JP3935794B2 - ポリエステル複合繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに固有粘度が異なる2種類のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わされたポリエステル複合繊維に関する。さらに詳しくは、本発明は、溶融紡糸時のポリマー吐出異常による細化斑を内在せず、繊度斑(U%)、毛羽などの品質斑が少なく、かつ好ましい白度を有する潜在捲縮性ポリエステル複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固有粘度の異なるポリエステルをサイドバイサイドに複合したポリエステル複合繊維は潜在捲縮性能を有する繊維素材として衣料用布帛に使用されている。布帛に適度のストレッチ性を付与するポリエステル複合繊維を得るためには、2種のポリエステルの固有粘度差を可能な限り大きくし、繊維にしたときの熱収縮差を大きくして潜在捲縮性を充分に付与しておくことが必要である。しかし、2種類のポリエステルに固有粘度差があると、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等が進行し、ついには吐出糸条が紡糸口金面に付着して断糸するという現象が起こる。このような異常吐出現象が起こると、紡糸運転に支障をきたすのみならず、正常な複合が妨げられ、繊維軸方向に貼り合わせ斑が発生したり、ピクツキ、旋回等異常吐出を経た吐出ポリマー糸条が冷却・固化の過程で繊維構造斑を内在し、得られたポリエステル複合繊維は品質斑(繊度斑(U%)、毛羽、染斑など)が多いものとなる。
【0003】
このような問題を改善するため、特公昭61−60163号公報には、1対をなす吐出孔が紡糸口金面と直交する方向に対してなす各々の傾斜角度および1対の吐出孔間の距離等を適正化した溶融紡糸用口金から、互いに粘度の異なるポリエステルを吐出させて、サイドバイサイド型に接合させる複合繊維の製造方法が提案されている。確かにこのような溶融紡糸口金を用いれば、2種類のポリエステルの固有粘度差があっても、紡糸初期においては、吐出ポリマーの屈曲、ピクツキ、旋回等が少なくなり、品質斑の少ないポリエステル複合繊維を得ることができる。しかしながら、紡糸時間の経過とともに、紡糸吐出孔周辺に異物が発生し始め、時間と共に蓄積量が多くなり、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等が進行し、ポリエステル複合繊維の品質斑(繊度斑(U%)、毛羽など)が発生するようになる。このような特殊な吐出孔形状を有する紡糸口金を使用した場合、吐出孔周辺異物の蓄積がより早く出現し、短時間内に、ポリエステル複合繊維は品質斑(繊度斑(U%)、毛羽など)の多いものとなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、溶融紡糸時のポリマー吐出異常による細化斑を内在せず、繊度斑(U%)、毛羽などの品質斑が少なく、かつ好ましい白度を有する潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、
固有粘度差が0.1〜0.4の範囲にあり、且つポリエステルに可溶なチタン化合物、および該チタン化合物中のチタン金属元素量に対し、2〜15倍モル当量のリン元素を含む、下記一般式( I )で表されるホスホネート化合物を使用して合成された2種類のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わされ、下記(a)〜(c)の要件を同時に満足するポリエステル複合繊維によって達成される。
(a)繊度斑(U%)が0.7%以下
(b)毛羽数が0.1個/106m以下
(c)繊維を筒編地として測定したカラーL*値とカラーb*値との差(L*−b*)が80以上
【0007】
【化4】
Figure 0003935794
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレート単位が85モル%以上、好ましくは95モル%以上からなるポリエステルである。テレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分以外の成分を少量(通常は、テレフタル酸成分またはエチレングリコール成分に対して20モル%以下)共重合したものであっても良い。
【0009】
本発明のポリエステル複合繊維は、互いに固有粘度が異なる上記のポリエステル2種が溶融紡糸されサイドバイサイド型に貼り合わされた繊維横断面を有する。2種のポリエステルの固有粘度差は、0.1〜0.4、より好ましくは0.15〜0.30、であることが望ましい。固有粘度差が0.1未満の場合は、貼り合わせ成分間の熱収縮差が不充分であり、複合繊維としての潜在捲縮性能が不充分となる。なお、ここで潜在捲縮性能とは、実施例に記載した方法で測定した「全捲縮率TC(%)」が1.5%以上であることをいう。固有粘度差が0.4を越える場合は、2成分の貼り合わせ不良が発生したり、吐出ポリマーの屈曲、ピクツキ、旋回等が激しくなったりして、得られた複合繊維の品質が劣ったものとなることが多い。また、低粘度サイドのポリエステルの固有粘度は0.4〜0.7および低粘度サイドのポリエステルの固有粘度は0.6〜0.9の範囲とするとポリマー吐出状態がより安定するので好ましい。
【0010】
