JPH08102279A - マイクロ波プラズマ生成装置 - Google Patents

マイクロ波プラズマ生成装置

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JPH08102279A
JPH08102279A JP6237378A JP23737894A JPH08102279A JP H08102279 A JPH08102279 A JP H08102279A JP 6237378 A JP6237378 A JP 6237378A JP 23737894 A JP23737894 A JP 23737894A JP H08102279 A JPH08102279 A JP H08102279A
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space chamber
magnetic field
plasma generation
plasma
heating space
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JP6237378A
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Satoshi Ichimura
智 市村
Tadashi Sato
忠 佐藤
Takashi Iga
尚 伊賀
Kenichi Natsui
健一 夏井
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Hitachi Ltd
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    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/32009Arrangements for generation of plasma specially adapted for examination or treatment of objects, e.g. plasma sources
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    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石の小形にして大形化に伴う問題を解
消すること。 【構成】 永久磁石3が電子加熱空間室部1において誘
電体6のマイクロ波導出部6aで電子サイクロトロン共
鳴磁場を越える大きさの磁場を形成すると共に、そこか
ら電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部2との境
界付近の点14で0の磁場となるので、永久磁石3によ
る磁場強度分布が急峻に減衰し、そのため、電子サイク
ロトロン共鳴層12の位置12a〜12cでは、マイク
ロ波のほとんどを電子に吸収させて電子を加熱すること
ができる結果、高エネルギー電子にさせることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波を伝送して
プラズマを発生させ、該プラズマ中のイオンを対象物に
照射して対象物の表面を所望形状に処理するマイクロ波
プラズマ生成装置に係り、特に永久磁石を使用して電子
サイクロトロン共鳴磁場を越える強度の磁場強度分布を
得るのに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のマイクロ波プラズマ生成装置の
従来技術としては、例えば、「ジャーナル オブ バキ
ューム サイエンス アンド テクノロジー(J.Va
c.Sci.Technol.B9(1),Jan/F
eb 1991」の第26頁〜第28頁において報告さ
れてたものがある。これには、同誌第29〜第33頁に
記載され、かつ第一の静磁場発生手段として使用されて
いるソレノイドコイルが形成する磁場と同様な磁場を、
永久磁石によって実現できることが記載されている。こ
の例では、ソレノイドコイル磁場に置き換えるため、永
久磁石が巨大なものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術で
は、第一の静磁場発生手段としての永久磁石が巨大なも
のとなっているので、以下に述べる問題点がある。即
ち、まず、永久磁石の製造コストがそれだけ高くなる問
題がある。また永久磁石から離れた位置の磁場の減衰割
合が小さく、被処理物上で大きな磁場が残留することと
なり、そのため、磁場に敏感な物質として、例えば磁性
膜の加工等には不向きとなる問題がある。さらに、巨大
な永久磁石では磁場強度の減衰が小さく、空間における
磁場勾配がなだらかなため、マイクロ波の伝搬,吸収の
空間的変動が大きく、放電が不安定になると云う問題も
ある。そして、イオン源として利用した場合、イオン引
き出し電極付近に磁場が残留するため、イオンの軌道が
曲げられる結果、イオンビームが発散すると云う問題が
ある。しかも、イオンビームを被処理物に照射する際、
被処理部が帯電しないように同量の電子で中和する必要
があるが、電子は磁場を横断することが難しいため、イ
オンビームの外周から電子を供給しようとすると、ビー
ムの中心部まで十分に電子を供給することができない問
題がある。
【0004】一般に、プラズマの質という点では、プラ
ズマを大面積で均一にするため、第一の静磁場発生手段
による強磁場中で生成されたプラズマを、第二の静磁場
発生手段による表面磁場に囲まれた弱磁場領域に拡散さ
せているので、大多数の生成イオンが磁場を横切ること
になり、プラズマ電位の勾配で加速されたイオンが熱化
されるため、イオンは高い。また、磁場中でのサイクロ
トロン半径の相違から、イオン種の分離が生じ、これに
加え、プラズマ処理装置とした場合には、プラズマと同
時に生成されるラジカルが、電磁場によって一様化され
ないため、プラズマ処理が不均一になると云う問題もあ
る。
【0005】本発明の目的は、上記従来技術の問題点に
鑑み、永久磁石を小形化して安価でかつ磁性膜の加工用
途にも確実に利用することができ、また広範囲で均一な
プラズマを安定して生成することができるマイクロ波プ
ラズマ生成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、マイ
クロ波を導入する導波管と、該導波管内の誘電体より下
流側の位置に形成された電子加熱空間室部と、電子加熱
空間室部に連結されたプラズマ生成空間室部と、電子加
熱空間室部の外周を永久磁石により取り囲み、かつ電子
