JP3695785B2 - ロッカージョイントおよび動力伝達用チェーン - Google Patents

ロッカージョイントおよび動力伝達用チェーン Download PDF

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    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、動力伝達用チェーンに関し、詳細には、このようなチェーンのための改良されたロッカージョイントに関する。このロッカージョイントは、単一のピンと、これに関連するリンク開孔から構成されている。本発明は、可変プーリトランスミッション(CVT:Continuously Variable Transmission)とともに用いられる動力伝達用チェーンばかりでなく、種々のサイレントチェーンを含む動力伝達用チェーンに適用される。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
動力伝達用チェーンが自動車産業において広く使用されている。このようなチェーンは、エンジンからトランスミッションへの動力伝達や、トランスファケース内の動力伝達、トランスミッション内の動力伝達ばかりでなく、エンジンのタイミング駆動にも用いられている。動力伝達用チェーンはまた、一般産業でも広く使用されている。
【0003】
動力伝達用チェーンの一つのタイプとして、「サイレントチェーン」が挙げられる。このチェーンは、交互に配置された内向き歯付きリンクの組から構成されている。一組または一列のリンクは、互いに並んですなわち横方向に隣接して配置された幾枚かのリンクから組み立てられている。各リンクは、間隔をおいて配置された一対の開孔を有するリンク本体を備えており、一組のリンクの開孔は、隣接されたリンクの組の開孔と一致して配置されている。リンクは、クロッチ部(股部)によって隔てられかつ垂れ下がった一対のつま先部を有している。
【0004】
リンクは枢支部材によって連結されており、該枢支部材は典型的には、リンク開孔内に支持された丸ピンである。この枢支部材はまた、ピン及びロッカーを含むロッカージョイントから構成してもよい。各ピン及びロッカーは、互いに接触し揺動する前面部を有している。サイレントチェーンの一例は米国特許第 4,342,560号に見出される。該特許はこの明細書中に参考として組み込まれている。エンジンのタイミング駆動に適用され得るサイレントチェーンの一例は、米国特許第 4,759,740号に見出される。該特許もこの明細書中に参考として組み込まれている。
【0005】
動力伝達用チェーンの第2のタイプは、CVTの中における一対の可変プーリ間の動力伝達に用いられている。このチェーンリンクは、一緒に配置されたリンクの組で与えられている。リンクは、枢支部材を受け入れるための整列された開孔を有している。駆動噛合い時においてシーブを枢支部材端部に直接接触させるようにすることにより、枢支部材がチェーンおよびプーリシーブ間の動力伝達のための手段を提供することができる。
【0006】
間隔をおいて配置された枢支部材間においてチェーン上に配置された負荷ブロックつまり荷重伝達部材もまた、プーリ間の動力伝達の手段を提供することができる。負荷ブロックは、リンク下方の通路内で運ばれるストラットの形態をとり得る。あるいは負荷ブロックは、チェーンのリンクの回りに延長され、チェーンリンクを受け入れるための一つまたはそれ以上の窓を有していてもよい。負荷ブロックは、プーリシーブ面と係合してプーリおよびチェーン間を駆動状態にするテーパ状の外側面または端面を有している。CVTでの使用に適した動力伝達用チェーンの例が米国特許第 4,911,682号や、同第 4,507,106号、同第 5,007,883号に示されている。これらの特許は参考としてこの明細書中に組み込まれている。
【0007】
本発明は、動力伝達用チェーンのための改良されたロッカージョイントに関する。チェーンのロッカージョイントは従来より知られている。ロッカージョイントは、高効率と、丸ピンジョイントに比較しての低摩耗性を得ようとして用いられている。丸ピンジョイントでは典型的には、チェーンの関節運動時において、丸ピンとリンク開孔の円弧内面との間の摺動の結果として、かなりの摩耗が発生する。これに対して、ロッカージョイントでは、チェーンの関節運動時に、ピン及びロッカー部分が揺動するために摩耗が少ない。
【0008】
米国特許第 4,507,106号は、好ましい実施例において、各ピンまたはロッカーが同一の横断面形状を有している二つのピンを含むロッカージョイントを開示している。各ピンは、隣接するピンの前面部上で揺動する前面部を有している。
【0009】
好ましい実施例では、ピンは、第1の半径によって形成される前面部と、第1の半径よりも小さな第2および第3の半径によって形成される背面部とを有している。ロッカージョイントは、リンクを結合して関節運動を許容するリンクの配列された組において、整列された開孔の各グループ内に挿入される一対のピンから構成されている。
【0010】
米国特許第 4,911,682号は、一対のピンを含むロッカージョイントを開示している。ロッカージョイントは、ピンを受け入れる大きな端部を備えかつ一般に砂時計形状をした開孔を有している。ピンの前面部は互いに揺動し、一方ピンの背面部は、開孔面の曲率によって実質的な回転が妨げられている。
【0011】
これらの従来技術の特許は、二つの枢支部材あるいはピン、またはピン及びロッカーを用いるロッカージョイントの例を示している。本発明は、単一のピンがリンク開孔に対して揺動する、単一ピンのロッカージョイントに関する。米国特許第 2,667,791号は、単一ピンのロッカージョイントを備えたサイレントチェーンを開示している。チェーンは、単一の半径によって形成される円弧状の周辺部と、相対的に平坦な支持面とを備えた単一のピンを有している。リンクは、円弧状の支持面を備えた一般に半円状の開孔を有している。ピンの平坦面は、リンク開孔の円弧状面に対して揺動する。
【0012】
単一ピンのロッカージョイントの他のタイプが、米国特許第 4,337,057号に示されている。この特許は、可変プーリトランスミッション用チェーンベルトのための二つの非揺動ヒンジを開示している。ヒンジピンの両側は、リンク開孔の内側に接触している。
【0013】
米国特許第 1,564,798号もまた、単一ピンからなる二つのエッジを有するロッカージョイントを開示している。このピンは、中心部が頂上部や底部よりも厚くなっている。リンク開孔を形成することにより、ピンの側面が、隣接して配置されたリンクの開孔面に対して揺動する。
【0014】
本発明は、各リンク開孔に単一のピン(枢支部材)を有するとともに、内側ノンガイド列リンクのピッチ長が内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長よりも長い動力伝達用チェーンにおいて、各列の各リンクが、等間隔に配置された歯を有するスプロケットに対して最適な量で着座できるようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る動力伝達用チェーンは、内側リンクの組に差し込まれた側部ガイドリンク対を含む複数組のガイドリンクを有するとともに、該内側リンクの組が、スプロケットと接触する垂れ下がったつま先部対を備えたリンクを有しており、隣接する内側リンクの組が、内側ノンガイド列リンクと組み合わされる内側ガイド列リンクの組を構成するように組み合わされている。各リンクは、間隔をあけて配置されかつ連続する面で形成された一対の開孔を有しており、一つのリンクの組の開孔が、隣接するリンクの組の一組の開孔とともに横方向に整列されて配置され、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンク内の開孔が少なくとも一つの曲面を有し、内側ノンガイド列リンク内の開孔が複数の曲面を有している。枢支部材は、それぞれ小さな曲率の前面部と、第1の半径によって形成される凸状の背面部とを有し、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクによって構成される各曲面部に枢支部材の背面部が係合して、枢支部材のガイドリンクに対する実質的な回転を防止できるように、枢支部材がガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの開孔内で支持されるとともに、チェーンの関節運動時に面同士が互いに動くときに、枢支部材の背面部が内側ノンガイド列リンクの開孔内で動き得る状態で、枢支部材の前面部と内側ノンガイド列リンク開孔の曲面部とが係合して互いに揺動するように、枢支部材が内側ノンガイド列リンクの開孔内で支持されている。ガイドリンクおよび内側ガイド列リンク内の開孔が、各ロッカー半径によって形成される小さな曲率の前面部を有し、内側ノンガイド列リンク内の開孔が、ロッカー半径によって形成される曲面状の前面部を有するとともに、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの各開孔前面部を形成するロッカー半径が、内側ノンガイド列リンクの開孔前面部を形成するロッカー半径よりも大きくなっており、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクが第1の距離のピッチ長を有し、内側ノンガイド列リンクが、第1の距離よりも長い第2の距離のピッチ長を有している。そして、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの各開孔前面部を形成するロッカー半径と、内側ノンガイド列リンクの開孔前面部を形成するロッカー半径との差が、内側ノンガイド列リンクのピッチ長と、内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長との差の半分になっている。
