JPH08111288A - 分散型elランプおよびバインダー材料 - Google Patents

分散型elランプおよびバインダー材料

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JPH08111288A
JPH08111288A JP6243583A JP24358394A JPH08111288A JP H08111288 A JPH08111288 A JP H08111288A JP 6243583 A JP6243583 A JP 6243583A JP 24358394 A JP24358394 A JP 24358394A JP H08111288 A JPH08111288 A JP H08111288A
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JP
Japan
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lamp
paste
binder
dispersion type
light emission
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Application number
JP6243583A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Umezawa
宏 梅沢
Ikuo Fukui
育生 福井
Shigehiro Nagura
茂広 名倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度、湿度等環境の変化に対して安定な長寿
命の分散型ELランプおよびこのような分散型ELラン
プに使用されるバインダー材料を提供する。 【構成】 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステ
ルモノマーおよび必要に応じて共重合モノマーとの重合
体を、分散型ELランプの電極板間に設けられる発光層
および絶縁反射層のバインダー材料とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散型ELランプ、特
には広告,看板等の標識表示用途や、液晶ディスプレイ
等のバックライト光源として有用な長寿命を有する分散
型ELランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、種々の形状や発光面積が選択でき
る均一な平面発光体としてELランプが注目されてきて
いるが、中でも高誘電有機バインダーを使用する分散型
ELランプは、薄く軽量な上、大面積が容易で安価なた
め、液晶ディスプレイのバックライト光源あるいは、常
夜灯等への応用が期待されている。かかる分散型ELラ
ンプは金属箔または金属薄板からなる背面電極、酸化チ
タン酸バリウム等の無機高誘電体粉末を高誘電有機バイ
ンダーに分散させて薄膜を形成させた絶縁反射層、蛍光
体粉末を高誘電有機バインダーに分散させて薄膜を形成
した発光層、および酸化インジウム等をポリエステル等
の絶縁性フィルム上に蒸着して形成した透明電極とから
なる積層体を、必要に応じてガラス,ポリクロロトリフ
ルオロエチレン等の透明防湿材料で封止した構成を有す
るものである。そして表面電極と背面電極間に交流電場
を印加することにより蛍光体が励起され発光を与える。
【0003】従来、上記高誘電バインダーとして、シア
ノエチルプルラン,シアノエチルセルロース,シアノエ
チルスターチ,シアノエチルポリビニルアルコール等の
水酸基を有する高分子をシアノエチル化したものが使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記高誘電バ
インダーは、原料高分子の有する水酸基の80〜97%
程度がシアノエチル基により置換されているものであ
り、3〜20%の水酸基が残存している。この遊離の残
存水酸基により、25℃,75%RH(相対湿度)にお
いて約4%程度の吸湿性を有している。
【0005】一方、発光体である蛍光体は耐湿性・耐水
性が低く、水分により劣化しがちである。このため、上
記高誘電有機バインダーの吸湿性により蛍光体層内部に
水分が吸着され、その水分によって蛍光体が経時的に劣
化することにより輝度低下が促進されるといった事態を
生じがちである。
【0006】この結果、従来の分散型ELランプは発光
寿命が短く、実用上満足いくレベルにないという問題点
を有している。
【0007】これらの問題を解決すべく、残存水酸基を
持たない高誘電体として、アクリル酸シアノエチルエス
テル等の重合体が報告された(高分子加工,vol.3
9(2),p.84〜87,(1990))。しかし、
これらは常温下でゴム状弾性体であるため、電極間で変
形を起こす。また誘電率、誘電損失が温度によって大き
く変動し、特に高温で誘電損失が大きくなるため消費電
力が増大するという問題があった。一方、メタクリル酸
シアノエチルエステル重合物は、比較的強度の高い成形
物を与えるものの誘電率が低く、目的とするバインダー
の性能を有するものは得られていない。
【0008】したがって、本発明の目的は、従来使用さ
れていたものより温度、湿度等環境の変化に対して安定
な長寿命の分散型ELランプおよびこのような分散型ラ
