JPH0810823A - ステンレス冷延鋼帯の焼鈍・脱スケール方法 - Google Patents

ステンレス冷延鋼帯の焼鈍・脱スケール方法

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JPH0810823A
JPH0810823A JP14279894A JP14279894A JPH0810823A JP H0810823 A JPH0810823 A JP H0810823A JP 14279894 A JP14279894 A JP 14279894A JP 14279894 A JP14279894 A JP 14279894A JP H0810823 A JPH0810823 A JP H0810823A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い生産性と安定した脱スケール能力を有
し、しかも優れた耐食性を備えたステンレス冷延鋼帯の
焼鈍・脱スケール方法を提供する。 【構成】冷間圧延後のステンレス鋼帯に、還元性雰囲気
中で焼鈍を施し、次いで機械的な研削を施し、その後硝
塩酸溶液中で酸洗を施す。また、還元性雰囲気は、H2
20 vol%以下、残部が不活性ガスの組成、かつ露点が-1
0 ℃以下とし、機械的な研削量は、酸化皮膜表面からの
厚みに換算して、次式の関係を満たす範囲 A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B≦
10 A≦―40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削量(μm ) とし、溶液の組成は硝酸濃度10〜300(g/l)かつ塩酸濃度
1〜30(g/l) 、温度は35〜65℃および電解処理の電流密
度は1〜30(A/dm2) とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス冷延鋼帯
(鋼板も含む)の製造方法に係り、とくに高速かつ安定
な脱スケールを行うことを可能とするとともに、脱スケ
ール後の耐食性が優れた特性を有するステンレス冷延鋼
帯の焼鈍・脱スケール方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷間圧延後のステンレス鋼に
は、加工性および耐食性を確保するために焼鈍が施され
る。ステンレス鋼の主な焼鈍方法には、強還元性雰囲気
で処理する方法と燃焼雰囲気で処理する方法とがある。
前者の方法は、光輝焼鈍(BA)処理とよばれ、酸化皮
膜(スケール)は極めて薄く、ほとんど圧延のままの光
沢が得られる。一方、後者の方法では焼鈍時に一定の厚
さ以上のスケールが生じるため、このままでは耐食性、
成形・加工時のダイス寿命などに悪影響を及ぼす。この
ため、燃焼雰囲気で焼鈍を行った場合には、焼鈍後、脱
スケールのための酸洗処理が施される。また、近年、普
通鋼の連続焼鈍ライン(CAL)のような還元性雰囲気
中で、高速で通板する焼鈍方法が試みられつつある。こ
の場合に、ステンレス鋼は酸化されやすいCrを含むた
め、普通鋼では酸化されない雰囲気であっても、表面に
テンパーカラー状のスケールが生成し、焼鈍後、脱スケ
ール処理が必要であった。
【0003】ところで、焼鈍後に施される脱スケール処
理として、従来は一般に、溶融アルカリ塩に浸漬するソ
ルト処理もしくは中性塩溶液中における電解処理などの
工程の後に、硫酸、硝酸、硝弗酸等の酸溶液に浸漬する
か、電解処理する工程を組み合わせる方法が採用されて
いた。その具体的方法は、例えば、特公昭38-12162号公
報、特開昭59-59900号公報あるいはステンレス鋼便覧
(長谷川正義監修、日刊工業新聞社、1973、P.839 )等
に開示されており、これら方法が鋼種や焼鈍条件に起因
するスケール除去の難易度によって使い分けられてい
た。しかし、上記のような複雑な工程の脱スケール処理
を施しても、スケールを完全に除去するためには、長時
間にわたる処理が必要であり、ステンレス冷延鋼帯の生
産能率を阻害する原因となっていた。それ故、ラインの
高速化、生産性の向上に対応するために、短時間で処理
できる脱スケール方法の開発が多年の課題であった。
