JPH08100325A - 高強力ポリエステル繊維 - Google Patents

高強力ポリエステル繊維

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JPH08100325A
JPH08100325A JP23491094A JP23491094A JPH08100325A JP H08100325 A JPH08100325 A JP H08100325A JP 23491094 A JP23491094 A JP 23491094A JP 23491094 A JP23491094 A JP 23491094A JP H08100325 A JPH08100325 A JP H08100325A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステル繊維の製造工程において、濾圧
上昇や糸中の異物として障害を起すレベルの比較的大き
な金属アンチモン粒子の生成凝集を抑制し、金属アンチ
モン粒子が実質的な製糸障害をひきおこす大きさまで成
長、凝集させないようにし、かつ得られる繊維中への金
属アンチモンの混入が少ない高強力ポリエステル繊維を
提供する。 【構成】 アンチモンとして100〜400ppmの三
酸化アンチモンと、酸化チタン、炭酸カルシウム、カー
ボンブラック、ホワイトカーボンおよび天然または合成
の粘土類から選ばれた無機微粒子の少なくとも一種50
〜500ppmとを含有するポリエステルを溶融紡糸し
てなり、繊維中に存在する金属アンチモン凝集粒子の直
径が1.5μ以下であることを特徴とする高強力ポリエ
ステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル繊維の製造
工程において、金属アンチモン粒子の凝集生成や、これ
に起因する濾圧上昇などの障害を起こすことが少なく、
かつ得られる繊維中への金属アンチモンの混入が少ない
高強力ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、なかでもポリエチレ
ンテレフタレート繊維は、そのすぐれた性能に加えて、
特に近年では原料モノマ、重合および製糸などの製造技
術の発展および大量生産体制の確立などによって、低価
格で提供されるようになったため、その用途が益々拡大
しつつある。
【0003】従来、産業用繊維として用いられてきたポ
リエステル繊維用ポリマは、エステル交換触媒および重
合触媒として、主に酢酸マンガンや酢酸カルシウム、酢
酸コバルト、酢酸亜鉛、酸化ゲルマニウムおよび三酸化
アンチモンなどを併用することにより生産されており、
更に重合時には各種の有機または無機の燐化合物が耐熱
剤として併用添加されてきた。
【0004】また、衣料用ポリエステル繊維の場合に
は、繊維に対して艶消し効果を与えるため、主に酸化チ
タンが使用されており、この酸化チタンは求められる艶
消し効果の程度により、0.01〜数重量%添加されて
いる。
【0005】一方、産業用ポリエステル繊維の場合に
は、艶消し効果を特に必要としない用途が多かったが、
酸化チタンを添加することにより、適度な表面摩擦が得
られるため0.1重量%程度添加されることが多かっ
た。すなわち、酸化チタンの添加によって、例えば糸と
金属との摩擦係数が低下することから、熱板や熱ロール
上での延伸に有利に働き、製糸収率向上などのメリット
が認められてきたのである。
【0006】しかるに、近年では、適切な油剤の選定お
よび熱板や熱ロール表面の金属素材や表面粗度などを選
定することによって、糸と金属との摩擦の制御が可能と
なったため、上記製糸収率を向上させる目的には、酸化
チタンの添加はもはや必要としなくなった。
【0007】むしろ、酸化チタンが添加されたポリエス
テル繊維では耐候性が劣ること、および高速製糸工程で
繊維が接触する金属ロールや金属またはセラミックガイ
ド類の表面が摩耗を受けることなどの障害が顕在化する
ようになった。
【0008】また、酸化チタンを含有するポリエステル
ポリマを、高強力ポリエステル繊維に適用した場合に
は、得られるポリエステル繊維の強伸度が低く、これを
撚糸コードとした時の撚強力利用率も劣るなどにおい
て、そのデメリットが明白になってきた。
【0009】このように、最近の製糸技術においては、
上記酸化チタンによる障害が明らかになったため、従来
のポリエステルポリマ組成から酸化チタンを除いたとこ
ろ、上記した耐候性、摩耗および撚強力利用率などに係
る改善効果は明確に把握することができた。
【0010】しかしながら、酸化チタンを含有しないポ
リエステルポリマの製糸においては、金属アンチモンの
フィルター上への堆積が急増するという予期しない障害
