JPH08100062A - 新規芳香族ポリイミド粉粒体及びその製造方法 - Google Patents

新規芳香族ポリイミド粉粒体及びその製造方法

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JPH08100062A
JPH08100062A JP25936794A JP25936794A JPH08100062A JP H08100062 A JPH08100062 A JP H08100062A JP 25936794 A JP25936794 A JP 25936794A JP 25936794 A JP25936794 A JP 25936794A JP H08100062 A JPH08100062 A JP H08100062A
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JP
Japan
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polyimide
represented
powder
polyamic acid
polymer
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Application number
JP25936794A
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English (en)
Inventor
Keiji Okamoto
圭史 岡本
Jiyunya Ida
純哉 井田
Hiroyuki Furuya
浩行 古谷
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐熱性に優れるとともに、加工性にも優れ、
かつ吸水率が低い新規芳香族ポリイミド粉粒体とその製
造方法を提供する。 【構成】 一般式(2) で表される芳香族ポリアミド酸重合体をフィルム状、糸
状又は塊状に形成してイミド化させ、その後、得られた
ポリイミド重合体を粉砕し、或いは、一般式(2)で表
される芳香族ポリアミド酸重合体を、有機溶媒に溶けた
状態でイミド化させ、該溶液をその有機溶媒と均一に混
合する貧溶媒中に投入して糸状又は塊状のポリイミド重
合体を析出させ、糸状又は塊状のポリイミド重合体を乾
燥させた後粉砕し、或いは、一般式(2)で表される芳
香族ポリアミド酸重合体を、有機溶媒に溶けた状態でイ
ミド化させて該有機溶媒中に粉粒体状のポリイミド重合
体を析出させ、析出した粉粒体状のポリイミド重合体を
乾燥させることにより、一般式(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性樹脂として知られ
るポリイミド樹脂に関する。さらに詳しくは、加工性、
耐熱性、吸水率に優れた新規芳香族ポリイミド粉粒体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、芳
香族ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械強度、電気
特性等により電気・電子材料に広く用いられている。し
かし、一般に芳香族ポリイミドは不溶・不融のためにポ
リアミド酸の状態で加工し、それを熱的、化学的に環化
させてポリイミドを得るという方法が必要であり、加工
性が悪く、さらにそれ以上の加工は困難である。また、
例えばアピカルAH(登録商標;ポリイミドフィルム、
鐘淵化学工業(株)社製)の20℃の純水に24時間浸
した時の吸水率は2.5%であり、吸水率が高いという
問題も有している。そのため、従来はフィルム状で使用
することが多く、その高い吸水性のため成形体としては
用途が限られていた。
【0003】最近は、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂とし
て、例えば、ウルテム(登録商標、ポリエーテルイミ
ド;日本GE社製)などの熱可塑性のポリイミドも開発
されている。ところが、現在、一般的に使用されている
押出機は、使用温度が300℃程度まで、高くても35
0℃というものが多く、このポリエーテルイミドは成形
温度が340℃〜425℃と非常に高いため、一般的な
成型機では成形できず、加工温度の高い特殊な成型機が
必要であるという問題点を有している。
【0004】一方、加工性に優れた樹脂としては、工業
用樹脂と称されるポリフェニレンオキサイドやポリスル
ホンなどの熱可塑性樹脂が汎用されている。例えば、ポ
リエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン)は、樹脂
