JP3216533B2 - Fe−Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法 - Google Patents

Fe−Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Fe-Ni 系合金熱間
圧延鋼帯の脱スケール方法、より具体的には、脱スケー
ル後に発銹しにくく、冷間圧延後やエッチング加工後に
良好な表面品質が得られ、さらに低コストで、ステンレ
ス鋼帯の酸洗ラインとの共有化が可能な脱スケール方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe-Ni 系合金は、熱間圧延され、あるい
はさらに冷間圧延された後、LNG 容器、リードフレー
ム、シャドウマスク、パーマロイなどの用途に使用され
る。また、Fe-Ni 系合金は、冷間圧延後、良好な表面外
観であることが必要であり、さらに、前記用途ではエッ
チング加工されるものもあるので、エッチング加工時に
エッチング不良が発生しないことも必要である。
【0003】冷間圧延に際しては、Fe-Ni 系合金熱間圧
延鋼帯の脱スケールを完全に行う必要がある。しかし、
Fe-Ni 系合金は、スラブ加熱時に素地と密着性の良い内
部酸化層が生成し、熱間圧延時のデスケーリングでも除
去されにくい。このため、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯に
は、表面の均一な酸化層( 以下、2 次スケール) の下に
深さ数十μm の内部酸化層が残留するため、脱スケール
が容易でない。
【0004】このため、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱
スケールは、「R&D 神戸製鋼技報、vol.32、No.3、
p.38」(以下、従来技術A)に記載されるように、機械
的研削によることが多い。しかし、研削量が数十μm と
大きいため、研削機械への負荷が大きく、高速研削が難
しく、かつ、研削材は高価で寿命が短いため、生産性が
低く、脱スケールコストが高価になるという問題があ
る。
【0005】また、機械的研削による脱スケールはステ
ンレス鋼帯についても行われているが、硬質なステンレ
ス鋼では問題にならないが、Fe-Ni 系合金は軟質である
ため、研削材に含まれる砥粒がFe-Ni 系合金熱間圧延鋼
帯中に埋め込まれ、次工程の冷間圧延時に表面疵となっ
たり、シャドウマスクなどに加工された際にエッチング
不良を生じるなどの問題がある。
【0006】さらに、機械的研削で1パスでの研削量を
多くして研削速度を上げるためには、#100前後の粗い番
手の砥粒を用いなければならず、脱スケール後の表面が
粗くなるため、冷間圧延後の表面品質が劣化するという
問題もある。
【0007】そのため、機械的研削のみによらない脱ス
ケール方法が提案されている。例えば、特開平1-273607
号公報(以下、従来技術B)には、メカニカル処理でス
ケールに亀裂や剥離を生じさせ、次いで、砥粒番手が#4
6 〜100 の範囲の第1研削ロールにより、熱延合金鉄鋼
帯のスケール直下の金属素地まで研削し、続いて砥粒番
手が#80 〜400 の範囲、かつ第1 研削ロールの砥粒番手
より細かいかまたは等しい砥粒番手の第2研削ロールを
用いて研削面の目ならしを行った後、酸液処理する操作
を連続して行うことにより、スケールに亀裂や剥離を生
じさせて研削での脱スケール性を向上し、研削でスケー
ルのほとんどを除去することにより酸洗での負荷を軽く
して酸液寿命を延長し、また研削材の砥粒番手の最適化
と酸洗により表面粗さを低下して表面を平滑にすること
により良好な表面品質を得る熱延合金鉄鋼帯の脱スケー
ル方法が記載されている。
【0008】また、特開昭62-139888 号公報(以下、従
来技術C)には、硝酸5 〜11wt% 、フッ酸6 〜11wt% を
含む温度40〜70℃の硝フッ酸酸洗により、脱スケール性
を向上し、また酸洗後の表面荒れを抑制、すなわち表面
粗さ(Ra)の増大を抑制した表面性状に優れるFe-Ni 系合
金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法が記載されている。
【0009】さらに、特開平2-70100 号公報(以下、従
来技術D)には、少なくともNiおよび/またはCrを含有
