JPH07269060A - ラス張り構造壁体及びその製造方法 - Google Patents

ラス張り構造壁体及びその製造方法

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JPH07269060A
JPH07269060A JP11747894A JP11747894A JPH07269060A JP H07269060 A JPH07269060 A JP H07269060A JP 11747894 A JP11747894 A JP 11747894A JP 11747894 A JP11747894 A JP 11747894A JP H07269060 A JPH07269060 A JP H07269060A
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JP
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lath
net
foamed resin
resin plate
lath net
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JP11747894A
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Inventor
Tamotsu Kawai
保 河合
Yukio Fukazawa
幸雄 深沢
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発泡樹脂板とラス網とを組み合わせ且つこれ
らを強固に一体化することにより、断熱性を確保しなが
ら結露対策が施せると共に自立性を確保して施工工数が
低減でき且つラス網を確実に固定してその変形を防止
し、さらに薄壁の施工を可能とすると共にモルタルを均
一な厚さで付着させて仕上げ塗りを不要にできる壁体を
低コストで提供する。また、その製造方法を提案する。 【構成】 発泡樹脂板10の少なくとも一側面にラス網
20が直に配置され、このラス網が発泡樹脂板に熱溶着
している。ラス網121の一側面に補強部材122を固
定してなるラス体120を備え、このラス体の補強部材
が、発泡樹脂板110の少なくとも一側面において熱溶
融により形成された凹陥部112に嵌入している。ラス
網又はラス体に防錆処理又は防水処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発泡樹脂板及びラス網を
備え、立設後にモルタルを吹き付ければ戸建て住宅等の
建築物の壁として完成するラス張り構造壁体及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築物の壁を施工する場合、例
えば適宜間隔で支柱を立設し、これにベニヤ板を打ち付
け、このベニヤ板の外側に防水紙を介してラス網を当て
がってステップル等でベニヤ板に打ちつけ、その外側か
らモルタルを吹き付ける一方、上記ベニヤ板の内側に断
熱用グラスウールを取り付ける方法が広く知られてい
る。ところが、このような方法では施工工数が多くかか
るということから、従来、ベニヤ板の一側に凹凸に富む
薄いセメント層を形成してなる複合パネルが提案されて
いる。この複合パネルを施工現場に立設された支柱に順
次打ち付けていき、そのセメント層にモルタルを吹き付
ける一方、複合パネルの内側に断熱用グラスウールを取
り付ければ施工が完了するから、先の方法における防水
紙及びラス網の取付け作業を不要とすることができ、そ
の分だけ施工工数を減らすことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の方法によっても温度差によりベニヤ板の内側に結露が
生じると、グラスウールが徐々にこの結露を吸収して変
質し、数年経てば断熱材として機能しなくなるという不
具合が生じる。またラス網は、要所要所でステップル等
によりベニヤ板に固定されているに過ぎないから動き易
く、そのためにモルタルにクラックが入るという問題が
ある。
【0004】そこで、発泡樹脂板の両側面に間隔をおい
て直径2〜4mm程度の鋼線で組まれた格子状金網を位
置させ、発泡樹脂板を貫通する多数の梁状金網材によっ
て2枚の格子状金網を溶接固定して壁体を構成し、この
壁体を立設して両側にモルタルを吹き付けて壁を施工す
る方法を採用することが考えられ、この方法によれば結
露が生じないし、その自立性から施工が容易で工数を低
減でき、完成した壁の強度も高いものになる(例えば特
開平5ー230897号公報参照)。
