JPH081080Y2 - 樹脂成形品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばリヤコンビネーションランプのレン
ズ，リヤフィニッシャーのレンズ，リヤガーニッシュ等
の車両用の樹脂成形品に係り、特に高輝度感および高立
体感の有する文字やマーク等が得られ、しかも簡単にか
つ安価に製造することができる樹脂成形品に関するもの
である。

［従来の技術］ 従来、文字やマーク等が施された樹脂成形品として
は、下記のものがある。

1.文字やマーク等を施した別部品を樹脂成形体に組み付
けたもの。

2.文字やマーク等を施したシートやフィルムを樹脂成形
体に貼り付けたもの。

3.文字やマーク等を施した電鋳を樹脂成形体に貼り付け
たもの。

4.文字や図形等を施した樹脂成形体をインサート成形に
より樹脂成形体に一体に組み込んだもの。

しかしながら、上述の樹脂成形品においては、下記の
問題点を有する。

1.エンブレム等の別部品を組み付けたものは、樹脂成形
体とその別部品との一体感がでない。

2.シートやフィルムを貼り付けたものは、立体感が無
く、かつ輝度感に乏しい。

3.電鋳を貼り付けたものは、立体感が無く、かつ剥離す
ることがあり、その剥離した際に指や手を切る危険性が
ある。

4.インサート成形したものは、成形の歩留りが悪く製造
原価が高い。

そこで、樹脂成形体の一面に凹溝等の凹面で文字やマ
ーク等を形成し、その凹面（若しくは前記樹脂成形体の
一面および凹面）に高輝度部材を蒸着したものが提案さ
れた。かかる樹脂成形品においては、樹脂成形体の一面
の凹面に蒸着した高輝度部材における光の反射作用と、
樹脂成形体の一面の凹面における光の屈折作用とによ
り、高輝度感および高立体感の有する文字やマーク等が
得られる。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上述の高輝度部材を蒸着したものは、樹脂
成形体の凹面に高輝度部材を蒸着する作業等が技術的に
非常に困難であり、また処理工程数が例えば「1.脱脂→
2.アンダーコート処理→3.乾燥→4.蒸着処理→5.トップ
コート処理→6.乾燥→7.オーバー蒸着の除去（アルカリ
液洗浄）→8.水洗い→9.乾燥」と多く（なお、上述の２
および３の工程を省略する場合もある。）、製造原価が
高いなどの問題がある。

本考案の目的は、簡単にかつ安価に製造することがで
き、かつ高輝度感および高立体感を有する文字やマーク
等が得られる樹脂成形品を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記の問題を解決するために、光透過性の
樹脂成形体の一面に凹溝等の凹面で文字やマーク等を形
成し、その樹脂成形体の一面に前記文字やマーク等を覆
い、かつ前記凹面と共により空間を形成するように高輝
度体を固定したことを特徴とする。

［作用］ 本考案は、上記の構成により、高輝度体の部分では高
輝度体における光の反射作用で高輝度感が得られ、また
高輝度体のうち樹脂成形体の一面の凹面と共により形成
した空間と対応する文字やマーク等の部分では、上述の
凹面における光の屈折作用および上述の高輝度体におけ
る光の反射作用で高立体感が得られる。しかも、樹脂成
形体の一面に高輝度体を固定するものであるから、従来
の樹脂成形体の凹面に高輝度部材を蒸着するものと比較
して、作業が技術的に容易であり、その結果簡単にかつ
安価に製造することができる。

［実施例］ 以下、本考案に係る樹脂成形品の実施例の内の３例を
添付図面を参照して説明する。

第１図乃至第10図は本考案に係る樹脂成形品の第１の
実施例を示し、第１図は樹脂成形体に高輝度体を接着固
定する前の模式的な慨略図、第２図は樹脂成形体に高輝
度体を接着固定した後の模式的な慨略図、第３図は第２
図におけるIII矢視図、第４図は樹脂成形体の文字の一
部平面図、第５図は第４図におけるＶ−Ｖ線断面図、第
６図は高輝度体の拡大断面図、第７図および第８図は接
着固定する例の変形例を示した模式的な慨略図、第９図
および第10図は凹面の変形例を示した拡大断面図であ
る。

