JPH08111339A - インダクタンス部品およびそれを用いた複合部品の製造方法 - Google Patents

インダクタンス部品およびそれを用いた複合部品の製造方法

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JPH08111339A
JPH08111339A JP24601194A JP24601194A JPH08111339A JP H08111339 A JPH08111339 A JP H08111339A JP 24601194 A JP24601194 A JP 24601194A JP 24601194 A JP24601194 A JP 24601194A JP H08111339 A JPH08111339 A JP H08111339A
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JP
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magnetic
magnetic material
conductor
spraying
inductance component
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JP24601194A
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Akihiko Ibata
昭彦 井端
Hajime Kawamata
肇 川又
Shigeo Suzuki
茂夫 鈴木
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線型の特性の優れた小型あるいは薄型のイ
ンダクタンス部品およびそれを用いた複合部品の製造方
法を提供することを目的とする。 【構成】 導線1を巻いた後、あるいは導線1を支持体
に巻いた後、磁性材料を溶射することによって、導線1
を磁性層2で覆ってインダクタンス部品を得る構成であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インダクタンス部品お
よびそれを用いた複合部品の製造方法に関し、特に巻線
型の特性の優れた小型あるいは薄型のインダクタンス部
品および複合部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インダクタンス部品の製造方法として
は、印刷磁性層と導体を交互に積層して得る積層インダ
クタ(例えば、特開昭55−91103号公報)および
同様の方法で得られる積層トランスなどが提案されてい
るが、必要なインダクタンスを得るためには巻数分だけ
の印刷磁性層と印刷導体とを積層印刷する必要がある。
また、フェライト磁性印刷層と導体層とを同時に焼成し
て得るため、低温で焼結が可能な限られたフェライト磁
性材料、例えばNiZnCu系フェライトを用いるのが
現状である。これは導体材料に低抵抗な銀を用いるため
であり、低温焼結のため十分な磁気特性は得られない。
さらに高性能化あるいは小形化等のために透磁率あるい
は磁束密度等の磁気特性の優れた他の磁性体、例えばM
nZn系フェライトあるいは金属系の高透磁率材料等は
電気抵抗が小さい等のため用いることができない。さら
に、導体層を印刷によって形成するため、断面積を大き
くして導体抵抗を下げることはできない。そのため、電
源用のコイルあるいはトランスに用いる場合には、導体
の損失も大きくなる。同様に磁性層を印刷法ではなくグ
リーンシート状の磁性層を用い、この磁性層上に導体を
印刷し、必要な巻数分だけ積層して得る方法もあるが、
前述したものと同様である。
【0003】また、以上のインダクタンス部品を用いた
複合部品では、例えばコンデンサとの複合部品では、誘
電体材料と電極材料からなるコンデンサと前述したフェ
ライト磁性材料と電極材料からなるインダクタとを同時
焼成して得るため、誘電体材料としての十分な誘電特性
