JP2000317303A - プラズマ処理装置及びこれを用いたプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びこれを用いたプラズマ処理方法

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JP2000317303A
JP2000317303A JP2000081732A JP2000081732A JP2000317303A JP 2000317303 A JP2000317303 A JP 2000317303A JP 2000081732 A JP2000081732 A JP 2000081732A JP 2000081732 A JP2000081732 A JP 2000081732A JP 2000317303 A JP2000317303 A JP 2000317303A
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plasma
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space chamber
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Satoshi Ichimura
智 市村
Tadashi Sato
忠 佐藤
Isao Hashimoto
橋本  勲
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被処理物に対して、広範囲で均一かつ磁場の影
響を抑えたプラズマ処理を施すことができるマイクロ波
プラズマ処理装置を提供する。 【解決手段】電子加熱空間室部1を取り囲み電子加熱空
間室部1内でマイクロ波の伝送方向に沿って誘電体6の
マイクロ波導出部6aにおいて電子サイクロトロン共鳴
磁場強度を越える強磁場を形成すると共に、電子加熱空
間室部1とプラズマ生成空間室部2との境界部分との間
で急峻に磁場強度が立ち下がり、さらに電子加熱空間室
部1とプラズマ生成空間室部2との境界部分からプラズ
マ生成空間室部2に向かうに従い前記強磁場と方向が反
転するカスプ磁場を形成させる永久磁石3と、プラズマ
生成空間室部2の周囲に互いに極性を順次違えて配置さ
れた永久磁石4とを有することを特徴とするプラズマ処
理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置等の製
造におけるプラズマエッチングやイオンドーピング,プ
ラズマCVD成膜,スパッタ成膜等をプラズマを用いて
処理するのに好適なプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のプラズマ処理装置の従来技術と
しては、例えば、「ジャーナル オブバキューム サイ
エンス アンド テクノロジー(J.Vac.Sci.Technol.B
9(1),Jan/Feb 1991」の第26頁〜第28頁に
おいて報告されてたものがある。これには、同誌第29
〜第33頁に記載され、かつ第一の静磁場発生手段とし
て使用されているソレノイドコイルが形成する磁場と同
様な磁場を、永久磁石によって実現できることが記載さ
れている。この例では、ソレノイドコイル磁場に置き換
えるため、永久磁石が巨大なものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術で
は、第一の静磁場発生手段としての永久磁石が巨大なも
のとなっているので、以下に述べる問題点がある。
【0004】即ち、まず、永久磁石の製造コストがそれ
だけ高くなる問題がある。また永久磁石から離れた位置
の磁場の減衰割合が小さく、被処理物上で大きな磁場が
残留することとなり、そのため、磁場に敏感な物質とし
て、例えば磁性膜の加工等には不向きとなる問題があ
る。さらに、巨大な永久磁石が発生する磁場では磁場強
度の減衰が小さく、空間における磁場勾配がなだらかな
ため、マイクロ波の伝搬,吸収の空間的変動が大きく、
放電が不安定になると云う問題もある。
【0005】一般に、プラズマの質という点では、プラ
ズマを広範囲で均一にするため、第一の静磁場発生手段
による強磁場中で生成されたプラズマを、第二の静磁場
発生手段による表面磁場に囲まれた弱磁場領域に拡散さ
せているので、大多数の生成イオンが磁場を横切ること
になり、プラズマ電位の勾配で加速されたイオンが熱化
されるため、イオン温度は高い。また、磁場中でのサイ
クロトロン半径の相違から、イオン種の分離が生じ、加
えて、プラズマと同時に生成されるラジカルも、電磁場
の作用で一様化されることがないため、プラズマ処理が
不均一になると云う問題もある。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術の問題点に
鑑み、広範囲で均一な高密度プラズマを生成し、このプ
ラズマにより被処理物に対して、広範囲で均一かつ磁場
の影響を抑えたプラズマ処理を施すことができるプラズ
マ処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、マイ
クロ波を導入する導波部と、該導波部内の誘電体より下
流側の位置に形成された電子加熱空間室部と、電子加熱
室部に連結されたプラズマ生成空間室部と、電子加熱空
間室部を永久磁石により取り囲み、かつ電子加熱空間室
部内でマイクロ波の伝送方向に沿ってかつ前記誘電体の
マイクロ波導出部において電子サイクロトロン共鳴磁場
強度を越える強磁場を形成すると共に、電子サイクロト
ロン磁場強度位置から電子加熱空間室部とプラズマ生成
空間室部との境界部分との間で磁場強度が急峻に立ち下
がり、さらに電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部
との境界部分からプラズマ生成空間室部に向かうに従い
前記強磁場と方向が反転するカスプ磁場を形成させる第
一の静磁場発生手段と、プラズマ生成空間室部の周囲に