【0016】
【作用】
本発明の一実施態様にしたがって、動力伝達用チェーンは、リンク及び枢支部材の組立体から構成される。このチェーンは、内側リンクの組が交互に差し込まれた複数組のガイドリンクを含んでいる。各ガイドリンクおよび内側リンクは、間隔をあけて配置された一対の開孔を有している。このチェーンを組み立てるには、あるリンクの組の開孔は、隣接するリンクの組の開孔とともに横方向に一直線状に整列される。
【0017】
開孔は連続する面で形成されている。ガイドリンク内の開孔は少なくとも一つの曲面を有しており、少なくとも幾つかの内側リンク内の開孔は複数の曲面を有している。
【0018】
枢支部材は、ピンの形態でリンク開孔内に嵌入されている。ピンは、実質的に平坦な前面部と、凸状の背面部とを有している。枢支部材の背面部は第1の半径によって形成される。枢支部材は、ガイドリンクにより定められる曲面部に該枢支部材の背面部が係合するように、ガイドリンクの開孔内に密に圧入されている。このように密に圧入することにより、ガイドリンクに対してピンが実質的に回転するのが妨げられている。
【0019】
ピンの背面と、これに関連する少なくとも幾つかの内側リンクの開孔との間のクリアランスを必要最小限にしたことにより、枢支部材の背面部が、チェーンの少なくとも幾つかの内側リンクの開孔内で自由に動くことができる。枢支部材の前面部と、少なくとも幾つかの内側リンクの開孔の曲面部とが係合して、互いに揺動する。
【0020】
少なくとも幾つかの内側リンクの開孔は連続する半径で構成されている。これらの開孔は、積極的な傾斜角を形成するように、リンク本体部の水平方向の中心線に対して回転している。一実施態様では、ガイドリンクの開孔は、リンクのピッチラインのみならずリンクの水平方向中心線に対して直角で、かつピンの平坦面に適合するような平坦面を有している。少なくとも幾つかの内側リンクの開孔は、ガイドリンクのピッチ長よりも長いピッチ長が得られるように、間隔をあけて配置形成されている。
【0021】
本発明のロッカージョイントは、内向き歯付きのサイレントチェーンやCVT用の動力伝達用チェーンに用いられる。サイレントチェーンへの適用においては、内側リンクが一対の垂れ下がった歯を有しており、該歯は、チェーン駆動のためのスプロケットと接触するように形成されている。一つの実施態様においては内側リンクの組がブロック配列されており、ガイド列内に内側リンクが存在していない。他の実施態様においては、内側リンクの組がガイドリンク列内に設けられるとともに、他の内側リンクの組がノンガイドリンク列内に設けられるように、内側リンクの組が組み合わされている。CVTへの適用においては、リンクが、負荷ブロックの形態をとる荷重伝達部材を含んでいる。負荷ブロックは、リンクの回りにまたはリンク基部に形成された通路を通って延びている。あるいは、動力伝達のためにピンがプーリシーブに接触している。
【0022】
CVT用の動力伝達用チェーンにおいては、チェーンはガイドリンクの組および内側リンクの組を含んでいる。内側リンクの一つの組はノンガイド列にあるリンクである。内側リンクのもう一つの組はガイド列にある。内側リンクはピンに対して回転するように設計されている。ガイドリンクの組は、列または組の外側に配置された外部または側部ガイドリンク対を含んでいる。
【0023】
側部ガイドリンクは好ましくはピンに密に圧入されている。すなわち、側部ガイドリンクに対して回転しないように、ピンが側部ガイドリンクの開孔内に嵌合している。また、内側ガイド列リンクがピンに密に圧入されていてもよい。このようなチェーンでは、内側ガイド列リンクもまた、ピン横断面に適合し、これによりピンに対するリンクの回転を防止するように設計された開孔を有している。あるいは、内側ガイド列リンクが、ピンに対するリンクの回転を許容するように設計された開孔を有していてもよい。
【0024】
内向き歯(すなわちサイレント)の動力伝達用チェーンに用いられる本発明のロッカージョイントもまた、密に圧入されかつ側部にないガイドリンクとともに用いてもよい。この側部にないガイドリンク(内側ガイドリンク)は、側部ガイドリンクと同一の形状を有し、また枢支部材の形状に適合するように設計された開孔を有している。しかしながら、この実施態様では、内側ガイドリンクは、チェーンをガイドするためのスプロケット上の補充溝と係合する。CVTとともに用いられる実施態様の場合と同様に、この実施態様では、ノンガイド列の内側リンクの個数が、好ましくはガイドリンクの内側リンクの個数を越えている。
【0025】
ピンに密に圧入されたまたはピンとの嵌合がしまりばめのガイドリンクを使用することにより、密に圧入されていないリンクと比較して、リンクの疲労強度が増加する。ガイド列に使用するリンクの個数をノンガイド列よりも少なくすることにより、チェーンにおける接触応力が減少する。
【0026】
内向き歯のすなわちサイレントチェーンのある特定の実施態様においては、チェーンは、ガイドリンクの組と、組み合わされた内側リンクの組とを含んでいる。ガイドリンクの組は、内側リンクの列または組の外側に配置された外部または側部ガイドリンク対を含んでいる。あるいは、ガイドリンクが内側のまたは側部にないリンクであってもよく、この場合には、スプロケットが内側ガイドリンクを受け入れるための補充溝を有している。ガイドリンクは好ましくはピンに密に圧入されている。すなわち、ガイドリンクに対して回転しないように、ピンがガイドリンクの開孔内に嵌合している。
【0027】
内側リンクの一組がガイド列に配置され、かつノンガイド列にある内側リンクの他の組と組み合わされるように、内側リンクの組が組み合わされている。内側リンクの組の形状は、開孔形状を除いて、とくにつま先部のフランク面の形状に関して同一であるかまたは異なっている。一つの組たとえばガイド列の内側リンクの組内において、リンク形状とくにつま先部のフランク面の形状は、同一であってもよいしまた異なっていてもよい。このように、幾つかのリンクは内側フランク面でスプロケット歯と接触し、他のリンクは外側フランク面でスプロケット歯と接触する。
【0028】
好ましくは内側ガイド列リンクは、ピンに対するリンクの回転を防止するために、ピン横断面と実質的に適合するように設計された開孔を有している。内側ノンガイド列リンクは、ピンに対して回転するように設計された開孔を有している。しかしながら、内側ノンガイド列リンクのピッチ長は、内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長よりも長い。等間隔に配置された歯を有するスプロケットとともに本実施態様のチェーンを使用するのが望ましいのであれば、ガイドリンク列のリンクのロッカー半径は、ノンガイド列のリンクのロッカー半径と異なっていなければならない。好ましくは、ガイド列のリンクのロッカー半径とノンガイド列のリンクのロッカー半径との差は、ノンガイド列のリンクのピッチ長とガイド列のリンクのピッチ長との差の半分であるべきである。このようにして、スプロケット歯上へのリンクの着座を意味する、スプロケット中心線からロッカー半径中心を通る線までの距離が、ノンガイド列リンクおよびガイド列リンクについて実質的に同一になる。
【0029】
本発明のロッカージョイントは、ブロック状に配置された内向き歯付きリンクのタイミングチェーンに適用される。この構造では、内側リンクは、実質的に同一であって、ブロックを形成するように一列に並んで配置されている。このブロック配列された内側リンクの列または組は、好ましくはガイドリンク列に置き換えられる。ガイドリンクとの組は内側リンクを含まない。同様に、ロッカージョイントは、ブロック配列されたCVTチェーンに使用することができる。
【0030】
本発明のロッカージョイントもまた、内向き歯付きリンクのタイミングチェーンやトランスミッションチェーンの駆動に適用される。この構造では、内側リンクの組は、ノンガイドリンク列の内側リンクの他の組と組み合わされたガイドリンク列の内側リンクからその一組が構成されるように、配置されている。リンク形状は同一であってもよいし、また異なっていてもよい。
【0031】
本発明による単一ピンのロッカージョイントを使用することは、丸ピンチェーンを使用するよりも多くの利点がある。ロッカージョイントは、丸ピンジョイントよりも一般に高効率であり、低摩耗性を有している。さらに、本発明による単一ピンのロッカージョイントは、もう一つのピンを除いたことによって、従来技術である二つのピンのロッカージョイント設計よりも優れている。
【0032】
なお、フィリップ・ジェイ・モットによる米国特許第 5,176,587号に参照個所が示されており、この特許の名称は「単一ピンのロッカージョイントブッシングチェーン」であって、本件出願の主題に関係しており、参考としてこの明細書中に組み込まれている。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のロッカージョイントを使用した動力伝達用チェーン10の一実施態様の一部を示している。このチェーン10は、交互に配置されたリンクの組または列を含んでいる。図1の実施態様では、チェーン10は、内側リンク列14が挟み込まれたガイドリンク列12を有している。ガイドリンク列12は、外側のつまり側部に位置するガイドリンク16から構成され、内側リンク列14は内側リンク18から構成されている。ガイドリンク16は図4により明確に示されており、内側リンク18は図2により明確に示されている。