加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向に沿ってかつ前
記誘電体のマイクロ波導出部おいて電子サイクロトロン
共鳴磁場強度を越える強磁場を形成すると共に、誘電体
のマイクロ波導出部から電子加熱空間室部とプラズマ生
成空間室部との境界部分との間で急峻に磁場が立ち下が
り、さらに電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部と
の境界部分からプラズマ生成空間室部方向に向かうに従
い前記強磁場と方向が反転するカスプ状磁場を形成させ
る第一の静磁場発生手段と、プラズマ生成空間室の周囲
に互いに極性を順次違えて配置された永久磁石からなる
第二の静磁場発生手段とを有することを特徴とするもの
である。
【0007】
【作用】本発明では、マイクロ波を導波管に供給する
と、該導波管によりマイクロ波の基本モードのみが伝送
されるが、その際、上述の如く、導波管の誘電体より下
流側には電子加熱空間室部が形成され、該空間室部を導
波管内に設けることによって小断面積となるので、該電
子加熱空間室部に強電界のマイクロ波を安定して導入す
ることができる。このような電子加熱空間室部が小断面
積であると、その周囲に配設された第一の静磁場発生手
段としての永久磁石を小さい形状にすることができ、従
って、従来技術のように大形の永久磁石を用いる必要が
ない。
【0008】しかも、上述の如き第一の静磁場発生手段
としての永久磁石は、電子加熱空間室部においてマイク
ロ波波長の大きさより磁場勾配が急峻に変化する磁場を
形成するので、換言すれば、プラズマの状態に応じて変
動する特性的な磁場強度、例えば最もマイクロ波の吸収
されやすい磁場強度の変動がもたらすマイクロ波吸収位
置の空間的変動が、マイクロ波長に比べて小さいため、
マイクロ波の伝搬,吸収に関わる不安定要素を極力なく
すことができ、高電界のマイクロ波を確実にかつ安定し
て得ることができる。そして、電子加熱空間室部でその
マイクロ波のほとんどを電子に吸収させて加熱すること
ができ、高エネルギー電子にすることができる。その
際、第一の静磁場発生手段としての永久磁石が、上述の
如く、電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境
界部分からさらに下流側では磁場の方向が逆向きとなる
カプス状磁場を形成するので、電子加熱空間室部の軸心
に近い電子はプラズマ生成空間室部へ向かって拡散しや
すくなる。これに加え、プラズマ生成空間室部では永久
磁石と距離を隔てるほど永久磁石による磁場の影響を受
けることがなくなるので、プラズマ生成空間室部に導入
しかつ拡散された高エネルギー電子は、プラズマ生成空
間室部内で中性粒子に衝突して電離することにより、広
範囲に渡り均一なプラズマを生成することができる。し
かも、プラズマ生成空間室部の周囲には第二の静磁場発
生手段として、互いに隣接する永久磁石の磁極が反対と
なるように永久磁石が複数配列されているので、拡散さ
れた高エネルギー電子のみならず、該高エネルギー電子
によって生成されたプラズマを効率的に閉じ込めること
ができ、プラズマ生成空間室部で高密度のプラズマを形
成することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図14によ
り説明する。図1乃至図4は本発明の第一の実施例を示
している。実施例のマイクロ波プラズマ生成装置は、図
4に示すように、導波管5と、該導波管5の下流側に連
結された放電室100と、該放電室の下流側に連結され
た処理室23とを有している。そして、放電室100及
び処理室23の双方を図示しない排気系により真空引き
した後、放電室100にガス導入手段7からアルゴンガ
スのような特定ガスを導入して放電室内をそのガス雰囲
気中にしておき、ガス雰囲気中で導波管5によりマイク
ロ波を導入し、放電室内でマイクロ波放電を起こしてプ
ラズマを生成すると、生成したプラズマ中から、放電室
100と処理室23との境界部に設けられたビーム引き
出し電極11により、イオンをビームとして引き出し、
引き出されたイオンビームが基板20に照射されること
により、基板の表面を所望形状に形成する。導波管5
は、ステンレスのような非磁性材により形成されて横幅
の小さい矩形状(横幅27mm,奥行き96mm)をな
しており、途中位置に放電室100の気密を保持し得る
ように誘電体6が設置され、図示しない上端側から一般
的に使用される周波数2.45GHzのマイクロ波が導
入されると、基本モード(TE10モード)のマイクロ波
のみをその下端側に伝送するようになっている。誘電体
6は通常では、石英やアルミナ等のセラミックスからな
っている。
【0010】実施例では、前記放電室100として、導
波管5の一部を利用したものであって、電子加熱空間室
部1とプラズマ生成空間室部2とを有して形成されてい
る。電子加熱空間室部1は、図2及び図3に示すよう
に、導波管5内において誘電体6より下流側の位置に形
成された小断面積形状のものであって、導波管5にマイ
クロ波を導入したとき、導波管5内に形成された小断面
形状となることによって電子加熱空間室部を通るマイク
ロ波を強電界にさせるようにしており、前述の如き矩形
をなす導波管5において、軸方向に約30mm程度の長
さをなしている。プラズマ生成空間室部2は、ステンレ
ス等の非磁性材により円形の上壁8aとその周壁8bと
を有して中空に形成され、加熱空間室部より遙かに大き
い空間(内径400mm,高さ200mm)を有して、
その中心軸が加熱空間室部1及び導波管5の中心軸心と
一致している。また電子加熱空間室部1の外周には、第
一の静磁場発生手段としての永久磁石3が配設されてい
る。該永久磁石3は、残留磁束密度の大きい(約110
00G)サマリウム・コバルト等からなっており、図3
に示すように、導波管5の外周を取り囲むように複数配
列されると共に、図2に示すように導波管5の外周にお
いて誘導体6側からその下流端まで軸方向の長さに沿っ
て設けられ、図1及び図2に網線にて示す如く、マイク
ロ波の伝送方向に沿う磁場を形成するようにしている。
その際、磁場は電子加熱空間室部1内では、図2(a)
及び(c)に示すように、誘電体6のマイクロ波導出部
6aにおいて、電子サイクロトロン共鳴磁場強度(87
5G)を越える大きさの磁場(本例では約950G)と
なり、かつそこから下流側に向かって急峻に弱くなると
共に、電子加熱空間室部1の末端側とプラズマ生成空間
室部2との境界付近の点14で0となり、さらにプラズ
マ生成空間室部2に至るそれより下流側においては磁場
の向きが反転するカプス状磁場を形成し得るように構成
