JPH0810022B2 - ウオームギヤ装置 - Google Patents

ウオームギヤ装置

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JPH0810022B2
JPH0810022B2 JP2025862A JP2586290A JPH0810022B2 JP H0810022 B2 JPH0810022 B2 JP H0810022B2 JP 2025862 A JP2025862 A JP 2025862A JP 2586290 A JP2586290 A JP 2586290A JP H0810022 B2 JPH0810022 B2 JP H0810022B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [利用分野及び発明の概要] 本発明は、ウオームギヤ装置に関するものであり、特
に、鼓型のウオームとウオームホイールとのかみ合い部
のバックラッシュを防止できるようにするものであっ
て、ウオームホイールの歯に相当する部材(歯部材)を
ホイールの周縁に進退自在に保持させるとともに、進出
方向に付勢することにより前記歯部材とホイールとのバ
ッククラッシュを防止し、さらに、ウオームの始端部及
び終端部における前記歯部材のかみ合いを円滑化させる
ものである。
[従来技術及びその課題] ウオームギヤ装置は減速装置やインデックステーブル
の伝動機構等として多く採用されている。最近では、伝
動精度向上の要求が強く、前記ウオームギヤにおけるウ
オームとウオームホイールとのかみ合い部のバックラッ
シュを防止することが大きな課題となっている。
このバックラッシュを防止するために、特公昭59−38
451号公報に開示された方式のものがある。この方式の
ウオームギヤは、最近では更に改良されて、第17図に示
すように、ローラ式の歯部材(2)が、ディスク(3)
の周側に回動自在に植設されてウオームホイール(H)
が構成されている。
この従来のものでは、歯部材(2)が軸部(22)と、
この先端部に回動自在に軸支されたローラ(20)とから
なり、このローラ(20)が鼓型のウオーム(1)の歯
(11)とかみ合う。又、軸部(22)はディスク(3)に
形成した孔部(31)に回動自在に収容されると共に、軸
部(22)と孔部(31)の底部との間に圧縮バネ(34)が
介装され、孔部(31)の開口端に設けたストッパ(S)
によって軸部(22)の最進出位置が規制されている。
このものでは、軸部(22)が圧縮バネ(34)によって
進出方向に付勢されることから、歯(11)とローラ(2
0)とがバックラッシュのない状態でかみ合うこととな
る。
ところが、この従来のものでは、両側面がテーパ状と
なったローラ(20)と歯(11)とをかみ合わせるもので
あることから、この歯(11)の加工が特殊となる。又、
ローラ(20)を回動自在に軸支するものであるから、歯
部材(2)の構成が複雑となり、全体が安価に製作でき
ない。
そこで、全体を安価に製作できしかもバックラッシュ
の生じない構成とするために、歯部(21)を歯(11)と
滑り接触させる形式とすることが考えられる。この場合
にも、軸部(22)と歯部(21)とが一体的に構成できる
ことから、別体のローラ(20)を回動自在に組込む形式
のものに比べて全体の構成が簡素化され安価なものとな
る。
ところが、ローラ(20)を滑り接触式の歯部(21)と
した場合には、自由状態にある歯部材(2)がウオーム
(1)の回転に伴って、歯(11)とのかみ合い開始点に
移動したとき、歯部材(2)が前記歯(11)の始点部に
円滑にかみ合わない事態が生じる。
これは、歯部材(2)の歯部(21)が歯(11)の終端
部を外れる際に、第18図のように、歯部(21)の一側に
のみ圧力が作用する事態が生じるからであり、これによ
り、歯部材(2)には、軸部(22)の軸線を中心にした
回転力が強く作用するからである。この結果、歯(11)
