JPH0798090A - 真空断熱パネル及びその真空断熱パネルを使用した断熱箱体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 経年変化により真空度が劣化する事態を効果
的に抑制できるようになる真空断熱パネルを提供すると
共に、このような真空断熱パネルを利用して断熱箱体を
容易に製造できるようにすること。 【構成】 真空断熱パネル１は、袋状外装体２内に３個
の充填体を互いに所定間隔を存して配置すると共に、外
装体２における充填体４の各間に位置した部分にこれを
横断する形状のシール部２ａを形成することにより、３
個の単位気密部１ａを備えた構成となっている。平板状
の鉄板７は、所定の折曲ラインで折曲することにより断
熱箱体用外箱の左右側壁及び天井壁を構成するもので、
この鉄板７上に、真空断熱パネル１をそのシール部２ａ
が上記折曲ラインと対応した状態となるように接着固定
し、この状態で鉄板７を折曲ラインに沿って折曲するこ
とにより、真空断熱パネル１に設けられた各単位気密部
１ａを外箱の内側に位置させるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、袋状外装体内を真空排
気して構成される真空断熱パネル、並びにその真空断熱
パネルを利用した断熱箱体の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば冷蔵庫用断熱箱体に使用される真
空断熱パネルにあっては、プラスチックを主体に構成さ
れたガスバリア性を有する２枚のシート状フィルムの周
囲を熱溶着手段などにより接合して矩形状に構成した袋
状外装体を用意すると共に、紙または不織布などのよう
な通気性を備えた袋内に断熱性を有する材料であるパー
ライト粉末やシリカ微粉末などを収納して所定の形状に
予備成形した充填体、或いは連続気孔率が高いプラスチ
ックフォームより成る充填体を用意し、このような充填
体を前記外装体内に収容した状態で当該外装体内の空気
を前記フィルムの接合部分に形成された排気口を通じて
排気し、しかる後に上記排気口を熱溶着手段などにより
接合することにより構成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た真空断熱パネルにあっては、初期段階においては外装
体内の真空度が十分に高い状態に維持されて高い断熱性
能を発揮するものの、長期間使用された場合には、内部
に空気などのガスが徐々に侵入して真空度が劣化し、断
熱性能が次第に低下するという事情がある。このような
ガスの侵入箇所は主として外装体を構成するフィルムの
接合部分端面であるが、従来のように１個の外装体内に
１個の充填体を収容して構成される真空断熱パネルで
は、外装体の内容積に対する接合部分端面の長さの割合
が相対的に多くなるため、真空度の劣化度合つまり断熱
性能の低下度合が比較的大きくなるという問題点があっ
た。

【０００４】また、従来構成の真空断熱パネルを利用し
て冷蔵庫用断熱箱体を製造する際には、複数個の真空断
熱パネルを、それぞれ当該断熱箱体を構成する外箱内側
の所定位置に貼り付け固定するという面倒な作業が必要
であり、しかも真空断熱パネル自体は比較的重量が大き
いという事情があるため、断熱箱体の製造作業性が悪化
するという問題点があった。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、経年変化により真空度が劣化する事
態を、特別な気密保持手段を別途に施さなくても効果的
に抑制できるようになる真空断熱パネルを提供すると共
に、このような真空断熱パネルを利用して断熱箱体を容
易に製造できるようになる断熱箱体の製造方法を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による真空断熱パ
ネルは、上記目的を達成するために、非通気性のフィル
ムの縁部を接合して形成され内部の空気が排気される袋
状外装体と、この外装体内に互いに所定間隔を存して配
置された複数個の充填体と、前記外装体における前記充
填体の各間に位置した部分に形成され当該外装体内を充
填体を備えた複数の単位気密部に区分するシール部とを
設ける構成としたものである。

【０００７】本発明による断熱箱体の製造方法は、上記
のような真空断熱パネルを、平板状の金属板を所定の折
曲ラインに沿って折曲することにより構成される外箱内
に配置するようにしたものであり、前記金属板上に、前
記真空断熱パネルをそのシール部が前記折曲ラインと対
応した状態となるように接着固定する工程と、この固定
状態で前記金属板を折曲することにより、真空断熱パネ
ルの各単位気密部を前記外箱の内側に位置させる工程を
行うようにしたものである。