本発明のポリエステル複合繊維は下記(a)〜(c)の要件を同時に満足し、優れた品質を有している。
(a)繊度斑(U%)が0.7%以下
(b)毛羽数が0.1個/106m以下
(c)繊維を筒編地として測定したカラーL*値とカラーb*値との差(L*−b*)が80以上
【0011】
すなわち、繊度斑(U%)が0.7%を越えるポリエステル複合繊維は布帛にしたとき染斑などの品質不良が発生する。毛羽数が0.1個/106mを越えるポリエステル複合繊維は織編工程の通過性が悪く、織編工程で使用困難となる。また、L*−b*が80未満の場合は、布帛にした時黄色味が強く、衣料用として好ましい白度の範囲から外れた色合いとなる。なお、L*−b*が100を越える場合は、青味が強くなり、染色時の色合わせが難しくなるので好ましくない。
【0012】
本発明においては、このような特性を有するポリエステル複合繊維を構成し、互いに固有粘度が異なる2種類のポリエステルとして、いずれも実質的にアンチモン(Sb)を含まず、ポリエステルに可溶なチタン化合物および下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を使用して合成されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを使用する。
【0013】
【化5】
Figure 0003935794
【0014】
アンチモン(Sb)を含まないポリエステルに可溶なチタン化合物を重縮合触媒として、上記ホスホネート化合物とともに使用して合成されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを複合紡糸することによって、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等を劇的に低減せしめ、冷却・固化の過程で繊維構造斑を内在しない、品質均斉性(繊度斑(U%)、毛羽などの少ない)に優れ、かつ充分な潜在捲縮性能を有するポリエステル複合繊維を得ることができる。
【0015】
このようなアンチモン(Sb)を含まないポリエステルに可溶なチタン化合物としては、下記一般式(II)で表されるチタン化合物を好ましく用いることができる。
【0016】
【化6】
Figure 0003935794
【0017】
一般式(II)で表されるチタン化合物において、R3、R3’、R3’’、R3’’’がそれぞれ同一もしくは異なって、アルキル基及び/又はフェニル基であれば特に限定されないが、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0018】
また、上記一般式(II)で表されるチタン化合物と下記一般式(III)で表される化合物との反応生成物も本発明のポリエステルの重縮合触媒として好ましく用いることができる。
【0019】
【化7】
Figure 0003935794
【0020】
一般式(III)で表される化合物は、芳香族多価カルボン酸又はその無水物であり、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物を好ましくあげることができる。上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部を溶解し、これにチタン化合物を滴下して、0〜200℃の温度で少なくとも30分間反応させれば良い。
【0021】
このようなチタン化合物あるいはチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物は、ポリエステルポリマー中に可溶であり、このような化合物を、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分を基準として、チタン金属元素として2〜15ミリモル%となるように重縮合工程で添加することが好ましい。尚、ここで言う”ポリマー中に可溶なチタン化合物”とは、二酸化チタン粒子に含まれるチタンは含まないことを示し、”チタン金属元素量”とは、エステル交換反応による第1段階反応を行う場合は、エステル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と重縮合反応触媒として使用されたチタン化合物との合計量を示す。
【0022】
該チタン化合物あるいはチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物は、全添加量の一部及び/又はその全量をエステル交換反応開始前に反応系内に添加され、エステル交換反応と重縮合反応触媒とに兼用する方法が好ましく採用される。
【0023】
前記一般式(I)で表されるホスホネート化合物として、ホスホン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル及びジブチルエステルを挙げることができ、具体的にはカルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロポキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸等のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル及びジブチルエステルが挙げられる。
