JPH08103710A - 基板への塗布液塗布装置 - Google Patents

基板への塗布液塗布装置

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JPH08103710A
JPH08103710A JP6270337A JP27033794A JPH08103710A JP H08103710 A JPH08103710 A JP H08103710A JP 6270337 A JP6270337 A JP 6270337A JP 27033794 A JP27033794 A JP 27033794A JP H08103710 A JPH08103710 A JP H08103710A
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JP
Japan
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coating liquid
substrate
coated
coating
gap
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JP6270337A
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English (en)
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Takayuki Baba
隆幸 馬場
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Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗布液の有効利用を図り、設置スペースを小
さくし、塗布品質の向上を図れる塗布装置を提供する。 【構成】 基板10を保持するステージ12と、基板の被塗
布面に塗布液を供給する塗布液槽14と、塗布液槽を基板
に沿って下方へ直線移動させる手段と、塗布液槽内の圧
力を調整する手段とから構成する。塗布液槽は、両端が
閉塞され基板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部
16に、それを貫通した塗布液流出路18を形成する。前端
面20は、被塗布面に非接触でかつ近接するように配設さ
れ、その下端が、塗布液流出路の出口より下方に位置
し、上端が、被塗布面と前端面との間の隙間22を上方へ
無限に延長させたと仮定した場合に隙間内の塗布液が毛
細管作用等によって隙間内を上昇するときの到達高さ位
置と塗布液流出路の出口との間に位置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶表示デバイス
(LCD)、半導体デバイス、各種電子部品等の製造プ
ロセスにおいて、LCD用ガラス基板、半導体基板、プ
リント基板等の基板の表面にフォトレジスト膜、絶縁
膜、導電膜等を形成するために基板表面へ塗布液を塗布
する塗布液塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】基板に塗布液を塗布する方式としては、
回転塗布方式、ブレード塗布方式、スプレイ塗布方式、
ロールコート方式などがある。これらの塗布方式のう
ち、現在、LCDや半導体デバイスの製造プロセスで
は、回転塗布方式が広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転塗
布方式には、被塗布基板の大型化や角型基板の利用増加
などといった近年の傾向とも相俟って、次のような問題
が存在する。すなわち、回転塗布方式は、使用される塗
布液の有効利用という点で本質的に無駄があり、塗布液
の利用効率が悪い(5%程度)。また、例えばLCDで
はガラス基板の大サイズ化が図られているが、回転塗布
方式では、塗布工程において被塗布基板を水平姿勢で回
転させるため、基板の大型化に伴って装置が大型化し設
置スペースが増大せざるを得ない。さらに、被塗布基板
が角型基板である場合は、円型基板に比し、基板の回転
時において基板表面に気流の乱れが発生し易く、しか
も、基板が大型化すると、その回転時における基板の内
・外での線速度差が増大することにより、塗布液の状態
変化が小型基板に比べて顕著になる。このため、塗布膜
の膜厚均一性等の塗布品質を確保することが難しくな
り、塗布品質が低下する、といった問題点がある。
【0004】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、基板、例えばLCD用ガラス基板に
塗布液を塗布する際に、塗布液の有効利用を図って塗布
液使用量を少なくし、また、装置の小型化を図り設置ス
ペースを小さくし、さらに、塗布膜の膜厚均一性等の塗
布品質の低下を来さず塗布品質を向上させることができ
るような基板への塗布液塗布装置を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載されてい
る発明では、基板への塗布液塗布装置を、被塗布基板を
鉛直姿勢又は傾斜した姿勢に保持する基板保持手段と、
この基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面に
塗布液を供給する塗布液槽と、この塗布液槽と前記基板
保持手段に保持された被塗布基板とを相対的に直線的に
移動させる直動手段と、前記塗布液槽内の圧力を調整す
る圧力調整手段とから構成した。前記塗布液槽は、両端
が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基板の
幅方向に延在する筒状をなし、その前面壁部に、それを
貫通しかつその前端側へ上向きに傾斜するように、多数
の細管、多数の微小孔又はスリット状細溝ノズルからな
る塗布液流出路が幅方向にわたって形成されている。前
記前面壁部の前端面は、基板保持手段に保持された被塗
布基板の被塗布面に非接触でかつ近接するように水平方
向に配設され、その下端及び上端がそれぞれ次のように
形成される。すなわち、前面壁部の前端面の下端は、前
記塗布液流出路の前端面側出口とその反対側の入口との
間の高さに位置するように形成され、前端面の上端は、
基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と前面
壁部の前端面との間の隙間を上方へ無限に延長させたと
仮定した場合に前記塗布液流出路を通って流出し前記隙
間内に流入した塗布液が少なくとも毛細管作用によって
隙間内を上昇するときの到達高さ位置と塗布液流出路の
前端面側出口との間に位置するように形成される。そし
て、この塗布液槽は、前面壁部の前端面と被塗布基板の
被塗布面との間に隙間を保ったまま被塗布基板に対しそ
の縦方向に相対的に移動自在に保持される。また、前記
圧力調整手段は、前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路
の前端面側出口と前記前面壁部の前端面の下端との間の
高さに塗布液面が位置するように塗布液を注入したとき
に、前記基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布
面と塗布液槽の前端面との間の隙間に、塗布液流出路を
通って流出し前面壁部の前端面の下端及び上端で流動が
それぞれ規制された塗布液の液溜りが形成されるととも
に、その隙間における液溜りの塗布液が被塗布基板の被
塗布面に塗布されて消費される量に応じ、塗布液槽内の
塗布液が塗布液流出路を通って供給されるように、塗布
液槽内の圧力を調整する。
【0006】請求項2に記載の発明では、塗布液槽の前
面壁部の前端面の上端が、基板保持手段に保持された被
塗布基板の被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間を
上方へ無限に延長させたと仮定した場合に塗布液流出路
を通って流出し前記隙間内に流入した塗布液が少なくと
も毛細管作用によって隙間内を上昇するときの到達高さ
位置より上方に位置するように形成されている。そし
て、圧力調整手段は、塗布液槽内に、塗布液流出路の前
端面側出口と前面壁部の前端面の下端との間の高さに塗
布液面が位置するように塗布液を注入したときに、基板
保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽
の前端面との間の隙間に、塗布液流出路を通って流出し
前面壁部の前端面の下端で流動が規制された塗布液の液
溜りが形成され、かつ、その液溜りの上方に塗布液が無
い空間が形成されるとともに、その隙間における液溜り
の塗布液が被塗布基板の被塗布面に塗布されて消費され
る量に応じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を通っ
て供給されるように、塗布液槽内の圧力を調整する。こ
れ以外の構成は、請求項1に記載の発明と同じである。
【0007】請求項3に記載の発明では、塗布液槽の前
面壁部の前端面の下端が、塗布液流出路の入口より下方
に位置するように形成されている。そして、塗布液槽内
に塗布液が、塗布液流出路の前端面側出口とその反対側
の入口との間の高さに塗布液面が位置するように注入さ
れる。これ以外の構成は、請求項1に記載の発明と同じ
である。
【0008】請求項4に記載の発明でも、塗布液槽の前
面壁部の前端面の下端が、塗布液流出路の入口より下方
に位置するように形成されている。そして、塗布液槽内
に塗布液が、塗布液流出路の前端面側出口とその反対側
の入口との間の高さに塗布液面が位置するように注入さ
れる。これ以外の構成は、請求項2に記載の発明と同じ
である。
【0009】請求項5に記載の発明では、塗布液槽の前
面壁部を貫通する塗布液流出路が、前面壁部の前端側へ
上向きもしくは下向きに傾斜するように又は水平方向に
形成され、前面壁部の前端面の下端が、塗布液流出路の
前端面側出口より下方に位置するように形成されてい
る。そして、塗布液槽内に塗布液が、塗布液流出路が前
面壁部の前端側へ上向きに傾斜するように又は水平方向
に形成されている場合は塗布液流出路の前端面側出口よ
り上方に塗布液面が位置するように、塗布液流出路が前
面壁部の前端側へ下向きに傾斜するように形成されてい
る場合は塗布液流出路の入口より上方に塗布液面が位置
するように、それぞれ注入される。これ以外の構成は、
請求項1に記載の発明と同じである。
【0010】請求項6に記載の発明でも、塗布液槽の前
面壁部を貫通する塗布液流出路が、前面壁部の前端側へ
上向きもしくは下向きに傾斜するように又は水平方向に
形成され、前面壁部の前端面の下端が、塗布液流出路の
前端面側出口より下方に位置するように形成されてい
る。そして、塗布液槽内に塗布液が、塗布液流出路が前
面壁部の前端側へ上向きに傾斜するように又は水平方向
に形成されている場合は塗布液流出路の前端面側出口よ
り上方に塗布液面が位置するように、塗布液流出路が前
面壁部の前端側へ下向きに傾斜するように形成されてい
る場合は塗布液流出路の入口より上方に塗布液面が位置
するように、それぞれ注入される。これ以外の構成は、
請求項2に記載の発明と同じである。
【0011】請求項7に記載の発明では、上記した請求
項2、請求項4又は請求項6に記載された各構成の塗布
液塗布装置において、基板保持手段に保持された被塗布
基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の
隙間が、塗布液流出路の前端面側出口より上側において
少なくとも部分的に相対的に広く形成されるようにし
た。
【0012】請求項8に記載の発明では、上記した請求
項7に記載された構成の塗布液塗布装置において、塗布
液槽の前面壁部の前端面を、前端面下部とこの前端面下
部より凹んだ前端面上部とからなる段付き面に形成し、
基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と前記
前端面上部との間の隙間が、被塗布面と前記前端面下部
との間の隙間より広く形成されるようにした。この構成
の塗布液塗布装置において、請求項9に記載の発明で
は、塗布液槽の前面壁部の前端面下部と前端面上部との
境界部に塗布液流出路の前端面側出口が位置するように
した。
【00013】請求項10に記載の発明では、上記した
それぞれの構成の塗布液塗布装置において、基板保持手
段に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面
壁部の前端面との間に形成される隙間へ塗布液流出路を
通し塗布液を流出させて前記隙間に塗布液の液溜りを形
成させる際に、塗布液槽内の圧力を上昇させて少なくと
も液溜りの一部を形成させるように圧力調整手段を構成
した。
【00014】請求項11に記載の発明では、塗布液槽
と被塗布基板とを相対的に移動させる前に、基板保持手
段に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面
壁部の前端面との間に形成される隙間に塗布液の液溜り
が形成されたことを確認するための手段を設けるように
した。具体的には、請求項12に記載の発明では、被塗
布基板がLCD用ガラス基板のように透明であるとし
て、基板保持手段を、被塗布基板を保持する保持板から
構成し、その保持板の、少なくとも塗布開始位置に対応
する部位に、被塗布基板の被塗布面の反対面側から塗布
液槽の前面壁部の前端面を観察することができるように
貫通穴を形成するようにした。また、請求項13に記載
の発明では、被塗布基板が透明であるとして、基板保持
手段を、被塗布基板を保持する保持板から構成し、被塗
布基板の、少なくとも塗布開始位置である上端部分を、
被塗布基板の被塗布面の反対面側から塗布液槽の前面壁
部の前端面を観察することができるように前記保持板の
上端より突出させた状態で被塗布基板が保持されるよう
にした。また、請求項14に記載の発明では、被塗布基
板が透明であるとして、基板保持手段を、被塗布基板を
保持する保持板から構成し、その保持板の、少なくとも
塗布開始位置に対応する部位を、被塗布基板の被塗布面
の反対面側から塗布液槽の前面壁部の前端面を観察する
ことができるように透明材料で形成するようにした。さ
らに、請求項15に記載の発明では、塗布液槽の前面壁
部の前端面側の少なくとも一部を透明部材で形成し、そ
の透明部材を通して少なくとも液溜りの上端部分が観察
されるようにした。
【0015】請求項16に記載の発明では、上記したそ
れぞれの構成の塗布液塗布装置において、基板保持手段
を、被塗布基板を保持する保持板から構成し、被塗布基
板の塗布終了位置側である下端部分を、塗布液の流下に
より前記保持板の表面及び/又は被塗布基板の被塗布面
の反対面側に塗布液が付着するのを防止することができ
るように保持板の下端より突出させた状態で被塗布基板
が保持されるようにした。この構成の塗布液塗布装置に
おいて、請求項17に記載の発明では、被塗布基板の、
保持板の下端より突出した下端部分の被塗布面の反対面
側の少なくとも一部を洗浄するための洗浄手段を設ける
ようにした。
【0016】請求項18に記載の発明では、上記したそ
れぞれの構成の塗布液塗布装置において、被塗布基板の
直下位置に、被塗布基板から流下した塗布液を回収する
ための回収容器を配設するようにした。
【0017】請求項19に記載の発明では、上記したそ
れぞれの構成の塗布液塗布装置において、基板保持手段
に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁
部の前端面との間に形成される隙間へ塗布液流出路を通
し塗布液を流出させて前記隙間に形成された塗布液の液
溜りを、塗布液槽と被塗布基板とを相対的に移動させて
行なう被塗布基板への塗布液の塗布終了時において、塗
布液槽内を減圧して前記塗布液流出路を通し塗布液槽内
へ回収するようにする減圧手段を設けるようにした。
【0018】請求項20に記載の発明では、上記したそ
れぞれの構成の塗布液塗布装置において、塗布液槽と被
塗布基板とを相対的に移動させて被塗布基板へ塗布液を
塗布している途上又は被塗布基板への塗布液の塗布が終
了した後において、被塗布基板の被塗布面に塗布された
塗布液膜に向けて気体を吹き出す気体吹出し手段を配設
するようにした。具体的には、請求項21に記載の発明
では、気体吹出し手段を、塗布液槽の、被塗布基板に対
する相対的移動方向における後方側に塗布液槽と一体的
に移動可能に配設し、被塗布基板の被塗布面に塗布され
た直後の塗布液膜に向けて気体を吹き出すように可動と
した。また、請求項22に記載の発明では、気体吹出し
手段を、被塗布基板の上方側、下方側及び側方側のうち
の少なくともいずれか一方向から、被塗布基板の被塗布
面に塗布された塗布液膜に向けて気体を吹き出すように
固定した。
【0019】
【作用】請求項1に記載された発明に係る基板への塗布
液塗布装置では、塗布液槽内に注入された塗布液が、前
面壁部に形成された塗布液流出路を通って槽外へ流出
し、基板保持手段によって鉛直姿勢又は傾斜した姿勢に
保持された被塗布基板の被塗布面と前面壁部の前端面と
の間の隙間内へ流入する。このとき、塗布液槽内には、
塗布液流出路の前端面側出口と前面壁部の前端面の下端
との間の高さに塗布液面が位置するように塗布液が注入
されており、そして、塗布液槽内の圧力が圧力調整手段
によって調整されている。これにより、前記隙間内に流
入した塗布液は、少なくとも毛細管作用によって隙間内
を前端面下端まで下降するが、それより下方位置では毛
細管作用等によっては下降せず、隙間内に流入した塗布
液の下方への流動が前端面下端で規制されることとな
り、隙間内の塗布液が前端面下端を越えて下方へ流下す
ることはない。一方、隙間内に流入した塗布液の上方へ
の流動は、前端面上端より上方位置では毛細管作用等に
よっては流動せず、前端面上端で規制されることとな
る。従って、被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁
部の前端面全体との間の隙間に、基板の幅方向に延びる
帯状の塗布液の液溜りが形成される。この状態におい
て、前面壁部の前端面と被塗布基板の被塗布面との間の
隙間を保ったまま、被塗布基板の縦方向、すなわち基板
の幅方向と直交する方向に塗布液槽と被塗布基板とを直
動手段によって相対的に直線的に移動、例えば被塗布基
板を静止させた状態で塗布液槽を下方向へ移動させる
と、被塗布基板の被塗布面に塗布液が塗布される。そし
て、この際、前記隙間に形成された液溜りの塗布液は、
被塗布面に塗布されていくことにより消費されるが、そ
の消費量に見合った量の塗布液が塗布液槽内から塗布液
流出路を通って前記隙間へ供給されるように、圧力調整
手段によって塗布液槽内の圧力が調整されているため、
被塗布面に塗布液を塗布している途上において前記隙間
の液溜りにおける塗布液の量は常時一定に保たれる。
【0020】以上のようにして基板への塗布液の塗布が
行なわれるが、この塗布装置を使用して被塗布面に塗布
された塗布液膜の膜厚は、被塗布基板の幅方向と直交す
る方向における塗布液槽と被塗布基板との相対移動速
度、前記隙間の寸法、塗布液の流動特性や物性値、被塗
布基板の被塗布面及び/又は塗布液槽の前面壁部の前端
面の濡れ性などによって決定されることになる。
【0021】請求項2に記載の発明に係る塗布液塗布装
置では、塗布液槽内から塗布液流出路を通って槽外へ流
出し被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端
面との間の隙間内へ流入した塗布液は、塗布液槽内の圧
力が圧力調整手段によって調整されておりその下方への
流動が前端面下端で規制され、一方、前記隙間内を少な
くとも毛細管作用によって上方へ流動するが、前面壁部
の前端面の上端は、その隙間を上方へ無限に延長させた
と仮定した場合に塗布液が少なくとも毛細管作用によっ
て隙間内を上昇するときの到達高さ位置より上方に位置
しているので、前記隙間に、被塗布基板の幅方向に延び
る帯状の塗布液の液溜りが形成され、その液溜りの上方
に塗布液が無い空間が形成される。被塗布基板の被塗布
面への塗布液の塗布は、請求項1に記載の発明に係る装
置と同様にして行なわれるが、この塗布装置を使用した
場合には、被塗布面に塗布された塗布液の被膜の膜厚
は、前記隙間に形成されている液溜りの上端と被塗布基
板との相対移動速度や前記隙間の寸法等によって決定さ
れることになる。
【0022】そして、請求項2に記載の発明に係る塗布
装置では、上記した通り、被塗布基板の被塗布面と塗布
液槽の前面壁部の前端面との間の隙間内において液溜り
の上方に塗布液の無い空間が形成される。従って、被塗
布基板の被塗布面に塗布液を塗布している途上におい
て、被塗布面のうねり等によって前記隙間の寸法が変化
し、前面壁部の前端面に対して隙間内の液溜りの上端位
置が相対的に上下に変化することがあっても、その変位
は液溜り上方の前記空間内で収まることになり、このた
め、液溜りの塗布液が前記隙間から前面壁部の前端面上
端を越えてはみ出すことがない。また、被塗布面への塗
布液の塗布を開始する時点においても、前記隙間から前
面壁部の前端面上端を越えて液溜りの塗布液がはみ出す
ことも防止される。
【0023】請求項3に記載の発明に係る塗布液塗布装
置では、塗布液槽内に、塗布液流出路の前端面側出口と
その反対側の入口との間の高さに塗布液面が位置するよ
うに塗布液が注入されており、その塗布液は、塗布液槽
内から塗布液流出路を通って槽外へ流出し、被塗布基板
の被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間内へ流入す
る。隙間内に流入した塗布液は、少なくとも毛細管作用
によって隙間内を、塗布液流出路の入口より下方に位置
する前端面下端まで下降するが、圧力調整手段によって
塗布液槽内の圧力が調整されることにより、前端面下端
より下方への流動は前端面下端で規制され、隙間内の塗
布液が前端面下端を越えて下方へ流下することはない。
これ以外は、請求項1に記載の発明に係る塗布装置と同
様であり、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布も、
請求項1に記載の発明に係る装置と同様にして行なわれ
る。
【0024】請求項4に記載の発明に係る塗布液塗布装
置でも、塗布液槽内には、塗布液流出路の前端面側出口
とその反対側の入口との間の高さに塗布液面が位置する
ように塗布液が注入され、その塗布液は、塗布液槽内か
ら塗布液流出路を通って槽外へ流出し、被塗布基板の被
塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間内へ流入する。
隙間内に流入した塗布液は、塗布液流出路の入口より下
方に位置する前端面下端まで隙間内を下降するが、圧力
調整手段によって塗布液槽内の圧力が調整されることに
より、前端面下端より下方への流動は前端面下端で規制
され、隙間内の塗布液が前端面下端を越えて下方へ流下
することはない。これ以外は、請求項2に記載の発明に
係る塗布装置と同様であり、被塗布基板の被塗布面への
塗布液の塗布も、請求項1、2に記載の発明に係る装置
と同様にして行なわれる。
【0025】請求項5に記載の発明に係る塗布液塗布装
置では、塗布液槽内に、塗布液流出路が前面壁部の前端
側へ上向きに傾斜するように又は水平方向に形成されて
いる場合は塗布液流出路の前端面側出口より上方に塗布
液面が位置するように、塗布液流出路が前面壁部の前端
側へ下向きに傾斜するように形成されている場合は塗布
液流出路の入口より上方に塗布液面が位置するように、
それぞれ塗布液が注入され、その塗布液は、塗布液槽内
から塗布液流出路を通って槽外へ流出し、被塗布基板の
被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間内へ流入す
る。隙間内に流入した塗布液は、塗布液流出路の前端面
側出口より下方に位置する前端面下端まで隙間内を下降
するが、圧力調整手段によって塗布液槽内の圧力が調整
されることにより、前端面下端より下方への流動は前端
面下端で規制され、隙間内の塗布液が前端面下端を越え
て下方へ流下することはない。これ以外は、請求項1に
記載の発明に係る塗布装置と同様であり、被塗布基板の
被塗布面への塗布液の塗布も、請求項1に記載の発明に
係る装置と同様にして行なわれる。
【0026】請求項6に記載の発明に係る塗布液塗布装
置でも、塗布液槽内には、塗布液流出路が前面壁部の前
端側へ上向きに傾斜するように又は水平方向に形成され
ている場合は塗布液流出路の前端面側出口より上方に塗
布液面が位置するように、塗布液流出路が前面壁部の前
端側へ下向きに傾斜するように形成されている場合は塗
布液流出路の入口より上方に塗布液面が位置するよう
に、それぞれ塗布液が注入され、その塗布液は、塗布液
槽内から塗布液流出路を通って槽外へ流出し、被塗布基
板の被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間内へ流入
する。隙間内に流入した塗布液は、塗布液流出路の前端
面側出口より下方に位置する前端面下端まで隙間内を下
降するが、圧力調整手段によって塗布液槽内の圧力が調
整されることにより、前端面下端より下方への流動は前
端面下端で規制され、隙間内の塗布液が前端面下端を越
えて下方へ流下することはない。これ以外は、請求項2
に記載の発明に係る塗布装置と同様であり、被塗布基板
の被塗布面への塗布液の塗布も、請求項1、2に記載の
発明に係る装置と同様にして行なわれる。
【0027】請求項7に記載の発明では、基板保持手段
に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁
部の前端面との間の隙間が、塗布液流出路の前端面側出
口より上側において少なくとも部分的に相対的に広く形
成されるようにしたので、塗布液流出路の前端面側出口
より上側を基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗
布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の隙間を均一
に形成する場合に比べて、塗布液流出路の前端面側出口
から隙間内の液溜りの上端までの距離を小さくすること
ができる。従って、被塗布面への塗布液の塗布終了位置
において、被塗布基板の下端から前記隙間内の液溜りの
上端までの距離を小さくすることができる。従って、塗
布非有効域が小さくなる。
【0028】また、請求項8に記載の発明に係る塗布装
置では、塗布液槽の前面壁部の前端面が、前端面下部と
この前端面下部より凹んだ前端面上部とからなる段付き
面に形成され、被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前面
壁部の前端面の上部との間の隙間が被塗布面と前端面下
部との間の隙間より広く形成されているので、被塗布面
と前端面上部との間の隙間を被塗布面と前端面下部との
間の隙間と同じにした場合(被塗布面と前端面との隙間
を一定にした場合)に比べて、塗布液流出路の前端面側
出口から隙間内の液溜りの上端までの距離を小さくする
ことができる。従って、極めて容易な加工で済む構成に
よって請求項7に記載の発明に係る塗布装置の作用を実
現できる。さらに、請求項9に記載の発明に係る塗布装
置によれば、塗布液流出路の前端面側出口から隙間内の
液溜り上端までの距離を最も小さくすることができ、従
って塗布非有効域が最も小さくなる。
【0029】請求項10に記載の発明に係る塗布装置で
は、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布を開始する
際に、塗布液槽内から塗布液流出路を通って被塗布面と
前面壁部の前端面との間へ塗布液が確実に供給される。
【0030】請求項11に記載の発明に係る塗布装置で
は、少なくとも被塗布面への塗布液の塗布開始位置にお
いて、被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の
隙間に、被塗布基板の幅方向にわたって帯状の液溜りが
形成されたことを確認した後に、被塗布基板と塗布液槽
とを相対的に移動させることが可能になる。そして、前
記隙間に帯状の液溜りが形成されたことの確認が、請求
項12に記載の塗布装置では、被塗布基板を保持する保
持板の貫通穴を通し、透明な被塗布基板の被塗布面の反
対面側から、請求項13に記載の塗布装置では、透明な
被塗布基板の、保持板の上端より突出した上端部分の被
塗布面の反対面側から、また、請求項14に記載の塗布
装置では、保持板の透明材料形成部を透過し、透明な被
塗布基板の被塗布面の反対面側から、それぞれ行なわれ
る。また、請求項15に記載の塗布装置では、被塗布基
板の被塗布面側から、塗布液槽の前面壁部の前端面側の
透明部材を通して、前記隙間に帯状の液溜りが形成され
たことを確認することができ、その後に被塗布基板と塗
布液槽とを相対的に移動させることが可能になる。
【0031】請求項16に記載の発明に係る塗布装置で
は、被塗布基板は、その塗布終了位置側である下端部分
が保持板の下端より突出した状態で保持される。
【0032】ここで、被塗布基板の幅方向と直交する方
向における被塗布基板と塗布液槽との相対的移動は、塗
布液槽の前面壁部の前端面の上端、もしくは前面壁部前
端面と被塗布基板の被塗布面との間の隙間に形成された
液溜りの上端が、少なくとも被塗布面の塗布必要領域か
ら外れるまで行なわれる。これにより、被塗布面の、塗
布が必要な範囲内或いはそれ以上の範囲内に塗布液の塗
布が行なわれる。そして、その後に、被塗布基板の取外
しを容易にするために例えば、前記隙間を広げる方向へ
塗布液槽と被塗布基板とを相対的に移動させてから、被
塗布基板を基板保持手段、例えば吸着保持板から取り外
して1回の塗布操作が終了することになる。この場合、
塗布液槽の前面壁部の前端面上端もしくは前記隙間内の
液溜りの上端が被塗布基板の下端から外れていない状態
において、前記隙間を広げる方向へ塗布液槽と被塗布基
板とを相対的に移動させると、隙間に形成されていた液
溜りの塗布液の少なくとも一部が被塗布面に残り、膜厚
の厚い塗布液膜が被塗布基板の下端部分の塗布不要領域
に形成されることとなる。そして、この塗布不要領域に
形成された塗布液膜が被塗布面上を流下する。また、塗
布液槽の前面壁部の前端面上端もしくは前記隙間内の液
溜りの上端が被塗布基板の下端から外れるまで、被塗布
基板の幅方向と直交する方向へ塗布液槽と被塗布基板と
を相対的に移動させるようにすれば、被塗布基板の下端
部分に膜厚の厚い塗布液膜が形成されるのを防止するこ
とができるが、この場合には、前面壁部の前端面が被塗
布基板の下端から次第に外れていく過程で、前面壁部前
端面と被塗布面との間の隙間が破壊されていくため、前
記隙間に形成されている液溜りの塗布液が、被塗布基板
の下端や前面壁部の前端面下端などから流下することと
なる。さらに、前面壁部の前端面もしくは前記隙間内の
液溜りの上端が被塗布面の塗布必要領域から外れている
かいないかに拘らず、前面壁部の前端面下端が被塗布基
