JPH08105190A - 調湿性畳 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた吸湿及び放湿機能が長期にわたって維持
され、常時良好な湿度環境を確保することができる調湿
性エラストマーシート素材を提供すること。 【構成】少なくとも一方の面に粒状シリカゲル１３が接
着、固定された透湿性を有する基材シート１１と、粒状
シリカゲル１３を基材シート１１に接着、固定するため
に備えられた接着シート１２と、基材シート１１の粒状
シリカゲル１３を備えた面を被覆する透湿性のカバーシ
ート１４と含み構成された調湿性エラストマーシート素
材１０であって、粒状シリカゲル１３の少なくとも一部
が接着シート１２外に露出した状態で埋め込まれており
且つ前記エラストマーシート素材１０が縫合されて一体
に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、通気性の基材シート面
上に粒状シリカゲルがその優れた吸湿、放湿機能を損な
うことなく保持された調湿性エラストマーシート素材を
備えた調湿性畳に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近時、一般住宅の床や壁等に使用される
建築素材についても、コンクリートや調湿性に乏しい合
成建築材が多量に使用されるようになり、このため、室
内の湿度調節が困難となり、吸湿、結露の原因となった
り、むれ感等の不快感を覚えたり、あるいは、カビやダ
ニ等が発生しやすい等、様々な物質上、健康上、あるい
は衛生上の弊害が問題となっている。

【０００３】従来、多湿環境によって惹起される例えば
吸湿、結露、むれ感等の不快感、あるいは、カビやダニ
等の発生等の様々な弊害を防止するため、シリカゲルと
呼ばれる微細空間を有する吸湿機能に優れたコロイド粒
子連結体からなる粒状シリカゲルを、たとえば直接散布
するか、あるいは透湿性のある合成樹脂シートや織布若
しくは不織布等の袋に詰め、これを敷設することによっ
て多湿環境を改善する方法が知られている。

【０００４】しかし、粒状シリカゲルを直接散布する方
法は、粒状シリカゲルを均一の厚さに敷き詰めることが
困難であり、粒子が使用中に移動して偏りを生じるとい
う問題があった。更に又、袋に詰めて敷設する方法は、
作業に手間が掛かるばかりでなく、空間が狭くなった
り、外観の品位を低下させるなどの欠点があった。

【０００５】一方、建築材に吸湿、放湿性に優れた土壁
や天然木材を使用したり、エアコンで常時空調する方法
があるが、高価であったりコスト高になるという欠点が
あった。

【０００６】このように、住宅の湿気環境を改善するた
めの調湿方法は、前記の如く種々知られているが、直
接、畳に調湿機能を備えたものは知られていない。特
に、従来の畳は、藁、葦草等の天然素材を使用すること
によって湿度条件の悪い環境においては、吸湿による不
快感、ダニ及びカビの発生し易い等の弊害が大きな問題
となっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みなされだものであり、密封性、加工性、外観品
位、空間利用率、快適性などを損ねることなく、粒状シ
リカゲルの優れた吸湿、放湿機能を損なうことなく保持
せしめ、これにより、多湿環境によって引き起こされる
様々な物質上、健康上、あるいは衛生上の弊害を防止す
ることができる調湿性畳を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成する手段として、「藁、葦草等の天然素材及び合成
樹脂等の通気性保温層を有する畳において、少なくとも
一方の面に粒状シリカゲルが接着、固定された透湿性を
有する基材シートと、該基材シートの粒状シリカゲルを
備えた面を被覆した透湿性のカバーシートと、を含み構
成された調湿性エラストマーシート素材が前記畳の通気
性保温層の間に、前記カバーシート面を外方向に向けた
状態で縫合されて敷設又は設けられた畳であって、湿気
が透湿性のカバーシートを通して粒状シリカゲルに吸湿
されるとともに粒状シリカゲルに吸湿された湿気を放湿
させることができる」処に特徴を有する調湿性畳を、そ
の内容とする。

【０００９】

【作用】まず、本発明の調湿性畳では、少なくとも一方
の面に粒状シリカゲルが接着、固定された透湿性を有す
る基材シートと、該基材シートの粒状シリカゲルを備え
た面を被覆した透湿性のカバーシートと、を含み構成さ
れた調湿性エラストマーシート素材が、畳表と畳床の適
宜箇所に縫合され、敷設又は備えられた構成となってい
る。このため、畳内に粒状シリカゲルを確実に保持する
ことができ、畳から露出したりこぼれ落ちたりすること
を確実に防止することができる。