ンプに使用されるバインダー材料を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決のために鋭意検討した結果、式:
【化5】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーおよび必要に応じて共重合モノマーとの重
合体よりなる有機高誘電体が従来使用されていたものよ
り温度、湿度等の環境の変化に対して安定であり、これ
を有機バインダーとして用いた分散型ELランプが従来
品に比べ長寿命となることを見出し、本発明に想到し
た。
【0010】すなわち、上記目的を達成するために、請
求項1の分散型ELランプは、式:
【化6】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーおよび必要に応じて共重合体モノマーとの
重合体を該分散型ELランプの電極板間に設けられる発
光層または絶縁反射層のバインダー材料とすることを特
徴とする。なお、本発明の重合体は、バイダー材料とし
て発光層または絶縁反射層のいずれか一方に使用されて
も、従来使用されていたものより温度、湿度等環境の変
化に対して安定な長寿命の分散型ELランプを与える
が、発光層および絶縁反射層の両方に使用された場合、
より安定性の向上した分散型ELランプが得られる。
【0011】請求項2のELランプの電極板間に設けら
れる発光層または絶縁反射層のバインダー材料は、式:
【化7】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーおよび必要に応じて共重合体モノマーとの
重合体であることを特徴とする。
【0012】本発明の分散型ELランプのバインダー材
料として用いられる高誘電体は、式:
【化8】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーの重合体、または該α−フルオロアクリル
酸シアノエチルモノマーと共重合体モノマーとを必要に
応じて共重合させた共重合体であり、式:
【化9】 で示される、構造単位50モル%以上、好ましくは80
モル%以上から構成される。50モル%より少ない使用
量では、得られる重合体の高誘電性、環境の変化に対す
る安定性といった特有の性質が損なわれる傾向を示す。
本発明の重合体の数平均分子量は、通常7,000〜
3,000,000である。7,000よりも小さい場
合は、十分な強度のものが得られず、バインダー材料と
して使用することができない。一方3,000,000
を越える場合は重合体の溶剤に対する溶解性が小さくな
り、加工時に問題となる。
【0013】本発明で用いる、式:
【化10】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーは、以下の手順に従って製造することがで
きる。
【0014】すなわち、式:
【化11】 (式中、Xはハロゲン元素を表す)で示される、α−位
にフッ素を置換基として有するフッ素含有アクリル酸ハ
ライドと、エチレンシアノヒドリンとを反応させること
により、上記式のα−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルが得られる。
【0015】上記フッ素含有アクリル酸ハライドとして
は、たとえばα−フルオロアクリル酸クロリド、α−フ
ルオロアクリル酸ブロミド、α−フルオロアクリル酸フ
ルオリドが上げられ、これらは例えばα−フルオロアク
リル酸またはこれらの塩を塩化チオニル、五塩化リン、
三塩化リン、三臭化リン、ベンゾイルクロリド等のハロ
ゲン化剤と反応することによって容易に製造できるもの
である。
【0016】エチレンシアノヒドリンはフッ素含有アク
リル酸ハライドに対し、0.8倍モル以上、好ましくは
1.0倍モル〜3倍モルの量で使用される。0.8倍モ
ルよりも少ない使用量ではフッ素含有アクリル酸ハライ
ドの反応率低下により収率が低下する。3倍モルを越え
る使用量では過剰のエチレンシアノヒドリンの回収、精
製が必要となり操作が煩雑になる。
【0017】上記反応は好ましくは溶媒中で実施される
が、溶媒としては、上記フッ素含有アクリル酸ハライド
との反応性のないものならばいずれも使用でき、例えば
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタ
ン、1,2−クロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、
n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環式、または芳
香族炭化水素類等が示される。溶媒の使用量はフッ素含
有アクリル酸ハライドに対し、重量比で1〜50倍、特
には5〜20倍用いることが好ましい。1倍より少ない
使用量では、反応熱を十分に緩和できず副反応が起き
る。50倍を越える量では、バッチ当りの生産性が低
く、また使用溶剤の回収、精製等操作が煩雑となる。
【0018】また上記反応は、ハロゲン化水素酸補足剤
として塩基性物質の存在下に実施するのが有利であり、
その塩基性物質としては、トリエチルアミン、トリブチ
ルアミン等のトリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩
基が用いられる。塩基性物質はフッ素含有アクリル酸ハ
ライドに対し、0.5〜2モル好ましくは0.8〜1.