板の下端より外れる際には、前面壁部前端面と被塗布面
との間の隙間が破壊されていくため、上記と同様に液溜
りの塗布液が流下することとなる。
【0033】しかしながら、請求項16に記載されてい
るように被塗布基板の下端部分が保持板の下端より突出
していると、被塗布基板の被塗布面から流下した塗布液
が保持板に付着することはないし、また、被塗布基板の
被塗布面の反対面側などへ塗布液が付着しにくい。ま
た、請求項17に記載の発明に係る塗布装置では、被塗
布基板の被塗布面の反対面側などに塗布液が付着するこ
とがあっても、洗浄手段によってその塗布液を洗浄して
除去することができる。
【0034】請求項18に記載の発明に係る塗布装置で
は、塗布途上において被塗布基板の被塗布面から流下し
た塗布液は回収容器に回収され、塗布液流下による装置
の汚れが防止される。
【0035】請求項19に記載の発明に係る塗布装置で
は、少なくとも、塗布液槽の前面壁部に形成された塗布
液流出路の前端面側出口から前端面の上端までの範囲の
前端面が被塗布基板の下端から外れていなくて、その範
囲で前面壁部前端面と被塗布基板の被塗布面との間に隙
間が形成されている状態において、減圧手段によって塗
布液槽内を減圧することにより、塗布液流出路を通して
隙間内の液溜りの塗布液が塗布液槽内に回収される。
【0036】請求項20に記載の発明に係る塗布装置で
は、塗布途上又は塗布終了後において、気体吹出し手段
から被塗布基板の被塗布面上の塗布液膜に向かって気体
が吹き出されることにより、塗布液膜から溶剤等の蒸発
が促進され、その塗布液膜の塗布液の粘度が上昇するこ
とになる。この結果、塗布液膜からの塗布液の垂れが有
効に抑制されることになり、また、塗布処理工程後の、
例えば乾燥処理工程において、被塗布基板の温度上昇時
等における塗布液膜の塗布液の流動による膜厚むらの発
生などが抑制される。この場合、請求項21に記載され
た塗布装置では、被塗布基板の被塗布面に塗布された直
後の塗布液膜に向かって気体が吹き付けられるので、塗
布液の塗布操作の途中における塗布液膜からの塗布液の
垂れが抑制される。また、請求項22に記載された塗布
装置では、被塗布面に塗布液膜が形成された後におい
て、塗布液膜からの塗布液の垂れが抑制される。
【0037】
【実施例】以下、各請求項に記載された発明の好適な実
施例について図面を参照しながら順次説明する。
【0038】図1ないし図4は、請求項1に記載の発明
の1実施例を示し、図1は、基板への塗布液塗布装置の
要部の構成を示す縦断面図であり、図2は、その正面
図、図3は、その部分の上面図であり、図4は、部分拡
大縦断面図である。
【0039】この塗布装置は、塗布液を塗布しようとす
る基板10を真空吸着等の手段によって固定し、基板10を
鉛直姿勢に保持する基板保持台(ステージ)12、並び
に、両端が閉塞され基板10の幅方向に延在する筒状をな
す塗布液槽14を備えている。塗布液槽14の前面壁部16に
は、それを貫通しかつその前端側へ上向きに傾斜するよ
うに塗布液流出路18が幅方向に形成されている。塗布液
流出路18は、多数の直線状の細管の集合、多数の微小孔
(少なくとも入口と出口とが連通してさえいれば両者の
個数は必ずしも一致する必要はなく、孔の途中形状は直
線状に限らない)の集合、或いは、1本又は複数本のス
リット状細溝ノズルから構成される。塗布液槽14は、そ
の前面壁部16の一部が前方へ突出して幅方向全体にわた
って前端面20が形成され、その前端面20とステージ12に
保持された基板10の被塗布面との間に寸法Gの隙間22が
形成されるように、前端面20が基板10の被塗布面に非接
触でかつ近接するように水平方向に配設されている。
尚、この塗布液槽14の前面壁部16の前端面20は、用途に
応じて必ずしも前面壁部16の幅方向全体にわたって配設
する必要はない。また、塗布液槽14は、その前端面20と
ステージ12に保持された基板10の被塗布面との間に寸法
Gの隙間22を保ったままで、矢印aに示すように縦方
向、すなわち基板10の幅方向と直交する下方向へ直線的
に移動させることができるように、図示しない直動駆動
機構に支持されている。また、基板10をステージ12に容
易に保持させまたステージ12から容易に取り外すことが
できるように、ステージ12又は塗布液槽14を隙間22が広
がる方向へ移動させる駆動機構を設けるようにしてもよ
い。また、その場合には、隙間22の寸法Gを測定するた
めの検出器を付設しておくとよい。
【0040】塗布液槽14の前面壁部16の前端面20は、そ
の下端が塗布液流出路18の前端面側出口24とその反対側
の入口26との間の高さに位置するように形成される。ま
た、上端は、寸法Gの隙間22を上方へ無限に延長させた
と仮定した場合に塗布液槽14内の塗布液28が塗布液流出
路18を通って隙間22内へ流入し少なくとも毛細管作用、
さらには後述のように、必要に応じて圧力設定系30によ
る圧力作用等によって仮定の隙間内を上昇するときの到
達高さ位置と塗布液流出路18の前端面側出口24との間に
位置するように形成される。
【0041】また、図1、図3及び図4には図示を省略
しているが、塗布液槽14には、図2に示すように、槽内
を加圧し、減圧し、及び、大気圧にし又は大気開放する
圧力設定系30、並びに、槽内へ塗布液を供給する塗布液
供給系32がそれぞれ設けられている。図2中の34、40は
切換えバルブ、36は、図示しない圧力調整部に連通接続
する管路、38は、大気に連通する管路である。また、塗
布液槽14には、槽内に注入された塗布液28の液面を検知
する検出器42が付設されている。
【0042】そして、塗布液槽14内へ塗布液供給系32か
ら塗布液28が供給され、その液面が塗布液流出路18の前
端面側出口24と前面壁部16の前端面20の下端との間の高
さに位置するように、すなわち図4中の範囲D1内に位
置するように、検出器42で塗布液面を検知しながら塗布
液槽14内に塗布液28が注入される。この際、塗布液供給
に伴う塗布液槽14内の圧力上昇により、先に塗布液槽14
内に供給された塗布液が塗布液流出路18を通って槽外へ
流出する、といった不都合を避けるため、圧力設定系30
の切換えバルブ34を操作して、例えば塗布液槽14内を大
気開放の状態としておくようにする。塗布液槽14内に所
定量の塗布液28が注入されると、塗布液28は、毛細管作
用等により塗布液流出路18の前端面側出口24の位置まで
上昇する。尚、このとき、塗布液槽14内に所定量の塗布
液28が注入されても、塗布液流出路18を通してその出口
24からの塗布液28の強制的流出が起こらないようにする
ため、塗布液槽14内の圧力を、例えば引き続いて大気開
放状態となるように圧力設定系30により設定しておく。
【0043】塗布液28が塗布液流出路18の前端面側出口
24の位置まで上昇したとき、基板10の被塗布面と塗布液
槽14の前面壁部16の前端面20との間に寸法Gの隙間22が
形成されていると、その隙間22内へ塗布液槽14内から塗
布液流出路18を通って塗布液28が流入し、毛細管作用等
により塗布液が隙間22の全体に行き渡る。そして、圧力
設定系30によって塗布液槽14内の圧力を適切に調整して
おくことにより、前面壁部16の前端面20の上端及び下端
で塗布液の流動がそれぞれ規制されて、基板10の幅方向
に帯状の液溜り44が形成される。この液溜り44は、塗布
液流出路18を通して常時塗布液槽14内の塗布液28に連絡
している。
【0044】尚、塗布開始位置において最初に寸法Gの
隙間22に帯状の液溜り44を形成する際の方法としては、
圧力設定系30により塗布液槽14内を加圧して、強制的に
液溜り44の一部を形成した後に、塗布液槽14内を、塗布
液が強制的に塗布液流出路18を通って槽外へ流出しない
程度の圧力にし、その状態で帯状の液溜り44を形成する
方法、最初から帯状の液溜り44が形成されるまでの間、
塗布液槽14内を加圧状態として、強制的に液溜り44を形
成する方法、或いは、最初から帯状の液溜り44が形成さ
れるまでの間、塗布液槽14内を大気開放状態として、液
溜り44を形成する方法などがある。これらのうち何れの
方法によってもよいが、何れの方法によった場合にも、
遅くとも帯状の液溜り44が形成された後では、塗布液槽
14内を、その前面壁部16の前端面20の下端等から塗布液
が流出しない程度で、かつ、後述する塗布途上において
寸法Gの隙間22に塗布液槽14から塗布液28が供給される
圧力にしておく。
【0045】ここで、塗布液槽14の前面壁部16の前端面
20と基板10の被塗布面との間の隙間22の寸法Gは、塗布
品質の如何に関ってくるが、塗布品質に影響する因子、
例えば塗布液槽14の移動速度、塗布液28の流動性や物性
値、基板10の被塗布面及び/又は前面壁部16の前端面20
の濡れ性などを考慮し、また、塗布液の利用効率、隙間
22における液溜り44の保持安定性なども考慮して、毛細
管作用が発現する範囲内において選定される。また、塗
布液流出路18の寸法は、塗布液槽14内の塗布液28を隙間
22へ毛細管作用等で流入させ、隙間22に毛細管作用等に
よって帯状の液溜り44を形成させるのに支障が無い範囲
で、かつ、塗布開始時を含めて良好な塗布液膜を形成さ
せることができる範囲内で設定される。
【0046】一方、塗布液槽14の前面壁部16の前端面20
を除く前壁面46は、それと基板10の被塗布面との間に形
成される隙間へ液溜り44の塗布液が毛細管作用等によっ
て流入しない形状に形成される。従って、隙間22の液溜
り44の下端は、前面壁部16の前端面20の下端で規制され
るとともに、液溜り44の上端は、前端面20の上端で規制
されることとなって、液溜り44は隙間22から流出するこ
とがない。
【0047】尚、図1に示した上記例では、ステージ12
によって基板10を鉛直姿勢に保持しているが、基板を前
方方向(図1上における左方向)又は後方方向(図1上
における右方向)へ適当角度だけ傾斜させた姿勢に保持
するようにしてもよい。また、上記した例では、基板10
を静止させた状態で塗布液槽14を下方向へ移動させるよ
うにしているが、基板と塗布液槽とは基板の縦方向に相
対的に移動させるようにすればよく、塗布液槽を静止さ
せた状態でステージに保持された基板を上方向へ移動さ
せるような構成としてもよい。
【0048】尚、上記した実施例では、被塗布基板10の
被塗布面がうねり等のない均一な平面と仮定し、この面
と塗布液槽14の前面壁部16の前端面20との間の隙間22
が、前端面20の上下方向に関して全体にわたって同一の
広さに形成された場合について記載されているが、これ
に限らず、少なくとも部分的に相対的に異なる広さに形
成してもよい。
【0049】以上のような構成の塗布装置を使用して基
板10の被塗布面に塗布液を塗布するには、まず、ステー
ジ12に真空吸着等によって基板10を固定する。そして、
所定量の塗布液28が注入された塗布液槽14を、基板10の
上端側塗布必要領域において基板10の被塗布面と塗布液
槽14の前面壁部16の前端面20との間に寸法Gの隙間22が
形成されるように、例えば基板10から離間した位置から
基板10に向かって水平方向へ移動させ基板10に接近させ
る。この場合、塗布液槽14内に所定量の塗布液28が前も
って注入されていても、圧力設定系30により塗布液槽14
内の圧力を、塗布液28が槽外へ流出しない圧力に設定、
例えば大気開放状態にしておけば、塗布液槽14内から塗
布液流出路18を通って塗布液28が流出することはない。
勿論、塗布液槽14の前面壁部16の前端面20と基板10の被
塗布面との間に寸法Gの隙間22が形成された後に、塗布
液槽14内へ所定量の塗布液28を注入するようにしてもよ
い。
【0050】次に、圧力設定系30により塗布液槽14内を
加圧し、塗布液槽14内から塗布液流出路18を通って隙間
22へ塗布液を流出させ、隙間22に液溜り44の一部を形成
させた後、塗布液槽14内を強制的に槽外へ塗布液が流出
しない程度の圧力にし、隙間22に帯状の液溜り44を形成
させる。或いは、隙間22が形成された後、塗布液槽14内
を帯状の液溜り44が形成されるまで加圧してもよいし、
また、隙間22の形成後、塗布液槽14内を大気開放状態に
して帯状の液溜り44を形成するようにしてもよいが、何
れにしても、隙間22に帯状の液溜り44が形成された以後
は、液溜り44の塗布液が隙間22から流出せず、かつ、後
述する塗布途上において隙間22に塗布液槽14から塗布液
28が供給される圧力に塗布液槽14内を調整しておく必要
がある。
【0051】隙間22に帯状の液溜り44が形成されると、
塗布液槽14の前面壁部16の前端面20と基板10の被塗布面
との間に寸法Gの隙間22を保ったまま、基板10の縦方向
(図1の矢印aの方向)へ塗布液槽14を移動させる。そ
して、前面壁部16の前端面20の上端が少なくとも塗布必
要領域から外れる、二点鎖線で示す基板10の下端近くま
で塗布液槽14を移動させた後停止させる。このように塗
布液槽14が基板10の上端近くから下端近くまで移動する
ことにより、基板10の被塗布面の塗布必要領域に液溜り
44の塗布液が接することになり、図4に示すように基板
10の被塗布面に塗布液が塗布されて塗布液膜48が形成さ
れる。尚、塗布途上においては、隙間22の液溜り44の塗
布液が被塗布面に塗布されて消費されるが、その消費量
に見合った量の塗布液が塗布液槽14内から塗布液流出路
18を通して毛細管作用等により隙間22へ供給され、隙間
22の液溜り44の塗布液量は一定に保たれる。
【0052】塗布液槽14が基板10の下端近くの位置で停
止して基板10の被塗布面への塗布液の塗布が終了する
と、ステージ12から基板10を取り外す。この際、塗布液
槽14をステージ12から離間する水平方向へ移動させる
か、ステージ12を塗布液槽14から離間する水平方向へ移
動させるようにすると、基板10の取外しが容易になる。
ステージ12から塗布済みの基板10が取り外されると、次
の基板10への塗布液塗布のために最初の工程へ戻る。
【0053】尚、塗布液槽14をステージ12から離間する
方向へ移動させたとき、隙間22の液溜り44の塗布液は、
隙間22が広がって液溜り44が破壊されることにより、被
塗布面や前面壁部16の前端面20に付着しまた流下して、
以後の塗布に使用することができなくなる。そこで、塗
布液槽14をステージ12から離間させる前に、圧力設定系
30により塗布液槽14内を減圧状態とし、隙間22の液溜り
44の塗布液を塗布液流出路18を通し逆流させて塗布液槽
14内に回収するようにしてもよい。この回収の際には、
塗布液槽14の前面壁部16の前端面20の、少なくとも塗布
液流出路18の前端面側出口24から前端面20の上端までの
範囲が基板10の下端側から外れておらず、前端面20と基
板10の被塗布面との間に隙間22が形成されている状態に
しておく必要がある。
【0054】図5ないし図7は、請求項3に記載の発明
の1実施例を示し、図5は、基板への塗布液塗布装置の
要部の構成を示す縦断面図、図6は、その正面図、図7
は、部分拡大縦断面図である。これらの図において、図
1ないし図4で使用した符号と同一符号を付したものに
ついては、上記した通りであり、その説明を省略する。
【0055】この塗布装置が図1ないし図4に示した塗
布装置と相違する点は、塗布液槽54の前面壁部56の前端
面60の下端と塗布液流出路58の入口66との位置関係であ
る。すなわち、この塗布装置の塗布液槽54では、前面壁
部56の前端面60の下端が、塗布液流出路58の入口66より
下方に位置するように形成されている。そして、塗布液
槽54内には、塗布液面が塗布液流出路58の前端面側出口
