JPH08104575A - 複合材料およびその製造方法 - Google Patents

複合材料およびその製造方法

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JPH08104575A
JPH08104575A JP7224768A JP22476895A JPH08104575A JP H08104575 A JPH08104575 A JP H08104575A JP 7224768 A JP7224768 A JP 7224768A JP 22476895 A JP22476895 A JP 22476895A JP H08104575 A JPH08104575 A JP H08104575A
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勝則 山田
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満 浅井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的特性を低下させることなく、分散材お
よび母材の特性を十分に発揮させることができる複合材
料およびその製造方法を提供する。 【構成】 母材と、該母材中に三次元網目状で連続的に
分散させた,前記母材に近似した物質からなる強化層
と、該強化層中に不連続に分散させた分散材とからなる
複合材料であって、前記強化層が前記母材どうしを強く
結合させるとともに分散材を強く保持してなり、前記分
散材が,前記複合材料中に三次元網目状で不連続に分散
してなることを特徴とする複合材料、およびこの複合材
料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス、金
属、高分子等よりなる母材中に分散材が分散してなる複
合材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】材質の異なる2種類以上の材料を組み合
わせることにより、単一材では十分でない特性、例え
ば、耐摩耗性、耐酸化性、耐腐食性、耐熱性、電気や熱
の伝導性、機械的強度等の特性を補うことができる。ま
た、各単一材料のみでは発現しない特性、例えば、磁
性、自己潤滑性、光学的特性、圧電性、熱電特性、絶縁
性、熱伝導性、断熱性、誘電性、膨張性、快削性、電気
伝導性等の新しい機能性を付与することができる。その
ため、所望の特性を実現させるため、種々の材料を組み
合わせた複合材料が検討されている。
【0003】特に、母材(マトリックス)中に異種の材
料よりなる粒子またはウィスカ、ファイバー等を分散さ
せた複合材料は、分散材が機械的および機能的性質を発
現する役割を果たすことから、上記のように単一材(モ
ノシリック材)では得られない特性を併せ持った幅広い
材料の設計が可能である。
【0004】分散材を分散させた従来の複合材料として
は、マトリックス中に分散材を均一に分散させたものが
一般的である。この複合材料は、分散材の添加により高
性能化および機能性を付与できるが、分散材がランダム
または均一に分離されて分散しているため、分散材の特
性を十分に発揮できないという問題がある。
【0005】そこで、これら問題を解決するために、分
散材を連続的な三次元網目状に分散させることが提案さ
れている(特開昭60−243245号公報、特開昭6
2−4750号公報、特開平1−119688号公報、
特開平3−122066号公報、特開平3−17435
8号公報、特開平4−37667号公報)。この複合材
料は、分散材が連続的に分布しているため、分散材の特
性を十分に発揮させることができるとしている。
【0006】すなわち、特開昭60−243245号公
報には、セラミックスとセラミックスから成るウィスカ
との混合物を焼結して形成された多孔質セラミックス骨
格と、該セラミックス骨格の空隙部に含浸された金属と
からなる「セラミックス粒子強化金属複合材料」が開示
されている。この複合材料は、金属マトリックス中にセ
ラミックスとセラミックスウィスカの混合物からなる分
散材を連続的骨格構造状態で分散させたので、亀裂がな
く、高品質で、熱衝撃に強い複合材料とすることができ
るとしている。
【0007】また、特開昭62−4750号公報には、
結晶性重合体と平均長さ0.05〜1mm、直径3〜2
0μmの炭素短繊維とからなる「正温度係数組成物およ
び製造法」が開示されている。この組成物は、重合体マ
トリックス中に、炭素短繊維の三次元ミクロ網目状構造
の連鎖体を形成させてなるので、使用する炭素短繊維の
量を少なくすることができ、安価でPTC特性に優れた
重合体組成物とすることができるとしている。
【0008】また、特開平1−119688号公報に
は、熱可塑性樹脂よりなる基体中に、鉛等の導電性金属
粒子を網目状に連続的に分散させた「樹脂成型電極及び
その製造方法」が開示されている。この電極は、耐蝕性
および機械的強度に優れ、安価であるとしている。
【0009】また、特開平3−122066号公報に
は、骨材を低密度炭化珪素多孔質体により形成し、その
骨材の気孔中にアルミニウムを保持させた「アルミニウ
ム含浸型炭化珪素複合材料およびその製造方法」が開示
されている。この複合材料は、炭化珪素連続多孔質体の
連続気孔中にアルミニウムを含浸させてなるので、軽量
で、強度、耐熱性、耐摩耗性に優れた複合材とすること
ができるとしている。
【0010】また、特開平3−174358号公報に
は、炭素90〜30モル%と炭化珪素10〜70モル%
とからなり、両者ともに連続相を形成する組織構造を有
する「炭素および炭化ケイ素の連続相からなる複合材
料」が開示されている。この複合材料は、両成分ともに
連続相を形成してなるので、酸化などにより炭素成分が
消失しても、大きな曲げ強度を有するので、形状を保つ
ことができるとしている。
【0011】また、特開平4−37667号公報には、
反応焼結マトリックス中に、3次元連続網目状構造体が
形成された「軽量高剛性セラミックス及びその用途」が
開示されている。この軽量高剛性セラミックスは、軽量
高剛性、すなわち比弾性率が高い複合セラミックス構造
体であるとしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭6
0−243245号公報、特開昭62−4750号公
報、特開平1−119688号公報、特開平3−122
066号公報、特開平3−174358号公報、特開平
4−37667号公報に開示された複合材料は、何れ
も、強度が母材または分散材のうちの低強度材料の強度
または緻密化度によって決まるため、分散材を連続的に
三次元網目状に分散させただけでは高強度化が困難であ
る。また、母材と分散材との熱膨張差による内部応力が
連続的に発生するため、機械的、熱的な耐衝撃性等が低
下する。さらに、複合材料を調製する際に、マトリック
スまたは分散材の網目構造の多孔質体を形成した後、他
方の材料を浸透させるという特別な工程を必要とする。
そのため、製造に時間を要し、大量生産には向かず、さ
らに緻密化が困難であるという問題を有している。
【0013】また、特開平4−37667号公報に記載
された軽量高剛性セラミックスは、アトマイズ粉または
粉砕した金属粉にセラミックス粉を付着させた粉末を用
いて、分散材を網目状にする方法が開示されているが、
分散材を連続的に分散させているため、焼結性に劣り、
その結果、強度が低いという問題を有している。
【0014】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0015】(発明の目的)本発明の目的は、機械的特
性を低下させることなく、分散材および母材の特性を十
分に発揮させることができる複合材料およびその製造方
法を提供することにある。
【0016】(着眼点)本発明者らは、上述の従来技術
の問題点に対して、以下のことに着眼した。すなわち、
先ず、母材内全体に分散材を均一に分散させて分散材の
特性を強く発現させるためには、分散材を多量に添加す
ることが必要になるが、それによって焼結性が低下ある
いは不能になったり、大幅な強度低下を招いたり、コス
ト高になるなどの問題がある。一方、母材中に、分散材
のみをある厚みをもって連続三次元網目状に分散させた
複合材では、分散材の特性を均一分散の場合に比べて強
く発現できるが、分散材がある厚みをもった連続相を形
成しているので複合材の強度や耐衝撃性を大幅に低下さ
せ、また破壊起点となるクローズドポアを形成すること
が分かった。
【0017】本発明者らは、これら問題を解決する方法
として、母材中に分散材を多量に添加することなく分
散材の特性を強く発現させること、分散材を含む部分
により複合材の強度を低下させないこと、に着眼した。
そこで、これら条件を満足する複合材として、(A) 分散
材を母材中に三次元網目状で不連続に分散させること、
(B) 母材中に三次元網目状で連続的に分散させた強化層
を母材に近似した物質で形成すること、(C) 前記強化層
中に前記分散材を分散させることにより、機械的特性を
低下させることなく分散材および母材の特性を十分に発
揮させることができる複合材料に到達し、本発明を成す
に至った。
【0018】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)本発明の複合材料は、母材と、該母
材中に三次元網目状で連続的に分散させた,前記母材に
近似した物質からなる強化層と、該強化層中に不連続に
分散させた分散材とからなる複合材料であって、前記強
化層が前記母材どうしを強く結合させるとともに分散材
を強く保持してなり、前記分散材が、前記複合材料中に
三次元網目状で不連続に分散してなることを特徴とする
ものである。
【0019】(第2発明の構成)本発明の複合材料の製
造方法は、複合材料の母材となる造粒粉を準備する母材
造粒粉準備工程と、前記母材に近似した物質と分散材と
を含む粉末を混合して,強化層原料となる複合粉を準備
する複合粉準備工程と、前記母材造粒粉の周りに前記複
合粉をまぶした状態となるように原料粉末を調整する原
料粉末調整工程と、該原料粉末を所定形状に成形して成
形体とする成形工程と、該成形体を加熱して,母材と,
該母材中に三次元網目状で連続的に分散させた前記母材
に近似した物質からなる強化層と,該強化層中に不連続
に分散させた分散材とからなる複合材料を形成する複合
材料形成工程と、からなることを特徴とする。
【0020】(第3発明の構成)本発明の複合材料の製
造方法は、複合材料の母材となる造粒粉を準備する母材
造粒粉準備工程と、前記母材造粒粉と,該母材造粒粉の
平均粒径の1/4以下の平均粒径を有し,前記母材に近
似した物質と分散材とを含む強化層原料粉末を混合して
原料粉末を調整する原料粉末調整工程と、該原料粉末を
所定形状に成形して成形体とする成形工程と、該成形体
を加熱して,母材と,該母材中に三次元網目状で連続的
に分散させた前記母材に近似した物質からなる強化層
と,該強化層中に不連続に分散させた分散材とからなる
複合材料を形成する複合材料形成工程と、からなること