が新たに発生した。
【0011】すなわち、酸化チタンを含有しないポリエ
ステルポリマを溶融紡糸するに際しては、フィルター上
に金属アンチモンの堆積を生じ、このために紡糸工程に
おける紡糸パツクの濾圧上昇が著しく、紡糸パックの交
換周期が著しく短かくなり、例えば従来の約1/3以下
になるという好ましくない現象を生じるようになった。
【0012】一般に、ポリエステルポリマのエステル交
換および重合触媒として添加される三酸化アンチモン
は、重合工程および紡糸工程で溶融ポリエステルポリマ
によって還元され、金属アンチモンを生成することが知
られている。
【0013】そして、酸化チタンを含有しないポリエス
テルポリマを使用してこれを溶融紡糸する場合には、特
に金属アンチモンが凝集しやすい傾向にあり、この凝集
した金属アンチモンが紡糸パックのフィルター上に堆積
して、濾圧上昇をひき起したり、一部糸中に混入して糸
切れの原因となるなどの障害をひき起すのである。
【0014】一方、金属アンチモンの析出防止について
の検討については従来からなされており、例えば特開平
3−146707号公報および特開平3−161508
号公報などの種々の改善技術が提示されている。
【0015】すなわち、上記特開平3−146707号
公報は、重合条件やアンチモン化合物の添加量を減少す
ることによって、金属アンチモンの生成を抑制する方法
を開示するものである。
【0016】また、上記特開平3−161508号公報
は、重合触媒組成を制御することにより、クリーンなポ
リマ得ること、つまりポリエステルポリマ中の粒子を著
しく減少させて、金属アンチモンの生成を抑制する方法
を開示するものである。
【0017】これらの方法は、金属アンチモンの生成防
止には確かに効果的であり、実際に金属アンチモン生成
を抑制できる触媒組成が考慮されて工業的に採用されて
いる。
【0018】しかしながら、上記の各方法では、確かに
金属アンチモンの生成は抑制できたとしても、この金属
アンチモンの生成を皆無にすることは不可能であり、紡
糸パックフィルター上への金属アンチモン粒子の堆積に
よる濾圧上昇の抑制効果についてはいまだに不十分であ
る。
【0019】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した
従来技術が有する問題点の解決を解消するために検討し
た結果、達成されたものである。
【0020】したがって、本発明の目的は、ポリエステ
ル繊維の製造工程において、濾圧上昇や糸中の異物とし
て障害を起すレベルの比較的大きな金属アンチモン粒子
の生成凝集を抑制し、金属アンチモン粒子が実質的な製
糸障害をひきおこす大きさまで成長、凝集させないよう
にし、かつ得られる繊維中への金属アンチモンの混入が
少ない高強力ポリエステル繊維を提供することにある。
【0021】本発明は、三酸化アンチモンを含有するポ
リエステルポリマ系において、酸化チタンの有無によっ
て金属アンチモン粒子の成長、凝集状態が異なることに
着目し、比較的大きな、例えば平均粒径が1. 5μ以上
の金属アンチモン粒子とならないよう改善した技術を開
示するものである。本発明により、酸化チタンを含有す
るポリエステル繊維の製造上および品質上の欠点を改善
し、かつ金属アンチモン粒子の成長、凝集によって生ず
る製糸障害を改善したポリエステルポリマ組成およびそ
れを用いてなる高強力ポリエステル繊維を提供するもの
である。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の高強力ポリエステル繊維は、アンチモン
として100〜400ppmの三酸化アンチモンと、酸
化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ホワイ
トカーボンおよび天然または合成の粘土類から選ばれた
無機微粒子の少なくとも一種50〜500ppmとを含
有するポリエステルを溶融紡糸してなり、繊維中に存在
する金属アンチモン凝集粒子の直径が1.5μ以下であ
ることを特徴とするものである。
【0023】また、本発明の高強力ポリエステル繊維
は、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする。
【0024】さらに、本発明の高強力ポリエステル繊維
は、使用する無機微粒子の粒子径が0.05〜5μの範
囲にあることを特徴とする。
【0025】本発明は、三酸化アンチモンを含有するポ
リエステルポリマ系において、酸化チタンの有無によっ
て金属アンチモン粒子の成長、凝集状態が異なることに
着目し、溶融紡糸中に金属アンチモン粒子が凝集して比
較的大きな金属アンチモン粒子、例えば平均粒径が1.