64とその反対側の入口66との間の高さに位置するよう
に、すなわち図7中の範囲D2内に位置するように、塗
布液28が注入される。このとき、塗布液槽54内から塗布
液流出路58を通って隙間62内へ流入した塗布液で隙間62
に形成される液溜り68は、その下端が前端面60の下端で
規制されるとともに、その上端が前端面60の上端で規制
されることとなって、液溜り68の塗布液が隙間62から流
出することがないように、圧力設定系30により塗布液槽
14内の圧力が設定されている。
【0056】図8及び図9は、請求項5に記載の発明の
1実施例を示し、基板への塗布液塗布装置の要部の部分
拡大縦断面図である。この塗布装置は、図1ないし図4
に示した塗布装置と同じ構成を有しているが、図8に示
した塗布装置では、塗布液槽14内に、塗布液面が塗布液
流出路18の前端面側出口24より上方に位置するように塗
布液28が注入されており、また、図9に示した塗布装置
では、塗布液槽14内に、塗布液面が前面壁部16の前端面
20の上端よりさらに上方に位置するように塗布液28が注
入されている。図8及び図9に示した何れの場合におい
ても、塗布液槽14内から塗布液流出路18を通って隙間22
内へ流入した塗布液で隙間22に形成される液溜り44は、
その下端及び上端が前端面20の下端及び上端でそれぞれ
規制されて、液溜り44の塗布液が隙間22から流出するこ
とがないように、圧力設定系30により塗布液槽14内の圧
力が調整される。
【0057】図10は、請求項5に記載の発明の別の実
施例を示し、基板への塗布液塗布装置の要部の構成を示
す縦断面図である。図1ないし図4、図5ないし図7、
図8及び図9にそれぞれ示した塗布装置では、塗布液槽
14の前面壁部16に形成された塗布液流出路18が、その前
端側へ上向きに傾斜しているのに対し、この図10に示
した塗布装置では、塗布液槽74の前面壁部76に、それを
貫通するように水平方向に塗布液流出路78が形成されて
いる。そして、塗布液槽74内には、塗布液面が塗布液流
出路78より上方に位置するように塗布液28が注入されて
いる。尚、他の構成は、図1ないし図4に示した塗布液
塗布装置と同じである。
【0058】図11は、請求項5に記載の発明のさらに
別の実施例を示し、基板への塗布液塗布装置の要部の部
分拡大縦断面図である。この塗布装置では、塗布液槽84
の前面壁部86に、それを貫通しその前端側へ下向きに傾
斜するように塗布液流出路88が形成されており、前面壁
部86の前端面90の下端は、塗布液流出路88の前端面側出
口94より下方に位置するように形成されている。また、
塗布液槽84内には、塗布液面が塗布液流出路88の入口96
より上方に位置するように塗布液28が注入される。そし
て、この塗布装置においても、上記した各塗布装置と同
様に、塗布液槽84内から塗布液流出路88を通って隙間92
内へ流入した塗布液で隙間92に形成される液溜り98は、
その下端及び上端が前端面90の下端及び上端でそれぞれ
規制され、液溜り98の塗布液が隙間92から流出すること
がないように、圧力設定系により塗布液槽84内の圧力が
設定される。尚、他の構成は、図1ないし図4に示した
塗布液塗布装置と同じである。
【0059】ところで、以上説明した各塗布装置では、
隙間22、62、92の液溜り44、68、98の上端は、塗布液槽
14、54、74、84の前面壁部16、56、76、86の前端面20、
60、90の上端によって規制される。このため、以下のよ
うな不都合が生じることが考えられる。この点につい
て、図1ないし図4に示した塗布装置を例にとって説明
する。
【0060】塗布液槽14を下方向へ移動させて基板10の
被塗布面に塗布液を塗布していく過程で、前面壁部16の
前端面20の下端から上端までの寸法と被塗布面のうねり
の周期との関係、基板10の幅方向における被塗布面のう
ねりの状態、或いは、塗布液槽14を下方向へ移動させる
ときの移動精度などによって隙間22の寸法Gが一定とな
らない場合が想定される。例えば、図12に示したよう
に、隙間22の寸法が大きくなって、塗布液槽14の前面壁
部16の前端面20と被塗布面とで挾まれた空間の容積が増
大した後に、図13に示したように、隙間22の寸法が小
さくなって、前面壁部16の前端面20と被塗布面とで挾ま
れた空間の容積が減少するときは、隙間22の液溜り44か
ら塗布液の一部が前端面20の上端を越えてはみ出すこと
が起こり、このために塗布膜厚等の塗布品質に不具合が
生じることとなる。
【0061】また、図14に示すように、塗布液槽14の
前面壁部16の前端面20と基板10の被塗布面との間に形成
された隙間22に塗布液の液溜り44を形成させ、塗布液槽
14を下方向へ移動させて塗布を開始しようとする際に
も、液溜り44の塗布液が前端面20の上端からはみ出すこ
とがあり、このために塗布膜厚等の塗布品質に不具合が
発生する心配がある。
【0062】以上のような不具合を無くす装置の構成に
ついて、図15ないし図18により説明する。図15な
いし図18は、請求項2に記載の発明の1実施例を示
し、図15は、基板への塗布液塗布装置の要部の構成を
示す縦断面図、図16は、その正面図、図17は、その
上面図、図18は、部分拡大縦断面図である。これらの
図において、図1ないし図4で使用した符号と同一符号
を付したものについては、上記した通りであり、その説
明を省略する。
【0063】この塗布装置が図1ないし図4に示した塗
布装置と相違する点は、塗布液槽104の前面壁部106の前
端面110の上端位置である。すなわち、この塗布装置の
塗布液槽104では、前端面110と基板10の被塗布面との間
の寸法Gの隙間112を上方へ無限に延長させたと仮定し
た場合に、前面壁部106に形成された塗布液流出路108を
通って隙間112内へ流入した塗布液が毛細管作用等によ
って隙間112内を上昇するときの到達高さ位置より上方
に前面壁部106の前端面110の上端が位置するように構成
されている。塗布液槽104の前面壁部106の下端は、図1
ないし図4に示した装置と同様、塗布液流出路108の前
端面側出口114とその反対側の入口116との間の高さに位
置するように形成されている。そして、塗布液槽104内
へ塗布液供給系32から塗布液28が供給され、その液面が
塗布液流出路108の前端面側出口114と前面壁部106の前
端面110の下端との間の高さに位置するように、検出器4
2で塗布液面を検知しながら塗布液槽104内に塗布液28が
注入される。塗布液槽104内に所定量の塗布液28が注入
されると、塗布液28は、毛細管作用等により塗布液槽10
4内から塗布液流出路108を通って隙間112内へ流入する
が、圧力設定系30によって塗布液槽104内の圧力を適切
に調整しておくことにより、隙間112に形成される液溜
り118は、その下端が前端面110の下端に位置し、その上
端が前端面110の上端より下方に位置することになる。
そして、隙間112に、液溜り118の上方の、塗布液の無い
空間120が形成される。
【0064】図15ないし図18に示した塗布装置を使
用して基板10の被塗布面に塗布液を塗布する操作は、図
1ないし図4に示した塗布装置を使用する場合と全く同
様に行なわれるが、図15に二点鎖線で示す基板10の下
端近くの位置において塗布液槽104を停止させる際に
は、隙間112の液溜り118の上端が少なくとも塗布必要領
域から下方へ外れているようにする。
【0065】図15ないし図18に示した塗布装置を使
用した場合には、上記したように、塗布液槽104の前面
壁部106の前端面110と基板10の被塗布面との間の隙間11
2に形成される液溜り118の上端は、前端面110の上端よ
り下方に位置し、隙間112の、液溜り118の上方に、塗布
液の無い空間120が形成される。このため、この塗布装
置では、図12ないし図14に関して説明したような不
都合な事態が生じない。すなわち、塗布液槽104を下方
向へ移動させて基板10の被塗布面に塗布液を塗布してい
く過程で、被塗布面のうねりなどに起因して、隙間112
の寸法Gが一定とならず、前面壁部106の前端面110と被
塗布面とで挾まれた空間の容積が変化するようなことが
あっても、前面壁部106の前端面110の上端に対して液溜
り118の上端位置が隙間112内において相対的に上下に変
化するだけであり、隙間112の液溜り118から塗布液の一
部が前端面110の上端を越えてはみ出すことはない。ま
た、塗布を開始する際においても、隙間112の液溜り118
からの塗布液のはみ出しも起こらない。
【0066】尚、図15ないし図18に示した塗布液槽
104は、前面壁部106の上半部が前方へ突出して前端面11
0が形成されているが、図1ないし図4に示した塗布液
槽のように前面壁部の中間部が前方へ突出して前端面が
形成される外形において、前端面の高さ方向の長さを長
くして隙間の高さ方向寸法を大きくし、隙間内の液溜り
の上端が前端面上端より下方に位置するように構成して
もよい。この場合にも、図15ないし図18に示した塗
布装置と全く同様に機能する。
【0067】尚、図15ないし図18に係る上記実施例
では、被塗布基板10の被塗布面がうねり等のない均一な
平面と仮定し、この面と塗布液槽104の前面壁部106の前
端面110との間の隙間112が前端面110の上下方向に関し
て全体にわたって同一の広さに形成された場合について
記載されているが、これに限らず、例えば前端面110の
下端側から上端側へ行くに従って隙間112が広くなる構
成としてもよい。
【0068】また、この塗布装置を使用して基板10の被
塗布面に塗布される塗布液膜の膜厚は、塗布液槽104の
移動速度、隙間112の寸法G、塗布液28の流動特性や物
性値、基板10の被塗布面及び/又は塗布液槽104の前面
壁部106の前端面110の濡れ性などにより決定され、従っ
て、塗布液膜の膜厚のばらつきを抑えるためには、塗布
液槽104の移動速度、隙間112の寸法G等を許容範囲内に
調整して塗布操作を行なうことが必要となる。ここで、
塗布液膜の膜厚を決定する要因の1つである塗布液槽10
4の移動速度は、図15ないし図18に示した塗布装置
では、正確には隙間112の液溜り118の上端の移動速度と
言うことになる。すなわち、塗布途上における隙間112
の寸法Gを完全に一定にして塗布液槽104を移動させる
ときには、塗布開始時を除き隙間112の液溜り118の上端
の移動速度は塗布液槽104の移動速度と等しくなるが、
実際には、上記したように液溜り118の上端は隙間112内
において上下に変位することとなるため、隙間112の液
溜り118の上端の移動速度と塗布液槽104の移動速度とは
等しくならない。従って、塗布液槽104を一定の速度で
移動させたとしても、隙間112の液溜り118の上端の移動
速度は一定とならない。しかしながら、液溜り118の上
端が塗布液槽104に対して相対的に上下に変位したとし
ても、その変位は隙間112の範囲内であり、塗布液膜の
膜厚への影響は少ない。
【0069】ところで、基板10の下端側において、塗布
液槽104の前面壁部106の前端面110と被塗布面との間の
隙間112に形成された液溜り118の上端(図1ないし図4
に示した塗布装置では塗布液槽14の前面壁部16の前端面
20の上端)が基板10の被塗布面の下端から外れるまで基
板10の被塗布面への塗布液の塗布を行なう場合、塗布液
流出路108の前端面側出口114が基板10の被塗布面の下端
より外れた時点から隙間112の液溜り118の上端(図1な
いし図4に示した塗布装置では塗布液槽14の前面壁部16
の前端面20の上端)が基板10の被塗布面の下端より外れ
る時点までの期間は、塗布液流出路108から隙間112への
毛細管作用等による塗布液28の流入が行なわれないの
で、隙間112の液溜り118の塗布液が消費されるだけで、
塗布液槽104内から隙間112への塗布液28の供給が行なわ
れない。このため、上記期間では、隙間112の液溜り118
の上端の移動速度が、塗布液の消費による液溜り118の
上端位置の低下速度と塗布液槽104の移動速度とによっ
て決定されることとなる。この結果、基板10の被塗布面
の下端から、塗布液流出路108の前端面側出口114から隙
間112の液溜り118の上端までの寸法L2(図18参照)
に相当する距離だけ上方側へ上がった位置までの範囲で
は、塗布液膜の膜厚が所定の許容範囲を外れ、基板10の
被塗布面の下端側に非有効領域が形成されることとな
る。そして、上記寸法L2は、図1ないし図4に示した
塗布装置における、塗布液槽14の前面壁部16に形成され
た塗布液流出路18の前端面側出口24から隙間22の液溜り
44の上端、従って前面壁部16の前端面20の上端までの寸
法L1(図4参照)と比較した場合、両隙間22、112の寸
法Gを同一としたときは、L2>L1となる。従って、図
15ないし図18に示したような構成の塗布装置を使用
すると、図1ないし図4に示した塗布装置を使用した場
合に比べて、基板10の被塗布面の下端側に形成される非
有効領域が増大することになり、基板を有効に利用する
ことができる範囲が狭まる、といった不具合がある。こ
のような不具合を防止する装置の構成を図19及び図2
0により次に説明する。
【0070】図19に部分拡大縦断面図を示した塗布装
置の塗布液槽124は、その前面壁部126の前端面が、前端
面下部130aとこの前端面下部130aより後方側へ凹んだ
前端面上部130bとからなる段付き面に形成されてい
る。前面壁部126の前端面下部130aとステージ12に保持
された基板10の被塗布面との間に形成される下部隙間13
2aの寸法Gは、図1ないし図4及び図15ないし図1
8にそれぞれ示した各塗布装置における隙間22、112の
寸法Gと同一であり、前端面上部130bと被塗布面との
間に形成される上部隙間132bの寸法G2は、下部隙間13
2aの寸法Gより大きくなる。そして、塗布液流出路128
の前端面側出口134が、前面壁部126の前端面下部130a
と前端面上部130bとの境界部に位置するように形成さ
れている。また、図15ないし図18に示した装置と同
様に、前面壁部126の前端面下部130aの下端は、塗布液
流出路128の前端面側出口134とその反対側の入口136と
の間の高さに位置するように形成され、一方、前面壁部
126の前端面上部130bの上端は、前端面上部130bと基
板10の被塗布面との間の寸法G2の上部隙間132bを上方
へ無限に延長させたと仮定した場合に、前面壁部126に
形成された塗布液流出路128を通って上部隙間132b内へ
流入した塗布液が毛細管作用等によって上部隙間132b
内を上昇するときの到達高さ位置より上方に位置するよ
うに形成されている。従って、塗布液槽124内に塗布液2
8を、その液面が塗布液流出路128の前端面側出口134と
前面壁部126の前端面下部130aの下端との間の高さに位
置するように注入し、圧力設定系30によって塗布液槽12
4内の圧力を適切に調整しておくことにより、塗布液槽1
24内から塗布液流出路128を通って隙間132a、132b内
へ流入した塗布液により、下端が前端面下部130aの下
端に位置し上端が前端面上部130bの上端より下方に位
置した液溜り138が形成されることになる。そして、上
部隙間132bに、液溜り138の上方の、塗布液の無い空間
140が形成される。
【0071】図19に示した塗布液槽124では、上記し
たように、基板10の被塗布面と前面壁部126の前端面上
部130bとの間の上部隙間132bの寸法G2が被塗布面と
前端面下部130aとの間の下部隙間132aの寸法Gより広
く形成されているので、図15ないし図18に示した塗