【0005】ところが、このように金網付き発泡樹脂板
にモルタルを吹き付ける方法では、その構造上どうして
も壁が分厚くなって戸建て住宅の壁に採用するには不向
きであると共にコストも高くつく。またモルタル表面に
格子状金網の形状に応じて凹凸が浮き出る性質を有する
ため、どうしても仕上げ作業が必要になり、それだけ手
間がかかるという問題を有している。
【0006】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、発泡樹脂板と
ラス網とを組み合わせ且つこれらを強固に一体化するこ
とにより、断熱性を確保しながら結露対策が施せると共
に自立性を確保して施工工数が低減でき且つラス網を確
実に固定してその動きを止め、さらに薄壁の施工を可能
とすると共にモルタルを均一な厚さで付着させて仕上げ
塗りを不要にできる壁体を低コストで提供することにあ
る。また、このような壁体を製造する方法を提案するこ
とも目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1のラス張り構造壁体は、発泡樹脂板の少な
くとも一側面にラス網が直に配置され、このラス網が発
泡樹脂板に熱溶着している構成である。
【0008】請求項2のラス張り構造壁体は、ラス網の
一側面に補強部材を固定してなるラス体を備え、このラ
ス体の補強部材が、発泡樹脂板の少なくとも一側面にお
いて熱溶融により形成された凹陥部に嵌入している構成
である。
【0009】請求項3のラス張り構造壁体は、請求項1
又は2の構成において、ラス網又はラス体に防錆処理を
施してなる構成である。
【0010】請求項4のラス張り構造壁体は、請求項1
又は2の構成において、ラス網又はラス体に防水処理を
施してなる構成である。
【0011】請求項5のラス張り構造壁体は、請求項1
の構成において、ラス網に代えて複数のラス網を重ねて
連結してなるラス重合体を備えた構成である。
【0012】請求項6のラス張り構造壁体の製造方法
は、ラス網又はラス体を加熱しつつ発泡樹脂板に押し付
ける構成である。
【0013】請求項7のラス張り構造壁体の製造方法
は、ラス網又はラス体を予熱した後、ラス網又はラス体
を加熱しつつ発泡樹脂板に押し付ける構成である。
【0014】請求項8のラス張り構造壁体の製造方法
は、請求項6又は7の構成において、最後に全体を強制
的に冷却する冷却工程を加えた構成である。
【0015】請求項9のラス張り構造壁体の製造方法
は、請求項6ないし8の構成において、ラス網の溶着面
に防錆処理を施す防錆処理工程を備えた構成である。
【0016】請求項10のラス張り構造壁体の製造方法
は、請求項6ないし8の構成において、ラス網の溶着面
に防水処理を施す防水処理工程を備えた構成である。
【0017】
【作用】請求項1及び2のラス張り構造壁体は、ラス網
にモルタルを吹き付けて壁を施工した場合、発泡樹脂板
を使用するから結露が生じることがなく変質せずに断熱
性が持続して発揮される。そして請求項1ではラス網と
発泡樹脂板が、また請求項2ではラス体と発泡樹脂板が
一体化されるから、ラス張り構造壁体の剛性が向上し、
自立性が得られて施工工数が減ると共に、ラス網が確実
に固定されてその変形が防止され、モルタルにクラック
が入らない。さらに発泡樹脂板に対し、格子状金網等よ
りも遥かに薄いラス網が付くので、薄壁でも施工可能で
ある。また格子状金網等よりも目の細かいラス網を使用
するからモルタルがほぼ均一な厚さで付着する。しかも
発泡樹脂板の表面に、ラス網又はラス体の熱溶着時に溶
融して固まった再生層ができ、この再生層が防水機能を
発揮すると共にその表面の凹凸がモルタルの付着を促進
する。
【0018】請求項2のラス張り構造壁体は、凹陥部が
複数あるときには凹陥部の側壁と補強部材との摩擦力等
が相互に作用する共ぎき作用によって補強部材の保持強
度が更に高くなる。また凹陥部の開口付近が三次発泡に
より狭まっているから補強部材が凹陥部に強固に保持さ
れる(ここで発泡樹脂板は例えば予備発泡した粒子を二
次発泡させることにより製造されるが、三次発泡とは上
記二次発泡に続く発泡を指すものである)。また補強部
材を介してラス網と発泡樹脂板との間に隙間が形成され
るから、この隙間へモルタルが入ってラス網を抱き込む
ようにして固まり、これによって壁強度が向上し、また
モルタルを厚く形成できる。
【0019】請求項3のラス張り構造壁体はラス網又は
ラス体に錆が発生せず、また請求項4のラス張り構造壁
体はラス網又はラス体が水をはじく。
【0020】請求項5のラス張り構造壁体は、ラス重合
体が実質的に分厚いラス網を構成するから、モルタルを
