JPH08109700A - ラス張り構造壁体及びこれを用いた断熱壁 - Google Patents

ラス張り構造壁体及びこれを用いた断熱壁

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JPH08109700A
JPH08109700A JP6275653A JP27565394A JPH08109700A JP H08109700 A JPH08109700 A JP H08109700A JP 6275653 A JP6275653 A JP 6275653A JP 27565394 A JP27565394 A JP 27565394A JP H08109700 A JPH08109700 A JP H08109700A
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JP
Japan
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lath
foamed resin
lath net
resin plate
net
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Application number
JP6275653A
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English (en)
Inventor
Tamotsu Kawai
保 河合
Yukio Fukazawa
幸雄 深沢
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発泡樹脂板とラス網とを組み合わせ且つこれ
らを強固に一体化することにより、断熱性を確保しなが
ら結露対策が施せると共に自立性を確保して施工工数が
低減でき且つラス網を確実に固定してその変形を防止
し、さらに薄壁の施工を可能とすると共にモルタルを均
一な厚さで付着させて仕上げ塗りを不要にできる壁体を
低コストで提供する。同時に通気層を簡単に形成できる
ようにする。 【構成】 発泡樹脂板10の少なくとも一側面に溝11
を設け、この溝を有する側面にラス網20を熱溶着し
た。発泡樹脂板110の少なくとも一側面に溝111を
設けると共に、ラス網121の一側面に補強部材122
を固定してなるラス体120を備え、このラス体の補強
部材が、上記発泡樹脂板の溝を有する側面において熱溶
融により形成された凹陥部112に嵌入した。発泡樹脂
板の他側面にも溝を設けた。ラス張り構造壁体を、ラス
網が外側になるように立設し、ラス網にモルタルを付着
して外壁とし、溝の端を外気又は床下空間付近に連通さ
せた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発泡樹脂板及びラス網を
備え、立設後にモルタルを吹き付ければ戸建て住宅等の
建築物の断熱壁として完成するラス張り構造壁体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築物の壁を施工する場合、例
えば適宜間隔で支柱を立設し、これにベニヤ板を打ち付
け、このベニヤ板の外側に防水紙を介してラス網を当て
がってステップル等でベニヤ板に打ちつけ、その外側か
らモルタルを吹き付ける一方、上記ベニヤ板の内側に断
熱用グラスウールを取り付ける方法が広く知られてい
る。ところが、このような方法では施工工数が多くかか
るということから、従来、ベニヤ板の一側に凹凸に富む
薄いセメント層を形成してなる複合パネルが提案されて
いる。この複合パネルを施工現場に立設された支柱に順
次打ち付けていき、そのセメント層にモルタルを吹き付
ける一方、複合パネルの内側に断熱用グラスウールを取
り付ければ施工が完了するから、先の方法における防水
紙及びラス網の取付け作業を不要とすることができ、そ
の分だけ施工工数を減らすことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の方法によっても温度差によりベニヤ板の内側に結露が
生じると、グラスウールが徐々にこの結露を吸収して変
質し、数年経てば断熱材として機能しなくなるという不
具合が生じる。またラス網は、要所要所でステップル等
によりベニヤ板に固定されているに過ぎないから動き易
く、そのためにモルタルにクラックが入るという問題が
ある。
【0004】そこで、発泡樹脂板の両側面に間隔をおい
て直径2〜4mm程度の鋼線で組まれた格子状金網を位
置させ、発泡樹脂板を貫通する多数の梁状金網材によっ