されている。また、磁場強度が誘電体6のマイクロ波導
出部6aから電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部
との境界付近の点14に立ち下がるまでの距離は、導波
管5に供給されるマイクロ波の波長の長さより小さいこ
とが好ましい。このような磁場を形成する永久磁石3
は、本例では厚み6mm,磁化方向長さ50mm,周長
約300mmの大きさである。
【0011】また、プラズマ生成空間室部2の外周には
第二の静磁場発生手段としての永久磁石4が複数配列さ
れている。これら複数の永久磁石4は、第一の静磁場発
生手段としての永久磁石3と同様の材質からなり、プラ
ズマ生成空間室部2の上壁8aにおいては図3に示すよ
うに、所定の間隔を隔てると共にプラズマ生成空間室部
2の周囲に沿って夫々設けられる第一永久磁石部4a
と、プラズマ生成空間室部2の周壁8bにおいても所定
の間隔をもってかつその周壁8bに沿って夫々設けられ
た第二永久磁石4b部とからなっている。そして、これ
ら永久磁石4の夫々が互いに磁極を反対向きにして配置
されている。即ち、上壁8aにおいては図1及び図3に
示すように、第一永久磁石部4aの一番目が永久磁石3
の磁極と逆向きとなるように上部をS極にすると共に下
部をN極とし、第一永久磁石部4aの二番目が前記一番
目の第一永久磁石部4aと逆向きとなるように上部をN
極にすると共に下部をS極とし、また周壁8bにおいて
もそれと同様となるように磁極を違えて第二永久磁石部
4bを順次配列し、これよってプラズマ生成空間室部2
内に多極磁場を形成しつつ、空間の広い範囲を弱磁場領
域としている。参考までに述べると、本例ではプラズマ
生成空間室部2の中心部では20G程度、ビーム引き出
し電極11の位置では10G以下となっている。なお図
1において、符号9は複数の永久磁石4によって形成さ
れる磁力線を表している。
【0012】実施例のプラズマ生成装置は、上記の如き
構成よりなるので、次にその作用について説明する。電
子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部2とからなる
放電室100がガス雰囲気中にあるとき、導波管5に周
波数2.45GHzのマイクロ波を供給すると、導波管
5が基本モードのみを伝送する。このマイクロ波伝送モ
ードにおける電界方向は導波管5の幅方向と一致してい
る。上記マイクロ波の伝送時、導波管5内において誘電
体6より下流側に電子加熱空間室部1が形成され、該空
間室部1が小断面積となることにより、該電子加熱空間
室部1に強電界のマイクロ波を安定して導入することが
できる。このような電子加熱空間室部1が小断面積であ
ると、その周囲に配設された第一の静磁場発生手段とし
ての永久磁石3を小さい形状にすることができ、そのた
め、従来技術のように大形の永久磁石を用いることが不
要になる。なお、本実施例では、幅27mm,奥行き9
6mmからなる導波管5及び長さ約30mmの電子加熱
空間1を用いた場合、マイクロ波入射電力400Wに対
し、マイクロ波電界強度の導波管断面内平均値として約
80V/cmを実現できた。
【0013】そして、永久磁石3は、電子加熱空間室部
1において誘電体6のマイクロ波導出部6aで電子サイ
クロトロン共鳴磁場を越える大きさの磁場を形成すると
共に、そこから電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間
室部2との境界付近の点14で磁場強度が0となり、永
久磁石3による磁場強度分布が急峻に減衰することとな
る。そのため、電子サイクロトロン共鳴層12の厚みが
薄く、マイクロ波電界強度当たりの電子加熱能力が小さ
いものとなるものの、電界強度自体を十分強電界にして
いるためにその電子サイクロトロン共鳴層12の位置1
2a〜12cで、マイクロ波のほとんどを電子に吸収さ
せて電子を加熱することができる結果、高エネルギー電
子にさせることができる。なお、ここで云う高エネルギ
ー電子と呼ぶのは、ガスを電離することが可能でかつ約
10eV以上のエネルギーをもった電子であり、ガスを
電離し得ない程度の電子とは当然異なる。また永久磁石
3による磁場強度分布曲線は、図2(c)に示す如く、
電子加熱空間室部1において誘電体6のマイクロ波導出
部6aとプラズマ生成空間室部2の境界付近の点14と
の間で急峻に立ち下がり、その変化長がマイクロ波波長
の長さより小さくなるようにしているので、マイクロ波
の伝搬,吸収に関わる不安定要素を極力なくすことがで
き、高電界のマイクロ波を確実にかつ安定して得ること
ができる。
【0014】一般に、電子は強磁場となるところではほ
ぼ磁力線に沿って移動するのであるが、磁場が弱い領域
では磁力線を横断することが容易にできる。そのため、
電子加熱空間室部1においてその末端側では、即ち、電
子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部2との境界付
近の点14に存在する電子は、カスプ状磁場を往来する
ことが可能となる。その場合、電子が電子サイクルトロ
ン共鳴層12のうち、位置12aまたは位置12bの部
分を通過すると、加熱されて高エネルギー化するので、
該高エネルギー化した電子は、上記カスプ状磁場の領域
に沿って拡散し、しかもその領域を動きまわる間に中性
粒子と衝突して電離し、プラズマを生成する。そして、
このとき生成された低エネルギー電子は、多極カスプ状
磁場の領域を移動しているうちに電子加熱空間室部1内
に入り込み、また電子サイクロトロン共鳴層12の位置
12a,12bを通過することによって加熱され、高エ
ネルギー電子となって電離を担うようになるのである。
その際、永久磁石3が電子加熱空間室部1とプラズマ生
成空間室部2との境界付近の点14で磁場強度が0とな
る部分からさらに下流側では図2(a)及び(c)に示
す如く、磁場方向が反転するカスプ状磁場を形成するの
で、電子加熱空室部1からプラズマ生成空間室部2に向
かう高エネルギー電子の電流密度は、同図(b)に示す
ように電子加熱空間室部1の中心軸状にピークをもった
ものとなり、そのため、電子加熱空間室部1から遠ざか
る領域、即ちプラズマ生成空間室部2内の弱磁場領域で
のプラズマ生成を促進させることができる。実験によれ
ば、放電室100のアルゴンガス圧1.0×10-4To
rr、マイクロ波投入電力400Wの条件で、ビーム引
き出し電極位置に350mmの金属プレートを置いたと
き、その金属プレートで捕集されたイオン電流量が3A
となり、この値は、電子加熱空間室部1に前記ガス雰囲
気中で流れ込む中性ガスの全てが一価電離されたと仮定
したときの電子加熱空間室部でのイオンの生成量(0.