【0034】
この実施態様では、内側リンク18の組はブロック状に配列されており、ガイドリンク16の組は内側リンク18を含んでいない。図19ないし図35に示され、以下により詳細に説明される他の実施態様においては、内側リンクの組が、ガイドリンク列の内側リンクの一つの組と、ノンガイドリンク列の内側リンクのもう一つの組とに組み合わされている。
【0035】
完成されたチェーン駆動装置(図示せず)は、無端状に連結され、少なくとも一対のスプロケットの回りに巻き掛けられたチェーン10を有している。スプロケットは、例えばエンジンのクランクシャフトやカムシャフトのような軸に据え付けられている。スプロケットは直径が異なっており、異なった形状の異なった数の歯または均等間隔で配置された同一形状の歯を有している。チェーン・スプロケット装置は、アイドラスプロケットを含んでいてもよい。
【0036】
リンクの列または組は、並んで配置された複数のリンクから構成されている。差し込まれた組のリンクは、好ましくは第1の組のリンクと交互に配置される。隣り合ったリンクの組は枢支部材20によって連結されており、該枢支部材20は、平坦な前側作動面と円弧状の背面とを備えたピンとして図6に示されている。枢支部材は、整列された開孔の組22,24および26,28内に受け入れられている。各リンクは好ましくは、リンク両端に配置された一対の開孔を有している。
【0037】
サイレントチェーンの実施態様では、側部ガイドリンク16は、スプロケット上のチェーンの横方向の整列状態を維持している。この側部ガイドリンク16は、チェーンの外側に位置しており、スプロケット歯とは何ら駆動噛合いを行わない。このように、ガイドリンク16は、スプロケット歯が接触する部材を有しないことによって、内側リンクつまり駆動リンク18とは区別される。スプロケットが接触する歯(図示せず)を有しない内側ガイドリンクも、スプロケットに内側ガイドリンク受け入れのための溝が形成されている場合には、用いられる。
【0038】
枢支部材20は、ガイドリンクの開孔26,28内に密に圧入されるように形成されている。サイレントチェーンの実施態様においては、枢支部材は、チェーン組立体の完成状態を維持するために、典型的には頭部がかしめられているが、望ましいものであれば他の方法を採用してもよい。CVT(Continuously Variable Transmission)に適用される本発明の実施態様においては、ピンを維持するようにガイドリンクが働く。側部ガイドリンクがチェーンの列の外側に沿って配置されており、他のガイドリンクがピンに密に圧入され、チェーンの列の内側に配置されている。
【0039】
図4に示されるガイドリンクは、スプロケット歯が接触する部材(内向き歯)がなく、側部ガイドリンクとして知られている。側部ガイドリンク対は、チェーンをスプロケット上で支持するために、ガイド列のチェーン外側に配置されている。側部ガイドリンク対を有しないノンガイド列は、内側リンクまたは内側ノンガイド列リンクを有している。外側または側部ガイドリンクを、側部にない内側ガイドリンク、すなわち内側ガイド列リンクと混同すべきではない。内側ガイド列リンクは、ガイド列に存在するリンクである。サイレントチェーンの実施態様では、内側ガイド列リンクは、スプロケット歯と接触するように作られた内向き歯の対を含んでいる。この内側ガイド列リンクもまた、ガイド列のピンに密に圧入されていてもよい。CVTの実施態様では、内側ガイド列リンクは、負荷ブロックのための通路を形成するように作用する垂れ下がり部を有している。
【0040】
チェーンが内側ガイド列リンクを含む場合においては、ピンに密に圧入されるように、該内側ガイド列リンクが側部ガイドリンクと同じ形状の開孔を有している。あるいは、内側ガイド列リンクの開孔は、ピンと開孔との嵌合が圧入に近い状態になるように、枢支部材よりも若干小さくなっている。従って、図2の内側リンクが内側ガイド列リンクとしてガイド列に配置されているときには、リンク18は、図4及び図5に示すような形状の開孔26,28を有する。
【0041】
側部ガイドリンク16が図4に示されている。ガイドリンク16は、本体部30と、両端部32,34とから構成されている。ガイドリンク開孔は、実質的に平坦な面38,40を有しており、これらの面はいずれも、リンクの本体部30の内側に向かっている。開孔の背面42,44は、中心50,52から引かれた半径46,48によって形成されている。半径の中心50,52は好ましくは、リンクの本体部内において開孔26,28間に配置されている。開孔は、接続半径54,56を有するもう一つの接続円弧をそれぞれ有しており、これらは開孔26の側にだけ示されている。ガイドリンクのピッチは、開孔の平坦面38,40間のリンクピッチラインに沿った距離で測られる。
【0042】
内側リンク18はガイドリンク16に差し込まれている。リンク18は図2に示されており、間隔をあけて配置された一対のつま先部58,60から構成されている。これらのつま先部は、内側フランク面62,64および外側フランク面66,68から構成されている。開孔は複数の円弧面から構成され、これらの円弧面は、図3の詳細図により明確に示されている。前面69は、中心72から引かれた半径70の円弧面によって形成されている。背面73は、中心76から引かれた半径74の円弧面によって形成されている。接続面77は、例えば半径78の円弧面のような複数の円弧面から形成されている。内側リンク開孔の半径の中心は好ましくは、リンクの両端部80,82に向かう開孔両端に位置している。
【0043】
内側リンクの開孔は好ましくは、それぞれ中心線に関して対称である。左側の開孔22について中心線84が示されている。右側の開孔24は、同様の対称な中心線(図示せず)を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、リンクのピッチライン86の回りに回転している。
【0044】
内側リンクの開孔の好ましい傾斜角は約6度であり、リンクの対称中心線とピッチラインとの間の角度である。このことは、開孔の傾斜が零であるガイドリンク16と相違している。内側リンクのピッチ長は、開孔のピッチラインとの交叉点88,90間のピッチラインに沿って測られる。ピッチ点88,90は、開孔前面の垂直方向の接点である。リンクのピッチラインの位置は、スプロケットの形状ばかりでなく、リンク歯の形態によっても決定される。内側リンクのピッチ長は、ガイドリンクのピッチ長よりも長い。
【0045】
ピン20は図6に示され、その横断面の詳細は図5に示されている。ピン20は本体部92を有しており、この本体部92は、実質的に平坦な前面作動面94と、円弧状の背面96とを有している。背面96は、複数の半径によって形成された円弧面から構成されている。これらの半径は、中心100から引かれた半径98と、半径102,104とを含んでいる。
【0046】
運転中において、サイレントチェーン実施態様のロッカージョイントピン20のチェーンリンクに対する挙動は、図7,図8および図9に示されている。図7は、チェーンを真っ直ぐに引っ張った位置におけるピンを示している。この位置では、チェーンは二つのスプロケット間で引き伸ばされており、このリンクはチェーンの緊張スパン部分において示されている。ピンの前側平坦面の揺動接触は、接触点110における開孔前面側の円弧状部分から始まる。図7のチェーンを真っ直ぐに引っ張った位置においては、揺動接触点は、図2に示されるように、垂直方向の接点88,90である。
【0047】
揺動は、揺動型の運動として、ピンの平坦面部分に沿って起こる。この揺動運動は、丸ピンジョイントの丸い開孔内における丸ピンの摺動とは異なっている。ピンと開孔との小さなクリアランスは、揺動接触点110とは逆側の点112において与えられている。ピンの背面96と開孔の背面73との間の点112において最小のクリアランスを与えることによって、チェーンの関節運動時に、リンクに対するピン背面側の自由な動きが実質的に許容される。チェーンを真っ直ぐに引っ張った位置では、背面側におけるピンと開孔とのクリアランスは、チェーンの緊張スパン部分で与えられる。
【0048】
ピン20は、チェーンリンクが十分に屈曲した図8の位置までリンクに対して動く。この屈曲位置では、チェーンがスプロケットの回りに巻き付き、リンクがスプロケット内に十分に着座した状態の位置で示されている。好ましくは、ピンの背面と開孔面との間の最小のクリアランスは、この位置においても維持される。
【0049】
タイミングチェーン駆動への適用においては、チェーンにはバックベンディング能力または屈曲能力が与えられる。この運動時には、チェーンの緩み側がチェーンスナッバによって内方の位置に押さえ付けられ、リンクが最大のバックベンディング位置で示されている(図9参照)。
【0050】