【0024】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として、該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができ、また、本発明のように触媒に対し多量に安定剤を添加する場合であっても、ポリエステルの熱安定性を損ない難い特性を有している。
【0025】
これら、ホスホネート化合物の添加時期は、ポリエステル製造時における、エステル交換反応が実質的に終了した後であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下でも、重縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了後、すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
【0026】
本発明において、用いられるホスホネート化合物の添加量は、リン化合物のリン元素量として、本発明のチタン化合物のチタン金属元素量に対し、2〜15倍モル当量添加する必要がある。リン元素量がチタン金属元素量に対して2倍モル当量未満の場合、ポリエステルの色相が著しく黄味を帯び、白度向上剤としてコバルト(Co)化合物添加の必要性が生ずることがあり好ましくない。また、リン元素量がチタン金属元素量に対して15倍モル当量を越えるとポリエステルの重合反応性が低下するので好ましくない。
【0027】
このようなチタン化合物あるいはチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物および前記のホスホネート化合物とを用いて合成されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルの溶融紡糸においては、ポリマー吐出孔周辺への異物蓄積が長期間にわたりほとんど発生せず、安定したポリマー吐出状態で複合紡糸が可能となる。すなわち、該ポリエステルの固有粘度差が0.1〜0.4となっていても、複合紡糸時のポリマー吐出が長期間にわたって安定しており、細化斑を内在することなく、品質均斉性(繊度斑(U%)、毛羽などの少ない)に優れ、かつ充分な潜在捲縮性能を有するポリエステル複合繊維を得ることができる。
【0028】
さらに、このようなチタン化合物あるいはチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物および前記のホスホネート化合物を使用して得られたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなるポリエステル複合繊維は、白度向上剤としてCo化合物を添加しなくても、衣料用として好ましい白度を有している。このように、Sb、Co等の重金属を含まない本発明のポリエステル複合繊維においては、繊維加工処理排液中の重金属負荷が低減するという、利点も発現する。
【0029】
次に、2種類のポリエステルの貼り合わせ重量比(高粘度サイド/低粘度サイド)は40/60〜60/40、より好ましくは55/45〜45/55、の範囲にするのが適当である。高粘度サイドのポリエステル重量比率が60を越える場合には、得られるポリエステル複合繊維の潜在捲縮性が低下する傾向にあり、一方、低粘度サイドのポリエステル重量比率が60を越える場合は、繊維の強度が低くなったり、毛羽が増える傾向がある。
【0030】
次に、本発明のポリエステル複合繊維の断面には総横断面積に対し0.5〜15%、より好ましくは1〜10%の面積を占める中空部を設けると、ポリマー吐出状態がより安定する。なお、中空率が15%を越える場合は、中空破れなどの貼り合わせ不良が起こることがある。
【0031】
なお、本発明のポリエステル複合繊維の総繊度は30〜200dtex、単糸繊度は2〜15dtexの範囲が好ましい。また、強度は2.0〜5.0cN/dtexの範囲、伸度は30〜50%の範囲が衣料用途での加工性、実用性の面から好ましい。
【0032】
このような特性を有する本発明のポリエステル複合繊維は、前述の方法で得られた固有粘度の異なる2種のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを各々常法で乾燥し、2基の溶融押出機(スクリュウーエクストルーダー)を装備した通常の複合紡糸設備で、溶融し、通常のサイドバイサイド型複合紡糸口金(中空複合繊維の場合は中空形成性吐出孔を穿設した紡糸口金を使用する)を用いて、2種のポリマー流を複合し、冷却、固化後、油剤を付与して紡糸引き取りし、延伸することで製造することができる。このとき紡糸引き取りし、一旦未延伸糸として巻き取った後、延伸を別途行っても良く、紡糸引き取り後、一旦巻取ることなく、連続して延伸を行っても良い。溶融紡糸温度は、275〜300℃の範囲が、紡糸安定性の観点より、好ましい。紡糸引き取り速度および延伸倍率は、ポリエステル複合繊維の強度が2.0〜5.0cN/dtexの範囲、伸度が30〜50%の範囲となるように適宜設定する。延伸予熱温度は、80〜100℃が好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
【0034】
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
【0035】
(2)ポリマー吐出状態
複合紡糸中に、紡糸口金より吐出されているポリマーの吐出状態を観察し、次の基準で吐出状態を格付けした。複合紡糸開始1時間後、3日後および、7日後に観察を行った。
レベル1:吐出糸条がほぼ一定の流下線を描いて、安定に走行している