単独の耐熱性がテフロンに次いで高く、比較的耐熱性に
優れた熱可塑性樹脂として一般的に使用されており、そ
の成形温度は270℃〜300℃程度である。これらの
従来の汎用性熱可塑性樹脂は成形温度が低く、一般的な
成型機で加工することができる加工性に優れた樹脂であ
るが、熱可塑性樹脂の最大の難点である耐熱性に劣ると
いう問題を有している。そのため、前記ポリエーテルス
ルホンも、耐熱性を向上させるべく、通常は充填剤とし
てグラスファイバーを20〜30%添加して用いられて
おり、その加工性から多岐にわたる分野で使用されてい
るが、近年の技術の進歩に伴い、より高い耐熱性等さら
に高性能な樹脂が求められている。
【0005】そこで、本発明者らは、上記従来の問題点
を解決し、市場の要求に応えるため、耐熱性に優れると
ともに、加工性にも優れ、かつ吸水率が低い新規芳香族
ポリイミド粉粒体とその製造方法を提供することを目的
に鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る新規芳香族
ポリイミド粉粒体の要旨とするところは、一般式(1)
化6
【化6】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表されることにある。
【0007】かかる新規芳香族ポリイミド粉粒体におい
て、前記一般式(1)中のAr1 が、化7
【化7】 で表される2価の有機基であることにある。
【0008】また、前記一般式(1)中のAr2 が、化8
【化8】 で表される2価の有機基の群から選択される少なくとも
1種であることにある。
【0009】また、前記一般式(1)中のAr3 が、化9
【化9】 で表される4価の有機基の群から選択される少なくとも
1種であることにある。
【0010】次に、本発明に係る新規芳香族ポリイミド
粉粒体の製造方法の要旨とするところは、一般式(2)
化10
【化10】 (式中、Ar4 ,Ar5 は2価の有機基、Ar6 は4価の有機
基を示す。また、s,uは1以上の正の整数、tは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表される芳香族ポリア
ミド酸重合体をフィルム状、糸状又は塊状に形成してイ
ミド化させ、その後、該得られたポリイミド重合体を粉
砕して粉粒体状にすることにある。
【0011】また、本発明に係る新規芳香族ポリイミド
粉粒体の製造方法の他の要旨とするところは、前記一般
式(2)で表される芳香族ポリアミド酸重合体を、該ポ
リアミド酸重合体を溶解する有機溶媒に溶けた状態でイ
ミド化させ、該溶液をその有機溶媒と均一に混合する貧
溶媒中に投入して糸状又は塊状のポリイミド重合体を析
出させ、該糸状又は塊状のポリイミド重合体を乾燥させ
た後粉砕して粉粒体状にすることにある。
【0012】また、本発明に係る新規芳香族ポリイミド
粉粒体の製造方法の更に他の要旨とするところは、前記
一般式(2)で表される芳香族ポリアミド酸重合体を、
該ポリアミド酸重合体を溶解する有機溶媒に溶けた状態
でイミド化させて該有機溶媒中に粉粒体状のポリイミド
重合体を析出させ、該析出した粉粒体状のポリイミド重
合体を乾燥させることにある。
【0013】
【作用】本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体は、一般
式(1)化11
【化11】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表されることを特徴と
し、その組成により200℃から350℃の間でガラス
転移点を有する。かかる新規芳香族ポリイミド粉粒体
は、ガラス転移点に達してもある温度以上になるまでは
柔らかくなり始めず、柔らかくなり始めると急激に粘度
が低下し、ガラス転移点に近い250〜350℃という
温度で押出可能な粘度を示す。すなわち、本発明の新規
芳香族ポリイミド粉粒体は、他の従来汎用されている熱
可塑性樹脂に比べて耐熱性に優れており、かつ従来一般
的に使用されている押出機により容易に成形体を作製す
ることができる。また、20℃の純水に24時間浸した
時の吸水率が0.3〜0.5%という低吸水率を示し、
より広範な用途に使用し得る。
【0014】次に、本発明の芳香族ポリイミド粉粒体を
製造する方法において、前記一般式(2)で表される芳
香族ポリアミド酸重合体を、該ポリアミド酸重合体を溶
解する有機溶媒に溶けた状態でイミド化させると、イミ
ド化の条件により完全にイミド化された状態、又は半イ
ミド化状態のポリイミド重合体が得られる。このときの
ポリイミド重合体がある程度以上イミド化されていれ
ば、ポリイミド重合体の溶解度が小さいことから前記有