サイレントチェーンの一実施態様においては、本発明のチェーンはブロック配列で構成されている。このようなブロック配列は図11に示されている。エンジンのタイミング駆動用サイレントチェーンにおけるブロック配列の例は、米国特許第 4,759,740号にも示されている。内側リンクは実質的に同一のものであり、ブロックを形成する列に並んで配置されている。このブロック配列された内側リンクの列または組は、好ましくはガイドリンク列で置き換えられる。ガイドリンクの組は、スプロケット歯が接触する部材を何ら含んでいない。すなわち、ガイドリンクの組は、スプロケット歯の接触のための垂れ下がったつま先部を備えたリンクを何ら含んではいない。
【0051】
ブロック配列の構造では、ブロック内における内側リンクの開孔の曲面部が、ピンとの揺動接触のためにチェーン幅方向に沿って実質的に連続している曲面を形成するように作動する。したがって、ブロック配列されたリンクの開孔の内側曲面は、ピンに対する揺動運動のためのロッカーを効果的に形成している。
【0052】
このブロック構造によっても、内側リンクの一つの型とともに用いられる単一ピンが使用できるようになる。ブロック配列の構造がなければ、内側リンクがガイドリンク列に存在しているだろう。ガイド列に内側リンクを配置するためには、チェーンが配列できるように逆方向の開孔を備えた内側リンクの第2の型が必要である。
【0053】
あるいは、上述のように、以下に詳細に説明されるような、側部にないガイドリンクまたは内側ガイド列リンクとして、内側リンクをガイド列に配置してもよい。これらの内側ガイド列リンクは、リンクに対してピンの回転を阻止するために、ピンに密に圧入されているか、ピンよりも若干小さな開孔を有している。密に圧入することは、内側ガイド列リンクの開孔形状を、ピンの形状に適合する側部ガイドリンクの開孔形状と同じにすることによって、達成される。内側ガイド列リンクは、スプロケット歯と接触するのに適した垂れ下がった一対のつま先部を有している。本実施態様では、ノンガイド列の内側リンクの個数は、好ましくはガイド列の内側リンクの個数より多い。
【0054】
ピンに密に圧入された、つまりしまりばめの内側ガイド列リンクを使用することにより、ピンに密に圧入していないリンクに比較して、リンクの疲労強度が増加する。ガイド列よりもノンガイド列に多数の内側リンクを使用することによっても、チェーンの接触応力が減少する。
【0055】
本発明による単一ピンのロッカージョイントをブロック配列構造に使用することにより、ブロック配列の利点と、ロッカーピンジョイントの利点とを併せ持つようになる。ロッカージョイントは、一般に同等サイズの丸ピンジョイントよりも高効率であり、低摩耗特性を有している。
【0056】
本発明による単一ピンのロッカージョイントは、上述のようにサイレントチェーンとともに用いられる。またCVT(Continuously Variable Transmission)用のチェーンとも用いられる。このようなチェーンの一部が図10に示されている。このチェーンでは、動力伝達は、リンクを囲むあるいはリンク下方の通路内に位置する負荷ブロック部材110を介して行われる。
【0057】
図10のチェーンは、ガイドリンク101および内側リンク103とともに、単一ピン105を有している。ガイド列の内側リンクには、ピンに対してリンクが関節運動できるように、側部ガイドリンクの開孔よりも大きな開孔が必要である。ガイド列における内側リンクの開孔はまた、ノンガイド列における内側リンクの開孔の逆方向に位置している。あるいは、ガイド列(側部にないガイドリンク)における内側リンクが、ピンの横断面と同一形状の開孔を有している。内側リンクは、負荷ブロック110の支持のために、好ましくはブロック配列されていない。
【0058】
負荷ブロック部材がリンクを囲んでいるCVTで使用される動力伝達用チェーンの一例が米国特許第 4,507,106号に示されている。あるいは動力の伝達は、プーリのシーブと接触するピンを介して行うことができる。
【0059】
図12,図13および図14もまた、CVT用の動力伝達用チェーンにおけるロッカージョイントを示している。この種のチェーンの例は、米国特許第 5,007,883号に記述されており、該特許はこの明細書の中に参考として組み込まれている。チェーン100またはチェーンベルトは、差し込まれたあるいは配置された多数の組のリンク102,104を含んでいる。各リンクは、間隔をあけて配置された一対の開孔106,108を有している。開孔は、単一ピンの形態をとる枢支部材が隣接するリンクを結合するように配置されており、これによりチェーンが関節運動を行えるようになっている。チェーン配列のためには、異なる組のリンクが異なる個数のリンクであってよい。
【0060】
リンクは図15および図16に詳細に示されている。各リンク102は、トランスミッションの軸方向において下方に配置された一対のつま先部112,114を有している。つま先部は間隔をあけて配置され、半径115によってそれらの間に形成される通路を構成している。図15は、ガイド列に配置されるリンクを示している。ガイド列リンクは、実質的にピンの横断面形状と同じ形状を有する開孔106,108を含んでおり、これにより、ピンに対するリンクの回転が阻止されるようになっている。ガイド列リンクはしたがって、ピンに密に圧入され、しまりばめの状態になっている。開孔は、実質的に真っ直ぐな前面部116と、複数の半径120,122によって形成される背面部118とを有している。混成半径124が前面部および背面部を連結している。
【0061】
図16は、ノンガイド列に配置されたリンク104を示している。ノンガイド列リンクまたは内側リンクは、ピンに対してリンクの回転を許容するように形成された開孔を有している。開孔126,128は、凸状曲面の前面部130と曲面状の背面部132とを含んでいる。背面部は、半径134と混成半径136とによって形成されている。前面部は、半径131,133によって形成されている。開孔は、水平線に対して積極的に傾斜している。凸状の前面部は、わずかに円弧状になっている。ピンの前面部は、ロッカージョイントを形成するように、内側リンク開口の円弧状前面部に対して揺動する。前面部の半径131,133の曲率中心は、開孔の逆側に位置している。
【0062】
枢支部材は、図6に示されるピンと同様に、好ましくはピンの形態をとっている。ピンの横断面は、実質的にはガイド列リンクの開孔と同じである。ピン145は図17に示され、半径140および半径142,144によって形成される背面部を有している。
【0063】
負荷ブロック146は、リンクの各組に関係しており、通路内に受け入れられている。負荷ブロックの上部は通路と同じ形状をしているが、大きさは若干小さくなっており、負荷ブロックを通路内に配置できるようになっている。負荷ブロックは通路から延びる下部を有するとともに、CVTのプーリのフランジと係合するように設計された端部を有している。負荷ブロックは、好ましくは固い金属から形成される。
【0064】
図12,14は、チェーンのガイド列およびノンガイド列のリンク配列を示している。この配列パターンでは、ノンガイド列154よりもガイド列152の方がリンクの個数が少ない。この配列はチェーンの接触応力を減少させる。図12および図14に示すように、負荷ブロックは一端に溝または凹部148を有している。この凹部はブロック内に位置しており、保持リンクを配置するのに用いられる。保持リンクおよび凹部は、チェーン運動方向を横切る方向のリンクのあらゆる動きを規制するのに役立つ。
【0065】
ガイド列は、外側(側部の)ガイドリンクと、内側(側部にない)ガイドリンクとを含んでいる。ノンガイド列は内側リンクを含んでいる。ガイドリンクはピンに密に圧入されているが、内側リンクはピンに対して回転し、単一ピンのロッカージョイントを形成している。サイレントチェーンのジョイントと異なり、図12ないし図14のCVTチェーンジョイントは、チェーンの実質的なバックベンディングを許容しない。
【0066】
図18は、図12のチェーンにおける内側リンクの他の実施態様を示している。リンク160は、大きな中央開孔162を有している。開孔162は、ピンの回転を許容する一対の背面部164,166を含んでいる。大きな中央開孔は、図15のリンクにおける二つの隔てられた開孔を結合している。開孔は、開孔背面に対して揺動する位置にピンを保持するように構成された面168,170,172,174を含んでいる。
【0067】
本発明によるチェーンのロッカージョイントを他の型のチェーンおよびリンク形状と結合することも可能である。たとえば、単一ピンのロッカージョイントは、リンク形状とくにつま先部のフランク面形状を組み合わせたサイレントチェーンに用いることができる。
【0068】
さらに、単一ピンのロッカージョイントが、組み合わされた内側リンク面を有するサイレントチェーンとともに使用することができる。図19は、本発明のロッカージョイントを使用した、一般に200で示されるサイレントチェーンの一実施態様を示している。図19のチェーンは、内側リンクの組に差し込まれた側部ガイドリンクとともに、隣接するガイドリンク列202およびノンガイドリンク列204を含んでいる。
【0069】
内側リンクの組は、ガイドリンク210の開孔に整列する開孔を有する内側ガイド列リンク410と、該内側ガイド列リンク410とともに配列された内側ノンガイド列リンク310とを含んでいる。この配列パターンでは、ノンガイド列よりもガイド列の方が内側リンクの数が少ない。この配列パターンは、チェーンの接触応力を減少させる。
【0070】