2モルの量で使用される。0.5モルより少ない量では
ハロゲン化水素酸補足剤として機能が十分に得られず、
一方2モルを越える使用量では過剰の塩基性物質の作用
により副反応が起きる。
【0019】反応条件としては、反応温度80℃以下、
好ましくは−20〜50℃で0.5〜48時間好ましく
は1〜10時間の条件で行うことによって、残存水酸基
のないα−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモ
ノマーが得られる。80℃よりも高い温度では副反応の
増加による収率低下、製品の着色等の問題がある。反応
時間が48時間を越える場合も同様な副反応が増加する
傾向にあり、一方0.5時間より短い場合は反応が十分
進行せず、収率が低下する。
【0020】本発明においては、上記α−フルオロアク
リル酸シアノエチルエステルモノマーを単独で重合させ
て得た重合体を使用することもできるが、これに対し必
要に応じて共重合モノマーを併用して共重合体を得て、
これを使用することもできる。併用しうる共重合モノマ
ーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリ
レート、シアノエチルアクリレート、2,2,2−トリ
フルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラ
フルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチ
ルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリ
レート、イソブチルメタクリレート、オクタフルオロペ
ンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、シアノエチルメタ
クリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクレ
ート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタク
リレート等のメタクリル酸エステル、スチレン、メチル
スチテン、フルオロスチレン等のスチレン誘導体、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、フッ化エチレン、フッ化ビニ
リデン等のハロゲン化ビニル類、ブタジエン、アクリロ
ニトリル、酢酸ビニル、シアノエチルビニルエーテル、
無水マレイン酸等が挙げられる。
【0021】これら共重合モノマーは、誘電特性、耐吸
湿性や耐熱性等の耐環境性、機械的強度等各種物性の調
整に応じて使用されるが、α−フルオロアクリル酸シア
ノエチルエステルモノマーに対し50モル%を越えない
量で使用される。上記の範囲を越える使用量では、重合
体の高誘電性、環境の変化に対する安定性、高い機械的
強度といった特有の性質が阻害されることがある。耐吸
湿性を高めるための共重合モノマーとしては、2,2,
2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3
−テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオ
ロペンチルクリレート、2,2,2−トリフルオロエチ
ルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロピルメタクリレート、フッ化エチレン、フッ化ビニリ
デン等のフッ素含有モノマーが特に好ましい。また誘電
率向上のためには、シアノエチルアクリレート、シアノ
エチルビニルエーテル等のシアノエチル基含有モノマー
との共重合が好ましい。
【0022】本発明におけるα−フルオロアクリル酸シ
アノエチルエステル重合体は、α−フルオロアクリル酸
シアノエチルエステルモノマーおよび必要に応じて共重
合モノマーを、通常の重合法に従って、例えば重合開始
剤および連鎖移動剤の存在下、塊状重合、溶液重合、縣
濁重合、乳化重合、光重合等を行なうことにより製造す
ることができる。
【0023】上記重合開始剤としては、例えばジアルキ
ルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、ケトンパーオ
キシド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パ
ーオキシジカーボネート、ハイドロパーオキシド等の過
酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,
2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリ)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロ
ピルプロピオニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の硫黄化合物等が挙げ
られる。
【0024】上記重合開始剤の使用量は、通常α−フル
オロアクリル酸シアノエチルエステル100重量部に対
し0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範
囲で選定すれば良い。使用量が必要以上に多い場合、α
−フルオロアクリル酸シアノエチルエステル重合体の分