【0004】このような背景の下で、脱スケールの高速
化の要求に対応するための技術が、数多く提案されてい
る。その有力な技術として、処理液中に塩化物イオンを
添加し、塩素イオンのスケール侵食機能を活用した方法
が挙げられる。例えば、特開昭53-23245号公報では中性
塩電解質水溶液−(Nacl またはKcl ) からなる水溶液で
電解する方法が、特公昭58-42777号公報や特公昭60-543
91号公報では硝酸−塩酸−塩化第二鉄からなる処理液中
で電解する方法が、また特開平1-234600号公報ではNaCl
を主成分とする水溶液中で電解し硝弗酸または硫弗酸中
に浸漬する方法が、それぞれ開示されている。しかし、
これらの方法では、脱スケールの処理時間が20 sec程度
が限度であり、ライン速度を高めるためには酸洗漕を長
大にするしかなく、普通鋼の連続焼鈍酸洗ライン(CA
L)のような高速高効率設備では実用化できなかった。
さらに、特開平1-147100号公報、特開平4-66699 号公報
では硝塩酸溶液中で電解する方法が開示されている。し
かし、この方法では脱スケール能力が、電解溶液中の溶
存Fe、Cr濃度のみならず、スケール状態によっても大き
く変化する。このため、実操業設備においては、焼鈍温
度、雰囲気等の影響をうけやすい、鋼帯のエッジ部で
は、生成するスケール性状が大きく変化するので、脱ス
ケール能力が安定せず、スケール残りあるいは、過酸洗
による表面の肌あれ等が頻繁に生ずるという問題点があ
った。またこの方法では、目視での確認が困難で除去し
にくい、極微量のSi等の酸化物が酸洗後も残存し、鋼板
の耐食性を劣化させるという問題点があった。さらに、
この方法の脱スケールの処理時間は、せいぜい 5 sec程
度が限界であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記既知
技術はいずれも、脱スケール工程の処理時間が長い(生
産性が低い)という問題を抱えていた。さらに、脱スケ
ール能力が不安定なために、とくに鋼板のエッジ部で脱
スケール不良が生じたり、鋼板表面に酸化物が残存する
ために耐食性が劣化するという問題も抱えていた。
【0006】本発明の主たる目的は、ステンレス冷延鋼
帯を焼鈍、脱スケールする際の上記従来技術が抱えてい
る上述した問題点を惹起することのないステンレス冷延
鋼帯の焼鈍・脱スケール方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、高い生産性と安定した脱スケール能
力を有し、しかも優れた耐食性を備えたステンレス冷延
鋼帯の焼鈍・脱スケール方法を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、脱スケール工程の処理時間を
2 sec以下に短縮することが可能なステンレス冷延鋼帯
の焼鈍・脱スケール方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上掲
の目的の実現に向けて、焼鈍後のスケールおよび地鉄の
状態と各溶液中での脱スケール挙動について詳細に検討
した結果、脱スケール能力の不安定性は、スケールの厚
みの違いによる電解電流効率の変動、および焼鈍時に地
鉄とスケール等の元素の濃化の度合によって影響を受け
ること、スケールの表層から焼鈍条件に応じた一定の深
さを機械的に研削すれば安定した脱スケール性が得られ
ること、また次工程で硝塩酸溶液中で処理すれば、耐食
性に悪影響を及ぼすSi、Al等の酸化物が残存しない良好
な表面が、短時間で、得られることを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】本発明は、上記の考え方を具体化した下記
の構成を要旨とするものである。 (1) 冷間圧延後のステンレス鋼帯を、還元性雰囲気中で
焼鈍し、次いで機械的な研削を行い、その後硝塩酸溶液
中で酸洗することを特徴とするステンレス冷延鋼帯の焼
鈍・脱スケール方法。
【0009】(2) 上記(1) において、還元性雰囲気が、
H2:20 vol%以下、残部が不活性ガスの組成からなり、
かつ露点が-10 ℃以下である焼鈍・脱スケール方法。