内側ガイド列リンク410および内側ノンガイド列リンク310の形状は、開孔部分を除いて、同一であってもよいしまた異なっていてもよい。さらに、ガイド列内の各内側リンクの形状は、同一でもよいし異なっていてもよい。とくに、つま先部のフランク面の形状は、図32および図33によく示されているように、異なっていてよい。同様に、ノンガイド列内の各内側リンクの形状は、同一でもよいし異なっていてもよい。
【0071】
内側ガイド列リンクと内側ノンガイド列リンクの隣接するリンクの組は、枢支部材500によって連結され、該枢支部材は、前面の作動面502と円弧状の背面508とを備えたピンとして図26に示されている。枢支部材は、整列された開孔の組内に受け入れられている。各リンクは好ましくは、リンク両端に配置された一対の開孔を有している。一つのリンク列を他のリンク列に対して関節運動させる方が好ましいので、内側ノンガイド列リンク410は、枢支部材と実質的に同一形状の開孔を有しており、これにより、枢支部材がリンクに対して回転するのが防止されている。
【0072】
ガイドリンクは、図4に示されるような適切な形状であれば、どんな形状であってもよい。好ましくは、ガイドリンクは図21に示されるような形状を有している。より好ましくは、ガイドリンクは、内側リンクの降伏荷重よりも小さな降伏荷重を有するような形状および構造を備えている。これは、チェーンガイドリンクという名称の米国特許出願第08/196,310号(弁護士事件整理No.93003)により詳細に記述されている。この出願は、本件出願の譲受人に譲渡されて、本件出願とともに出願されたもので、この明細書の中に参考として組み込まれている。
【0073】
図21では、ガイドリンク210は、本体部212と、両端部214,216とから構成されており、平坦な底部218と、間隔をあけて配置された一対の開孔220,222とを備え、該開孔は、上方に延びる一対のつま先部244,246によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部についてのみ示すように、半径248,250,252を有する接続円弧によって形成されている。つま先部は、内側フランク面256,260と外側フランク面258,262とによって構成されており、内側フランク面は、好ましくは丸いクロッチ部(股部)264によって連結されている。
【0074】
ガイドリンクの底部は、一方の角部についてのみ示す半径270によって形成された丸い角部268を介して、側部270,272に結合されている。側部は、開孔内に中心254を有する半径252で形成される円弧面を介して端部で外側フランク面に接続されている。
【0075】
開孔220,222は、クロッチ部と、リンク端部との間に設けられている。開孔は、水平ピッチライン224上に設けられており、各々好ましくは中心線230に関して対称になっている。中心線は一方の開孔について示されている。他の開孔は図示しない同様の中心線を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、ピッチラインに関して回転している。側部ガイドリンクにおける開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称中心線と、リンクのピッチラインとの間の角度である。ガイドリンクのピッチ長は、各開孔のピッチラインとの各交叉点間において、ピッチラインに沿って測られる。ピッチ点226,228は、開孔前面部232における垂直方向の接点である。
【0076】
開孔は、リンク本体部212の内方に向かう前面部232と、リンク端部に向かう背面部236とを有している。前面部232は、ピッチラインと対称中心線との交叉点に位置する中心から引かれた半径234の円弧によって形成される小さな曲率を有している。この半径は、ガイドリンクのロッカー半径と呼ばれている。開孔の背面部236は、開孔内の対称中心線上に位置する中心から引かれた半径238(一方の開孔についてのみ図示)によって形成されている。開孔は、接続半径240,242のもう一つの接続円弧をそれぞれ有しており、そのうちの少なくとも一方は、前面部と背面部とを接続する混成半径242である。
【0077】
内側ノンガイド列リンクの一実施態様が図22に示されている。当業者が想到する他のリンク形状ばかりでなく、図2に示すリンク形状もまた用いられる。図22の内側ノンガイド列リンク310は、本体部312と、両端部314,316とによって構成され、頂上部318と、間隔をあけて配置された一対の開孔320,322とを有している。各開孔は、スプロケット歯と接触するように、間隔をあけて配置されかつ下方に延びる一対のつま先部346,348によって囲まれている。
【0078】
各つま先部は好ましくは丸く形成され、一方のつま先部についてのみ示された半径350,352の接続円弧によって形成されている。つま先部は、内側フランク面354,358と、外側フランク面356,360とによって構成され、内側フランク面は、好ましくは丸いクロッチ部362で連結されている。リンクの頂上部は、一方の角部についてのみ示す半径370の丸い角部368を介して、実質的に垂直な側部364,366に接続されている。側部は、両端部で外側フランク面に結合されている。
【0079】
開孔320,322は、クロッチ部とリンク端部との間に設けられており、図23により明確に示すように、複数の円弧によって構成されている。開孔320,322は水平ピッチライン324上に設けられており、好ましくは各々中心線330に関して対称になっている。中心線は一方の開孔について示されている。他方の開孔は同様の対称中心線(図示せず)を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、ピッチラインの回りに回転している。開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称中心線とリンクピッチラインとの間の角度である。
【0080】
内側ノンガイド列リンクのピッチ長は、各開孔のピッチラインとの各交叉点間においてピッチラインに沿って測られる。ピッチ点326,328は、開孔前面部の垂直方向の接点である。リンクのピッチラインの位置は、スプロケットの設計のみならず、リンク歯の形状によっても決定される。内側ノンガイド列リンクのピッチ長は、ガイドリンクのピッチ長よりも長い。
【0081】
開孔は、リンク端部に向かう凸状曲面の前面部332と、リンク本体部の内方に向かう曲面状の背面部336とを有している。曲面状の前面部は、ピッチラインと対称中心線との交叉点上に位置する中心から引かれた半径334の円弧から構成されている。この半径は、ノンガイド列リンクのロッカー半径と呼ばれている。開孔の背面部336は、開孔の対称中心線上方に位置する中心340から引かれた半径338(一方の開孔についてのみ図示)の円弧によって形成されている。開孔は、接続半径342,344を有するもう一つの接続円弧をそれぞれ含んでおり、それらの少なくともいずれか一方は、前面部および背面部を連結する混成半径である。
【0082】
内側ガイド列リンクの一実施態様は図24に示されている。当業者が想到する他のリンク形状のみならず、図4および図22に示されるリンク形状も用いることができる。図24の内側ガイド列リンク410は、本体部412および端部414,416によって構成されるとともに、頂上部418と、間隔をあけて配置された一対の開孔420,422とを有しており、各開孔は、間隔をあけて配置された一対のつま先部446,448によって囲まれている。
【0083】
つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部についてのみ示された接続半径450,452の接続円弧によって形成されている。つま先部は、内側フランク面454,458と、外側フランク面456,460とによって構成されており、内側フランク面は、好ましくは丸いクロッチ部462で接続されている。
【0084】
リンクの頂上部は、一方の角部についてのみ示された半径466によって形成される丸い角部464を介して、好ましくは外方に傾斜する側部468,470に接続されている。側部は、開孔内に中心474を有する半径472によって形成される円弧面を介し、端部において外側フランク面に接続されている。
【0085】
開孔はクロッチ部とリンク端部との間に設けられており、図25により明確に示される複数の円弧面によって構成されている。開孔の形状は、リンクが配列できるように逆になっている点を除けば、ノンガイド列のリンクの開孔と同一である。しかしながら、好ましくは内側ガイド列リンクの開孔の形状は、側部ガイドリンクと実質的に同一であり、その結果、枢支部材とも実質的に同一になっている。
【0086】
この形状は、内側ガイド列リンクがピンに密に圧入されるようなものである。好ましくは、この形状は、ピンが開孔に対してしまりばめになるように、開孔横断面がピンよりも若干小さくなっている。このようにして、内側ガイド列リンクが、ピンに対して回転するのが防止されている。その結果、内側ノンガイド列リンクの組が、内側ガイド列リンクおよびガイドリンクに対して関節運動をする。
【0087】
内側ガイド列リンクの開孔420,422は、水平方向のピッチライン424上に設けられており、各々好ましくは中心線430に関して対称になっている。中心線は一方の開孔について示されている。他の開孔は同様の中心線(図示せず)を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、ピッチラインの回りに回転している。開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称線とリンクピッチラインとの間の角度である。