互いに極性を順次違えて配置された永久磁石からなる第
二の静磁場発生手段と、プラズマ生成空間室部に面して
被処理物を保持する手段とを有することを特徴とするも
のである。
【0008】更には、被処理物と対向してプラズマ生成
空間室部に面する対向板と、該対向板にバイアス電圧を
印加する手段とを有することを特徴とするものである。
【0009】本発明では、マイクロ波を導波部に供給す
ると、上述の如く、導波部の誘電体より下流側には電子
加熱空間室部が形成され、該空間室部をマイクロ波電界
方向の幅の小さい導波部内に設けているので、該電子加
熱空間室部に強電界のマイクロ波を導入することができ
る。また、電子サイクロトロン共鳴磁場強度以上の強磁
場側から該電子加熱空間室部にマイクロ波を導入してい
るので、プラズマとしてカットオフ密度以上の高密度プ
ラズマを生成させた場合であっても効率良くマイクロ波
を電子サイクロトロン共鳴層まで到達させることができ
る。更に、このように電子加熱空間室部の幅が小さい
と、その周囲に配設された第一の静磁場発生手段として
の永久磁石を小さい形状にすることができる。
【0010】しかも、上述の如き第一の静磁場発生手段
としての永久磁石は、電子加熱空間室部において電子サ
イクロトロン共鳴磁場強度付近の磁場勾配が急峻な磁場
を形成するので、マイクロ波の吸収されやすい磁場強度
がプラズマの状態に応じて変動しても、マイクロ波吸収
位置の空間的変動をマイクロ波長に比べて十分小さく抑
えることができ、従ってマイクロ波の伝搬,吸収に関わ
る不安定要素を極力なくすことができ、高電界のマイク
ロ波を確実にかつ安定して電子加熱空間室部に供給する
ことができる。そして、この電子過熱空間室部におい
て、マイクロ波のほとんどを電子に吸収させて加熱し、
高エネルギー電子にすることができる。
【0011】その際、第一の静磁場発生手段としての永
久磁石が、上述の如く、電子加熱空間室部とプラズマ生
成空間室部との境界部分からさらに下流側では磁場の方
向が逆向きとなるカプス状磁場を形成するので、電子加
熱空間室部の軸心に近い電子はプラズマ生成空間室部へ
向かって拡散しやすくなる。これに加え、小さな永久磁
石による磁場は距離を隔てると急速に減衰するので、プ
ラズマ生成空間室部の広い領域を、電離を担う高エネル
ギー電子が磁場を横断して動き回ることが可能である程
の弱磁場領域とすることができる。この意味での弱磁場
領域は、通常30G程度以下の磁場強度の領域である。
【0012】プラズマ生成空間室部に拡散した高エネル
ギー電子は、プラズマ生成空間室部内の弱磁場領域を動
き回るうちに中性粒子に衝突してこれを電離することに
より、広範囲に渡り均一なプラズマを生成することがで
きる。しかも、プラズマ生成空間室部の周囲には第二の
静磁場発生手段として、互いに隣接する永久磁石の磁極
が反対となるように永久磁石が複数配列され、多極カス
プ磁場を形成しているので、拡散された高エネルギー電
子のみならず、該高エネルギー電子によって生成された
プラズマを効率的に閉じ込めることができ、プラズマ生
成空間室部で高密度のプラズマを形成することができ
る。弱磁場領域で生成されたプラズマは、磁場に影響さ
れることが少なく、イオン種分布が均一かつイオン温度
が低い良好な性質を持つ。また、弱磁場領域でプラズマ
と付随して生成されるラジカルの分布も均一となる。
【0013】上記の如く生成されたプラズマに面して被
処理物を保持することにより、プラズマエッチング,プ
ラズマCVD成膜,イオンドーピング等のプラズマ処理
を広い面積に渡って均一に行うことができる。
【0014】更に、被処理物と対向してプラズマ生成空
間室部に面する対向板と、該対向板にバイアス電圧を印
加する手段とを有したプラズマ処理装置とすれば、プラ
ズマCVD成膜処理等の後に前記対向板にバイアス電圧
を印加しながら対向板のプラズマクリーニングを行う事
で、被処理物に対するパーティクル汚染を大幅に低減す
ることができる。また、前記対向板のプラズマに接触す
る面に、ターゲットを保持して、バイアス電圧を印加す
ることでスパッタを行えば、ターゲットの全面がスパッ
タされるので、ターゲットの利用効率が高く、かつ、低
ガス圧で動作させることでスパッタ粒子の直進性に優
れ、被処理物に対しステップカバレッジの良好なスパッ
タ成膜が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1乃至
図11により説明する。図1乃至図4は本発明の第一の
実施例を示している。
【0016】この実施例では、四つの導波部5内の各々
に形成された四つの電子加熱空間室部1と、前記四つの
導波部5を周壁8bに連結した一つのプラズマ生成空間
室部2とを有して放電室100を形成している。
【0017】この放電室100を図示しない排気系によ
り排気しつつ、放電室100にガス導入手段7から特定
ガスを導入して、放電室100内をそのガス雰囲気中に
しておき、導波部5によりマイクロ波を導入し、放電室
100内でマイクロ波放電を起こしてプラズマを生成さ
せ、このプラズマ及びこれに付随して生成されたラジカ
ルにより、支持台21上に支持され、高周波電源23及
びマッチングボックス22により交流バイアス電圧が印
加された基板20に対して、プラズマエッチング,プラ
ズマCVD成膜,イオンドーピング等のプラズマ処理を
行うことができる。このプラズマ処理の際のガス圧は1
-5〜10-3Torr程度の低ガス圧である。本実施例の導
波部5の各々は、ステンレスやアルミニウムのような非
磁性材により形成されて横幅の小さい矩形導波管(横幅
27mm,奥行き96mm)をなしており、途中位置に放電
室100の気密を保持し得るように誘電体6が設置さ
れ、図示しない上流側から一般的に使用される周波数
2.45GHz のマイクロ波が導入されると、基本モー
ド(TE10モード)のマイクロ波のみをその下流側に伝
送するようになっている。誘電体6は通常では、石英や
アルミナ等のセラミックスからなっている。
