JPH08104713A - 高誘電体 - Google Patents

高誘電体

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JPH08104713A
JPH08104713A JP23830394A JP23830394A JPH08104713A JP H08104713 A JPH08104713 A JP H08104713A JP 23830394 A JP23830394 A JP 23830394A JP 23830394 A JP23830394 A JP 23830394A JP H08104713 A JPH08104713 A JP H08104713A
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JP
Japan
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polymer
acrylate
cyanoethyl
fluoroacrylic acid
cyanoethyl ester
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JP23830394A
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Inventor
Hiroshi Umezawa
宏 梅沢
Ikuo Fukui
育生 福井
Shigehiro Nagura
茂広 名倉
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機電子材料等として用いられ、電気特性、
機械的強度及び耐湿性に優れた高誘電ポリマー組成物を
提供する。 【構成】 式: 【化1】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマー50モル%以上と、必要に応じて添加され
る共重合モノマー50モル%以下との重合体からなる高
誘電体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機電子材料である有
機分散型エレクトロルミネッセンス(EL)用バインダ
ーやコンデンサー材料として有用で、特に高い比誘電率
を有し、かつ耐湿性に優れた高誘電ポリマー組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、シアノエチル化高分子材料として
は、たとえばシアノエチル化セルロース、シアノエチル
化ヒドロキシアルキルセルロース(USP3,096,
289)、シアノエチル化ポリビニルアルコール、シア
ノエチル化プルラン(特開昭56−18601)、シア
ノエチル化フェノキシ樹脂(特開昭61−72021)
等が知られていた。有機電子材料の、例えばEL用バイ
ンダーとして、比誘電率を上げるのに有効な、双極子能
率の高いシアノ基を導入したこれらのポリマーは、原料
ポリマー内の水酸基をシアノエチル化して得られるもの
であるが、シアノエチル置換基導入率に限界があり、分
子内に遊離の水酸基が3〜20%残存しており、この残
存水酸基により25℃、相対湿度75%RHにおいて約
4%の吸湿性を有していた。
【0003】このため、電気・電子部品材料として使用
した場合、種々の問題が生ずる。例えば吸湿による電気
的特性値の変動や、EL用バインダーとして用いた場合
に、ELの寿命に悪影響を与える等の問題があった。
【0004】これらの問題を解決すべく、残存水酸基を
持たない高誘電体として、アクリル酸シアノエチルエス
テル等の重合体が報告された(高分子加工,Vol.3
9(2),p.84〜87,(1990))。しかし、
これらは常温下でゴム状弾性体であるため、電極間で変
形を起こす。また誘電率、誘電損失が温度によって大き
く変動し、特に高温で誘電損失が大きくなるため消費電
力が増大するという問題があった。共重合化によるアク
リル酸シアノエチルエステルの高誘電化と成形性向上の
試みにおいても両者を満足させるものは得られていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電気
的特性、機械的強度及び耐湿性に優れた高誘電ポリマー
組成物を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決のために鋭意検討した結果、式:
【化2】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマー50モル%以上と、必要に応じて添加され
る共重合モノマー50モル%以下との重合体よりなる有
機高誘電体が、従来使用されていたものより温度、湿度
等環境の変化に対して安定であり、また機械的強度が高
いことを見出し、本発明に想到した。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
高誘電体は、式:
【化3】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テルモノマーおよび必要に応じて添加される共重合モノ
マーとの重合体であり、式:
【化4】 で示される構造単位50モル%以上、好ましくは80モ
ル%以上から構成される。50モル%より少ない使用量
では、得られる重合体の高誘電性、環境の変化に対する
安定性、高い機械的強度といった特有の性質が損なわれ
る傾向を示す。
【0008】本発明の重合体の数平均分子量は、通常