機溶媒中にポリイミド重合体の粉粒体が析出してくる。
従って、該粉粒体を乾燥させることにより本発明の芳香
族ポリイミド粉粒体が得られる。なお、イミド化が完全
でなければ、得られた粉粒体を更に加熱することにより
イミド化を完結させることができる。
【0015】また、上記反応においてイミド化の状態が
低い場合や、イミド化が完結していてもポリイミド重合
体の溶解度が比較的大きい場合は、有機溶媒中に粉粒体
は析出されずポリイミド重合体の溶液が得られる。この
場合は、該溶液をその有機溶媒と均一に混合する貧溶媒
中に投入することにより、前記有機溶媒が貧溶媒中に移
行し糸状又は塊状のポリイミド重合体を得ることができ
る。従って、この糸状又は塊状のポリイミド重合体を乾
燥させて粉砕することにより本発明の芳香族ポリイミド
粉粒体が得られる。このポリイミド重合体が半イミド化
状態の場合は、得られた半イミド化状態のポリイミド重
合体を乾燥後、又は乾燥と同時に更に加熱することによ
りイミド化を完結させることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体
とその製造方法について説明するが、まず、その前駆体
であるポリアミド酸重合体の製造方法を説明する。
【0017】ポリアミド酸重合体は、酸二無水物成分と
ジアミン成分とを有機溶媒中で反応させることにより得
られるが、本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体の前駆
体である一般式(2)化12
【化12】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表されるポリアミド酸
重合体を得るためには、まず、アルゴン、窒素等の不活
性ガス雰囲気中において、一般式(3)化13
【化13】 で表されるエステル酸二無水物のみ、若しくはこのエス
テル酸二無水物と一般式(4)化14
【化14】 で表される有機テトラカルボン酸二無水物との混合物
(以下、エステル酸二無水物等という。)を有機溶媒中
に溶解、若しくは拡散させる。この溶液に一般式(5) H2 N−Ar9 −H2 N (5) で表される芳香族ジアミン化合物を、固体、若しくは有
機溶媒による溶液、若しくはスラリーの形で添加して反
応させることにより、本発明の新規芳香族ポリイミド粉
粒体の前駆体である前記一般式(2)で表されるポリア
ミド酸重合体溶液を得ることができる。
【0018】この反応において、必ずしも上述のように
エステル酸二無水物等の有機溶媒溶液に芳香族ジアミン
化合物を添加する必要はなく、添加順序は特に限定され
ない。例えば、上記芳香族ジアミン化合物の有機溶媒溶
液中に、上記エステル酸二無水物等を、固体、若しくは
有機溶媒による溶液、若しくはスラリーの形で添加して
もよい。
【0019】この時の反応温度は−10〜50℃、更に
好ましくは−5〜20℃である。反応時間は30分〜3
時間である。
【0020】次に、この前駆体であるポリアミド酸重合
体溶液から本発明に係る芳香族ポリイミド粉粒体を製造
する方法としては、例えば、かかるポリアミド酸重合体
溶液をフィルム状に形成してイミド化させてフィルム状
のポリイミド重合体を得て、その後粉砕するという方法
で得ることができる。イミド化させる方法としては、熱
的及び/又は化学的に脱水閉環(イミド化)する方法を
用いればよい。
【0021】具体的には、熱的に脱水閉環(イミド化)
する方法では、上記ポリアミド酸重合体の溶液を支持
板、PET等の有機フィルム、ドラムあるいはエンドレ
スベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状となし、
乾燥させて自己支持性の膜を得る。乾燥は150℃以下
の温度で約5〜90分行うのが好ましい。次いで、これ
を加熱・乾燥してイミド化させると、本発明のポリイミ
ド重合体よりなるポリイミド膜が得られる。加熱の際の
温度は150℃〜350℃の範囲の温度が好ましく、特
には300〜350℃が好ましい。加熱の際の昇温速度
には制限はないが徐々に加熱し、最高温度が上記温度に
なるようにするのが好ましい。加熱時間は、フィルム厚
みや最高温度によって異なるが、一般には最高温度に達
してから10秒〜5分の範囲が好ましい。
【0022】化学的に脱水閉環(イミド化)する方法で
は、上記ポリアミド酸重合体の溶液に化学量論以上の脱
水剤と触媒量の第3級アミンを加え、熱的に脱水する場
合と同様の方法で処理すればよい。また、熱的方法と化
学的方法を併用する方法を用いてもよい。
【0023】これらの方法で作製したポリイミド膜を粉
砕することにより、所望の一般式(1)化15