【0018】本実施例では、電子加熱空間室部1は、図
1及び図4に示すように、導波部5内において誘電体6
よりマイクロ波伝送方向の下流側の位置に形成された小
断面積形状のものであって、導波部5にマイクロ波を導
入したとき、導波部5内に形成された小断面形状となる
ことによって電子加熱空間室部1に導入されるマイクロ
波を強電界にさせるようにしており、前述の如き矩形導
波管をなす導波部5において、軸方向に約30mm程度の
長さをなしている。
【0019】プラズマ生成空間室部2は、ステンレスや
アルミニウム等の非磁性材により円形の上壁8aとその
周壁8bとを有して中空に形成され、電子加熱空間室部
1より遙かに大きい空間(内径500mm,上壁8aと基
板20との間の距離170mm)を有している。電子加熱
空間室部1の外周には、第一の静磁場発生手段としての
永久磁石3が配設されている。該永久磁石3は、残留磁
束密度の大きい(約11000G)サマリウム・コバル
ト等からなっており、図に示すように、導波部5の外周
を取り囲むように配列されると共に、導波部5の外周に
おいて誘導体6側からその下流端まで軸方向の長さに沿
って設けられ、図1及び図4に示す如く、マイクロ波の
伝送方向に沿った磁場を形成するようにしている。その
際、磁場は電子加熱空間室部1内では、図4(a)及び
(c)に示すように、誘電体6のマイクロ波導出部6a
において、電子サイクロトロン共鳴磁場強度(875G)
を越える大きさの磁場(本例では約950G)となり、
かつ、そこから下流側に向かって急峻に弱くなると共
に、電子加熱空間室部1の末端側とプラズマ生成空間室
部2との境界付近で磁場強度が0になる位置14で0と
なり、さらにプラズマ生成空間室部2に至るそれより下
流側においては磁場の向きが反転するカプス磁場を形成
し得るように構成されている。
【0020】また、磁場強度が電子サイクロトロン共鳴
層12から電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部
2との境界付近の磁場強度が0になる位置14に立ち下
がるまでの距離は、導波部5に供給されるマイクロ波の
波長の長さより小さいことが好ましい。このような磁場
を形成する永久磁石3は、本例では厚み6mm,磁化方向
長さ50mm,周長約300mmの大きさである。
【0021】また、プラズマ生成空間室部2の外周には
第二の静磁場発生手段としての永久磁石4が複数配列さ
れている。これら複数の永久磁石4は、第一の静磁場発
生手段としての永久磁石3と同様の材質からなり、プラ
ズマ生成空間室部2の上壁8aにおいては図3に示すよ
うに、所定の間隔を隔てると共にプラズマ生成空間室部
2の周囲に沿って夫々設けられる第一永久磁石部4a
と、プラズマ生成空間室部2の周壁8bにおいても所定
の間隔をもってかつその周壁8bに沿って夫々設けられ
た第二永久磁石4b部と、更には、放電室100内で基
板20の背後に設けられた第三永久磁石4c部とからな
っている。そして、これら永久磁石4の隣合う夫々が互
いに磁極を反対向きにして配置されている。これによっ
てプラズマ生成空間室部2内に多極カスプ磁場を形成し
つつ、プラズマ生成空間室部2の広い範囲を弱磁場領域
としている。図中、符号9は複数の永久磁石によって形
成される多極カスプ磁場を表す磁力線である。参考まで
に述べると、本例では、上壁8a及び周壁8bでの磁場
強度は、400〜2400G、プラズマ生成空間室部2
の中心部では20G程度、基板20の位置では10G以
下となっている。この多極カスプ磁場に囲まれて、プラ
ズマ生成空間室部2内では、30G以下の弱磁場領域
が、一体として形成され、体積的にプラズマ生成空間室
部2の過半を占めている。
【0022】本実施例のプラズマ生成装置は、上記の如
き構成よりなるので、次にその作用について説明する。
【0023】電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室
部2とからなる放電室100がガス雰囲気中にあると
き、導波部5に周波数2.45GHz のマイクロ波を供
給すると、矩型導波管たる導波部5が基本モードのみを
伝送する。このマイクロ波伝送モードにおける電界方向
は図4(a)に示す如く、矩型導波管の横幅方向と一致
している。
【0024】上記マイクロ波の伝送時、導波部5内にお
いて誘電体6より下流側に電子加熱空間室部1が形成さ
れていることにより、該電子加熱空間室部1に強電界の
マイクロ波を安定して導入することができる。なお、本
実施例では、導波部5として幅27mm,奥行き96mmか
らなる矩径導波管を用いたので、マイクロ波入射電力4
00Wに対し、マイクロ波電界強度の導波管断面内平均
値として約80V/cmを実現できた。また、電子サイク
ロトロン共鳴磁場強度以上の強磁場側から電子加熱空間
室部1にマイクロ波を導入しているので、プラズマとし
てカットオフ密度以上の高密度プラズマを生成させた場
合であっても効率良くマイクロ波を電子サイクロトロン
共鳴層12まで到達させることができる。
【0025】前記のように電子加熱空間室部1が小断面
積であると、その周囲に配設された第一の静磁場発生手
段としての永久磁石3を小さい形状にすることができ
る。そして、永久磁石3は、電子加熱空間室部1におい
て誘電体6のマイクロ波導出部6aで電子サイクロトロ
ン共鳴磁場を越える大きさの磁場を形成すると共に、そ
こから電子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部2と
の境界付近の点で磁場強度が0となり、永久磁石3によ
る磁場強度分布が急峻に減衰することとなる。そのた
め、電子サイクロトロン共鳴層12の厚みが薄く、マイ
クロ波電界強度当たりの電子加熱能力が小さいものとな
るものの、電子加熱空間室部1内では電界強度自体を十
分強電界にしているために、その電子サイクロトロン共
鳴層12a,12bで、マイクロ波のほとんどを電子に
吸収させて電子を加熱することができる結果、高エネル