子量が低下したり、あるいは未反応不純物として残存し
電気特性に悪影響を与える傾向がある。
【0025】上記連鎖移動剤としては、たとえばn−ブ
チルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメ
ルカプタン、ベンジルメルカプタン、シクロヘキシルメ
ルカプタン等のメルカプタン類が挙げられる。
【0026】上記連鎖移動剤の使用量は、通常α−フル
オロアクリル酸シアノエチルエステル100重量部に対
し5重量部以下、好ましくは1重量部以下の範囲で選定
すれば良い。この場合も必要以上の使用量では、重合開
始剤と同様な問題が生じる傾向がある。
【0027】本発明の高誘電体が、従来のシアノエチル
化物に対し吸湿性が低下し、かつ比較的高誘電を維持し
ているのは、その構造中に電子吸引性基であるシアノエ
チル基を持ち、強い親水性を示す水酸基ないことに起因
する。また、他のα−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステル重合体に見られる、高いフィルム強度等の特徴
も併せ持ち、変形の少ないバインダー材料として有用で
ある。
【0028】このバインダーを用いた分散型ELランプ
を作製するには、従来公知の方法が適用でき、従来使用
のバインダーを本発明に示される材料へ変更するだけで
も良い。分散型ELランプの作製方法を、以下に例示す
る。
【0029】分散型ELランプは一般に図1に示すよう
な構造であり、背面電極1、絶縁反射層2、発光体層
3、および透明電極4(透明導電膜5と透明導電性フィ
ルム6とからなる)とからなる積層体からなる構成を有
するもので、必要に応じてガラス,ポリクロロトリフル
オロエチレン等の透明防湿材料の防湿フィルム7で封止
することで吸湿によるELの輝度劣化を防止する方法が
とられる。またこの防湿フィルム7の内側に、水分補足
層を設けることも可能である。
【0030】各層に用いられる材料としては、背面電極
1にはアルミニウム、銀等の金属の箔やペースト等が例
示される。
【0031】絶縁反射層2は無機高誘電率物質を有機高
誘電バインダーに加えて成形されるが、この無機高誘電
率物質には例えばチタン酸バリウム,チタン酸鉛,二酸
化チタン等が挙げられる。これらの内ではチタン酸バリ
ウムが最も一般的であり、平均粒径として1〜5μmの
ものが好ましい。
【0032】発光体層3は蛍光体粉末を有機高誘電バイ
ンダーに混合分散させて形成されるが、この蛍光体には
従来公知のもの、例えば硫化亜鉛を母体材料とし、活性
剤として銅,マンガン,アルミニウム,臭素,塩素およ
びよう素等を添加して焼成したものが示されるが、これ
らは分散型ELランプとしたときの発光特性から平均粒
径を50μm以下とすることが好ましい。また、長寿命
化のためには既存の蛍光体の表面を金属酸化物等により
被覆防湿処理したものを使用することが特に好ましい。
【0033】透明電極4としてはポリエステル、セルロ
ースアセテートなどのプラスチックフィルムまたはガラ
ス板6の上に酸化インジウム、酸化スズなどの透明導電
膜5を被覆したものが挙げられる。
【0034】次に素子の作成方法を例示すると、背面電
極1上に絶縁反射層2を塗布し、さらに発光体層3を塗
布して形成させた後、透明電極4をラミネートする方
法、背面電極1上に絶縁反射層2を塗布したものと、透
明電極膜4上に発光体層3を塗布したものをラミネート
する方法、透明電極膜4上に蛍光体層3,絶縁反射層2
を塗布、積層した後背面電極層1を塗布またはラミネー
トする方法等が挙げられるが、本発明の高誘電体は上記
いずれの方法においても用いることができる。
【0035】発光体層3作成時に用いられる塗布溶液の
調製は、本発明の高誘電バインダーをアセトン、N,N
−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチル−
2−ピロリドン等の1種または2種以上の混合溶液に溶
解した液に、蛍光体粉末を添加すれば良く、この蛍光体
粉末の添加量は高誘電バインダーに対し重量比で0.7
〜4倍量が好ましく、0.7倍量より少ない場合は、蛍
光体層中の蛍光体粉末の濃度が小さ過ぎて素子にした場
合輝度が低下する恐れがあり、また4倍量を越える場合
は蛍光体粉末の分散が困難になる。
【0036】絶縁反射層2の作成に用いられる塗布溶液
の調製は、発光体層3作成塗布溶液と同様の方法がとら
れ、すなわち、本発明の高誘電バインダーをアセトン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メ
チル−2−ピロリドン等の1種または2種以上の混合溶
液に溶解した液に、無機高誘電率物質を添加して調製さ
れる。無機高誘電率物質の添加量は、高誘電バインダー
に対し重量比で1〜5倍量が好ましく、1倍量より少な
い場合は十分な絶縁耐力が得られず、また5倍量を越え
る場合は無機高誘電率物質の分散が困難になる。
【0037】塗布方法としては、スクリーン印刷法、ブ
レードコーティング法等が例示されるが、本発明の高誘
電体はいずれの方法においても用いることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を合成例,実施例,および比較
例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの
合成例等の記載により限定されるものではない。
