JPH0794080B2 - プレス機械のスライドガイド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プレス機械の上下動するスライドをガイドす
るためのスライドガイドに関する。

〔背景技術〕

第３図、第４図は従来のスライドガイドを示す。

第３図で示すスライドガイド51は、コラム52とスライド
53とに互いに対面する摺動ガイド部材を設けたプレーン
式ガイド、またはコラム52とスライド53との間にニード
ルローラを介在させたニードルローラ式ガイドとなって
いる。このスライドガイド51では、スライド53のガイド
箇所はスライド53の上側、下側に合計８箇所あり、ま
た、このスライドガイド51は、気温、プレス作業の蒸発
による温度変化でプレス機械の構成部品の寸法変化が避
けられないことから、必要最小限度内のクリアランスを
有するものとなっている。

第４図で示すスライドガイド54は、スライド55にガイド
ポスト56を下向きに固設し、ベッド57にはガイド筒58を
設け、ガイドポスト56をこのガイド筒58に摺動自在に挿
入したものでおる。このスライドガイド54では、ガイド
ポスト56およびガイド筒58は各４個設けられ、またこの
スライドガイド54はクリアランスが零となっているが、
その反面、前記寸法変化の影響を受けないようにするた
め、ガイドポスト56の直径を小さくしてその剛性を小さ
くし、多少撓むことができるようにしなければならな
い。

〔発明が解決しようとする課題〕

高精度加工を行うための精密な金型が取り付けられるプ
レス機械のスライドガイドに求められる機能は、スライ
ドに取り付けられる上型とボルスタに取り付けられる下
型とからなる金型の取付作業を行うため、スライドを下
死点まで降したときにスライドの位置が自動的に決ま
り、これにより、金型取付作業を行ったときに高精度の
金型取付位置精度を得られること、およびプレス時に材
料から加工反力としてスライドに作用する上向き荷重が
偏心荷重となっていても、スライドがボルスタに対して
平行度を維持していることである。

このような判断基準に基づいて、従来のスライドガイド
を評価すると、第３図のスライドガイド51は、大きな剛
性を有するコラム52を利用しているため、充分な強度を
有し、従ってスライド53に偏心荷重が作用してもこの点
では高精度加工を期待できるが、このスライドガイド51
はクリアランスを有しているため、スライド53を下死点
まで降してボルトまたはクランパ等の取付具による金型
取付作業を行う際に、この取付具の締付操作のためにス
ライド53はそのクリアランス分だけ移動してしまい、こ
のため上型に僅かな位置誤差が生じ、高精度の金型取付
位置精度を得られなくなってしまう。

第４図のスライドガイド54はクリアランスが零であるた
め、金型の取付作業を高精度で行え、所定の金型取付位
置精度を得られるが、クリアランスを零にした分だけガ
イドポスト56の直径を小さくするなどしてスライドガイ
ド54の強度を低下させ、これによりスライド55の所定通
りの上下動を確保できるようにしなければならないた
め、このスライドガイド54はスライド55に作用する偏心
荷重に対して必要な強度を備えないものとなっている。

材料を高精度加工するためには、スライドガイドは、金
型取付位置精度を所定の高精度にできることと、スライ
ドに作用する偏心荷重に対して充分な強度を備えてい
て、スライドとボルスタの平行度を維持できることとの
両方を同時に充分に満足していなければならず、従来の
スライドガイドは、前述の通り、これらの両方を同時に
充分満足するものとはなっておらず、このため、ある程
度の精度で材料を加工できてもそれ以上の高精度加工を
望むことはできなかった。

本発明の目的は、金型取付位置精度を所定の高精度にで
きることと、スライドに作用する偏心荷重に対して充分
な強度を有し、スライドとボルスタの平行度を維持でき
ることとの両方を充分に満足し、これにより材料の高精
度加工を実現できるようになるプレス機械のスライドガ
イドを提供するところにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るスライドガイドは、左右方向に延びるクラ
ンク軸に２本のコンロッドを介してスライドが連結され
た２点プレス機械に適用され、このスライドガイドは上
部ガイド手段と下部ガイド手段の二種類からなり、上部
ガイド手段はコラムとスライドとの間でスライドの前後
面における左右の合計４箇所に設けられ、下部ガイド手
段はスライドとベッドのうちのいずれか一方に固設され
たガイドポストを他方に設けられたガイド筒に挿入する
ことにより構成され、上部ガイド手段をスライドとボル
スタの平行度確保用のガイド手段とし、下部ガイド手段
を上型、下型の金型取付位置精度確保用のガイド手段と
している。