を特徴とする。
【0021】
【発明の効果】
(第1発明の効果)本発明の複合材料は、母材の機械的
な特性を低下させることなく、分散材の特性を十分に発
揮させることができる。
【0022】(第2発明の効果)本発明の複合材料の製
造方法により、母材の機械的な特性を低下させることな
く分散材の特性を十分に発揮させることができる複合材
料を容易に製造することができる。
【0023】(第3発明の効果)本発明の複合材料の製
造方法により、母材の機械的な特性を低下させることな
く分散材の特性を十分に発揮させることができる複合材
料を容易に製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の複合材料(第1
発明)およびその製造方法(第2発明および第3発明)
について、さらに具体的にした発明や限定した発明、こ
れら発明の実施の形態について説明する。
【0025】(第1発明の実施の形態)本第1発明の複
合材料は、該母材中に三次元網目状で連続的に分散させ
た,前記母材に近似した物質からなる強化層と、該強化
層中に不連続に分散させた分散材とからなる複合材料で
あって、前記強化層が前記母材どうしを強く結合させる
とともに分散材を強く保持してなり、前記分散材が,前
記複合材料中に三次元網目状で不連続に分散してなるこ
とを特徴とする。
【0026】本発明の複合材料が、優れた効果を発揮す
るメカニズムについては、未だ必ずしも明らかでは無い
が、次のように考えられる。
【0027】すなわち、先ず、本発明の複合材料は、母
材中に三次元網目状で連続的に分散させた前記母材に近
似した物質、すなわち、母材と同一物質または母材の性
質に近似した性質を有する物質からなる強化層を有して
なる。この強化層は、母材と同一物質または母材の性質
に近似した性質を有する物質からなるとともに、母材中
に連続的に分散させてなるので、強化層をはさんで隣接
する母材どうしを強化層によって強く結合させることが
できるため、母材自身の機械的および/または機能的特
性を損なうことなく所望の特性を発現することができ
る。さらに、母材と強化層との界面で強い結合が得ら
れ、かつ、焼結時に、母材と強化層の界面および強化層
内にポア(微細な気孔)が生成しにくいため、強化層の
存在によって複合材の強度を低下させることはない。
【0028】次に、本発明の複合材料は、前記強化層中
に分散材を不連続に分散させるとともに、該分散材を前
記母材中に三次元網目状で不連続に分散させてなる。こ
の分散材は、強化層中に不連続に分散させてなるので、
難焼結性の分散材であっても強化層中の母材に近似した
物質が存在するために、強化層と分散材との界面に微細
な気孔(破壊起点となる)が少なく、これによる強度低
下を抑止できるだけでなく、強化層内に分散材を強く保
持できる。また、分散材の熱膨張係数が母材と大きく異
なるような場合、分散材が連続的に分散している形態で
は、分散材の熱膨張係数の違いに起因して内部応力が発
生し機械的特性が低下するが、本発明では分散材により
形成される不連続部分でこの内部応力を緩和することが
できる。これより、即時破断強度や耐衝撃性、耐疲労性
などの機械的特性の低下を抑制することができる。
【0029】次に、分散材を母材中に三次元網目状で不
連続に分散させてなるので、高密度の分散相が母材全体
に三次元網目状に形成されるため、分散材の機械的特性
及び/又は機能的特性を強く発現できるパスを形成させ
ることができ、このパスを通しての種々の特性を発現さ
せることが可能となる。また、母材と強化層との界面
で、亀裂が生じても、所謂複合による亀裂の迂回または
/および吸収効果から亀裂が進展しにくくなるので、前
記強化層の存在により複合材の強度を低下させることは
ない。
【0030】すなわち、母材中に分散材が三次元網目状
で不連続に分散しているので、以下のように粒子やウィ
スカ、ファイバーなどの分散材(分散相)それ自身によ
る補強の効果、および分散材の骨格構造による補強効果
の2種類の相乗効果が得られているものと推定される。
【0031】室温では、分散材に比べて高強度の母材で
高応力を受け持つと同時に、三次元網目状に分散した分
散材によって転位の移動を網目内で阻止したり、亀裂進
展を抑制することができる。また、高温では、分散材の
三次元網目状構造の骨格部によって結晶粒同士の粒界す
べりや転位運動を阻止(分散材によるアンカー,クリッ
プ効果)して、複合材料の軟化変形を抑制することによ
り、即時破断強度および繰り返し疲労、クリープ特性を
向上させることができる。特に、分散材が不連続で分散
しているため、三次元網目状で連続に分散しているもの
に比べて、分散材の中または分散材と母材との界面に沿
って亀裂が発生しても伝播しにくく、また、熱的・機械
的な衝撃も緩和させやすい。さらに、高緻密化により、
複合材中に破壊源となるポアが形成されにくいため、こ
のポア形成による強度低下が起こりにくい。このよう
に、室温および高温での効率的な強化が可能である。
【0032】すなわち、強化を目的とした分散材を用い
た場合は、該分散材は母材中において、粒子、ウィスカ
等の分散材によって粒子強化されるとともに不連続で三
次元網目状に分散した骨格構造を形成する。なお、該構
造の形成により強度低下の主因となるポア等を形成させ
ることはない。このような骨格構造が、高応力を受け持
つと同時に、分散材それ自身によって,隣接した網目間
における転移の移動や亀裂進展を阻止することができ
る。これによって、強度や靱性を向上させることができ
る。また、高耐熱性の分散材を用いた場合には、耐熱性
の高い骨格構造を形成でき、この骨格部が母材の軟化変
形を抑制することができる。さらに、結晶粒界の軟化に
よる粒界すべりや転移の移動を、分散材自身によっても
阻止することができるので、高温での即時破断強度や耐
クリープ性や繰り返し疲労特性を向上させることができ
る。特に、分散材が不連続に分散しているため、分散材
中または分散材と母材との界面に沿って亀裂が進展して
も、連続相のように亀裂が全体に大幅に進展し易いパス
がなく、伝播しにくい。
【0033】また、分散材として機能性を付与する分散
材を用いた場合は、連続網目状に比べて高緻密化が図
れ、破壊源となる気孔が形成されにくく、強度低下させ
ることなく機能性を付与させることができる。また、分
散材が不連続であるので、母材自身のもつ機能も発現さ
れ易い。
【0034】また、分散材を網目状に配列させているの
で、均一分散系に比べて、分散材の特性を強く発現させ
ることができる。さらに、連続網目状構造のものに比べ
て添加量を少なくすることができる。
【0035】以上により、本発明の複合材料は、母材の
機械的な特性を低下させることなく、分散材の特性を十
分に発揮させた複合材料とすることができるものと考え
られる。
【0036】(母材)母材(マトリックス)は、複合材
料の基材となるものであり、セラミックス、金属、樹
脂、金属間化合物などの材料を適用でき、結晶質のもの
でも非結晶質のものでもよい。
【0037】(強化層)強化層は、前記母材に近似した
物質(同一物質を含む)からなり、母材中に三次元網目
状で連続的に分散している。また、該強化層には、分散
材が不連続に分散している。なお、該分散材の分散形態
は、不連続であればランダムまたは均一、ネットワーク
状や層状であってもよい。すなわち、強化層は、前記母
材に近似した物質からなるが、該強化層をはさんだ隣り
合う母材相の接着相的な役割をも果たせるものであるこ
とが好ましい。
【0038】ここで、母材に“近似した”とは、具体的
には、 (1)母材そのもの、 (2)結晶性母材の非晶質な材
料、 (3)融点が母材と同程度の温度または融点が低く,
母材または/および分散材と濡れ性が良い材料、 (4)母
材より高密度化した材料(相)、 (5)母材と同質の非晶
質材料(相)または単結晶材料(相)、 (6)母材に比べ
て弾性率が小さい相、 (7)母材および分散材に比べて熱
膨張係数が小さい相、(8)分散材と同種の元素からなる
相、 (9)母材とその焼結助剤の混合相、(10)母材および
/または分散材の焼結助剤、(11)可塑剤、などが挙げら
れる。
【0039】具体的な物質としては、マトリックスがS
34 の場合には、Si34 ,CeO2 ,BeO,
Al23 ,Y23 ,MgSiO3 ,La23 ,Z
rO2 ,AlN,SiO2 ,MgO,Nd23 ,Sm
23 ,Dy23 ,Yb23 ,BeSiO4 ,Mg3
2 −Be32 ,MgSiN2 ,YN,Sc2
3 ,TiNなどが挙げられる。また、マトリックスがA
23 の場合には、AlN,Al23 ,SiO2
MgO,ZrO2 などが挙げられる。また、マトリック
スがSiCの場合には、SiC,B,C,Al23
どが挙げられる。
【0040】また、マトリックスがステンレス鋼の場合
には、Al,ThO2 ,Mn,Cr,Fe,Ti,M
o,Cu,Y23 ,Bなどが挙げられる。また、マト
リックスがFeの場合には、Cr,Ni,Bなどが挙げ
られる。
【0041】また、マトリックスが熱可塑性樹脂の場合
には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの母材と相溶性
のよい材料が挙げられる。
【0042】本発明の複合材料の強化層は、母材と同質
の物質からなり、粒径が母材より細かいかまたは/およ
びアスペクト比が大きい結晶粒であることが好ましい。
これにより、高強度で高靱性の強化相を形成させること
ができ、分散材の保持性能を大幅に向上できる。
【0043】また、強化層は、結晶性母材の非晶質な材
料からなることであることが好ましい。これにより、母
材と馴染みやすい強化相を形成することができる。
【0044】また、強化層は、融点が母材と同程度の温
度以下であって、母材または/および分散材と濡れ性ま
たは相溶性が良い材料からなることが好ましい。これに
より、マトリックス相より緻密度が高く、母材および分
散材との何れの界面にも気孔の極めて少ない、結合性の
高い強化層とすることができる。よって、マトリックス
/マトリックス、および、マトリックス/分散材を強く
結合することができる。
【0045】また、強化層は、母材より高密度化した材
料からなることが好ましい。これにより、強化層で破壊
を生じることが無く、分散材を強く保持することが可能
である。
【0046】また、強化層は、母材と同質の非晶質材料
または単結晶材料からなることが好ましい。これによ
り、強化層とマトリックスとの馴染みがよく、強化層を
介してマトリックス/マトリックス間に高い結合力を発
現することができる。
【0047】また、強化層は、母材より弾性率が小さい
材料からなることが好ましい。これにより、熱的および
機械的な耐衝撃力を強化層で緩和でき、高い耐衝撃性を
発現できる。
【0048】また、強化層は、母材および分散材より熱
膨張率が小さい材料からなることが好ましい。これによ
り、母材と分散材間の熱膨張差によって生じる内部応力
を緩和することが可能である。
【0049】また、強化層は、分散材と同種の元素から
なることが好ましい。これにより、強化層と分散材が馴
