JPH08100838A - 動力伝達用チェーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達用チェーンにおいて、荷重をリンク
で均等に分配させる。 【解決手段】 複数の内側リンク１２と、これらを連結
する複数のピン２６と、内側リンク列の最外側に配置さ
れた複数の外側ガイドリンク１４とを設け、内側リンク
１２がピン２６の回りを動き得るように、各内側リンク
開孔２２を形成するとともに、外側ガイドリンク１４が
ピン２６に対して動かないように、各外側ガイドリンク
開孔２４を、上，下縁部２８，３０がピン端部の上，下
部に当接し、側縁部３２がピン端部の側部から離れて配
置されるように、たとえば楕円形に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、動力伝達
用チェーンに関し、さらに詳細には、ピン曲げを減少さ
せるためにリンクに作用する荷重を実質的に均等に分配
させるチェーン形状に関する。本発明は、内向き歯付チ
ェーンすなわちサイレントチェーンや、ローラチェー
ン、またはＣＶＴ（Continuously Variable Transmissi
on）に使用されるチェーンのような、どのようなタイプ
の動力伝達用チェーンにも採用され得るものである。

【０００２】

【従来の技術およびその課題】動力伝達用チェーンは、
自動車産業に広く用いられている。このチェーンは、エ
ンジンからトランスミッションへの動力伝達やトランス
ファーケース内での動力伝達のためばかりでなく、エン
ジンのタイミング駆動用としても用いられている。ＣＶ
Ｔにおいては、動力伝達用チェーンつまりチェーンベル
トは、一対の可変プーリ間で動力を伝達するのに用いら
れている。動力伝達用チェーンはまた、一般産業にも広
く用いられている。

【０００３】動力伝達用チェーンの一つのタイプは「サ
イレントチェーン」と呼ばれている。このサイレントチ
ェーンは、交互に配置された内向き歯付きリンクの組か
ら構成されている。リンクの一組または一列は、並んで
または互いに隣接して配置された数枚のリンクから組み
立てられている。各リンクは、間隔を隔てて配置された
一対の開孔を備えた本体部分を有しており、一組のリン
クの開孔は、交互に配置された隣のリンクの組の開孔と
整列して配置されている。ガイドリンクは、一般に、リ
ンク列の外側に配置されている。ガイドリンクは、チェ
ーンおよびスプロケット歯間で駆動接触つまり動力伝達
を行うようには設計されていない。ガイドリンクは、チ
ェーンをスプロケット上に保持するために用いられてい
る。

【０００４】内側リンクすなわち内向き歯付リンクは、
クロッチ部（股部）で隔てられた一対の垂れ下がったつ
ま先部を有している。リンクは枢支手段によって連結さ
れており、該枢支手段は、典型的には、開孔内に受け入
れられた丸ピンである。枢支手段はまた、ピンおよびロ
ッカーからなるロッカージョイントであってもよい。ロ
ッカージョイントチェーンにおいては、ピンは、関連す
るロッカー面または開孔面に沿って揺動する。内向き歯
付リンクはピンに対して枢支運動をするが、ピンの端部
は、回転しないように、一般にガイドリンクの開孔内に
圧入されている。ピンは、かしめや溶接のような当該技
術分野で知られている何らかの手段によってガイドリン
クに固定されているが、典型的には、ピンの両端部分が
ハンマーによって変形させられている。

【０００５】サイレントチェーンの一例は、米国特許第
4,342,560号の中に見出されるが、該特許は、引用する
ことによって本明細書の中に含まれる。エンジンのタイ
ミング駆動に使用され得るサイレントチェーンの一例
は、米国特許第 4,759,740号の中に見出されるが、該特
許もまた引用することによって本明細書の中に含まれ
る。