5μ以上の金属アンチモン粒子とならないように改善し
たことを特徴とするものである。
【0026】したがって、本発明によれば、酸化チタン
を含有する高強力ポリエステル繊維の製造上および品質
上の欠点を改善し、かつ金属アンチモン粒子の成長およ
び凝集によって生ずる製糸障害を改善した高強力ポリエ
ステル繊維が提供される。
【0027】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0028】本発明でもちいるポリエステルとは、ジカ
ルボン酸と2価アルコール化合物から重合された高分子
量ポリエステルを意味するが、特に、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートなどの半芳香属ポリエステルポリマおよ
びpーヒドロキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジオ−ル、6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸などの縮重合によって得られる全芳香
属ポリエステルポリマなどの汎用的に使用されているポ
リエステルポリマが好ましく、なかでもポリエチレンテ
レフタレートポリマが最適である。
【0029】そして、本発明で使用するポリエステルポ
リマは、高強力ポリエステル繊維用のため高分子量ポリ
マであり、OCP(オルソクロロフェノール)を溶媒と
して、20℃の条件で測定された極限粘度が0.8以
上、好ましくは0.85以上である。
【0030】極限粘度が0.8未満のポリエステルポリ
マを使用する場合には、高強度の原糸が得られ難く、ま
た産業用原糸としてのタフネスが得られ難いため好まし
くない。
【0031】また、本発明で使用するポリエステルポリ
マは、エステル交換触媒および重合触媒として三酸化ア
ンチモンをポリマ組成として含有するものである。
【0032】ポリエステルポリマにおける三酸化アンチ
モンの含有量は、アンチモンとして100〜400pp
mであり、好ましくは150〜300ppmの範囲であ
る。
【0033】三酸化アンチモンの含有量がアンチモンと
して400ppm以上では、触媒効果が飽和し、かつ過
剰の三酸化アンチモンが凝集して異物粒子となり、重合
および製糸工程で障害を起し易い傾向となるため好まし
くない。
【0034】一方、同じくアンチモンとして100pp
m以下では、触媒効果が不十分となるため好ましくな
い。
【0035】また、使用する三酸化アンチモンは、他の
エステル交換触媒および重合触媒を併用添加してもよ
い。ここでいう他のエステル交換触媒および重合触媒と
しては、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸コバル
ト、酢酸亜鉛および酸化ゲルマニウムなどが挙げられ
る。
【0036】更に、各種の有機または無機の燐化合物
も、重合および製糸工程における溶融ポリエステルポリ
マの耐熱剤として併用添加することができる。
【0037】また、本発明で使用するポリエステルポリ
マは、上記三酸化アンチモンと共に、粒子径が0.05
〜5μ、好ましくは0.1〜3μの無機微粒子を、50
〜500ppm、好ましくは100〜300ppm含有
することを必須の要件とする。 本発明で使用する無機
微粒子とは、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブ
ラック、ホワイトカーボンおよび天然または合成の粘土
類から選ばれた少なくとも一種であり、天然または合成
の粘土類の具体例としてはカオリナイト、ハロイサイ
ド、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリナイ
ト、セピオライトおよび合成スメクタイトなどが挙げら
れる。
【0038】ここで、使用する無機微粒子の粒径が0.
05μ未満の場合は粒子の二次凝集が起り安くなり、か
えって粗大粒子の生成を促進することになる。また5μ
を越える場合には繊維中の異物となり、紡糸時の糸切れ
の原因になるため好ましくない。
【0039】また、無機微粒子の含有量が50ppm未
満では、金属アンチモンが直径1.5μ以上の大きさに
凝集生成するのを抑制するという本発明本来の目的を達
成することができず、一方500ppmを越えると、酸
化チタンの添加を減少させた効果、つまり製糸工程のロ
ールやガイド類の摩耗を少なくし、ポリエステル繊維の
高強度化および撚強力利用率の向上効果などが十分得ら
れなくなるため好ましくない。
【0040】すなわち、特定量の三酸化アンチモンを含
有するポリエステルポリマに対し、さらに特定の粒径を
有する特定の無機微粒子を特定量併用添加することによ
って、高強度ポリエステル繊維の紡糸工程で金属アンチ
モンが粒径が1.5μ以上の大きさに凝集することが効
果的に抑制され、さらにはロールやガイド類の摩耗喪減
少できるという効果を得ることができるのである。
【0041】上記のポリエステルポリマを用いて、本発
明の高強度ポリエステル繊維を製造する方法としては、
産業用ポリエステル繊維の製造プロセスとして従来公知
の方法を採用することができ、例えば高重合度ポリエス
テルポリマををエクストルーダー型紡糸機で溶融し、紡