上部ガイド手段はクリアランスを有する例えばプレーン
式ガイドまたはニードルローラ式ガイドが採用され、ま
た、下部ガイド手段はクリアランスが零とされるととも
に、その強度は例えばガイドポストを細くすることによ
り小さくされる。

〔作用〕

スライドを下死点まで降して金型の取付作業を行う際に
は、クリアランスが零の下部ガイド手段によってスライ
ドの位置が決まり、この状態で上型はスライドに、下型
はボルスタにそれぞれボルトまたはクランパ等の取付具
で取り付けられる。このため、高精度の金型取付位置精
度を得られる。

プレス時にスライドに左右方向の偏心荷重が作用した場
合には、このスライドは左右方向に延びるクランク軸に
２本のコンロッドを介して連結されているため、スライ
ドは左右の水平方向に傾くことはない。一方、偏心荷重
が前後方向に偏心している場合には、この偏心荷重はス
ライドの前後面における左右の合計４筒所に設けられた
上部ガイド手段で受けられ、このため、スライドはボル
スタに対してほとんど傾かず、スライドとボルスタの平
行度は確保される。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図及び第２図は本実施例に係るスライドガイドを備
えるプレス機械を示す。ベッド１とクラウン２はコラム
３で結合され、このコラム３は四隅に合計４本ある。ク
ラウン２上に配置されたモータ４の駆動力はベルト５を
介してフライホイール６に伝達され、フライホイール６
の回転はクラッチ７を介してクラウン２内に左右方向に
横断挿通されたクランク軸８に伝達される。クランク軸
８の偏心部8Aには２本のコンロッド９を介してスライド
10が連結されており、このため本実施例に係るプレス機
械は、左右方向に延びるクランク軸８に２本のコンロッ
ド９を介してスライド10が連結された２点プレス機械と
なっている。この構造のため、このプレス機械は、偏心
荷重のためにスライド10が左右の水平方向から傾こうと
するときには大きな抵抗力を発生するようになってい
る。

なお、クラッチ７とは反対側のクランク軸８の端部に設
けられているものは、ブレーキ11である。

スライド10の前後面における左右と対面するそれぞれの
コラム３の面には平板状の摺動ガイド部材12が取り付け
られ、スライド10にもこれと対応する潤滑油供給溝13A
付きの摺動ガイド部材13が取り付けられている。これら
の部材12,13により上部ガイド手段14が構成され、この
ガイド手段14はプレーン式ガイドとなっている。上部ガ
イド手段14はスライド10の前後面における左右に合計４
個設けられているとともに、このガイド手段14は摺動ガ
イド部材12,13の間にクリアランスを有するものとなっ
ている。

スライド10の４つの隅部にはガイドポスト15が下向きに
固設され、これらのガイドポスト15の位置と一致してベ
ッド１の上面にはガイド筒16が取り付けられている。筒
孔にガイドブッシュ16Aが設けられたこれらのガイド筒1
6にガイドポスト15が摺動自在に挿入される。これらの
ガイドポスト15とガイド筒16により下部ガイド手段17が
構成され、この下部ガイド手段17は合計４個設けられ、
これらのガイド手段17はガイドポスト15とガイドブッシ
ュ16Aとの間のクリアランスが零とされたものとなって
いる。ガイドポスト15の直径は比較的小さく、このた
め、スライド10に所定大きさ以上の偏心荷重が作用した
場合には、ガイドポスト15は僅かであるが撓むようにな
っており、下部ガイド手段17の強度は大きくない。

スライド10には上型18が取り付けられ、ボルスタ19には
下型20が取り付けられる。これらの金型には、上型18に
設けたガイドポスト21を下型20に設けたガイド筒22に摺
動自在に挿入した金型ガイド23が設けられ、この金型ガ
イド23で上型18はガイドされながら下型20に対してスラ
イド10と共に上下動するようになっている。