15A)の20倍にもなることが確認された。
【0015】一般に、高真空(1×10-5〜1×10-3
Torr)下では、電子が中性粒子を電離するのに要す
る平均自由行程が数mから数十mにおよび、高エネルギ
ー電子が中性粒子を電離するまでにプラズマ生成空間室
部2の多極カスプ状磁場に何度も反射されながら弱磁場
領域をランダムに動きまわる。このため、弱磁場領域で
はプラズマが均一に生成される。しかも、プラズマ生成
空間室2の周囲には第二の静磁場発生手段としての永久
磁石が複数配列されると共に、該夫々の隣接する永久磁
石が互いに磁極を違えて配置されることにより、多極カ
スプ状磁場を形成しているので、拡散された高エネルギ
ー電子のみならず、該高エネルギー電子によって生成さ
れたプラズマを効率的に生成空間室部2内に閉じ込めて
おくことができ、高密度のプラズマを確実に形成するこ
とができる。このような弱磁場領域で生成されたプラズ
マは、磁場に影響されることが少なく、イオン種分布が
均一でかつイオン温度の低い良好なものとなる。
【0016】ところで、プラズマ生成空間室部2におけ
る高エネルギー電子及びプラズマの閉じ込め量としては
磁石近傍の磁場が強いほど効率がよいことから、永久磁
石4の間近の部分で電子サイクロトロン共鳴磁場強度以
上に磁場が設定される場合がある。しかし本実施例で
は、上述の如く、導波管5の誘電体6より下流側に形成
された電子加熱空間室部1とこれの下流側に形成された
プラズマ生成空間室部2とで放電室100が形成され、
電子加熱空間室部1の外周に配設された永久磁石3によ
り、電子加熱空間室部1の上流側で強磁場を形成し、そ
こから下流側に至るに従い磁場を急峻に立ち下げてカス
プ状磁場を形成しているので、導波管5によってマイク
ロ波が供給されても、そのマイクロ波のほとんどが電子
加熱空間室部1で吸収されてしまうことにより、またプ
ラズマ生成空間室部2に漏れてきたマイクロ波があって
も、プラズマ生成空間室部2内の断面積が遙かに大き
く、電界強度が非常に弱いものとなることにより、プラ
ズマ生成空間室部2内において永久磁石4の間近に形成
される電子サイクロトロン共鳴層12での電子加熱はほ
とんど起きない。上述の如く生成されたプラズマ中から
図4に示す如く、ビーム引き出し電極11によってイオ
ンを引き出し、そのイオンビームを処理室23内の基板
20に照射すると、ビーム引き出し電極位置で磁場の影
響がほとんどないので、従来技術に比較し、ビーム引き
出しの際に問題となる磁場に起因した絶縁破壊やビーム
の発散を防止することができる。また磁場のほとんどな
い領域で生成されたプラズマ中のイオンは温度が低く、
指向性の高いブロードイオンビームを得ることができる
ので、図4に示す如きイオンビーム分布形状、即ち広範
囲に渡って均一な分布形状のイオンビームとなる。この
結果、直径300mmの基板20上では、イオンビーム
電流量のばらつきを±5%以下に抑えることができ、極
めて品質の高い処理を施すことができる。またさらに、
ビーム引き出し電極11位置では磁場の影響がほとんど
ないため、イオンビームの外周から電子を供給する方法
で行うことにより、イオンビームの中和が可能となる。
【0017】図5は本発明の第二の実施例を示してい
る。本実施例では、第一の磁場発生手段として永久磁石
3のみならず、該永久磁石3の周囲に配設されたソレノ
イドコイル13の双方によって構成されている。即ち、
この場合の永久磁石3は、前述した第一の実施例と同形
状のものであり、また磁場強度が第一の実施例のものに
比較し、電子加熱空間室部1の軸方向において図5
(b)に示す如く、全体的に1割5分程度減少させ、永
久磁石3単体では誘電体6のマイクロ波導出部6aで電
子サイクロトロン共鳴磁場強度より若干低くなるように
構成されている。一方、ソレノイドコイル13は、図5
(b)に示す如き磁場成分を有し、この磁場成分を、永
久磁石3による磁場成分に畳重することにより、同図に
太線にて示す如く、誘電体6のマイクロ波導出部6aに
て電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える磁場となる
ように構成されている。従って、永久磁石3とソレノイ
ドコイル13との双方により、電子加熱空間室部1にお
いて誘電体6のマイクロ波導出部6aでは電子サイクロ
トロン共鳴磁場強度以上となる強磁場を形成し、そこか
ら下流側となる電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間
室部2との境界付近の点14では急峻に立ち下がって磁
場強度が0となり、さらに下流側では強磁場と方向が異
なるカプス状磁場を形成するようにしている。なお、第
一の静磁場発生手段以外の部分については第一の実施例
と同様の構成であるので、ここではその説明を省略す
る。
【0018】上述の如く、永久磁石3とソレノイドコイ
ル13との双方によって形成される磁場は、永久磁石の
みで第一の静磁場発生手段を構成する第一の実施例に比
較すると、誘電体6のマイクロ波導出部6aでは共に同
様の強磁場となるものの、プラズマ生成空間室部2にお
ける磁場(カスプ状磁場)を第一の実施例よりいっそう
弱い磁場にすることができる。その理由としては、永久
磁石3の残留磁束密度そのものが第一の実施例のそれに
比較して若干小さいものであって、その永久磁石3から
距離的に遠ざかるにつれて磁場が小さくなること、また
永久磁石3の外周位置にソレノイドコイル13を配置す
ることにより、ソレノイドコイル13による磁場と永久
磁石3による磁場がプラズマ生成空間室部2において互
いに打ち消し合うことで磁場を確実に小さくできること
に起因する。そのため、プラズマ生成空間室部2におい
て弱磁場の領域が占める割合をいっそう大きくさせるこ
とができので、プラズマをより均一に生成することがで
きる。なお、実施例では、ソレノイドコイル13が断面
寸法50×20mmの銅巻線製のものであって、単位断
面積当たり約2A/mm2の電流を通電させて、誘電体
マイクロ波導出部6aで150G程度の磁場を発生させ
るように構成され、比較的小さいもので容易に磁場を形
成することができる。
【0019】図6は本発明の第三の実施例を示してい
る。この実施例では、導波管5に設置された誘電体6の
形状に工夫をこらしたものである。即ち、誘電体6のマ
イクロ波導出部6aの一部を、マイクロ波の導出方向に
沿ってかつ電子加熱空間室部1に向かって突出する突起
部6bが形成されている。この突起部6bは、第一の実
施例における際電子加熱空間室部1において、加熱され
て高エネルギー化した電子がプラズマ生成空間室部2に
向かうことがないような位置に相当する場所1cに配置
されている。従って、換言すれば、突起部6bは、プラ
ズマ生成空間室部2に向かって拡散せず、プラズマ生成
に寄与しない部分を塞いでいる。
【0020】前記のように、誘電体6の一部として突起
部6aを設けたことで、電子サイクロトロン共鳴層12
の位置12aと12bでの電子の加熱をより有効なもの
とすることができる。実際、1.0×10-4Torrの
アルゴンガス雰囲気中で、マイクロ波投入電力400W
の条件下では、ビーム引き出し電極位置に直径350m
mの金属プレートを置いた場合、該金属プレートから捕
集されたイオン電流量が4.5Aとなることが確認され
た。これは、同一条件のもとでイオン電流量3Aが得ら
れた第一の実施例に比較すると、1.5倍の値であり、
従って、加熱空間室部1ではより高エネルギー化した電
子を得ていると云える。なお、突起部6bは電子がプラ
ズマ生成空間室部2に向かうことがない位置1bをほぼ
全面的に塞いでいるが、図示の如く、プラズマ生成空間
室部2に向かうことがない若干の領域1cを残すと、該
領域1cの存在によってプラズマの点火を容易にしてプ