糸パック中で濾過した後、口金の細孔を通して紡出、冷
風で冷却固化し後、油剤を付与し、次いで3〜7倍に延
伸した後、緊張または弛緩熱処理する方法を採用するこ
とができる。
【0042】そして、本発明の高強力ポリエステル繊維
は、強度が7.5〜12g/d、伸度が8〜30%、1
50℃の乾熱収縮率が2〜15%のすぐれた物性を有す
るものである。
【0043】そして、本発明の高強力ポリエステル繊維
は、上記のようなすぐれた物性を有することから、主に
高強力と耐疲労性および熱寸法安定性が求められるタイ
ヤコードやベルト、ホースなどのゴム補強用繊維、高強
力と耐摩耗性および耐候性が求められるシートベルト用
繊維、高タフネスと高結節強力が求められる漁網用繊維
など種々の用途に適用することができる。
【0044】次に、本発明の一実施態様を以下の実施例
によって具体的に示す。
【0045】
【実施例】なお実施例中の物性は次のようにして測定し
た。
【0046】A.糸中の金属量 蛍光X線法により求めた。
【0047】B.強伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張試験機を用い、
試長25cm,引っ張り速度30cm/分の条件でS−
S曲線を求め、強伸度を算出した。
【0048】C.乾熱収縮率(△Sd) 試料をカセ状にとり20℃、65%RHの温調室で24
時間以上放置した後、試料の0.1g/dに相当する加
重をかけて測定した長さ■0 の試料を、無張力状態で1
50℃のオ−ブンから取りだして、前記温調条件下で4
時間放置し、再び上記加重をかけて測定した長さ■1
ら次式により算出した。 △Sd=(■0 −■1 )/■0 ×100(%) D.糸中異物 試料を単糸1本ずつに分割し、スライドガラスたまらな
いように張ってサンプリングした試料(6cm)を、オ
リンパス社製光学顕微鏡(位相差法)を用い、倍率20
0倍でスキャンし、糸中異物の数をカウントする。測定
数5で繰り返し行い平均値(個/6cm)を求め、この
値をmgあたりの異物数に換算する。
【0049】E.濾圧上昇 パック取り付け4時間後の内圧から100Kg/cm2
上昇するまでの所用日数を調べた。
【0050】[実施例1]テレフタル酸とエチレングリ
コールを出発原料として直接エステル化法でテレフタル
酸ビス(β−ヒドロキシエチル)およびその低重合物を
合成し、これを溶融重縮合させてポリエチレンテレフタ
レートポリマを得た。
【0051】上記の溶融重縮合に先立ち、三酸化アンチ
モンをアンチモンとして250ppm、トリメチルフォ
スフオネートを燐として30ppm、粒径0.1μの酸
化チタンを100ppmを添加した。
【0052】次に、得られた極限粘度0. 65のポリエ
チレンテレフタレートポリマを、更に固相で重合し、極
限粘度0. 95の高重合度ポリマを得た。
【0053】上記で得られた高重合度ポリマをエクスト
ルーダー型紡糸機で溶融し、吐出量395g/分の条件
で、濾過面積184cm2 の紡糸パック、孔径0.6m
m、ホール数180Hの口金から、細孔径が20μの濾
過フイルターを用いて紡出した。
【0054】紡出糸は冷風で冷却固化された後、油剤を
付与され、2000m/分の速度で回転する引取りロー
ルで引取られた。
【0055】次いで、糸条は3対の熱延伸ロール間で
2.5倍に延伸された後、張力調整ロールとの間で5%
の弛緩処理して捲き取られた。
【0056】かかる製糸状況および得られた高強力ポリ
エステル繊維の評価結果を表1に示す。
【0057】この結果、パック内濾過圧力の上昇が10
0kg/cm2 に到達するまでのパック寿命が大幅に延
長できた。すなわち、20日間紡糸した後の紡糸パック
内濾過圧力の上昇は100kg/cm2 であった。
【0058】また、得られたポリエステル繊維中の異物
数を光学顕微鏡で顕微鏡で観察し、これらの異物をSE
M−XMA(走査型電子顕微鏡−X線マイクロアナライ
ザ−)で観察分析した結果、酸化チタンを含有しないも
のに比べ、その個数は1/2に減少し、またその大きさ
も2/3に小さくなっていた。
【0059】ポリエステル繊維の強伸度、収縮率特性お
よび合撚糸した時の撚強力利用率などは、酸化チタンを
全く含有しない繊維と遜色がなく、すぐれた特性を有し
ていた。
【0060】また、長期間連続製糸した時のロールやガ
イド類の表面の摩耗の進行は、酸化チタンを全く含有し
ないポリエステル繊維を製糸した場合と同様に極めて軽
微であった。
【0061】[実施例2]酸化チタンを300ppm添
加した以外は、実施例1と同様に重合および繊維化を行
った。
【0062】この水準についても、表1に示したとお
り、実施例1と同様の効果が得られた。
【0063】[実施例3〜実施例12]表1または2に
示したとおり無機微粒子の種類を変更すると共に、その
添加量を200ppmに変更した以外は、実施例1と同
様に重合および繊維化を行った。
【0064】これらの結果については表1または2に示
したとおりであり、いずれの無機微粒子種においても、
濾圧上昇や糸中の異物として障害を起すレベルの比較的
大きな金属アンチモン粒子の生成凝集を抑制する効果が
見られた。
【0065】[比較例1]無機微粒子(酸化チタン)を
無添加にした以外は、実施例1と同様に重合および繊維