【0039】合成例1 (1) α−フルオロアクリル酸クロリド22.5g
(0.207mol)を100mlの蒸留したジクロロ
メタンに溶解した溶液に、エチレンシアノヒドリン1
4.7g(0.207mol)とトリエチルアミン2
0.9g(0.207mol)との混合溶液を、5℃下
30分で滴下した。この混合物をさらに25℃下で2時
間攪拌混合した後、得られた固体を濾去した。濾液を
0.005gのハイドロキノンモノメチルエーテルの添
加後に減圧蒸留した。沸点71〜73℃(1mmHg)
を有する、無色透明液体のα−フルオロアクリル酸シア
ノエチルエステル19.2gが得られた。
【0040】(2) このα−フルオロアクリル酸シア
ノエチルエステルモノマー10gとアゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)0.01gおよびラウリルメルカ
プタン0.03g、ジメチルスルホキシド200gより
なる溶液を、耐圧ガラス容器中に仕込み、脱気した。次
いでこのガラス製容器を密封し、60℃下3時間加熱し
た。反応混合物を室温に冷却した後、得られた混合物を
1リットルのメタノール中に注ぎ込み、晶出させた。晶
出物を回収し、再びジメチルスルホキシド100gに溶
解した後1リットルのメタノール中に注ぎ込んで晶出さ
せた。この溶解−晶出による精製を3回繰り返した後精
製物を80℃下8時間乾燥し、無色固体のα−フルオロ
アクリル酸シアノエチルエステル重合体8.6gを得
た。
【0041】合成例2 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモノマー
10gに代えて、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー7.2g、アクリル酸シアノエチルエ
ステルモノマー6.2gを用いる以外は、合成例1
(2)と同様な反応、後処理を行った無色固体10.2
gが得られた。これを元素分析したところ、窒素含量が
10.4%であり、α−フルオロアクリル酸シアノエチ
ルエステルとアクリル酸シアノエチルエステルの1:1
(モル比)の共重合体であることがわかった。
【0042】合成例3 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモノマー
10gに代えて、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー7.2g、メタクリル酸2,2,2−
トリフルオロエチルエステルモノマー4.2gを用いる
以外は、合成例1(2)と同様な反応、後処理を行った
無色固体9.8gが得られた。これを元素分析したとこ
ろ、窒素含量が6.2%であり、α−フルオロアクリル
酸シアノエチルエステルとメタクリル酸2,2,2−ト
リフルオロエチルエステルの2:1(モル比)の共重合
体であることがわかった。
【0043】実施例1 合成例1で得たα−フルオロアクリル酸シアノエチルエ
ステル重合体を秤量し、N,N′−ジメチルホルムアミ
ドを加えて混合攪拌して均一なバインダー溶液を調製し
た。この溶液を2分して、その一方に平均粒径が30μ
mの蛍光体粉末(ZnS:Cu)をバインダー重量の
3.2倍量加え、均一に分散して発光層用ペーストと
し、もう一方のバインダー溶液には平均粒径1.4μm
のチタン酸バリウム粉末をバインダー重量の4.7倍量
加え、均一に分散して絶縁反射層用ペーストを調製し
た。
【0044】次に、80μm厚のアルミシート基板上に
スクリーン印刷法によって上記の絶縁反射層用ペースト
を印刷し、その乾燥後、同層上に同じくスクリーン印刷
法によって発光層用ペーストを印刷し、乾燥して発光層
を形成した。得られた層の厚さは絶縁反射層が約26μ
m、発光層が約58μmであった。
【0045】一方、透明導電性フィルム(エレクリスタ
300C、日東電工社製)の導電面側に給電線として銀
ペーストを印刷乾燥し、りん青銅よりなるリード電極を
取り付けた後、この給電印刷面に上記発光層を重ね合わ
せ、ロールラミネーターにより加熱圧着した。
【0046】背面電極となるアルミシートにリード電極
を取り付けた後、一体化した積層素子の両面をポリクロ
ロトリフルオロエチレンよりなる防湿シート(ELシー
ラー4810N−R、日東電工社製)をロールラミネー
ターにより圧着封止し、分散型ELランプを得た。この
素子は表1に示すように環境の変化に対し優れた安定性
を示し、優れた寿命を与えた。
【0047】実施例2〜3 合成例2〜3で得た樹脂を用いたほかは、実施例1と同
様な方法で分散型ELランプを得た。これらの素子は表
1に示すように環境の変化に対し優れた安定性を示し、
優れた寿命を与えた。
【0048】
【表1】
【0049】比較例1 プルラン(林原研究所製PF−20)30gを純水12
0gに溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液36gを
添加後アセトン120g、次いでアクリロニトリル15
0gを加え、室温下14時間反応した。酢酸13.5g
を添加して中和後、純水中に攪拌しながら注ぎ込み反応
物を晶出させた。得られた晶出物をアセトン再溶解後、
純水で再晶出させて精製した。この操作を3回繰り返し
た後、精製物を60℃で減圧下で乾燥して、白色の精製
シアノエチル化プルラン55gを得た。窒素分析の結果
から、シアノエチル化度が85%であった。
【0050】得られたシアノエチル化プルランを用い