の終端部のリード角とは一致しない姿勢に歯部(21)が
セットされ、そのままの姿勢で、ディスク(3)の回転
に伴って歯(11)の始端部に回動されて、歯(11)との
かみ合い開始点では無理なかみ合いが生じることとなる
のである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、
『鼓型のウオーム(1)と、ディスク(3)の周側に前
記ウオームにかみ合う歯部材(2)(2)を所定のピッ
チで放射状に植設し且これら歯部材を進出方向に付勢し
た構成のホイール(H)とからなるウオームギヤ装置』
において、歯部材(2)と歯(11)とを滑り接触させる
構成としても、長期にわたってバックラッシュが生じる
心配がなく、しかも、歯部材(2)(2)と歯(11)と
のかみ合いが円滑に行われるようにすることをその課題
とする。
本発明は、この課題を解決するために、鼓形のウオー
ム(1)の歯(11)と歯部材(2)とのかみ合いが外れ
た後、歯部材(2)の歯部(21)の姿勢が歯(11)のか
み合開始点のリード角と一致した状態に自動的にリセッ
トされるようにして上記課題を解決しようとするもので
ある。
*請求項1の発明について [技術的手段] 上記課題を解決する為に講じた本発明の技術的手段は
『各歯部材(2)の歯部(21)をウオーム(1)の歯
(11)に滑り接触状態にかみ合わせ、 この歯部材(2)には、ディスク(3)に対して前記
歯(11)のリード角度変化に応じた範囲回動可能で且一
定範囲進退可能となるようにこのディスク(3)に保持
される軸部(22)を設け、 ウオーム(1)に前記歯部材(2)がかみ合った状態
では前記歯部材(2)が一定範囲押し込まれるように前
記軸部(22)の進退可能範囲を設定し、 前記歯部材(2)の最進出位置に於けるウオーム軸線
に対する歯部(21)の傾斜角度をウオーム(1)とのか
み合い開始点における初期かみ合い角度に設定するよう
にした傾斜角度設定手段(N)を設け、 前記傾斜角度設定手段(N)は、前記歯部材(2)又
はディスク(3)の一方に設け且軸部(22)に対して直
交すると共にこれの軸線方向に突出する凸条部と、他方
に設け且前記凸条部に対して軸部(22)の軸線方向に於
いて対向する凹溝部との組合わせとすると共に、 前記凸条部と凹溝部との対偶関係を、歯部材(2)の
最進出位置においてのみ両者が対接し、両者が離反する
に従って嵌合余裕が拡大するようにした』ことである。
[作用] 本発明の上記技術的手段は次のように作用する。
ホイール(H)とウオーム(1)とは、多数の歯部材
(2)(2)のうちの一部の歯部材(2)(2)と歯
(11)とでかみ合い状態にあり、ウオーム(1)の回転
がホイール(H)に伝動される。ウオーム(1)は鼓型
であることから、歯(11)のリード角は一定ではない。
従って、ウオーム(1)との伝動によってホイール
(H)が回転すると、歯部材(2)は、かみ合い開始位
置からかみ合い終了位置にまで移動する間に前記リード
角の変化に応じて、その姿勢が変化しなければならな
い。つまり、前記リード角変化に応じて軸部(22)が一
定角度回動しなければならない。
軸部(22)は、前記リード角度変化に応じた範囲回動
可能で且一定範囲進退可能となるように、ディスク
(3)によって保持されているから、前記回動が可能で
ある。
一方、前記歯部材(2)には、付勢手段により半径方
向の突出力が作用せしめられており、しかも、前記のよ
うに、軸部(22)の進退範囲は一定の範囲に設定されて
いる。、又、この歯部材(2)の最進出位置は、かみ合
い状態における歯部材(2)の位置よりも突出した位置
に設定されている。
従って、軸部(22)は極僅かではあるが自転自在で且
進出方向に付勢力が作用したものとなり、歯部材(2)
は、歯部(21)が歯(11)とかみ合った状態では、常に
最進出位置に位置しようとする。つまり、歯(11)と歯
部(21)との間のバックラッシュを除去すべく作用す
る。
歯部材(2)が歯(11)の終端部に一致すると、第18