ラズマ放電を安定化させることができ、より安定化した
高エネルギー電子を得ることができる。なおこの場合、
上記領域1cによりマイクロ波の吸収割合としては、全
マイクロ波電力の1〜2割程度と推定される。
【0021】図7は本発明の第四の実施例を示してい
る。この実施例では、第一の実施例における電子加熱空
間室部1において電子がプラズマ生成空間室部2に向か
うことのない位置に相当する場所1cに、導波管5の内
壁の一部を膨出させて突起部5bを形成したものであ
る。即ち、この突起部5bは、逆台形形状に形成された
誘電体6の形状に対応し、下流側に沿って次第に膨出す
ると共に、その膨出端からそのままの大きさで若干軸方
向に沿う形状をなし、さらにその下流側に至るに従い電
子加熱空間室部1の空間断面積を拡開させた形状をなし
ている。このように導波管5の一部によって突起部5b
を形成しても、マイクロ波電力当たりのプラズマ生成効
率を確実に向上させることができ、ビーム引き出し電極
11に直径350mmの金属プレートを置いた場合、イ
オン電流量5Aを得ることが確認された。但し、第三及
び第四の実施例中、放電の安定化と云う点に関しては第
三の実施例の方が良好となった。また、処理室23内に
おける基板20の表面が導電性材料であって、これをイ
オンビームエッチング処理した場合、その基板表面から
導電性の粒子が飛来し、その飛来した粒子が誘電体6の
マイクロ波導出部6aに付着する結果、マイクロ波の導
入が困難となる場合が生じるが、この飛来粒子の付着抑
制効果に関しては、図7に示す第四の実施例の如く、突
起部5bを設けた電子加熱空間室部2の形状の方がより
効果的であった。このような放電の安定化及び飛来粒子
抑制効果は突起部6bと5bとの形状の相違によって異
なるものであり、その用途に応じ選択的に選定すればよ
い。
【0022】図8及び図9は本発明の第五の実施例を示
している。この実施例では、二つの導波管5を用い、そ
れら二つの導波管5において誘電体6より下流側に夫々
設置された二つの電子加熱空間室部1と、夫々の電子加
熱空間室部1の下流側に共通的に連結された一つのプラ
ズマ生成空間室部2とを有して放電室100を形成した
ものである。なお、その電子加熱空間室部1は第一の実
施例のものと同様の形状であるので、ここではその説明
を省略する。一方、前記プラズマ生成空間室部2は、第
一の実施例と異なり、ステンレス等の非磁性材により縦
500mm,横700mm,奥行き200mmの箱型形
状をなしている。そして、プラズマ生成空間室部2の上
壁8aには、二つの電子加熱空間室部1が約300mm
の間隔をおいて夫々設置され、夫々の加熱空間室部1の
外側寸法が互いに同一となっている。また、プラズマ生
成空間室2の上壁8aには、第二の静磁場発生手段とし
ての複数の永久磁石4が、第一の静磁場発生手段として
の永久磁石3の周囲に対し所定間隔をもって、しかも互
いに磁極が反対向きとなるように配列され、またプラズ
マ生成空間室部2の周壁8bにも同様にして複数の永久
磁石が配列され、プラズマ生成空間室部2に磁力線9に
て示す如き弱い多極磁場を形成している。この場合、永
久磁石4は、永久磁石3と同様のサマリウム・コバルト
製(残留磁束密度約11000G)であり、厚みが6m
mで磁化方向の長さが20mmであり、互いに隣接する
間隔が30〜80mmである。
【0023】実施例の如き構成では、夫々の電子加熱空
間室部1によって高エネルギー電子が発生し、その高エ
ネルギー電子がプラズマ生成空間室部2に向かって拡散
すると、高エネルギー電子は、その多極磁場の領域を動
きまわる課程において、ガス導入手段7によって供給さ
れているガスと衝突しかつ電離するので、断面積の大き
いプラズマ生成空間室部2であっても、均一かつ高密度
で低イオン温度のプラズマを安定的に生成することがで
きる。従って、本実施例によれば、断面積の大きいプラ
ズマ生成空間室2であっても、プラズマの生成を安定化
することができるので、処理室23が広くかつ大形の基
板20でも確実に処理することができる。
【0024】図10及び図11は本発明による第六の実
施例を示している。この場合は、前述した第五の実施例
と同様に複数の電子加熱空間室部1を用いて均一なプラ
ズマ生成を実施したものである。そして、本実施例にお
いて第五の実施例と異なるのは、周囲が真四角の立方体
に形成されたプラズマ生成空間室部2が形成され、その
外周を構成する各側壁の中央部に電子加熱空間室部1を
有する導波管5が連結されている。プラズマ生成空間室
部2は、例えば幅700mm,高さ250mmの大きさ
であり、これまでの実施例と同様に非磁性材である。電
子加熱空間室部1を有する導波管5は、プラズマ生成空
間室部2の各側壁に対応する4個からなり、何れの軸線
ともプラズマ生成空間室部2の中心軸線に対し直交する
ように連結されている。なお、導波管5の電子加熱空間
室部1及び永久磁石3は第一の実施例と同様のものであ
る。この実施例では、処理室23内の基板20にイオン
ビームを照射したとき、処理室23から粒子が飛来して
くるが、その際、各々の導波管5及び電子加熱空間室部
1がプラズマ生成空間室部2に対し直交するように連結
されているので、飛来粒子が導波管5の誘電体6に付着
するのを極力防ぐことができる。その結果、導電性の基
板であっても、イオンビームエッチング加工を長時間行
うことが可能となる。また、プラズマ生成空間室部2が
方形に形成された例を示したが、円形のものでも同様の
効果を得ることができるのは云うまでもない。
【0025】図12及び図13は本発明の第七の実施例
を示している。この場合は、導波管5とプラズマ生成空
間室部2とが同一中心軸線上に配置されている。この実
施例では、プラズマ生成空間室部2内に電子を拡散させ
るためのバッフル15が設けられたことを特徴とするも
のである。このバッフル15は導電性のアングル材(一
辺30mm,長さ120mm)からなり、絶縁物製の支
持部材16により、プラズマ生成空間室部2内において
電子加熱空間室部1の中心軸上の中間部に取付けられ、
頂部が図12に示す如く電子加熱空間室部方向を向くよ
うに配置されている。そして、バッフル15には負のバ
イアスを印加する手段17が接続されている。該手段1
7により0〜100V、好ましくは15〜60Vの負バ
イアスを印加し、電子加熱空間室部1からの高エネルギ
ー電子がプラズマ生成空間室部2内のバッフル15に当
たると、図12に示す矢印e−の如く跳ね返ることによ
り、高エネルギー電子をプラズマ生成空間室部2内に広
範囲に渡り拡散させることができるようにしている。こ
の実施例によれば、高エネルギー電子をバッフル15に
よりプラズマ生成空間室部2内で広範囲に渡り拡散させ
ることができる。一方、導電性の粒子が導波管5の誘電
体6に付着するのを大幅に抑えることができる。このよ
うにバッフル15による電子の拡散効果は、導電性のバ
ッフルに負のバイアスを印加すればかなり有効なものと
なるが、バッフルを絶縁材で形成して負バイアスを印加
しない場合でもそれなりの効果を有することができる。
【0026】図14は本発明の他の実施例を示してい
る。この場合は、プラズマ処理装置に適用したものであ
って、処理に際し、排気系により排気した後、ガス導入
手段によって特定ガスを導入し、所定のガス雰囲気中と
したところで、導波管5によりマイクロ波を導入するこ
とにより、プラズマ生成空間室部2にプラズマを発生さ
せ、このプラズマ及びこれに付随して生成されたラジカ
ルにより、支持台21で無バイアスのまま(或いは交流
または直流バイアスが印加される)、基板20をプラズ
マ処理する。該プラズマ処理装置は、一般に、同一規模
のイオン源と比較した場合、より多くのガス流量を必要
とする。
【0027】そこで、本実施例では、プラズマ生成空間