を得ることはできない。さらに、同時焼成であるために
相互拡散、焼成雰囲気等の作製する上で種々の問題がさ
らに加わる。
【0004】一方、十分な条件で焼結したフェライト磁
性体に巻線した後、樹脂にフェライト粉末を混合し成型
して得る方法では優れた特性のインダクタンス部品を得
ることは困難であり、しかも小型のものは実現されてい
ない。巻線支持体としてはフェライト磁性体を単独で十
分焼成したものを使用でき、種々の系のフェライト磁性
体を用いることができ、優れたフェライト磁性体の磁気
特性を利用することができる。しかし、巻線に用いる被
覆銅線の被覆材料の耐熱性が乏しいため、その回りを樹
脂にフェライト粉末を混入した樹脂フェライトで覆うか
あるいは別のフェライト磁性体を組み合わせるかのいず
れかで磁気回路を形成する必要がある。樹脂フェライト
で覆う場合、コア材が優れた特性を有していても、覆う
磁性体の特性が悪いため、前述したように優れた特性を
得るのは困難となる。例えば、大きなインダクタンスを
得るためには巻数を大きくするか大きなコアを必要とす
る。この欠点をなくすために別のフェライト磁性体を用
いる方法では2つの磁性体のはめあいの調整が難しく、
十分な余裕が必要で大きなすき間が発生し、組み立てる
必要もある。また2つのフェライト磁性体としての強度
を確保するために、ある程度の肉厚が必要となる。その
ため小型化あるいは薄型化には限界がある。特に、この
ような構成は電源用に用いるインダクタンス部品に適用
されている。この場合、2つの磁性体のすき間はインダ
クタンスおよび直流重畳特性とに密接に関係し、寸法許
容差を考慮した、無駄の多い設計を余儀なくされる。前
述したように工数の多い方法である。
【0005】また、以上の巻線型のインダクタンス部品
を用いた複合部品では、例えば個々にコンデンサ、イン
ダクタ等を形成し、単一部品を組み合わせて複合部品を
得るものであり、単なる個々の部品を組み立てたもの
で、インダクタに関しては前述したような問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまでに種々のイン
ダクタンス部品の製造方法が提案されている。大きく2
つに分類でき、1つは積層型のもので、もう1つは巻線
型である。積層型では小型化は達成されているものの、
巻数分だけ各層を積層するため非常に工数の多い方法で
あり、しかも高温で焼成する必要がある。一方、巻線型
は低抵抗であるが、小型で優れた特性のものが得られて
いない。特に、ノイズ吸収用は低特性である。このよう
に従来のインダクタンス部品では、導線の低抵抗をいか
し、小型化あるいは薄型化を可能にし、種々の磁性材料
の特性を十分に発揮して優れた特性を得ることができな
いという問題点を有していた。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、安価で低抵抗でしかも巻線しやすい導線の特徴を維
持しながら、小型化あるいは薄型化を可能にし、種々の
磁性材料の十分な磁気特性をも発揮できるように使用し
た高性能で、特性の可変範囲の大きいインダクタンス部
品あるいは複合部品の製造方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに本発明の製造方法は、導線を巻いた後あるいは支持
体に導線を巻いた後、磁性材料を溶射することによって
導線あるいは支持体を磁性層で覆う工程を有した構成で
ある。
【0009】
【作用】本発明の製造方法によれば、インダクタンス部
品のコイル本体、つまり電流が流れる部分が導線である
ため、簡単に必要な巻数を得ることができる。特性的に
は、非常に低抵抗が実現できる。さらに、安価な材料で
もある。一方、磁束の流れる部分、磁気回路は磁性材料
を溶射することによって形成するため、非常に短時間に
磁性層を形成することができ、構造的にも磁性層を導線
に接近させることが可能であり、優れた磁気特性を有す
るため、優れた電磁気特性が得られ、さらに、空間的な