図に示すように歯部(21)の一端にのみ推力が作用した
状態となって、この推力は、歯部材(2)を過度に回転
させる可く作用するが、軸部(22)のディスク(3)に
対する回転角度は、一定範囲内に設定されているから、
過度の回転が阻止されるとともに、歯(11)とのかみ合
いが外れた時点では、歯部材(2)が、これに作用させ
た付勢力によって最進出位置に移動せしめられる。とこ
ろが、歯部材(2)とディスク(3)との間には、歯部
材(2)の最進出位置におけるウオーム軸線に対する歯
部(21)の傾斜角度をウオーム(1)とのかみ合い開始
点における初期かみ合い角度に設定する傾斜角度設定手
段(N)を間に介装したから、この傾斜角度設定手段
(N)によって、歯部(21)の傾斜角度は、この時点で
前記初期かみ合い角度に設定されることとなる。
つまり、凸条部と凹溝部とが相互に対接する。実施例
のように規制穴(29)と規制軸(39)との関係の場合に
は、これらの対向する母線の組の内の一方(ホイール
(H)の中心側に位置する母線)が対接する。この結
果、規制穴(29)と規制軸(39)が平行な状態にセット
されることとなる。そして、このときの歯部(21)の姿
勢は、歯(11)の始端部のリード角に一致したものとな
る。
[効果] 本発明は上記構成であるから次の特有の効果を有す
る。
歯部材(2)の軸部(22)は、ディスク(3)の孔部
(31)に対して密に嵌合し、歯部(21)がかみ合い状態
にあるときには、この歯部材(2)が常時進出方向に付
勢されるから、歯部(21)と歯(11)とのかみ合い部に
おけるバックラッシュが生じない。又、長期使用によっ
てかみ合い部が摩耗しても、それに応じてバックラッシ
ュのないかみ合い状態が確保されるから、長期にわたっ
てバックラッシュの生じないものとなる。
さらに、自由状態にある歯部材(2)の歯部(21)の
姿勢は、歯(11)の始端部のリード角に一致したものと
なるから、歯(11)と歯部(21)とのかみ合い開始も円
滑に行われる。
また、凸条部と凹溝部との対偶関係によって自由状態
にある歯部材(2)の歯部(21)の姿勢は、歯(11)の
始端部のリード角に一致したものとなるから、簡単な構
成によって前記効果が得られるものとなる。
*請求項2の発明について この請求項2の発明は、上記請求項1の発明と同様の
課題を一層簡単な構成によって解決しようとするもので
あり、その為の技術的手段は、『歯部材(2)又はディ
スク(3)の一方に設けた規制軸(39)の一側の母線部
とし、他方の凹溝部を歯部材(2)又はディスク(3)
の他方に設けた規制穴(29)の一側の母線部とした』こ
とであり、前記規制軸(39)と規制穴(29)との組合せ
によって傾斜角度設定手段(N)が構成されることとな
る。
*請求項3の発明について この請求項3の発明は、上記請求項1の発明と同様の
課題を解決すると共に、傾斜角度設定手段(N),歯部
材(2)の回動角度設定,進退範囲設定を簡単な構成に
よって実現しようとするものであり、その為の技術的手
段は、『各歯部材(2)の歯部(21)を、ウオームの歯
(11)に滑り接触状態でかみ合わせ、この歯部材の軸部
(22)をディスク(3)に対して円筒対偶させ、この対
偶部の一方に前記軸部(22)に対して直交方向に突出す
る規制軸(39)を設けるとともに、他方に前記規制軸が
遊嵌する規制穴(29)を設け、前記規制軸(39)と規制
穴(29)の遊嵌度合によって、歯部材(2)の回動範囲
を一定角度に設定し且軸線方向の進退範囲を一定範囲に
設定すると共に、前記遊嵌位置によってウオーム(1)
にかみ合った状態では歯部材(2)が一定範囲押込まれ
るように前記歯部材(2)の最進出位置を設定し、歯部
材(2)の進出に伴って規制軸(39)を規制穴(29)の
特定点(P)に導くガイド壁(G)を規制穴(29)の周
壁に設け、前記特定点(P)に規制軸(39)が一致した
ときのウオーム軸線に対する歯部(21)の傾斜角度をウ
オーム(1)とのかみ合い開始点における初期かみ合い