て2枚の格子状金網を溶接固定して壁体を構成し、この
壁体を立設して両側にモルタルを吹き付けて壁を施工す
る方法を採用することが考えられ、この方法によれば結
露が生じないし、その自立性から施工が容易で工数を低
減でき、完成した壁の強度も高いものになる(例えば特
開平5ー230897号公報参照)。
【0005】ところが、このように金網付き発泡樹脂板
にモルタルを吹き付ける方法では、その構造上どうして
も壁が分厚くなって戸建て住宅の壁に採用するには不向
きであると共にコストも高くつく。またモルタル表面に
格子状金網の形状に応じて凹凸が浮き出る性質を有する
ため、どうしても仕上げ作業が必要になり、それだけ手
間がかかるという問題を有している。
【0006】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、発泡樹脂板と
ラス網とを組み合わせ且つこれらを強固に一体化するこ
とにより、断熱性を確保しながら結露対策が施せると共
に自立性を確保して施工工数が低減でき且つラス網を確
実に固定してその動きを止め、さらに薄壁の施工を可能
とすると共にモルタルを均一な厚さで付着させて仕上げ
塗りを不要にできる壁体を低コストで提供することにあ
る。
【0007】ところで、従来、建築物の外壁及び屋根に
おいて、断熱材の室外側に外側通気層を設け、その下端
部及び上端部を外気に開放すると共に、上記断熱材の室
内側に内側通気層を設け、その下端部及び上端部を床下
空間及び屋根裏空間にそれぞれ連通し、これらの通気層
に外気を導入することにより、外壁及び屋根の断熱機能
を向上させ、或いは、これらの通気層に床下の空気を導
入することにより、床下の湿気を散逸させて、土台付近
での結露の発生等を防止するようにしたものが知られて
いる(例えば実願昭63−88136号参照)。
【0008】そこで、本発明では、先の発泡樹脂板及び
ラス網を強固に一体化した壁体を提案する場合に、同時
に通気層を簡単に形成できるようにすることも目的とし
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1のラス張り構造壁体は、発泡樹脂板の少な
くとも一側面に溝を設け、この溝を有する側面にラス網
を熱溶着した構成である。
【0010】請求項2は、発泡樹脂板の少なくとも一側
面に溝を設けると共に、ラス網の一側面に補強部材を固
定してなるラス体を備え、このラス体の補強部材が、上
記発泡樹脂板の溝を有する側面において熱溶融により形
成された凹陥部に嵌入している構成である。
【0011】請求項3は、請求項1又は2の発明におい
て、発泡樹脂板の他側面にも溝を設けた構成である。
【0012】請求項4は、請求項1ないし3のうちいず
れか1項に記載のラス張り構造壁体を用いた断熱壁であ
って、このラス張り構造壁体を、ラス網が外側になるよ
うに立設し、ラス網にモルタルを付着して外壁とし、溝
の端を外気又は床下空間付近に連通させた構成である。
【0013】
【作用】請求項1ないし3のラス張り構造壁体は、ラス
網にモルタルを吹き付けて断熱壁を施工した場合、発泡
樹脂板を使用するから結露が生じることがなく変質せず
に断熱性が持続して発揮される。そして請求項1ではラ
ス網と発泡樹脂板が、また請求項2ではラス体と発泡樹
脂板が一体化されるから、ラス張り構造壁体の剛性が向
上し、自立性が得られて施工工数が減ると共に、ラス網
が確実に固定されてその変形が防止され、モルタルにク
ラックが入らない。さらに発泡樹脂板に対し、格子状金
網等よりも遥かに薄いラス網が付くので、薄壁でも施工
可能である。また格子状金網等よりも目の細かいラス網
を使用するからモルタルがほぼ均一な厚さで付着する。
しかも発泡樹脂板の表面に、ラス網又はラス体の熱溶着
時に溶融して固まった再生層ができ、この再生層が防水
機能を発揮すると共にその表面の凹凸がモルタルの付着
を促進する。
【0014】また、請求項2のラス張り構造壁体は、凹
陥部が複数あるときには凹陥部の側壁と補強部材との摩
擦力等が相互に作用する共ぎき作用によって補強部材の
保持強度が更に高くなる。また凹陥部の開口付近が三次
発泡により狭まっているから補強部材が凹陥部に強固に
保持される(ここで発泡樹脂板は例えば予備発泡した粒
子を二次発泡させることにより製造されるが、三次発泡
とは上記二次発泡に続く発泡を指すものである)。また
補強部材を介してラス網と発泡樹脂板との間に隙間が形
成されるから、この隙間へモルタルが入ってラス網を抱
き込むようにして固まり、これによって壁強度が向上
し、またモルタルを厚く形成できる。