7,000〜3,000,000である。7,000よ
りも小さい場合は、十分な強度のものが得られず、バイ
ンダー材料として使用することができない。一方3,0
00,000を越える場合は重合体の溶剤に対する溶解
性が小さくなり、加工時に問題となる。
【0009】本発明で用いる、式:
【化5】 で示されるα−フルオロアクリル酸シアノエチルエステ
ルモノマーは、以下の手順に従って製造することができ
る。
【0010】すなわち、式:
【化6】 (式中、Xはハロゲン元素を表す)で示される、α−位
にフッ素を置換基として有するフッ素含有アクリル酸ハ
ライドと、エチレンシアノヒドリンとを反応させること
により、上記式のα−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルが得られる。
【0011】上記フッ素含有アクリル酸ハライドとして
は、例えばα−フルオロアクリル酸クロリド、α−フル
オロアクリル酸ブロミド、α−フルオロアクリル酸フル
オリド等が挙げられ、これらは例えばα−フルオロアク
リル酸またはこれらの塩を塩化チオニル、五塩化リン、
三塩化リン、三臭化リン、ベンゾイルクロリド等のハロ
ゲン化剤と反応することによって容易に製造できるもの
である。
【0012】エチレンシアノヒドリンはフッ素含有アク
リル酸ハライドに対し、0.8倍モル以上、好ましくは
1.0倍モル〜3倍モルの量で使用される。0.8倍モ
ルよりも少ない使用量ではフッ素含有アクリル酸ハライ
ドの反応率低下により収率が低下する。3倍モルを越え
る使用量では過剰のエチレンシアノヒドリンの回収、精
製が必要となり操作が煩雑となる。
【0013】上記反応は好ましくは溶媒中で実施される
が、溶媒としては、上記フッ素含有アクリル酸ハライド
との反応性のないものならばいずれも使用でき、例えば
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタ
ン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素
類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環式、また
は芳香族炭化水素類等が示される。溶媒の使用量はフッ
素含有アクリル酸ハライドに対し、重量比で1〜50
倍、特に5〜20倍用いることが好ましい。1倍より少
ない使用量では、反応熱を十分に緩和できず副反応が起
きる。50倍を越える量では、バッチ当りの生産性が低
く、また使用溶剤の回収、精製等操作が煩雑となる。
【0014】また上記反応は、ハロゲン化水素酸補足剤
として塩基性物質の存在下に実施するのが有利であり、
その塩基性物質としては、トリエチルアミン、トリブチ
ルアミン等のトリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩
基が用いられる。塩基性物質はフッ素含有アクリル酸ハ
ライドに対し、0.5〜2モル好ましくは0.8〜1.
2モルの量で使用される。0.5モルより少ない量では
ハロゲン化水素酸補足剤としての機能が十分に得られ
ず、一方2モルを越える使用量では過剰の塩基性物質の
作用により副反応が起きる。
【0015】反応条件としては、反応温度80℃以下、
好ましくは−20〜50℃で0.5〜48時間好ましく
は1〜10時間の条件で行なうことによって、残存水酸
基のないα−フルオロアクリル酸シアノエチルエステル
モノマーが得られる。80℃よりも高い温度では副反応
の増加による収率低下、製品の着色等の問題がある。反
応時間が48時間を越える場合も同様な副反応が増加す
る傾向にあり、一方0.5時間より短い場合は反応が十
分進行せず、収率が低下する。
【0016】本発明において、上記α−フルオロアクリ
ル酸シアノエチルエステルモノマーに対し必要に応じて
併用しうる共重合モノマーとしては、たとえばメチルア
クリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、n−オクチルアクリレート、シアノエチルアク
リレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレー
ト、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレ
ート、オクタフルオロペンチルアクリレート等のアクリ
ル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタク
リレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、シアノエチルメタクリレート、2,2,2−ト
リフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピルメタクリレート等のメタクリル酸
エステル、スチレン、メチルスチレン、フルオロスチレ
ン等のスチレン誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化エチレン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニ
ル類、ブタジエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、シ
アノエチルビニルエーテル、無水マレイン酸等が挙げら
れる。
【0017】これら共重合モノマーは、誘電特性、耐吸
湿性や耐熱性等の耐環境性、機械的強度等各種物性の調