布液槽104のように基板10の被塗布面と前面壁部106の前
端面110との間の隙間112の寸法Gを一定にした装置と比
較した場合、塗布液流出路128の前端面側出口134から上
部隙間132bにおける液溜り138の上端までの寸法L
3は、図15ないし図18に示した塗布液槽104におけ
る、塗布液流出路108の前端面側出口114から隙間112の
液溜り118の上端までの寸法L2(図18参照)より小さ
くなる。従って、図19に示した塗布液槽124を有する
塗布装置を使用すると、図15ないし図18に示した塗
布液槽104を有する塗布装置を使用した場合に比べて、
基板10の被塗布面の下端側に形成される非有効領域を小
さくすることができ、基板を有効に利用することができ
る範囲が広がることになる。一方、前面壁部126の前端
面下部130aと基板10の被塗布面との間の下部隙間132a
の寸法Gは、図1ないし図4及び図15ないし図18に
それぞれ示した各塗布液槽14、104における隙間22、112
の寸法Gと同一とされているので、基板10の下端側にお
いて、塗布液槽124の前面壁部126の塗布液流出路128の
前端面側出口134が基板10の被塗布面の下端に到達する
まで塗布液の塗布を行なうようにしたときに、塗布液流
出路128の出口134から前端面下部130aの下端までの範
囲の液溜り138の塗布液が流下することによる塗布液の
有効使用率の低下が最小限に抑えられるとともに、隙間
132a、132bにおける液溜り138の塗布液保持能力の安
定性が確保される。
【0072】図20は、図19に示した塗布液槽124と
同様の作用効果を奏する塗布液槽の別の構成例を示す部
分拡大縦断面図である。この塗布液槽144では、その前
面壁部146の前端面が、その下端から塗布液流出路148の
前端面側出口154を僅かに過ぎた位置までの前端面下部1
50aと、前端面側出口154を僅かに過ぎた位置から上端
までの、前端面下部150aより後方側へ凹んだ前端面上
部150bとからなる段付き面に形成されており、塗布液
流出路148の出口154が、前端面下部150aと基板10の被
塗布面との間の下部隙間152aに開口している。それ以
外の構成は、図19に示した塗布液槽124と同じであ
る。すなわち、前面壁部146の前端面下部150aと基板10
の被塗布面との間の下部隙間152aの寸法Gは、図19
に示した塗布液槽124における下部隙間132aの寸法Gと
同一であり、前端面上部150bと被塗布面との間の上部
隙間152bの寸法G3は、下部隙間152aの寸法Gより大
きくされている。また、前面壁部146の前端面下部150a
の下端は、塗布液流出路148の前端面側出口154とその反
対側の入口156との間の高さに位置するように形成さ
れ、一方、前面壁部146の前端面上部150bの上端は、寸
法G3の上部隙間152bを上方へ無限に延長させたと仮定
した場合に塗布液が毛細管作用等によって上部隙間152
b内を上昇するときの到達高さ位置より上方に位置する
ように形成されており、塗布液槽144内に塗布液28を、
その液面が塗布液流出路148の前端面側出口154と前面壁
部146の前端面下部150aの下端との間の高さに位置する
ように注入し、圧力設定系30によって塗布液槽144内の
圧力を適切に調整しておいたときに、塗布液槽144内か
ら塗布液流出路148を通って隙間152a、152b内へ流入
した塗布液により、下端が前端面下部150aの下端に位
置し上端が前端面上部150bの上端より下方に位置した
液溜り158が形成され、また、上部隙間152bに、液溜り
158の上方の、塗布液の無い空間160が形成されることに
なる。そして、図20に示した塗布液槽144における、
塗布液流出路148の前端面側出口154から上部隙間152b
における液溜り158の上端までの寸法L4は、図15ない
し図18に示した塗布液槽104における、塗布液流出路1
08の前端面側出口114から隙間112の液溜り118の上端ま
での寸法L2(図18参照)より小さくなる。
【0073】尚、図19、図20に係る上記実施例で
は、塗布液槽124、144の前面壁部126、146の前端面が、
前端面下部130a、150aとこの前端面下部130a、150a
より凹んだ前端面上部130b、150bとからなる段付き面
に形成され、基板保持手段12に保持された基板10の被塗
布面と前端面上部130b、150bとの間の隙間132b、152
bが、被塗布面と前端面下部130a、150aとの間の隙間
132a、152aより広く形成されるように構成している
が、このような構成にのみ限定されるものではない。例
えば、前端面を前端面上部と前端面下部の2つだけから
構成するのではなく2つ以上で構成しそれぞれ被塗布基
板の被塗布面との隙間を異なる広さとする構成としても
よく、或いは部分的に前端面上端側へ行くに従って被塗
布面との隙間が広くなる形状をさらに加える構成等を採
用してもよい。いずれの場合も、この隙間の広さは液溜
りの塗布液保持能力の安定性が確保できる範囲の寸法に
選定される。つまり、基板保持手段に保持された被塗布
基板の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の
隙間が、塗布液流出路の前端面側出口より上側において
少なくとも部分的に相対的に広く形成されるようにさえ
すれば前端面として種々の構成を採用することができ
る。
【0074】尚、図15ないし図18、図19及び図2
0にそれぞれ示したように、塗布液槽104、124、144の
前面壁部106、126、146の前端面110、前端面上部130
b、150bと基板10の被塗布面との間の隙間112、上部隙
間132b、152bを上方へ無限に延長させたと仮定した場
合に、前面壁部106、126、146に形成された塗布液流出
路108、128、148を通って隙間112、132a・132b、152
a・152b内へ流入した塗布液が毛細管作用等によって
隙間112、上部隙間132b、152b内を上昇するときの到
達高さ位置より上方に前面壁部106、126、146の前端面1
10、前端面上部130b、150bの上端が位置するような構
成の塗布装置において、図5ないし図7に示したよう
に、塗布液槽の前面壁部の前端面の下端を塗布液流出路
の入口より下方に形成し、かつ、塗布液槽内に、塗布液
面が塗布液流出路の前端面側出口とその反対側の入口と
の間の高さに位置するように塗布液が注入されるように
構成したり、図8及び図9にそれぞれ示したように、塗
布液槽内に、塗布液面が塗布液流出路の前端面側出口よ
り上方に位置するように、また、塗布液面が前面壁部の
前端面の上端よりさらに上方に位置するように、それぞ
れ塗布液が注入されるように構成したり、図10に示し
たように、塗布液槽の前面壁部に塗布液流出路を水平方
向に形成し、かつ、塗布液槽内に、塗布液面が塗布液流
出路より上方に位置するように塗布液が注入されるよう
に構成したり、また、図11に示したように、塗布液槽
の前面壁部にその前端側へ下向きに傾斜するように塗布
液流出路を形成するとともに、前面壁部の前端面の下端
を塗布液流出路の前端面側出口より下方に形成し、か
つ、塗布液槽内に、塗布液面が塗布液流出路の入口より
上方に位置するように塗布液が注入されるように構成し
たりすることができる。
【0075】次に、基板の被塗布面への塗布液の確実な
塗布を可能にするためには、少なくとも塗布開始位置に
おいて、塗布液槽の前面壁部の前端面の幅方向に帯状の
塗布液の液溜りが形成されていることが必要であるが、
塗布液槽を下方向へ移動させる前に、塗布開始位置に帯
状の液溜りが形成されていることを確認することができ
る装置の構成例について、図21ないし図26を参照し
ながら説明する。
【0076】図21に要部縦断面図を、図22にその正
面図をそれぞれ示した塗布液塗布装置は、基板10を保持
するステージ162の、塗布開始位置に対応する部位に貫
通穴164が形成されている。この場合、基板10は、例え
ばLCD用ガラス基板のように透明基板であり、この塗
布装置では、ステージ162の貫通穴164を通し、透明な基
板10の被塗布面の反対面側から、塗布液槽14の前面壁部
16の前端面20を観察することができる。従って、この塗
布装置を使用して基板10の被塗布面への塗布液の塗布を
行なうときは、塗布開始位置において、基板10の被塗布
面と塗布液槽14の前面壁部16の前端面20との間の隙間22
に、基板10の幅方向にわたって帯状の液溜りが形成され
たことを確認した後に、塗布液槽14を下方向へ移動させ
て塗布操作を行なうことが可能になる。
【0077】また、図23に要部側面図を、図24にそ
の正面図をそれぞれ示した塗布液塗布装置は、基板10を
保持するステージ166の縦方向の長さが、基板10の幅方
向と直交する方向すなわち縦方向の長さより短くされて
いる。この場合にも、基板10が透明基板である必要があ
り、その基板10を、塗布開始位置である上端部分がステ
ージ166の上端辺より突出した状態で、ステージ166に保
持させるようにする。従って、この塗布装置では、基板
10の、ステージ166の上端辺より突出した上端部分の被
塗布面側を、その反対面側から観察することができ、塗
布開始位置において、基板10の被塗布面と塗布液槽14の
前面壁部16の前端面20との間の隙間22に帯状の液溜りが
形成されたことを確認した後、塗布液槽14を下方向へ移
動させて塗布操作を行なうことが可能になる。尚、特に
ステージ166の縦方向の長さを基板10の縦方向の長さよ
り短くしなくても、基板をステージに、基板の上端部分
がステージの上端辺より突出した状態で保持させるよう
にしてもよい。
【0078】また、図示していないが、基板が透明基板
である場合において、基板を保持するステージの、塗布
開始位置に対応する部位を透明ガラス等の透明材料で形
成するようにしても、図21及び図22並びに図23及
び図24にそれぞれ示した塗布装置と同様の作用効果が
得られる。尚、塗布開始位置に対応する部位だけでなく
ステージ全体を或いは適当な複数部位を透明材料で形成
するようにし、また、ステージの適当な部位に複数個の
貫通穴を形成するようにし、塗布開始位置に限らずそれ
以外の位置においても、基板10の被塗布面と塗布液槽14
の前面壁部16の前端面20との間の隙間22に形成された液
溜りの状態を観察することができるような構成としても
よい。また、オペレータが肉眼で観察する代わりに、検
出器を設けておいてモニターするようにしてもよい。
【0079】図25は、基板が不透明である場合に、塗
布開始位置に帯状の液溜りが形成されていることを基板
の被塗布面側から確認することができる装置の構成例を
示す部分拡大縦断面図である。この塗布液槽174の基本
構成は、図19に示した塗布液槽124と同様である。す
なわち、塗布液槽174は、その前面壁部176の前端面が前
端面下部180aと前端面上部180bとからなる段付き面に
形成され、前端面上部180bと基板10の被塗布面との間
の上部隙間182bの寸法が、前端面下部180aと被塗布面
との間の下部隙間182aの寸法より大きくされ、塗布液
流出路178の前端面側出口184が、前端面下部180aと前
端面上部180bとの境界部に位置するように形成されて
いる。また、前面壁部176の前端面下部180aの下端が、
塗布液流出路178の前端面側出口184とその反対側の入口
186との間の高さに位置するように形成され、一方、前
面壁部176の前端面上部180bの上端が、上部隙間182b
を上方へ無限に延長させたと仮定した場合に塗布液が毛
細管作用等によって上部隙間182b内を上昇するときの
到達高さ位置より上方に位置するように形成されてお
り、塗布液槽174内に塗布液28を、その液面が塗布液流
出路178の前端面側出口184と前面壁部176の前端面下部1
80aの下端との間の高さに位置するように注入し、圧力
設定系30によって塗布液槽174内の圧力を適切に調整し
ておいたときに、塗布液槽174内から塗布液流出路178を
通って隙間182a、182b内へ流入した塗布液により、下
端が前端面下部180aの下端に位置し上端が前端面上部1
80bの上端より下方に位置した液溜り188が形成され、
上部隙間182bの、液溜り188の上方に、塗布液の無い空
間190が形成されている。そして、この塗布液槽174は、
その上部に、幅方向の少なくとも一部において前後方向
に貫通した貫通穴192が形成されるとともに、その貫通
穴192の前端側に、開口面を閉塞するように透明ガラス
板194が嵌め込まれ、その透明ガラス板194の前壁面によ
って前面壁部176の前端面上部180bが形成されている。
【0080】図25に示した塗布液槽174を有する塗布
装置を使用して基板10の被塗布面への塗布液の塗布を行
なうときは、貫通穴192の後方側から前方を覗き見るこ
とにより、透明ガラス板194を透過して、基板10の被塗
布面と塗布液槽174の前面壁部176の前端面180a、180b
との間の隙間182a、182bに形成された液溜り188の上
端部分を観察することができる。従って、塗布開始位置
において、液溜り188が良好に形成されていることを確
認した後に、塗布液槽174を下方向へ移動させて塗布操
作を行なうことが可能になる。しかも、この塗布装置で
は、塗布開始位置に限らずそれ以外の位置においても、
液溜り188の状態を随時観察することができる。尚、こ
の塗布装置は基板が透明である場合にも有効に使用する
ことが可能である。
【0081】尚、図25に示した塗布装置のように、基
板10の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の
隙間に形成された液溜りの上端部分を基板10の被塗布面
側から観察することができるようにした塗布装置におい
て、その塗布液槽の基本構成は、図19に示した塗布液
槽124と同様のものに限らないことは勿論である。その
1例を図26に示す。
【0082】図26に部分拡大縦断面図を示した塗布液
槽204は、図10に示した塗布液槽74と図19に示した
塗布液槽124とを複合させた基本構成を備えている。す
なわち、塗布液槽204は、その前面壁部206の前端面が前
端面下部210aと前端面上部210bとからなる段付き面に
形成され、前端面上部210bと基板10の被塗布面との間
の上部隙間212bの寸法が、前端面下部210aと被塗布面
との間の下部隙間212aの寸法より大きくされ、塗布液
流出路208の前端面側出口214が、前端面下部210aと前
端面上部210bとの境界部に位置するように形成されて
いる。また、塗布液流出路208は、前面壁部206を貫通す
るように水平方向に形成されており、塗布液槽204内
に、塗布液面が塗布液流出路208より上方に位置するよ
うに塗布液28が注入されている。そして、塗布液槽204
内から塗布液流出路208を通って隙間212a、212b内へ
流入した塗布液により、下端が前端面下部210aの下端
に位置し上端が前端面上部210bの上端より下方に位置
した液溜り218が形成され、上部隙間212bの、液溜り21
8の上方に、塗布液の無い空間220が形成されている。ま
た、この塗布液槽204は、その前方上部に、幅方向の少
なくとも一部において前端面から上面へ屈曲して貫通し
た貫通穴222が形成されるとともに、その貫通穴222の前
端側に、開口面を閉塞するように透明ガラス板224が嵌
め込まれ、その透明ガラス板224の前壁面によって前面
壁部206の前端面上部210bが形成されている。そして、
貫通穴222の屈曲部分に反射ミラー226が配設されてお
り、貫通穴222の上方側から下方を覗き見ることによ
り、反射ミラー226を介し透明ガラス板224を透過して、