角度に設定した』ことである。
前記技術的手段は次のように作用する。
歯部材(2)の軸部(22)はディスク(3)に対して
円筒対偶させたから、この歯部材は、ディスク(3)の
周側において、回動自在であり且進退自在である。
そして、前記円筒対偶部の一方(軸部(22)又はディ
スク(3))に前記軸部(22)に対して直交方向に突出
する規制軸(39)を設けるとともに、他方に前記規制軸
が遊嵌する規制穴(29)を設けたから、歯部材(2)の
時点範囲及び進退範囲は、前記規制軸(39)と規制穴
(29)の遊嵌度合によって所定の範囲に設定される。
又、規制軸(39)と規制穴(29)との遊嵌位置によって
ウオーム(1)にかみ合った状態では歯部材(2)が一
定範囲押込まれるように前記歯部材(2)の最進出位置
を設定しているから、前記かみ合い状態において、ウオ
ーム(1)の歯(11)と歯部材(2)の歯部(21)との
間にはバックラッシュが生じないものとなる。
一方、歯部材(2)の進出に伴って規制軸(39)を規
制穴(29)の特定点(P)に導くガイド壁(G)を規制
穴(29)の周壁に設け、前記特定点(P)に規制軸(3
9)が一致したときのウオーム軸線に対する歯部(21)
の傾斜角度をウオーム(1)とのかみ合い開始点におけ
る初期かみ合い角度に設定したから、前記歯部材(2)
が自由状態となったときには、歯部材(2)に作用する
進出方向に付勢力によって規制軸(39)が特定点(P)
に一致したものとなる。つまり、このときの歯部(21)
の姿勢は、歯(11)の始端部のリード角に一致したもの
となる。
以上により、上記請求項1の発明と同様の作用を発揮
するものとなる。
特に、この技術的手段を採用するものでは、上記請求
項1の発明の効果に加えて、規制軸(39)と規制穴(2
9)との関係のみによって歯部(21)の姿勢制御,歯部
材(2)の回動角度及び進退範囲の設定が可能となり、
構造が一層簡単になる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を第1図から第16図に基いて説
明する。
第1図〜第3図に示す第1実施例では、歯部材(2)
の歯部(21)を山形に構成すると共に、歯部材(2)の
全体を十分な硬度の素材により構成している。そして、
第3図のように、前記歯部(21)の表面は、一定の肉厚
のメタル素材(M)によって包囲されている。
歯部材(2)の軸部(22)は、その基端部よりも先端
部を大径としてあり、この軸部(22)の形状に合せてデ
ィスク(3)の周側に多数の孔部(31)(31)を一定の
ピッチで形成している。
そして、第1図,第3図に示すように、前記孔部(3
1)(31)のそれぞれに歯部材(2)の軸部(22)を回
転及び摺動可能に密に嵌入し(円筒対偶させ)てある。
従って、ディスク(3)の周側からは歯部材(2)の歯
部(21)のみが突出することとなる。
この実施例は、請求孔3の発明に対応するものとして
あり、規制軸(39)及び規制穴(29)の組合せによっ
て、傾斜角度設定手段(N)としての機能を発揮し、
且、歯部材(2)の回動角度設定,進退範囲設定を実現
するようにしている。前記規制軸(39)及び規制穴(2
9)は、軸部(22)を貫通する状態に配設されており、
第1図のように、ディスク(3)の周縁近傍で且孔部
(31)の大径部を貫通する位置にこのディスクの軸線と
平行な貫通孔を形成し、この貫通孔に筒軸を圧入して規
制軸(39)としている。
他方、規制穴(29)を円形断面の透孔としてあり、軸
部(22)を横断するように貫通形成されている。この規
制穴(29)の貫通方向は、第4図のように、歯部(21)
の中心線(L)と一定の角度を有するように設定されて
おり、この角度を歯(11)の始端部のリード角(初期か
み合い角度)に一致させてある。従って、規制穴(29)
と規制軸(39)とが同軸又は平行となった姿勢で歯部
(21)が歯(11)の始端部に達すると、この部分の歯
(11)の接線と歯部(21)の上記接線とが平行となる。