ギー電子にさせることができる。
【0026】なお、ここで云う高エネルギー電子と呼ぶ
のは、ガスを電離することが可能でかつ約10eV以上
のエネルギーをもった電子であり、ガスを電離し得ない
程度の電子とは当然異なる。
【0027】また永久磁石3による磁場強度分布曲線
は、図4(c)に示す如く、電子加熱空間室部1内にお
いて電子サイクロトロン共鳴層12とプラズマ生成空間
室部2の境界付近の磁場強度が0になる位置14との間
で急峻に立ち下がり、その変化長がマイクロ波波長の長
さ(本実施例においては約12cm)より小さくしている
ので、マイクロ波の伝搬,吸収に関わる不安定要素を極
力なくすことができ、高電界のマイクロ波を確実にかつ
安定して電子加熱に用いることができる。
【0028】一般に、電子は強磁場となるところではほ
ぼ磁力線に沿って移動するのであるが、磁場が弱い領域
では磁力線を横断することが容易にできる。そのため、
電子加熱空間室部1においてその末端側では、即ち、電
子加熱空間室部1とプラズマ生成空間室部2との境界付
近の磁場強度が0になる位置14の近傍に存在する電子
は、図中陰影を施した領域を往来することが可能とな
る。その場合、電子が電子サイクロトロン共鳴層12a
または12bの部分を通過すると、加熱されて高エネル
ギー化するので、該高エネルギー化した電子は、上記カ
スプ磁場の領域に沿ってプラズマ生成空間室部2に拡散
し、しかもその領域を動きまわる間に中性粒子と衝突し
て電離し、プラズマを生成する。そして、このとき生成
された低エネルギー電子は、多極カスプ磁場の領域を移
動しているうちに電子加熱空間室部1内に入り込み、ま
た電子サイクロトロン共鳴層12a,12bを通過する
ことによって加熱され、高エネルギー電子となって電離
を担うようになるのである。
【0029】その際、永久磁石3が電子加熱空間室部1
とプラズマ生成空間室部2との境界付近の位置14で磁
場強度が0となる部分からさらに下流側では図4(a)
及び(c)に示す如く、磁場方向が反転するカスプ磁場
を形成するので、電子加熱空室部1からプラズマ生成空
間室部2に向かう高エネルギー電子の電流密度は、同図
(b)に示すように電子加熱空間室部1の中心軸上にピ
ークをもったものとなり、そのため、電子加熱空間室部
1から遠ざかる領域、即ちプラズマ生成空間室部2内の
弱磁場領域でのプラズマ生成を促進させることができ
る。
【0030】一般に、低ガス圧(10-5〜10-3Torr)
下では、電子が中性粒子を電離するのに要する平均自由
行程が数mから数十mにおよび、高エネルギー電子が中
性粒子を電離するまでにプラズマ生成空間室部2を囲む
多極カスプ磁場に何度も反射されながら弱磁場領域をラ
ンダムに動きまわる。このため、弱磁場領域ではプラズ
マが均一に生成される。しかも、プラズマ生成空間室部
2の周囲には第二の静磁場発生手段としての永久磁石が
複数配列されると共に、該夫々の隣接する永久磁石が互
いに磁極を違えて配置されることにより、多極カスプ磁
場を形成しているので、拡散された高エネルギー電子の
みならず、該高エネルギー電子によって生成されたプラ
ズマを効率的にプラズマ生成空間室部2内に閉じ込めて
おくことができ、高密度のプラズマを確実に形成するこ
とができる。このような弱磁場領域で生成されたプラズ
マは、磁場に影響されることが少なく、イオン種分布が
均一でかつイオン温度の低い良好なものとなる。
【0031】ところで、プラズマ生成空間室部2におけ
る高エネルギー電子及びプラズマの閉じ込めは磁石近傍
の磁場が強いほど効率がよいことから、永久磁石4の間
近の部分で電子サイクロトロン共鳴磁場強度以上に磁場
が設定される場合がある。しかし本実施例では、上述の
如く、導波部5の誘電体6より下流側に形成された電子
加熱空間室部1とこれの下流側に形成されたプラズマ生
成空間室部2とで放電室100が形成され、電子加熱空
間室部1の外周に配設された永久磁石3により、電子加
熱空間室部1の上流側で強磁場を形成し、そこから下流
側に至るに従い磁場を急峻に立ち下げてカスプ磁場を形
成しているので、導波部5によってマイクロ波が供給さ
れても、そのマイクロ波のほとんどが電子加熱空間室部
1で吸収されてしまうことにより、またプラズマ生成空
間室部2に漏れてきたマイクロ波があっても、プラズマ
生成空間室部2内の断面積が遙かに大きく、電界強度が
非常に弱いものとなることにより、プラズマ生成空間室
部2内において永久磁石4の間近に形成される電子サイ
クロトロン共鳴層での電子加熱はほとんど起きない。
【0032】上述の如く生成された、イオン種分布が均
一でかつイオン温度の低いプラズマによって、支持台2
1によって支持された基板20に対し、広範囲に渡って
均一にプラズマ処理を施すことができる。更に、高周波
バイアス電源23及びマッチングボックス22によって
基板20にバイアス電圧を印加すれば、指向性をもった
イオンが基板20に照射されるので、異方性に優れたプ
ラズマエッチングやステップカバレッジに優れたCVD
成膜等のプラズマ処理を施すことができる。
【0033】図5乃至図7は本発明の第二の実施例を示
している。
【0034】本実施例は第一の実施例と比較し、電子加
熱空間室部1がプラズマ生成空間室部2の側面全周を取
り囲んで形成されている点、及び対向板31が基板20
に対向してプラズマ生成空間室部2の上端を形成してい
る点の二点で大きく異なっている。以下、主にこの2点
につき説明する。
【0035】本実施例においては、プラズマ生成空間室
部2の周壁8bに、導波部5が全周を取り囲んで連結し
ており、その導波部5内に、プラズマ生成空間室部2を
中心としてリング状に形成された誘電体6が配置されて
いる。そして、導波部5内の前記誘電体6よりマイクロ
波の伝送方向下流側、即ちプラズマ生成空間室部2の中
心軸に向かう側に電子加熱空間室部1が形成されてい
て、プラズマ生成空間室部2と一体となって放電室10
0を形成している。
【0036】前記電子加熱空間室部1にマイクロ波を周
方向に均一に導入するために、導波部5の上流側にはキ