染み易く、強化層内に分散材を強く保持することが可能
である。また、分散材は、強化層内の構成元素の一部を
利用してin-situ で分散材を生成させることも可能であ
り、これにより、強い保持力が得られる。
【0050】また、強化層は、母材とその焼結助剤の混
合相からなることが好ましい。これにより、分散材を複
合材料内に強く保持することができる。
【0051】また、強化層は、母材および/または分散
材の焼結材からなることが好ましい。これにより、分散
材を強化層内に強く保持させることが可能となる。
【0052】また、強化層は、可塑剤からなることが好
ましい。これにより、分散材と強化層とのぬれ性を高
め、強化層内における分散材の保持力を高めることがで
きる。
【0053】また、強化層は、母材と相溶性を有するこ
とが好ましい。これにより、複合材料中の分散材の保持
能力を高めることができる。
【0054】また、母材中での強化層の存在形態は、母
材中に三次元網目状で連続的に分散してなる。具体的に
は、その一例を図2に示すように、母材10が強化層2
0によって分離されたセル状ユニット11を一つの単位
としてなり、強化層20のみ三次元網目状に連続的に分
散した形態である。この形態の場合は、三次元網目状に
分散した強化層によって母材どうしを強く結合すること
ができるという利点がある。
【0055】他の具体的な存在形態は、図3に示すよう
に、母材10と強化層20がともに連続三次元網目状に
形成された形態である。この形態の場合は、強化層20
の特性だけでなく、母材10自身の特性もさらに強く発
現することができるという利点がある。
【0056】また、他の具体的な存在形態は、図4に示
すように、二次元網目状に分散した強化層20が積層し
た形態である。この形態の場合は、2次元方向(面方
向)に対して強く特性を発現するような異方性をもたせ
ることができる。特に、薄板の場合に有効であるという
利点がある。
【0057】なお、好適な強化層は、母材中に三次元網
目状で連続的に分散され、前記母材に近似した物質から
なるとともに、該強化層と分散材とから形成される部分
の網目一つの大きさ(例えば、図2のD)が1μm≦D
≦1000μmの範囲内で、かつ、該部分が三次元網目
状にパスを形成するような構造である。この構造の場合
には、強化層内に混在する母材と近似した物質、および
分散材をともに粒界相によって強く結合することができ
るとともに、それらによって構成される三次元網目構造
の強化層の効果を強く発揮することができるという特有
の効果を奏することができる。
【0058】(分散材)分散材は、マトリックスの機械
的特性向上や機能性向上を目的として強化層(ひいては
マトリックス中)に分散させるものであり、耐熱性や耐
蝕性、耐酸化性、耐薬品性、高硬度、高弾性、快削性、
放電加工性などの機械的特性や、熱伝導性、断熱性、電
気伝導性、絶縁性、磁性、圧電性、光学的特性などの機
能性を有するものなどを用いることができる。分散材の
材質は、セラミックス、金属、樹脂、金属間化合物など
の材料を適用でき、結晶質のものでも非結晶質および単
結晶質のものでもよい。形状は、粒子、ウィスカ、ファ
イバー等でどのようなものでもよい。この分散材は、一
種のものであっても、目的とする付与する性質(機能特
性及び/又機械的特性など)が異なる複数種のものであ
ってもよい。
【0059】分散材の強化層中での分散形態は、強化
層中に分散材が均一(ランダム)に分散している形態、
強化層中に分散材が不均一に分散している形態、強
化層中に分散材が網目、層状などの特定の形態で規則的
に分散している形態、などがある。また、このとき、強
化層中に分散している分散材の単位は、 (a) 一つの粒
子またはウィスカなど個体であっても、 (b) 個体の部
分(最小構成単位からなる部分)と該個体が連結または
集合した部分とが混在して不連続部分を形成していて
も、 (c) 前記個体が連結または集合した集合ブロック
を単位として不連続部分を形成していても、これらの何
れでも、これらの組合せでもよい。この場合、集団を形
成する分散材は、一種のものであっても、目的とする付
与する性質(機能特性及び/又機械的特性など)が異な
る複数種のものであってもよい。
【0060】分散材の強化層中での分散形態は、具体的
には、図5に示すように、強化層20全体に分散材30
がランダムに分散した状態である。この形態の場合に
は、母材に近似した物質からなる強化層20で分散材3
0を個別(最小単位)に保持できるため(残留応力分布
が均一)、高い即時破断強度を発現できるとともに、高
い耐衝撃性や耐繰り返し疲労性が得られるという利点が
ある。
【0061】他の具体的な分散材の分散形態は、図6に
示すように、強化層20中において分散材30が不連続
な網目構造(部分的に不連続なものも含む)をした分散
形態である。この形態の場合は、分散材30をランダム
に分散させた場合に比べて強度的に多少低くなるが、分
散材30の電気的特性や熱的特性等の機能的性質を強く
発現することが可能となるという利点がある。
【0062】他の具体的な分散材の分散形態は、図7に
示すように、分散材30が母材10および強化層20の
焼結を阻害しない範囲で近接して分散している状態であ
る。この形態の場合は、分散材をランダムに分散させた
場合に比べて強度的に多少低くなるが、分散材30の電
気的特性や熱的特性等の機械的性質を強く発現すること
が可能となるという利点がある。
【0063】他の具体的な分散材の分散形態は、図8に
示すように、周方向に部分的に連続した分散材30が層
状に分散した形態である。この形態の場合には、分散材
をランダムに分散させた場合に比べて強度的に多少低く
なるが、分散材30の電気的特性や熱的特性等の機械的
性質をより強く(前記図7の具体例よりも強く)発現す
ることが可能となるという利点がある。
【0064】他の具体的な分散材の分散形態は、母材粒
子の周方向に特性の異なる分散材を2層以上分散させた
形態で、例えば、図9に示すように、第1分散材31と
第2分散材32の二層で構成した形態がある。この形態
の場合には、複数の分散材の特性を付与することが可能
となるという利点がある。
【0065】他の具体的な分散材の分散形態は、図10
に示すように、強化層20中および母材中の両者に分散
した形態である。この形態の場合には、母材10中に分
散した分散材40(添加剤とする)は、強化層20中の
分散材30と特性が同じであっても異なってもよく、さ
らには、種々の特性を有する複数の添加剤を分散させて
もよい。
【0066】本発明において、分散材は、前記強化層中
に不連続に分散してなるとともに、前記母材中に三次元
網目状で不連続に分散してなる。ここで、「三次元網目
状で不連続に分散」とは、図1および図11にその一例
を示すように、分散材30が母材10中に分離または部
分的に繋がった(接触した)状態で三次元網目状に配列
している状態をいう。
【0067】母材が結晶粒からなる場合、1つの網目
は、図12に示すように、数個以上の母材結晶粒12か
らなるユニット13,または該母材結晶粒と該結晶粒の
周囲に形成した強化層の一部とからなるユニットを一単
位として、その周囲に分散材が網目の骨格を形成した状
態をさす。好ましくは、連続的に繋がった粒子が少な
く、かつ不連続相が微小な間隔で分散するような形態で
ある。さらに好ましくは、サブミクロン(0.数μm)〜
数μm程度の粒界相を介して各分散粒がつながっている
ような形態である。
【0068】なお、網目構造を形成する分散材の分散形
態は、上記のように、基本的には不連続な状態で網目構
造を形成しているものであればよく、網目1個の形状
は、球状、多面体などで、また、断面形状で、三角形、
円形、楕円形、多角形、星型、不定形の何れでもよい。
また、分散材は、本発明の作用・効果を阻害しない範囲
で、粒子が一部連続的に分散したり、または連続体を形
成していてもよい。
【0069】分散材の大きさは、粒子の場合、径の平均
値が0.001μm〜1mmであることが好ましい。該径
0.001μm未満の場合、強化層内における分散材の密
度が高くなり、不連続部が小さくなり、その結果破壊が
起こりやすくなり、機械的特性が低下しやすくなり虞が
ある。また、該径が1mmを超えると、強化層内におけ
る分散材の分散が粗となるため、網目状の効果及び/又
は分散材の効果が発揮されにくくなる虞がある。この場
合、分散材の大きさが、0.01μm〜100μmの場合
には、分散材の不連続部の間隔を適度な状態にし易く、
マトリックスの強度や耐衝撃性などを低下させることな
く強化層及び/又は分散材の特性を十分に発揮させるこ
とができるので、より好ましい。
【0070】また、ウィスカおよびファイバーの場合、
分散材の大きさは、短径の平均値が300μm以下が好
ましい。この場合、分散材の短径の大きさを180μm
以下に分級することにより、不連続な網目状構造を形成
させ易くなる。該範囲を超えると、分散材の分散密度が
低くなるため、分散材の網目状骨格の効果が発揮されに
くくなる虞がある。
【0071】分散材の強化層中での存在割合は、0.0
1〜80体積%の範囲が好ましい。該割合が0.01体
積%未満の場合、分散材の間隔が広くなり、骨格構造の
効果および機能性の発現が困難になる虞がある。また、
80体積%を超えると、網目状の分散相、強化層内の分
散材の密度が高くなるため、焼結性が低下し、強度が低
下する虞ある。なお、該割合が、1%〜50%の範囲で
ある場合、本発明の効果をよりよく発揮できるのでより
好ましい。特に、前記割合が10〜30%の範囲である
ことがより好ましい。なお、強化層の存在割合は、体積
比で母材100に対して、2%〜80%であることが好
ましい。該割合が、2%未満の場合は、強化層の幅が狭
くなりすぎ、強化層として作用が小さくなり、その効果
が薄れる虞がある。また、80%を超える場合は、強化
層内に分散する分散材の量が増えるため、緻密不足に起
因した低強度や低靱性となる虞がある。また、母材その
ものの特性も発現しにくくなる。なお、該割合が、体積
比で母材100に対して、5%〜60%であることがよ
り好ましい。
【0072】1つの網目の最大大きさは、1μm〜5m
mの範囲が好ましい。1つの網目の最大大きさが1μm
未満の場合、母材内に形成される網目の体積密度が大き
くなるため、焼結性が低下し、その結果十分な強度が得
られなくなる虞がある。また、5mmを超えると、分散
材による骨格構造としての効果が発揮しにくくなる。な
お、該大きさは、分散材の大きさが一つの網目の大きさ
の1/4以下の関係にあることが好ましい。これより、
分散材(または分散材と強化層)による骨格構造やパス
が形成し易くなり、分散材及び/又は強化層の特性を十
分に発現することができる。
【0073】強化層と分散材との組み合わせとしては、
セラミック材料、金属材料、高分子材料等の種々の材料
を組み合わせることができる。
【0074】例えば、強化層−分散材の組み合わせとし
て、強化層をセラミックス材料とする場合、窒化珪素−
炭化珪素、窒化珪素−シリカ、窒化珪素−酸化ジルコニ
ウム、窒化珪素−窒化ホウ素、窒化珪素−窒化チタン、