する合金鉄鋼帯に対して、50〜200g/lのNaClを主成分と
し、この中にNaCl1mol/l当たりHNO3またはFeCl3 を0.4
〜1.0mol/l添加した溶液中で、液温を20〜80℃、電流密
度を5 〜30A/dm2 の条件で陽極電解酸洗した後に、硫フ
ッ酸と硝フッ酸のいずれか一方または両方の酸洗処理に
よる脱スケールを行い、前記合金鉄鋼帯の脱スケール性
を改善するとともに、電解酸洗により大部分のスケール
を除去するので、次の酸洗時に脱スケールの負荷が軽減
され、薬液中のスケールの堆積が少なくなり、酸洗液の
劣化を抑制できることが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術Bに
記載の方法は、機械的研削と酸洗による脱スケールの併
用であり、設備の維持費やランニングコストが高くな
る。また、ほとんどすべてのスケールを機械的研削で除
去するため、前記した従来技術Aに記載した問題点は本
質的に改善されおらず、研削砥粒の埋め込みに伴う冷間
圧延後やエッチング加工後の欠陥発生等の問題がある。
【0011】従来技術Cに記載の方法は、硝フッ酸だけ
で脱スケールを行うため、硝酸に比べて高価なフッ酸の
使用量が多くなり、また、スケールが硝フッ酸水溶液に
徐々に溶解するため、一度脱落し酸洗槽中に堆積したス
ケールの溶解により硝フッ酸が浪費される。このため、
硝酸や高価なフッ酸の使用量が増大するという問題があ
る。
【0012】また、脱スケール後の鋼板表面が褐色に発
銹しやすいという問題がある。この銹は時間の経過とと
もに酷くなり易いので、一度発銹すると、再度酸洗や研
磨を行い、銹を除去せざるを得ない。
【0013】さらに、フッ化鉄の沈殿・錯イオンが生成
し易く(「高張友夫ら:鉄と鋼、vol.70、No.11 、p.16
05」)、フッ酸の消費増大や配管閉塞を引き起こし、生
産性の低下やコストの増加を招くという問題がある。
【0014】従来技術Dに記載の方法は、冷間圧延後の
表面品質を考えた検討がなされておらず、冷間圧延後の
表面品質にも問題がある。
【0015】また、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯は、脱ス
ケールが困難なステンレス鋼帯と共通の設備で脱スケー
ルされることもある。したがって、Fe-Ni 系合金熱間圧
延鋼帯の脱スケールに用いる設備、処理液により、ステ
ンレス鋼帯も脱スケールできることが有利である。しか
し、従来技術Dに記載の方法は、陽極電解処理液中にク
ロルイオンを含むため、ステンレス鋼帯の脱スケールを
行った場合、脱スケール後のステンレス鋼帯表面に残留
したクロルイオンによる孔食や銹を生じやすいという問
題があるので、脱スケール処理をステンレス鋼帯と共用
することができない。
【0016】本発明は、前記した事情を考慮してなされ
たものであり、脱スケールの処理速度が速く、そのため
の薬液が安価で、薬液劣化、薬液消費量の少ない脱スケ
ールができるのみならず、2 次スケールおよび内部酸化
層からなるスケールおよびへげ等の表面欠陥を完全に除
去でき、脱スケール後に発銹しにくく、脱スケール後の
表面が平滑で、冷間圧延やエッチング加工後に良好な表
面品質が得られ、さらにステンレス酸洗処理との共有化
が可能なFe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記した
課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、酸洗
後の鋼帯表面の褐色の発銹は、フッ酸濃度と関係してお
り、フッ酸を使用しないと、褐色の発銹を防止できるこ
と、また、硝酸は素地を激しく溶解するがスケールを全
く溶解せず、薬液の劣化を抑制できること、さらに、硝
酸の濃度および温度を限定して酸洗すると、脱スケール
を最も速く進行させて、スケールを完全に除去できるこ
と、酸洗後の鋼帯表面を平滑にできること、あるいは酸
洗後に発銹しないようにできること、さらに、硝酸水溶
液に浸漬中に電流を付与すると、脱スケール性がより向
上すること、および、硝酸酸洗の前にメカニカルデスケ
ーリング処理(ショットブラスト、スケールブレーカ
ー、低い圧延率での圧延または研削砥粒入りブラシ研削
による処理の中から選ばれた1種または2 種以上を組み
合わせた処理)を施して、2次スケールに割れ目を入れ
ると、腐酸洗が促進され、また腐食の均一性を高めるこ