化を行った。
【0066】評価結果を表1に示したとおり、得られた
繊維の強伸度特性や撚糸時の強力保持特性はすぐれてい
るものの、糸中のアンチモン異物の最大径は8μと大き
く、異物個数も多く観察された。また、パック内ポリマ
ー通過量の増加に伴って糸切れも多発した。
【0067】そして、紡糸パック内濾過圧力の上昇は、
7日で100kg/cm2 にも達した。
【0068】[比較例2]酸化チタンの添加量を30p
pmに変更した以外は、実施例1と同様に重合および繊
維化を行った。
【0069】結果は表1に示したとおりであり、無機微
粒子の少量添加においては金属アンチモンの凝集生成を
抑制する効果が得られず、パック寿命も無添加品と差が
なかった。
【0070】[比較例3]酸化チタンの添加量を700
ppmに変更した以外は、実施例1と同様に重合および
繊維化を行った。
【0071】結果は表1に示したとおりであり、酸化チ
タンを700ppmと大量に添加すると、金属アンチモ
ンの凝集生成を抑制する効果は見られるものの、ポリエ
ステル繊維の高強度化および撚強力利用率の向上効果を
充分に得ることができない。
【0072】
【表1】
【表2】
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、三酸化アンチモン
と無機微粒子の添加率をコントロールすることにより、
ポリエステル繊維の製造工程において、金属アンチモン
の凝集生成を抑制することができ、紡糸パックの長寿命
化と繊維中の金属アンチモン異物の減少により、長時間
安定的に溶融紡糸および連続製糸を行なうことができ
る。
【0074】また、本発明の高強力ポリエステル繊維
は、高強度、高タフネスの特性を有しており、紡糸、延
伸による特性設計により、タイヤコード、ベルト、ホー
スなどのゴム補強用繊維、シートベルト用繊維および漁
網用繊維など種々の用途に適応することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンチモンとして100〜400pp
    mの三酸化アンチモンと、酸化チタン、炭酸カルシウ
    ム、カーボンブラック、ホワイトカーボンおよび天然ま
    たは合成の粘土類から選ばれた無機微粒子の少なくとも
    一種50〜500ppmとを含有するポリエステルを溶
    融紡糸してなり、繊維中に存在する金属アンチモン凝集
    粒子の直径が1.5μ以下であることを特徴とする高強
    力ポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】 ポリエステルがポリエチレンテレフタ
    レートであることを特徴とする請求項1に記載の高強力
    ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 ポリエステルの固有粘度が0.8以上
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の高強
    力ポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】 天然または合成の粘土類が、カオリナ
    イト、ハロイサイド、パイロフィライト、ベントナイ
    ト、モンモリナイト、セピオライトおよび合成スメクタ
    イトから選ばれたものであることを特徴とする請求項
    1、2または3に記載の高強力ポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】 無機微粒子の粒子径が0.05〜5μ
    の範囲にあることを特徴とする請求項1、2、3または
    4に記載の高強力ポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】 ポリエステル繊維の強度が7.5〜1
    2.0g/d、伸度が8〜30%、150℃の乾熱収縮
    率が2〜15%であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5に記載の高強力ポリエステル繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006207054A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Toray Ind Inc 高強度ポリエステル繊維
JP2009074213A (ja) * 2007-09-25 2009-04-09 Toray Ind Inc マルチフィラメントおよび高密度織物

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JP2006207054A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Toray Ind Inc 高強度ポリエステル繊維
JP2009074213A (ja) * 2007-09-25 2009-04-09 Toray Ind Inc マルチフィラメントおよび高密度織物

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