性に優れ
たものとなる。また、上記熱可塑性樹脂層として、耐摩
耗性等の力学的特性に優れたポリアミド樹脂層を形成す
れば、積層体の耐久性がより優れたものとなる。また、
フッ素樹脂層の接合表層部に、接着剤(シラン系カップ
リング処理剤,ポリエステル系接着剤等)を塗布して熱
可塑性樹脂層もしくはゴム層を積層形成すれば、上記両
層の接着強度がさらに向上するようになる。
【0052】また、本発明の積層体の製法は、フッ素樹
脂層の接合表層部に減圧プラズマ処理を施して水酸基を
導入した後、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成する
ものである。上記減圧プラズマ処理は、特殊な設備や装
置を必要としない簡易な方法であり、また有機溶剤等の
人体に有害な物質を使用しない方法であるため、本発明
の積層体の製法は、設備コスト等が低くくかつ安全な製
法となる。また、減圧プラズマ処理の後に、さらに富酸
素化空気処理を行えば、フッ素樹脂の接合表層部に充分
量の水酸基を導入することが可能となって、得られる積
層体の接着強度が著しく優れるようになる。そして、熱
可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成する際に、上記熱可
塑性樹脂等を加熱溶融してフッ素樹脂層接合表層部に直
接融着すれば、接着剤の塗布工程等を経ることなく積層
体を作製することができるようになり、製造効率が優れ
るようになる。
【0053】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0054】
【実施例1〜13,比較例1〜3】シート状フッ素樹脂
(ETFE)の接合表層部に対して、下記の表1〜表3
に示す条件の減圧プラズマ処理を行った。ついで、この
接合表層部の上に、一面を240℃で加熱溶融させたシ
ート状熱可塑性樹脂(ナイロン12)を、その加熱溶融
面と上記接合表層部とが対面するように配置し、圧力2
kgf/cm2 ,3分間の条件でプレス機で両シートを
プレスしながら室温まで冷却してシート状積層体を作製
した。このシート状積層体のサイズは、フッ素樹脂層の
厚みが0.2mmであり、熱可塑性樹脂層の厚みが2.
0mmである。
【0055】このようにして得られた各実施例品1〜1
3,比較例品1〜3のシート状積層体について、そのフ
ッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層との接着強度、およびフッ
素樹脂層接合表層部の水酸基量を調べた。この結果も併
せて下記の表1〜表3に示す。なお、上記接着強度およ
び水酸基量は、下記に示す方法により調べた。
【0056】〔接着強度〕接着強度は、90°剥離試験
により測定した。すなわち、図7に示すように、シート
状積層体1の一部を剥離させ、フッ素樹脂層2の剥離端
を、ストログラフ(東洋精機社製)を用い速度50mm
/分で、熱可塑性樹脂層3に対し垂直方向(矢印A)に
引っ張って剥離強度を測定し、この剥離強度を接着強度
とした
【0057】〔水酸基量〕上記接着強度試験に供したシ
ート状積層体のフッ素樹脂層側の剥離面の表層部につい
て、前述のHMDSを用い、水酸基とケイ素とを置換し
てESCA測定を行った。この時のESCA測定条件
は、下記に示す通りである。 励起X線:Al,Kα1,2 線(1486.6eV) X線出力:10kV,20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】上記表1〜表3から、フッ素樹脂層接合表
層部の水酸基量が1.4%以上である実施例品のシート
状積層体は、1.2N/mm以上の優れた接着強度を有
することが分かる。これに対し、フッ素樹脂層接合表層
部の水酸基量が1.4%未満である比較例品のシート状
積層体は、接着強度が1.2N/mm未満であった。特
に、減圧プラズマ処理をしなかった比較例品3のシート
状積層体では、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層とが接着
しなかった。
【0062】また、接着強度試験に供した実施例品11
のシート状積層体の剥離面の表層部についてESCA測
定を行い、フッ素樹脂接合表層部に存在する官能基につ
いて調べた。その結果、図4のグラフ図に示すように、
水素結合の存在が確認された。
【0063】そして、上記実施例1〜13,比較例1〜
3の結果から、フッ素樹脂層接合表層部の水酸基量
(%)とフッ素樹脂層および熱可塑性樹脂層の接着強度
との関係を調べた。この結果を図5のグラフ図に示す。
図示のように、フッ素樹脂層接合表層部に水酸基が1.