窒化珪素−硼化チタン、窒化珪素−硼化ジルコニア、窒
化珪素−二ケイ化モリブデン、窒化珪素−イットリア、
窒化珪素−酸化イットリビューム、窒化珪素−炭化チタ
ン、窒化珪素−フェライト磁石、炭化珪素−アルミナ、
炭化珪素−窒化アルミ、炭化珪素−窒化チタン、炭化チ
タン−炭化珪素、アルミナ−炭化チタン、アルミナ−ジ
ルコニア、アルミナ−ジルコン、アルミナ−窒化珪素、
アルミナ−二ケイ化モリブデン、アルミナ−ダイヤモン
ド、アルミナ−窒化アルミ、ムライト−アルミナ、ジル
コニア−酸化カルシウム、ジルコニア−イットリア、ジ
ルコニア−酸化マグネシウム、ムライト−ジルコニア、
サイアロン−炭化珪素、ジルコニア−アルミナ、ガラス
−炭化珪素、ガラス−アルミナ、ホウ珪酸ガラス−アル
ミナ、チタン酸ジルコン酸鉛−炭化珪素、チタン酸ジル
コン酸鉛−チタン酸バリウム、チタン酸鉛−チタン酸ス
トロンチウム、コーディエライト−ムライト、コーディ
エライト−石英、コーディエライト−フェライト磁石、
ジルコニア−ニッケル・クロム合金等が挙げられる。な
お、分散材がセラミックスからなる場合、強化層と分散
材の上記組合せは入れ代わってもよい。
【0075】セラミックスを強化層とした場合、例え
ば、炭化珪素や炭化チタン、酸化チタン等のように電気
的抵抗値が低い材料やニッケル・クロム合金等を分散材
としてセラミックスに添加した場合は、これらの分散材
の間隔を焼結性を阻害しない程度に不連続性を確保させ
ながら近づけて分散させる、あるいは、一部繋がった部
分の密度を増すことにより、強化層としてのセラミック
スに電気伝導性や熱伝導性を付与することが可能とな
る。これにより、セラミックスの放電加工が可能とな
る。特に、炭化珪素や炭化物、ホウ化物、窒化物、金属
系の熱伝導性の高い材料では、分散材の間隔を調整する
ことにより、電気絶縁性をもたせながら高熱伝導性を付
与することが可能となり、基板材料や熱電材料などの適
用性が高い。また、快削性の材料を分散材、あるいは、
分散材の一種として添加することにより、強度を低下さ
せることなく、加工性を上げることも可能となる。
【0076】強化層を金属材料とする場合、強化層と分
散材の組合せは、ニッケル−トリア、ニッケル−アル
ミ、ニッケル−チタン、ニッケル・クロム合金−トリ
ア、ニッケル・クロム合金−イットリア、鉄・クロム合
金−イットリア、鉄・クロム合金−ジルコニア、鉄・ク
ロム合金−アルミナ、鉄・クロム合金−銅、鉄・クロム
合金−トリア、鉄・クロム合金−チタン、クロム−マグ
ネシア、アルミニウム−タングステン、アルミニウム−
ステンレス、アルミニウム−カーボン、アルミニウム−
ボロン、アルミニウム−アルミナ、アルミニウム−炭化
珪素、アルミニウム−イットリア、マグネシウム−アル
ミナイド鉄、アルミニウム−窒化アルミ、マグネシウム
(またはマグネシウム合金)−アルミナ、アルミニウム
合金−アルミナ、ニッケル(またはニッケル合金)−ア
ルミナ、モリブデン(またはモリブデン合金)−アルミ
ナ、マグネシウム−炭化珪素、銅−アルミナ、銅−シリ
カ、銅−ベリリア、銅−タングステン、銅−イットリ
ア、鉄−銅、ニッケル・クロム合金−イットリア、ニッ
ケル・クロム合金−ジルコニア、ニッケル・クロム合金
−カルシア、ニッケル・クロム合金−シリカ、チタン−
ホウ化チタン、ステンレス−アルミナ、鉛−鉛酸化物、
銀−銀酸化物、銀−タングステン、コバルト−トリア等
が挙げられる。なお、分散材が金属材料からなる場合、
強化層と分散材の上記組合せは入れ代わってもよい。
【0077】金属材料を強化層とした場合、例えば、低
熱伝導性のジルコニア等のセラミックスや金属分散材の
間隔を調整して添加することにより、機械的特性を低下
させることなく、断熱性や電気絶縁性の優れた金属材料
が得られる。
【0078】強化層を高分子材料とする場合、強化層と
分散材との組合せは、ポリ塩化ビニル−鉛(または鉛合
金)、ポリ塩化ビニル−二酸化マンガン、ポリプロピレ
ン−タルク、ポリプロピレン−炭酸カルシウム、ポリプ
ロピレン−炭酸マグネシウム、ポリスチレン−アルミ
ナ、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート、エポキ
シ樹脂−炭化珪素、エポキシ樹脂−シリカ、エポキシ樹
脂−ガラス、シリコン樹脂−炭化珪素、ポリエチレン−
カーボン、熱硬化性樹脂−シリカ、熱硬化性樹脂−シリ
カ、ゴム−カーボンブラック、樹脂−黒鉛、樹脂−ニッ
ケル、カーボン−炭化珪素、ABS−SiC、アクリル
−シリカ、ナイロン−ポリメチルメタクリレート、ナイ
ロン−窒化チタン、カーボンブラック−コポリマラテッ
クス、ナイロン−二酸化チタン、ポリスチレン−二酸化
チタン、セルロファイン−二酸化チタン、ナイロン−S
iC、ナイロン−シリカ等が挙げられる。
【0079】本発明の複合材料は、母材の機械的な特
性、及び/又は機能的な特性を低下させることなく、特
性の強化や機能の向上など分散材の特性を十分に発揮さ
せることができる。
【0080】また、電気伝導性、熱伝導性、磁性等の機
能性に優れた分散材を非常に短い間隔で網目状に分散さ
せることができることから、分散材同士の間隔を最適に
することにより、該分散材の連続相を形成させた場合に
近い特性と、さらに高い機械的特性の両方を発現するこ
とが可能となる。
【0081】また、分散材が高剛性である場合には、分
散材を不連続で分散させることにより分散材による強
度、靱性、耐衝撃性、耐久性等の特性低下を招くことな
く、複合化による母材の高剛性化を達成することができ
る。
【0082】また、ウィスカ状の分散材をウィスカの配
向方向と垂直な面内において二次元網目状構造を形成す
るとピンニング(アンカー)効果およびブリッジング効
果による配向方向の強度向上だけではなく、三次元的に
も強化することできる。
【0083】本発明の好適な複合材料は、結晶質物質か
らなるセラミックス母材と、該母材中に三次元網目状で
連続的に分散させた,前記母材に近似した結晶質の物質
からなり、前記母材と強固に結合することにより前記母
材どうしを強く結合させてなる強化層と、該強化層中に
不連続に分散させた分散材とからなる複合材料であっ
て、前記分散材が前記強化材によって強く保持されると
とに、前記分散材が前記複合材料中に三次元網目状で不
連続に分散してなることを特徴とする。
【0084】本発明のより好適な複合材料は、母材と,
該母材中に三次元網目状で連続的に分散させた前記母材
に近似した物質からなる強化層と,該強化層中に不連続
に分散させた分散材とからなり,該分散材が前記母材中
に三次元網目状で不連続に分散してなる複合材料であっ
て、強化層中または/および該強化層(または分散材)
で画定される三次元網目状の母材内部に、特性の強化や
機能の向上のための添加剤を均一(或いは、網目状、層
状など)に分散させてなることを特徴とする。これによ
り、網目内部の結晶粒のすべりや転移の移動抑制、高硬
度化、高弾性化などが可能となり、耐熱性や耐酸化性、
耐摩耗性、強度、高剛性等の機械的特性や、熱伝導性等
の機能的特性が向上する。
【0085】この添加剤としては、耐熱性や耐蝕性、耐
薬品性、高剛性、高硬度、快削性、耐衝撃性などの機械
的特性や、低膨張性、高熱膨張、光学的特性、低誘電
率、高誘電率、高抵抗性、熱電特性、熱伝導性、断熱
性、電気伝導性、絶縁性、磁性、圧電性などの機能性を
有するものなどを用いることができる。分散材の材質
は、セラミックス、金属、樹脂、金属間化合物などの材
料を適用でき、結晶質のものでも非結晶質のものでもよ
い。形状は、粒子、ウィスカ、ファイバー等でどのよう
なものでもよい。なお、この添加剤として機械的特性を
有するものを用い、網目を形成する分散材として機能性
を有するものを用いた場合には、耐熱性や耐蝕性、耐薬
品性、高硬度、快削性、放電加工性などの機械的特性を
併せもった機能性複合材料とすることができる。
【0086】このとき、母材が非晶質からなる場合は、
強化層中または/および該強化層(または分散材)で画
定される三次元網目の内部に、上記添加剤を均一に分散
させてなることが好ましい。
【0087】また、母材が結晶質からなる場合は、強化
層中または/および該強化層(または分散材)で画定さ
れる三次元網目の内部に、または結晶粒からなる場合に
は該結晶粒の粒内または/および粒界に、上記強化粒子
を均一に分散させてなることが好ましい。この場合、機
械的特性を向上させるときには、分散材が粒内および粒
界のいずれであってもよいが、機能性を付与するときに
は、粒界に分散している方が好ましい。
【0088】次に、本発明の複合材料の製造方法につい
て説明する。
【0089】(第2発明の実施の形態)本第2発明の複
合材料の製造方法は、複合材料の母材となる造粒粉を準
備する母材造粒粉準備工程と、前記母材に近似した物質
と分散材とを含む粉末を混合して,強化層原料となる複
合粉を準備する複合粉準備工程と、前記母材造粒粉の周
りに前記複合粉をまぶした状態となるように原料粉末を
調整する原料粉末調整工程と、該原料粉末を所定形状に
成形して成形体とする成形工程と、該成形体を加熱し
て,母材と,該母材中に三次元網目状で連続的に分散さ
せた前記母材に近似した物質からなる強化層と,該強化
層中に不連続に分散させた分散材とからなる複合材料を
形成する複合材料形成工程と、からなることを特徴とす
る。
【0090】本発明の複合材料の製造方法が、優れた効
果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明ら
かでは無いが、次のように考えられる。
【0091】本発明の複合材料の製造方法は、先ず、母
材造粒粉準備工程において、複合材料の母材となる造粒
粉を準備する。なお、造粒粉は、本発明の効果を阻害し
ない範囲で、他の添加剤を適宜混合することができる。
【0092】次に、複合粉準備工程において、前記母材
に近似した物質と分散材とを含む粉末を混合して、強化
層原料となる複合粉を準備する。なお、複合粉は、本発
明の効果を阻害しない範囲で、他の添加剤を適宜混合す
ることができる。なお、造粒粉の代わりに、母材の一次
粒子(原料粉末そのもの)を用いてもよい。
【0093】次いで、原料粉末調整工程において、前記
母材造粒粉の周りに前記複合粉をまぶした状態となるよ
うに原料粉末を調整する。
【0094】次に、成形工程において、前記原料粉末調
整工程において得られた原料粉末を所定形状に成形して
成形体とする。これにより、焼結前の成形体は、母材の
主材料となる造粒粉の間隙や隣合う造粒粉の表面などに
複合粉が存在しており、成形体全体に渡って分散材が不
連続に分散した状態に存在させることができる。
【0095】次いで、複合材料形成工程において、前記
成形工程で得られた成形体を加熱すると、隣り合う造粒
粉どうしや複合粉どうし、及び/又は造粒粉と複合粉が
焼結または/および溶融することにより、焼結体全体が
緻密化する。これより、母材と、該母材中に三次元網目
状で連続的に分散させた前記母材に近似した物質からな
る強化層と、該強化層中に不連続に分散させた分散材と
からなる複合材料が形成される。このとき、複合粉内に