前記規制穴(29)の断面形状は、同図に示すように、
その両端部でラッパ状に拡大しており、開放端部の形状
は第5図に示すように、小判型となっている。従って、
規制軸(39)は、規制穴(29)に対して一定角度相対移
動可能となる。
次に、軸部(22)の基端部端面と孔部(31)の底壁と
の間には、付勢手段としての皿バネ式の圧縮バネ(34)
が介装されている。そして、前記圧縮バネと軸部(22)
の先端との間には、平ワッシャが介装されている。これ
により、歯部材(2)は歯部(21)を突出する方向に付
勢されることとなる。尚、規制穴(29)としての貫通孔
の直径と、規制軸(39)としての筒軸の直径との間に
は、一定の嵌合余裕があり、この余裕に対応した距離だ
け歯部材(2)が軸線方向に移動できる。そして、歯部
(21)の最進出位置は、歯(11)とのかみ合い状態にお
ける位置よりも僅かに突出した位置に設定され、この実
施例では、規制穴(29)と規制軸(39)とが同軸となる
ようにしてある。
以上の実施例のものでは、歯部材(2)が自由状態に
あるときには、歯部材(2)が圧縮バネ(34)によって
付勢されていることから歯部材(2)が最進出した状態
となり、第5図のように、規制軸(39)の同図下方の母
線が規制穴(29)の同図下方の母線に対接した位置(特
定点(P))に案内され、規制軸(39)の軸線と規制穴
(29)の軸線とが平行となる。この結果、歯部(21)の
ウオーム(1)の軸線に対する角度が、第4図のよう
に、歯(11)の始端部のリード角に一致したものとな
る。
前記構成の歯部材(2)の歯部(21)が歯(11)にか
み合うと、ウオーム(1)の回転によるかみ合い点の移
動に伴って、このかみ合い点における歯(11)のリード
角が変化することとなるが、このかみ合いの中間域で
は、既述のように、歯部材(2)と孔部(31)との嵌合
関係及び圧縮バネ(34)の付勢力によって歯部材(2)
の歯部(21)が歯(11)に圧接された態様で摺動し、ウ
オーム(1)の回転力が歯部材(2)を介してディスク
(3)に伝達される。
このとき、規制穴(29)と規制軸(39)との関係は、
第6図のように、規制穴(29)の中心線と規制軸(39)
の中心線とが交叉した状態となる。その後にこの状態が
徐々に変化して、歯(11)の終端部に達すると、第7図
に示すように、規制穴(29)と規制軸(39)とが平行状
態に復帰して、規制軸(39)に沿う断面は、第4図の状
態に復帰したものとなる。
この後、従来例の場合と同様に、歯部(21)が歯(1
1)から外れる瞬間に過度の回動力がこの歯部(21)に
作用することとなるが、この歯部材(2)の回転角度範
囲は規制穴(29)と規制軸(39)との嵌合余裕によって
一定範囲に規制されているから、歯部(21)のディスク
(3)に対する姿勢の変化も一定の範囲に規制され、過
度の姿勢変化が生じないものとなる。尚、この歯部材の
回転角度は、理想的には、ウオーム(1)の歯(11)と
のかみ合いによって変化する歯部(21)の角度変化範囲
に規制しておけばよい。
さらに、歯部(21)が歯(11)から完全に脱出した時
点では、圧縮バネ(34)の付勢力によって歯部材(2)
が進出せしめられる。このとき、規制軸(39)と規制穴
(29)の断面が共に円形であることから、この断面相互
のカム対偶作用(案内作用)によって第5図の状態に復
帰せしめられる。つまり、規制穴(29)の第5図におけ
る下部壁面(内周壁面の下方の母線近傍部)が、規制軸
(39)をその特定点(P)に導くガイド壁(G)として
機能することとなる。この結果、歯部(21)のディスク
(3)に対する角度は、歯(11)の始端部のリード角に
一致したものとなる。
特に、この実施例では、山形断面の歯部(21)の歯面
相互の挟角を10度〜20度程度に設定してあり、歯(11)
の断面形状もこれに適合させてある。従って、歯部材
(2)に付与される軸線方向の付勢力によって歯部(2
1)の歯面が常時歯(11)のそれに圧接されることとな