ャビティ15が配置され、スリット16を介して導波部
5と電気的に結合している。これにより、キャビティ1
5の一部に連結した矩型導波管17から導入されたマイ
クロ波は、キャビティ15内で所定のモードの定在波を
形成し、スリット16を通じて所定の伝送モードとなっ
て導波部5に導入される。キャビティ15及びスリット
16の形状を最適化することで、導波部5内におけるマ
イクロ波電界の均一化とマイクロ波伝送モードの特定が
可能である。
【0037】電子加熱空間室部1を上下から挟みこむ様
に、第一の磁場発生手段たる永久磁石3が二つ一組とな
って配置されている。いずれの永久磁石3もプラズマ生
成空間室部2を取り囲むリング形状のものであり、プラ
ズマ生成空間室部2の中心軸に向かう方向に同極性に磁
化されている。永久磁石の材質は第一の実施例と同じも
のを使用している。この永久磁石3と、導波部5,誘電
体6、及びプラズマ生成空間室部2の一部を含む電子加
熱空間室部1付近の縦断面形状は図4(a)に示した第
一の実施例のものと同一であり、前記永久磁石3が形成
する磁場も図4(a),(c)に示されたものとほぼ同一
である。そのため、電子加熱空間室部1にマイクロ波を
導入したときの高エネルギー電子の生成過程、及びこの
高エネルギー電子のプラズマ生成空間室部2への拡散過
程は、第一の実施例で詳細に説明したものと同様となる
ので、ここでは説明を省略する。一方、前述の如くプラ
ズマ生成空間室部2の側面全周に電子加熱室を生成した
ことにより、第一の実施例と比較し、電子加熱空間部室
1からプラズマ生成空間室部2へより多くの高エネルギ
ー電子を均一に供給できるという効果がある。
【0038】上述の如く電子加熱空間室部1の形状が第
一の実施例と異なるのに加え、本実施例においては、第
一の実施例においてプラズマ生成空間室部2の上端を形
成していた円形の上壁8aに代わって、同じ位置、即
ち、基板20に対向する位置に、ステンレスやアルミニ
ウム等の非磁性かつ導電性の材質からなる対向板31が
絶縁スペーサを介して周壁8bに取り付けられ、プラズ
マ生成空間室部2の上端を形成している点で異なってい
る。プラズマ生成空間室部2の寸法は第一の実施例のも
のと同一である。対向板31には、バイアス電圧を印加
する手段であるマッチングボックス32及び高周波バイ
アス電源33が接続されており、該対向板31のプラズ
マ生成空間室部2に面する側に、ターゲット30が取り
付けられている。このことにより、本実施例は、特にス
パッタ成膜に好適なプラズマ処理装置となっている。ま
た、支持台21には、マッチングボックス22及び高周
波バイアス電源23が接続されており、基板20に交流
バイアス電圧を印加することができる。前記33及び2
3の二つの高周波バイアス電源の交流周波数としては同
一の周波数、本実施例においては商用周波数13.56
Mhz を使用し、二つの高周波バイアス電源33及び
23が発生する交流バイアス電圧の位相差を、位相制御
装置40によって制御する事が可能な装置構成となって
いる。
【0039】プラズマ生成空間室部2の外周には第二の
静磁場発生手段としての永久磁石4が複数配列されてい
る。これら複数の永久磁石4は、第一の静磁場発生手段
としての永久磁石3と同様の材質からなり、プラズマ生
成空間室部2の周壁8bにおいては図5及び図6に示す
ように、所定の間隔をもってかつその周壁8bに沿って
夫々設けられた第二永久磁石4b部と、更には、放電室
100内で基板20の背後に設けられた第三永久磁石4
c部とからなっている。そして、これら永久磁石4の隣
合う夫々が互いに磁極を反対向きにして配置されてい
る。これによってプラズマ生成空間室部2内に多極カス
プ磁場を形成しつつ、プラズマ生成空間室部2の広い範
囲を弱磁場領域としている。図中、符号9は複数の永久
磁石によって形成される多極カスプ磁場を表す磁力線で
ある。参考までに述べると、本例では、周壁8bでの磁
場強度は、400〜2400G、プラズマ生成空間室部
2の中心部では15G程度、基板20及びターゲット3
0の位置では10G以下となっている。この多極カスプ
磁場に囲まれて、プラズマ生成空間室部2内では、30
G以下の弱磁場領域が、一体として形成され、体積的に
プラズマ生成空間室部2の過半を占めている。
【0040】以下、本実施例のプラズマ処理装置の作用
を、基板20上にSiO2 膜をスパッタ成膜する場合を
例にとって説明する。この場合、ターゲット30の材質
としてはSiO2 を用いる。そして、スパッタガスとし
てのアルゴンと、基板20表面に形成される膜中に酸素
が不足するのを補うための酸素との混合ガスをガス導入
手段7によって放電室100内に導入し、放電室ガス圧
を10-4Torr台前半の低ガス圧雰囲気としておく。この
状態で、電子加熱空間室部1に周波数2.45GHzの
マイクロ波を供給すると、第一の実施例で詳細に説明し
た作用によって電子加熱空間室部1で高エネルギー電子
が生成され、プラズマ生成空間室部2へ供給される。こ
の高エネルギー電子が、これも同じく第一の実施例で詳
細に説明した作用によって、プラズマ生成空間室部2内
に広範囲で均一な高密度プラズマを生成する。
【0041】上述の如く広範囲で均一な高密度プラズマ
が生成されている状態で、マッチングボックス32及び
高周波バイアス電源33によって対向板31に交流バイ
アス電圧を印加すると、ターゲット30の表面はプラズ
マ電位よりも負にバイアスされ、プラズマ中のイオン
が、ターゲット表面に形成されたシース中で加速されて
ターゲット全面をスパッタし、これにより生じたスパッ
タ粒子は、対向した位置で支持台21に保持された基板
20に飛来し、基板20の表面にSiO2 膜を形成す
る。
【0042】その際、広い範囲に均一なプラズマ中のイ
オンによりターゲット30の全面がスパッタされるの
で、ターゲット30の利用効率が高いものとなり、ター
ゲット交換頻度を少なくすることができる。また、放電
室ガス圧を10-4Torr台前半の低ガス圧としているの