【０００６】チェーンの他のタイプは、「ローラチェー
ン」として知られている。典型的なローラチェーンは、
交互に並んだ内側リンクおよび外側リンクから構成され
ている。「ブシュ」リンクとしても知られる内側リンク
は、間隔を隔てて配置されたリンクプレートつまりサイ
ドバーから構成されており、ブシュが、サイドバーの各
端部において孔または開孔内に圧入されている。「ガイ
ドリンク」としても知られる外側リンクは、間隔を隔て
て配置されたリンクプレートつまりサイドバーから構成
されており、ピンが、サイドバーの各端部において孔ま
たは開孔内に圧入されている。

【０００７】ブシュはピンの回りを自由に回転するよう
になっており、これにより、外側リンクは内側リンクに
対して旋回可能に交互に連結されている。ブシュ上には
ローラが設けられており、ローラチェーンがスプロケッ
トの回りに巻き掛けられるとき、スプロケット歯は、横
方向に間隔を隔てて配置されたサイドバーと、縦方向に
間隔を隔てて配置されたローラとの間に受け入れられ
る。ローラチェーンの一例は米国特許第 4,186,617号の
中に見出されるが、該特許は引用することによって本明
細書の中に含まれる。

【０００８】ローラチェーン駆動装置は、「純粋ローラ
（true roller)」とローラ無しの二つのものを含んでい
る。純粋ローラタイプは、ブシュの回りに取り付けられ
た上述のローラを含んでいる。ローラ無しタイプは、ス
プロケットに直接接触するブシュを含んでいる。ローラ
チェーンのこれら二つのタイプは、典型的には、英国標
準チェーンおよび米国国家規格協会（ANSI）チェーンと
して、産業上特徴づけられている。

【０００９】動力伝達用チェーンの他のタイプは、ＣＶ
Ｔにおける一対の可変プーリ間で動力を伝達するのに用
いられている。チェーンリンクは、交互に配置されたリ
ンクの組で与えられており、枢支手段を受け入れるため
の整列された開孔を各リンク内に有している。

【００１０】負荷ブロックは、間隔を隔てて配置された
枢支部材間においてチェーン上に配設されており、プー
リ間で動力伝達のための手段を提供している。負荷ブロ
ックは、リンク下方の通路内でチェーンの回転とともに
運ばれるストラットの形態をとり得る。あるいは負荷ブ
ロックは、リンクの回りに延びるとともに、チェーンを
受け入れるための一つまたはそれ以上の窓部を有してい
る。負荷ブロックは、プーリのシーブ面と係合してプー
リおよびチェーン間で駆動噛合いを行うためのテーパ状
の外側面または端面を有している。

【００１１】ＣＶＴチェーンの枢支ジョイント部は、典
型的には、リンクが屈曲運動をするように、ピンおよび
これに関連するロッカーを含んでいる。ピンは、一般に
は、リンクの外側列内に圧入されている。ＣＶＴチェー
ンのあるタイプにおいては、リンクの外側列が、ピンを
保持するために設けられたガイドリンクから構成されて
いる。可変プーリトランスミッションに使用するのに適
した動力伝達用チェーンの例は米国特許第 4,911,682号
および米国特許第 4,507,106号の中に示されているが、
これらの特許は引用することによって本明細書の中に含
まれる。

【００１２】一般的な動力伝達用チェーンは、シャフト
によって支持された少なくとも二つのスプロケットの回
りに巻き掛けられるサイレントチェーンあるいはローラ
チェーンから、または一対の可変プーリの回りに巻き掛
けられるＣＶＴチェーンから構成されている。チェーン
は無端状であって、スプロケット上に形成された歯に適
合する、相互に連結されたリンクから組み立てられてい
る。駆動スプロケットが回転すると、チェーンを通じて
動力の伝達が起こり、続いて少なくとも一つの従動スプ
ロケットが回転する。

【００１３】エンジンのタイミング駆動に適用される場
合には、駆動スプロケットがエンジンのクランクシャフ
ト上に取り付けられ、従動スプロケットがバルブカムシ
ャフト上に取り付けられる。タイミング駆動への適用に
おいては、オーバヘッドカムシャフトエンジンにおける
カムシャフト間駆動用の動力伝達用チェーンの使用をも
含んでいる。