厚く付着させることが可能となる。
【0021】請求項6の製造方法は、ラス網を溶着する
場合、ラス網が発泡樹脂板を溶融し、その後に自然冷却
されるとラス網の発泡樹脂板への溶着が完了する。また
ラス体を溶着する場合、補強部材が発泡樹脂板を溶融し
て入り込み、凹陥部を形成し、その後に自然冷却される
と凹陥部の開口付近が三次発泡により狭まり、補強部材
の凹陥部への嵌入が完了する。
【0022】請求項7の製造方法は予熱によりラス網又
はラス体の加熱がスムーズに行われ、請求項8の製造方
法は強制冷却により冷却がスムーズに行われる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を説明する。図1ないし図3は
本発明に係るラス張り構造壁体の第1実施例を示す。同
図において10は発泡樹脂板であって、この発泡樹脂板
10の一側面にラス網20が直に配置され、このラス網
20の片面がほぼ全面にわたって発泡樹脂板10に熱溶
着している。すなわち、ラス網20は厚さ方向において
一部が発泡樹脂板10に入り込んで熱溶着しており、残
りは外部に露出したままである。ここで上記発泡樹脂板
10は、例えばサブロク(縦1800mm,横900m
m)程度の大きさで50mm程度の厚さのものである
が、これは一例であってそれ以外の寸法であってもよ
い。また材質は例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリエ
チレンなどに代表される発泡ポリオレフィンのほか、発
泡スチロール、発泡ウレタン、発泡塩化ビニールなどが
使用できるが、発泡樹脂製の板であれば材質は問わな
い。一方、ラス網20は例えば図2及び図3から分かる
ように薄板に孔が多数あけられた公知のもの(例えば薄
板に多数のスリットを板面に対して斜めに入れたあと、
板を縦方向及び横方向に引き延ばす方法により製造され
るもの)や、細い鋼線を編んでなる公知のものが使用で
きる。また発泡樹脂板10のラス網側の表面には、ラス
網20の熱溶着時に溶融して固まった再生層11が形成
されている。
【0024】上記ラス網20には防錆処理又は防水処理
が施されている。すなわち、このラス網20には、例え
ばコールタールなどのタール系材料又は接着剤等が塗布
され、或いは樹脂材料がコーティングされている。
【0025】上記第1実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法であるが、基本的には図3に示すように
ラス張り構造壁体を施工現場に立設された支柱に順次打
ち付けて立設し、図4に示すように上記ラス張り構造壁
体のラス網側にモルタルmを吹き付けることにより完了
する。あとは必要に応じてモルタル表面に塗料を塗布し
たり、或いは反ラス網側の発泡樹脂板表面に壁紙を貼る
など自在に処理すればよい。また、ラス張り構造壁体同
士の間に形成された目地にはコーキング材等を充填すれ
ばよい。
【0026】次に、上記第1実施例のラス張り構造壁体
の製造方法を説明する。まず、図5に示すようにラス網
20を、鉛直方向及び水平方向にそれぞれ移動できるよ
うに設けられた一対の発熱板31,32で挟み、この発
熱板31,32によりラス網20を発泡樹脂板10の溶
融温度を超える温度まで加熱してラス網20の予熱を行
う。この予熱温度は、例えば発泡樹脂板10が発泡ポリ
スチレンの場合には摂氏80度以上であればよいが、好
ましくは摂氏100度ないし210度、より好ましくは
摂氏120度ないし200度程度であり、発泡樹脂板1
0への押し込み時間や押し込み圧力との関係で適宜選択
できる。次いで一方の発熱板31を退避させ、これに代
えて図6に示すように発泡樹脂板10をキャリア40で
保持しつつ搬入し、そして他方の発熱板32を上昇させ
てラス網20を加熱したままで発泡樹脂板10に押しつ
け、ラス網20の一部を発泡樹脂板10に熱溶着させ
る。その後に発熱板32をラス網20から離して退避さ
せ、発泡樹脂板10及びラス網20に冷風又は冷水を当
てるなどして全体を強制的に冷却し、最後にラス網20
にタール系材料又は接着剤等を塗布することにより防錆
処理又は防水処理を施して製造を完了する。製造方法は
これに限られるものではなく、熱風炉中でラス網20を
加熱したり、発泡樹脂板10にラス網20を押圧した
り、発泡樹脂板10を予熱したり種々変更できることは
勿論である。
【0027】従って、上記第1実施例のラス張り構造壁
体においては、壁を施工した場合、発泡樹脂板10を使
用するから結露が生じることがなく変質せずに断熱性が
持続して発揮される。そしてラス網20が発泡樹脂板1
0に熱溶着して一体化されるからラス張り構造壁体の剛