で、スパッタ粒子が途中で中性粒子に衝突して軌道が変
更されることが少なく、スパッタ粒子の直進性に優れて
いる。このため被処理物に対しステップカバレッジの良
好なスパッタ成膜を施すことができる。
【0043】上記スパッタ成膜中に、更にマッチングボ
ックス22及び高周波バイアス電源23により、支持台
21上の基板20に交流バイアス電圧を印加すれば、い
わゆるバイアススパッタ成膜を行うことができる。バイ
アススパッタ成膜とは、基板上にスパッタ膜を形成しつ
つ、同時にこの膜をイオン衝撃によってエッチバックす
るものであり、よりステップカバレッジに優れた膜が形
成可能な成膜方法である。このバイアススパッタの際
に、ターゲット30と基板20のそれぞれに高周波バイ
アス電源33,23によって印加される交流バイアス電
圧の位相差を位相制御装置40によって積極的に制御す
ることにより、成膜レートとエッチバックレートの絶対
値や、相互の比率を制御することが可能となり、成膜プ
ロセスの最適化がしやすいという効果がある。
【0044】図8乃至図9は本発明の第三の実施例を示
している。
【0045】本実施例におけるプラズマ処理装置が前記
第二の実施例と大きく異なるのは、プラズマ生成空間室
部2から誘電体6のマイクロ波導出部6aが直接見込め
ないように、導波部5を誘電体6の下流側で屈曲させて
おり、したがって電子加熱空間室部1が屈曲した形状と
なっている点である。これに伴い、導波部5の外側に近
接して配設された第一の静磁場発生手段としての永久磁
石3も、図に示すように誘導体6側からその下流端まで
導波部5の中心線方向の長さに沿った形状となってお
り、図9(a)及び(b)に示す如く、マイクロ波の伝
送方向に沿った磁場を形成するようにしている。その
際、磁場は電子加熱空間室部1内では、誘電体6のマイ
クロ波導出部6aにおいて、電子サイクロトロン共鳴磁
場強度(875G)を越える大きさの磁場となり、そこから下
流側に向かって電子サイクロトロン共鳴層12の付近ま
で緩やかに磁場強度が弱くなり、電子サイクロトロン共
鳴層12付近から更に下流側に向かっては急峻に弱くな
ると共に、電子加熱空間室部1の末端側とプラズマ生成
空間室部2との境界付近の位置14で0となり、さらに
プラズマ生成空間室部2に至るそれより下流側において
は磁場の向きが反転するカプス磁場を形成し得るように
構成されている。
【0046】本実施例における前記電子サイクロトロン
共鳴層12から電子加熱空間室部1の末端側とプラズマ
生成空間室部2との境界付近で磁場強度が0となる位置
14までの距離は約2cmであり、マイクロ波波長の長さ
(本実施例においては約12cm)より小さくしているの
で、マイクロ波の伝搬,吸収に関わる不安定要素を極力
なくすことができ、高電界のマイクロ波を確実にかつ安
定して電子加熱に用いることができる。
【0047】上記電子加熱空間室部1の構成と、対向板
31にバイアス電圧を印加する手段が直流バイアス電源
35となっている点以外の装置構成は、第二の実施例と
同じであり、本実施例は以下に説明する様に、特に導電
性薄膜のスパッタ成膜に好適なプラズマ処理装置となっ
ている。
【0048】即ち、本実施例のプラズマ処理装置によっ
てスパッタ成膜を行うと、プラズマ生成空間室部2から
誘電体6のマイクロ波導出部6aが直接見込めないよう
に構成されているので、ターゲット30から飛来するス
パッタ粒子が誘電体6のマイクロ波導出部6aへ付着す
ることがなくなる。従って、ターゲット30の材質が例
えばアルミニウム等の導電性を有するものであっても、
マイクロ波導出部6a表面に導電性皮膜が形成されるこ
とがなく、長時間安定に放電室100内へマイクロ波を
導入して基板20のプラズマ処理を行うことができる。
【0049】図10乃至図11は本発明の第四の実施例
を示している。
【0050】本実施例のプラズマ処理装置においては、
対向板31のプラズマ生成空間室部に面する側と反対側
に、図11に示す様に治具38によって第二の静磁場発
生手段たる永久磁石4aが対向板31に取り付けられて
いて、該永久磁石4aが対向板31に対し可動となって
いる。その他の装置構成は、ターゲット30が無いとい
う違いがある以外は、第二の実施例と同一であるので説
明を省略する。
【0051】以下、本実施例の作用を、基板20上にS
iO2 膜をバイアスプラズマCVD成膜する場合を例に
とって説明する。
【0052】まず、図10(a)に示す如く永久磁石4
aを対向板31に近接させておき、成膜ガスとしてのモ
ノシランと、基板20表面に形成される膜中に酸素が不
足するのを補うための酸素と、基板20表面に形成され
る膜をエッチバックするためのアルゴンとの混合ガスを
ガス導入手段7によって放電室100内に導入し、放電
室ガス圧を10-4〜10-3Torrの低ガス圧雰囲気として
おく。この状態で、電子加熱空間室部1に周波数2.4
5GHz のマイクロ波を供給すると、第一の実施例で
詳細に説明した作用によって電子加熱空間室部1で高エ
ネルギー電子が生成され、プラズマ生成空間室部2へ供
給される。この高エネルギー電子が、これも同じく第一
の実施例で詳細に説明した作用によって、プラズマ生成
空間室部2内に広範囲で均一な高密度プラズマを生成す
る。その際、付随してラジカルも生成される。
【0053】上述の如く広範囲で均一に生成された高密
度プラズマ中のイオン及びラジカルが支持台21に保持
された基板20の表面に到達し、SiO2 膜を形成す
る。それと同時に、マッチングボックス22及び高周波
電源23により、支持台21上の基板20に交流バイア
ス電圧を印加することで、基板20の表面に形成されつ
つあるSiO2 膜がエッチバックされ平坦化されるの
で、最終的にステップカバレッジに優れたSiO2 膜が
基板20表面に形成される。この成膜処理中に、プラズ
マ生成空間室部2の上端で、永久磁石4aが対向板31
表面に多極カスプ磁場を形成してプラズマを閉じこめて
いるので、プラズマ中のイオンの大半は、対向板31の
対向位置に指示されている基板20側に流れ込むことに