【０００８】

【作用】上記手段による真空断熱パネルは、フィルムの
縁部を接合して形成された外装体の内部に複数個の単位
気密部を備えた構成となっており、これら各単位気密部
をそれぞれ独立した真空断熱パネルとして機能させるこ
とができる。この場合、各単位気密部においては、互い
にシール部を介して隣接した状態となるため、それら単
位気密部を構成するフィルムの接合部のうち外気と接す
る部分の長さは、１個の外装体内に１個の充填体を収容
して構成される真空断熱パネルに比して相対的に短くな
る。このため、各単位気密部においては、外部からのガ
スの侵入を受け難くなり、真空度の劣化度合が小さくな
る。

【０００９】また、上記のような真空断熱パネルを利用
した断熱箱体の製造方法によれば、一つの部品として取
り扱い得る真空断熱パネルを平板状の金属板上に接着固
定する共に、この固定状態で金属板を折曲することによ
り、前記複数の単位気密部が独立した真空断熱パネルと
して外箱における所定位置の内側に位置されるようにな
るから、外箱内側の所定位置に複数個の真空断熱パネル
を個々に固定する場合に比して、断熱箱体の製造作業性
が向上するようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。図１には完成状態での真空断熱パ
ネル１の外観が示され、図２には同真空断熱パネル１の
断面構造が示されている。即ち、内部が真空排気された
袋状外装体２は、矩形状に形成された２枚の非通気性の
シート状フィルム３、３（図２参照）を、その周辺部で
接合することにより構成されている。この場合、上記シ
ート状フィルム３は、ガスバリア性を有した材料（例え
ばアルミニウム薄膜をサンドイッチしたラミネートフィ
ルム）より成るもので、少なくとも最内側に熱可塑性プ
ラスチックより成るヒートシートフィルム３ａを備えた
構成となっており、シート状フィルム３の周辺部間の接
合は、上記ヒートシートフィルム３ａの熱圧着により行
うようにしている。

【００１１】上記外装体２内には、例えば３個の充填体
４が互いに所定間隔を存して配置されるものであるが
（図１では充填体４に対応した凹凸のみ図示）、この充
填体４は、紙または不織布などのような通気性を備えた
袋５内にパーライト粉末やシリカ微粉末などより成る気
体吸着性の低い断熱材６を収納して所定の形状に予備成
形して構成されている。

【００１２】この場合、外装体２における前記充填体４
の各間に位置した部分（２箇所）には、その部分のヒー
トシートフィルム３ａを熱圧着することによって、当該
外装体２を横断する形状のシール部２ａが形成されてお
り、これにより外装体２内には、充填体４を備えた３個
の単位気密部１ａが形成されている。従って、各単位気
密部１ａを連結する部分は、可撓性あるシート状フィル
ム３により構成されることになるから、この部分で容易
に屈曲させ得るようになる。

【００１３】上記のような真空断熱パネル１の製造は、
次のような工程を経て行われる。即ち、２枚のシート状
フィルム３の３辺部を予め熱圧着することにより、外装
体２を一辺部に開口部を有した状態の袋状に形成し、そ
の内部に上記開口部を介して３個の充填体４を収容す
る。次いで、外装体２内の空気を、排気口として機能す
る上記開口部を通じて排気して、内部の空気圧力を０．
５Torr以下に下げ、この状態で、外装体２の前記開口部
を熱圧着により封止すると共に、外装体２における充填
体４の各間に位置した部分を熱圧着することによって前
記シール部２ａを形成する。

【００１４】このように構成された真空断熱パネル１を
利用して例えば冷蔵庫の断熱箱体を製造する場合には、
以下のような手順を踏む。即ち、図３において、平板状
に形成された金属板としての鉄板７は、所定の折曲ライ
ンに沿って折曲することにより、断熱箱体用外箱の左右
側壁及び天井壁を構成するものであり、まず、折曲前の
鉄板７における一方の側面（外箱の内側となる側面）上
に、前記真空断熱パネル１をそのシール部２ａが当該鉄
板７における上述の折曲ラインと対応した状態となるよ
うに接着固定する工程を行う。

【００１５】次いで、上記のような固定状態で、図４に
示すように、鉄板７を前記折曲ラインに沿って折曲する
ことにより、真空断熱パネル１に設けられた各単位気密
部１ａを外箱の内側に位置させる工程を行う。この後、
上記のように折曲された鉄板７に対して、外箱の背面板
を構成する真空断熱パネル付きの鉄板（図示せず）など
の必要部品を組み付ける工程を行うことにより断熱箱体
を完成させる。