【0015】さらに、請求項1及び2のラス張り構造壁
体では、溝が外側通気層として機能し、請求項3のラス
張り構造壁体では、一側面の溝が外側通気層として機能
すると共に他側面の溝が内側通気層として機能する。
【0016】
【実施例】以下、実施例を説明する。図1ないし図3は
本発明に係るラス張り構造壁体Bの第1実施例を示す。
同図において10は発泡樹脂板であって、この発泡樹脂
板10の一側面に溝11が複数本、平行に設けられてい
る。この溝11の形状は例えば断面コ字形に形成される
が、発泡樹脂板10の成形時に溝11を同時成形すると
きには形抜け可能な形状にする必要がある。同時成形で
はなく後加工で溝11を設けてもよい。そして、この溝
11を有する側面にラス網20が直に配置され、このラ
ス網20の片面が、溝11の上に位置する部分を除いて
ほぼ全面にわたって発泡樹脂板10に熱溶着している。
すなわち、ラス網20は厚さ方向において一部が発泡樹
脂板10に入り込んで熱溶着しており、残りは外部に露
出したままである。ここで上記発泡樹脂板10は、例え
ばサブロク(縦1800mm,横900mm)程度の大
きさで50mm程度の厚さのものであるが、これは一例
であってそれ以外の寸法であってもよい。また材質は例
えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンなどに代表
される発泡ポリオレフィンのほか、発泡スチロール、発
泡ウレタン、発泡塩化ビニールなどが使用できるが、発
泡樹脂製の板であれば材質は問わない。一方、ラス網2
0は例えば図2及び図3から分かるように薄板に孔が多
数あけられた公知のもの(例えば薄板に多数のスリット
を板面に対して斜めに入れたあと、板を縦方向及び横方
向に引き延ばす方法により製造されるもの)や、細い鋼
線を編んでなる公知のものが使用できる。また発泡樹脂
板10のラス網側の表面には、ラス網20の熱溶着時に
溶融して固まった再生層13が形成されている。上記ラ
ス網20には防錆処理又は防水処理が施されている。す
なわち、このラス網20には、例えばコールタールなど
のタール系材料又は接着剤等が塗布され、或いは樹脂材
料がコーティングされている。
【0017】上記第1実施例のラス張り構造壁体Bを用
いた断熱壁の施工方法を、図5及び図6に基づいて説明
する。土台A上に支柱を立設し、この支柱を利用してラ
ス張り構造壁体Bを、ラス網20が外側になるように取
り付け、ラス網20にモルタルmを付着して外壁を完成
する。完成後の外壁は図4のようになる。その場合、各
ラス張り構造壁体間で、溝11同士が上下方向に連通す
るようにし、その溝11の下端を略床高さ付近で外気に
連通させると共に、上端を屋根裏空間を介して外気に連
通させるようにして、この一連の溝11を外側通気層O
として機能させるように調整する。また、このように形
成した外側通気層Oを配管通路又は配線通路として利用
することも可能である。なお、ラス張り構造壁体Bの内
側には内装を施すが、図5及び図6の場合では、ラス張
り構造壁体Bの発泡樹脂板10と各部屋の壁板Wとの間
に内側通気層Iを形成し、その下端を床下空間に、上端
を屋根裏空間に連通させている。Dは床下空間の外気へ
の連通口を開閉する床下開閉ダンパ、Fは屋根裏に設け
た換気口である。また、ラス張り構造壁体同士の間に形
成された目地にはコーキング材等を充填すればよい。
【0018】次に、上記第1実施例のラス張り構造壁体
Bの製造方法を説明する。まず、図7に示すようにラス
網20を、鉛直方向及び水平方向にそれぞれ移動できる
ように設けられた一対の発熱板31,32で挟み、この
発熱板31,32によりラス網20を発泡樹脂板10の
溶融温度を超える温度まで加熱してラス網20の予熱を
行う。この予熱温度は、例えば発泡樹脂板10が発泡ポ
リスチレンの場合には摂氏80度以上であればよいが、
好ましくは摂氏100度ないし210度、より好ましく
は摂氏120度ないし200度程度であり、発泡樹脂板
10への押し込み時間や押し込み圧力との関係で適宜選
択できる。次いで一方の発熱板31を退避させ、これに
代えて図8に示すように発泡樹脂板10をキャリア40
で保持しつつ搬入し、そして他方の発熱板32を上昇さ
せてラス網20を加熱したままで発泡樹脂板10に押し
つけ、ラス網20の一部を発泡樹脂板10に熱溶着させ
る。その後に発熱板32をラス網20から離して退避さ
せ、発泡樹脂板10及びラス網20に冷風又は冷水を当
てるなどして全体を強制的に冷却し、最後にラス網20
にタール系材料又は接着剤等を塗布することにより防錆
処理又は防水処理を施して製造を完了する。製造方法は