なり、イオンの利用効率を高くすることができる。
【0054】ところで上記成膜処理を連続して行ってい
ると、放電室100の内壁に膜が形成されてくることは
避けられない。そして、ある限度を越えた量の膜が形成
されると、壁面から膜がはがれ落ち、パーティクルとな
って基板20の表面を汚染することが生じる。特に基板
20の鉛直上方の壁面、本実施例においては対向板31
が相当しているが、ここから発生したパーティクルは重
力によって基板20上に落下してくるので、影響が大き
い。そのため、定期的に放電室壁面に付着した膜をプラ
ズマによって取り除く処理(これをプラズマクリーニン
グ処理と呼ぶ)が必要となる。以下、本実施例のプラズ
マ処理装置におけるプラズマクリーニング処理を説明す
る。
【0055】まず、図10(b)に示す如く前記永久磁
石4aを対向板31から引き離し、対向板表面上に磁場
がほとんど無い状態とする。そして、放電室100にガ
ス導入手段7から四ふっ化炭素等のエッチング性ガスを
導入し、さらに導波部5からマイクロ波を導入して、プ
ラズマを発生させる。この状態でマッチングボックス3
2及び高周波バイアス電源33によって対向板31に交
流バイアス電圧を印加すると、対向板31の表面はプラ
ズマ電位よりも負にバイアスされ、プラズマ中のイオン
が、対向板31の表面に形成されたシース中で加速され
て対向板31を衝撃し、対向板31表面に付着した膜を
高速にクリーニングすることができる。その際、前記の
如く対向板31表面上では磁場がほとんど無い状態とな
っているので、対向板31の全面が均等にクリーニング
される。
【0056】この様に本実施例においては、特に基板2
0の鉛直上方にある壁面で、基板20に対するパーティ
クル汚染の影響が大きい対向板31を良好にクリーニン
グできるので、クリーニング処理の効果が大きい。同様
に、支持台21にマッチングボックス22及び高周波バ
イアス電源23によって交流バイアス電圧を印加するこ
とで、支持台21のクリーニングを行うことができる。
更に、対向板31と支持台21のそれぞれに高周波バイ
アス電源33,23によって印加される交流バイアス電
圧の位相差を位相制御装置40によって積極的に制御す
れば、装置全体でのプラズマクリーニングの最適化を行
うことができる。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、プラズマ生成空間室
部で広範囲に渡り均一でかつ高密度のプラズマを確実に
形成でき、さらに被処理物上で磁場がほとんど無く、磁
性膜の加工用途等にも確実に利用することができる結
果、品質の良好な大面積の処理物を安定的に得ることが
できる効果がある。
【0058】更には、プラズマCVD成膜処理等の後に
対向板にバイアス電圧を印加しながら対向板のプラズマ
クリーニングを行うことができ、被処理物に対するパー
ティクル汚染を低減することができる。
【0059】また、対向板のプラズマに接触する面に、
ターゲットを保持して、バイアス電圧を印加することで
スパッタを行えば、ターゲットの全面がスパッタされる
ので、ターゲットの利用効率が高く、かつ、低ガス圧で
動作させることでスパッタ粒子の直進性に優れ、被処理
物に対しステップカバレッジの良好なスパッタ成膜を施
すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ処理装置の第一の実施例
を示す説明用断面図。
【図2】図1に示すプラズマ処理装置の正面図。
【図3】図1に示すプラズマ処理装置の平面図。
【図4】(a)は本発明の要部を示す拡大図、(b)は
高エネルギー電子電流密度とプラズマ生成空間室部との
関係を示す説明図、(c)は電子空間室部及びプラズマ
生成空間室部の各々の位置における磁場強度分布曲線
図。
【図5】本発明によるプラズマ処理装置の第二の実施例
を示す説明用断面図。
【図6】図5に示すプラズマ処理装置の正面図。
【図7】図5に示すプラズマ処理装置の平面図。
【図8】本発明によるプラズマ処理装置の第三の実施例
を示す説明用断面図。
【図9】(a)は第三の実施例の要部を示す拡大図、
(b)は電子空間室部及びプラズマ生成空間室部の各々
の位置における磁場強度分布曲線図。
【図10】本発明によるプラズマ処理装置の第四の実施
例を示す説明用断面図で、(a)はプラズマ処理時、
(b)はクリーニング時を示す。
【図11】図10(a)に示すプラズマ処理装置の平面
図。
【符号の説明】
1…電子加熱空間室部、2…プラズマ生成空間室部、3
…第一の磁場発生手段としての永久磁石、4…第二の磁
場発生手段としての永久磁石、5…導波部、6…誘電
体、6a…誘電体のマイクロ波導出部、12,12a,
12b…電子サイクロトロン共鳴層、14…電子加熱空
間室部とプラズマ生成空間室部との境界付近で磁場強度
が0になる位置、20…基板、21…支持台、31…対
向板、32,22…マッチングボックス、33,23…
高周波バイアス電源、35…直流バイアス電源、40…
位相制御装置、100…放電室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3065 H05H 1/46 C H05H 1/46 H01L 21/302 C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクロ波を導入する導波部と、該導波部
    内の誘電体より下流側の位置に形成された電子加熱空間
    室部と、該電子加熱空間室部に連結されたプラズマ生成
    空間室部と、前記電子加熱空間室部を永久磁石により取
    り囲み該電子加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向に
    沿って、かつ、前記誘電体のマイクロ波導出部において
    電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成
    すると共に、電子サイクロトロン共鳴磁場強度位置から