【0088】
内側ガイド列リンクのピッチ長は、開孔前面部のピッチラインとの各交叉点間において、ピッチラインに沿って測られる。ピッチ点426,428は、開孔前面部の垂直方向の接点である。内側ガイド列リンクのピッチ長は、内側ノンガイド列リンクのピッチ長よりも小さくなっている。
【0089】
とくに開孔420,422は、図25に最もよく示されるように、リンク本体部の内方に向かう前面部432と、リンク端部に向かう背面部436とを有している。前面部432は、ピッチラインと対称中心線との交点上に位置する中心から引かれた半径434の円弧によって形成される小さな曲率を有している。この半径は、内側ガイド列リンクのロッカー半径と呼ばれている。内側ガイド列リンクのロッカー半径434は、内側ノンガイド列リンクのロッカー半径334よりも大きくなっている。
【0090】
開孔の背面436は、開孔内の対称中心線上に位置する中心440から引かれた半径438の円弧によって形成されている。この開孔は、接続半径442,444を有するもう一つの接続円弧を含んでおり、これらのうちの少なくとも一方は、前面部と背面部とを結合する混成半径である。
【0091】
枢支部材の横断面が図26に示されている。枢支部材は好ましくはピンであり、該ピンは、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクと実質的に同一の半径を有する小さな曲率の前側作動面502と、円弧状の背面部508とを有する本体部を含んでいる。背面部は、ピン本体部内において水平方向の中心線514上に中心512を有する半径510の円弧から構成されている。ピンは、接続半径516,518から形成されたもう一つの接続円弧を含んでおり、これらのうちの少なくとも一方は、背面部を前面部に接続する混成半径である。
【0092】
内側ガイド列リンクおよび内側ノンガイド列リンクのある特徴部分は異なっているが、この実施態様では、各々のフランク面は好ましくは実質的に同一であり、これにより、両リンクがスプロケット歯に同じように接触するようになっている。しかしながら、上述のように、本発明のロッカージョイントは、内側リンクのフランク形状が混合されたサイレントチェーンに使用することができる。内側リンク形状が混合されたサイレントチェーンの一例は上述の米国特許第 4,342,560号に示されて説明されており、該特許はこの明細書の中に参考として組み込まれている。
【0093】
図27ないし図35は、少なくとも幾つかの内側リンクのフランク形状が異なっている本発明のロッカージョイントを使用したサイレントチェーン1000の他の実施態様を示している。さらに詳細には、ガイド列1002内の少なくとも幾つかの内側リンクが異なったフランク形状を有している。同様に、ノンガイド列1004内の少なくとも幾つかの内側リンクが異なったフランク形状を有している。図27ないし図35に示された実施態様では、ガイド列およびノンガイド列の内側リンクが二つの異なったリンク形状を有している。
【0094】
ガイドリンクは、
図4および図21に示されるような適切な形状であれば、いかなる形状であってもよい。好ましくはガイドリンクは、図28に示されるような形状を有している。より詳細には、ガイドリンクは、内側リンクよりも降伏荷重が小さくなるような形状および構造を有している。このことは、本件出願の譲受人に譲渡され、本件出願と同日に出願されたチェーンガイドリンクという名称の米国特許出願第08/196,310号(弁護士事件整理No.93003)の中に十分に記述されており、該出願はこの明細書の中に参考として組み込まれている。
【0095】
図28のガイドリンク1010は、本体部1012と、端部1014,1016とによって構成されるとともに、わずかに凹面状の底部1018と、間隔をあけて配置された一対の開孔1020,1022とを有している。各開孔は、上方に延びる一対のつま先部1050,1052によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部についてのみ示された半径1054の円弧によって形成されている。つま先部は、内側フランク面1056,1060と、外側フランク面1058,1062とによって構成され、内側フランク面は好ましくは丸いクロッチ部1064で結合されている。
【0096】
クロッチ部の底部は、開孔中心線の下方、好ましくは開孔の下方に延びている。ガイドリンクの底部1018は、一方の角部についてのみ示された半径1068によって形成される丸い角部1066を介して、側部1070,1072に連結されている。側部は、底部から外方にテーパ状になっており、開孔内に中心1076を有する半径1074によって形成される円弧を介して、外側フランク面と端部で接続されている。
【0097】
開孔1020,1022は、クロッチ部とリンク端部との間に設けられている。開孔は水平方向のピッチライン1024上に設けられており、各々好ましくは中心線1030に関して対称になっている。中心線は一方の開孔に示されている。他の開孔は同様の中心線を有している(図示せず)。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、ピッチラインの回りに回転している。側部ガイドリンクにおける開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称中心線とリンクピッチラインとの間の角度である。ガイドリンクのピッチ長は、各開孔のピッチラインとの各交点間において、ピッチラインに沿って測られる。ピッチ点1026,1028は、開孔前面部の垂直方向の接点である。
【0098】
開孔は、リンク本体部の内方に向かう前面部1032と、リンク端部に向かう背面部1036とを有している。前面部は、ピッチラインおよび対称中心線の交点上に位置する中心から引かれた半径1034の円弧によって形成される小さな曲率を有している。半径はガイドリンクのロッカー半径と呼ばれている。開孔の背面部1036は、開孔内の対称中心線上に位置する中心1040から引かれた半径1038(一方の開孔についてのみ図示)によって形成されている。開孔は接続半径1042,1044,1046,1048のもう一つの接続円弧をそれぞれ含んでおり、これらのうちの少なくとも一つは、前面部と背面部とを接続する混成半径である。
【0099】
内側ノンガイド列リンクの形状は、当業者が想到する他のリンク形状のみならず、図2および図22に図示された形状を含む多くの形状をとり得る。好ましくはノンガイド列の内側リンクは、図29および図30に最もよく示されているように、少なくとも二つの異なった形状を有する。
【0100】
図29の内側ノンガイド列リンク1110は、本体部1112および端部1114,1116によって構成されるとともに、頂上部1118と、間隔をあけて配置された一対の開孔1200,1202とを備えている。各開孔は、間隔をあけて配置された一対のつま先部1120,1122によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部についてのみ示された半径1124の接続円弧によって形成されている。つま先部は、好ましくは丸いクロッチ部1134で接続される内側フランク面1126,1130と、外側フランク面1128,1132とによって構成されている。
【0101】
リンクの頂上部は、一方の角部についてのみ示す半径1142によって形成された丸い角部1140を介して、好ましくは外方に傾斜する側部1136,1138に連結されている。側部は、開孔の前面部上に中心1146を有する半径1144の円弧を介して、端部で外側フランク面に接続されている。
【0102】
図30の内側ノンガイド列リンク1150は、本体部1152および端部1154,1156によって構成されるとともに、頂上部1158と、間隔をあけて配置された一対の開孔1200,1202とを有しており、各開孔は、間隔をあけて配置された一対のつま先部1160,1162によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されるとともに、一方のつま先部について示された半径1164の接続円弧によって形成されている。つま先部は、好ましくは丸いクロッチ部1174で接続される内側フランク面1166,1170と、外側フランク面1168,1172とによって構成されている。
【0103】
リンク1150の内側フランク面は、図29に示すリンク1110の内側フランク面よりも大きな角度をなしている。これにより、図29のリンク1110は外側フランク面上でスプロケットと接触し、図30のリンク1150は内側フランク面上すなわちクロッチ部内でスプロケットと接触することになる。リンクの頂上部は、開孔内に中心1182を有する半径1180の円弧によって形成された丸い側部1176,1178に連結されている。側部は、端部で外側フランク面に連結されている。
【0104】
ノンガイド列の内側リンクは枢支部材に対して揺動するのが好ましいので、開孔の形状は、図29および図30で示されたリンク1110,1150の各形状について同一である。開孔1200,1202は、図31により明確に示される複数の円弧によって構成されている。
【0105】