無駄を極力排除できるため、小型化あるいは薄型化が可
能である。また、支持体を用いると、巻線作業が簡単に
なり、支持体に磁性体を用いるとさらに特性の向上を図
ることができる。以上の支持体あるいは溶射によって形
成する磁性層の一部に非磁性材料を組み合わせることに
よって、インダクタンス、直流重畳特性あるいは周波数
特性等の諸特性が種々のものを得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例のインダクタンス部
品および複合部品の製造方法について説明する。
【0011】第1の実施例のインダクタンス部品の製造
方法は、導線を巻いた後、磁性材料を溶射することによ
って前記導線を磁性層で覆ってインダクタンス部品を得
るものである。第2の実施例は支持体に導線を巻いた
後、磁性材料を溶射することによって前記支持体と導線
とを磁性層で覆ってインダクタンス部品を得る方法であ
る。
【0012】また、本発明の複合部品の製造方法は、前
記の第1あるいは第2の実施例の方法において、あらか
じめ形成した抵抗、コンデンサあるいはインダクタを加
えた方法であり、前記とほぼ同様の方法である。
【0013】導線として代表的なものに被覆銅線があ
る。被覆銅線以外にも、電気的に導体であればどのよう
なものでもよく、被覆の必要性はない。しかし、導線を
巻いたりあるいは電気導電性を有する材料と接する状態
で使用する場合には絶縁材料で被覆した導線である必要
がある。導線に磁性材料を溶射して磁性層で覆うため、
導線の被覆材料は一般に多用されているポリウレタンあ
るいはポリイミド等の安価で耐熱性に乏しいものでも破
壊されることはない。つまり、十分な耐熱性がなくても
利用できる。しかも、導線の近傍に磁性層が存在するた
め、電磁気特性あるいは漏洩磁束等で非常に有利であ
る。
【0014】第1の実施例ではこの導線だけを巻き、第
2の実施例では支持体にこの導線を巻く。これによって
インダクタンス部品の電流の流れる部分は形成できる。
第2の実施例では磁気回路の一部分も既に支持体によっ
て形成できる。
【0015】次に、この導線に磁性材料を溶射すること
によって、前記の導線を磁性層で覆って、インダクタン
ス部品が得られる。
【0016】磁性材料を溶射することによって磁性層を
得るが、磁性材料の替わりに非磁性材料を溶射して非磁
性層を形成し、導体を磁性層以外に非磁性層を含む複数
層で覆ってもよい。つまり、導体を覆う層は少なくとも
磁性材料を溶射することによって形成した磁性層が少な
くとも一層含まれていればよい。同様のことが支持体に
ついてもいえる。つまり、支持体は磁性体あるいは非磁
性体のいずれか一方あるいは両者の混合体ないしは複合
体から構成されたものを用いればよい。このように、非
磁性層を含めたり、あるいは支持体を用いる場合に、支
持体の全部ないし一部に非磁性体を用いることによっ
て、得られるインダクタンス部品の重畳特性などの電気
特性を調整できる。例えば、磁気回路的に開磁路構成と
し、ギャップを設けることによって重畳特性を改善す
る。
【0017】磁性材料を溶射することによって磁性層を
形成する。非磁性層を併用する場合は、非磁性材料を溶
射することによって非磁性層を形成する。また、支持体
も磁性材料(磁性体)と非磁性材料(非磁性体)に分け
ることができる。
【0018】磁性材料とは、透磁率の高い材料、軟質磁
性材料をいい、金属あるいは合金系の高透磁率材料と酸
化物系の高透磁率材料に大きく分かれる。前者には鉄、
Fe−Si系、Fe−Al系、Co−Fe系、センダス
ト、パーマロイあるいは非晶質合金などがある。後者に
はソフトフェライトがあり、MnZn系、NiZn系、
CuZn系あるいはCuZnMg系などの種々のスピネ
ル型のフェライトがある。本発明の製造方法で用いられ
る磁性材料としては導電性であっても絶縁性であっても
よいが、導線の被覆の有無あるいは導線に接する層で限
定される。強磁性あるいはフェリ磁性を示し、透磁率が
大きい軟質特性を有すればよい。前述した高透磁率材料
はすべて溶射することによって磁性層を形成することが