隙間212a、212bに形成された液溜り218の上端部分を
観察することができるようになっている。
【0083】次に、基板の被塗布面への塗布液の塗布工
程において、塗布終了位置で発生する不具合について、
図15ないし図18に示した塗布装置を使用した場合を
例にとり、図27ないし図31を参照しながら説明す
る。
【0084】図27は、塗布終了状態の1例を示す部分
拡大縦断面図であり、塗布液槽104の前面壁部106の前端
面110と基板10の被塗布面との間の寸法Gの隙間112に形
成された液溜り118の上端が、基板10の被塗布面の塗布
必要領域Sの下端に位置するまで、塗布液槽104を下方
向へ移動させたときの状態を示す。図28は、塗布終了
状態の別の例を示す部分拡大縦断面図であり、塗布液槽
104の前面壁部106に形成された塗布液流出路108の前端
面側出口114が、基板10の被塗布面の下端に位置するま
で、塗布液槽104を下方向へ移動させたときの状態を示
す。また、図29は、塗布終了状態のさらに別の例を示
す部分拡大縦断面図であり、塗布液槽104の前面壁部106
の前端面110と基板10の被塗布面との間の寸法Gの隙間1
12に形成された液溜り118の上端が、基板10の被塗布面
の下端に位置するまで、塗布液槽104を下方向へ移動さ
せたときの状態を示す。塗布終了の状態は、図27ない
し図29に示した何れかであり、基板10の寸法と塗布必
要範囲との関係等により、それらのうちの何れかが選定
される。そして、図27及び図28にそれぞれ示した各
状態から、塗布液槽104を、隙間112が増大する方向(矢
印cの方向)へ移動させるようにしてもよいし、さらに
その後に、矢印bの方向等へ移動させるようにしてもよ
い。また、図29に示した状態から、塗布液槽104を、
矢印bの方向及び矢印cの方向の何れか一方向或いは両
方向へ移動させるようにしてもよい。
【0085】図30は、図27に示した状態から、隙間
112を増大させる方向(矢印cの方向)へ塗布液槽104を
移動させたときの状態を示している。このときには、寸
法Gの隙間112に形成されていた液溜り118の少なくとも
一部の塗布液228が基板10の被塗布面上に残ることとな
る。また、図31は、図30に示したように基板10の被
塗布面上に残った塗布液228が流下している状態を示し
ている。このように、基板10の下端部から塗布液228が
流下すると、基板10を保持しているステージ12の表面に
塗布液228が付着したり、ステージ12の表面と基板10の
被塗布面の反対面(裏面)との間の隙間に毛細管作用に
より塗布液228が浸入して、基板10の裏面に塗布液が付
着したりすることとなる。
【0086】上記したように、隙間112の液溜り118を形
成していた塗布液が流下して、その塗布液がステージ12
の表面や基板10の裏面に付着する現象は、図27に示し
た状態から図30に示したように隙間112を増大させる
方向へ塗布液槽104を移動させた場合に限らず、図28
に示した状態から隙間112を増大させる方向(矢印cの
方向)へ塗布液槽104を移動させた場合にも起こる。ま
た、図27及び図28にそれぞれ示した状態から矢印b
の方向へ塗布液槽104を移動させて図29に示した状態
にする場合にも、塗布液槽104の前面壁部106の前端面11
0が基板10の被塗布面の下端から順次外れていくことに
より寸法Gの隙間112が破壊されていく際に発生し得
る。
【0087】以上のように、塗布終了位置で塗布液が流
下してステージ12の表面や基板10の裏面に付着すると、
ステージ12から基板10を取り外す際に取外しにくくな
り、また、基板10の裏面に塗布液が付着したままである
と、塗布工程の後工程で問題となる。尚、上述したよう
に、塗布終了時に塗布液槽内を減圧して隙間の液溜りの
塗布液を塗布液槽内へ回収することは可能であるが、完
全な回収は困難であり、同様の問題が残る。以上のよう
な問題を解決する装置の構成例について、図32及び図
33を参照しながら次に説明する。
【0088】図32に要部側面図を、図33にその正面
図をそれぞれ示した塗布液塗布装置は、基板10を保持す
るステージ232の縦方向の長さが、基板10の幅方向と直
交する方向すなわち縦方向の長さより短くされている。
尚、これらの図では、塗布液槽104が、その前面壁部106
の前端面110と基板10の被塗布面との間の隙間112に形成
された液溜り118の上端が基板10の被塗布面の塗布必要
領域Sの下端に位置した塗布終了位置にある状態を示し
ている。そして、この塗布装置では、ステージ232に基
板10を、その塗布終了位置側である下端部分がステージ
232の下端より突出した状態で保持するようにしてい
る。このように、基板10の下端部分がステージ232の下
端より突出していると、基板10の被塗布面から流下した
塗布液がステージ232に付着することはないし、また、
基板10の被塗布面の反対面側に塗布液が付着することが
起こりにくくなる。尚、特にステージ232の縦方向の長
さを基板10の縦方向の長さより短くしなくても、基板を
ステージに、基板の下端部分がステージの下端辺より突
出した状態で保持させるようにしてもよい。
【0089】また、必要に応じ、図32に示すように、
基板10の、ステージ232の下端より突出した下端部分の
被塗布面の反対面側に吹出し口が対向するように洗浄液
供給ノズル234を配設するようにしてもよい。このよう
にすれば、仮に基板10の被塗布面の反対面側などに塗布
液が付着するようなことがあっても、洗浄液供給ノズル
234から基板10の被塗布面の反対面側などへ洗浄液を吹
き付けることにより、塗布液を洗浄して除去することが
できる。尚、洗浄液供給ノズル234は、基板10の幅方向
の略全体にわたって延びる吹出し口を有しているが、局
所的に洗浄液を基板10の被塗布面の反対面側に吹き付け
る洗浄液供給ノズルを基板10の幅方向に移動可能に配設
するようにしてもよい。さらに、図32及び図33に示
すように、ステージ232に保持された基板10の直下位置
に、基板10から流下した塗布液を回収するための回収容
器236を配設するようにしてもよい。このように、基板1
0の直下位置に回収容器236を配設しておけば、基板10か
ら塗布液が流下したとしても、その塗布液で装置のフレ
ーム等が汚れるのを防止することができる。尚、塗布液
槽を固定し基板を移動させて基板への塗布液の塗布を行
なう構成の塗布装置では、洗浄液供給ノズルや回収容器
を基板と一緒に移動させることができるような構成とす
るとよい。
【0090】また、図34に要部縦断面図を、図35に
その正面図をそれぞれ示した塗布液塗布装置は、塗布液
槽の構成は上記した塗布装置、この例では図15ないし
図18に示した塗布装置と同じであるが、塗布液槽104
の上部に一体に気体吹出し槽238を取り付けて構成され
ている。気体吹出し槽238は、基板10の幅方向に延在す
る筒状をなしており、その前端部に、槽内部に連通する
スリット状ノズル240が全長にわたって形設されてい
る。このスリット状ノズル240は、好ましくは、斜め上
方に向かって気体が吹き出すように、その先端開口が加
工形成されている。また、気体吹出し槽238の上面壁部
には、槽内部へ気体を供給するための気体供給孔242が
形設されている。
【0091】図34及び図35に示したような構成の塗
布装置では、図15ないし図18に示した塗布装置と同
様に、塗布液槽104が基板10の上端近くから下端近くま
で移動することにより、基板10の被塗布面に塗布液が塗
布されるが、その塗布過程において、気体吹出し槽238
が塗布液槽104と一体に移動してスリット状ノズル240か
ら斜め上方に向かって気体、例えば窒素ガスが吹き出さ
れることにより、基板10の被塗布面に塗布された直後の
塗布液膜に向かって気体が吹き付けられることになる。
これにより、基板10の被塗布面に塗布された直後の塗布
液膜からの溶剤の蒸発が促進され、その塗布液の粘度が
上昇することになるため、塗布液の塗布操作途中におい
て、塗布液膜から被塗布面を伝って塗布液が垂れるのが
抑制される。気体吹出し槽238のスリット状ノズル240か
らの気体の吹出しは、塗布操作が終了するまで継続し、
塗布液槽104及び気体吹出し槽238が基板10の下端近くま
で移動して停止すると、停止させる。尚、塗布液槽104
の前面壁部106の前端面110と基板10の被塗布面との間の
隙間112に形成された液溜り118の上端と気体吹出し槽23
8のスリット状ノズル240とは、構成上から上下に離間し
ているため、塗布終了位置の選定如何によっては、基板
10の被塗布面の塗布有効領域全体に気体が吹き付けられ
ない場合も起こる。また、基板10の被塗布面の非有効領
域の塗布液膜にも気体を吹き付けたい場合もある。この
ような場合には、必要に応じ、塗布操作が終了した後、
塗布液槽104及び気体吹出し槽238をさらに下方へ移動さ
せ、基板10の被塗布面に塗布された塗布液膜の最下部分
にも気体を吹き付けた後、気体吹出し槽238のスリット
状ノズル240からの気体の吹出しを停止するようにして
もよい。そして、この塗布装置を使用したときは、上記
したように塗布液膜からの塗布液の垂れが有効に抑制さ
れる他、塗布処理工程後の、例えば乾燥処理工程におい
て、被塗布基板の温度上昇時等における塗布液膜の塗布
液の流動による膜厚むらの発生などの塗布品質への悪影
響が抑制される。
【0092】図34及び図35に示した塗布装置では、
塗布液槽104に気体吹出し槽238が一体に取り付けられて
いるが、塗布液槽と気体吹出し槽とを分離しそれぞれ別
体として構成してもよく、その場合に、別々の直動駆動
機構により塗布液槽と気体吹出し槽とをそれぞれを駆動
するようにしても差し支えない。また、気体吹出し手段
を固定し、基板10の上方側、下方側及び側方側のうちの
何れか一方向から、或いはそれらのうちの複数方向か
ら、基板10の被塗布面に塗布された塗布液膜に向かって
気体を吹き出させるような構成としてもよい。また、気
体吹出し槽238の前端部にスリット状ノズル240を全長に
わたって形設するようにしているが、1本のスリット状
ノズルに代えて、例えば、気体吹出し部の前端部に多数
の小径孔を全長にわたり並列させて穿設するようにして
もよい。さらに、気体吹出し槽238のスリット状ノズル2
40から気体が基板10の幅方向全体に均一に吹き出すよう
に、気体吹出し槽238の内部に邪魔板等を設けたり、気
体吹出し槽238の上面壁部に複数個の気体供給孔を等分
に配置して穿設したりしてもよい。
【0093】最後に、塗布液の利用効率について説明す
る。図27ないし図29に関する説明他から分かるよう
に、基板1枚当りの塗布液の総使用量は、塗布液槽の前
面壁部の前端面と基板の被塗布面との間の隙間に形成さ
れた液溜りの塗布液量と、基板の被塗布面に塗布された
塗布液量との合計である。そして、前記隙間の液溜りの
塗布液は、最終的には、塗布終了位置において被塗布面
を伝って垂れたり基板の下端から流下したりするなどし
て、塗布液膜の形成には有効に利用されない。従って、
塗布液の利用効率は、基板1枚当りにおいて塗布液の総
使用量から有効に利用されない塗布液量を差し引いた値
と塗布液の総使用量と比率となり、基板の被塗布面の塗
布必要領域のサイズ、塗布液槽の前面壁部の前端面の面
積、前記隙間の寸法、隙間の液溜りの下端と上端間の寸
法などに依存する。この発明に係る塗布液塗布装置で
は、例えば基板の被塗布面のサイズを500mm×600
mmとしたとき、塗布液の利用効率は約75%程度とな
る。勿論、塗布終了位置において塗布液を塗布液槽内へ
回収するようにした場合には、塗布液の利用効率は向上
することとなる。
【0094】
【発明の効果】請求項1、請求項3及び請求項5にそれ
ぞれ記載された各発明に係る塗布液塗布装置を使用して
基板に塗布液を塗布するようにすれば、請求項1に記載
の発明に係る塗布装置では、塗布液流出路の前端面側出
口と前面壁部の前端面の下端との間の高さに塗布液面が
位置するように塗布液槽内に塗布液が注入された状態
で、請求項3に記載の発明に係る塗布装置では、塗布液
流出路の前端面側出口とその反対側の入口との間の高さ
に塗布液面が位置するように塗布液槽内に塗布液が注入
された状態で、また、請求項5に記載の発明に係る塗布
装置では、塗布液流出路が前面壁部の前端側へ上向きに
傾斜するように又は水平方向に形成されている場合は塗
布液流出路の前端面側出口より上方に塗布液面が位置す
るように、塗布液流出路が前面壁部の前端側へ下向きに
傾斜するように形成されている場合は塗布液流出路の入
口より上方に塗布液面が位置するように、それぞれ塗布
液槽内に塗布液が注入された状態で、それぞれ基板の被
塗布面に塗布液が塗布され、塗布液の有効利用が図られ
て塗布液使用量が少なくなり、塗布液膜の膜厚均一性等
の塗布品質の向上が図られる。また、この塗布装置は、
小型化されて設置スペースが少なくて済み、特に、近年
において大型化する傾向にあるLCD用ガラス基板に塗
布液を塗布する場合などに有利となり、また、構成も簡
易で、塗布工程も比較的簡便に行なうことができる。さ
らに、この塗布装置を使用したときは、塗布液の汚れが
生ぜず、またスピニング装置におけるような基板表面上
の塗布液の飛散もない。また、この塗布装置では、被塗
布基板の被塗布面に非接触で塗布液の塗布が行なわれる
ため、基板の有効部分、例えばLCD用ガラス基板では
表示領域を形成する部分に傷が付くことによって品質低
下を来すといったような恐れが無い。さらに、この塗布
装置によると、膜厚の薄い塗布液膜を基板表面に形成し
たり、膜厚のむらを最小限に抑えることができる。
【0095】請求項2、請求項4及び請求項6にそれぞ
れ記載された各発明に係る塗布装置を使用すれば、請求
項2に記載の発明に係る塗布装置では、塗布液流出路の
前端面側出口と前面壁部の前端面の下端との間の高さに
塗布液面が位置するように塗布液槽内に塗布液が注入さ
れた状態で、請求項4に記載の発明に係る塗布装置で
は、塗布液流出路の前端面側出口とその反対側の入口と
の間の高さに塗布液面が位置するように塗布液槽内に塗
布液が注入された状態で、また、請求項6に記載の発明
に係る塗布装置では、塗布液流出路が前面壁部の前端側
へ上向きに傾斜するように又は水平方向に形成されてい
る場合は塗布液流出路の前端面側出口より上方に塗布液
面が位置するように、塗布液流出路が前面壁部の前端側
へ下向きに傾斜するように形成されている場合は塗布液
流出路の入口より上方に塗布液面が位置するように、そ
れぞれ塗布液槽内に塗布液が注入された状態で、それぞ
れ基板の被塗布面に塗布液が塗布され、上記した効果の
他、次のような効果が得られる。すなわち、被塗布基板
の被塗布面に塗布液を塗布している途上において、被塗
布面のうねり等により、塗布液槽の前面壁部の前端面と
被塗布面との間の隙間の寸法が変化することがあって
も、前記隙間から液溜りの塗布液が前面壁部の前端面上
端を越えてはみ出すことがなく、また、被塗布面への塗
布液の塗布開始時点において、前記隙間から前面壁部の
前端面上端を越えて液溜りの塗布液がはみ出すことも防
止されるため、塗布液膜の膜厚均一性等の塗布品質の低
下を防ぐことができる。
【0096】請求項7に記載の発明に係る塗布装置を使
用すれば、被塗布面への塗布液の塗布終了位置におい
て、被塗布基板の下端から前記隙間内の液溜りの上端ま
での距離を小さくすることができるため、基板を有効に
利用することができる範囲を広げることができる。ま
た、請求項8に記載の発明に係る塗布装置を使用すれ
ば、上記効果を、極めて容易な加工で実現できる構成に
よって奏することができる。また、請求項9に記載の発
明に係る塗布装置を使用すれば、被塗布基板の被塗布面