る。ここで、歯部材(2)には、これを貫通し且軸(2
2)の大径部と小径部の境界の胴部に開放する空気抜き
穴(25)を具備させてあるから、この歯部材(2)の軸
線方向の移動が円滑なものとなる。
又、この実施例では、歯部(21)の歯面の形状は、ウ
オーム(1)の最小径部と最大径部の中間域の歯(11)
の歯面形状(側面形状)に一致させてある。
通常、歯部(21)及び歯(11)の歯面はテーパ面に近
似する面となっているから、歯部(21)と歯(11)との
かみ合い位置が、ウオーム(1)の最小径部と最大径部
の中間域達した時点でのみ、歯(11)の歯面と歯部(2
1)の歯面とが全面で接触することとなり(第8図の
)、このかみ合い点よりもウオーム(1)の小径域に
移動したときには歯部(21)の歯面の中央域が歯(11)
の歯面と接触し(第8図の及び)、逆にウオーム
(1)の大径側でかみ合うときには歯部(21)の歯面と
両側が歯(11)の歯面と接触する(第8図の)。
尚、ここで、第8図の〜の状態は第2図の〜
の点の歯面相互の接触状態となる。
この結果、この実施例では、歯部(21)が歯(11)の
始端部から終端部に達する間に、その歯面が歯(11)の
それと全面で接触する回数が二回となる。
次に、第9図に示す第2実施例のものは、軸部(22)
の大径部と孔部(31)の内周面との間にメタル素材から
なる軸受材(4)の圧入したものであり、これにより、
軸部(22)の回動及び軸線方向に摺動が容易になる。
尚、この軸受部材としてニードルベアリングを採用する
ことも可能である。
又、この実施例では、第9図に示すように、規制軸
(39)を角軸とすると共に規制穴(29)の断面形状を前
記角軸よりも扁平で且大きなな角穴としてあり、この場
合も、上記第1実施例と同様に、同図における角穴の下
部壁面が、規制軸(39)をその特定点(P)に導くガイ
ド壁(G)として機能することとなり、歯部材(2)の
自由状態における案内作用が得られる。従って、歯部材
(2)が自由状態となったとき、歯部(21)のウオーム
(1)の軸線に対する傾斜角が歯(11)の始端部のリー
ド角(初期かみ合い角度)に一致したものとなる。
尚、第10図に示すように、:規制軸(39)を丸軸と
した場合、:規制軸(39)と規制穴(29)を相似の正
方形断面とした場合、及び、:V溝を具備する規制軸
(39)と前記V溝に嵌入する凸条部を具備する規制穴
(29)との組合せとした場合にも、規制軸(39)と規制
穴(29)との組合せが同様に傾斜角度設定手段(N)と
して機能する。
又、第11図及び第12図に示すように、歯部材(2)の
軸部(22)に規制軸(39)を半径方向に突出させ、ディ
スク(3)における孔部(31)の構成壁を貫通するよう
に規制穴(29)を開設し、この規制穴のディスク周縁側
の構成壁にガイド壁(G)を形成するようにしてもよ
い。この例では、圧縮バネ(34)を歯部材(2)に形成
した軸線方向の孔部と規制軸(39)との間に介装してあ
り、この場合にも歯部材(2)には進出力が付与される
こととなる。
さらに、傾斜角度設定手段(N)と歯部材(2)の回
転角度を一定に規制する手段及び歯部材(2)の進退範
囲を一定に規制する手段とを別個に設ける構成も採用可
能である。
次に、歯部材(2)とディスク(3)との組合せ構造
としては、第13図に示す構成も採用可能である。この第
3実施例では、歯部材(2)の全体が十分な硬度の素材
で構成されており、ディスク(3)の側面の溝(35)に
対向する位置に鋼球(36)を投入するための貫通孔(3
7)(37)を配設し、ここにネジ栓(38)を螺合させて
いる。従って、圧縮バネ(34)としての皿バネを孔部
(31)の底部に収容したあと、歯部材(2)の軸部(2
2)を所定深さに挿入して前記貫通孔(37)(37)から
所定個数の鋼球(36)(36)を挿入し、その後、各貫通
孔(37)にネジ栓(38)を螺合すれば、歯部材(2)が
ころがり軸受機構(ベアリング)によって、支持される
こととなる。