レベル2:吐出糸条に小さな屈曲、ピクツキ、旋回等が見られる。
レベル3:吐出糸条が大きく屈曲、ピクツキあるいは旋回している。一部ポリマーが紡糸口金面に接触し、断糸が頻発している。
【0036】
(3)貼り合わせ重量比
ポリエステル複合繊維を任意の繊維横断面方向に切り取り、市販の顕微鏡にて倍率750倍で繊維横断面を写真撮影し、構成単糸横断面全てについて、2種のポリエステル横断面が各々占める面積を測定し、その比率(高粘度サイド占有面積/低粘度サイド占有面積)を「貼り合わせ重量比」(測定した全単糸横断面についての平均値)とした。
【0037】
(4)中空率(%)および中空率のばらつき
前項のポリエステル複合繊維断面顕微鏡写真で、各単糸断面の中空部面積(A)および断面を囲む面積(B)を測定し、下記式で計算し、測定した全単糸横断面についての平均値を中空率(%)とした。
中空率(%)=A/B×100
また、測定値の変動率(標準偏差/平均値×100)を中空率のばらつきとした。
【0038】
(5)繊度斑(U%)
ツェルベーガーウースター社製のUSTER TESTER 4型を用い400m/minの走行速度で測定した。
【0039】
(6)毛羽数(個/106m)
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル複合繊維250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/minの速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長106m当たりに換算し、毛羽数とした。
【0040】
(7)染斑
ポリエステル複合繊維を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、染料(テラシールブルーGFL)を用い、100℃、40min染色し、均染性を検査員が目視にて下記基準で格付けした。
レベル1:均一に染色されており、染斑がほとんど認められない
レベル2:縞状あるいは斑点状の染斑が少し認められる
レベル3:縞状あるいは斑点状の染斑が一面に認められる
【0041】
(8)全捲縮率TC(%)
極細仮撚加工糸に0.044cN/dtex(50mg/デニール)の張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作る。カセ作成後、カセの一端に0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL0(cm)を測定する。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後0.00177cN/dtex(2mg/デニール)の荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に、再び0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を除去し、1分間経過後の長さL2を測定し、次の算式で捲縮率を算出した。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
全捲縮率TC(%)=[(L1−L2)/L0]×100
なお、測定は10回行い、その平均値を求めた。
【0042】
(9)L*−b*
ポリエステル繊維を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、マクベス社製カラー測定装置(Macbeth COLOR−EYE)を用い、L*値、b*値を測定し、その差を(L*−b*)値とした。
【0043】
(10)強度・伸度
JIS−L1013に準拠して測定した。
【0044】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.0088部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.035部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、285℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空で重縮合反応を行って、固有粘度0.63のポリエステルを得た。また、同様の操作を行い固有粘度0.43のポリエステルを得た。
【0045】
得られた2種のポリエステルをペレット状となし、常法で乾燥した後、2基の溶融押出機(スクリュウーエクストルーダー)を装備した複合紡糸機に導入し、溶融し、280℃に保たれたスピンブロックに装備された複合紡糸パックに導入し、複合紡糸口金にて2つのポリマー流を貼り合わせ重量比が50/50のサイドバイサイド型(中実断面)となるように複合しつつ吐出し、冷却・固化し、油剤を付与して、3000m/minの速度で紡糸引き取りし、176dtex/24filamentsの未延伸糸を得た。該未延伸糸を、予熱温度90℃、延伸倍率1.6で延伸しつつ、非接触型ヒーターにて230℃で熱セットして600m/minで巻取り、110dtex/24filamentsのポリエステル複合繊維を得た。
【0046】
本例においては、表1から明らかなように、紡糸口金吐出孔周辺に異物の蓄積が認められず、ポリマー吐出状態は長期間にわたり安定であり、得られたポリエステル複合繊維は、繊度斑(U%)、毛羽、染斑が少なく、充分な潜在捲縮性能を有し、かつ衣料用として好ましい白度を有していた。