これに限られるものではなく、熱風炉中でラス網20を
加熱したり、発泡樹脂板10にラス網20を押圧した
り、発泡樹脂板10を押圧したり種々変更できることは
勿論である。
【0019】従って、上記第1実施例のラス張り構造壁
体Bにおいては、断熱壁を施工した場合、発泡樹脂板1
0を使用するから結露が生じることがなく変質せずに断
熱性が持続して発揮される。そしてラス網20が発泡樹
脂板10に熱溶着して一体化されるから、ラス張り構造
壁体Bの剛性が向上する。このため、ラス張り構造壁体
Bに自立性が得られ、壁体を簡単に立設できて施工工数
が減る上、発泡樹脂板10との一体化によってラス網2
0が確実に固定されてその変形が防止され、モルタルm
にクラックが入らない。さらに発泡樹脂板10に対し、
格子状金網等よりも遥かに薄いラス網20が付く構成で
あるから、壁の厚みを薄くすることができ、従って薄壁
でも施工が可能である。また格子状金網等よりも目の細
かいラス網20を使用するからモルタルmがほぼ均一な
厚さで付着し、仕上げ作業が不要になって施工が楽であ
る。さらに格子状金網付き発泡樹脂板等に比べれば製造
コストが安い。また、発泡樹脂板10の表面に、ラス網
20の熱溶着時に溶融して固まった再生層13ができ、
この再生層13が防水機能を発揮すると共にその表面の
凹凸がモルタルmの付着を促進する。しかもラス網20
に防錆処理又は防水処理が施されるからラス網20に長
期にわたって錆が発生せず、或いは水をはじき、壁の耐
久性が向上する。
【0020】そして、溝11が外側通気層Oとして機能
するから、夏季において太陽熱や外気によってモルタル
部分が加熱されると外側通気層Oの空気が熱せられて上
昇するが、発泡樹脂板10によってこの空気から室内へ
の熱伝達が抑制されるから、外側通気層Oで熱せられた
高温空気は室内に殆ど影響を及ぼすことなく屋根裏空間
から外部へ排出され、従って各部屋の冷房費が節約でき
る。なお、外側通気層Oの下端からは比較的低い温度の
外気が導入されるので、外側通気層内の空気温度はモル
タル部分よりも低くなり、従って外側通気層Oがない場
合に比べると室内に伝達する熱量を大幅に低減できる。
さらに、床下開閉ダンパD及び換気口Fを開くと、内側
通気層Iの通風性が向上し、床下空間の比較的冷たい空
気を各部屋周囲に循環させ、この点でも室内の冷房効率
を高めることができる。また、冬季においては、床下開
閉ダンパD及び換気口Fを閉じると、各部屋は外側通気
層O、発泡樹脂板10及び内側通気層I等により2重、
3重に囲まれるから、十分な保温性を維持できる。さら
に、床下空間及び発泡樹脂板10付近に漂う湿気を外側
通気層O及び内側通気層Iを介して外気へ導くことがで
きるので、これらの湿気を良好に散逸させて、土台付近
での結露の発生等を有効に防止することができる。
【0021】さらに、上記製造方法によれば作業が簡単
であり、ラス張り構造壁体の生産効率を高めることがで
きる。
【0022】図9は第2実施例のラス張り構造壁体Bに
より施工された壁を示す。第2実施例は、第1実施例と
同様の構成において、発泡樹脂板10の他側面にも溝1
2を設けている。施工時には、各ラス張り構造壁体間
で、溝11のみならず、溝12同士も上下方向に連通す
るように調整し、その溝12の下端を床下空間に連通さ
せると共に、上端を屋根裏空間を介して外気に連通させ
るようにして、この一連の溝12を内側通気層Iとして
機能させる。また、このように形成した内側通気層I及
び外側通気層Oを配管通路又は配線通路として利用する
ことも可能である。なお、12’は発泡樹脂板10の内
側に張設された内装板であり、その内側が室内空間とな
っている。第2実施例の作用、効果及び施工方法は第1
実施例と同様であるが、さらにラス張り構造壁体Bを利
用して内装板12’の張設により内側通気層Iまで簡単
に形成できる点で施工性に優れている。
【0023】図10は第3実施例のラス張り構造壁体B
を示す。第3実施例ではラス網全体が波状に形成されて
いる。すなわち、図11及び図12に示すようにラス網
20’は薄い鋼板に多数のスリットを入れてスリット間
を斜めに起こしてなる鎧戸状であって、さらに全体とし
て波状に湾曲形成されている。そして、一側面に溝1
1’を有する発泡樹脂板10’の当該側面にラス網2
0’が配置され、このラス網20’の折れ曲がり部分の
みが発泡樹脂板10’に熱溶着している。第3実施例の
作用、効果及び施工方法並びに製造方法は第1実施例と
同様である。
【0024】図13及び図14は第4実施例のラス張り
構造壁体Bを示す。第4実施例では、一側面に溝111