性が向上する。このため、ラス張り構造壁体に自立性が
得られ、壁体を簡単に立設できて施工工数が減る上、発
泡樹脂板10との一体化によってラス網20が確実に固
定されてその変形が防止され、モルタルmにクラックが
入らない。さらに発泡樹脂板10に対し、格子状金網等
よりも遥かに薄いラス網20が付く構成であるから、壁
の厚みを薄くすることができ、従って薄壁でも施工が可
能である。また格子状金網等よりも目の細かいラス網2
0を使用するからモルタルmがほぼ均一な厚さで付着
し、仕上げ作業が不要になって施工が楽である。さらに
格子状金網付き発泡樹脂板等に比べれば製造コストが安
い。
【0028】また、発泡樹脂板10の表面に、ラス網2
0の熱溶着時に溶融して固まった再生層11ができ、こ
の再生層11が防水機能を発揮すると共にその表面の凹
凸がモルタルの付着を促進する。しかもラス網20に防
錆処理又は防水処理が施されるからラス網20に長期に
わたって錆が発生せず、或いは水をはじき、壁の耐久性
が向上する。
【0029】さらに、上記製造方法によれば作業が簡単
であり、ラス張り構造壁体の生産効率を高めることがで
きる。
【0030】なお、第1実施例ではラス網20の片面が
ほぼ全面にわたって発泡樹脂板10に熱溶着していると
したが、必ずしも全面で発泡樹脂板に熱溶着している必
要はなく、例えばラス網の要所要所に凸部を多数形成
し、この凸部のみを発泡樹脂板に熱溶着してもよいし、
逆に発泡樹脂板の要所要所に凸部を多数形成し、ラス網
を発泡樹脂板の凸部においてのみ熱溶着してもよい。こ
のようにすれば、熱溶着している部位の周辺を除いてラ
ス網と発泡樹脂板との間に隙間が形成されるから、この
隙間へモルタルmが入ってラス網を抱き込むようにして
固まり、これによって壁強度が向上し、またモルタルm
を厚く形成できる。
【0031】図7は第2実施例のラス張り構造壁体を示
す。第2実施例ではラス網全体が波状に形成されてい
る。すなわち、図8及び図9に示すようにラス網20’
は薄い鋼板に多数のスリットを入れてスリット間を斜め
に起こしてなる鎧戸状であって、さらに全体として波状
に湾曲形成されている。そして、発泡樹脂板10’の一
側面にラス網20’が配置され、このラス網20’の折
れ曲がり部分のみが発泡樹脂板10’に熱溶着してい
る。その作用、効果及び施工方法並びに製造方法は第1
実施例と同様である。
【0032】図10及び図11は第3実施例のラス張り
構造壁体を示す。第3実施例ではラス網121の一側面
に補強部材122を複数固定してラス体120とし、こ
のラス体120の補強部材122がほぼ全面で、発泡樹
脂板110において熱溶融により形成された複数の凹陥
部112にそれぞれ嵌入している構成である。ラス網1
21は例えば第1実施例で示したものでも第2実施例で
示したものでもよい。また補強部材122は鋼線よりな
り、一端がラス網121に溶接され且つ他端がL字形に
折曲形成されて凹陥部112に嵌入している。この凹陥
部112は、その開口形状が上記補強部材122の発泡
樹脂板110への投影形状にほぼ一致し且つ深さは補強
部材122が途中まで入る程度に形成されている。
【0033】上記第3実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法は第1実施例と同様である。またラス張
り構造壁体の製造方法も第1実施例と同様であるが、一
対の発熱板31,32で挟む対象がラス網20に代えて
ラス体120になる点が異なる。この場合、補強部材1
22が発熱板31に、ラス網121が発熱板32にそれ
ぞれ接触するように置く。そうすると、発泡樹脂板11
0をキャリア40で保持しつつ搬入し、発熱板32を上
昇させてラス体120を加熱したままで発泡樹脂板11
0に押しつけたときに、熱せられた補強部材122が発
泡樹脂板110を溶かして侵入していき、凹陥部112
を形成すると共に図11に示すように凹陥部112の開
口付近が三次発泡により狭まる。その後に全体を冷却し
て製造を完了する。この場合、ラス体120の発泡樹脂
板110への押しつけは、ラス網121と発泡樹脂板1
10との間に所定の隙間が残る程度で止めるようにす
る。
【0034】上記第3実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第1実施例とほぼ同様であり、すなわち壁を
施工した場合、発泡樹脂板110を使用するから結露が
生じることがなく変質せずに断熱性が持続して発揮され
る。そして補強部材122が発泡樹脂板110に熱溶着
してラス体120及び発泡樹脂板110が一体化される