室部2内に多極磁場を形成する永久磁石4a,4bのう
ち、永久磁石4aをこれまでの実施例と同様に上壁8a
に配列する他、永久磁石4bをプラズマ生成空間室部2
の内部に配列する。この場合、永久磁石4bは基板20
を汚染することがなくしかも永久磁石4bが熱影響を受
けることのない断熱シールド材24でシールドされ、図
示しない支持手段によって配列される。そして、永久磁
石4bの間からプラズマ生成空間室部2の排気通路8c
を経てガスを排気することにより、プラズマ生成空間室
部2の排気コンダクタンスを大きくすることができ、大
流量のガスを導入しても高真空とすることができる。こ
のような永久磁石4bはソレノイドコイルを用いた場合
に比較し、コンパクトでかつ自己発熱がないので、前記
支持手段によってプラズマ生成空間室部2内に容易に設
置することができる。このようにして、プラズマ生成空
間室部2には排気通路8cが形成されている。プラズマ
生成空間室部2の内部に基板20を設置するが、その
際、基板20の位置としてはこれまで前述した実施例の
ビーム引き出し電極11の位置に相当し、電子加熱第一
の静磁場発生手段としての永久磁石3の磁場強度は基本
的には第一の実施例或いは第二の実施例のものと同様で
あり、また、電子加熱空間室部1の内部構造は第三,第
四の実施例と同様に突起部を設けてもよい。また、これ
まで前述した実施例においては、ビームとして引き出し
たイオン電流量と同量の電子をプラズマ生成空間室部2
のビーム引き出し電極11に集めなければならないの
で、該電極11を導電性の材料で製作する必要があるば
かりでなく、プラズマ生成空間室部2とは別個に処理室
23を設ける必要がある。これに対し、本実施例ではそ
の必要がなくなり、導波管5,プラズマ生成空間室2の
真空壁,永久磁石4b、支持手段等のようなプラズマと
接する部品全てを、石英等の絶縁物で覆い、基板20に
対する金属汚染を防止することが可能となるように構成
すれば、プラズマ生成空間室部2内に基板20をそのま
ま設置してプラズマ処理することができる。なお、これ
ら永久磁石4a,4bは隣接するものの磁極が互いに反
対となるように配列されるのは勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1〜
8によれば、導波管内に強電界のマイクロ波を安定して
導入できるように電子加熱空間室部を設け、該電子加熱
空間室部の外周に配設された第一の静磁場発生手段とし
ての永久磁石が、誘電体のマイクロ波導出部おいて電子
サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成する
と共に、誘電体のマイクロ波導出部から電子加熱空間室
部とプラズマ生成空間室部との境界部分との間で急峻に
磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空間室部とプラズマ
生成空間室部との境界部分からプラズマ生成空間室部方
向に向かうに従い前記強磁場と方向が反転するカスプ状
磁場を形成するように構成したので、永久磁石を小さい
形状に形成することができると共にそれだけ安価にな
り、加えて、プラズマ生成空間室部の周囲には第二の静
磁場発生手段として、互いに隣接する永久磁石の磁極が
反対となるように永久磁石が複数配列されているので、
プラズマ生成空間室部で広範囲に渡り均一でかつ高密度
のプラズマを確実に形成でき、さらに磁性膜の加工用途
にも確実に利用することができる結果、品質の良好な大
面積の処理物を安定的に得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の第
一の実施例を示す説明用断面図。
【図2】本発明の要部を示す拡大図(a),電子電流密
度とプラズマ生成空間室部との関係を示す説明図
(b),電子加熱空間室部及びプラズマ生成空間室部の
各々の位置における磁場強度分布曲線図(c)。
【図3】マイクロ波プラズマ生成装置の平面図。
【図4】マイクロ波プラズマ生成装置を示す全体概略
図。
【図5】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の第
二の実施例を示す要部の説明図(a),電子加熱空間室
部及びプラズマ生成空間室部の各々の位置における磁場
強度分布曲線図(b)。
【図6】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の第
三の実施例を示す要部の説明図。
【図7】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の第
四の実施例を示す要部の説明図。
【図8】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の第
五の実施例を示す説明用断面図。
【図9】図8に示すマイクロ波プラズマ生成装置の平面
図。
【図10】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の
第六の実施例を示す一部破断の説明用正面図。
【図11】図10に示すマイクロ波プラズマ生成装置の
平面図。
【図12】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の
第七の実施例を示す説明用断面図。
【図13】図12のI−I線断面図。
【図14】本発明によるマイクロ波プラズマ生成装置の
他の実施例を示す説明用断面図。
【符号の説明】
1…電子加熱空間室部、1c…電子がプラズマ生成空間
室部に向かうことのない位置、2…プラズマ生成空間室
部、3…第一の静磁場発生手段としての永久磁石、4,
4a,4b…第二の静磁場発生手段としての永久磁石、
5…導波管、5b…導波管の突起部、6…誘電体、6a
…マイクロ波導出部、6b…誘電体の突起部、9…磁力
線、12,12a,12b…電子サイクロトロン共鳴
層、13…ソレノイドコイル、14…電子加熱空間室部
とプラズマ生成空間室部との境界部分、15…バッフ
ル、24…断熱シールド材、20…基板、23…処理
室、100…放電室。
フロントページの続き (72)発明者 夏井 健一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波を導入する導波管と、該導波
    管内の誘電体より下流側の位置に形成された電子加熱空
    間室部と、電子加熱空間室部に連結されたプラズマ生成
    空間室部と、電子加熱空間室部の外周を永久磁石により
    取り囲み、電子加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向
    に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波導出部おいて電子
    サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成する
    と共に、誘電体のマイクロ波導出部から電子加熱空間室
    部とプラズマ生成空間室部との境界部分との間で急峻に
    磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空間室部とプラズマ
    生成空間室部との境界部分からプラズマ生成空間室部方
    向に向かうに従い前記強磁場と方向が反転するカスプ状
    磁場を形成させる第一の静磁場発生手段と、プラズマ生
    成空間室の周囲に互いに極性を順次違えて配置された永
    久磁石からなる第二の静磁場発生手段とを有することを
    特徴とするマイクロ波プラズマ生成装置。
  2. 【請求項2】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する導波管と、該導波管の下流側に連結され、特定