【0010】(3) 上記(1) または(2) において、機械的
な研削量が、酸化皮膜表面からの厚みに換算して、次式
の関係を満たす範囲である焼鈍・脱スケール方法。 A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B≦
10 A≦―40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削量(μm )
【0011】(4) 上記(1) 〜(3) において、溶液の組成
が硝酸濃度10〜300(g/l)かつ塩酸濃度1〜30(g/l) 、温
度が35〜65℃および電流密度が1〜30(A/dm2) の条件で
電解処理を行う焼鈍・脱スケール方法。
【0012】
【作用】まず、本発明にけるステンレス冷延鋼帯とは、
Cr含有量が5〜40wt%であるフェライト系、オーステナ
イト系などのステンレス冷延鋼帯を指し、とくにCr含有
量が10〜30wt%のステンレス冷延鋼帯に有利に適用しう
る。次に、本発明において、ステンレス冷延鋼帯の焼鈍
・脱スケール条件を上記要旨構成のとおりに限定した理
由について説明する。
【0013】本発明の焼鈍雰囲気は、還元性雰囲気とす
る必要がある。連続焼鈍ライン(CAL)などで焼鈍し
たステンレス鋼帯の表面に生成するスケールの厚みや、
地鉄とスケールとの界面における各元素の濃化の度合
は、焼鈍雰囲気の組成や露点により影響を受ける。すな
わち、還元性雰囲気の露点が−10℃より高くなると、生
成スケールが厚くなり、また地鉄とスケールとの界面で
のSi,Ti,Nb,Al といった脱スケール性および酸洗後の耐
食性を劣化させる元素の濃化の度合が大きくなる。その
ため、スケールが厚くなり過ぎたり、地鉄にこれらの元
素の濃化度合が過大になると、後の工程でメカニカルな
研削を行っても、高速短時間で脱スケール処理すること
が困難となる。また、焼鈍雰囲気中のH2濃度が高けれ
ば、スケールおよび濃化層は薄くなるが、20 vol%付近
で飽和する。なお、過度にH2濃度が高くなると安全性お
よびコストの点から不利となる。よって、焼鈍雰囲気の
条件は、好ましくはH2:20 vol%以下、露点:−10℃以
下、より好ましくはH2:2〜10 vol%、露点:−25〜−
45℃である。
【0014】上記焼鈍に引き続き機械的な研削を行う。
本発明における機械的な研削とは、ブラシロール、研磨
粉、ショットブラストなどの機械的な研削処理のことを
意味する。発明者等が、従来の工程で酸洗後の鋼板表面
を詳細に調査した結果、Si,Ti,Nb,Al 等の酸化物が残存
し、また地鉄表層部にこれらの元素が濃化しており、こ
れらが脱スケール性および耐食性を劣化させていること
を見いだした。そこで、機械的な研削を行うことによ
り、焼鈍条件に関係なく、常に表面状態を一定にするこ
とができ、脱スケール能力の安定性を高めることが可能
となる。さらに、この機械的な研削により、焼鈍時に濃
化した地鉄界面のSi,Ti,Nb,Al 等の、後工程の硝塩酸溶
液中で難溶性で、鋼板の耐食性を劣化させる部分を除去
できる。これらの作用によって、従来に比べて高速短時
間に脱スケール処理をお行うことができ、酸洗後の鋼板
の耐食性も向上する。
【0015】本発明における機械的な研削量は次式で示
される範囲で行えばよい。 A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B≦
10 A≦―40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削量(μm ) 研削量を上式のように、焼鈍雰囲気の露点に依存して定
めたのは、次の理由による。すなわち、発明者等は、ス
ケール厚、地鉄のSi,Ti,Nb,Al 等各元素の濃化層に及ぼ
す焼鈍条件の影響を調査した結果、通常の操業に適用さ
れる焼鈍温度1050℃以下では、スケール厚みおよび濃化
厚みは焼鈍雰囲気の露点に大きく依存しており、この
濃化層の表面からの厚みは、還元性雰囲気中では、露点
−40℃以上の範囲では、ほぼ露点に比例し、−40℃以下
では露点に関係なく、ほぼ一定の厚みになることを見い
だした。この事実の基づき上記式の下限を定めた。研削
量がこの範囲より少なくなると、スケールまたはSi,Ti,