ある母材に近似した物質が液相またはそれに近い状態に
なることによって原子の拡散が起こり、母材に近似した
物質粒子間の隙間を埋めることによって、強化層の緻密
化が進むとともに、強化層と母材粒子の界面においても
緻密化が進む。これより、本発明では、成形体全体の焼
結性が向上し、高緻密性の焼結体が得られるものと考え
られる。
【0096】また、複合材料形成工程において、強化を
目的とした分散材を用いた場合は、強度低下の主因とな
るポア等を形成させることなく、分散材が、母材中で、
粒子、ウィスカ等の分散材によって粒子強化された不連
続で三次元網目構造の骨格構造を形成する。該骨格構造
は、高応力を受け持つと同時に、分散材それ自身によっ
て隣接した網目間における転移の移動や亀裂進展を阻止
することができる。これによって、強度や靱性を向上さ
せることができる。また、高耐熱性の分散材を用いた場
合には、耐熱性の高い骨格構造を形成できる、この骨格
部により母材の軟化変形を抑制することができる。さら
に、結晶粒界の軟化による粒界すべりや転移の移動を、
分散材自身によっても阻止することができるので、即時
破断強度や耐クリープ性を向上させることができる。特
に、分散材が不連続に分散するため、分散材中または分
散材と母材との界面に沿って亀裂が進展しても、連続相
のような亀裂が進展し易いパスがなく、伝播しにくい。
また、分散材として機能性を付与する分散材を用いた場
合は、連続網目状に比べて高緻密化することができ、破
壊源となるポアが形成されにくく、強度低下させること
なく機能性を付与させることができる。
【0097】以上のように、本発明の複合材料の製造方
法により、母材の機械的な特性を低下させることなく分
散材の特性を十分に発揮させることができる複合材料
を、容易に製造することができるものと考えられる。
【0098】((第1の複合材料の製造方法))以下に、本
発明の第2発明の複合材料の製造方法(第1の複合材料
の製造方法)をさらに具体的にした発明や限定した発明
について、説明する。
【0099】((母材造粒粉準備工程))母材造粒粉準備工
程において、複合材料の母材となる造粒粉を準備する。
ここで、母材造粒粉を構成するマトリックス粉は、前記
複合材料で述べた母材として適用できる物質を総て適用
できる。
【0100】母材造粒粉の粒径(dm)は、5.0mm
以下、粒子またはウィスカ(短径)等の分散材の平均1
次粒子粒径(dp)は500μm以下とし、dp/dm
が0.50〜1×10-8の範囲となるのがよい。この範
囲であれば、分散材の特性が十分に発揮するための分散
材による三次元網目状を形成することができる。なお、
dp/dmを0.5〜6×10-6とすることにより、不
連続の網目状構造を形成させ易くなるので好ましい。ま
た、この場合、分散材の大きさを300μm以下に整粒
することにより、不連続な網目状構造を形成させ易くな
る。また、母材造粒粉を構成するマトリックス粉末は、
粒径が2μm〜5mm程度の範囲内に造粒粉を造粒する
ことにより、不連続な網目構造を形成させ易くなる。好
ましくは、20μm〜5mmの範囲内がよい。
【0101】((複合粉準備工程))次に、複合粉準備工程
において、前記母材に近似した物質と分散材とを含む粉
末を混合して、強化層原料となる複合粉(母材に近似し
た物質と分散材とを含む粉末を単に混合したものも含
む)を準備する。ここで、母材に近似した物質および分
散材は、前記複合材料で述べたものを総て適用できる。
【0102】母材に近似した物質の形状は、粒状、角
状、柱状、繊維状(ファイバー状、ウィスカ状を含
む)、不定形、などの何れの形状でもよい。好ましく
は、粒状、柱状、不定形である。母材に近似した物質の
粒径は、焼結を容易にするため、細かいほどよく、0.0
01μm〜300μmが好ましく、さらに好ましくは、
0.01〜100μm程度に整粒するのがよい。最適に
は、0.01〜80μmであり、好適な状態の不連続網目
を形成することができる。
【0103】分散材の形状は、粒状、角状、柱状、繊維
状(ファイバー状、ウィスカ状を含む)、不定形、など
の何れの形状でもよい。好ましくは、球状、不定形であ
る。粒径は、母材粉の1/2以下の大きさで0.001μ
m〜500μmが好ましく、より好ましくは0.005〜
100μm程度が、最も好ましくは0.01〜80μm程
度である。
【0104】母材に近似した物質と分散材の混合は、本
発明で用いるこれら物質の種類・大きさのものを混合す
るのに用いる通常の混合手段を適用することができ、例
えば、ボールミル、アトライタ、ヘンシェルミキサー、
パールミル、アジテータミルなどにより行う。好ましく
は、湿式または乾式でボールミル、パールミルまたはア
トライタにより行うのがよい。
【0105】得られる複合粉の形態は、粒状、角状、柱
状、繊維状(ファイバー状、ウィスカ状を含む)、不定
形、などの何れの形状でもよい。好ましくは、緻密化
(成形性、圧粉性など)に有利な粒状、角状、不定形の
ものであることが好ましい。大きさは、母材造粒粉の1
/2以下で、1mm以下であることが好ましい。より好
ましくは、母材造粒粉の1/3以下で粒径が500μm
以下、最も好ましくは母材造粒粉の1/5以下で粒径が
80μm以下である。
【0106】母材造粒粉準備工程および複合粉準備工程
において、造粒を行う場合には、攪拌造粒、転動造粒、
流動造粒、噴霧造粒、押し出し造粒、粉砕造粒など通常
の造粒法を採用することができる。なお、母材の焼結性
や溶融性を考慮して、母材造粒粉または複合粉に適宜焼
結助剤、可塑剤を混合することができる。また、この焼
結助剤は、母材造粒粉または複合粉に混合するのではな
く、後述の原料粉末調整工程において、適宜添加するこ
ともできる。
【0107】なお、前記焼結助剤としては、母材と同一
材料のもの、または母材および/または分散材の焼結助
剤として一般に用いられているものを採用することがで
きる。窒化珪素−炭化珪素の系では、焼結助剤として、
窒化珪素、または、該窒化珪素の焼結助剤として用いら
れているイットリアや、炭化珪素の焼結助剤として用い
られているカーボンや硼素、アルミナ、AlNなどを用
いることができる。また焼結助剤としては、この他に、
Yb23 、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化硼素、
BN、アルミニウム、炭化アルミニウム、硼化アルミニ
ウム、硼化クロム、硼化ジルコニウム、B4 C、炭化硼
素、酸化ベリリウム、スピネル、シリカ、酸化ランタ
ン、ジルコニア、ハフニア、Nd23 、Er23
Sm23、ZrB2 、CrB2 、TiB2 、ニッケ
ル、銅、等がある。また、焼結助剤としては、分散材や
母材より細かい粒子を用いることにより、さらに焼結性
を向上させることができる。
【0108】((原料粉末調整工程))次いで、原料粉末調
整工程において、前記母材造粒粉の周りに前記複合粉を
まぶした状態となるように原料粉末を調整する。ここ
で、「まぶした状態」とは、具体的には、母材造粒粉の
まわりを複合粉が被覆した状態(母材造粒粉表面の全部
または一部を覆うような状態)を示す。好ましくは、母
材造粒粉表面を複合粉が連続的に最密充填するような状
態で被覆することが好ましい。さらに好ましくは、母材
造粒粉の粒径の1/6以下で粗大粒のない複合粉が連続
して被覆し、被覆層の厚さが母粒子の径の1/3以下で
ある。
【0109】原料粉末の調整方法としては、具体的に
は、 (1)母材造粒粉とそれより粒径の小さい複合粉とを
容器に入れて転動する方法、 (2)母材造粒粉と複合粉を
旋回エア流中で処理する方法、 (3)ゾル−ゲル法(アル
コキシド法)、 (4)振動法、 (5)PVCおよびCVD
法、 (6)エマルジョン法、 (7)界面重合法、 (8)気中懸
濁被覆法、 (9)スプレードライング法、(10)表面沈積
法、(11)含浸法、(12)無機・有機・金属質壁カプセル化
法、(13)有機溶液からの相分離法、などの方法を採用す
ることができる。
【0110】((成形工程))次に、成形工程において、前
記原料粉末調整工程において得られた原料粉末を所定形
状に成形して成形体とする。成形方法としては、通常こ
の種のものの成形に適用される成形法を総て適用でき
る。具体的には、原料粉末調整工程において得られた原
料粉末を、必要形状の金型に入れて一軸成形するか、ま
たはCIP処理(冷間静水圧プレス)することにより成
形を行う。あるいは、上記粉末を樹脂等と混合して射出
成形してもよい。さらには、スリップキャストにより成
形してもよい。成形方法としては、単軸圧縮、静水圧圧
縮、ホットプレス、熱間静水圧プレスのような加圧成形
法、泥漿鋳込み、固形鋳込み、ロストワックスなどの鋳
込み成形法、押し出し成形、射出成形、トランスファー
成形、圧縮成形などの可塑成形法など、いずれのものも
適用できる。これにより、焼結前の成形体は、母材の主
材料となる造粒粉の間隙や隣合う造粒粉の表面などに複
合粉が存在しており、成形体全体において分散材が不連
続に分散した状態に存在させることができる。
【0111】((複合材料形成工程))次いで、複合材料形
成工程において、前記成形工程で得られた成形体を加熱
する。なお、母材が樹脂の場合には、射出成形のみで本
工程を前記成形工程と同時に行ってもよい。母材が樹脂
以外の場合でも、本工程を前記成形工程と同時に行って
もよい。複合材料形成法としては、通常の焼結法を適用
することができる。具体的には、成形体を、大気中や真
空中,N2 ,Ar,H2 などの雰囲気ガス中等で、常圧
またはガス圧下などで、焼結する。難焼結性の材料の場
合には、ホットプレス焼結やHIP焼結を行ってもよ
い。母材が樹脂の場合には、熱間成形のみで、焼結は不
要である。これより、母材と、該母材中に三次元網目状
で連続的に分散させた前記母材に近似した物質からなる
強化層と、該強化層中に不連続に分散させた分散材とか
らなる複合材料が形成される。
【0112】本発明の具体的一例を、図13の本発明の
製造方法の一例の概略説明図に示すと、先ず、母材の粉
末を所定の大きさ以上になるように造粒した母材造粒粉
と、該マトリックスと近似した物質の粉末と分散材を所
定の大きさ以下になるように混合・造粒した混合粉(複
合粉)を用意し、次いで、母材造粒粉の周りに複合粉を
まぶしたような状態となるように原料粉末を調整する。
すなわち、該母材造粒粉に、複合粉を連続的に又は/及
び不連続に点在させた状態でまぶすか,または母材造粒
粉の表面にCVD法、PVD法、ゾル−ゲル法、界面反
応法、表面沈積法、含浸法、懸濁法(w/oエマルジョ
ン法)、複合エマルジョン法、噴霧凝固造粒法、粉床
法、気中懸濁被覆法、摩擦帯電利用法、コロイド法、沈
殿反応法、噴霧造粒法、静電的合体法、界面析出法、液
滴法、ゲル滴法、スプレードライング法、ゾル・ゲル法
等により部分的に、または全体に複合粉の被膜を形成す
る。その後、該原料粉末を所定形状に成形する。なお、
必要に応じてCIP(冷間静水圧プレス)を行ってもよ
い。その後、焼結または反応硬化を行うことにより、強
化層を該母材中に三次元網目状で連続的に分散させるこ