【００１４】上述のように、一般的なサイレントチェー
ン，ローラチェーンまたはＣＶＴチェーンベルトの枢支
ジョイントは、丸ピンまたはロッカージョイントを有し
ている。丸ピン仕様においては、一般的な丸ピンは、内
向き歯付リンクまたは内側ローラリンクの対応する丸い
開孔内に嵌合している。リンクがスプロケットの回りを
屈曲運動するとき、丸ピンは開孔内で摺動する。丸ピン
は、チェーン外側のガイドリンク開孔内に圧入されて固
定されている。同様に、ロッカージョイントのピンは、
これに関連するロッカーよりも一般に長く、したがっ
て、ピンは外側列のガイドリンクの開孔内に圧入されて
固定されている。

【００１５】本発明は、ピンの長さ方向に沿ってリンク
で分担される不均等荷重の問題に取り組んでいる。通
常、ピンは外側ガイドリンクの開孔内に圧入されている
ので、外側リンクの剛性は内側リンクの剛性よりも高く
なる傾向にあり、この結果、不均等な荷重分担およびピ
ン曲げが生じている。

【００１６】従来においては、内側および外側リンクに
作用する不均等荷重は、外側リンクの強度を下げるより
もむしろ内側リンクの強度を上げることによって、調整
されてきた。内側リンクは、典型的には、高強度材を使
用したり、その厚みを増したり、倍の厚みのリンクを構
成するようにリンクを二重にしたりすることによって、
強化されてきた。内側リンクはまた、望ましい量の付加
的材料をリンク端部に加えて配列形状を変えることによ
って、外側リンクに比べて強化されてきた。

【００１７】その開示部分が引用することによって本明
細書の中に含まれる米国特許第 5,147,251号は、ＣＶＴ
ベルトにおける三段の配列形状を開示してあり、当該特
許では、隣接する列における内側リンクが、第三の列ご
とに繰り返す配列パターンで横方向に互い違いに配置さ
れている。チェーン幅にわたって引張力をバランスよく
作用させるために、変化する厚みをリンクが有してい
る。あるいは、連結要素が不規則に形成された端部を有
しており、該端部は、ガイドリンクに同様に形成された
開孔内に嵌合している。

【００１８】ガイドリンクおよび歯付リンクに力をバラ
ンスよく作用させるために、ガイドリンクの外形や形状
を変えることに対していろいろな試みがなされてきてい
る。

【００１９】たとえば米国特許第 2,602,344号はサイレ
ントチェーンのガイドリンクを開示しており、該ガイド
リンクは、その下部の周縁部から延びかつピン開孔間に
配置されたクロッチ部を有している。このクロッチ部
は、バランスのとれたチェーン構造を提供し、かつチェ
ーンピンに沿った剪断荷重を均等に分配するために、歯
付リンクの変形や伸びを相殺している。チェーンピン
は、隣接するピンの凸面が互いに当接し合いかつ、一方
のリンクが他方のリンクに対して旋回運動できるよう
に、各開孔に強固に固定された伝統的なロッカータイプ
のピンである。

【００２０】米国特許第 4,227,425号は、内側および外
側リンク部材の双方の端部に形成された丸い開孔から構
成される自動調心ジョイントを開示している。開孔は、
リンクの揺動運動のためのクリアランスを設けるため
に、開孔内に延びる円筒形のピンよりも直径が大きくな
っている。ピンは、外側リンクを保持するための環状部
を有しており、内側および外側リンクから独立して自由
に回転する。

【００２１】本発明は、外側ガイドリンクの開孔の上縁
部および下縁部内にピンを圧入する一方、内側および外
側リンクにバランスよく荷重を作用させるために、開孔
の側縁部とピンとの間に間隔を設けることによって、不
均等な荷重分配の問題に取り組んでいる。