図において、１はアクリル（PMMA）やポリカーボネー
ト（PC）等の光透過性の樹脂材料からなる樹脂成形体
で、この例ではリヤコンビネーションランプのレンズや
リヤフィニッシャーのレンズ、またはリヤガーニッシュ
等の車両用の樹脂成形品である。この樹脂成形体１の一
面（内面）に一段下がった長方形形状の枠部11を形成
し、その枠部11の一面に凹溝等の凹面10により例えば
「ICHIKOH」の文字を形成する。この凹面10は、第４図
および第５図に示すように、断面Ｖ字溝の左右両側の傾
斜面および上下両端の傾斜端面からなる。

２は高輝度体で、この高輝度体２は比較的薄いフィル
ム状乃至比較的厚い板のプレート状からなる。前記高輝
度体２は、第６図に示すように、ベース層20と、蒸着層
21と、保護層22とからなる。前記ベース層20は、ポリエ
チレン（PE）やポリ塩化ビニル（PVC）などの合成樹
脂、またはアルミニウム（Al）などの金属からなる。前
記蒸着層21は、光不透過性のアルミ蒸着などからなる。
前記保護層22は、無色のクリヤーや有色のクリヤー、例
えばレモン色のクリヤーなどの光透過性の合成樹脂など
からなる。この高輝度体２は、前記樹脂成形体１の枠部
11より一回り小さい長方形をなす。

３は接着剤で、この接着剤３は前記樹脂成形体１の枠
部11の一面、すなわち前記凹面10により形成される凹部
（凹溝）12の周縁に塗布する。

かくして、前記樹脂成形体１の一面の枠部11に前記高
輝度体２を、高輝度体２の保護層22を内側に樹脂成形体
１に対向させて接着剤３により接着固定する。この結
果、前記樹脂成形体１の凹面10により形成される「ICHI
KOH」の文字が前記高輝度体２により覆われると共に、
第２図に示すように、樹脂成形体１の凹面10には高輝度
体２が直接接着されておらず、この結果、樹脂成形体１
の凹面10と高輝度体２とによって空間、すなわち凹部
（凹溝）12が形成されていることとなる。

この実施例における本考案の樹脂成形品は、以上の如き
構成からなるから、高輝度体２の部分では、樹脂成形体
１の外側（凹面10を設けた面と反対側の面）から樹脂成
形体１中に入射した光が、高輝度体２の保護層22を経て
蒸着層21に達すると、その蒸着層21において反射する。
この高輝度体２の光の反射作用により、高輝度感が得ら
れる。このとき、保護層22にレモン色のクリヤーを使用
すれば、この高輝度体２が金色に発色し、また無色のク
リヤーを使用すれば、この高輝度体２が銀色に発色す
る。

また、高輝度体２のうち、第２図に示すように、凹面
10と共により形成した空間としての凹部（凹溝）12と対
応する「ICHIKOH」の文字の部分では、樹脂成形体１の
外側から樹脂成形体１中に入射し、かつその樹脂成形体
１の内側（一面）に入射し、かつその樹脂成形体１の内
側（一面）の凹面10に達した光は、その凹面10において
屈折し、その屈折光が空間としての凹部（凹溝）12を通
って高輝度体２に達し、さらに高輝度体２の保護層22を
経て蒸着層21に達し、その蒸着層21において反射する。
この凹面10における光の屈折作用と蒸着層21における光
の反射作用とにより、高立体感が得られる。

このように、高輝度感および高立体感の有する「ICHI
KOH」の文字が得られると共に、この「ICHIKOH」の文字
を含む高輝度体２に対応するゾーン全体が発色する。

しかも、樹脂成形体１に高輝度体２を接着固定するだ
けであるから、従来の樹脂成形体の凹面に高輝度部材を
蒸着するものと比較して、作業が技術的に容易であり、
その結果簡単にかつ安価に製造することができる。