できる。
【0019】非磁性材料とは磁気的には反磁性、常磁性
あるいは反強磁性のものをいい、電気的には導電性か絶
縁性のいずれでもよい。しかし、扱いやすさからは絶縁
性が望ましい。代表的な材料としては、アルミナ、ムラ
イト、ベリリア、ステアタイト、フォルステライト、マ
グネシア、チタニア等の各種セラミックスあるいは各種
のガラスセラミックスなどがある。
【0020】本発明の最も単純な製造方法は、導線を巻
いた後、磁性材料を溶射することによって磁性層で覆
い、インダクタンス部品を得る方法である。インダクタ
ンス部品を構成するためには、最低導線が必要である。
導線を巻くというのは、一般的にはインダクタンスを大
きくするために行う行為であり、小さくてもよい場合は
直線状でもよい。つまり、導線はほぼ直線状かあるいは
巻いた状態であればよい。この導線に磁性材料を溶射す
ることによって、非常に簡単に小型のあるいは薄型の高
性能なインダクタンス部品を得ることができる。導線を
溶射によって形成した磁性層で覆うため、必要最低限の
磁性層で電気特性の向上と導線の固定ができる。しかも
耐熱性に乏しい被覆銅線の使用が可能になる。このた
め、インダクタンス部品の小型化、薄型化あるいは低コ
スト化が可能となる。磁性層を磁性材料だけで構成する
か、非磁性層を1層ないしそれ以上含ませるかあるいは
混合材料にするかは、必要な電気特性、例えばインダク
タンス、インピーダンスや周波数特性から適宜選択すれ
ばよい。さらに、多くの場合、必要なインダクタンスは
大きいため、導線は巻線状となる。巻き付ける支持体が
あれば巻線がしやすくなる。この巻き付けるための支持
体(コア)の形状は中実体あるいは中空体のいずれでも
よい。また、磁性材料あるいは非磁性材料のいずれにす
るかは前述したように、必要な電磁気特性から望ましい
材料を選択すればよい。このように、導線あるいは支持
体と導線に磁性材料を溶射することによって、これらを
固定あるいは被覆するため、いずれの構成物も必要最低
限の量で済み、空間的にも無駄な部分が存在しない。そ
のためインダクタンス部品の小型化、薄型化あるいは低
コスト化が可能となる。
【0021】本発明の複合部品の製造方法におけるあら
かじめ形成した抵抗、コンデンサあるいはインダクタに
は特に限定はない。つまり、いかなる部品上にもあらか
じめ巻いた状態にした導線あるいは支持体に巻き付けた
導線を固定した後、磁性材料を溶射することによって前
記の抵抗、コンデンサあるいはインダクタの少なくとも
一部分と導線とを磁性層で覆って複合部品を得ることが
できる。あらかじめ形成した抵抗、コンデンサあるいは
インダクタには特に限定がないため、優れた特性を有す
るような工程で形成できる。複合部品としても高性能な
ものが得られる。また、前述したような異種材料の同時
焼成という工程を経ないと作製できないものではないた
め、相互拡散、同時焼成条件等への配慮がまったく不要
である。つまり、本発明のインダクタンス部品の製造方
法は、焼成をせずに優れた特性を有する磁性層を形成で
きることが非常に大きなメリットである。そのため、本
発明の複合部品の製造方法において、あらかじめ形成し
た抵抗、コンデンサあるいはインダクタに限定はなく、
あらゆるタイプのものと整合性がとれるのである。
【0022】本発明のインダクタンス部品の製造方法
は、導線に磁性粒子を溶射することで、導線を磁性層で
覆う方法あるいは支持体と導線に磁性粒子を溶射するこ
とで、支持体と導線を磁性層で覆う方法などがある。溶
射によって形成する磁性層に非磁性層を含めるために
は、例えば、導線に磁性粒子を溶射して導線を磁性層で
覆い、さらに非磁性粒子を溶射して非磁性層を形成する
方法あるいはその逆にまず導線に非磁性粒子を溶射して
導線を非磁性層で覆い、さらに磁性粒子を溶射して磁性
層を形成する方法などがある。なお、磁性粒子あるいは
非磁性粒子は前述した磁性材料あるいは非磁性材料から
なる粒子をいう。
【0023】溶射方法としては、アーク溶射法、ガス溶