【００１０】そして、前記調湿性エラストマーシート素
材にあっては、これを任意形状に裁断及びこれらを縫合
することが容易巨つ確実にできるので、所要の大きさの
調湿性畳を作ることができる。

【００１１】又、本発明の調湿性畳では、湿気が透湿性
のカバーシートを通して粒状シリカゲルに吸湿されると
ともに粒状シリカゲルに吸湿された湿気を放湿させるこ
とができるようになっているので、例えば日常生活で吸
湿によるむれ感等の不快感を覚えたり、又は、カビやダ
ニ等が発生しやすい等の健康上あるいは衛生上の弊害を
防止することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、これは代表的なものを示したものであり、本発
明の要旨を越えない限り、以下の各実施例に限定される
ものではない。

【００１３】図１に示したように、本発明でいう調湿性
エラストマーシート素材１０は、透湿性を有する基材シ
ート１１と、該基材シート１１の少なくとも一方の面に
接着、固定された吸湿性と放湿性との両性質を有する粒
状シリカゲル１３と、該粒状シリカゲル１３を前記基材
シート１１に接着、固定するために備えられた接着シー
ト１２と、粒状シリカゲル１３を備えた面を被覆した透
湿性のカバーシート１４と、を含み構成されたエラスト
マーシートが、縫合糸１５で縫合されて一体に形成され
ているものである。

【００１４】調湿性エラストマーシート素材１０は、透
湿性の基材シートの一方の全面に、ポバール（ポリビニ
ルアルコール溶液）を全面に均等に流延し、ついで、該
接着剤が乾燥する前に約５０〜６００ｇ／ｍ^２、好適に
は５００ｇ／ｍ^２の所謂Ｂ型粒状シリカゲルを全面に均
等に散布したのち、２枚の透湿性のカバーシートの間に
これを挟持し、自然乾燥又は強制乾燥（接着）後、その
端縁部を圧着しながら熱融着して製造した。

【００１５】本発明でいう透湿性を有する基材シート１
１とは、透過性を有すると共に所謂Ｂ型粒状シリカゲル
１３を接着させることができるシートであれば何でもよ
く、澱粉やデキストラン、アガロースや寒天末、セルロ
ース等の天然の炭水化物系化合物、ポリエステルエラス
トマー、酢酸繊維素、ポリビニルアルコール、熱可塑性
ポリ塩化ヒニル（軟質）、セロファン、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ような軟質樹脂フィルム若しくは発泡体、繊維屑フェル
ト、空隙率の大きい繊維集積体、などが好適であり、更
に、これらの単独の素材であっても複数の集積体であっ
てもよい。そして、その厚さや柔軟性等は、加工時や取
り扱い時に容易に変形したり破損しない程度であればよ
く、目的によって適宜設定可能である。

【００１６】次に、本発明でいう透湿性のカバーシート
１４とは、接着された粒状シリカゲル１３が露出したり
こぼれ落ちたりすることを防止するために備えられた透
湿性を有する、天然繊維、又はポリエステルエラストマ
ー、酢酸繊維素、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリ
塩化ビニル（軟質）、セロファン、ポリカーボネート、
ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウ
レタン等が好適であり、更に、これらの単独の素材であ
っても複数の集積体であってもよい。そして、その厚さ
や柔軟性等は、加工時や取り扱い時に容易に変形したり
破損しない程度であればよく、その形態も不織布、紙、
布、多孔フィルム、あるいはこれらの混合物など、目的
によって適宜設定可能である。更に、少なくともその端
縁部を接着剤で接着、熱融着、又は有機溶剤で溶着され
ていることが好適である。

【００１７】前記基材シート及びカバーシートの透湿度
は少なくとも３０００ｇ／ｍ^２・２４時間（ＪＩＳ−Ｚ
０２０８による）のものであればよいが、好適には、通
気量が１０ｃｃ／ｃｍ^２／秒以上の通気性シートが望ま
しい。

【００１８】又、前記粒状シリカゲルは、好適には、そ
の微細空間容積が０．５ｍｌ／ｇ以上、表面積が３５０
〜７００ｍ^２／ｇの球状又は破砕状であり、粒度は２０
〜８０メッシュの範囲のものである。

【００１９】図１に示したように、透湿性のポリエステ
ルエラストマー基材シートと、その片方の全面にポバー
ル（ＰＶＡ）で接着、固定された粒状シリカゲルと、該
ポバール（ＰＶＡ）の接着シートと、前期粒状シリカゲ
ルが備えられた基材シート面を被覆するポリエチレン繊
維を構成繊維とする透湿性シートとが積層状態となるよ
うに配置され、これらを一体に縫合して製造したもので
ある。