    ガス雰囲気中に導波管によりマイクロ波を導入してプラ
    ズマを生成する放電室と、該生成されたプラズマ中のイ
    オンを対象物に照射させて処理する処理室とを有し、前
    記放電室は、導波管内の誘電体より下流側に軸方向に沿
    って形成され、電子を加熱させる電子加熱空間室部と、
    該加熱空間室部の下流側に設置され、かつプラズマを生
    成させるプラズマ生成空間室部とを有して形成する一
    方、電子加熱空間室部の外周に、その加熱空間室部を取
    り囲む永久磁石からなり、該電子加熱空間室部内でマイ
    クロ波の伝送方向に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波
    導出部おいて電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える
    強磁場を形成すると共に、誘電体のマイクロ波導出部か
    ら電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部
    分との間で急峻に磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空
    間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラズ
    マ生成空間室部方向に向かうに従い前記強磁場と方向が
    反転するカスプ状磁場を形成させる第一の静磁場発生手
    段を設け、プラズマ生成空間室部の周囲に、該プラズマ
    生成空間室部の周囲に沿って複数配列され、互いに極性
    を順次違えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場
    発生手段を設けたことを特徴とするマイクロ波プラズマ
    生成装置。
  3. 【請求項3】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する導波管と、該導波管の下流側に連結され、特定
    ガス雰囲気中に導波管によりマイクロ波を導入してプラ
    ズマを生成する放電室と、該生成されたプラズマ中のイ
    オンを対象物に照射させて処理する処理室とを有し、前
    記放電室は、導波管内の誘電体より下流側に軸方向に沿
    って形成され、電子を加熱させる電子加熱空間室部と、
    該加熱空間室部の下流側に設置され、かつプラズマを生
    成させるプラズマ生成空間室部とを有して形成する一
    方、電子加熱空間室部の外周に、その加熱空間室部を取
    り囲む永久磁石からなり、該電子加熱空間室部内でマイ
    クロ波の伝送方向に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波
    導出部おいて電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える
    強磁場を形成すると共に、誘電体のマイクロ波導出部か
    ら電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部
    分との間で急峻に磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空
    間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラズ
    マ生成空間室部方向に向かうに従い前記強磁場と方向が
    反転するカスプ状磁場を形成させる第一の静磁場発生手
    段を設け、プラズマ生成空間室部の周囲に、該プラズマ
    生成空間室部の周囲に沿って複数配列され、互いに極性
    を順次違えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場
    発生手段を設け、前記プラズマ生成空間室部の内部にお
    ける電子加熱空間室部の中心軸上に電子を拡散させるバ
    ッフルを設けたことを特徴とするマイクロ波プラズマ生
    成装置。
  4. 【請求項4】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する導波管と、該導波管の下流側に連結され、特定
    ガス雰囲気中に導波管によりマイクロ波を導入してプラ
    ズマを生成する放電室と、該生成されたプラズマ中のイ
    オンを対象物に照射させて処理する処理室とを有し、前
    記放電室は、導波管内の誘電体より下流側に軸方向に沿
    って形成され、電子を加熱させる電子加熱空間室部と、
    該加熱空間室部の下流側に設置され、かつプラズマを生
    成させるプラズマ生成空間室部とを有して形成する一
    方、電子加熱空間室部の外周に、その加熱空間室部を取
    り囲む永久磁石と該永久磁石の外周に配置されるソレノ
    イドコイルとで構成され、永久磁石とソレノイドコイル
    との双方により、該電子加熱空間室部内でマイクロ波の
    伝送方向に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波導出部お
    いて電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を
    形成すると共に、誘電体のマイクロ波導出部から電子加
    熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分との間
    で急峻に磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空間室部と
    プラズマ生成空間室部との境界部分からプラズマ生成空
    間室部方向に向かうに従い前記強磁場と方向が反転する
    カスプ状磁場を形成させる第一の静磁場発生手段を設
    け、プラズマ生成空間室部の周囲に、該プラズマ生成空
    間室部の周囲に沿って複数配列され、互いに極性を順次
    違えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場発生手
    段を設けたことを特徴とするマイクロ波プラズマ生成装
    置。
  5. 【請求項5】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する複数の導波管と、該複数の導波管の下流側に連
    結され、特定ガス雰囲気中に導波管によりマイクロ波を
    導入してプラズマを生成する放電室と、該生成されたプ
    ラズマ中のイオンを対象物に照射させて処理する処理室
    とを有し、前記放電室は、各導波管内の誘電体より下流
    側に夫々が軸方向に沿って形成され、かつ電子を加熱さ
    せる電子加熱空間室部と、該夫々の加熱空間室部の下流
    側に共通に一個設置され、かつプラズマを生成させるプ
    ラズマ生成空間室部とにより形成する一方、複数の各電
    子加熱空間室部の外周に、その加熱空間室部を取り囲む
    永久磁石からなり、各電子加熱空間室部内でマイクロ波
    の伝送方向に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波導出部
    おいて電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場
    を形成すると共に、誘電体のマイクロ波導出部から電子
    加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分との