とができることを見出した。
【0018】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであり、その要旨は以下のとおりである。
【0019】(1) Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケー
ルに際して、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯を、メカニカル
デスケーリング処理の後、硝酸濃度10wt% 以上25wt% 以
下、液温55℃以上80℃以下の硝酸水溶液に浸漬して酸洗
することを特徴とするFe-Ni系合金熱間圧延鋼帯の脱ス
ケール方法。
【0020】(2) Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケー
ルに際して、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯を、メカニカル
デスケーリング処理の後、硝酸濃度10wt% 以上25wt% 以
下、液温55℃以上80℃以下の硝酸水溶液中で、電流密度
0.06A/cm2 以上0.18A/cm2 以下で陰極電解と陽極電解を
繰り返して電解酸洗することを特徴とするFe-Ni 系合金
熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
【0021】(3) メカニカルデスケーリング処理が、シ
ョットブラスト、スケールブレーカー、低い圧延率での
圧延または研削砥粒入りブラシ研削による処理の中から
選ばれた1種または2 種以上を組み合わせた処理である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のFe-Ni
系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
【0022】(4) メカニカルデスケーリング処理が、投
射密度30kgf/m2以上のショットブラストによる処理であ
ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のFe-N
i 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
【0023】<作用・限定理由> [合金成分]本発明が対象とするFe-Ni 系合金熱延鋼帯
は、基本成分として、重量% で、Ni:25%以上85% 以下、
Fe:15%以上75% 以下を含有するFe-Ni 系合金である。
【0024】Ni、Feが前記範囲を外れるとFe-Ni 系合金
熱延鋼帯が電子・電磁用材料としての所要の物理的、磁
気的性質および機械的性質を満足できなくなるために前
記のように限定した。
【0025】本発明のFe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯として
は、電子・電磁用材料やLNG 容器の用途等に用いられる
インバー合金(36wt%Ni) 、スーパーインバー合金(32wt%
Ni-5wt%Co)、42合金(42wt%Ni) 、42-6合金(42wt%Ni-6wt
%Cr)、コバール(30wt%Ni-17wt%Co) 、PB級パーマロイ(4
5wt%Ni) 、PC級パーマロイ(78wt%Ni-4wt%Mo-2wt%Cu)等
を例示することができる。
【0026】これらのFe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯には、
必要に応じて、Si、Mn、Cr、Cu、Co、Mo、Al等の元素を
添加しても、本発明の効果が損なわれないし、また、C
、P、S 、N 、O 等の不可避不純物が混入しても構わな
い。
【0027】[メカニカルデスケーリング処理]Fe-Ni 系
合金熱延鋼帯の硝酸による酸洗では、酸化物は溶解せ
ず、素地の溶解により脱スケールが進行する。この時、
硝酸は2次スケール中の割れ目を通じて素地に到達し、
2次スケール直下の素地を溶解することで2次スケール
を剥離し、その後、内部酸化層の周りの素地を溶解する
ことで内部酸化層を除去する。
【0028】Fe-Ni 系合金熱延鋼帯の2 次スケールは緻
密で割れ目が少ないため、熱延ままでは硝酸による酸洗
を行っても脱スケールは不均一にしか進まない。酸洗前