又、前記ネジ栓とは別に軸体(40)を孔部(31)の内
周壁に植設し、この軸体(40)の先端部を軸部(22)の
大径部の胴部に形成した円形断面の凹陥部(27)に遊嵌
させている。この場合、この凹陥部(27)が既述の規制
穴(29)として機能し、軸体(40)が既述の規制軸(3
9)として機能する。
尚、歯部材(2)の歯部(21)の形状については、第
14図に示すように、歯部(21)の断面形状を歯(11)の
両面に対接する接触面を具備する、所謂谷部を具備する
形状とすることも可能である。
上記実施例では、歯部材(2)を突出方向に付勢する
ために、圧縮バネ(34)を用いたが、これを油圧によっ
て突出方向に付勢することも可能であり、この付勢方式
としては、ディスク(3)の軸部から連通させた油圧回
路を孔部(31)の底壁に開放させ、この油圧回路の圧力
を所定の値に設定しておけば良い。このとき、軸部(2
2)と孔部(31)の側壁との気密を確保する必要があ
る。
この場合の実施例を第15図及び第16図に基いて説明す
る。
この実施例では、ディスク(3)の側面には、各孔部
(31)の底部に連通させた連通孔(51)の上流端が開放
し、第15図に示すようにこの開放端部(52)(52)がデ
ィスク(3)の軸部と同心の円周上に配列されている。
そして、この開放端部(52)(52)を閉塞する大きさの
リング(5)がディスク(3)の軸部に遊嵌し、このリ
ング(5)がバネ(53)によって前記開放端部(52)
(52)の配設部の平面に圧接されている。尚、このリン
グ(5)はケーシングに具備させたストッパ(S)とか
み合ってそれ自体の回転は阻止されている。又、このリ
ング(5)のディスク(3)との対接面には、かみ合い
位置にある歯部材(2)(2)が収容された孔部(31)
(31)に連通する連通孔(51)(51)の開放端部(52)
(52)の配設域に対応させて円弧状の分配溝(54)が形
成され、この分配溝(54)に連通する接続口(55)がこ
のリング(5)の周縁に配設されている。そして、この
接続口(55)には油圧源からの油圧回路が接続されてい
る。
尚、このものでは、リング(5)のディスク(3)と
の対接面において、分配溝(54)を具備しない部分の半
周域には外部に開放する凹陥部(56)が形成されてい
る。
上記構成のものでは、ディスク(3)の回転によっ
て、第15図のように、各歯部材(2)(2)がかみ合い
位置にある間は、油圧源からの油圧が、接続口(55)
分配溝(54)連通孔(51)孔部(31)の経路で各歯
部材(2)に作用し、このかみ合い位置を外れると、前
記油圧力が開放されることとなり、圧縮バネ(34)に使
用した上記第1実施例の場合と同様に機能する。
又、かみ合い位置を外れた歯部材(2)(2)を収容
する孔部(31)(31)への連通孔(51)の開放端部(5
2)(52)は、非かみ合い域の半周域において凹陥部(5
6)と一致する。従って、この時点で連通孔(51)から
孔部(31)までの回路が前記凹陥部(56)の開放端を介
して大気圧側(又は低圧側)に連通することとなり、こ
の時点では、歯部材(2)への付勢力が消失することと
なる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例の要部説明図,第2図はX−X断
面図,第3図はこれに用いる歯部材(2)の説明図,第
4図は歯部(21)と規制軸(39)及び規制穴(29)との
関係説明図,第5図は歯部材(2)が自由状態にあると
きの規制軸(39)と規制穴(29)との関係図,第6図は
かみ合い状態における前記部材の関係説明図,第7図は
かみ合い外れ直前での前記部材の関係説明図,第8図
は、歯(11)と歯部(21)の歯面相互の接触部の変化を
示す説明図,第9図は第2実施例の説明図,第10図は規
制軸(39)と規制穴(29)の変形例の説明図,第11図及
び第12図は規制穴(29)をディスク(3)に形成した場
合の説明図,第13図は第3実施例の説明図,第14図は他