の下端側に形成される塗布非有効域が最も小さくなるた
め、基板を有効に利用することができる範囲をより広げ
ることができる。
【0097】請求項10に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布開
始時点において、塗布液槽内から被塗布面と前面壁部の
前端面との間の隙間へ塗布液が確実に供給されるため、
速やかに被塗布面への塗布液の塗布を開始することがで
きて、作業効率が向上するとともに、前記隙間へ塗布液
が供給されていない状態で塗布を開始するといったこと
を無くし、塗布品質の確保を図ることができる。
【0098】請求項11に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布開
始位置において、被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端
面との間の隙間に、基板の幅方向にわたって帯状の液溜
りが形成されたことを確認した後に、基板と塗布液槽と
を相対的に移動させて塗布を開始することが可能になる
ため、全ての被塗布基板について塗布品質の確保を図る
ことができる。そして、被塗布基板が透明である場合
に、請求項12に記載の塗布装置を使用すれば、被塗布
基板を保持する保持板の貫通穴を通して基板の被塗布面
の反対面側から、請求項13に記載の塗布装置を使用す
れば、保持板の上端より突出した上端部分の被塗布面の
反対面側から、また、請求項14に記載の塗布装置を使
用すれば、保持板の透明材料形成部を透過して基板の被
塗布面の反対面側から、前記隙間に帯状の液溜りが形成
されたことの確認をそれぞれ確実に行なうことができ、
上記効果を確実に実現することができる。また、請求項
13に記載の構成では、保持板を特別に加工しなくて
も、被塗布基板を保持板に、基板の上端部分が保持板の
上端辺より突出した状態で保持させるようにすればよ
く、簡単な構成で上記した確認を行なうことができる。
また、請求項15に記載の塗布装置を使用すれば、前記
隙間に帯状の液溜りが形成されたことを被塗布基板の被
塗布面側から確認することができるため、この塗布装置
は、被塗布基板が透明であるか不透明であるかを問わず
に使用することが可能である。
【0099】請求項16に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布終
了位置において、基板の被塗布面から流下した塗布液が
保持板に付着することがなく、また、基板の被塗布面の
反対面側に塗布液が付着することが起こりにくくなるた
め、保持板から基板を取り外す際に取外しにくくなった
り、基板の裏面に塗布液が付着したままとなって塗布工
程の後工程で問題となる、といったことを防止すること
ができる。
【0100】請求項17に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布終
了位置において基板の被塗布面の反対面側などに塗布液
が付着することがあっても、その塗布液を洗浄して除去
することができるため、保持板から基板を取り外す際に
取外しにくくなったり、基板の裏面に塗布液が付着した
ままとなって塗布工程の後工程で問題となる、といった
ことを完全に防止することができる。
【0101】請求項18に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面から塗布液が流下す
るようなことがあっても、その流下した塗布液は回収容
器内に回収されるため、流下した塗布液で装置のフレー
ム等が汚されるのを防止することができる。
【0102】請求項19に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布終
了位置において、被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前
面壁部の前端面との間の隙間に形成された液溜りの塗布
液を塗布液槽内へ回収することができるため、塗布液の
利用効率を向上させることができる。
【0103】請求項20に記載の発明に係る塗布装置を
使用すれば、塗布途上又は塗布終了後において被塗布基
板の被塗布面上の塗布液膜からの塗布液の垂れが有効に
抑制されるため、塗布品質の低下を防止することができ
る。また、塗布処理工程後の、例えば乾燥処理工程にお
いて、被塗布基板の温度上昇時等における塗布液膜の塗
布液の流動による膜厚むらの発生などを抑制することが
できる。そして、請求項21に記載された塗布装置を使
用したときは、被塗布基板の被塗布面に塗布された直後
の塗布液膜に向かって気体が吹き付けられるので、塗布
液の塗布操作の途中における塗布液膜からの塗布液の垂
れが抑制され、また、請求項22に記載された塗布装置
を使用したときは、被塗布面に塗布液膜が形成された後
において、塗布液膜からの塗布液の垂れが抑制されて、
上記効果を確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明の1実施例を示し、基板
への塗布液塗布装置の要部の構成を示す縦断面図であ
る。
【図2】図1に示した装置の正面図である。
【図3】図1に示した装置の上面図である。
【図4】図1に示した装置の部分拡大縦断面図である。
【図5】請求項3に記載の発明の1実施例を示し、基板
への塗布液塗布装置の要部の構成を示す縦断面図であ
る。
【図6】図5に示した装置の正面図である。
【図7】図5に示した装置の部分拡大縦断面図である。
【図8】請求項5に記載の発明の1実施例を示し、基板
への塗布液塗布装置の要部の部分拡大縦断面図である。
【図9】請求項5に記載の発明の別の実施例を示し、基
板への塗布液塗布装置の要部の部分拡大縦断面図であ
る。
【図10】請求項5に記載の発明の、図8及び図9に示
したものとは異なる実施例を示し、基板への塗布液塗布
装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【図11】請求項5に記載の発明の、図8、図9及び図
10に示したものとはさらに異なる実施例を示し、基板
への塗布液塗布装置の要部の部分拡大縦断面図である。
【図12】図1に示した塗布装置における問題点を説明
するための部分拡大縦断面図である。
【図13】同じく、図1に示した塗布装置における問題
点を説明するための部分拡大縦断面図である。
【図14】同じく、図1に示した塗布装置における問題
点を説明するための部分拡大縦断面図である。
【図15】請求項2に記載の発明の1実施例を示し、基
板への塗布液塗布装置の要部の構成を示す縦断面図であ
る。
【図16】図15に示した装置の正面図である。
【図17】図15に示した装置の上面図である。
【図18】図15に示した装置の部分拡大縦断面図であ
る。
【図19】請求項9に記載の発明の1実施例を示す塗布
液塗布装置の部分拡大縦断面図である。
【図20】請求項8に記載の発明の1実施例を示す塗布
液塗布装置の部分拡大縦断面図である。
【図21】請求項12に記載の発明の1実施例を示す塗
布液塗布装置の要部の構成の縦断面図である。
【図22】図21に示した装置の正面図である。
【図23】請求項13に記載の発明の1実施例を示す塗
布液塗布装置の要部の構成の側面図である。
【図24】図23に示した装置の正面図である。
【図25】請求項15に記載の発明の1実施例を示す塗
布液塗布装置の部分拡大縦断面図である。
【図26】請求項15に記載の発明の別の実施例を示す
塗布液塗布装置の部分拡大縦断面図である。
【図27】図15ないし図18に示した塗布装置を使用
して被塗布基板の被塗布面へ塗布液を塗布する場合にお
ける塗布塗布終了状態の1例を示す部分拡大縦断面図で
ある。
【図28】同じく、塗布終了状態の別の例を示す部分拡
大縦断面図である。
【図29】同じく、塗布終了状態のさらに別の例を示す
部分拡大縦断面図である。
【図30】被塗布基板の被塗布面への塗布液の塗布工程
において、塗布終了位置で発生する不具合について説明
するための部分拡大縦断面図である。
【図31】同じく、塗布終了位置で発生する不具合につ
いて説明するための部分拡大縦断面図である。
【図32】請求項16ないし請求項18に記載の各発明
の1実施例を示す塗布液塗布装置の要部の構成の側面図
である。
【図33】図32に示した装置の正面図である。
【図34】請求項21に記載の発明の1実施例を示す塗
布液塗布装置の要部の構成の縦断面図である。
【図35】図34に示した装置の正面図である。
【符号の説明】
10 被塗布基板 12、162、166、232 ステージ(基板保持台) 14、54、74、84、104、124、144、174、204 塗布液槽 16、56、76、86、106、126、146、176、206 前面壁部 18、58、78、88、108、128、148、178、208 塗布液流
出路 20、60、90、110 前面壁部の前端面 22、62、92、112 隙間 24、64、94、114、134、154、184、214 塗布液流出路
の前端面側出口 26、66、96、116、136、156、186 塗布液流出路の入口 28 塗布液 30 圧力設定系 32 塗布液供給系 42 塗布液の液面検知用の検出器 44、68、98、118、138、158、188、218 塗布液の液溜
り 48 塗布液膜 120、140、160、190、220 液溜り上方の、塗布液の無
い空間 130a、150a、180a、210a 前面壁部の前端面下部 130b、150b、180b、210b 前面壁部の前端面上部 132a、152a、182a、212a 下部隙間 132b、152b、182b、212b 上部隙間 164 ステージの貫通穴 192、222 塗布液槽の貫通穴 194、224 透明ガラス板 226 反射ミラー 234 洗浄液供給ノズル 236 回収容器 238 気体吹出し槽 240 スリット状ノズル

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きに傾斜するように、多数の
    細管、多数の微小孔又はスリット状細溝ノズルからなる
    塗布液流出路が幅方向にわたって形成され、前記前面壁
    部の前端面が、基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面に非接触でかつ近接するように水平方向に配設
    され、前面壁部の前端面の下端が、前記塗布液流出路の
    前端面側出口とその反対側の入口との間の高さに位置す
    るように形成されるとともに、前面壁部の前端面の上端
    が、基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と
    前面壁部の前端面との間の隙間を上方へ無限に延長させ
    たと仮定した場合に前記塗布液流出路を通って流出し前
    記隙間内に流入した塗布液が少なくとも毛細管作用によ
    って隙間内を上昇するときの到達高さ位置と塗布液流出
    路の前端面側出口との間に位置するように形成され、前
    面壁部の前端面と被塗布基板の被塗布面との間に隙間を
    保ったまま被塗布基板に対しその縦方向に相対的に移動
    自在に保持された塗布液槽と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路の前端面側出口と
    前記前面壁部の前端面の下端との間の高さに塗布液面が
    位置するように塗布液を注入したときに、前記基板保持
    手段に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前
    端面との間の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面
    壁部の前端面の下端及び上端で流動がそれぞれ規制され
    た塗布液の液溜りが形成されるとともに、その隙間にお
    ける液溜りの塗布液が被塗布基板の被塗布面に塗布され
    て消費される量に応じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流
    出路を通って供給されるように、塗布液槽内の圧力を調
    整する圧力調整手段とからなる、基板への塗布液塗布装
    置。
  2. 【請求項2】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きに傾斜するように、多数の
    細管、多数の微小孔又はスリット状細溝ノズルからなる
    塗布液流出路が幅方向にわたって形成され、前記前面壁
    部の前端面が、基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面に非接触でかつ近接するように水平方向に配設
    され、前面壁部の前端面の下端が、前記塗布液流出路の
    前端面側出口とその反対側の入口との間の高さに位置す
    るように形成されるとともに、前面壁部の前端面の上端
    が、基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と
    前面壁部の前端面との間の隙間を上方へ無限に延長させ
    たと仮定した場合に前記塗布液流出路を通って流出し前
    記隙間内に流入した塗布液が少なくとも毛細管作用によ
    って隙間内を上昇するときの到達高さ位置より上方に位
    置するように形成され、前面壁部の前端面と被塗布基板
    の被塗布面との間に隙間を保ったまま被塗布基板に対し
    その縦方向に相対的に移動自在に保持された塗布液槽
    と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路の前端面側出口と
    前記前面壁部の前端面の下端との間の高さに塗布液面が
    位置するように塗布液を注入したときに、前記基板保持
    手段に保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前
    端面との間の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面
    壁部の前端面の下端で流動が規制された塗布液の液溜り
    が形成され、かつ、その液溜りの上方に塗布液が無い空
    間が形成されるとともに、その隙間における液溜りの塗
    布液が被塗布基板の被塗布面に塗布されて消費される量
    に応じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を通って供
    給されるように、塗布液槽内の圧力を調整する圧力調整
    手段とからなる、基板への塗布液塗布装置。
  3. 【請求項3】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きに傾斜するように、多数の
    細管、多数の微小孔又はスリット状細溝ノズルからなる
    塗布液流出路が幅方向にわたって形成され、前記前面壁
    部の前端面が、基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面に非接触でかつ近接するように水平方向に配設
    され、前面壁部の前端面の下端が、前記塗布液流出路の
    入口より下方に位置するように形成されるとともに、前
    面壁部の前端面の上端が、基板保持手段に保持された被
    塗布基板の被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間を