を有する発泡樹脂板110を備えると共に、ラス網12
1の一側面に補強部材122を複数固定してラス体12
0とし、このラス体120の補強部材122がほぼ全面
で、発泡樹脂板110の溝111を有する側面において
熱溶融により形成された複数の凹陥部112にそれぞれ
嵌入している構成である。ラス網121は例えば第1実
施例で示したものでも第3実施例で示したものでもよ
い。また補強部材122は鋼線よりなり、一端がラス網
121に溶接され且つ他端がL字形に折曲形成されて凹
陥部112に嵌入している。この凹陥部112は、その
開口形状が上記補強部材122の発泡樹脂板110への
投影形状にほぼ一致し且つ深さは補強部材122が途中
まで入る程度に形成されている。
【0025】上記第4実施例のラス張り構造壁体Bを用
いた壁の施工方法は第2実施例と同様である。またラス
張り構造壁体Bの製造方法も第2実施例と同様である
が、一対の発熱板31,32で挟む対象がラス網20に
代えてラス体120になる点が異なる。この場合、補強
部材122が発熱板31に、ラス網121が発熱板32
にそれぞれ接触するように置く。そうすると、発泡樹脂
板110をキャリア40で保持しつつ搬入し、発熱板3
2を上昇させてラス体120を加熱したままで発泡樹脂
板110に押しつけたときに、熱せられた補強部材12
2が発泡樹脂板110を溶かして侵入していき、凹陥部
112を形成すると共に図14に示すように凹陥部11
2の開口付近が三次発泡により狭まる。その後に全体を
冷却して製造を完了する。この場合、ラス体120の発
泡樹脂板110への押しつけは、ラス網121と発泡樹
脂板110との間に所定の隙間が残る程度で止めるよう
にする。
【0026】上記第4実施例のラス張り構造壁体Bの作
用、効果は第1実施例とほぼ同様であり、すなわち壁を
施工した場合、発泡樹脂板110を使用するから結露が
生じることがなく変質せずに断熱性が持続して発揮され
る。そして補強部材122が発泡樹脂板110に熱溶着
してラス体120及び発泡樹脂板110が一体化される
からラス張り構造壁体Bの剛性が向上する。このため、
ラス張り構造壁体Bに自立性が得られ、壁体を簡単に立
設できて施工工数が減る上、ラス網121が確実に固定
されてその変形が防止され、モルタルmにクラックが入
らない。さらに発泡樹脂板110に対し、格子状金網等
よりも遥かに薄いラス網121が付く構成であるから、
壁の厚みを薄くすることができ、従って薄壁でも施工が
可能である。また格子状金網等よりも目の細かいラス網
121を使用するからモルタルmがほぼ均一な厚さで付
着し、仕上げ作業が不要になって施工が楽である。さら
に格子状金網付き発泡樹脂板等に比べれば製造コストが
安い。しかも上記製造方法によれば作業が簡単であり、
ラス張り構造壁体Bの生産効率を高めることができる。
そして、溝111で形成された外気通気層により、室内
温度の調整及び湿気の散逸を図ることができる。
【0027】また、凹陥部112及び補強部材122が
それぞれ複数あるから、凹陥部112の側壁と補強部材
122との摩擦力等が相互に作用し合う共ぎき作用によ
って補強部材122の保持強度が更に高くなる。すなわ
ち、ラス体120を発泡樹脂板110から剥そうとして
も、少なくとも一部の凹陥部112の側壁と補強部材1
22との摩擦力等のために「こじた状態」になってラス
体120が剥れない。加えて凹陥部112の開口付近が
三次発泡により狭まっているから補強部材122が凹陥
部112に強固に保持される。さらに補強部材122を
介してラス網121と発泡樹脂板110との間に隙間が
形成されるから、この隙間へモルタルmが入ってラス網
121を抱き込むようにして固まり、これによって壁強
度が向上し、またモルタルmを厚く形成できる。
【0028】なお、上記第4実施例の場合、図15に示
すように凹陥部112に接着剤等113を充填して凹陥
部112を完全に塞ぐようにしてもよく、その場合には
ラス体120及び発泡樹脂板110が更に強く一体化さ
れるからラス張り構造壁体Bの剛性が向上する。その場
合の製造方法であるが、例えば補強部材122に接着剤
等を塗ってからラス体120を加熱し、このラス体12
0を加熱したままで発泡樹脂板110に押しつければよ
い。
【0029】図16は第5実施例のラス張り構造壁体B
を示す。第5実施例では一側面に溝211を有する発泡
樹脂板210を備えると共に、補強部材をトラス構造体
222とし、ラス網221の一側面にこの補強部材22
2を固定してラス体220とし、このラス体220の補
強部材222が、発泡樹脂板210の溝211を有する