【００２２】すなわち、本発明の目的は、荷重をリンク
で均等に分担することができる動力伝達用チェーンを提
供することにある。

【００２３】

【課題を解決するための手段】本発明に係る動力伝達用
チェーンは、平行な複数の内側リンク列から形成される
複数の内側リンクと、異なる内側リンク列の内側リンク
を連結する複数のピンと、交互に配置された内側リンク
列の両外側端部に配置された複数のガイドリンクとを備
え、前記各内側リンクは、向かい合って延びる端部に形
成された一対の開孔を有し、前記ピンは、内側リンクの
対応する開孔内に延びるとともに、内側リンクが該ピン
の回りを動き得るような大きさを有し、ピン長さ方向に
沿って実質的に一定の断面形状を有しており、前記ガイ
ドリンクは、前記内側リンク列と交互に配置されたガイ
ド列を形成し、端部に形成された、ピンを受け入れるた
めの一対の開孔をそれぞれ有し、該開孔およびピン端部
は、ピンに対するガイドリンクの動きを実質的に防止す
るために、ピンの上，下部が開口の上，下縁部に対して
当接し合うような形状に形成されており、各ピンの少な
くとも一方の側部が、関連するガイドリンク開孔の側縁
部から離れた位置関係で配置されていることを特徴とし
ている。

【００２４】請求項２の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項１において、前記ピンが実質的に断面弧状に
形成され、前記ガイドリンク開孔が、前記ピン側部とこ
れに関連する前記ガイドリンク開孔側縁部との間の前記
離れた位置関係を提供するように、形成されていること
を特徴としている。

【００２５】請求項３の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項１において、前記ガイドリンク開孔が実質的
に弧状に形成され、前記ピンが前記離れた位置関係を提
供するような断面形状を有していることを特徴としてい
る。

【００２６】請求項４の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項１において、前記ピンの各側部が、関連する
各ガイドリンク開孔の各側縁部から離れて配置されてい
ることを特徴としている。

【００２７】請求項５の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項４において、前記ピンが実質的に断面弧状に
形成され、前記ガイドリンク開孔が前記離れた位置関係
を提供するように形成されていることを特徴としてい
る。

【００２８】請求項６の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項４において、前記ガイドリンク開孔が実質的
に楕円状であって、ピンが円柱状であることを特徴とし
ている。

【００２９】請求項７の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項４において、前記ガイドリンク開孔が弧状で
あって、前記ピンが前記離れた位置関係を提供するよう
な断面形状を有していることを特徴としている。

【００３０】請求項８の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項７において、前記ピンの断面形状が、ピン中
心に向かうにしたがい半径方向内方に湾曲する凹状の側
壁部によって形成されていることを特徴としている。

【００３１】請求項９の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項７において、前記ピンの断面形状が、実質的
にＩ字状に形成された端部を形成していることを特徴と
している。

【００３２】

【発明の実施の形態】発明の概要 簡略に述べると、本発明は、ピン長さ方向に荷重をバラ
ンスよく分配させるように設計されたガイドリンクおよ
びピンを有するチェーンに関する。本発明は、内向き歯
付チェーンや、ローラチェーン、ＣＶＴチェーンに適用
される。

【００３３】チェーンは、複数の平行な内側列および外
側列を形成する複数の内側リンクおよび外側リンクを有
している。複数のピンは、交互に配置された内側および
外側リンクの列を連結している。内側および外側リンク
は、対応するピンを受け入れるための開孔を有してお
り、該開孔は各リンクの端部に形成されている。内側リ
ンクの開孔およびピンは、内側リンクがピンの回りを旋
回運動できるような大きさを有している。

【００３４】ピンの両端部およびガイドリンクの開孔
は、ピン両端部の上部および下部が開孔の上縁部および
下縁部に当接するような形状に形成されており、これに
より、外側リンクがピンに対して動かないようになって
いる。外側リンクの剛性を減少させて、内側および外側
リンクに作用する外力を均等に分布させるように、ピン
の少なくとも一方の側部は開口側縁部から離れて配置さ
れている。