    電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分
    との間で磁場強度が急峻に立ち下がり、さらに電子加熱
    空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラ
    ズマ生成空間室部に向かうに従い前記強磁場と方向が反
    転するカスプ磁場を形成させる第一の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部の周囲に互いに極性を順次違
    えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部に面して被処理物を保持する
    手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】マイクロ波を導入する導波部と、該導波部
    内の誘電体より下流側の位置に形成された電子加熱空間
    室部と、該電子加熱室空間部に連結されたプラズマ生成
    空間室部と、前記電子加熱空間室部を永久磁石により取
    り囲み該電子加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向に
    沿って、かつ、前記誘電体のマイクロ波導出部において
    電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成
    すると共に、電子サイクロトロン共鳴磁場強度位置から
    電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分
    との間で磁場強度が急峻に立ち下がり、さらに電子加熱
    空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラ
    ズマ生成空間室部に向かうに従い前記強磁場と方向が反
    転するカスプ磁場を形成させる第一の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部の周囲に互いに極性を順次違
    えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部に面して被処理物を保持する
    手段と、前記被処理物と対向してプラズマ生成空間室部
    に面する対向板と、該対向板にバイアス電圧を印加する
    手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】マイクロ波を導入する導波部と、該導波部
    内の誘電体より下流側の位置に形成された電子加熱空間
    室部と、該電子加熱室空間部に連結されたプラズマ生成
    空間室部と、前記電子加熱空間室部を永久磁石により取
    り囲み該電子加熱空間室部内でマイクロ波の伝送方向に
    沿って、かつ、前記誘電体のマイクロ波導出部において
    電子サイクロトロン共鳴磁場強度を越える強磁場を形成
    すると共に、電子サイクロトロン共鳴磁場強度位置から
    電子加熱空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分
    との間で磁場強度が急峻に立ち下がり、さらに電子加熱
    空間室部とプラズマ生成空間室部との境界部分からプラ
    ズマ生成空間室部に向かうに従い前記強磁場と方向が反
    転するカスプ磁場を形成させる第一の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部の周囲に互いに極性を順次違
    えて配置された永久磁石からなる第二の静磁場発生手段
    と、プラズマ生成空間室部に面して被処理物を保持する
    手段と、前記被処理物に交流バイアス電圧を印加する手
    段と、前記被処理物と対向してプラズマ生成空間室部に
    面する対向板と、前記被処理物に交流バイアス電圧を印
    加する手段と、前記被処理物に印加する交流バイアス電
    圧の位相と、前記対向板に印加する交流バイアス電圧の
    位相とを制御する手段を有することを特徴とするプラズ
    マ処理装置。
  4. 【請求項4】前記対向板のプラズマ生成空間室部に面す
    る側にターゲットを保持したことを特徴とする請求項2
    または3記載のプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】前記対向板のプラズマ生成空間室部に面す
    る側と反対側に第二の静磁場発生手段たる永久磁石を配
    置し、該永久磁石を対向板に対し可動としたことを特徴
    とする請求項2,3または4記載のプラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】前記電子加熱空間室部を屈曲させたことを
    特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のプラズ
    マ処理装置。
  7. 【請求項7】前記電子加熱空間室部がプラズマ生成空間
    室部の側面に形成されていることを特徴とする請求項
    1,2,3,4,5または6記載のプラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】前記電子加熱空間室部がプラズマ生成空間
    室部の側面全周を取り囲んで形成されていることを特徴
    とする請求項7記載のプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプ
    ラズマ処理装置内に被処理物を保持し、プラズマ生成空
    間室部で発生させたプラズマを被処理物に作用させるプ
    ラズマ処理方法。
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