整に応じて使用されるが、α−フルオロアクリル酸シア
ノエチルエステルモノマーに対し50モル%を越えない
量で使用される。上記の範囲を越える使用量では、重合
体の高誘電性、環境の変化に対する安定性、高い機械的
強度といった特有の性質が阻害されることがある。耐吸
湿性を高めるための共重合モノマーとしては、2,2,
2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3
−テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオ
ロペンチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエ
チルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルメタクリレート、フッ化エチレン、フッ化ビニ
リデン等のフッ素含有モノマーが特に好ましい。また誘
電率向上のためには、シアノエチルアクリレート、シア
ノエチルビニルエーテル等のシアノエチル基含有モノマ
ーとの共重合が好ましい。
【0018】本発明におけるα−フルオロアクリル酸シ
アノエチルエステル重合体は、α−フルオロアクリル酸
シアノエチルエステルモノマーおよび必要に応じて共重
合モノマーを、通常の重合法に従って、たとえば重合開
始剤および連鎖移動剤の存在下、塊状重合、溶液重合、
縣濁重合、乳化重合、光重合等を行うことにより製造す
ることができる。
【0019】上記重合開始剤としては、たとえばジアル
キルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、ケトンパー
オキシド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、
パーオキシジカーボネート、ハイドロパーオキシド等の
過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、
2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−シク
ロプロピルプロピオニトリル)、1,1′−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合
物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の硫黄化合物
等が挙げられる。
【0020】上記重合開始剤の使用量は、通常α−フル
オロアクリル酸シアノエチルエステル100重量部に対
し0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範
囲で選定すれば良い。使用量が必要以上に多い場合、α
−フルオロアクリル酸シアノエチルエステル重合体の分
子量が低下したり、あるいは未反応不純物として残存し
電気特性に悪影響を与える傾向がある。
【0021】上記連鎖移動剤としては、たとえばn−ブ
チルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメ
ルカプタン、ベンジルメルカプタン、シクロヘキシルメ
ルカプタン等のメルカプタン類が挙げられる。
【0022】上記連鎖移動剤の使用量は、通常α−フル
オロアクリル酸シアノエチルエステル100重量部に対
し5重量部以下、好ましくは1重量部以下の範囲で選定
すれば良い。この場合も必要以上の使用量では、重合開
始剤と同様な問題が生じる傾向がある。
【0023】本発明により得られた重合体の誘電率は、
ブリッジ法、吸収電流法等によって求めることができ
る。
【0024】誘電特性の測定方法を例示すれば、重合体
をアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロメ
タン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリ
ドン等の1種または2種以上の混合溶剤に溶解し、1m
mの平滑なアルミニウム板上に塗布した後、乾燥して溶
剤を完全に除去してフィルムを形成させる。このフィル
ム上にアルミニウム、銀等の金属を蒸着し、ブリッジ法
により静電容量を測定後、次式により比誘電率を算出す
る。 C:静電容量(F) d:電極間隔(m) ε0 :真空の誘電率 S:電極面積(m2
【0025】上記の方法により本発明の重合体の20
℃、1kHzにおける比誘電率はいずれも10以上を示
し、また高温域においてもこの値の変動が小さいことか
ら、広い温度範囲において安定した高誘電体であるとい
える。
【0026】このように、本発明の高誘電体は、その構
造中に電子吸引性基であるシアノエチル基を持ち、強い
親水性を示す水酸基がないことにより、比較的高誘電を
維持しかつ従来のシアノエチル化物に比し吸湿性が低下
し、さらにアクリル酸エステルのα−位のフッ素原子導
入により、高い強度を示す重合体となるため、広い温度
範囲で安定な特性を保つことができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によって
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記
載に限定されるものではない。
【0028】実施例1 α−フルオロアクリル酸クロリド22.5g(0.20
7mol)を100ミリリットルの蒸留したジクロロメ
タンに溶解した溶液に、エチレンシアノヒドリン14.