Nb,Al 等の濃化層が残り、脱スケール性が劣化し、安定
した脱スケールを行うことができなくなり、酸洗後にも
これらの元素が残り、耐食性を劣化させる。一方、研削
量が10μm を超えると、表面が荒れ、研削時に火花発生
等の問題も生じるので、研削量の上限は10μm とする。
【0016】上記の機械的研削の後、硝塩酸溶液中で酸
洗を行う。発明者らは、研削後の処理液について、機
械的研削傷の除去性、表面の平滑性確保不動態化処
理の短時間処理、の観点から様々な溶液中で研削後の鋼
板を処理した結果、硝塩酸溶液中で処理する方法が適し
ていることを見い出した。そして、硝塩酸溶液中の処理
としては、硝酸10〜300(g/l)と塩酸1〜30(g/l)との混
合液中で、温度35℃〜65℃、電流密度1〜30(A/dm2) の
条件で電解処理を行うことが推奨される。
【0017】硝酸濃度が10 g/lに満たないと、短時間に
不動態化処理することが難しく、一方300g/lを超えると
NOX 発生量が増大するという弊害がおこる。また、塩
酸濃度が1g/lに満たないと高速に脱スケールすることが
難しく、30 g/lを超えると肌荒れが起こる。以上の理由
から、硝塩酸の処理液は、硝酸10〜300(g/l)と塩酸1〜
30(g/l) との混合液、好ましくは、硝酸50〜200(g/l)と
塩酸3 〜20(g/l) との混合液とする。
【0018】また硝塩酸溶液の温度については、温度が
35℃に満たないと、短時間に処理することが困難とな
り、65℃を超えるとNOX 発生量の増大や肌荒れ等の弊
害を生じる。以上の理由から、硝塩酸の処理液の温度は
35〜65℃、好ましくは40〜60℃がよい。
【0019】さらに、硝塩酸溶液中での電解電流密度
は、1A/dm2 に満たないと短時間で処理できず、一方30
A/dm2 を超えるとNOX 発生量が増大や肌荒れ等の弊害
を生ずる。以上の理由から、電流密度は1〜30(A/dm2)
、好ましくは5〜25 A/dm2とする。なお、本発明にお
いては、熱間圧延時の圧下率、焼鈍条件および冷間圧延
時の圧下率は特に限定する必要はなく、板厚等に応じて
適切に定めればよい。
【0020】
【実施例】実施例1 SUH409ステンレス鋼(Cr:11 wt%、Ti:0.5wt%)
の熱延板を冷間圧延により板厚1.0 mmの冷延鋼帯とし供
試材とした。この供試材を表1に示す各条件で、焼鈍、
研削および酸洗(硝塩酸) を行い、脱スケールの状況お
よび耐食性について調べた。ここで、焼鈍パターンは、
約200 sec 秒で900 ℃まで昇温→900 ℃×60 sec保持→
空冷とし、研削はナイロン製のブラシを用いる方法によ
り行った。また、比較のために、研削を施すことなく中
性塩電解を利用する、従来の方法(条件:Na2SO4 200g/
l 、温度80℃、電流密度 10A/dm2、電解時間 10sec→硝
酸100g/l、弗酸 10g/l、温度50℃、浸漬30sec →硝酸10
0g/l、温度60℃、電流密度20A/dm2 、電解時間 10sec)
でも脱スケールを試みた。脱スケール性の判定は、完全
に脱スケールした代表サンプルと対比し、目視判定によ
り、○、△、×(○:脱スケール良好、△:微少スケー
ル残りあり、×:スケール残りあり)でおこなった。ま
た、耐食性の判定は、孔食電位(JIS G 0577)を測定す
ることにより評価した。その結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1から、本発明の方法によれば、きわめ
て短時間に、安定した脱スケールを行うことができ、酸
洗後の耐食性も良好であることがわかる。これに対し、
本発明の範囲を外れた比較例では、本発明に比べ、高速
短時間に処理することが難しく、また、脱スケール不良
とくにエッジ部でのスケール残り、酸洗後の耐食性不良
のうちの少なくとも一方の欠点が生ずることがわかる。
また、中性塩電解を利用した従来例は、処理時間が長い
にもかかわらず、とくに耐食性の点で発明法より劣るこ
とが示された。
【0023】実施例2 SUS430ステンレス鋼(Cr:18 wt%)の熱延板を冷
間圧延により板厚1.0mmの冷延鋼帯とし供試材とした。
この供試材を表2に示す各条件で、焼鈍、研削および酸