4%以上存在した場合に、接着強度が1.2N/mm以
上となったことがわかる。また、上記実施例1〜13,
比較例1〜3の結果から、減圧プラズマ処理のRF出
力,ガス圧力(減圧状態),フッ素樹脂層接合表層部の
水酸基量(%),フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層との接
着強度の四者の関係を調べた。この結果を図6のグラフ
図に示す。図において、グラフ図中の○は接着強度が
1.2N/mm以上であることを示し、×は接着強度が
1.2N/mm未満であることを示し、また、等高線
は、フッ素樹脂層接合表層部の水酸基量(%)を示す。
図示のように、所定の減圧プラズマ処理条件の範囲で、
フッ素樹脂接合表層部の水酸基量が1.4%以上となっ
て接着強度も1.2N/mm以上となったことがわか
る。
【0064】
【実施例14】フッ素樹脂(ETFE)の接合表層部に
対して、雰囲気ガス種類がAr,RF出力100W,減
圧条件266Pa,処理時間5秒の減圧プラズマ処理を
施した後、酸素含有量50体積%(20℃),相対湿度
RH70%の富酸素化空気処理を行った。ついで、この
接合表層部の上に、一面を240℃で加熱溶融したシー
ト状熱可塑性樹脂(ナイロン12)を、その加熱溶融面
と上記接合表層部とが対面するように配置し、圧力2k
gf/cm2 ,3分間の条件でプレス機で両シートをプ
レスしながら室温まで冷却してシート状積層体を作製し
た。このシート状積層体のサイズは、フッ素樹脂層の厚
みが0.2mmであり、熱可塑性樹脂層の厚みが2.0
mmである。
【0065】このようにして得られた実施例品14のシ
ート状積層体について、そのフッ素樹脂層と熱可塑性樹
脂層との接着強度およびフッ素樹脂層接合表層部の水酸
基量を、上記方法により調べた。この結果、フッ素樹脂
層接合表層部の水酸基量が3.0%であり、接着強度が
2.7N/mmであった。このことから、富酸素化空気
処理を行ったことにより、フッ素樹脂表層部に水酸基を
充分に導入することができ、これにともなって接着強度
も著しく向上したといえる。
【0066】
【実施例15〜17】フッ素樹脂層および熱可塑性樹脂
層を、下記の表4に示す材料および同表に示す条件で、
上記実施例1と同様の操作により形成してシート状積層
体を作製した。このシート状積層体のサイズは、フッ素
樹脂層の厚みが0.2mmであり、熱可塑性樹脂層の厚
みが2.0mmである。このようにして得られた実施例
品15〜17のシート状積層体について、上記方法で接
着強度および水酸基量を調べた。この結果も、同表に併
せて示す。
【0067】
【表4】
【0068】上記表4から、種々材料を用いて積層体を
形成しても、フッ素樹脂層接合表層部に水酸基が1.4
%以上で存在していれば、接着強度が1.2N/mm以
上となることがわかる。
【0069】
【実施例18〜21】フッ素樹脂層およびゴム層を、下
記の表5に示す材料および同表に示す条件で、前述のゴ
ム層形成法により形成してシート状積層体を作製した。
なお、シート状未加硫ゴム圧着のプレス条件は、20k
gf/cm2 ,0.5分間である。また、このシート状
積層体のサイズは、フッ素樹脂層の厚みが0.2mmで
あり、ゴム層の厚みが2.0mmである。このようにし
て得られた実施例品18〜21のシート状積層体につい
て、上記方法で接着強度および水酸基量を調べた。この
結果も、同表に併せて示す。
【0070】
【表5】
【0071】上記表5から、ゴム層を用いて積層体を形
成しても、フッ素樹脂層接合表層部に水酸基が1.4%
以上で存在していれば、接着強度が1.2N/mm以上
となることがわかる。
【0072】
【実施例22】フッ素樹脂(ETFE)の接合表層部に
対して、雰囲気ガス種類がAr,RF出力100W,減
圧条件266Pa,処理時間5秒の減圧プラズマ処理を
施した後、接着剤(シラン系カップリング処理剤)を塗
布した。ついで、この接合表層部の上に、シート状のN
BR未加硫ゴムを圧力20kgf/cm2 ,0.5分間
の条件でプレス機で圧着した。ついで、温度160℃,
時間45分間の条件で加硫処理を施し、シート状積層体
を作製した。このシート状積層体のサイズは、フッ素樹
脂層の厚みが0.2mmであり、ゴム層の厚みが2.0
mmである。
【0073】このようにして得られた実施例品22のシ
ート状積層体について、そのフッ素樹脂層とゴム層との
接着強度を、上記方法により調べたところ、接着強度が
3.5N/mmであった。このことから、接着剤処理を
行ったことにより、接着強度が著しく向上したといえ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、フッ素樹脂層を示す構成図であり、
(b)は、上記フッ素樹脂層接合表層部に対し減圧プラ
ズマ処理する状態を示す説明図であり、(c)は、上記
減圧プラズマ処理後のフッ素樹脂層接合表層部に富酸素
化空気を接触させる状態を示す説明図であり、(d)
は、上記フッ素樹脂接合表層部の上に熱可塑性樹脂層あ
るいはゴム層を積層形成する状態を示す構成図である。
【図2】本発明に使用する減圧プラズマ処理装置の一例
を示す構成図である。
【図3】ポリアミド樹脂とフッ素樹脂との間に水素結合
が存在する状態を示す説明図である。
【図4】水素結合の存在を示すグラフ図である。
【図5】水酸基量と接着強度との関係を示すグラフ図で
ある。
【図6】減圧プラズマ処理条件と、水酸基量と、接着強
度との関係を示すグラフ図である。
【図7】接着強度試験の実施状態を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 31/12 9349−4F C08J 5/12 CEQ CEW 7/00 CEW 306 // C08L 27:12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしく
    はゴム層が積層形成されている積層体であって、上記熱
    可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層
    の接合表層部に、水酸基が1.4%以上の割合で存在し
    ていることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層もし
    くはゴム層が直接積層形成されている請求項1記載の積
    層体。
  3. 【請求項3】 上記熱可塑性樹脂層が、ポリアミド樹脂
    層である請求項1または2記載の積層体。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂層の接合表層部の水酸基の存
    在割合が、光電子分光法による測定値である請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 【請求項5】 フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層もし
    くはゴム層が積層形成された積層体の製法であって、上
    記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹
    脂層の接合表層部に対して減圧プラズマ処理を施し、こ
    のフッ素樹脂層の接合表層部上に熱可塑性樹脂層もしく
    はゴム層を形成することを特徴とする積層体の製法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する
    上記フッ素樹脂層の接合表層部に対して減圧プラズマ処
    理を施した後、このフッ素樹脂層の接合表層部に富酸素
    化空気を接触させる請求項5記載の積層体の製法。
  7. 【請求項7】 富酸素化空気の酸素含有量が、富酸素化
    空気全体の20〜90体積%である請求項6記載の積層
    体の製法。
  8. 【請求項8】 富酸素化空気の水蒸気圧が、1〜40m
    mHgである請求項6または7記載の積層体の製法。
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