内側ノンガイド列リンクの開孔は、水平方向のピッチライン1204上に設けられており、各々好ましくは中心線1210に関して対称になっている。この中心線は一方の開孔について示されている。他の開孔は同様の中心線(図示せず)を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するように、ピッチラインの回りに回転している。開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称中心線とリンクピッチラインとの間の角度である。
【0106】
内側ノンガイド列リンクのピッチ長は、各開孔のピッチラインとの各交点間において、ピッチラインに沿って測られる。ピッチ点1206,1208は、開孔前面部の垂直方向の接点である。リンクのピッチラインの位置は、スプロケットの設計のみならずリンク歯の形状によって決定される。
【0107】
開孔は、リンク端部に向かう凸状曲面の前面部1212と、リンク本体部の内方に向かう曲面状の背面部1216とを有している。曲面状の前面部1212は、ピッチラインと対称中心線との交点上に位置する中心から引かれた半径1214の円弧によって形成されている。この半径は、ノンガイド列リンクのロッカー半径と呼ばれている。開孔の背面部1216は、開孔外側においてリンク端部方向に向かう対称中心線上に位置する中心1220から引かれた半径1218(一方の開孔についてのみ示す)の円弧によって形成されている。開孔は、接続半径1222,1224のもう一つの接続円弧をそれぞれ含んでおり、これらのうちの少なくとも一方は前面部および背面部を連結する混成半径である。
【0108】
内側ガイド列リンクの形状は、当業者が想到する他のリンク形状のみならず、図4および図24に示された形状を含む多くの形状をとり得る。好ましくは、ノンガイド列の内側リンクは、図32および図33に最もよく示されているように、少なくとも二つの異なった形状を有している。図29および30に示すリンク形状を図32および図33に示すリンク形状と比較すると、開孔の形状を除いて、図32のリンク形状が図29に示されたリンク形状と同一であることが当業者には理解される。同様に、図33のリンク形状は、図30に示されたリンク形状と同一である。
【0109】
図32の内側ガイド列リンク1310は、本体部1312および端部1314,1316によって構成されるとともに、頂上部1318と、間隔をあけて配置された一対の開孔1400,1402とを有している。各開孔は、間隔をあけて配置された一対のつま先部1320,1322によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部について示す半径1324の接続円弧によって形成されている。つま先部は、好ましくは丸いクロッチ部1334で接続される内側フランク面1326,1330と、外側フランク面1328,1332とによって構成されている。
【0110】
リンクの頂上部は、一方の角部についてのみ示す半径1342の丸い角部1340を介して、好ましくは外方に傾斜する側部1336,1338に連結されている。側部は、開孔前面に中心1346を有する半径1344によって形成された円弧を介して、端部で外側フランク面に接続されている。
【0111】
図33の内側ノンガイド列リンク1350は、本体部1352および端部1354,1356によって構成されるとともに、頂上部1358と、間隔をあけて配置された一対の開孔1400,1402とを有している。各開孔は、間隔をあけて配置された一対のつま先部1360,1362によって囲まれている。つま先部は好ましくは丸く形成されており、一方のつま先部について示した半径1364の接続円弧によって形成されている。つま先部は、好ましくは丸いクロッチ部1374で接続される内側フランク面1366,1370と、外側フランク面1368,1372とによって構成されている。
【0112】
リンク1350の内側フランク面は、リンク1310の内側フランク面よりも大きな角度をなしている。これにより、リンク1310は外側フランク面でスプロケットと接触するのに対し、リンク1350は内側フランク面つまりクロッチ部内でスプロケットと接触するようになっている。リンクの頂上部は、開孔内に中心1382を有する半径1385の円弧によって構成される丸い側部1376,1378に連結されている。側部は、端部で外側フランク面に接続されている。
【0113】
開孔の形状は、枢支部材の受入れのために逆になっている点を除けば、ノンガイド列のリンクの開孔と同一である。しかしながら、好ましくは内側ガイド列リンクの開孔の形状は、側部ガイドリンクの開孔と実質的に同一であり、この結果、枢支部材と実質的に同一になっている。開孔の形状は、内側ガイド列リンクがピンに密に圧入されるようなものになっている。好ましくは開孔の形状は、ピンが開孔に対してしまりばめになるように、内側ガイド列リンクの開孔横断面がピンよりも若干小さくなっている。
【0114】
このようにして、内側ガイド列リンクがピンに対して回転するのが防止されている。この結果、内側ノンガイド列リンクの組が、内側ガイド列リンクおよびガイドリンクに対して関節運動をするようになっている。
【0115】
ガイド列の内側リンクは枢支部材に対して回転しない方が好ましいので、開孔の形状は、図32および図33に示すリンクの各形状について同一である。開孔1400,1402は、図34により明確に示すように、複数の円弧によって構成されている。
【0116】
内側ガイド列リンク1310,1350の開孔1400,1402は、水平方向のピッチライン1404上に設けられており、各々好ましくは中心線1410に関して対称になっている。中心線は一方の開孔について示されている。他の開孔も同様の対称中心線(図示せず)を有している。開孔は、積極的に傾斜角を形成するようにピッチラインの回りに回転している。開孔の好ましい傾斜角は約3度であり、これは、対称中心線およびリンクピッチラインの間の角度である。
【0117】
内側ガイド列リンクのピッチ長は、開孔前面部とピッチラインとの各交点間においてピッチラインに沿って測られる。ピッチ点1406,1408は、開孔前面部の垂直方向の接点である。内側ガイド列リンクのピッチ長は、内側ノンガイド列リンクのピッチ長よりも短い。
【0118】
開孔は、リンク本体部側に向かう前面部1412と、リンク端部側に向かう背面部1416とを有している。前面部は、ピッチラインと対称中心線との交点上に位置する中心から引かれた半径1414の円弧によって形成される小さな曲率を有している。この半径は、内側ガイド列リンクのロッカー半径と呼ばれている。好ましくは内側ガイド列リンクロッカー半径は、後述のように内側ノンガイド列リンクよりも大きい。
【0119】
開孔の背面部1416は、対称中心線上において開孔内に位置する中心1420から引かれた半径1418の円弧によって形成されている。開孔は、接続半径1422,1424,1426,1428のもう一つの接続円弧を含んでおり、これらのうちの少なくとも一方は前面部と背面部とを接続している。
【0120】
枢支部材の横断面は図35に示されている。枢支部材は好ましくは本体部および円弧状の背面部1508を含むピンであり、該本体部は、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクと実質的に同一の半径を有する小さな曲率の前側作動面1502を有している。背面部は、水平方向の中心線1514上においてピン本体部内に中心1512を有する半径1510の円弧から構成されている。ピンは、接続半径1516,1518,1520,1522から形成されるもう一つの接続円弧を含んでおり、これらのうちの少なくとも一つは、背面部を前面部に接続している。
【0121】
運転中において、図19ないし図35に示すサイレントチェーンの実施態様における、内側ノンガイドリンクに対するロッカージョイントの枢支部材の挙動は、図7,図8および図9に示されたものと同一である。ピン背面部508,1508と、開孔背面部436,1216との間には、最小のクリアランスが存在しているのが好ましい。この小さなクリアランスは、揺動接触点の逆側の点に設けられる。
【0122】
組み合わされた構造では、ノンガイド列における内側リンクの開孔の曲面部は、ピンとの揺動接触のための曲面部を形成するように働く。したがって、内側ノンガイドリンクにおける開孔の内側曲面部は、ピンとの揺動運動のためのロッカーを効率的に構成する。
【0123】
上述のように、本発明におけるサイレントチェーンの実施態様については、内側ガイド列リンクのピッチ長は内側ノンガイド列リンクのピッチ長よりも短い。このため、全てのリンクがスプロケット上に適切に着座するためには、スプロケットのそれぞれ隣り合う各歯間の間隔がピッチ長の差を埋めるように修正されなければならない。したがって、特定のチェーンにしか使用されないようなスプロケットを製作することが必要になる。
【0124】
しかしながら、意外にも、ガイド列リンクのロッカー半径をノンガイド列リンクのロッカー半径と異ならせることによって、ピッチ長の差が補償され得ることが分かってきている。とくに、ガイド列リンクのロッカー半径とノンガイド列リンクのロッカー半径との差が、ノンガイド列リンクのピッチ長とガイド列リンクのピッチ長との差の半分に等しくなるように、ロッカー半径を設計することによって、ピッチ長の差が補償され得ることが分かってきている。このため、等間隔に配置された歯を周囲に有するスプロケットを使用することができる。
【0125】