とができるとともに、分散材を母材中に三次元網目状で
不連続に分散させることができる。
【0113】さらに母材を材料別に分けて本発明の複合
材料の製造方法を説明すると以下のようになる。
【0114】母材をセラミックス材料とする場合、先
ず、セラミックスからなる母材主原料と焼結助剤とを湿
式または乾式で混合した後、一定粒径に解砕あるいはス
プレードライ法により調整した造粒粉を用意する。次い
で、母材に近似した材料粉と分散材をボールミルやアト
ライタ、ヘンシェルなどにより湿式または乾式混合、あ
るいは気流中で混合して複合粉を用意する。次に、用意
した母材造粒粉の表面に、複合粉を連続的および/また
は不連続に点在させた状態でまたは連続的な状態でまぶ
す。このとき、複合粉を樹脂とともに母材造粒粉の表面
にまぶしてもよい。この粉末を金型成形、CIP、スリ
ップキャスト、射出成形等により成形した後、常圧焼
結、ホットプレスまたは熱間静水圧焼結(HIP)等に
より焼成することにより本発明の複合材料を製造するこ
とができる。
【0115】また、母材を金属材料とする場合、先ず、
一定粒径に造粒、粉砕、またはアトマイズした母材原料
の粉末の表面に、該母材原料に近似する物質粉末と分散
材を含む複合粉を連続的および/または不連続に点在さ
せた状態でまぶすか、または部分的な膜を形成させる。
その後、この粉末を成形して焼結することにより本発明
の複合材料を製造することができる。焼結は、一旦低温
で仮焼して再圧縮後、本焼結することにより、焼結体密
度を高くすることが可能である。また、本焼結のみを行
い、スウェジングやHIPを行っても高緻密化が可能と
なる。
【0116】また、母材を高分子材料とする場合、先
ず、母材材料と可塑材や表面処理材等の添加剤とを混合
して粒状または柱状のペレットを用意する。次いで、母
材材料に近似した材料粉と分散材をバリスタミキサー、
インターミックス、ニーダなどを用いて混合して複合粉
を用意する。次に、用意したペレットに複合粉をまぶ
す。これを金型に充填して加熱することにより本発明の
複合材料を製造することができる。
【0117】以上のように、本発明の複合材料を製造す
る場合、分散材の添加を一工程で行えるため生産性も良
好である。
【0118】(第3発明の実施の形態)本第3発明の複
合材料の製造方法は、複合材料の母材となる造粒粉を準
備する母材造粒粉準備工程と、前記母材造粒粉と,該母
材造粒粉の平均粒径の1/4以下の平均粒径を有し,前
記母材に近似した物質と分散材とを含む強化層原料粉末
を混合して原料粉末を調整する原料粉末調整工程と、該
原料粉末を所定形状に成形して成形体とする成形工程
と、該成形体を加熱して,母材と,該母材中に三次元網
目状で連続的に分散させた前記母材に近似した物質から
なる強化層と,該強化層中に不連続に分散させた分散材
とからなる複合材料を形成する複合材料形成工程と、か
らなることを特徴とする。
【0119】本発明の複合材料の製造方法が、優れた効
果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明ら
かでは無いが、次のように考えられる。
【0120】本発明の複合材料の製造方法は、先ず、母
材造粒粉準備工程において、複合材料の母材となる造粒
粉を準備する。なお、造粒粉は、本発明の効果を阻害し
ない範囲で、他の添加剤を適宜混合することができる。
【0121】次に、原料粉末調整工程において、前記母
材造粒粉と、前記母材に近似した物質と分散材(1種ま
たは2種以上)とを含む強化層原料粉末とを混合して、
原料粉末を調整する。なお、強化層原料粉末は、本発明
の効果を阻害しない範囲で、他の添加剤を適宜混合する
ことができる。また、原料粉末の調整は、母材造粒粉が
解砕されずさらに強化層原料粉末が母材造粒粉の周りを
まぶすように調整することが好ましい。このとき、母材
に近似した物質と分散材とを含む強化層原料粉末の粒径
は、母材造粒粉の平均粒径の1/4以下の平均粒径であ
る。これは、該粒径が平均粒径で母材造粒粉の平均粒径
の1/4を超える場合には、連続な強化層を形成しにく
くなるという問題がある。
【0122】次に、成形工程において、前記原料粉末を
所定形状に成形して成形体とする。これにより、成形体
は、母材の主材料となる造粒粉の間隙や隣合う造粒粉の
表面などに、母材に近似した物質と分散材とを含む強化
層原料粉末が存在しており、成形体全体において分散材
が不連続に分散した状態に存在させることができる。
【0123】次に、複合材料形成工程において、前記成
形工程で得られた成形体を加熱すると、造粒粉中の原料
粉末どうしや強化層原料粉末(母材に近似した物質と分
散材とを含む)どうし、及び/又は造粒粉と強化層原料
粉末が焼結または/および溶融することにより、焼結体
全体が緻密化する。これより、母材と、該母材中に三次
元網目状で連続的に分散させた前記母材に近似した物質
からなる強化層と、該強化層中に不連続に分散させた分
散材とからなる複合材料が形成される。このとき、強化
層原料粉末に含まれる母材に近似した物質が拡散または
液相焼結が進行することにより、母材に近似した物質粒
子間の隙間を埋めることによって、強化層の緻密化が進
むとともに、強化層と母材粒子の界面においても緻密化
が進む。これより、本発明では、成形体全体の焼結性が
向上し、高緻密性の焼結体が得られるものと考えられ
る。
【0124】また、複合材料形成工程において、複合材
の強化を目的とした分散材を用いた場合は、強度低下の
主因となるポア等を形成させることなく、分散材が、母
材中で、粒子、ウィスカ、ファイバー、プレート等の分
散材によって粒子強化された不連続三次元網目構造の骨
格構造を形成する。該骨格構造は、高応力を受け持つと
同時に、分散材それ自身によって隣接した網目間におけ
る転移の移動や亀裂進展を阻止することができる。これ
によって、強度や靱性を向上させることができる。ま
た、高耐熱性の分散材を用いた場合には、耐熱性の高い
骨格構造を形成できる、この骨格部により母材の軟化変
形を抑制することができる。さらに、結晶粒界の軟化に
よる粒界すべりや転移の移動を、分散材自身によっても
阻止することができるので、即時破断強度や耐クリープ
性を向上させることができる。特に、分散材が不連続に
分散するため、分散材中または分散材と母材との界面に
沿って亀裂が進展しても、連続相のような亀裂が進展し
易いパスがなく、伝播しにくい。また、分散材として機
能性を付与する分散材を用いた場合は、連続網目状に比
べて高緻密化することができ、破壊源となるポアが形成
されにくく、強度低下させることなく機能性を付与させ
ることができる。さらに、母材自身の機能的特性も発現
されやすい。
【0125】以上のように、本発明の複合材料の製造方
法により、母材の機械的な特性を低下させることなく分
散材の特性を十分に発揮させることができる複合材料
を、容易に製造することができるものと考えられる。
【0126】(((母材造粒粉準備工程)))本発明の母材造
粒粉準備工程は、前記((第1の複合材料の製造方法))で
述べた母材造粒粉準備工程と同様である。
【0127】(((原料粉末調整工程)))次に、原料粉末調
整工程において、前記母材造粒粉と、該母材造粒粉の平
均粒径の1/4以下の平均粒径を有し,前記母材に近似
した物質と分散材とを含む強化層原料粉末を混合して原
料粉末を調整する。ここで、母材に近似した物質および
分散材は、前記複合材料や((第1の複合材料の製造方
法))で述べたものを総て適用できる。
【0128】原料粉末の調整方法としては、具体的に
は、前記母材造粒粉と母材に近似した物質と分散材を
容器に入れて数分以上回転させる方法、ミキサーまた
は旋回気流中にて粉末を混合処理する方法、アルコー
ル、キシレン、トルエン等の有機溶剤や水または水ガラ
ス等のpH値を母材と母材に近似した物質および分散材
とが(+)(−)逆電位になるように調整した溶媒中
に、上記三種類の粉末を入れて沈殿処理(表面付着)す
る方法、母材に近似した物質の表面を所望の分散質に
なるような雰囲気中で高温処理して、母材に近似した物
質表面を部分的に改質する方法、などの方法を採用する
ことができる。
【0129】(((成形工程)))本発明の成形工程は、前記
((第1の複合材料の製造方法))で述べた成形工程と同様
である。
【0130】(((複合材料形成工程)))本発明の複合材料
形成工程は、前記((第1の複合材料の製造方法))で述べ
た複合材料形成工程と同様である。
【0131】本発明の複合材料の好適な製造方法は、母
材の主材としての主原料粉末と,母材の強化または機能
付加をする添加剤と、必要に応じて添加する焼結助剤な
どを混合して得た所定形状の造粒粉の表面に、前記主原
料粉末に近似した物質粉末と分散材とからなる所定形状
の混合粉を連続的に、または不連続に存在させた状態と
なるように原料粉末を調整し、次いで、該原料粉末を所
定形状に成形し,加熱する方法である。これより、母材
と該母材中に三次元網目状で連続的に分散させた強化層
と,該強化層中に不連続に分散させた分散材とからな
り,かつ強化層で画定される三次元的に形成された網目
の母材内部に添加剤を均一に分散させてなる複合材料を
形成する方法である。このようにすることにより、強化
層が母材中で三次元網目状で連続的に分散し、かつ分散
材が網目状で不連続に分散するとともに、網目の内側に
も添加剤が均一に分散した複合材料が得られる。
【0132】本発明の複合材料の他の好適な製造方法
は、図14に示すように、先ず、母材の主材としての主
原料粉末と、焼結助材と、母材の強化または機能を付与
する添加剤とを湿式または乾式混合した混合造粒粉Aを
準備する。次いで、予め得た、母材に近似した物質粉末
と必要に応じて添加する焼結助剤と分散剤とを湿式また
は乾式混合して前記混合造粒粉の粒径の1/4以下にし
た混合粉末Bを、前記混合造粒粉Aと乾式混合し、原料
混合粉を得る。次に、この原料混合粉を所定形状に成形
し、加熱して複合材料を得る方法である。これより、母
材と母材中に三次元網目状で連続的に分散させた強化層
と、該強化層中に不連続に分散させた分散材とからな
り、かつ強化層で画定される三次元的に形成された網目
の母材内部に添加剤を均一に分散させてなる複合材料を
形成することができる。
【0133】本発明の複合材料は、分散材の機能が十分
に発揮されるため、構造用材料、機能性材料等に利用す
ることができる。
【0134】例えば、セラミックス複合材料では、発熱
材、ガスセンサ、バリスタ、コンデンサ、湿度センサ、
固体電解質、サーミスタ、熱電素子、圧電材料、焦電
材、高熱伝導材、断熱材、高抵抗材、記憶素子材料、磁
性材(透磁材)、高低誘電材、放電加工材料、低膨張
材、高膨張材、高耐熱材、高強度材、高靱性材、耐摩耗
材、耐食性、耐酸化材、光学材料、制振材などに適用す
ることができる。
【0135】また、樹脂では、磁性材料、耐熱材、高熱
伝導率材、断熱材、導電性樹脂やゴム、透明伝導性材、
光導電性樹脂、圧電樹脂材料、非線形光学材料などに適
用することができる。
【0136】また、金属では、電磁気材料、耐食材料、
耐酸化性材料、クラッド材、耐摩耗材、透磁材料、断磁