からラス張り構造壁体の剛性が向上する。このため、ラ
ス張り構造壁体に自立性が得られ、壁体を簡単に立設で
きて施工工数が減る上、ラス網121が確実に固定され
てその変形が防止され、モルタルmにクラックが入らな
い。さらに発泡樹脂板110に対し、格子状金網等より
も遥かに薄いラス網121が付く構成であるから、壁の
厚みを薄くすることができ、従って薄壁でも施工が可能
である。また格子状金網等よりも目の細かいラス網12
1を使用するからモルタルmがほぼ均一な厚さで付着
し、仕上げ作業が不要になって施工が楽である。さらに
格子状金網付き発泡樹脂板等に比べれば製造コストが安
い。しかも上記製造方法によれば作業が簡単であり、ラ
ス張り構造壁体の生産効率を高めることができる。
【0035】また、凹陥部112及び補強部材122が
それぞれ複数あるから、凹陥部112の側壁と補強部材
122との摩擦力等が相互に作用し合う共ぎき作用によ
って補強部材122の保持強度が更に高くなる。すなわ
ち、ラス体120を発泡樹脂板110から剥そうとして
も、少なくとも一部の凹陥部112の側壁と補強部材1
22との摩擦力等のために「こじた状態」になってラス
体120が剥れない。加えて凹陥部112の開口付近が
三次発泡により狭まっているから補強部材122が凹陥
部112に強固に保持される。さらに補強部材122を
介してラス網121と発泡樹脂板110との間に隙間が
形成されるから、この隙間へモルタルmが入ってラス網
121を抱き込むようにして固まり、これによって壁強
度が向上し、またモルタルmを厚く形成できる。
【0036】なお、上記第3実施例の場合、図12に示
すように凹陥部112に接着剤等113を充填して凹陥
部112を完全に塞ぐようにしてもよく、その場合には
ラス体120及び発泡樹脂板110が更に強く一体化さ
れるからラス張り構造壁体の剛性が向上する。その場合
の製造方法であるが、例えば補強部材122に接着剤等
を塗ってからラス体120を加熱し、このラス体120
を加熱したままで発泡樹脂板110に押しつければよ
い。
【0037】図13は第4実施例のラス張り構造壁体を
示す。第4実施例では補強部材をトラス構造体222と
し、ラス網221の一側面にこの補強部材222を固定
してラス体220とし、このラス体220の補強部材2
22が、発泡樹脂板210において熱溶融により形成さ
れた凹陥部212に嵌入している構成である。すなわ
ち、この補強部材222は、図14に示すように鋼線で
組まれた2枚の格子状金網222a,222bを間隔を
おいて配置し、これらを梁状金網材222cにより連結
したものである。上記梁状金網材222cは、各格子状
金網222a,222bの相対向する縦筋を連結するも
のが互いに平行になり、且つ横筋の軸方向に沿っては隣
合うものが互いに交差するように配置されており、この
構成によって補強部材全体として強度を高くするように
している。そして、ラス網221が一方の格子状金網2
22bに溶接により固定されている。ラス網221は例
えば第1実施例で示したものでも第2実施例で示したも
のでもよい。上記凹陥部212は、開口形状が上記格子
状金網222aの発泡樹脂板210への投影形状にほぼ
一致し且つ深さは梁状金網材222cが途中まで入る程
度に形成されている。
【0038】上記第4実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法は第1実施例と同様である。またラス張
り構造壁体の製造方法は第3実施例と同様であり、ラス
体220の発泡樹脂板210への押しつけは、ラス網2
21と発泡樹脂板210との間に所定の隙間が残る程度
で止めるようにする。
【0039】上記第4実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第3実施例とほぼ同様であるが、補強部材2
22がトラス構造体であるから、その剛性によりラス張
り構造壁体の剛性が更に向上し、ラス網221の変形が
確実に防止され、モルタルmにクラックが発生すること
がない。なお、上記第3実施例と同様に凹陥部212に
接着剤等を充填してもよい。
【0040】先の第3実施例では鋼線で補強部材122
を構成したが、格子状金網を補強部材としてもよい。そ
れを更に変形させたものが図15に示す第5実施例のラ
ス張り構造壁体である。すなわち、図16に示すように
格子状金網を補強部材322とし、ラス網321の一側
面にこの補強部材322を固定してラス体320とし、
このラス体320の補強部材322が、発泡樹脂板31
0において熱溶融により形成された凹陥部312に嵌入
している構成である。ここで、ラス網321は要所要所