にメカニカルデスケーリング処理を施すことにより、2
次スケールに割れ目が付与され、次の硝酸酸洗の際に、
脱スケールを促進できるのみならず、均一な脱スケール
を行うことが可能になる。
【0029】メカニカルデスケーリング処理として、シ
ョットブラスト、スケールブレーカー、低い圧延率での
圧延または研削砥粒入りブラシ研削による処理の中から
選ばれた1 種または2種以上を組み合わせた処理を施す
ことにより、硝酸酸洗の前でより効率的にスケールの剥
離を促進させることができる。ショットブラストは2次
スケールの厚さの影響をほとんど受けず、投射密度30kg
f/m2以上で十分な脱スケール効果がある。
【0030】[硝酸酸洗条件] 濃度:硝酸によるFe-Ni 系合金熱延鋼帯の溶解速度は、
硝酸濃度や温度により影響を受けるが、溶解は必ずしも
均一に進まない場合があるので、Fe-Ni 系合金熱延鋼帯
の内部酸化層の除去工程は、溶解の最も少ない部分の溶
解速度、すなわち最低減肉速度により律速される。した
がって、最低減肉速度は、脱スケール性を示す重要な指
標であり、最低減肉速度が高い場合、高能率の脱スケー
ルが可能であり、最低減肉速度が低い場合、脱スケール
能率が低下し、鋼帯表面にスケールが残留する場合があ
る。
【0031】Fe-Ni 系合金熱延鋼帯について、硝酸水溶
液を用いて、浸漬酸洗および電解酸洗を行った場合の最
低減肉速度に及ぼす硝酸濃度、電流密度の影響について
調査した。Fe-Ni 系合金として、Fe-36wt%Ni合金熱間圧
延鋼帯を用いて、温度65℃で濃度の異なる硝酸液中で、
120 秒の浸漬処理、あるいは120 秒の電解処理を行い、
最低減肉速度を調査した。調査結果を図1 に示す。
【0032】最低減肉速度は、脱スケール前後の鋼帯板
厚変化をマイクロメータで測定して求めた鋼帯面内で減
肉量が最も小さい部分の減肉速度であり、単位時間当り
の板厚変化で表してある。図1 から、最低減肉速度は、
硝酸濃度が低濃度側では濃度の増加に伴い増大するが、
硝酸濃度が高濃度側では濃度が増加すると逆に減少して
しまい、最適な硝酸濃度範囲が存在する。この理由につ
いては、詳しく判っていないが、硝酸濃度が最適硝酸濃
度範囲を下回ると、平均的な酸洗力は不足しており、一
方、硝酸濃度が最適濃度範囲を上回ると、酸洗力は十分
あるものの、腐食の均一性が著しく増大するため、前記
した傾向になると推定される。
【0033】また、前記濃度範囲においては、電解酸洗
を行うことにより、最低減肉速度がさらに向上する。
【0034】Fe-Ni 系合金熱延鋼帯の場合、工業的に必
要な最低減肉速度は15μm/min 以上である。図1 から、
工業的に必要な最低限肉速度15μm/min 以上を得るため
には、硝酸濃度を10〜25wt% にする必要がある。
【0035】また、硝酸濃度が25wt% を超えると反応が
激しくなり、また反応熱による液温上昇のため液温管理
が難しくなるため、鋼板の表面粗さRaが3.0 μm を超
え、冷間圧延後に所要の表面特性が得られなくなる。さ
らに、硝酸濃度が25wt% を超えると酸洗槽等の設備が劣
化しやすくなる。
【0036】したがって、前記した理由から、硝酸酸洗
の硝酸濃度は10wt% 以上25wt% 以下にする必要がある。 液温:液温が55℃未満では、最低減肉速度が15μm/min
未満になり、必要な最低減肉速度を確保することができ
ない。また、液温が80℃を超えると水の蒸発が激しくな
り、濃度管理が煩雑になり、さらに、酸洗槽等の設備が
劣化しやすくなる。したがって、液温は55℃以上80℃以
下にする必要がある。 電解条件:前記した硝酸水溶液中で電解酸洗により脱ス
ケールを行うと下記の理由により最低減肉速度をさらに
向上することができる。
【0037】硝酸浸漬時に、Fe-Ni 系合金熱延鋼帯に電
流を付与して鋼帯を陽極電解した場合、素地の溶解が促
進されて、スケールが剥離しやすくなり、また、鋼帯を
陰極電解すると、気泡が発生しスケールの剥離が促進さ
れる。したがって、交互に電解しなくても効果はある
が、陽極電解と陰極電解を交互に行うことにより、スケ
ールの剥離が一層促進される。
【0038】電流密度は0.06A/cm2 未満の場合ではスケ
ールの剥離効果が不十分である。一方、0.18A/cm2 を超
えると陽極電解時にも気泡が発生し素地の溶解に使われ
る有効な電流が飽和し、また陰極電解時の気泡によるス
ケール剥離効果も飽和する。したがって、電流密度は0.