図20は、内側ガイド列リンクと、スプロケット歯と接触する内側ノンガイド列リンクとを備えた中心1602のスプロケット1600を示している。スプロケット中心から各リンクのロッカー半径の中心を接続する線までの距離が、リンク各列のスプロケットへの着座の示唆を与えるものであることが、当業者によって理解されるだろう。より好ましくは、各列の各リンクがスプロケットに最適な量で着座するためには、各列について距離は同じである。ガイド列のロッカー半径とノンガイド列のロッカー半径との間の差を、ノンガイド列のピッチとガイド列のピッチとの差の半分に設計した結果、スプロケット中心からロッカー半径の中心を接続する線までの距離が、内側ガイド列リンクおよび内側ノンガイド列リンクについて等しくなることが分かるだろう。
【0126】
本発明についての幾つかの実施態様が記述され図示されてきたが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本発明の原理を利用する変形例や他の実施態様を構築し得る。
【0127】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、各リンク開孔に単一の枢支部材を有するとともに、内側ノンガイド列リンクのピッチ長が内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長よりも長い動力伝達用チェーンにおいて、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクを形成するロッカー半径と内側ノンガイド列リンクを形成するロッカー半径との差を、内側ノンガイド列リンクのピッチ長と内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長との差の半分になるようにしたことにより、各列の各リンクが、等間隔に配置された歯を有するスプロケットに対して最適な量で着座できるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるチェーン、すなわち内向き歯付きリンクを備えたブロック配列のチェーンの斜視部分図。
【図2】本発明のチェーンに用いられる内側リンクのリンク形状の正面図。
【図3】図2のリンクの開孔の詳細図。
【図4】本発明のチェーンに用いられるガイドリンクのリンク形状の正面図。
【図5】本発明のチェーンに用いられるピンの横断面形状の詳細図。
【図6】図5のピンの斜視図。
【図7】チェーンを真っ直ぐに引っ張った状態においてリンク開孔内のピンの位置を示す、内側リンク及びピンの正面概略図。
【図8】チェーンが十分に屈曲した状態においてリンク開孔内のピンの位置を示す、内側リンク及びピンの正面概略図。
【図9】チェーンがバックベンド(背面側への屈曲)を起こした状態においてリンク開孔内のピンの位置を示す、内側リンク及びピンの正面概略図。
【図10】CVTに使用される本発明のチェーン(ロードブロック部材を含む)の斜視部分図。
【図11】ブロック配列構造の本発明によるチェーンの平面図。
【図12】CVTに使用される本発明によるチェーンの一実施態様の平面図。
【図13】図12の実施態様の正面図。
【図14】図13の14−14線に沿って切断した横断面図。
【図15】図12の実施態様におけるガイド列リンクの正面図。
【図16】図12の実施態様における内側列リンクの正面図。
【図17】図12のチェーンに使用されるピンの横断面詳細図。
【図18】図12のチェーンにおける内側リンクの変形例の正面図。
【図19】内向き歯付きリンクが組み合わされた、本発明によるチェーンの変形例の斜視部分図。
【図20】スプロケットに着座した図19のチェーンの実施態様の正面部分図。
【図21】〔A〕は図19のチェーンの実施態様に有用なガイドリンクのためのリンク形状の正面図、〔B〕は該リンクの開孔の詳細図。
【図22】図19のチェーンの実施態様に有用な内側ノンガイド列リンクのためのリンク形状の正面図。
【図23】図22のリンクの開孔の詳細図。
【図24】図19のチェーンの実施態様に有用な内側ガイド列リンクのためのリンク形状の正面図。
【図25】図24のリンクの開孔の詳細図。
【図26】図19のチェーンの実施態様に有用なピンの横断面詳細図。
【図27】異なる形状を有する内向き歯付きリンクが組み合わされた、本発明によるチェーンの変形例の斜視部分図。
【図28】〔A〕は図27のチェーンの実施態様に有用なガイドリンクのためのリンク形状の正面図、〔B〕は該リンクの開孔の詳細図。
【図29】図27のチェーンの実施態様に有用な内側ノンガイド列リンクの一形態のためのリンク形状の正面図。
【図30】図27のチェーンの実施態様に有用な内側ノンガイド列リンクの他の形態のためのリンク形状の正面図。
【図31】図29及び図30のリンクの開孔の詳細図。
【図32】図27のチェーンの実施態様に有用な内側ガイド列リンクの一形態のためのリンク形状の正面図。
【図33】図27のチェーンの実施態様に有用な内側ガイド列リンクの他の形態のためのリンク形状の正面図。
【図34】図32及び図33のリンクの開孔の詳細図。
【図35】図27のチェーンの実施態様に有用なピンの横断面詳細図。
【符号の説明】
200,1000 動力伝達用チェーン
202,204,1002,1004 リンク列
210,310,410,1010 リンク
220,222,320,322 開孔
420,422,1020,1022 開孔
1200,1202,1400,1402 開孔
346,348,446,448 つま先部
1120,1122,1160,1162 つま先部
1320,1322,1360,1362 つま先部
332,1212 曲面部
336,1216 背面部
500,1500 枢支部材
502,1502 前面部
508,1508 背面部
1600 スプロケット

Claims (1)

  1. 等間隔に配置された歯を有するスプロケットとともに用いられ、リンクおよび枢支部材の組立体から構成される動力伝達用チェーンにおいて、
    該チェーンは、内側リンクの組に差し込まれた側部ガイドリンク対を含む複数組のガイドリンク210または1010を有するとともに、該内側リンクの組が、スプロケット1600と接触する垂れ下がったつま先部対346,348,446,448,1120,1122,1160,1162,1320,1322,1360,1362を備えたリンクを有しており、隣接する内側リンクの組が、内側ノンガイド列リンク204または1004と組み合わされる内側ガイド列リンク202または1002の組を構成するように組み合わされ、
    各リンクが、間隔をあけて配置されかつ連続する面で形成された一対の開孔220,222,320,322,420,422,1020,1022,1200,1202,1400,1402を有しており、一つのリンクの組の開孔が、隣接するリンクの組の一組の開孔とともに横方向に整列されて配置され、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンク内の開孔が少なくとも一つの曲面を有し、内側ノンガイド列リンク内の開孔が複数の曲面を有しており、
    各リンク開孔には単一の枢支部材500または1500が挿入されており、これらの枢支部材は、それぞれ小さな曲率の前面部502,1502と、第1の半径510,1510によって形成される凸状の背面部508,1508とを有し、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクによって構成される各曲面部236,1036,436,1416に枢支部材の背面部が係合して、枢支部材のガイドリンクに対する実質的な回転を防止できるように、枢支部材がガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの開孔内で支持されるとともに、チェーンの関節運動時に面同士が互いに動くときに、枢支部材の背面部が内側ノンガイド列リンクの開孔内で動き得る状態で、枢支部材の前面部と内側ノンガイド列リンク開孔の曲面部332,1212とが係合して互いに揺動するように、枢支部材が内側ノンガイド列リンクの開孔内で支持されており、
    ガイドリンクおよび内側ガイド列リンク内の開孔が、各ロッカー半径234,1034,434,1414によって形成される小さな曲率の前面部232,1032,432,1412を有し、内側ノンガイド列リンク内の開孔が、ロッカー半径334,1214によって形成される曲面状の前面部332,1212を有するとともに、
    ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの各開孔の前面部を形成するロッカー半径が、内側ノンガイド列リンクの開孔の前面部を形成するロッカー半径よりも大きくなっており、ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクが第1の距離のピッチ長を有し、内側ノンガイド列リンクが、第1の距離よりも長い第2の距離のピッチ長を有しており、
    ガイドリンクおよび内側ガイド列リンクの各開孔前面部を形成するロッカー半径と、内側ノンガイド列リンクの開孔前面部を形成するロッカー半径との差が、内側ノンガイド列リンクのピッチ長と、内側ガイド列リンクおよびガイドリンクのピッチ長との差の半分になっている、
    ことを特徴とする動力伝達用チェーン。
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