    上方へ無限に延長させたと仮定した場合に前記塗布液流
    出路を通って流出し前記隙間内に流入した塗布液が少な
    くとも毛細管作用によって隙間内を上昇するときの到達
    高さ位置と塗布液流出路の前端面側出口との間に位置す
    るように形成され、前面壁部の前端面と被塗布基板の被
    塗布面との間に隙間を保ったまま被塗布基板に対しその
    縦方向に相対的に移動自在に保持された塗布液槽と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路の前端面側出口と
    その反対側の入口との間の高さに塗布液面が位置するよ
    うに塗布液を注入したときに、前記基板保持手段に保持
    された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前端面との間
    の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面壁部の前端
    面の下端及び上端で流動がそれぞれ規制された塗布液の
    液溜りが形成されるとともに、その隙間における液溜り
    の塗布液が被塗布基板の被塗布面に塗布されて消費され
    る量に応じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を通っ
    て供給されるように、塗布液槽内の圧力を調整する圧力
    調整手段とからなる、基板への塗布液塗布装置。
  4. 【請求項4】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きに傾斜するように、多数の
    細管、多数の微小孔又はスリット状細溝ノズルからなる
    塗布液流出路が幅方向にわたって形成され、前記前面壁
    部の前端面が、基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面に非接触でかつ近接するように水平方向に配設
    され、前面壁部の前端面の下端が、前記塗布液流出路の
    入口より下方に位置するように形成されるとともに、前
    面壁部の前端面の上端が、基板保持手段に保持された被
    塗布基板の被塗布面と前面壁部の前端面との間の隙間を
    上方へ無限に延長させたと仮定した場合に前記塗布液流
    出路を通って流出し前記隙間内に流入した塗布液が少な
    くとも毛細管作用によって隙間内を上昇するときの到達
    高さ位置より上方に位置するように形成され、前面壁部
    の前端面と被塗布基板の被塗布面との間に隙間を保った
    まま被塗布基板に対しその縦方向に相対的に移動自在に
    保持された塗布液槽と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路の前端面側出口と
    その反対側の入口との間の高さに塗布液面が位置するよ
    うに塗布液を注入したときに、前記基板保持手段に保持
    された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前端面との間
    の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面壁部の前端
    面の下端で流動が規制された塗布液の液溜りが形成さ
    れ、かつ、その液溜りの上方に塗布液が無い空間が形成
    されるとともに、その隙間における液溜りの塗布液が被
    塗布基板の被塗布面に塗布されて消費される量に応じ、
    塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を通って供給される
    ように、塗布液槽内の圧力を調整する圧力調整手段とか
    らなる、基板への塗布液塗布装置。
  5. 【請求項5】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きもしくは下向きに傾斜する
    ように又は水平方向に、多数の細管、多数の微小孔又は
    スリット状細溝ノズルからなる塗布液流出路が幅方向に
    わたって形成され、前記前面壁部の前端面が、基板保持
    手段に保持された被塗布基板の被塗布面に非接触でかつ
    近接するように水平方向に配設され、前面壁部の前端面
    の下端が、前記塗布液流出路の前端面側出口より下方に
    位置するように形成されるとともに、前面壁部の前端面
    の上端が、基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗
    布面と前面壁部の前端面との間の隙間を上方へ無限に延
    長させたと仮定した場合に前記塗布液流出路を通って流
    出し前記隙間内に流入した塗布液が少なくとも毛細管作
    用によって隙間内を上昇するときの到達高さ位置と塗布
    液流出路の前端面側出口との間に位置するように形成さ
    れ、前面壁部の前端面と被塗布基板の被塗布面との間に
    隙間を保ったまま被塗布基板に対しその縦方向に相対的
    に移動自在に保持された塗布液槽と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路が前面壁部の前端
    側へ上向きに傾斜するように又は水平方向に形成されて
    いる場合は塗布液流出路の前端面側出口より上方に塗布
    液面が位置するように、塗布液流出路が前面壁部の前端
    側へ下向きに傾斜するように形成されている場合は塗布
    液流出路の入口より上方に塗布液面が位置するように、
    それぞれ塗布液を注入したときに、前記基板保持手段に
    保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前端面と
    の間の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面壁部の
    前端面の下端及び上端で流動がそれぞれ規制された塗布
    液の液溜りが形成されるとともに、その隙間における液
    溜りの塗布液が被塗布基板の被塗布面に塗布されて消費
    される量に応じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を
    通って供給されるように、塗布液槽内の圧力を調整する
    圧力調整手段とからなる、基板への塗布液塗布装置。
  6. 【請求項6】 被塗布基板を鉛直姿勢又は傾斜した姿勢
    に保持する基板保持手段と、 両端が閉塞され前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板の幅方向に延在する筒状をなし、前面壁部にそれを貫
    通しかつその前端側へ上向きもしくは下向きに傾斜する
    ように又は水平方向に、多数の細管、多数の微小孔又は
    スリット状細溝ノズルからなる塗布液流出路が幅方向に
    わたって形成され、前記前面壁部の前端面が、基板保持
    手段に保持された被塗布基板の被塗布面に非接触でかつ
    近接するように水平方向に配設され、前面壁部の前端面
    の下端が、前記塗布液流出路の前端面側出口より下方に
    位置するように形成されるとともに、前面壁部の前端面
    の上端が、基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗
    布面と前面壁部の前端面との間の隙間を上方へ無限に延
    長させたと仮定した場合に前記塗布液流出路を通って流
    出し前記隙間内に流入した塗布液が少なくとも毛細管作
    用によって隙間内を上昇するときの到達高さ位置より上
    方に位置するように形成され、前面壁部の前端面と被塗
    布基板の被塗布面との間に隙間を保ったまま被塗布基板
    に対しその縦方向に相対的に移動自在に保持された塗布
    液槽と、 この塗布液槽と前記基板保持手段に保持された被塗布基
    板とを相対的に直線的に移動させる直動手段と、 前記塗布液槽内に、前記塗布液流出路が前面壁部の前端
    側へ上向きに傾斜するように又は水平方向に形成されて
    いる場合は塗布液流出路の前端面側出口より上方に塗布
    液面が位置するように、塗布液流出路が前面壁部の前端
    側へ下向きに傾斜するように形成されている場合は塗布
    液流出路の入口より上方に塗布液面が位置するように、
    それぞれ塗布液を注入したときに、前記基板保持手段に
    保持された被塗布基板の被塗布面と塗布液槽の前端面と
    の間の隙間に、塗布液流出路を通って流出し前面壁部の
    前端面の下端で流動が規制された塗布液の液溜りが形成
    され、かつ、その液溜りの上方に塗布液が無い空間が形
    成されるとともに、その隙間における液溜りの塗布液が
    被塗布基板の被塗布面に塗布されて消費される量に応
    じ、塗布液槽内の塗布液が塗布液流出路を通って供給さ
    れるように、塗布液槽内の圧力を調整する圧力調整手段
    とからなる、基板への塗布液塗布装置。
  7. 【請求項7】 基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間の隙間
    が、塗布液流出路の前端面側出口より上側において少な
    くとも部分的に相対的に広く形成された請求項2、請求
    項4又は請求項6記載の、基板への塗布液塗布装置。
  8. 【請求項8】 塗布液槽の前面壁部の前端面が、前端面
    下部とこの前端面下部より凹んだ前端面上部とからなる
    段付き面に形成され、 基板保持手段に保持された被塗布基板の被塗布面と前記
    前端面上部との間の隙間が、被塗布面と前記前端面下部
    との間の隙間より広く形成された請求項7記載の、基板
    への塗布液塗布装置。
  9. 【請求項9】 塗布液槽の前面壁部の前端面下部と前端
    面上部との境界部に塗布液流出路の前端面側出口が位置
    するようにされた請求項8記載の、基板への塗布液塗布
    装置。
  10. 【請求項10】 基板保持手段に保持された被塗布基板
    の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間に形成
    される隙間へ塗布液流出路を通し塗布液を流出させて前
    記隙間に塗布液の液溜りを形成させる際に、塗布液槽内
    の圧力を上昇させて少なくとも液溜りの一部を形成させ
    るように圧力調整手段を構成した請求項1ないし請求項
    9のいずれかに記載の、基板への塗布液塗布装置。
  11. 【請求項11】 塗布液槽と被塗布基板とを相対的に移
    動させる前に、基板保持手段に保持された被塗布基板の
    被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間に形成さ
    れる隙間に塗布液の液溜りが形成されたことを確認する
    ための手段が設けられた請求項1ないし請求項10のい
    ずれかに記載の、基板への塗布液塗布装置。
  12. 【請求項12】 被塗布基板が透明であり、 基板保持手段が、被塗布基板を保持する保持板からな
    り、その保持板の、少なくとも塗布開始位置に対応する
    部位に、被塗布基板の被塗布面の反対面側から塗布液槽
    の前面壁部の前端面を観察することができるように貫通
    穴が形成された請求項11記載の、基板への塗布液塗布
    装置。
  13. 【請求項13】 被塗布基板が透明であり、 基板保持手段が、被塗布基板を保持する保持板からな
    り、被塗布基板の、少なくとも塗布開始位置である上端
    部分が、被塗布基板の被塗布面の反対面側から塗布液槽
    の前面壁部の前端面を観察することができるように前記
    保持板の上端より突出した状態で被塗布基板が保持され
    た請求項11記載の、基板への塗布液塗布装置。
  14. 【請求項14】 被塗布基板が透明であり、 基板保持手段が、被塗布基板を保持する保持板からな
    り、その保持板の、少なくとも塗布開始位置に対応する
    部位が、被塗布基板の被塗布面の反対面側から塗布液槽
    の前面壁部の前端面を観察することができるように透明
    材料で形成された請求項11記載の、基板への塗布液塗
    布装置。
  15. 【請求項15】 塗布液槽の前面壁部の前端面側の少な
    くとも一部が透明部材で形成され、その透明部材を通し
    て少なくとも液溜りの上端部分が観察されるようにした
    請求項11記載の、基板への塗布液塗布装置。
  16. 【請求項16】 基板保持手段が、被塗布基板を保持す
    る保持板からなり、被塗布基板の塗布終了位置側である
    下端部分が、塗布液の流下により前記保持板の表面及び
    /又は被塗布基板の被塗布面の反対面側に塗布液が付着
    するのを防止することができるように保持板の下端より
    突出した状態で被塗布基板が保持された請求項1ないし
    請求項15記載の、基板への塗布液塗布装置。
  17. 【請求項17】 被塗布基板の、保持板の下端より突出
    した下端部分の被塗布面の反対面側の少なくとも一部を
    洗浄するための洗浄手段が設けられた請求項16記載
    の、基板への塗布液塗布装置。
  18. 【請求項18】 被塗布基板の直下位置に、被塗布基板
    から流下した塗布液を回収するための回収容器が配設さ
    れた請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の、基
    板への塗布液塗布装置。
  19. 【請求項19】 基板保持手段に保持された被塗布基板
    の被塗布面と塗布液槽の前面壁部の前端面との間に形成
    される隙間へ塗布液流出路を通し塗布液を流出させて前
    記隙間に形成された塗布液の液溜りを、塗布液槽と被塗
    布基板とを相対的に移動させて行なう被塗布基板への塗
    布液の塗布終了時において、塗布液槽内を減圧して前記
    塗布液流出路を通し塗布液槽内へ回収するようにする減
    圧手段が設けられた請求項1ないし請求項18のいずれ
    かに記載の、基板への塗布液塗布装置。
  20. 【請求項20】 塗布液槽と被塗布基板とを相対的に移
    動させて被塗布基板へ塗布液を塗布している途上又は被
    塗布基板への塗布液の塗布が終了した後において、被塗
    布基板の被塗布面に塗布された塗布液膜に向けて気体を
    吹き出す気体吹出し手段が配設された請求項1ないし請
    求項19のいずれかに記載の、基板への塗布液塗布装
    置。
  21. 【請求項21】 気体吹出し手段が、塗布液槽の、被塗
    布基板に対する相対的移動方向における後方側に塗布液
    槽と一体的に移動可能に配設され、被塗布基板の被塗布
    面に塗布された直後の塗布液膜に向けて気体を吹き出す
    ように可動とされた請求項20記載の、基板への塗布液
    塗布装置。
  22. 【請求項22】 気体吹出し手段が、被塗布基板の上方
    側、下方側及び側方側のうちの少なくともいずれか一方
    向から、被塗布基板の被塗布面に塗布された塗布液膜に
    向けて気体を吹き出すように固定された請求項20記載
    の、基板への塗布液塗布装置。
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