射法あるいはプラズマ溶射法があるが、溶射材料の選択
範囲(溶射可能な材料の範囲)や雰囲気調整のしやすさ
の点からはプラズマ溶射法が最も優れている。アーク溶
射法は導電性材料を溶射するのに適しており、ガス溶射
法は導電性あるいは絶縁性のいずれかであってもよい
が、ガスを燃焼させる点で雰囲気制御に難がある。プラ
ズマ溶射法では、プラズマの作動ガスとしてアルゴン、
ヘリウム等の不活性ガスや窒素、水素等を用いることが
できる。また、溶射する材料の形態は一般には粉末状で
あり、粉末を供給するガス、キャリアガスに前記の各ガ
ス以外に空気、酸素等を用いることによって、溶射の雰
囲気制御が可能である。溶射可能な材料から、前記の3
つの溶射法を比較すると、プラズマ溶射法、ガス溶射
法、アーク溶射法の順で溶射できる材料範囲が小さくな
る。つまり、プラズマ溶射法では低融点材料から高融点
材料の非常に多くの材料を溶射することができる。
【0024】次に、本実施例を具体的に図を用いて、さ
らに詳述する。図1に本発明のインダクタンス部品の製
造過程の斜視図を示す。図1において、1は導線であ
り、2は磁性材料を溶射して形成した磁性層である。ま
ず、図1(a)に示すように導線1を巻く。次に図1
(b)に示すように磁性材料を溶射することによって、
導線1を磁性層2で覆う。これによって、導線1が溶射
によって形成した磁性層2で覆われたインダクタンス部
品を得ることができる。前述したように、磁性層2は必
ずしも透磁率の高い磁性材料だけで構成する必要はな
い。非磁性材料を溶射して得られる非磁性層を1層以上
含んでもよい。あるいは非磁性材料と磁性材料を混合し
た材料を溶射してもよい。
【0025】図2に本発明の第2の例のインダクタンス
部品の製造過程の斜視図を示す。図2において、3は導
線1を支持する支持体である。まず、図2(a)に示す
ような支持体3を用いる。次に図2(b)に示すよう
に、支持体3に導線1を巻く。さらに、図2(c)に示
すように、導線1を巻いた支持体3に磁性材料を溶射す
ることによって、これらを磁性層2で覆い、インダクタ
ンス部品が得られる。
【0026】複合部品を得る方法は前述した方法とほぼ
同じである。例えば図1の導線1の下にあらかじめ形成
した抵抗あるいはコンデンサ等と置いた状態で、磁性材
料を上から溶射すれば、複合部品が得られる。図3にこ
のような工程で得られた複合部品の一例の透視斜視図を
示す。図3において、4はコンデンサである。図3の例
ではコンデンサ上にインダクタンス部品を形成した場合
である。複合部品としては図3に示した以外に、抵抗と
インダクタあるいはインダクタとインダクタがあるが、
これまで述べたように本発明以外のインダクタとの組み
合わせの特長は少ない。複合部品としては前述の2個の
組み合わせ以外に3個以上の組み合わせでもよい。
【0027】導線1としては、通常一般によく多用され
る被覆銅線でよく、他にニッケル、銀、金、白金等の導
電性材料であればよい。
【0028】磁性層2および支持体3は磁性材料と非磁
性材料に分けることができる。磁性材料とは、前述した
ように透磁率の高い材料、軟質磁性材料をいい、金属あ
るいは合金系の高透磁率材料と酸化物系の高透磁率材料
に大きく分かれる。前者には鉄、Fe−Si系、Fe−
Al系、Co−Fe系、センダスト、パーマロイあるい
は非晶質合金などがある。後者にはソフトフェライトが
あり、MnZn系、NiZn系、CuZn系あるいはC
uZnMg系などの種々のスピネル型のフェライトがあ
る。
【0029】スピネル型のフェライトを磁性材料として
用いる場合、溶射によって得られる磁性層の特性を優れ
たものにするには十分にフェライト化したものが望まし
い。フェライトの一般的な作製方法は、各種の原料酸化
物を所定量配合し、混合した後、仮焼した粉を成型し、
本焼成してフェライト磁性体を作製する。そのため一般
的なフェライト粉末は成型した後の本焼成を考慮した仮
焼条件である。つまり、例えば仮焼温度は800℃程度
の低温であり、本焼成は1200℃ぐらいの高温であ