【化15】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表される本発明に係る
新規芳香族ポリイミド粉粒体が得られるのである。
【0024】また、本発明に係る芳香族ポリイミド粉粒
体の他の製造方法として、上記ポリアミド酸重合体を溶
液の状態でイミド化させる方法を用いることもできる。
かかる方法について例を挙げて説明すると、上記ポリア
ミド酸重合体溶液に適量の触媒と化学量論以上の脱水剤
を加えて攪拌し、該溶液の温度を上げてイミド化を進
め、攪拌しながら放置するとポリイミド重合体の粉粒体
が析出してくる。これはポリイミド重合体の溶解度が小
さいためで、イミド化が進むほど収率が良くなる。この
ときの溶液の温度は200〜300℃が好ましく、イミ
ド化を完結させるためには250℃〜300℃が好まし
い。また、攪拌時間は30分から3時間の範囲が好まし
い。そして、この粉粒体を乾燥させることにより所望の
芳香族ポリイミド粉粒体が得られる。
【0025】なお、上記得られた粉粒体が半イミド化状
態であれば、該粉粒体を乾燥させた後、或いは乾燥と同
時に更に温度を上げることによりイミド化を完結させる
ことができる。また、かかる反応において脱水剤は必ず
しも必要ではなく、例えば水の沸点が溶媒よりも低いこ
とを利用してイミド化を進めることも可能である。ま
た、特殊な条件の下では、上述のような化学的方法と熱
的方法との併用ではなく、熱的方法によりイミド化させ
て粉粒体を得ることも可能である。また、イミド化させ
た後の反応溶液に、ポリイミド重合体に対する貧溶媒を
加えて粉粒体を析出させてもよい。
【0026】また、上記反応において、室温下で数時間
攪拌することによりイミド化を行うと、半イミド化状態
のポリイミド重合体の溶液が得られる。このとき、溶液
の温度を上げても、上記200℃以下であるとイミド化
の進行状態が低く、同様の半イミド化状態のポリイミド
重合体の溶液が得られる。従って、この溶液を、該ポリ
イミド重合体に対して貧溶媒であるメタノール・水等の
中に流し込んで、糸状若しくは塊状のポリイミド重合体
を現出させ、次いで、該現出したポリイミド重合体を乾
燥させて粉砕した後、更に加熱してイミド化を完結させ
ることにより本発明のポリイミド粉粒体を得てもよい。
また、上述のようにして糸状又は塊状のポリイミド重合
体を現出させた後、該現出したポリイミド重合体を乾燥
させる際に更に温度を上げて同時にイミド化を行い、そ
の後粉砕するようにしてもよい。なお、イミド化が完結
したポリイミドで粉粒体が析出しない場合も同様の方法
で粉粒体を得ることができる。
【0027】このようにして、本発明に係る新規芳香族
ポリイミド粉粒体を製造することができるのであるが、
次に、本発明で用いられる各種合成原料について具体的
に説明する。
【0028】本発明に用いられるエステル酸二無水物と
しては、あらゆる構造のエステル酸二無水物が使用可能
であるが、前記一般式(3)中のAr7 基を具体的に例示
すると、Ar7 が化16
【化16】 で表されるエステル酸二無水物を挙げることができる。
より具体的には、諸特性のバランスから、Ar7 が化17
【化17】 を主成分とすることが好適である。
【0029】また、有機テトラカルボン酸二無水物とし
ては、あらゆる構造の有機テトラカルボン酸二無水物が
使用可能であるが、前記一般式(4)中のAr8 基は4価
の有機基であり、このAr8 基を具体的に例示すると、Ar
8 基が化18、化19
【化18】
【化19】 で表される有機テトラカルボン酸二無水物を挙げること
ができる。これらの有機テトラカルボン酸二無水物を単
独又は二種以上組み合わせて用いてもよい。より具体的
には、諸特性のバランス面から、Ar8 が化20
【化20】 の少なくとも1種類以上を主成分とすることが好適であ
る。
【0030】また、前記一般式(5)で表される芳香族
ジアミン化合物のAr9 は、本質的には2価の有機基であ
ればあらゆるものが使用可能であるが、具体的には化2
1、化22
【化21】
【化22】 等を挙げることができる。更に具体的には、化23
【化23】 の少なくとも1種類以上を主成分とすることが好適であ
る。
【0031】また、ポリアミド酸重合体溶液の生成反応
に使用される有機溶媒としては、例えばジメチルスルホ
キシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶
媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムア
ミド等のホルムアミド系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミ
ド、N,N-ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒
等の極性溶媒を挙げることができる。これらを単独又は
2種あるいは3種以上の混合溶媒として用いることがで
きる。更に、これらの極性溶媒に、ポリアミド酸重合体
に対して貧溶媒であるアセトン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ベンゼンメチルセロソルブ等を
混合してもよく、該貧溶媒との混合溶媒として用いるこ
ともできる。
【0032】化学的にイミド化させる時に触媒として使
用される第3級アミンとしては、ピリジン、α−ピコリ
ン、β−ピコリン、γ−ピコリン、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、イソキノリンなどが好ましい。ま
た、脱水剤としては、例えば、無水酢酸が好ましく用い
られる。
【0033】このようにして得られた本発明に係る新規
芳香族ポリイミド粉粒体は、一般式(1)化24
【化24】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
は1以上の正の整数を表す。)で表されるが、かかる式
中、ブロック単位における繰り返し数l,mは1〜15
が望ましい。何故ならば、繰り返し数l,mが15を越
えると共重合比が偏り、共重合することの効果が小さく
なるからである。また、重合体1分子中にl,mの値が
異なる単位が存在しても良いが、l,mの値が一定であ
ることが好ましい。
【0034】また、本発明の芳香族ポリイミド粉粒体の
分子量は特に規制されるものではないが、かかる芳香族
ポリイミド粉粒体により加工される成形品の強度を維持
するためには、数平均分子量が5万以上、更には8万以
上、特には10万以上、更には12万以上が好ましい。
【0035】なお、ポリイミド重合体の分子量は直接測
定が困難な場合が多いが、このようなときには、間接的
な方法によって推測による測定がなされる。例えば、ポ
リイミド重合体がポリアミド酸から合成される場合に
は、ポリアミド酸の分子量に相当する値をポリイミドの
分子量とする。
【0036】かかる本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒
体は、その組成により200℃から350℃の間でガラ
ス転移点を持ち、20℃の純水に24時間浸した時の吸
水率が0.3〜0.5%という低吸水率を示す。また、
本発明の芳香族ポリイミド粉粒体は、ガラス転移点に達
した後、ある温度で柔らかくなり始めるとその後一気に
粘度が低下し、250℃から350℃で押出しに最適な
2〜10×105 poise の粘度を示す。すなわち、本発
明に係る新規芳香族ポリイミド粉粒体は、優れた耐熱
性、加工性、低吸水率を併せ持っていると言える。
【0037】以上、本発明に係るの実施例を説明した
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
なく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で当業者の
知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様
で実施しうるものである。
【0038】以下に実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例によって限定される
ものではない。
【0039】実施例 1 50mlメスフラスコ(1)に2,2-ビス〔4-( 4-アミノフ
ェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPとい
う。)14.6g及びジメチルホルムアミド(以下、D
MFという。)21.9gをそれぞれ採り、スターラー
を用いて攪拌し、充分溶かした。さらに、他の50mlメ
スフラスコ(2)にBAPP1.0g、DMF10.0
gを採り、同様にして充分溶かした。他方、攪拌機を備
えた500ml三口フラスコに2,2-ビス( 4-ヒドロキシフ
ェニル)プロパンジベンゾエート-3,3',4,4'- テトラカ
ルボキシリックアシッドジアンヒドライド(以下、ES
DAという。)12.1gと 3,3',4,4'- ベンゾフェニ
ルテトラカルボキシリックアシッドジアンヒドライド
(以下、BTDAという。)5.5g、及びDMF2
2.0gを入れ、氷水で冷やしつつ、かつフラスコ中の
雰囲気を窒素置換しながら攪拌し充分溶かした。
【0040】そして、まず事前に得られた50mlメスフ
ラスコ(1)中のBAPP溶液を攪拌しながら前記50
0ml三口フラスコ中に速やかに投入した。約30分間攪