06A/cm2 以上、0.18A/cm2 以下にする必要がある。
【0039】前記のように構成される本発明は、以下の
効果を奏する。 フッ酸を使用しないため、脱スケール後の鋼帯が発銹
しにくく、発銹に起因する再作業を減少できる。
【0040】脱スケール後の鋼帯の平滑性が良好であ
る。そのため、冷間圧延後に所要の表面特性が得られ
る。また、機械的研削によらないので、研削砥粒に起因
する冷間圧延後あるいはエッチング加工後にみられる欠
陥が発生しない。
【0041】脱スケール作業を律速する最低減肉速度
を考慮して脱スケール処理を行うので、能率の良い脱ス
ケール処理ができる。また、脱スケール後のスケール残
りが発生しにくい。
【0042】使用する薬液が安価である。また、酸洗
槽内に堆積したスケールを溶解しないので、薬液の劣
化、消費量を少なくできる。
【0043】クロルイオンを含まない処理液を使用す
るため、ステンレス鋼帯に孔食や銹を生じないので、ス
テンレス鋼帯の脱スケール処理との共有化が可能にな
る。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明のFe-Ni 系合金熱間圧延鋼
帯の脱スケール方法において、メカニカルデスケーリン
グ処理、また、メカニカルデスケーリング処理としてシ
ョットブラスト、スケールブレーカー、低い圧延率での
圧延または研削砥粒入りブラシ研削による処理による場
合、これらの処理は常法によることができる。また、シ
ョットブラストの所定投射密度も常法により得ることが
できる。
【0045】メカニカルデスケーリング処理後の硝酸酸
洗も通常使用されている設備を用いて行うことができ
る。
【0046】
【実施例】本発明の実施例について、比較例と比較しな
がら以下に説明する。
【0047】商用のFe-36wt%Ni合金の熱間圧延鋼帯を、
ショットブラスト投射( 投射密度60kgf/m2) 後に、硝酸
濃度および温度を変化させた硝酸水溶液に一定時間浸漬
して酸洗し、また一部のものについてはさらに陰極電解
と陽極電解の電流密度を変化させて電解酸洗し、鋼帯の
最低減肉速度、スケールの残留度合、発銹状況および脱
スケール後の表面粗さRaを調査した。
【0048】最低減肉速度は、脱スケール前後の試験片
の減肉量をマイクロメータで測定し、その変化が最も小
さい部分の減肉速度から算出した。
【0049】スケールの残留度合は、酸洗後の鋼帯を目
視観察して、目視によりスケールが認められるものを
「×」、スケールが認められないものを「○」とし、
「○」であれば問題ないものとした。
【0050】発銹状況は、酸洗後のFe-Ni 系合金熱間圧
延鋼帯を10日間放置した後、その表面の発銹状況を目視
観察し、白く発銹の認められないものを「○」、少し褐
色に変色しているが再酸洗の不要なものを「△」、発銹
が強く再酸洗の必要なものを「×」とし、「○」および
「△」であれば問題ないものとした。
【0051】また、最低減肉速度、発銹状況、スケール
残留度合および表面粗さの総合判定を行い、最低減肉速
度が15μm/min 以上、発銹状況とスケール残留度合に問
題ないもの、表面粗さRaが3.0 μm 以下のものを
「○」、前記評価項目が少なくとも1 つでも未逹のもの
を「×」として判定した。
【0052】調査結果および総合判定の結果を表1 に併
せて記載した。
【0053】
【表1】
【0054】本発明例No.5〜No.8、No.14 〜No.17 は、
所要の最低減肉速度を有し、スケール残留はなく、表面
粗さRaも3.0 μm 以下と平滑であり、また発銹も認めら
れない。特に、電解酸洗を行った発明例No.14 〜No.17
は、電解酸洗を行っていない本発明例No.5〜No.8に比べ
て、最低減肉速度が大きく、酸洗性により優れている。
【0055】一方、硝酸濃度が本発明範囲を下回る比較
例No.1〜No.4、No.10 〜No.13 は、スケール残留が認め
られる。また、硝酸濃度が本発明範囲を上回る比較例N
o.9およびNo.18 は、表面粗さRaが3.0 μm を超えてお
り、表面が平滑でない。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のFe-Ni 系
合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法によれば、以下に記
載するような工業上多くの有用な効果がもたらされる。