材料、低・高熱伝導材料、高弾性率材料、高剛性材料、
高切削材料、制振材料、高張力材料などに適用すること
ができる。
【0137】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0138】第1実施例 先ず、92重量%のSi34 粉末(平均1次粒子径:
0.1μm)と、5重量%のY23 粉末(平均1次粒
子径:0.5μm)と、3重量%のAl23 粉末(平均
1次粒子径:0.1μm)をボールミルで湿式混合、乾燥
し、粒径数μm〜500μmに整粒した母材造粒粉を得
た。
【0139】次いで、46重量%のSi34 粉末(平
均1次粒子径:0.1μm)と、8重量%のY23 粉末
(平均1次粒子径:0.5μm)と、46重量%のSiC
粉末(平均1次粒子径:0.4μm)をボールミルで湿
式混合し、平均粒径70μm以下に整粒した複合粉を得
た。
【0140】次に、前記工程により得られた母材造粒粉
および複合粉を用い、全粉末に対するSiC添加量が1
0重量%となるように、前記母材造粒粉の周囲全体に前
記複合粉をまぶし、原料粉末を調整した。
【0141】得られた原料粉末を、金型に入れてプレス
成形し(圧力:20MPa)、さらにCIP処理(3t
/cm2 )した後、1850℃×4時間(窒素中)の条
件で常圧焼結して、本実施例にかかる複合材料を得た
(試料番号:1)。
【0142】得られた複合材料の断面をECRプラズマ
エッチングし、その表面を金属顕微鏡観察した。その結
果、本実施例の複合材料は、複数のSi34 (マトリ
ックス)結晶粒の周りを、微細なSi34 結晶粒とS
iC粒子によって構成される混合相が連続して取り囲む
ような三次元網目状組織の強化層が観察された。また、
分散材としてのSiC粒子は、複合材料にあって母材中
に三次元網目状で不連続に分散していることが確認され
た。
【0143】比較例1 比較のため、分散材をマトリックス中に均一に分散させ
た比較用複合材料を作製した。すなわち、82重量%の
Si34 粉末(平均1次粒子径:0.1μm)と5重
量%のY23 粉末(平均1次粒子径:0.5μm)およ
び3重量%のAl23 粉末と10重量%のSiC粉末
(平均1次粒子径:0.4μm)をボールミルで湿式混
合し、粒径が数μm〜500μmとなるように整粒した
混合粉末を作製し、この粉末をプレス成形(圧力:20
MPa)し、CIP処理(3t/cm2 )した後、18
50℃×4時間(窒素中)の条件で常圧焼結し、本比較
例1にかかる比較用複合材料を得た(試料番号:C
1)。
【0144】この比較用複合材料の断面を前記第1実施
例と同様にECRプラズマエッチングしてSEMにより
観察したところ、マトリックスのSi34 結晶粒の中
にSiC粒子が均一に分散しているのが観察された。
【0145】比較例2 比較のため、SiC粒子をマトリックス中にネットワー
ク状に形成させた比較用複合材料を作製した。すなわ
ち、92重量%のSi34 粉末(平均1次粒子径:
0.1μm)と5重量%のY23 粉末(平均1次粒子
径:0.5μm)と3重量%のAl23 粉末(平均1
次粒子径:0.1μm)をボールミルで湿式混合し、粒
径500μm以下に整粒した混合粉末を得た。次に、該
混合粉末の周囲全体に、SiC粉末(平均1次粒子径:
0.4μm)のみを塗した混合粉末を作製し、この粉末
をプレス成形(圧力:20MPa)し、CIP処理(3
t/cm2 )した後、1850℃×4時間(窒素中)の
条件で常圧焼結し、本比較例2にかかる比較用複合材料
を得た(試料番号:C2)。
【0146】この比較用複合材料の断面を前記第1実施
例と同様にECRプラズマエッチングしてSEMにより
観察したところ、マトリックスの複数のSi34 結晶
粒の周りを、SiC粒子が連続して取り囲むように形成
された三次元網目状連続組織およびSiC粒子近傍に多
数の気孔が観察された。
【0147】性能評価試験 以上、第1実施例により得られた複合材料、および比較
例1〜比較例2で得られた比較用複合材料について、機
械的特性の評価を、焼結密度(g/cm3 )測定、室温
強度(JIS R1601強度試験法に準ずる)測定、
クリープ歪速度測定(JIS R1612 曲げクリープ試験方
法)の各試験により行った。その結果を、表1に示す。
なお、それぞれの複合材料から3×4×40mmの試験
片を切り出し、室温強度と1200℃×150MPa×
20hr後のクリープ特性を評価した。
【0148】
【表1】
【0149】表1より明らかなように、本第1実施例の
複合材料は、1200℃×150MPaでの20時間後
のクリープ歪速度が、比較例1および比較例2に比べて
それぞれ約65%および約40%小さく、かつモノリシ
ック材に比べて約72%低下していることが分かる。こ
れに対し、比較例1の比較用複合材料は、20時間後の
クリープ歪速度が0.016で、モノリシック材に比べて
約20%低下したのみであった。また、比較例2の比較
用複合材料は、20時間後のクリープ歪速度が0.009
2で、モノリシック材に比べて約54%低下した。何れ
も、比較例1および比較例2のモノリシック材のクリー
プ歪速度に対する低下率は、いずれも前記第1実施例の
それよりも低いことが分かる。
【0150】第2実施例 先ず、粒径500μm以下になるように造粒したアトマ
イズドSUS304粉末(母材造粒粉:一次粒子径約4
μm)を用意した。
【0151】次いで、SUS304粉末(一次粒子径:
約4μm)とZrO2 粉末(一次粒子径:約0.1μ
m)を7:3の体積比で均一に混合した複合粉を用意し
た。
【0152】次に、前記工程により得られた母材造粒粉
および複合粉を用い、全粉末に対するZrO2 添加量が
10体積%となるように、前記母材造粒粉の周りに前記
複合粉をまぶし、原料粉末を調整した。
【0153】得られた原料粉末を、金型に入れてプレス
成形し(圧力:5t/cm2 )、1300℃×4時間
(真空中)の条件で焼結して、本実施例にかかる複合材
料を得た(試料番号:2)。
【0154】得られた複合材料の断面を、金属顕微鏡に
より観察した。その結果を、複合材料の断面における粒
子構造を示すSEM写真図(倍率:100倍)として図
1に示す。同図に示すように、本実施例の複合材料は、
粒径500μm以下の母材結晶粒の周りを、母材とZr
2 とからなる混合相が連続して取り囲むような三次元
網目状組織の強化層が観察された。また、分散材として
のZrO2 は、複合材料にあって母材中に三次元網目状
で不連続に分散していることが確認された。
【0155】比較例3 比較のため、強化粒子を母材中に均一分散させた比較用
複合材料を作製した。すなわち、平均粒径3μm程度の
アトマイズSUS304粉末とZrO2 粉末を均一に混
合し、プレス成形(圧力:4t/cm2 )した後、13
00℃×4時間(真空中)の条件で焼結して、本比較例
3にかかる比較用複合材料を得た(試料番号:C3)。
【0156】この比較用複合材料の断面を前記第2実施
例と同様に金属顕微鏡により観察したところ、母材マト
リックス中にZrO2 粒子が比較的均一に分散している
のが観察された。
【0157】比較例4 比較のため、強化層をマトリックス中にネットワーク状
に形成させた比較用複合材料を作製した。すなわち、粒
径500μm以下になるように造粒したアトマイズドS
US304粉末(母粒子:一次粒子径約4μm)の周り
に、ZrO2 粉末(一次粒子径:約0.1μm)のみを
10体積%塗した複合粉末を作製した。次に、この複合
粉末を、1300℃×4時間(真空中)の条件で焼結
し、本比較例4にかかる比較用複合材料を得た(試料番
号:C4)。
【0158】この比較用複合材料の断面を前記第2実施
例と同様に金属顕微鏡により観察したところ、粒径50
0μm以下のマトリックス結晶粒の周りを、ZrO2
連続して取り囲むように形成された三次元網目状連続組
織が観察された。
【0159】性能評価試験 以上、第2実施例により得られた複合材料、および比較
例3〜比較例4で得られた比較用複合材料の性能評価試
験を、耐酸化性試験および断熱特性試験により行った。
すなわち、得られた試料(φ20×3mm)を♯500
〜1500の研摩紙で表面仕上げをした後、耐酸化性お
よび熱伝導(断熱)特性を評価した。耐酸化性試験は、
1200℃×100時間の条件で行った。熱伝導率は、
試料の複合材料裏面を室温から温度200℃に加熱した
ときに表面温度が所定の温度(150℃)に達するのに
要した時間で評価した。その結果を、表2に示す。
【0160】
【表2】
【0161】表2より明らかなように、本第2実施例の
複合材料は、RT(室温)→150℃到達時間が約9秒
であり、モノリシック材に比べて約40〜50%遅くな
り、SUS304中に低熱伝導率のZrO2 をネットワ
ーク状に分散させることにより、大きな断熱効果を発現
していることが分かる。これに対し、比較例3の比較用
複合材料は、RT→150℃到達時間が約6.9秒であ
り、モノリシック材に比べて約13%〜18%遅く、断
熱性が第2実施例の1/3程度である。また、比較例4
の比較用複合材料は、RT→150℃到達時間は7.2
秒であり、モノリシック材に比べて約20〜28%遅い
程度で、断熱性が本第2実施例の1/2程度である。ま
た、本第2実施例の酸化増量は、0.3 mg/cm2 であ
り、モノリシック材に比べて約1/4に低減し、三次元
網目状に分散させることにより、耐酸化性が大幅に向上
していることが分かる。これに対して、比較例3の比較
用材料は、酸化増量がモノリシック材と同程度であり、
本第2実施例の約4倍であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例において得られた複合材料
の断面における粒子構造を示す光学顕微鏡写真図(倍
率:100倍)である。
【図2】本発明の複合材料の強化層の存在形態の具体的
一例を概念的に示した説明図である。
【図3】本発明の複合材料の強化層の存在形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図4】本発明の複合材料の強化層の存在形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図5】本発明の複合材料の分散材の分散形態の具体的
一例を概念的に示した説明図である。
【図6】本発明の複合材料の分散材の分散形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図7】本発明の複合材料の分散材の分散形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図8】本発明の複合材料の分散材の分散形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図9】本発明の複合材料の分散材の分散形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図10】本発明の複合材料の分散材の分散形態の他の具
体的一例を概念的に示した説明図である。
【図11】本発明の複合材料の分散材の具体的一例の分散