に凸部321aが形成され、この凸部321aが補強部
材322に溶接等で固定されている。ラス網321は例
えば第1実施例で示したものでも第2実施例で示したも
のでもよい。上記凹陥部312は、開口形状が上記補強
部材322の発泡樹脂板310への投影形状にほぼ一致
し且つ深さは補強部材322の厚みと一致する程度に形
成されている。
【0041】上記第5実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法は第1実施例と同様である。またラス張
り構造壁体の製造方法は第3実施例と同様であり、ラス
体320の発泡樹脂板310への押しつけは、ラス網3
21と発泡樹脂板310との間に所定の隙間が残る程度
で止めるようにする。
【0042】上記第5実施例のラス張り構造壁体の作
用、効果は第3実施例とほぼ同様であるが、補強部材3
22が格子状金網であるから、その剛性によりラス張り
構造壁体の剛性が更に向上し、ラス網321の変形が確
実に防止され、モルタルmにクラックが発生することが
ない。なお、上記第3実施例と同様に凹陥部312に接
着剤等を充填してもよい。
【0043】なお、上記第3実施例ないし第5実施例で
は加熱したラス体を発泡樹脂板に押し付けてラス張り構
造壁体を製造したが、ラス体の補強部材と同様な形状の
治具を別途に用意し、この治具を加熱して発泡樹脂板に
押し付けて凹陥部を形成し、その後に治具を発泡樹脂板
から引き離し、次いで凹陥部にラス体の補強部材を嵌入
してラス張り構造壁体を製造するようにしてもよい。
【0044】図17は第6実施例のラス張り構造壁体を
示す。第6実施例は第1実施例に対し、1枚のラス網に
代えて、複数のラス網を重ねて連結してなるラス重合体
を用いた点が異なる。すなわち、図18はラス重合体4
20を示し、2枚のラス網421,422を重ねて点溶
接により連結してなるものである。重ねるラス網の枚数
は3枚以上でもよい。そしてラス重合体420を構成す
る1枚のラス網421が第1実施例と同様に発泡樹脂板
410に熱溶着している。ラス網421,422はいず
れも例えば第1実施例で示したものでも第2実施例で示
したものでもよい。
【0045】上記第6実施例のラス張り構造壁体を用い
た壁の施工方法及びラス張り構造壁体の製造方法は第1
実施例と同様である。また第6実施例のラス張り構造壁
体の作用、効果は第1実施例とほぼ同様であるが、ラス
網の厚みが実質的に厚くなるから、モルタルmを厚く付
着させることができる。
【0046】図19は第7実施例のラス張り構造壁体を
示す。第7実施例は第1実施例に対し、発泡樹脂板51
0の両側面にラス網521,522を熱溶着した点が異
なる。ラス網521,522はいずれも例えば第1実施
例で示したものでも第2実施例で示したものでもよい。
この第7実施例のラス張り構造壁体は、両面にモルタル
を付着させることにより、間仕切壁等を形成できる他、
独特の施工方法として図20及び図21に示したものが
ある。すなわち、図20に示すようにラス張り構造壁体
を施工現場に立設された支柱に順次打ち付けて立設し、
その一側面に所定間隔を空けてコンクリートパネルPを
立設し、この間にコンクリートMを流し込む。そして図
21に示すようにラス張り構造壁体の他側面にモルタル
mを吹き付けることにより完了する。ラス張り構造壁体
同士の間に形成された目地にはコーキング材等を充填す
ればよい。このように施工すれば比較的分厚い壁も形成
できる。その他の一般的な作用、効果は第1実施例とほ
ぼ同様である。またラス張り構造壁体の製造方法である
が、第1実施例の製造方法におけるラス網溶着の手順を
発泡樹脂板510の両側面において行えばラス網52
1,522を発泡樹脂板510の両側面に熱溶着でき
る。その場合、キャリア40で保持した発泡樹脂板51
0に対してその両側から予熱されたラス網521,52
2を押し当てるようにしてもよい。
【0047】以上のいずれの実施例においても、ラス網
及び補強部材の材質は鋼である必要はなく、アルミ合金
など他の金属で形成してもよい。さらに、樹脂であって
もよい。その場合、ラス網及び補強部材は発泡樹脂板よ
りも溶融温度が高い材質である必要がある。
【0048】また上記各実施例ではラス網又はラス体に
防錆処理又は防水処理を施したが、このような処理は必
ずしも必要ない。そして製造方法において防錆処理又は
防水処理を最後の工程で施したが、ラス網又はラス体に
予め防錆処理又は防水処理を施しておいてから発泡樹脂
板に熱溶着するようにしてもよい。さらに製造方法にお
いてラス網又はラス体の予熱工程はラス網又はラス体の
加熱をスムーズに行う上で好ましいが、必須の工程では