る。しかし、溶射に用いるフェライト粉末は本焼成温度
ぐらいで仮焼した粉末が望ましい。これは後述するよう
に溶射によって得られる磁性層の特性が優れたものにな
るためである。
【0030】非磁性材料の代表的な材料としては、アル
ミナ、ムライト、ベリリア、ステアタイト、フォルステ
ライト、マグネシア、チタニア等の各種セラミックスあ
るいは各種のガラスセラミックスさらには窒化物、炭化
物、亜鉛フェライト、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリ
ウムなどがある。
【0031】前述したように、導線1、磁性層2および
支持体3は1つの物質で必ずしも構成する必要はなく、
種々の物質の混合物ないし複合物で形成してもよい。
【0032】このように、導線1あるいは導線1と支持
体3を磁性材料などを溶射することによって磁性層2で
覆ってインダクタンス部品を得ることによって、電気抵
抗が小さく、小型あるいは薄型のインダクタンス部品を
得ることができる。さらに、導線1を囲む磁性層2ある
いは支持体3の一部を非磁性材料にすることによって、
インダクタンス、インピーダンスあるいは周波数特性を
コントロールでき、どのような特性にも対応できる優れ
た電気特性を示すインダクタンス部品を得ることができ
る。また、電源用のコイルあるいはトランス等の場合、
直流重畳特性も必要になるが、この場合、導線1あるい
は導線1と支持体3を非磁性材料を溶射することによっ
て形成した非磁性層で覆い、さらに磁性材料を溶射する
ことによって磁性層で覆うことによって、優れた重畳特
性を有するインダクタンス部品を得ることができる。こ
のような方法で得たインダクタンス部品は前述した2つ
の焼結フェライトコアを組み合わせた従来のインダクタ
ンス部品に比較して、本発明の方法で得たインダクタン
ス部品の方がギャップ調整の精度が高いため、少ない巻
数あるいは小さな体積で十分なインダクタンスの確保、
漏洩磁束が小さい等の特徴が発揮され、シールド型の優
れた高性能なインダクタンス部品を得ることが可能とな
り、ノイズ対策あるいは高密度実装をも可能になる。
【0033】本発明の方法で得たインダクタンス部品を
チップ部品、表面実装部品とするためには外部電極も必
要不可欠である。例えば図2に示した端面、導線が交わ
る面に溶射によって導電層を形成するあるいは超微粒子
からなる導電性インクを塗布し、電極層を形成すればよ
い。さらに、これらの電極層上にさらにはんだ層の形成
も可能である。
【0034】導線1の形状としては、直線状、ソレノイ
ド型コイル、同一面に何周もしたスパイラル型コイルが
代表的であり、小形化に対してはソレノイド型コイルが
有効であり、薄型に関してはスパイラル型コイルが有効
である。ソレノイド型コイルとは図1などに示した形状
をいい、スパイラル型は蚊取り線香状のものをいう。セ
ラミック配線基板に直接本発明の方法でインダクタンス
部品を形成する場合などにはスパイラル型の導線1が優
れている場合がある。また、複合部品の場合も同様であ
る。
【0035】(実施例1)直径35μmのポリウレタン
被覆銅線を直線状に配置したものと5回巻いたものおよ
び直径0.5mmのNiZn系フェライト焼結体に5回巻
いたものにNiZn系フェライト粉末を溶射することに
よって、全面に厚みが0.2mmの磁性層、フェライト磁
性層を形成し、銅線を溶射フェライト層で覆った。溶射
はプラズマ溶射法を用い、作動ガスとしてアルゴンとヘ
リウムを使用した。それぞれ10l/分の流量にした。
アーク電流は440A、電圧は34Vであった。
【0036】このようにして得たインダクタのインダク
タンスを測定した。測定はLCRメータを用い、測定周
波数は500kHzである。直線状の導線の場合は100
nHであり、5回巻いたものは20μHで、フェライト
焼結体に5回巻いたものは25μHであった。導線が直
線状のものは測定器の限界周波数30MHzまでほぼフラ
ットな特性を示し、巻線状にしたものでも、周波数特性
は10MHz以上確保した。また、本発明のインダクタン