7g(0.207mol)とトリエチルアミン20.9
g(0.207mol)との混合溶液を、5℃下30分
で滴下した。この混合物をさらに25℃で2時間攪拌混
合した後得られた固体を濾去した。濾液を0.005g
のハイドロキノンモノメチルエーテルの添加後に減圧蒸
留した。沸点71〜73℃(1mmHg)を有する、無
色透明液体のα−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
テル19.2gが得られた。
【0029】このα−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー10gとアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)0.01gおよびラウリルメルカプタン
0.03g、ジメチルスルホキシド200gよりなる溶
液を、耐圧ガラス容器中に仕込み、脱気した。次いでこ
のガラス製容器を密封し、60℃下3時間加熱した。反
応混合物を室温に冷却した後、得られた混合物を1リッ
トルのメタノール中に注ぎ込み、晶出させた。晶出物を
回収し、再びジメチルスルホキシド100gに溶解した
後、1リットルのメタノール中に注ぎ込んで晶出させ
た。この溶解−晶出による精製を3回繰り返した後、精
製物を80℃下8時間乾燥し、無色固体のα−フルオロ
アクリル酸シアノエチルエステル重合体8.6gを得
た。
【0030】得られた重合体をジメチルホルムアミドに
溶解し、アルミニウムシート上にキャスティングし、1
00℃で2時間、次いで120℃で2時間乾燥し、厚さ
約50μmのフィルムを作成した。このフィルムの表面
にアルミを蒸着して測定試料をつくり、LFインピーダ
ンスアナライザ4192型(横河HP社製、商品名)を
用いて測定を行い、比誘電率、誘電正接の値を求めた。
【0031】得られた重合体を25℃にて相対湿度75
%RH雰囲気下に放置し、平衡吸湿量を測定した。また
この重合体をジメチルホルムアミドに溶解し、ガラス板
上にキャスティングし、100℃で2時間、次いで12
0℃で2時間乾燥し、厚さ約50μmのフィルムを作成
した。フィルムを1cm×4cm短冊型に裁断して試験
片とし、オートグラフDDS−10T−S(島津製作所
製)を用いて25℃、相対湿度55%RH雰囲気下で引
張り強度、伸び率を測定した。以上の測定結果を表1に
示した。本発明品は広い温度範囲で安定した電気特性を
示し、吸湿性が低く、または優れたフィルム特性を有す
ることがわかった。
【0032】実施例2 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモノマー
10gに代えて、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー7.2g、アクリル酸シアノエチルエ
ステルモノマー6.2gを用いる以外は、実施例1と同
様な反応、後処理を行ったところ、無色固体10.2g
が得られた。これを元素分析したところ、窒素含量が1
0.4%であり、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルとアクリル酸シアノエチルエステルの1:1
(モル比)の共重合体であることがわかった。得られた
共重合体の電気特性、平衡吸湿量、フィルム物性を実施
例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。本発明
品は広い温度範囲で安定した電気特性と低い吸湿性、良
好なフィルム特性が保たれていることがわかった。
【0033】実施例3 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモノマー
10gに代えて、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー7.2g、メタクリル酸2,2,2−
トリフルオロエチルエステルモノマー4.2gを用いる
以外は、実施例1と同様な反応、後処理を行ったとこ
ろ、無色固体9.8gが得られた。これを元素分析した
ところ、窒素含量が6.2%であり、α−フルオロアク
リル酸シアノエチルエステルとメタクリル酸2,2,2
−トリフルオロエチルエステルの2:1(モル比)の共
重合体であることがわかった。得られた共重合体の電気
特性、平衡吸湿量、フィルム物性を実施例1と同様の方
法で求めた結果を表1に示した。本発明品は広い温度範
囲で安定した電気特性と低い吸湿性、良好なフィルム特
性が保たれていることがわかった。
【0034】比較例1 α−フルオロアクリル酸シアノエチルエステルモノマー
10gに代えて、α−フルオロアクリル酸シアノエチル
エステルモノマー4.8g、メタクリル酸2,2,2−
トリフルオロエチルエステルモノマー11.2gを用い
る以外は、実施例1と同様な反応、後処理を行ったとこ
ろ、無色固体12.2gが得られた。これを元素分析し
たところ、窒素含量が2.9%であり、α−フルオロア
クリル酸シアノエチルエステルとアクリル酸シアノエチ
ルエステルの1:2(モル比)の共重合体であることが
わかった。得られた共重合体の電気特性、平衡吸湿量、
フィルム物性を実施例1と同様の方法で求めた結果を表
1に示した。表1より、電気特性に劣ることがわかる。
【0035】比較例2 プルラン(林原研究所製PF−20)30gを純水12