なお、上述の実施例において、樹脂成形体１の枠部11
の一面にホーニング加工を施せば、上述の接着剤３の塗
布ムラによる見映えに違和感が生じない。

第７図および第８図は接着剤の変形例を示した慨略図
である。第７図に示す例は、上述の第１の実施例におい
て、樹脂成形体１の枠部11の周辺と、高輝度体２の周辺
とを接着剤３により接着固定した、所謂枠内接着固定し
たものである。第８図に示す例は、上述の第１の実施例
において、樹脂成形体１に設けた枠部11を省略し、かつ
その樹脂成形体１の一面に高輝度体２の周辺を接着剤３
により接着固定した、所謂平面接着固定したものであ
る。

なお、上述の樹脂成形体１と高輝度体２との接着固定
の方法は、上述の樹脂成形体１に接着剤３を塗布してか
らこの樹脂成形体１に高輝度体２を接着固定する方法
と、高輝度体２に接着剤３を塗布してからこの高輝度体
２を樹脂成形体１に接着固定する方法とがある。

第９図および第10図は凹面の変形例を示した拡大断面
図である。第９図に示す例は、半円溝より形成される断
面半円形の曲面からなるものである。第10図に示す例
は、台形溝より形成される断面逆台形の左右両側面およ
び底面からなるものである。

なお、上述の凹溝による凹面10の形状（大きさ、幅、
深さなど）は任意に設定することができ、凹面10におい
て形状や寸法上の制約が無く、任意の特徴ある立体感を
有する文字やマーク等が得られる。

第11図乃至第13図は本考案に係る樹脂成形品の第２の
実施例を示し、第11図は樹脂成形体に高輝度体をホット
スタンプ処理により固定する前の模式的な慨略図、第12
図は樹脂成形体に高輝度体をホットスタンプ処理により
固定した後の模式的な慨略図、第13図は高輝度体の拡大
断面図である。

図中、第１図乃至第10図と同符号は同一のものを示
す。

図において、2Aはホットスタンプ用の高輝度体で、こ
の高輝度体2Aは第13図に示すように、ポリエチレンテレ
フタレート（PET）などのベースフィルム20Aと、光不透
過性のアルミ蒸着などの金属層21Aと、アクリルなどの
保護層22Aと、アクリル系などの接着層23Aとからなる。
なお、前記保護層22Aおよび接着層23Aは、少なくとも光
透過性を有する。

４はホットスタンプ装置（図示せず）の刻印治具で、
この治具４はシリコンラバーなどからなり、下面周辺に
凸部40を設ける。

かくして、樹脂成形体１の一面に高輝度体2Aを、接着
層23Aを樹脂成形体１に対向させてセットし、続いてホ
ットスタンプ装置を作動させて治具４の凸部40のホット
スタンプ処理で高輝度体2Aの周辺を樹脂成形体１の一面
に固定する。

この第２の実施例のものは、上述の第１の実施例のも
のと同様の作用効果を達成することができる。なお、樹
脂成形体１の一面の前記高輝度体2Aと対応する部分にホ
ーニング加工を施せば、上述のスタンプ面とスタンプ面
の境界がボケるので、見栄えをさらに向上させることが
できる。また、第12図に示す平面押しによるホットスタ
ンプ処理固定の他、第２図や第７図に示す枠内押しによ
るホットスタンプ処理固定でも良い。

第14図乃至第16図は本考案に係る樹脂成形品の第３の
実施例を示し、第14図は樹脂成形体に高輝度体を超音波
溶着処理により固定する前の模式的な慨略図、第15図は
同じく樹脂成形体に高輝度体を冷間加締処理により固定
する前の模式的な慨略図、第16図は樹脂成形体に高輝度
体を固定した後の正面図である。

図中、第１図乃至第13図と同符号は同一のものを示
す。

この実施例のものは、樹脂成形体１の枠部11の一面の
周辺にビード13もしくはピン15を一体に突設し、かつそ
の枠部11の一面にシボ加工処理14を、凹面10以外の部分
に施す。