スの厚みは0.5mmないし1mm程度であり、薄型あるい
は小型のものが得られた。
【0037】このように本発明の方法で得たインダクタ
は優れた電気特例を示すインダクタンス部品であり、フ
ェライト焼結体を併用することも可能で、ポリウレタン
被覆銅線の使用も可能であった。また、インピーダンス
特性も評価したが、優れた特性を有していた。
【0038】さらに、溶射材料をMnZn系フェライト
粉末に換えて、前記と同様にインダクタを作製したとこ
ろ、各インダクタの特性は4〜6倍となり、周波数特性
にも大差は認められなかった。
【0039】(実施例2)ポリイミド被覆銅線を5回巻
いたものおよび直径0.5mmのアルミナ棒に被覆銅線を
5回巻いたものにNiZnCu系フェライト粉末を溶射
材料を用いて、全面に厚みが0.3mmのフェライト磁性
層を形成し、導線をフェライト磁性層で覆った。溶射条
件は実施例1と同じにした。
【0040】このようにして得たインダクタの特性を実
施例1と同様に測定した。アルミナ棒のないものは実施
例1で作製したフェライト焼結体の用いない5回巻のも
のと同等であった。アルミナ棒に巻いたものは10μH
であるが、周波数特性は改善されていた。
【0041】(実施例3)直径0.1mmのポリイミド被
覆銅線を断面がエの字状の形状のフェライト焼結体に5
回巻線した。次に、アルミナ粉末を用いてプラズマ溶射
し、フェライト焼結体と導線上の全面に0.1mmの厚み
のアルミナ層を形成した。さらに、MnZn系フェライ
ト粉末を用いてプラズマ溶射し、このアルミナ層上に
0.3mmの厚みのフェライト磁性層を形成した。なお、
プラズマ溶射条件は実施例1に示した条件と同じとし
た。
【0042】前記と同様にフェライト焼結体に5回巻線
したものに、MnZn系フェライト粉末を用いてプラズ
マ溶射し、この0.3mmの厚みのフェライト磁性層を形
成した。
【0043】このようにして得た2つのインダクタの特
性を実施例1と同様に測定した。アルミナ層を有するほ
うがインダクタンスは小さいが、直流重畳特性が非常に
フラットであった。このようにして、非磁性層を適宜設
けることによって、直流重畳特性を改善できる。
【0044】(実施例4)直径50μmのポリウレタン
被覆銅線をMnZn系フェライト焼結体に5回巻いたも
のにセンダスト粉末を溶射材料に用いて、全面に厚みが
0.2mmのセンダスト磁性層を形成し、銅線をセンダス
ト磁性層で覆った。溶射はプラズマ溶射法を用い、作動
ガスとしてアルゴンとヘリウムを用い、アルゴンを10
l/分の流量で、ヘリウムを5l/分の流量で使用し
た。アーク電流は400Aとした。
【0045】このようにして得たインダクタの特性をこ
れまでと同様に測定した。インダクタンスは80μHで
あった。
【0046】センダスト粉末の替わりに、パーマロイあ
るいは鉄粉末を用いて、プラズマ溶射法でそれぞれの磁
性層を形成したが、前記と同様に優れた電磁気特性を示
すインダクタンス部品を得た。
【0047】(実施例5)穴あきのNiZn系のフェラ
イト基板上に直径50μmのポリウレタン被覆銅線をス
パイラル型に5回巻きし、NiZn系フェライト粉末を
溶射材料に用いて、実施例1と同じ溶射条件で全面に厚
みが0.2mmのフェライト磁性層を形成し、銅線をフェ
ライト磁性層で覆った。
【0048】このようにして得たインダクタの特性をこ
れまでと同様に測定した。インダクタンスは20μHで
あった。
【0049】NiZn系フェライト粉末の替わりに、M
nZn系フェライト、センダスト、パーマロイ、Fe−
Siおよび鉄粉末のそれぞれを用いて、プラズマ溶射法
でそれぞれの磁性層を形成したが、前記と同様に優れた
電磁気特性を示すインダクタンス部品を得た。
【0050】(実施例6)直径0.5mmのNiZn系フ
ェライト棒に直径90μmのポリイミド被覆銅線を10
回巻いた。次に、仮焼温度が800℃と1200℃の2
種類のNiZn系フェライト粉末を用い、実施例1と同
じプラズマ溶射法で前記の巻線を施したフェライト棒に
フェライトを溶射し、厚み0.1mmの磁性層を形成し