    間で急峻に磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空間室部
    とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラズマ生成
    空間室部方向に向かうに従い前記強磁場と方向が反転す
    るカスプ状磁場を形成させる第一の静磁場発生手段を設
    け、プラズマ生成空間室部の周囲に、該プラズマ生成空
    間室部の周囲に沿って複数配列され、互いに極性を順次
    違えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場発生手
    段を設けたことを特徴とするマイクロ波プラズマ生成装
    置。
  6. 【請求項6】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する複数の導波管と、該複数の導波管の下流側に連
    結され、特定ガス雰囲気中に導波管によりマイクロ波を
    導入してプラズマを生成する放電室と、該生成されたプ
    ラズマ中のイオンを対象物に照射させて処理する処理室
    とを有し、前記放電室は、各導波管内の誘電体より下流
    側に夫々が軸方向に沿って形成され、電子を加熱させる
    電子加熱空間室部と、該夫々の加熱空間室部を周囲に連
    結すると共に、中心軸が加熱空間室部の軸方向と交差方
    向に配置され、かつプラズマを生成させるプラズマ生成
    空間室部とにより形成する一方、複数の各電子加熱空間
    室部の外周に、その加熱空間室部を取り囲む永久磁石か
    らなり、各電子加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向
    に沿ってかつ前記誘電体のマイクロ波導出部おいて電子
    サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成する
    と共に、誘電体のマイクロ波導出部から電子加熱空間室
    部とプラズマ生成空間室部との境界部分との間で急峻に
    磁場が立ち下がり、さらに電子加熱空間室部とプラズマ
    生成空間室部との境界部分からプラズマ生成空間室部方
    向に向かうに従い前記強磁場と方向が反転するカスプ状
    磁場を形成させる第一の静磁場発生手段を設け、プラズ
    マ生成空間室部の周囲に、該プラズマ生成空間室部の周
    囲に沿って複数配列され、互いに極性を順次違えて配置
    された永久磁石からなる第二の静磁場発生手段を設けた
    ことを特徴とするマイクロ波プラズマ生成装置。
  7. 【請求項7】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する導波管と、該導波管内の誘電体より下流側に軸
    方向に沿って形成され、かつ電子を加熱させる電子加熱
    空間室部と、該加熱空間室部の下流側にガスの排気通路
    を設けて設置され、プラズマを生成させるプラズマ生成
    空間室部とを有し、電子加熱空間室部の外周に、その加
    熱空間室部を取り囲む永久磁石からなり、該電子加熱空
    間室部内でマイクロ波の伝送方向に沿ってかつ前記誘電
    体のマイクロ波導出部おいて電子サイクロトロン共鳴磁
    場強度を越える強磁場を形成すると共に、誘電体のマイ
    クロ波導出部から電子加熱空間室部とプラズマ生成空間
    室部との境界部分との間で急峻に磁場が立ち下がり、さ
    らに電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界
    部分からプラズマ生成空間室部方向に向かうに従い前記
    強磁場と方向が反転するカスプ状磁場を形成させる第一
    の静磁場発生手段を設け、プラズマ生成空間室部の外部
    と内部とに該プラズマ生成空間室部の周囲に沿って複数
    配列され、互いに極性を順次違えて配置された永久磁石
    からなる第二の静磁場発生手段を設け、該第二の静磁場
    発生手段の永久磁石のうち、プラズマ生成空間室部の内
    部に配列された永久磁石を断熱材によりシールドするこ
    とを特徴とするマイクロ波プラズマ生成装置
  8. 【請求項8】 途中位置に誘電体を設け、マイクロ波を
    伝送する導波管と、該導波管内の誘電体より下流側に軸
    方向に沿って形成され、かつ電子を加熱させる電子加熱
    空間室部と、該加熱空間室部の下流側にガスの排気通路
    を設けて設置され、プラズマを生成させるプラズマ生成
    空間室部とを有し、電子加熱空間室部の外周に、その加
    熱空間室部を取り囲む永久磁石と該永久磁石の外周に配
    置されるソレノイドコイルとで構成され、永久磁石とソ
    レノイドコイルとの双方により、該電子加熱空間室部内
    でマイクロ波の伝送方向に沿ってかつ前記誘電体のマイ
    クロ波導出部おいて電子サイクロトロン共鳴磁場強度を
    越える強磁場を形成すると共に、誘電体のマイクロ波導
    出部から電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との
    境界部分との間で急峻に磁場が立ち下がり、さらに電子
    加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分から
    プラズマ生成空間室部方向に向かうに従い前記強磁場と
    方向が反転するカスプ状磁場を形成させる第一の静磁場
    発生手段を設け、プラズマ生成空間室部の外部と内部と
    に該プラズマ生成空間室部の周囲に沿って複数配列さ
    れ、互いに極性を順次違えて配置された永久磁石からな
    る第二の静磁場発生手段を設け、該第二の静磁場発生手
    段の永久磁石のうち、プラズマ生成空間室部の内部に配
    列された永久磁石を断熱材によりシールドすることを特
    徴とするマイクロ波プラズマ生成装置
  9. 【請求項9】前記電子加熱空間室部の軸方向の長さは、
    導波管に供給されるマイクロ波の波長の長さより小さい
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のマ
    イクロ波プラズマ生成装置。
  10. 【請求項10】 前記電子加熱空間室部は、マイクロ波
    の導出方向に沿いかつ電子加熱空間室部に向かって突出
    すると共に、電子がプラズマ生成空間室部に向かうこと
    のない位置にほぼ配置された突起部を有していることを
    特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のマイクロ
    波プラズマ生成装置。
  11. 【請求項11】 前記突起部は、電子加熱空間室部にお
    いて誘電体のマイクロ波導出部の一部にて形成され、マ
    イクロ波の導出方向に沿いかつ電子加熱空間室部に向か
    って突出していることを特徴とする請求項10に記載の
    マイクロ波プラズマ生成装置。
  12. 【請求項12】 前記突起部は、前記電子加熱空間室部
    において導波管の内壁の一部を、電子がプラズマ生成空
    間室部に向かうことのない位置に膨出させて形成してい
    ることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ波プラ
    ズマ生成装置。
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