て、実施例1と同様な方法により分散型ELランプを得
た。
【0051】比較例2 アクリル酸シアノエチルエステルモノマー10g、2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル0.01gをジメチ
ルスルホキシド50gに溶解し、アルゴンガス雰囲気中
で60℃下、1時間加熱した。冷却後、メタノールに注
ぎ、生成物を晶出させた。得られた晶出物をアセトンに
再溶解し、これをメタノールに注入して、再晶出させ
た。この操作を3回繰り返した後精製物を60℃で減圧
下で乾燥して、淡黄色ゴム状固体のアクリル酸シアノエ
チルエステル重合体8.5gを得た。得られた樹脂を用
いて、実施例1と同様な方法により分散型ELランプを
得た。
【0052】比較例3 アクリル酸シアノエチルエステルモノマー10gに代え
てアクリル酸シアノエチルエステルモノマー8.0gと
メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル
モノマー5.4gを用いる以外は比較例1と同様の反応
を行い、後処理を行ったところ、淡黄色固体10.8g
が得られた。これを元素分析したところ、窒素含量が
6.7%であり、アクリル酸シアノエチルエステルとメ
タクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステルの
2:1(モル比)の共重合体であることがわかった。得
られた樹脂を用いて、実施例1と同様な方法により分散
型ELランプを得た。
【0053】比較例3 合成例3で得たメタクリル酸シアノエチルエステル重合
体を用いたほかは、実施例1と同様な方法で分散型EL
ランプを得た。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、従来のシアノエチル化
物に対して耐吸湿性や耐熱性等の耐環境性に優れる高誘
電体を分散型ELランプの発光層および絶縁反射層のバ
インダーとして用いることにより従来のバインダーを用
いた場合に比べ、各層への水分の吸収が抑制され、従っ
て水分による蛍光体の劣化が妨げられ、また広い温度範
囲で安定であるため長寿命の分散型ELランプを提供で
き、面状発光体として工業的に広く応用できる。バイン
ダーの吸湿性が小さいことにより、ELランプとして従
来必要とされていた防湿フィルムによる封止がなくても
長時間の寿命が達成できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる分散型ELランプの構造を説明
する断面図である。
【符号の説明】
1 背面電極 2 絶縁反射層 3 発光体層 4 透明電極 5 透明導電膜 6 透明導電性フィルム 7 防湿フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 名倉 茂広 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
    テルモノマーおよび必要に応じて共重合モノマーとの重
    合体を、分散型ELランプの電極板間に設けられる発光
    層または絶縁反射層のバインダー材料とすることを特徴
    とする分散型ELランプ。
  2. 【請求項2】 式: 【化2】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
    テルモノマーおよび必要に応じて共重合体モノマーとの
    重合体であることを特徴とする分散型ELランプの電極
    板間に設けられる発光層または絶縁反射層のバインダー
    材料。
  3. 【請求項3】 式: 【化3】 で示される、構造単位50モル%以上から構成される重
    合体がバインダー材料であることを特徴とする請求項1
    の分散型ELランプ。
  4. 【請求項4】 式: 【化4】 で示される、構造単位50モル%以上から構成される重
    合体であることを特徴とする請求項2のバインダー材
    料。
JP6243583A 1994-10-07 1994-10-07 分散型elランプおよびバインダー材料 Pending JPH08111288A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6942916B2 (en) 2001-01-11 2005-09-13 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet printable electroluminescent media
CN100424575C (zh) * 1995-08-11 2008-10-08 夏普株式会社 透射型液晶显示器件

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CN100424575C (zh) * 1995-08-11 2008-10-08 夏普株式会社 透射型液晶显示器件
US6942916B2 (en) 2001-01-11 2005-09-13 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet printable electroluminescent media

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