拌しながら放置した後、50mlメスフラスコ(2)中の
BAPP溶液を三口フラスコ中の溶液の粘度に注目しな
がら三口フラスコ中に徐々に投入した。最大粘度に達し
た後、BAPP溶液の投入を終了し、1時間攪拌しなが
ら放置した。その後、DMFを92.3g加えて攪拌
し、ポリアミド酸重合体溶液を得た。
【0041】このポリアミド酸重合体溶液にDMF17
9.4g、β−ピコリン4.5g、無水酢酸7.2gを
加えて氷冷下で2時間攪拌した。その後、高速で攪拌し
たメタノール中にこの溶液を少しづつ流し入れた。そし
て、メタノール中に析出した糸状のポリイミドを150
℃で30分乾燥させた後、該糸状のポリイミドをミキサ
ーで粉砕し、更に250℃で2分加熱してイミド化を完
全に行い、本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体を得
た。
【0042】得られたポリイミド粉粒体について、AS
TM D−570規格に基づき、20℃の純水に24時
間浸した時の吸水率を測定したところ、吸水率は0.4
7%であった。また、このポリイミド粉粒体のそれぞれ
の温度における溶融押出粘度を測定し、その結果を溶融
押出粘度(poise)と温度(℃)の関係を示したグラフに
して図1に●で示した。
【0043】実施例 2 50mlメスフラスコ(3)にESDA1.0g及びDM
F10.0gを採り、充分溶かした。他方、攪拌機を備
えた500ml三口フラスコにBAPP8.78g、DM
F20.5gを採り、氷水で冷やしつつ、かつフラスコ
中の雰囲気を窒素置換しながら攪拌し充分溶かした。
【0044】この三口フラスコ中にBTDA6.9gを
徐々に投入した。添加終了後、約30分間攪拌しながら
放置した。さらにこの三口フラスコ中にBAPP8.8
2g、DMF36.7gを一気に投入した。30分攪拌
しつつ放置した後、ESDA11.4gを一気に投入し
た。1時間攪拌しながら放置した後、事前に得られた5
0mlメスフラスコ(3)中のESDA溶液を三口フラス
コ中の溶液の粘度に注目しながら三口フラスコ中に徐々
に投入した。最大粘度に達した後、ESDA溶液の投入
を終了し、1時間攪拌しながら放置した。その後、DM
Fを132.8gを加えて攪拌し、ポリアミド酸重合体
溶液を得た。
【0045】このポリアミド酸重合体溶液に無水酢酸1
8.0g、イソキノリン28.2gを加え、3分間攪拌
した後、アルミ箔上に塗布した。100℃で5分間加熱
した後、アルミ箔から剥がし、金属支持体に固定した
後、150℃、200℃、250℃、270℃で各2分
間加熱し、イミド化させ、ポリイミドフィルムを得た。
さらに、このポリイミドフィルムをミキサーで粉砕し、
本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体ポリイミド粉粒体
を得た。
【0046】得られたポリイミド粉粒体について、実施
例1と同様にして吸水率と溶融押出粘度を測定した。吸
水率は0.43%であった。また溶融押出粘度の測定結
果は図1に○で示した。
【0047】比較例 1 比較のため、充填剤を添加していない樹脂単独の熱可塑
性樹脂の中で、テフロンに次いで高い耐熱性を有するポ
リエーテルスルホン(ICI社製;VICTREX41
00G)について、実施例1と同様にして溶融押出粘度
を測定し、その結果を図1に△で示した。
【0048】図1の溶融押出粘度と温度との関係を示し
たグラフから、実施例1の押出温度は280℃から29
0℃、実施例2の押出温度は310℃から320℃であ
り、使用温度が300℃程度、高くても350℃である
一般的な押出機で成形できることがわかる。それに対し
て、上述していないが、従来の熱可塑性ポリイミド、例
えば、ウルテム(登録商標;日本GE社製)の溶融押出
粘度の測定は、粘度を測定できるようになる温度が高温
で、実施例1、2、比較例1で用いた測定装置(一般に
普及されている装置)では樹脂が押出されず、粘度を測
定することができなかった。なお、前記ウルテム(登録
商標)のカタログに、その成形温度は340℃から42
5℃であると記載されていることから、本発明の芳香族
ポリイミド粉粒体の加工性は、従来の熱可塑性ポリイミ
ドと比べて改善されているといえる。
【0049】また、同図より、本発明の芳香族ポリイミ
ド粉粒体の溶融押出粘度の温度測定範囲が、比較例1の
ポリエーテルスルホンの測定範囲よりも高温側にあり、
本発明の芳香族ポリイミド粉粒体の方が溶けにくいこと
がわかる。すなわち、本発明の芳香族ポリイミド粉粒体
の耐熱性は、従来、耐熱性の高い熱可塑性樹脂として一
般的に用いられている該ポリエーテルスルホンと比べて