ない。同様に最後に全体を強制冷却する工程は製造効率
を上げる点で好ましいが、これも必須の工程ではない。
【0049】さらに上記各実施例では平面状のラス張り
構造壁体を説明したが、本発明はコーナー部(例えば出
隅構造或いは入隅構造など)に用いるような断面L字形
のラス張り構造壁体にも適用できる。また上記第7実施
例では発泡樹脂板の両側面にラス網を熱溶着したが、ラ
ス体を両側面に熱溶着した構成、一側面にラス網を熱溶
着すると共に他側面にラス体を熱溶着する構成も本発明
に含まれるものである。
【0050】以上説明したラス張り構造壁体により施工
された壁は、戸建て住宅等の建築物の壁として利用でき
るのは勿論のこと、その優れた断熱性から冷凍庫の壁と
して、また建築物の屋根、床としても利用でき、さらに
防水性を利用してビルの蓄熱槽、水槽の壁を形成するこ
とも可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のラス張
り構造壁体は発泡樹脂板の少なくとも一側面にラス網を
直に配置して発泡樹脂板に熱溶着し、また請求項2のラ
ス張り構造壁体はラス体の補強部材を発泡樹脂板の少な
くとも一側面において熱溶融により形成された凹陥部に
嵌入したので、ラス網にモルタルを吹き付けて壁を施工
した場合に結露が生じることがなく長期にわたって断熱
性を確保できる上、ラス網又はラス体と発泡樹脂板との
一体化によりラス張り構造壁体の剛性を向上でき、これ
によって自立性を確保して施工の容易化及び工数低減を
実現でき、しかもラス網の変形を防止してモルタルにク
ラックが入ることを確実に防止でき、さらに薄い壁でも
施工が可能になって特にスペース確保が求められる戸建
て住宅に好適であると共にモルタル等を一様に付着させ
て仕上げ作業が不要になり、しかも従来の壁体よりも製
造コストが大幅に安くおさまる。しかも、発泡樹脂板の
表面に形成される再生層により防水機能が発揮されて壁
内部への水分の侵入を防止できると共にその表面の凹凸
によりモルタルを強固に付着させることができる。
【0052】また請求項2のラス張り構造壁体は、凹陥
部が複数あるときには共ぎき作用によって補強部材の保
持強度が更に高くなり、また凹陥部の開口付近が三次発
泡により狭まるから補強部材の保持強度が高くなり、壁
強度が向上する。またラス網と発泡樹脂板との間の隙間
へモルタルが入ってラス網を抱き込むようにして固まる
から、壁強度が更に向上すると共にモルタルを厚く形成
できる。
【0053】請求項3のラス張り構造壁体はラス網又は
ラス体に防錆処理を施してなるからラス網又はラス体に
錆が発生せず、又は請求項4のラス張り構造壁体はラス
網又はラス体に防水処理を施してなるから水をはじき、
いずれも壁の耐久性を向上させることができる。
【0054】請求項5のラス張り構造壁体は、ラス網に
代えて複数のラス網を重ねて連結してなるラス重合体を
備えたので、ラス重合体により実質的に分厚いラス網を
構成して、モルタルを厚く付着させることができる。
【0055】請求項6の製造方法は、ラス網又はラス体
を加熱しつつ発泡樹脂板に押し付けるので、作業が簡単
であり、ラス張り構造壁体の生産効率を高めることがで
きる上、ラス体の場合には凹陥部の開口付近が三次発泡
により狭まるから、補強部材の保持強度が高くなり、ラ
ス体と発泡樹脂板を強固に一体化することができる。
【0056】請求項7の製造方法は、ラス網又はラス体
を予熱した後、ラス網又はラス体を加熱しつつ発泡樹脂
板に押し付けるので、予熱によりラス網又はラス体の加
熱がスムーズに行われ、熱溶着を確実に行うことができ
る。
【0057】請求項8の製造方法は、最後に全体を強制
的に冷却する冷却工程を加えたので、冷却がスムーズに
行われてラス張り構造壁体の生産効率を高めることがで
きる。
【0058】請求項9の製造方法はラス網の溶着面に防
錆処理を施す防錆処理工程を備え、請求項10の製造方
法はラス網の溶着面に防水処理を施す防水処理工程を備
えて、製造段階でラス網又はラス体に防錆処理又は防水
処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の斜視図、
【図2】第1実施例の一部を拡大して示す平面図、
【図3】図2のIII−III線断面における拡大端面
図、
【図4】第1実施例により施工された壁面の縦断拡大端
面図、
【図5】第1実施例の第1製造工程を示す説明図、
【図6】同じく第2製造工程を示す説明図、
【図7】第2実施例の縦断端面図、
【図8】第2実施例のラス網の拡大側面図、
【図9】同じくラス網の拡大平面図、
【図10】第3実施例の縦断端面図、