側面において熱溶融により形成された凹陥部212に嵌
入している構成である。すなわち、この補強部材222
は、図17に示すように鋼線で組まれた2枚の格子状金
網222a,222bを間隔をおいて配置し、これらを
梁状金網材222cにより連結したものである。上記梁
状金網材222cは、各格子状金網222a,222b
の相対向する縦筋を連結するものが互いに平行になり、
且つ横筋の軸方向に沿っては隣合うものが互いに交差す
るように配置されており、この構成によって補強部材全
体として強度を高くするようにしている。そして、ラス
網221が一方の格子状金網222bに溶接により固定
されている。ラス網221は例えば第1実施例で示した
ものでも第3実施例で示したものでもよい。上記凹陥部
212は、開口形状が上記格子状金網222aの発泡樹
脂板210への投影形状にほぼ一致し且つ深さは梁状金
網材222cが途中まで入る程度に形成されている。
【0030】上記第5実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法は第1実施例と同様である。またラス張
り構造壁体の製造方法は第4実施例と同様であり、ラス
体220の発泡樹脂板210への押しつけは、ラス網2
21と発泡樹脂板210との間に所定の隙間が残る程度
で止めるようにする。
【0031】上記第5実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第4実施例とほぼ同様であるが、補強部材2
22がトラス構造体であるから、その剛性によりラス張
り構造壁体の剛性が更に向上し、ラス網221の変形が
確実に防止され、モルタルmにクラックが発生すること
がない。なお、上記第4実施例と同様に凹陥部212に
接着剤等を充填してもよい。
【0032】先の第4実施例では鋼線で補強部材122
を構成したが、格子状金網を補強部材としてもよい。そ
れを更に変形させたものが図18に示す第6実施例のラ
ス張り構造壁体Bである。すなわち、一側面に溝311
を有する発泡樹脂板310を備えると共に、図19に示
すように格子状金網を補強部材322とし、ラス網32
1の一側面にこの補強部材322を固定してラス体32
0とし、このラス体320の補強部材322が、発泡樹
脂板310の溝311を有する側面において熱溶融によ
り形成された凹陥部312に嵌入している構成である。
ここで、ラス網321は要所要所に凸部321aが形成
され、この凸部321aが補強部材322に溶接等で固
定されている。ラス網321は例えば第1実施例で示し
たものでも第3実施例で示したものでもよい。上記凹陥
部312は、開口形状が上記補強部材322の発泡樹脂
板310への投影形状にほぼ一致し且つ深さは補強部材
322の厚みと一致する程度に形成されている。
【0033】上記第6実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法は第1実施例と同様である。またラス張
り構造壁体の製造方法は第4実施例と同様であり、ラス
体320の発泡樹脂板310への押しつけは、ラス網3
21と発泡樹脂板310との間に所定の隙間が残る程度
で止めるようにする。
【0034】上記第6実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第4実施例とほぼ同様であるが、補強部材3
22が格子状金網であるから、その剛性によりラス張り
構造壁体の剛性が更に向上し、ラス網321の変形が確
実に防止され、モルタルmにクラックが発生することが
ない。なお、上記第4実施例と同様に凹陥部312に接
着剤等を充填してもよい。
【0035】なお、上記第4実施例ないし第6実施例で
は加熱したラス体を発泡樹脂板に押し付けてラス張り構
造壁体を製造したが、ラス体の補強部材と同様な形状の
治具を別途に用意し、この治具を加熱して発泡樹脂板に
押し付けて凹陥部を形成し、その後に治具を発泡樹脂板
から引き離し、次いで凹陥部にラス体の補強部材を嵌入
してラス張り構造壁体を製造するようにしてもよい。或
いは、発泡樹脂板の成形時に凹陥部を同時成形し、次い
で凹陥部にラス体の補強部材を嵌入してラス張り構造壁
体を製造するようにしてもよい。
【0036】図20は第7実施例のラス張り構造壁体B
を示す。第7実施例では一側面に溝411を有する発泡
樹脂板410を備えると共に、ラス網421の上に更に
ラス網422を溶接等で固定し、この複合ラス網420
が、発泡樹脂板410の溝411を有する側面において
熱溶着している構成である。すなわち、この構成によっ
て全体として強度を高くするようにしている。ラス網4