第14図中、５は超音波溶着装置（図示せず）の超音波
ホーンである。かくして、樹脂成形体１の凹部11に高輝
度体２をセットし、超音波ホーン５で高輝度体２の周辺
と樹脂成形体１のビード13とを超音波溶着させて、高輝
度体２を樹脂成形体１に固定する。

第15図中、６は加締機、23は高輝度体２の周辺に設け
た透孔である。かくして、樹脂成形体１のビード13に高
輝度体２の透孔23をセットし、加締機６で前記ピン15を
加締て高輝度体２を樹脂成形体１に固定する。

この第３の実施例のものは、上述の第１の実施例およ
び第２の実施例のものと同様の作用効果を達成すること
ができる。特に、この実施例のものは、枠部11の一面に
シボ加工処理14を施したので、溶着ビード13や加締ピン
15などが樹脂成形体１の外側から見え難くなる。

なお、上述の第1,第2,第３の実施例において、前記高
輝度体２および2Aの保護層22および22Aの色調や樹脂成
形体１の色調（例えば透明や各種スモーク色素）などを
単独で変えたり、または組合わせて変えたりすることに
より、発色意匠を任意に設定することができる。

また、上述の第1,第2,第３の実施例において、前記高
輝度体2,2Aにおいて、蒸着層21,金属層21Aなどが光半透
過性で、その他のものが光透過性であっても良い。

［考案の効果］ 以上から明らかなように、本考案の樹脂成形品は、光
透過性の樹脂成形体の一面に凹面で文字やマーク等を形
成し、その樹脂成形体の一面に高輝度体を前記文字やマ
ーク等を覆い、かつ前記凹面と共により空間を形成する
ように固定したものであるから、高輝度体の部分では高
輝度体における光の反射作用で高輝度感が得られ、また
高輝度体のうち、凹面と共により形成した空間と対応す
る文字やマーク等の部分では、樹脂成形体の一面の凹面
における光の屈折作用および上述の高輝度体における光
の反射作用で高立体感が得られる。しかも、樹脂成形体
の一面に高輝度体を固定するものであるから、従来の樹
脂成形体の凹面に高輝度部材を蒸着するものと比較し
て、作業が技術的に容易であり、その結果簡単にかつ安
価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図乃至第10図は本考案に係る樹脂成形品の第１の実
施例を示し、第１図は樹脂成形体に高輝度体を接着固定
する前の模式的な慨略図、第２図は樹脂成形体に高輝度
体を接着固定した後の模式的な慨略図、第３図は第２図
におけるIII矢視図、第４図は樹脂成形体の文字の一部
平面図、第５図は第４図におけるＶ−Ｖ線断面図、第６
図は高輝度体の拡大断面図、第７図および第８図は接着
固定する例の変形例を示した模式的な慨略図、第９図お
よび第10図は凹面の変形例を示した拡大断面図である。 第11図乃至第13図は本考案に係る樹脂成形品の第２の実
施例を示し、第11図は樹脂成形体に高輝度体をホットス
タンプ処理により固定する前の模式的な慨略図、第12図
は樹脂成形体に高輝度体をホットスタンプ処理により固
定した後の模式的な慨略図、第13図は高輝度体の拡大断
面図である。 第14図乃至第16図は本考案に係る樹脂成形品の第３の実
施例を示し、第14図は樹脂成形体に高輝度体を超音波溶
着処理により固定する前の模式的な慨略図、第15図は同
じく樹脂成形体に高輝度体を冷間加締処理により固定す
る前の模式的な慨略図、第16図は樹脂成形体に高輝度体
を固定した後の正面図である。 １……樹脂成形体、10……凹面、2,2A……高輝度体、３
……接着剤、４……治具、５……超音波ホーン、６……
加締機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一面に凹面で文字やマーク等を形成した光
   透過性の樹脂成形体と、その樹脂成形体の一面に前記文
   字やマーク等を覆い、かつ前記凹面と共により空間を形
   成するように固定した高輝度体とを備えたことを特徴と
   する樹脂成形品。