【図11】第3実施例の補強部材を先端側からみた拡大
断面図、
【図12】第3実施例の変形例を示す図11相当図、
【図13】第4実施例の縦断端面図、
【図14】第4実施例のラス網及び補強部材を分離して
示す拡大組立斜視図、
【図15】第5実施例の縦断端面図、
【図16】第5実施例のラス網及び補強部材を分離して
示す拡大組立斜視図、
【図17】第6実施例の縦断端面図、
【図18】第6実施例のラス重合体を分離して示す拡大
組立斜視図、
【図19】第7実施例の縦断端面図、
【図20】第7実施例の施工例におけるコンクリート打
ち込み時の縦断端面図、
【図21】同じくモルタル吹き付け後における縦断端面
図である。
【符号の説明】
10 発泡樹脂板 20 ラス網 m モルタル 10’ 発泡樹脂板 20’ ラス網 110 発泡樹脂板 112 凹陥部 120 ラス体 121 ラス網 122 補強部材 210 発泡樹脂板 212 凹陥部 220 ラス体 221 ラス網 222 補強部材 310 発泡樹脂板 312 凹陥部 320 ラス体 321 ラス網 322 補強部材 410 発泡樹脂板 420 ラス重合体 421 ラス網 422 ラス網 510 発泡樹脂板 521 ラス網 522 ラス網
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E04F 13/08 Z 9127−2E

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡樹脂板の少なくとも一側面にラス網が
    直に配置され、このラス網が発泡樹脂板に熱溶着してい
    ることを特徴とするラス張り構造壁体。
  2. 【請求項2】ラス網の一側面に補強部材を固定してなる
    ラス体を備え、このラス体の補強部材が、発泡樹脂板の
    少なくとも一側面において熱溶融により形成された凹陥
    部に嵌入していることを特徴とするラス張り構造壁体。
  3. 【請求項3】ラス網又はラス体に防錆処理を施してなる
    請求項1又は2記載のラス張り構造壁体。
  4. 【請求項4】ラス網又はラス体に防水処理を施してなる
    請求項1又は2記載のラス張り構造壁体。
  5. 【請求項5】請求項1記載のラス張り構造壁体におい
    て、ラス網に代えて複数のラス網を重ねて連結してなる
    ラス重合体を備えたラス張り構造壁体。
  6. 【請求項6】ラス網又はラス体を加熱しつつ発泡樹脂板
    に押し付けることを特徴とするラス張り構造壁体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】ラス網又はラス体を予熱した後、ラス網又
    はラス体を加熱しつつ発泡樹脂板に押し付けることを特
    徴とするラス張り構造壁体の製造方法。
  8. 【請求項8】最後に全体を強制的に冷却する冷却工程を
    加えた請求項6又は7記載のラス張り構造壁体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】ラス網の溶着面に防錆処理を施す防錆処理
    工程を備えた請求項6ないし8記載のラス張り構造壁体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】ラス網の溶着面に防水処理を施す防水処
    理工程を備えた請求項6ないし8記載のラス張り構造壁
    体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6305135B1 (en) 1998-05-14 2001-10-23 Yoshiki Kimura Composite building material and method for manufacturing the same
JP2020185732A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 旭化成建材株式会社 軽量気泡コンクリートパネル
JP2022141550A (ja) * 2021-03-15 2022-09-29 株式会社日総 メタルラス並びにそのメタルラスを用いた塗工体及び工法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020185732A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 旭化成建材株式会社 軽量気泡コンクリートパネル
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