21,422は例えば第1実施例で示したものでも第3
実施例で示したものでもよい。第7実施例のラス張り構
造壁体を用いた壁の施工方法は第1実施例と同様であ
る。またラス張り構造壁体の製造方法は第1実施例と同
様である。
【0037】上記第7実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第4実施例とほぼ同様であるが、その剛性に
よりラス張り構造壁体の剛性が更に向上し、ラス網42
1,422の変形が確実に防止され、モルタルmにクラ
ックが発生することがない。
【0038】以上のいずれの実施例においても、ラス網
及び補強部材の材質は鋼である必要はなく、アルミ合金
など他の金属で形成してもよい。さらに、樹脂であって
もよい。その場合、ラス網及び補強部材は発泡樹脂板よ
りも溶融温度が高い材質である必要がある。また上記各
実施例では、いずれも溝を外側通気層として利用してい
るが(第2実施例のみ外側通気層に加えて内側通気層を
設けている)、これらの実施例の溝を内側通気層として
利用してもよい。また、各実施例において発泡樹脂板の
他側面にもラス網又はラス体を熱溶着してもよい。すな
わち、発泡樹脂板の一側面に溝を設けると共に両側面に
ラス網を熱溶着した構成、発泡樹脂板の両側面に溝を設
けると共に両側面にラス網を熱溶着した構成である。い
ずれのものでも、溝により外側通気層を形成するように
しても、内側通気層を形成するようにしてもよい。すな
わち、これらを自在に組み合わせれば、外壁に利用する
こともできるし、間仕切壁に利用することもできる。
【0039】また上記各実施例ではラス網又はラス体に
防錆処理又は防水処理を施したが、このような処理は必
ずしも必要ない。そして製造方法において防錆処理又は
防水処理を最後の工程で施したが、ラス網又はラス体に
予め防錆処理又は防水処理を施しておいてから発泡樹脂
板に熱溶着するようにしてもよい。さらに製造方法にお
いてラス網又はラス体の予熱工程はラス網又はラス体の
加熱をスムーズに行う上で好ましいが、必須の工程では
ない。同様に最後に全体を強制冷却する工程は製造効率
を上げる点で好ましいが、これも必須の工程ではない。
【0040】さらに上記各実施例では平面状のラス張り
構造壁体を説明したが、本発明はコーナー部(例えば出
隅構造或いは入隅構造など)に用いるような断面L字形
のラス張り構造壁体にも適用できる。
【0041】以上説明したラス張り構造壁体により施工
された壁は、戸建て住宅等の建築物の壁として利用でき
るのは勿論のこと、その優れた断熱性から冷凍庫の壁と
して、また建築物の屋根、床としても利用でき、さらに
防水性を利用してビルの蓄熱槽、水槽の壁を形成するこ
とも可能である。
【0042】なお、各実施例ではラス網或いはラス体補
強部材の片面が、溝を除いてほぼ全面にわたって発泡樹
脂板に熱溶着しているとしたが、必ずしも全面で発泡樹
脂板に熱溶着している必要はなく、例えばラス網におい
てはその要所要所に凸部を多数形成し、この凸部のみを
発泡樹脂板に熱溶着してもよいし、逆に発泡樹脂板の要
所要所に凸部を多数形成し、ラス網を発泡樹脂板の凸部
においてのみ熱溶着してもよい。このようにすれば、熱
溶着している部位の周辺を除いてラス網と発泡樹脂板と
の間に隙間が形成されるから、この隙間へモルタルmが
入ってラス網を抱き込むようにして固まり、これによっ
て壁強度が向上し、またモルタルmを厚く形成できる。
また発泡樹脂板の一側面にラス網又はラス体を直に配置
したが、直ではなく、発泡樹脂板の側面にコーティング
を施したりシートを張ったりした上からラス網又はラス
体を熱溶着するようにしてもよい。さらに溝同士が連絡
通路を介して互いに連通していてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のラス張り
構造壁体によれば、ラス網にモルタルを吹き付けて壁を
施工した場合に結露が生じることがなく長期にわたって
断熱性を確保できる上、ラス網又はラス体と発泡樹脂板
との一体化によりラス張り構造壁体の剛性を向上でき、
これによって自立性を確保して施工の容易化及び工数低
減を実現でき、しかもラス網の変形を防止してモルタル
にクラックが入ることを確実に防止でき、さらに薄い壁
でも施工が可能になって特にスペース確保が求められる
戸建て住宅に好適であると共にモルタル等を一様に付着
させて仕上げ作業が不要になり、しかも従来の壁体より
も製造コストが大幅に安くおさまる。しかも、発泡樹脂
板の表面に形成される再生層により防水機能が発揮され