形態を示す図で、「三次元網目状で不連続に分散」の形
態を概念的に示した説明図である。
【図12】本発明の複合材料を構成する網目の具体的一例
を概念的に説明した説明図である。
【図13】本発明の複合材料の製造方法の具体的一例を説
明する説明図である。
【図14】本発明の複合材料の製造方法の他の具体的一例
を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 ・・・母材 11・・・セル状ユニット 12・・・母材結晶粒 20 ・・・強化層 30 ・・・分散材 31・・・第1分散材 32・・・第2分散材 40 ・・・添加剤

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材と、該母材中に三次元網目状で連続
    的に分散させた,前記母材に近似した物質からなる強化
    層と、該強化層中に不連続に分散させた分散材とからな
    る複合材料であって、 前記強化層が前記母材どうしを強く結合させるとともに
    分散材を強く保持してなり、 前記分散材が、前記複合材料中に三次元網目状で不連続
    に分散してなることを特徴とする複合材料。
  2. 【請求項2】 結晶質物質からなるセラミックス母材
    と、 該母材中に三次元網目状で連続的に分散させた,前記母
    材に近似した結晶質の物質からなり、前記母材と強固に
    結合することにより前記母材どうしを強く結合させてな
    る強化層と、 該強化層中に不連続に分散させた分散材とからなる複合
    材料であって、 前記分散材が前記強化材によって強く保持されるととも
    に、前記分散材が前記複合材料中に三次元網目状で不連
    続に分散してなることを特徴とする複合材料。
  3. 【請求項3】 強化層が、母材と同質の物質からなり、
    粒径が母材より細かいかまたは/およびアスペクト比が
    大きい結晶粒であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の複合材料。
  4. 【請求項4】 強化層が、結晶性母材の非晶質な材料か
    らなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    複合材料。
  5. 【請求項5】 強化層が、融点が母材と同程度の温度以
    下であって、母材または/および分散材と濡れ性が良い
    材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の複合材料。
  6. 【請求項6】 強化層が、母材より高密度化した相から
    なることを特徴とする請求項1または請求項2記載の複
    合材料。
  7. 【請求項7】 強化層が、母材と同質の非晶質材料また
    は単結晶材料からなることを特徴とする請求項1または
    請求項2記載の複合材料。
  8. 【請求項8】 強化層が、母材より弾性率が小さい材料
    からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の複合材料。
  9. 【請求項9】 強化層が、母材および分散材より熱膨張
    率が小さい材料からなることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の複合材料。
  10. 【請求項10】 強化層が、分散材と同種の元素からなる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合材
    料。
  11. 【請求項11】 強化層が、母材とその焼結助剤の混合相
    からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の複合材料。
  12. 【請求項12】 強化層が、母材および/または分散材の
    焼結助剤からなることを特徴とする請求項1または請求
    項2記載の複合材料。
  13. 【請求項13】 強化層が、可塑剤からなることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の複合材料。
  14. 【請求項14】 前記母材と前記強化層が、ともに連続三
    次元網目状に形成されてなることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の複合材料。
  15. 【請求項15】 前記強化層が、二次元網目状に分散した
    強化層ユニットを積層してなることを特徴とする請求項
    1または請求項2記載の複合材料。
  16. 【請求項16】 前記強化層と前記分散材によって形成さ
    れる部分の網目の一つの大きさが、1μm〜1000μ
    mであることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の複合材料。
  17. 【請求項17】 前記分散材が、前記強化層中に不連続で
    網目状に分散してなることを特徴とする請求項1または
    請求項2記載の複合材料。
  18. 【請求項18】 前記分散材は、部分的に連続した層状の
    分散材であって、前記母材を構成する複数個の母材結晶
    粒の周囲に、周方向に、分散してなることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の複合材料。
  19. 【請求項19】 前記分散材は、部分的に連続した層状の
    特性の異なる二種以上の分散材であって、前記母材を構
    成する複数個の母材結晶粒の周囲に、周方向に、分散し
    てなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    複合材料。
  20. 【請求項20】 前記母材は、内部に該母材の強化または
    機能付加のための添加粒子を分散させてなることを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の複合材料。
  21. 【請求項21】 前記分散材の大きさが、0.01〜100
    μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の複合材料。
  22. 【請求項22】 前記分散材の強化層中での含有量が、1
    〜30体積%であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の複合材料。
  23. 【請求項23】 前記分散材の大きさが、一つの網目の大
    きさの1/4以下であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の複合材料。
  24. 【請求項24】 前記強化層の複合材料における含有量
    が、5〜60体積%であることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載の複合材料。
  25. 【請求項25】 複合材料の母材となる造粒粉を準備する
    母材造粒粉準備工程と、 前記母材に近似した物質と分散材とを含む粉末を混合し
    て,強化層原料となる複合粉を準備する複合粉準備工程
    と、 前記母材造粒粉の周りに前記複合粉をまぶした状態とな
    るように原料粉末を調整する原料粉末調整工程と、 該原料粉末を所定形状に成形して成形体とする成形工程
    と、 該成形体を加熱して,母材と,該母材中に三次元網目状
    で連続的に分散させた前記母材に近似した物質からなる
    強化層と,該強化層中に不連続に分散させた分散材とか
    らなる複合材料を形成する複合材料形成工程と、からな
    ることを特徴とする複合材料の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記母材造粒粉準備工程および前記複合
    粉準備工程において準備する母材造粒粉の粒径(dm)
    および分散材の粒径(dp)の大きさが、dp/dmを
    0.5〜6×10-6としてなることを特徴とする請求項23
    記載の複合材料の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記複合粉準備工程において準備する母
    材に近似した物質の粒径が、0.01〜100μmである
    ことを特徴とする請求項23記載の複合材料の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記複合粉準備工程において準備する分
    散材の粒径が、母材粉の1/2以下でかつ0.005〜1
    00μmであることを特徴とする請求項23記載の複合材
    料の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記複合粉準備工程において準備する複
    合粉の大きさが、母材造粒粉の1/3以下でかつ粒径が
    500μm以下であることを特徴とする請求項23記載の
    複合材料の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記複合粉準備工程において準備する複
    合粉の大きさが、母材造粒粉の1/5以下でかつ粒径が
    80μm以下であることを特徴とする請求項23記載の複
    合材料の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記原料粉末調整工程において、母材造
    粒粉の1/6以下でかつ粗大粒のない複合粉を、母材造
    粒粉の表面を連続的に最密充填するように被覆し、該被
    覆層の厚さを母粒子の径の1/3以下としてなることを
    特徴とする請求項23記載の複合材料の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記複合粉準備工程において準備する分
    散材の粒径が、母材に近似した物質の粒径の1/4以下
    であることを特徴とする請求項23記載の複合材料の製造
    方法。
  33. 【請求項33】 複合材料の母材となる造粒粉を準備する
    母材造粒粉準備工程と、 前記母材造粒粉と、該母材造粒粉の平均粒径の1/4以
    下の平均粒径を有し,前記母材に近似した物質と分散材
    とを含む強化層原料粉末を混合して原料粉末を調整する
    原料粉末調整工程と、 該原料粉末を所定形状に成形して成形体とする成形工程
    と、 該成形体を加熱して,母材と,該母材中に三次元網目状
    で連続的に分散させた前記母材に近似した物質からなる
    強化層と,該強化層中に不連続に分散させた分散材とか
    らなる複合材料を形成する複合材料形成工程と、からな
    ることを特徴とする複合材料の製造方法。
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