スライド10、ボルスタ19への上型18、下型20の取り付け
を行うため、スライド10をボルスタ19からダイハイトを
残す高さ位置の下死点まで降した場合には、下部ガイド
手段17はクリアランスが零であるため、スライド10の位
置は正確に決まる。このため、上型18、下型20をボル
ト、クランパ等の取付具でスライド10、ボルスタ19に取
り付けると、上型18、下型20は高精度の取付位置精度で
取り付けられることになる。

このように本実施例では、ガイドポスト15を含んで構成
されているクリアランスが零の下部ガイド手段17によっ
て上型18、下型20の高精度の取付位置精度を確保でき、
このガイド手段17は金型取付位置精度確保用のガイド手
段となっている。

上型18、下型20が材料をプレス加工したとき、その加工
箇所の大きさや場所、さらにはその加工力に応じてスラ
イド10には加工荷重の反力である上向きの偏心荷重が作
用する。

この偏心荷重の偏心方向が左右方向である場合には、前
述の通り、本実施例に係るプレス機械は左右方向に延び
るクランク軸８に２本のコンロッド９を介してスライド
10を連結した２点プレス機械であって、スライド10が左
右の水平方向から傾こうとすると大きな抵抗力が生じる
ため、スライド10はこの方向に傾くことはない。

一方、偏心荷重の偏心方向が前後方向となっている場合
には、この偏心荷重は下部ガイド手段17のガイドポスト
15を撓ませてスライド10を前後の水平方向から傾けよう
とするが、上部ガイド手段14はスライド10の前後面にお
ける左右に設けられていて大きな剛性を有するコラム３
を利用したものとなっているため、上部ガイド手段14に
存在する前記クリアランス以上にはスライド10はボルス
タ19に対して傾くことはない。

このため、スライド10とボルスタ19との平行度は確保さ
れ、上部ガイド手段14はスライド10とボルスタ19の平行
度確保用のガイド手段となる。

以上のように本実施例によれば、下部ガイド手段17によ
り、上型18、下型19の高精度の金型取付位置精度を得ら
れ、かつ、上部ガイド手段14により、スライド10に作用
する偏心荷重でスライド10がボルスタ19に対して傾くの
を防止でき、スライド10とボルスタ19の平行度を確保で
きるため、材料を高精度でプレス加工できるようにな
る。

以上説明した本実施例では上部ガイド手段14は摺動ガイ
ド部材12,13からなるプレーン式ガイドとなっていた
が、これをコラムとスライドとの間にニードルローラを
介在させたニードルローラ式ガイドとしてもよい。

さらに、前記実施例ではガイドポスト15はスライド10側
に設けられ、ガイド筒16はベッド１側に設けられていた
が、これらを逆にしてもよい。

〔発明の効果〕

本発明によれば、高精度の金型取付位置精度を得られる
ことと、スライドに偏心荷重が作用しても、スライドと
ボルスタの平行度を確保できることとの両方を同時に達
成できるようになり、このため、材料を従来よりも高精
度で加工できるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るスライドガイドを備え
るプレス機械の一部断面正面図、第２図は同一部断面側
面図、第３図、第４図はそれぞれ従来のスライドガイド
を示す図である。 １……ベッド、２……クラウン、３……コラム、８……
クランク軸、９……コンロッド、10……スライド、14…
…上部ガイド手段、15……ガイドポスト、16……ガイド
筒、17……下部ガイド手段、18……上型、19……ボルス
タ、20……下型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右方向に延びるクランク軸に２本のコン
   ロッドを介してスライドを連結したプレス機械のスライ
   ドガイドであって、コラムとスライドとの間に設けら
   れ、スライドの前後面における左右の合計４箇所でスラ
   イドの上下動をガイドする上部ガイド手段と、スライド
   とベッドのうちのいずれか一方に固設したガイドポスト
   を他方に設けたガイド筒に挿入することにより構成され
   た下部ガイド手段とからなり、前期下部ガイド手段のク
   リアランスを前期上部ガイド手段のそれよりも小さくす
   ると共に、前期下部ガイド手段の剛性を前期上部ガイド
   手段のそれよりも小とすることにより、前期上部ガイド
   手段をスライドとボルスタの平行度確保用のガイド手段
   とし、前期下部ガイド手段をスライド、ボルスタに取り
   付けられる上型、下型の金型取付位置精度確保用のガイ
   ド手段としたことを特徴とするプレス機械のスライドガ
   イド。