【００２０】図２は、本発明の調湿性畳の構成を示す一
例の断面図である。（ａ）は、調湿性エラストマーシー
ト素材１０が畳表２３と、藁、葦草等の通気性保温層２
４から成る畳床２２との間に挟持され一体に縫合された
もの、（ｂ）は、調湿性エラストマーシート素材１０が
藁、葦草等の通気性保温層２４から成る畳床２２の間に
挟持され一体に縫合されたもの、（ｃ）は、調湿性エラ
ストマーシート素材１０が藁、葦草等の通気性保温層２
４から成る畳床２２の下面に一体に縫合されたものを、
それぞれその内容としている。

【００２１】又、得られた畳は、粒状シリカゲルが均一
の厚さに接着された調湿性エラストマーシート素材が敷
設又は備えられた構成となっているため、加工性、外観
品位、空間利用率、快適性などを損ねることなく、湿気
が透湿性のカバーシートを通して粒状シリカゲルに吸湿
されるとともに、粒状シリカゲルに吸湿された湿気を放
湿させることができるため、居住者に対して快適な湿度
環境を提供することができ、いつもサラッとした状態で
爽快感があり、じめじめ感もなく、カビやダニ等の発生
を防止することができるという優れた作用効果を奏す
る。

【００２２】なお、前記調湿性エラストマーシート素材
に、前記した上下方に備えられた透湿性のカバーシート
の間に粒状シリカゲルが接着された透湿性を有する基材
シートを挟持してなる調湿性エラストマーシート素材を
複数枚重合したものを使用することもできる。

【００２３】又、これらは本発明の代表的な構成例を示
したものであり、本発明の要旨を越えない限り、これら
の構成に限定されるものではない。これらの畳に有って
は粒状シリカゲルが該畳内から露出したりこぼれ落ちた
り、及び、使用時にゴツゴツ感じるなどの違和感もなか
った。

【００２４】そして更に、前記畳にあっては、敷設又は
備えられた前記調湿性エラストマーシート素材を任意形
状に容易且つ確実に裁断及び縫合することができた。

【００２５】

【発明の効果】本発明の調湿性畳は、透湿性シートの少
なくとも一方の面に粒状シリカゲルが接着されていると
ともに、粒状シリカゲルが接着された透湿性シート面上
に透湿性カバーシートが被覆、結合された調湿性エラス
トマーシート素材が畳の畳表と畳床の間、又は畳床の間
の適宜位置に備えられているので、湿気が畳表又は畳床
の通気性保温層、及び透湿性カバーシートを通して透湿
性シート面上の粒状シリカゲルに吸湿されると共に、粒
状シリカゲルに吸湿された湿気を放湿させることがで
き、このため、優れた調湿機能を奏し、且つ該調湿機能
を長期間にわたり保持することができるという優れた作
用効果を奏する。

【００２６】又、本発明の調湿性畳は、該調湿性畳の畳
表と畳床の間、畳床の間の適宜位置で縫合されているた
め、粒状シリカゲルが調湿性シート素材の表面に露出し
たり、こぼれ落ちたりすることを確実に防止することが
でき、使用時にガサガサ感じるなどの違和感もなく、い
つもさらさらの状態で爽快に使用することができ、更
に、カビやダニ等の発生を防止することができ、且つ、
加工性、外観品位、空間利用率、快適性などに優れてい
るので、多湿環境によって引き起こされる様々な物質
上、健康上、あるいは衛生上の弊害を防止することがで
きるという格別の作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の調湿性エラストマーシート素材を示し
た断面図である。

【図２】本発明の調湿性エラストマーシート素材を含む
畳の構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 調湿性エラストマーシート素材 １１ 基材シート １２ 接着シート １３ 粒状シリカゲル １４ カバーシート １５ 縫合糸 ２２ 通気性保温層 ２３ 畳表 ２４ 畳床

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 藁、葦草等の天然素材及び合成繊維等の
   通気性保温層を有する畳において、少なくとも一方の面
   に粒状シリカゲルが接着、固定された透湿性を有する基
   材シートと、該基材シートの粒状シリカゲルを備えた面
   を被覆した透湿性のカバーシートと、を含み構成された
   調湿性エラストマーシート素材が、前記カバーシート面
   を外方向に向けられた状態で前記通気性保温層に縫合さ
   れて敷設又は設けられた畳であって、湿気が透湿性のカ
   バーシートを通して粒状シリカゲルに吸湿されるととも
   に粒状シリカゲルに吸湿された湿気を放湿させることが
   できることを特徴とする調湿性畳。