た。溶射条件は実施例1と同じにした。
【0051】このようにして得たインダクタの特性を実
施例1と同様に測定した。1200℃で仮焼した粉を用
いたものは800℃仮焼の粉を用いたものに比べて、特
性が1.8倍優れていた。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明の製造方法によれ
ば、導線を巻いた後あるいは支持体に導線を巻いた後、
磁性材料を溶射することによって導線あるいは支持体を
磁性層で覆ってインダクタンス部品を得ることによっ
て、低抵抗で小型あるいは薄型であり、低コストなイン
ダクタンス部品を得ることができる。また、磁気回路の
構成材料の一部に非磁性材料を用いることで、広範囲の
電磁気特性を得ることができる。また、磁気回路のギャ
ップ形成を高精度で行うことができる。さらに、各種の
磁性体を巻線の支持体としても使用可能で、十分な磁気
特性を発揮した種々の磁性体を磁気回路の一部に用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本発明の製造方法の一
製造工程を示す斜視図
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の製造方法の
一製造工程を示す斜視図
【図3】本発明の製造方法で得た複合部品の構成を示す
透視斜視図
【符号の説明】
1 導線 2 磁性層 3 支持体 4 コンデンサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導線を巻いた後、磁性材料を溶射するこ
    とによって前記導線を磁性層で覆う工程を有したインダ
    クタンス部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体に導線を巻いた後、磁性材料を溶
    射することによって前記支持体と導線とを磁性層で覆う
    工程を有したインダクタンス部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体が磁性体あるいは非磁性体のいず
    れか一方あるいは両者の混合体もしくは複合体からなる
    請求項2記載のインダクタンス部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁性材料が主として十分フェライト化し
    たスピネル型のフェライト材料である請求項1または請
    求項2記載のインダクタンス部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 抵抗、コンデンサあるいはインダクタに
    あらかじめ巻いた状態の導線を固定した後、磁性材料を
    溶射することによって前記抵抗、コンデンサあるいはイ
    ンダクタの少なくとも一部分と前記導線とを磁性層で覆
    う工程を有した複合部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 抵抗、コンデンサあるいはインダクタに
    あらかじめ導線が巻かれた導体支持体を固定した後、磁
    性材料を溶射することによって前記抵抗、コンデンサあ
    るいはインダクタの少なくとも一部分と前記導体支持体
    とを磁性層で覆う工程を有した複合部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 支持体が磁性体あるいは非磁性体のいず
    れか一方あるいは両者の混合体ないしは複合体からなる
    請求項6記載の複合部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 磁性材料が主として十分フェライト化し
    たスピネル型のフェライト材料である請求項5または請
    求項6記載の複合部品の製造方法。
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