【００１６】上記した本実施例の構成によれば、真空断
熱パネル１の各単位気密部１ａをそれぞれ独立した真空
断熱パネルとして機能させることができるものである
が、各単位気密部に１ａおいては、袋状外装体２の中間
部分を熱圧着することにより形成されたシール部２ａを
介して互いに隣接した状態となるため、それら単位気密
部１ａを構成するシート状フィルム３の接合部のうち外
気と接する部分の長さは、１個の外装体内に１個の充填
体を収容して構成される従来構成の真空断熱パネルに比
して相対的に短くなる。このため、各単位気密部１ａに
おいては、外部からのガスの侵入を受け難くなり、真空
度の劣化度合つまり断熱性能の低下度合が小さくなる。

【００１７】また、上記のような真空断熱パネル１を利
用した断熱箱体の製造する場合には、一つの部品として
取り扱い得る真空断熱パネル１を平板状の鉄板７上に接
着固定する共に、この固定状態で鉄板７を折曲すること
により、前記複数の単位気密部１ａが独立した真空断熱
パネルとして外箱における所定位置の内側に位置される
ようになるから、外箱内側の所定の位置に複数個の真空
断熱パネルを個々に固定する場合に比して、断熱箱体の
製造作業性が大幅に向上するようになる。この場合、真
空断熱パネル１を鉄板７に固定する時点では当該鉄板７
が平板状を呈しているから、真空断熱パネル１を単純に
載置するだけの簡単な作業を行うだけで済み、その固定
作業の自動化も図り得るようになる。

【００１８】尚、上記実施例では、袋状外装体２を２枚
のシート状フィルム３により構成したが、例えば、非通
気性材料より成る筒状フィルムの一方の開口端を熱溶着
手段などにより接合することによって矩形状の袋状外装
体を形成する構成としても良いものである。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明による真空断熱パネルによれば、袋状外装体内に互
いに所定間隔を存して状態で複数個の充填体を配置する
と共に、その外装体における前記充填体の各間に位置し
た部分に当該外装体内を充填体を備えた複数の単位気密
部に区分するシール部を形成する構成としたから、経年
変化により真空度が劣化する事態を、特別な気密保持手
段を別途に施さなくても効果的に抑制できるようになる
という優れた効果を奏するものである。

【００２０】また、本発明による断熱箱体の製造方法に
よれば、上記のような真空断熱パネルを、平板状の金属
板を所定の折曲ラインに沿って折曲することにより構成
される外箱内に配置する場合に、その金属板上に、真空
断熱パネルを接着固定する工程と、この固定状態で前記
金属板を折曲する工程を行うだけで済むから、断熱箱体
の製造作業性を大幅に向上させ得るという有益な効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による真空断熱パネルを示す
斜視図

【図２】図１中のＡ−Ａ線に沿った断面図

【図３】断熱箱体の製造途中の状態を示す斜視図その１

【図４】断熱箱体の製造途中の状態を示す斜視図その２

【符号の説明】

図面中、１は真空断熱パネル、１ａは単位気密部、２は
袋状外装体、２ａはシール部、３はフィルム、４は充填
体、７は鉄板（金属板）を示す。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非通気性のフィルムの縁部を接合して形
   成され内部の空気が排気される袋状外装体と、 この外装体内に互いに所定間隔を存して配置された複数
   個の充填体と、 前記外装体における前記充填体の各間に位置した部分に
   形成され当該外装体内を充填体を備えた複数の単位気密
   部に区分するシール部とを備えたことを特徴とする真空
   断熱パネル。
2. 【請求項２】 平板状の金属板を所定の折曲ラインに沿
   って折曲することにより構成される外箱を備えた断熱箱
   体の製造方法において、 前記金属板上に、真空断熱パネルをそのシール部が前記
   折曲ラインと対応した状態となるように接着固定する工
   程と、 この固定状態で前記金属板を折曲することにより前記真
   空断熱パネルの各単位気密部を前記外箱の内側に位置さ
   せる工程とを行うことを特徴とする請求項１記載の真空
   断熱パネルを利用した断熱箱体の製造方法。