0gに溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液36gを
添加後、アセトン120g、次いでアクリロニトリル1
50gを加え、室温下14時間反応した。酢酸13.5
gを添加して中和後、純水中に攪拌しながら注ぎ込み反
応物を晶出させた。得られた晶出物をアセトンに再溶解
させた後、純水で再晶出させて精製した。この操作を3
回繰り返した後、精製物を60℃で減圧下で乾燥して、
白色の精製シアノエチル化プルラン55gを得た。窒素
分析の結果から、シアノエチル化度が85%であった。
得られたシアノエチル化プルランの電気特性、平衡吸湿
量、フィルム物性を実施例1と同様の方法で求めた結果
を表1に示した。表1より、耐湿性に劣ることがわか
る。
【0036】比較例3 アクリル酸シアノエチルエステルモノマー10g、2,
2′−アゾイソブチロニトリル0.01gをジメチルス
ルホキシド50gに溶解し、アルゴンガス雰囲気中で6
0℃下、1時間加熱した。冷却後、メタノールに注ぎ、
反応物を晶出させた。得られた晶出物をアセトンに再溶
解し、これをメタノールに注入して、再晶出させた。こ
の操作を3回繰り返した後、精製物を60℃で減圧下で
乾燥して、淡黄色ゴム状固体のアクリル酸シアノエチル
エステル重合体8.5gを得た。得られた共重合体の電
気特性、平衡吸湿量、フィルム物性を実施例1と同様の
方法で求めた結果を表1に示した。表1より、耐熱性お
よびフィルム物性の劣ることがわかる。
【0037】比較例4 アクリル酸シアノエチルエステルモノマー10gに代え
てアクリル酸シアノエチルエステルモノマー8.0gと
メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル
モノマー5.4gを用いる以外は比較例1と同様の反応
を行い、後処理を行ったところ、淡黄色固体10.8g
が得られた。これを元素分析したところ、窒素含量が
6.7%であり、アクリル酸シアノエチルエステルとメ
タクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステルの
2:1(モル比)の共重合体であることがわかった。こ
の共重合体の電気特性、平衡吸湿量、フィルム物性を実
施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。表1
より、耐熱性およびフィルム物性の劣ることがわかる。
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、従来のシアノエチル化
物と比べて遊離の水酸基を持たないことから低い吸湿性
を有し、かつ比較的高い誘電率を維持し、また半導電性
領域の体積固有抵抗値を示す高誘電体を得ることができ
る。
【0039】また共重合組成の選択により、例えば疎水
性の高い2,2,2−トリフルオロエチルアクリレー
ト、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレ
ート等のフッ素含有モノマーとの共重合による吸湿性の
低下、またシアノエチルアクリレート、シアノエチルビ
ニルエーテル等のシアノエチル基含有モノマーとの共重
合による誘電率向上、その他ガラス転移温度の調整、機
械的強度の調整が可能となる。
【0040】重合体の設計自由度の向上および各種特性
の向上が図れることから、広い用途に適応でき、特に電
気,電子部品、例えば有機分散型エレクトロルミネッセ
ンス(EL)用バインダーやコンデンサー材料として有
用であり、また帯電防止剤や電子写真感光体、液晶配向
膜用の部材として用いた場合、より高い信頼性を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 名倉 茂広 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 で示される、α−フルオロアクリル酸シアノエチルエス
    テルモノマー50モル%以上と、必要に応じて添加され
    る共重合モノマー50モル%以下との重合体からなるこ
    とを特徴とする高誘電体。
JP23830394A 1994-10-03 1994-10-03 高誘電体 Pending JPH08104713A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001122888A (ja) * 1999-10-28 2001-05-08 Japan Exlan Co Ltd 糖誘導単量体とその製造法および該単量体よりなる高誘電性ポリマー
KR100592010B1 (ko) * 2000-02-16 2006-06-22 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 고분자 화합물, 화학 증폭 레지스트 재료 및 패턴 형성 방법
AT516904A1 (de) * 2015-03-05 2016-09-15 Engel Austria Gmbh Faserverbundbauteil und Verfahren zur Herstellung
JPWO2018135457A1 (ja) * 2017-01-17 2019-11-21 学校法人 関西大学 新規な強誘電体材料

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