洗(硝塩酸) を行い、脱スケールの状況および耐食性に
ついて調べた。ここで、焼鈍パターンは、約250 sec 秒
で850 ℃まで昇温→850 ℃×60 sec保持→空冷とし、研
削はナイロン製のブラシを用いる方法により行った。ま
た、比較のために、研削を施すことなく中性塩電解を利
用する、従来の方法(条件:Na2SO4 200g/l 、温度80
℃、電流密度 10A/dm2、電解時間 10sec→硝酸100g/l、
温度60℃、電流密度20A/dm2 、電解時間 10sec)でも脱
スケールを試みた。脱スケール性の判定は、完全に脱ス
ケールした代表サンブルと対比し、目視判定により、
○、△、×(○:脱スケール良好、△:微少スケール残
りあり、×:スケール残りあり)でおこなった。また、
耐食性の判定は、孔食電位(JIS G 0577)を測定するこ
とにより評価した。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2から、本発明の方法によれば、きわめ
て短時間に、安定した脱スケールを行うことができ、酸
洗後の耐食性も良好であることがわかる。これに対し、
本発明の範囲を外れた比較例では、本発明に比べ、高速
短時間に処理することが難しく、また、脱スケール不良
とくにエッジ部でのスケール残り、酸洗後の耐食性不良
のうちの少なくとも一方の欠点が生ずることがわかる。
また、中性塩電解を利用した従来例は、処理時間が長い
にもかかわらず、とくに耐食性の点で発明法より劣るこ
とが示された。
【0026】
【発明の効果】上述したように、本発明方法によれば、
従来の方法が抱えていたステンレス冷延鋼帯の焼鈍・脱
スケールの問題点が解消される。また、本発明方法によ
れば、高い生産性と安定した脱スケール能力を有し、し
かも優れた耐食性を備えたステンレス冷延鋼帯の焼鈍・
脱スケールが可能となる。また、本発明方法によれば、
脱スケール工程の処理時間を3 sec以下に短縮させるこ
とが可能となる。このため、良好な品質のステンレス鋼
帯が低コストで製造可能となり、従来の長大な酸洗設備
を大幅に縮小でき、設備管理が容易になるなど、工業上
極めて大きな効果が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23G 1/08 C25F 1/06 B (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 高崎 順介 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 塩川 隆 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷間圧延後のステンレス鋼帯を、還元性雰
    囲気中で焼鈍し、次いで機械的な研削を行い、その後硝
    塩酸溶液中で酸洗することを特徴とするステンレス冷延
    鋼帯の焼鈍・脱スケール方法。
  2. 【請求項2】還元性雰囲気が、H2:20 vol%以下、残部
    が不活性ガスの組成からなり、かつ露点が-10 ℃以下で
    ある請求項1記載の焼鈍・脱スケール方法。
  3. 【請求項3】機械的な研削量が、酸化皮膜表面からの厚
    みに換算して、次式の関係を満たす範囲である請求項1
    または2記載の焼鈍・脱スケール方法。 A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B≦
    10 A≦―40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削量(μm )
  4. 【請求項4】溶液の組成が硝酸濃度10〜300(g/l)かつ塩
    酸濃度1〜30(g/l) 、温度が35〜65℃および電流密度が
    1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行う請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の焼鈍・脱スケール方法。
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