【００３５】好ましい実施態様においては、ガイドリン
クの開孔は楕円形をしており、ピンの両端部は円柱形を
している。楕円形の開孔の上縁部および下縁部の距離
は、ピンが該開孔内に圧入されるとともに外側リンクが
ピンに対して動かないように、ピン両端部の直径と略同
一になっている。外側リンクの剛性を減少させ、内側お
よび外側リンクにバランスよく荷重を分配するために、
外側リンク開孔の両側縁部間の距離は、ピン両端部の直
径よりも若干大きくなっている。あるいは、ピンが特に
丸ピン開孔内に適合するような形状に形成されるととも
に、上述の圧入および間隔を隔てた関係が得られるよう
にしてもよい。

【００３６】本発明は、ロッカージョイントチェーンの
ガイドリンク開孔ばかりでなく、丸ピンチェーンのガイ
ドリンク開孔にも適用されるものである。

【００３７】本発明は重要な利点をもたらす。外側リン
クにおける楕円形の開孔は、ピンが開孔内に圧入されて
いたとしても、外側リンクの剛性を減少させる。これに
より、内側リンクおよび外側リンクに略同一の荷重が分
配されて、ピン曲げが防止される。外側リンクはさら
に、チェーンを十分にガイドする。

【００３８】本発明は、内側および外側リンクに荷重を
バランスよく作用させるべく、ピンと開孔側縁部との間
に間隔を設ける一方、外側ガイドリンク開孔内に圧入さ
れたピンを提供することによって、荷重分布の問題に取
り組んでいる。

【００３９】本発明は、その目的および効果の記載とと
もに、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参酌す
ることによって、もっともよく理解されるだろう。

【００４０】好ましい実施態様の詳細な説明 図面について説明すると、図１ないし図３は本発明の一
実施例によるチェーンを説明するための図であって、図
１はチェーンの正面部分図、図２は図１の１−１線に沿
って切断した断面図、図３は図１の３−３線に沿って切
断した断面図である。

【００４１】これらの図において、チェーン１０は、上
述したように、動力伝達用チェーンのいかなるタイプの
ものであってもよい。チェーン１０は、複数の内側リン
ク１２と、好ましくは同じ厚みを有する外側ガイドリン
ク１４とを有している。

【００４２】内側リンク１２は好ましくは、外側列Ｈお
よびＩを形成する外側リンク１４間に配置された複数の
平行な内側列Ａ〜Ｇから構成されている。各列Ａ〜Ｇに
おける内側リンク１２は間隔を隔てて配置され、隣接す
る列Ａ〜Ｇにおける内側リンク１２はその端部１６が重
なり合うように交互に配置されている。同様に、各列Ｈ
およびＩの両外側リンク１４は間隔を隔てて配置され、
内側リンク端部１６と外側リンク端部１８とが重なり合
うように、列ＡおよびＧの隣接する内側リンク１２に対
して交互に配置されている。

【００４３】本発明においては、内側列の数は適切なも
のであればいかなる数でもよく、また配列パターンにつ
いても望ましいものであればいかなるパターンでも用い
ることができる。

【００４４】たとえば、隣接する列における内側リンク
が第三の列ごとに繰り返す配列パターンで横方向に互い
違いに配置されるような、三段の配列形状が用いられて
もよい。このような配列パターンにおける内側リンクは
外側リンクに対して延長されていてもよく、これによ
り、内側リンクの強度が向上し、内側リンクおよび外側
リンクにバランスよく荷重が作用する。

【００４５】また、内側リンクは、高強度材を用いた
り、その厚みを増したり、倍の厚みのリンク１９（図
４）を構成するように隣接する列において内側リンクを
二重にしたりすることによって、強化されるようにして
もよい。