【0057】フッ酸を使用しないため、脱スケール後
の鋼帯が発銹しにくく、発銹に起因する再作業を減少で
きる。
【0058】脱スケール後の鋼帯の平滑性が良好であ
る。そのため、冷間圧延後に所要の表面特性が得られ
る。また、機械的研削によらないので、研削砥粒に起因
する冷間圧延後あるいはエッチング加工後にみられる欠
陥が発生しない。
【0059】脱スケール作業を律速する最低減肉速度
を考慮して脱スケール処理を行うので、能率の良い脱ス
ケール処理ができる。また、脱スケール後のスケール残
りが発生しにくい。
【0060】使用する薬液が安価である。また、酸洗
槽内に堆積したスケールを溶解しないので、薬液の劣
化、消費量を少なくできる。
【0061】クロルイオンを含まない処理液を使用す
るため、ステンレス鋼帯に孔食や銹を生じないので、ス
テンレス鋼帯の脱スケール処理との共有化が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1 】Fe-Ni 系合金における硝酸濃度、電流密度と最
低減肉速度の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲積 透 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 鹿毛 勇 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 和田 裕 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 崎山 哲雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 高野 俊夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−247583(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/08 C25F 1/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール
    に際して、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯を、メカニカルデ
    スケーリング処理の後、硝酸濃度10wt% 以上25wt% 以
    下、液温55℃以上80℃以下の硝酸水溶液に浸漬して酸洗
    することを特徴とするFe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱ス
    ケール方法。
  2. 【請求項2】 Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール
    に際して、Fe-Ni 系合金熱間圧延鋼帯を、メカニカルデ
    スケーリング処理の後、硝酸濃度10wt% 以上25wt% 以
    下、液温55℃以上80℃以下の硝酸水溶液中で、電流密度
    0.06A/cm2 以上0.18A/cm2 以下で陰極電解と陽極電解を
    繰り返して電解酸洗することを特徴とするFe-Ni 系合金
    熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
  3. 【請求項3】 メカニカルデスケーリング処理が、ショ
    ットブラスト、スケールブレーカー、低い圧延率での圧
    延または研削砥粒入りブラシ研削による処理の中から選
    ばれた1種または2種以上を組み合わせた処理であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載のFe-Ni 系
    合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
  4. 【請求項4】 メカニカルデスケーリング処理が、投射
    密度30kgf/m2以上のショットブラストによる処理である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のFe-Ni
    系合金熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
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