て壁内部への水分の侵入を防止できると共にその表面の
凹凸によりモルタルを強固に付着させることができる。
さらに請求項1及び2のラス張り構造壁体では、溝が外
側通気層として機能し、請求項3のラス張り構造壁体で
は、一側面の溝が外側通気層として機能すると共に他側
面の溝が内側通気層として機能するから、これらの通気
層を簡単に形成でき、これらの通気層に外気を導入すれ
ば外壁及び屋根の断熱機能を向上でき、また床下の空気
を導入すれば床下の湿気を散逸させて、土台付近での結
露の発生等を防止することができる。
【0044】また請求項2のラス張り構造壁体は、凹陥
部が複数あるときには共ぎき作用によって補強部材の保
持強度が更に高くなり、また凹陥部の開口付近が三次発
泡により狭まるから補強部材の保持強度が高くなり、壁
強度が向上する。またラス網と発泡樹脂板との間の隙間
へモルタルが入ってラス網を抱き込むようにして固まる
から、壁強度が更に向上すると共にモルタルを厚く形成
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の斜視図、
【図2】第1実施例の一部を拡大して示す平面図、
【図3】図2のIII−III線断面における拡大端面
図、
【図4】第1実施例により施工された断熱壁の縦断拡大
端面図、
【図5】第1実施例により施工された断熱壁の全体縦断
側面図、
【図6】図5の要部拡大図、
【図7】第1実施例の第1製造工程を示す説明図、
【図8】同じく第2製造工程を示す説明図、
【図9】第2実施例により施工された断熱壁の縦断拡大
端面図、
【図10】第3実施例の縦断端面図、
【図11】第3実施例のラス網の拡大側面図、
【図12】同じくラス網の拡大平面図、
【図13】第4実施例の縦断端面図、
【図14】第4実施例の補強部材を先端側からみた拡大
断面図、
【図15】第4実施例の変形例を示す図14相当図、
【図16】第5実施例の縦断端面図、
【図17】第5実施例のラス網及び補強部材を分離して
示す拡大組立斜視図、
【図18】第6実施例の縦断端面図、
【図19】第6実施例のラス網及び補強部材を分離して
示す拡大組立斜視図、
【図20】第7実施例の縦断端面図、
【図21】第7実施例の複合ラス網を分離して示す拡大
組立斜視図である。
【符号の説明】
B ラス張り構造壁体 10 発泡樹脂板 11 溝 12 溝 20 ラス網 m モルタル O 外側通気層 I 内側通気層 10’ 発泡樹脂板 11’ 溝 20’ ラス網 110 発泡樹脂板 111 溝 112 凹陥部 120 ラス体 121 ラス網 122 補強部材 210 発泡樹脂板 211 溝 212 凹陥部 220 ラス体 221 ラス網 222 補強部材 310 発泡樹脂板 311 溝 312 凹陥部 320 ラス体 321 ラス網 322 補強部材 410 発泡樹脂板 411 溝 420 複合ラス網

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡樹脂板の少なくとも一側面に溝を設
    け、この溝を有する側面にラス網を熱溶着したことを特
    徴とするラス張り構造壁体。
  2. 【請求項2】発泡樹脂板の少なくとも一側面に溝を設け
    ると共に、ラス網の一側面に補強部材を固定してなるラ
    ス体を備え、このラス体の補強部材が、上記発泡樹脂板
    の溝を有する側面において熱溶融により形成された凹陥
    部に嵌入していることを特徴とするラス張り構造壁体。
  3. 【請求項3】発泡樹脂板の他側面にも溝を設けた請求項
    1又は2記載のラス張り構造壁体。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のうちいずれか1項に記
    載のラス張り構造壁体を、ラス網が外側になるように立
    設し、ラス網にモルタルを付着して外壁とし、溝の端を
    外気又は床下空間付近に連通させた断熱壁。
JP6275653A 1994-10-13 1994-10-13 ラス張り構造壁体及びこれを用いた断熱壁 Pending JPH08109700A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020016082A (ko) * 2000-08-24 2002-03-04 김숭근 건축용 단열판
KR100456824B1 (ko) * 2001-10-12 2004-11-16 (주)단건축사사무소 건축용 패널 및 그 제조방법

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