【００４６】図１に示すサイレントチェーンすなわち内
向き歯チェーンにおいては、各内側リンク１２は、スプ
ロケットと噛み合うための下方に延びる一対の歯部２０
と、端部１６に形成された一対の開孔２２とを有してい
る。好ましくは、外側リンク１４は、その端部１８に形
成された、実質的に楕円形の一対の開孔２４を有してい
る。

【００４７】円柱形の複数のピン２６は、対応する内側
リンク１２の整列された開口２２内に挿入され、その端
部は外側リンク１４の楕円形の開孔２４内に圧入されて
いる。内側リンク１２がピン２６の回りを旋回運動でき
るように、ピン２６の径は内側リンク開孔２２よりも若
干小さくなっている。ピン２６を外側リンク１４に圧入
して強固に固定するために、外側リンク開孔２４の上縁
部２８および下縁部３０間の距離はピン２６の径と略同
一になっている。

【００４８】外側リンク１４の剛性を下げ、内側および
外側リンク１２，１４に作用する外力を均等に分配させ
るために、楕円形の開孔２４の両側縁部３２間の距離
は、ピン２６の径よりも若干大きくなっている。ピン２
６が開孔側縁部３２から離れて配置されるのであれば、
外側リンク開孔２４は楕円形である必要はない。ピン２
６と開孔２４のただ一方の側部との間隔が十分であれば
よく、枢支ピンおよびロッカー装置を用いることができ
る。あるいは、本発明のチェーンにおける丸い開孔とと
もに使用されるように、ピンの形状を変えてもよい。

【００４９】図５に示すものでは、外側リンク開孔１４
が実質的に円形であって、ピンには後退部（recess）３
４が形成されている。このような後退部は、図５に示す
ような実質的に直線であってもよく、または図６および
図７に示すような弧状であってもよい。図６に示すピン
は、凹状の側壁面３６によって形成された凹部３４を有
しており、図７のピンは、丸い角部を有する実質的にＩ
字状の端部を有している。

【００５０】図８および図９は、ロッカージョイントチ
ェーンにおけるガイドリンクおよびピンを示している。
図８においては、ピン４０は、開孔内に圧入された縁部
４２，４４を有している。同様に、ピン４０の縁部４６
は、開孔内に圧入されるとともに、隣接するピン（図示
せず）に対して揺動しつつ係合するように形成されてい
る。外側縁部４８すなわち非揺動側の縁部は、開孔５０
の縁部から離れて配置されている。

【００５１】同様に、図９において、ピン５２は、開孔
内に圧入された縁部５４，５６を有している。縁部５８
もまた開孔内に圧入されるとともに、隣接するピンまた
は枢支部材（図示せず）に対して揺動しつつ係合するよ
うに形成されている。外側縁部６０すなわち非揺動側の
縁部は、開孔６２の縁部から離れて配置されている。

【００５２】このようにして、外側ガイドリンクの剛性
を下げることにより、チェーンの内側および外側リンク
への荷重分布をより均等に分配しようとするチェーンが
提供される。楕円形の開孔を形成したことにより、チェ
ーンのための十分なガイドが行われるように、開孔の
上，下縁部においてピンが圧入される一方、ピンと開孔
側縁部との間の間隔が外側リンクの剛性を低下させるこ
とになる。

【００５３】本発明は好ましい実施態様に関連して説明
されているが、当該技術分野の当業者は、本発明の精神
および範囲から逸脱することなく、種々の変形がなされ
得ることが理解されるだろう。

【００５４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る動力
伝達用チェーンによれば、荷重をリンクで均等に分担す
ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるサイレントチェーンの
正面部分図であって、複数の外側ガイドリンクおよび内
向き歯付内側リンクを示している。