【0047】
【表1】
Figure 0003935794
【0048】
[比較例1]
3酸化アンチモン(Sb23)を重合触媒として、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとを常法にて重縮合し、固有粘度0.63および0.43のポリエステルを得た。2種のポリエステルを実施例1と同じ方法、条件で複合紡糸、延伸を行い、110dtex/24filamentsのポリエステル複合繊維を得た。本例においては、表1から明らかなように、紡糸時間の経過にともなう紡糸口金吐出孔周辺異物の成長により、吐出糸条の屈曲、ピクツキおよび旋回が認められた。得られたポリエステル複合繊維は、繊度斑(U%)、染斑および毛羽が多く、衣料用として使用できる品質を有していなかった。
【0049】
[実施例2〜3、比較例2]
ポリエステルに可溶なチタン化合物として使用するトリメリット酸チタンを下記の方法で合成した。:無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2重量%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応させて、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥させて、目的とするトリメリット酸チタン(以下TMTと称することがある)を得た。
【0050】
得られたTMT0.016部をチタン化合物として用い、リン化合物を各々、表2に示す化合物(比較例2は無し)および添加量に変更した以外は、実施例1と同じ方法、条件で固有粘度0.63および0.43のポリエステルを得た。2種のポリエステルを実施例1と同じ方法、条件で複合紡糸、延伸を行い、110dtex/24filamentsのポリエステル複合繊維を得た。表2から明らかなように、実施例2〜3においては、紡糸口金吐出孔周辺に異物の蓄積が認められず、ポリマー吐出状態は長期間にわたり安定であり、得られたポリエステル複合繊維は、繊度斑(U%)、毛羽、染斑が少なく、充分な潜在捲縮性能を有し、かつ衣料用として好ましい白度を有していた。本発明の範囲のリン化合物を使用しない比較例2において、得られたポリエステル複合繊維の繊度斑(U%)、毛羽、染斑は少なく、潜在捲縮性能も充分であったが、L*−b*値が低く、黄色味が強く衣料用として好ましくない色合いとなった。
【0051】
【表2】
Figure 0003935794
【0052】
[実施例4〜5]
貼り合わせ重量比を各々表3に示す値とする以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステル複合糸を得た。表3から明らかなように、いずれの例のポリエステル複合繊維とも、繊度斑(U%)、毛羽、染斑が少なく、衣料用として好ましい白度を有していた。
【0053】
【表3】
Figure 0003935794
【0054】
[実施例6〜8]
ポリエステル複合繊維の中空率を各々表4に示す値とする以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステル複合糸を得た。表4から明らかなように、いずれの例のポリエステル複合繊維とも、繊度斑(U%)、毛羽、染斑が少なく、充分な潜在捲縮性能を有し、かつ衣料用として好ましい白度を有していた。
【0055】
【表4】
Figure 0003935794
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、繊度斑(U%)、毛羽などの品質斑の少なく、かつ好ましい白度の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を提供することができる。

Claims (4)

  1. 固有粘度差が0.1〜0.4の範囲にあり、且つポリエステルに可溶なチタン化合物、および該チタン化合物中のチタン金属元素量に対し、2〜15倍モル当量のリン元素を含む、下記一般式( I )で表されるホスホネート化合物を使用して合成された2種類のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わされ、下記(a)〜(c)の要件を同時に満足するポリエステル複合繊維。
    (a)繊度斑(U%)が0.7%以下
    (b)毛羽数が0.1個/106m以下
    (c)繊維を筒編地として測定したカラーL*値とカラーb*値との差(L*−b*)が80以上
    Figure 0003935794
  2. ポリエステルに可溶なチタン化合物が、下記一般式(II)で表される化合物、若しくは下記一般式(II)で表される化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である、請求項記載のポリエステル複合繊維。
    Figure 0003935794
    Figure 0003935794
  3. 2種類のポリエステルの貼り合わせ重量比が40/60〜60/40である、請求項1記載のポリエステル複合繊維。
  4. 複合繊維の任意の横断面において、全横断面面積に対し0.5〜15%の面積を占める中空部が存在する、請求項1記載のポリエステル複合繊維。
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