の歯部材の説明斜視図,第15図及び第16図は付勢手段を
油圧力によるものとした例の説明図,第17図及び第18図
は従来例の説明図であり、図中, (1)……ウオーム、(22)……軸部 (H)……ホイール、(31)……孔部 (3)……ディスク、(29)……規制穴 (2)……歯部材、(39)……規制軸 (11)……歯、(34)……圧縮バネ (21)……歯部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鼓型のウオーム(1)と、ディスク(3)
    の周側に前記ウオームにかみ合う歯部材(2)(2)を
    所定のピッチで放射状に植設し且これらの歯部材を進出
    方向に付勢した構成のホイール(H)とからなるウオー
    ムギヤ装置において、 各歯部材(2)の歯部(21)をウオーム(1)の歯(1
    1)に滑り接触状態にかみ合わせ、 この歯部材(2)には、ディスク(3)に対して前記歯
    (11)のリード角度変化に応じた範囲回動可能で且一定
    範囲進退可能となるようにこのディスク(3)に保持さ
    れる軸部(22)を設け、 ウオーム(1)に前記歯部材(2)がかみ合った状態で
    は前記歯部材(2)が一定範囲押し込まれるように前記
    軸部(22)の進退可能範囲を設定し、 前記歯部材(2)の最進出位置におけるウオーム軸線に
    対する歯部(21)の傾斜角度をウオーム(1)とのかみ
    合い開始点における初期かみ合い角度に設定するように
    した傾斜角度設定手段(N)を設け、 前記傾斜角度設定手段(N)は、前記歯部材(2)又は
    ディスク(3)の一方に設け且軸部(22)に対して直交
    すると共にこれの軸線方向に突出する凸条部と、他方に
    設け且前記凸条部に対して軸部(22)の軸線方向に於い
    て対向する凹溝部との組合せとすると共に、 前記凸条部と凹溝部との対偶関係を、歯部材(2)の最
    進出位置においてのみ両者が対接し、両者が離反するに
    従って嵌合余裕が拡大するようにしたウオームギヤ装
    置。
  2. 【請求項2】凸条部を、歯部材(2)又はディスク
    (3)の一方に設けた規制(39)の一側の母線部とし、
    他方の凹溝部を歯部材(2)又はディスク(3)の他方
    に設けた規制穴(29)の一側の母線部とした請求項1に
    記載のウオームギヤ装置。
  3. 【請求項3】鼓型のウオーム(1)とディスク(3)の
    周側に前記ウオームにかみ合う歯部材(2)(2)を所
    定のピッチで放射状に植設し且前記歯部材(2)(2)
    を進出方向に付勢した構成のホイーム(H)とからなる
    ウオームギヤ装置において、 各歯部材(2)の歯部(21)をウオームの歯(11)に滑
    り接触状態でかみ合わせ、 この歯部材の軸部(22)をディスク(3)に対して円筒
    対偶させ、 この対偶部の一方に、前記軸部(22)に対して直交方向
    に突出する規制軸(39)を設けると共に、他方に前記規
    制軸が遊嵌する規制穴(29)を設け、 前記規制軸(39)と規制穴(29)の遊嵌度合いによっ
    て、歯部材(2)の回動範囲を一定角度に設定し且軸線
    方向の進退範囲を一定範囲に設定すると共に、前記遊嵌
    位置によってウオーム(1)にかみ合った状態では、歯
    部材(2)が一定範囲押し込まれるように前記歯部材
    (2)の最進出位置を設定し、 歯部材(2)の進出に伴って規制軸(39)を規制穴(2
    9)の特定点(P)に導くガイド壁(G)を規制穴(2
    9)の周壁に設け、 前記特定点(P)に規制軸(39)が一致した時のウオー
    ム軸線に対する歯部(21)の傾斜角度を、ウオーム
    (1)とのかみ合い開始点における初期かみ合い角度に
    設定したウオームギヤ装置。
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