【図２】図１の２−２線に沿って切断した断面図であ
る。

【図３】図１の３−３線に沿って切断した断面図であ
る。

【図４】サイレントチェーンの変形例の平面部分図であ
って、内側チェーンリンク対の一部断面を示している。

【図５】本発明の変形例の正面図であって、直線の後退
部（recess）を備えた枢支ピンと丸い外側リンク開孔と
を示している。

【図６】本発明の他の変形例の正面図であって、凹状の
後退部を備えた枢支ピンと丸い外側リンク開孔とを示し
ている。

【図７】本発明のさらに他の変形例の正面図であって、
実質的にＩ字状に形成された枢支ピンと丸い外側リンク
開孔とを示している。

【図８】ロッカージョイントチェーンのガイドリンクお
よびピンの変形例の正面図である。

【図９】ロッカージョイントチェーンのガイドリンクお
よびピンの他の変形例の正面図である。

【符号の説明】

１０ サイレントチェーン １２ 内側リンク １４ 外側ガイドリンク ２２ 内側リンク開孔 ２４ 外側リンク開孔 ２６ ピン ２８ 上縁部 ３０ 下縁部 ３２ 開孔側縁部 ３４ 後退部 Ａ〜Ｇ 内側列 Ｈ，Ｉ 外側列

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 動力伝達用チェーンにおいて、 平行な複数の内側リンク列から形成される複数の内側リ
   ンクと、 異なる内側リンク列の内側リンクを連結する複数のピン
   と、 交互に配置された内側リンク列の両外側端部に配置され
   た複数のガイドリンクとを備え、 前記各内側リンクは、向かい合って延びる端部に形成さ
   れた一対の開孔を有し、 前記ピンは、内側リンクの対応する開孔内に延びるとと
   もに、内側リンクが該ピンの回りを動き得るような大き
   さを有し、ピン長さ方向に沿って実質的に一定の断面形
   状を有しており、 前記ガイドリンクは、前記内側リンク列と交互に配置さ
   れたガイド列を形成し、端部に形成された、ピンを受け
   入れるための一対の開孔をそれぞれ有し、該開孔および
   ピン端部は、ピンに対するガイドリンクの動きを実質的
   に防止するために、ピンの上，下部が開口の上，下縁部
   に対して当接し合うような形状に形成されており、各ピ
   ンの少なくとも一方の側部が、関連するガイドリンク開
   孔の側縁部から離れた位置関係で配置されている、こと
   を特徴とする動力伝達用チェーン。
2. 【請求項２】 前記ピンが実質的に断面弧状に形成さ
   れ、前記ガイドリンク開孔が、前記ピン側部とこれに関
   連する前記ガイドリンク開孔側縁部との間の前記離れた
   位置関係を提供するように、形成されている、ことを特
   徴とする請求項１記載の動力伝達用チェーン。
3. 【請求項３】 前記ガイドリンク開孔が実質的に弧状に
   形成され、前記ピンが前記離れた位置関係を提供するよ
   うな断面形状を有している、ことを特徴とする請求項１
   記載の動力伝達用チェーン。
4. 【請求項４】 前記ピンの各側部が、関連する各ガイド
   リンク開孔の各側縁部から離れて配置されている、こと
   を特徴とする請求項１記載の動力伝達用チェーン。
5. 【請求項５】 前記ピンが実質的に断面弧状に形成さ
   れ、前記ガイドリンク開孔が前記離れた関係を提供する
   ように形成されている、ことを特徴とする請求項４記載
   の動力伝達用チェーン。
6. 【請求項６】 前記ガイドリンク開孔が実質的に楕円状
   であって、ピンが円柱状である、ことを特徴とする請求
   項４記載の動力伝達用チェーン。
7. 【請求項７】 前記ガイドリンク開孔が弧状であって、
   前記ピンが前記間隔を隔てた関係を提供するような断面
   形状を有している、ことを特徴とする請求項４記載の動
   力伝達用チェーン。
8. 【請求項８】 前記ピンの断面形状が、ピン中心に向か
   うにしたがい半径方向内方に湾曲する凹状の側壁部によ
   って形成されている、ことを特徴とする請求項７記載の
   動力伝達用チェーン。
9. 【請求項９】 前記ピンの断面形状が、実質的にＩ字状
   に形成された端部を形成している、ことを特徴とする請
   求項７記載の動力伝達用チェーン。