改善されているといえる。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明に係る新規芳香族ポ
リイミド粉粒体は、前記一般式(1)で表されることを
特徴とする芳香族ポリイミド粉粒体であり、現在一般的
に使用されている成型機で加工し得る押出温度を有し、
かつ、従来の汎用性熱可塑性樹脂よりも高い耐熱性を有
するものである。また、吸水率も0.3〜0.5%と、
従来の芳香族ポリイミドに比べて低い値を示している。
すなわち、本発明の新規芳香族ポリイミド粉粒体及びそ
の製造方法は、優れた耐熱性と加工性とが両立され、か
つ、吸水率が低く汎用性のある熱可塑性樹脂を実現でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融押出粘度(poise)と温度(℃)との関係を
示したグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)化1 【化1】 (式中、Ar1 ,Ar2 は2価の有機基、Ar3 は4価の有機
    基を示す。また、l,nは1以上の正の整数、mは0又
    は1以上の正の整数を表す。)で表されることを特徴と
    する新規芳香族ポリイミド粉粒体。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)中のAr1 が化2 【化2】 で表される2価の有機基であることを特徴とする請求項
    1に記載する新規芳香族ポリイミド粉粒体。
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)中のAr2 が化3 【化3】 で表される2価の有機基の群から選択される少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記
    載する新規芳香族ポリイミド粉粒体。
  4. 【請求項4】 前記一般式(1)中のAr3 が化4 【化4】 で表される4価の有機基の群から選択される少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載する新規芳香族ポリイミド粉粒体。
  5. 【請求項5】 一般式(2)化5 【化5】 (式中、Ar4 ,Ar5 は2価の有機基、Ar6 は4価の有機
    基を示す。また、s,uは1以上の正の整数、tは0又
    は1以上の正の整数を表す。)で表される芳香族ポリア
    ミド酸重合体をフィルム状、糸状又は塊状に形成してイ
    ミド化させ、その後、該得られたポリイミド重合体を粉
    砕して粉粒体状にすることを特徴とする新規芳香族ポリ
    イミド粉粒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(2)で表される芳香族ポリ
    アミド酸重合体を、該ポリアミド酸重合体を溶解する有
    機溶媒に溶けた状態でイミド化させ、該溶液をその有機
    溶媒と均一に混合する貧溶媒中に投入して糸状又は塊状
    のポリイミド重合体を析出させ、該糸状又は塊状のポリ
    イミド重合体を乾燥させた後粉砕して粉粒体状にするこ
    とを特徴とする新規芳香族ポリイミド粉粒体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記一般式(2)で表される芳香族ポリ
    アミド酸重合体を、該ポリアミド酸重合体を溶解する有
    機溶媒に溶けた状態でイミド化させて該有機溶媒中に粉
    粒体状のポリイミド重合体を析出させ、該析出した粉粒
    体状のポリイミド重合体を乾燥させることを特徴とする
    新規芳香族ポリイミド粉粒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000061658A1 (fr) * 1999-04-09 2000-10-19 Kaneka Corporation Resine polyimide, composition de resine a resistance amelioree a l'humidite la comprenant, solution adhesive, colle en film adhesif en couches et leurs procedes de production
JP2008056755A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Du Pont Toray Co Ltd ポリイミド粉体およびその製造方法

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