JPH0793480B2 - 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 - Google Patents

多層ガラスセラミック基板とその製造方法

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JPH0793480B2
JPH0793480B2 JP5163928A JP16392893A JPH0793480B2 JP H0793480 B2 JPH0793480 B2 JP H0793480B2 JP 5163928 A JP5163928 A JP 5163928A JP 16392893 A JP16392893 A JP 16392893A JP H0793480 B2 JPH0793480 B2 JP H0793480B2
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magnesium
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一洋 生稲
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はLSI素子を高密度に実
装するための多層ガラスセラミック基板に関するもので
あり、特に、低温で焼結可能な多層ガラスセラミック基
板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体技術の発展とともに電子装置、シ
ステムの小型化、高速化が益々要求されている。すなわ
ち、半導体素子がVLSI、ULSIと高密度・高集積
化されるに伴って、半導体素子をアセンブリするための
実装技術にも極めて高い密度と微細化とが要求されてい
る。特に、配線密度の増加による微細配線化と、配線の
低抵抗化・高速化に対応した半導体素子搭載用実装基板
材料の低誘電率化と高密度配線化とが要求されている。
【0003】従来から広く使用されている多層基板はア
ルミナ多層基板である。このアルミナ多層基板は一般に
厚膜印刷多層法またはグリーンシート積層法で作られ
る。高密度化の要求に対してはグリーンシート積層法が
有利である。グリーンシート積層法は薄い各セラミック
グリーンシートに配線を印刷してから、積層一体化する
方法であり、任意数の配線層数にすることができ、従っ
て、厚膜印刷多層法よりも配線密度を高くすることがで
きる。しかし、アルミナセラミックは焼結温度が1,500
℃以上と高く、配線導体に電気抵抗の比較的高いMo、W
金属を使わなければならないため、配線の微細化が困難
であった。すなわち、従来のアルミナ多層基板は高温で
しか焼結できないため、導体として電気抵抗の高いMo、
Wしか使用できない。そのため配線抵抗が高くなり、微
細配線も不可能であった。また、アルミナの誘電率は約
10と高く信号の高速化には不利であった。
【0004】最近では、低抵抗導体のAu、Ag−Pd、Ag、
Cu等を用いることが可能な低温焼結型のセラミック材料
が開発されている。例えば、アルミナとホウケイ酸鉛系
ガラスとの複合材料は 1,000℃以下の低温で焼結が可能
で、Au、Ag−Pd、Agを配線導体に用いた多層基板にする
ことができる。しかし、この複合材料は鉛を含んでいる
ため卑金属であるCuを配線に用いるのが困難であり、ま
た、誘電率も 7.5以下に低減することができない。すな
わちアルミナとホウケイ酸鉛系ガラスとの複合材料は低
温焼結ができ、低抵抗導体を配線に使えるが、卑金属導
体配線の実現は困難で、還元雰囲気焼成は不可能であっ
た。
【0005】ホウケイ酸系ガラスを用いたガラスセラミ
ック材料も開発されている。このガラスセラミック材料
は 1,000℃以下の還元雰囲気で焼成でき、誘電率を 5.5
程度に低誘電率化でき、Cu配線による多層化をガラスセ
ラミックと導体との同時焼結で実現できる。しかし、焼
結で結晶化が起きないため、機械的強度が著しく低いと
いう欠点がある。すなわち、ホウケイ酸系ガラスを用い
たガラスセラミック基板はCu多層配線ができ且つ低誘電
率化が可能であるが、機械的強度が著しく低いという問
題がある。基板の機械的強度は極めて重要な特性であ
る。特に、基板上に多数の半導体素子が実装されるマル
チチップ実装基板では、基板サイズが大面積化するとと
もに入出力端子またはピンが多層接続されるため、基板
の機械的強度が低いと、アセンブリ−工程および製品に
おいて基板破損や金属との接合不良等の問題が発生す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
公知の実装基板の課題を解決して、 1,000℃以下の低温
で酸化性雰囲気のみならず、中性雰囲気または還元雰囲
気でも焼成できる誘電率が低く、しかも機械的強度に優
れた多層ガラスセラミック基板を提供することにある。
本発明の多層ガラスセラミック基板では、配線導体に低
抵抗のAu、Ag、Cu、Ag−Pd等の金属が使用できるので、
高密度微細配線でしかも高速化に対応した実装基板が期
待できる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の提供する複数の
導体層をガラスセラミック層を介して積層した多層ガラ
スセラミック基板は、ガラスセラミック層がアルミナ
と、ホウケイ酸マグネシウム系ガラスと、アルミナとホ
ウケイ酸ガラスとの化学反応で生成するコーディエライ
ト結晶とを含む組成物で作られ、この組成物中でアルミ
ナは12〜59.6重量%、ホウケイ酸系ガラスは18〜69.6重
量%、コーディエライト結晶は1〜50重量%の範囲内に
あり、各成分の総量は 100重量%である点に特徴があ
る。
【0008】上記組成物は10〜30重量%の範囲内で石英
ガラス、α−石英およびムライトによって構成される群
の中から選択される第4成分をさらに含むことができ
る。この場合にも各成分の総量は 100重量%にする。
【0009】本発明は、さらに、上記多層ガラスセラミ
ック基板の製造方法を提供する。本発明方法は、原料粉
末を混合し、混合した粉末をスラリーにしてグリーンシ
ート化し、グリーンシートにヴァイアホールを形成し、
グリーンシートに導体を印刷・穴埋めし、印刷されたシ
ートを複数枚積層・熱圧着し、 1,000℃以下の温度で焼
成する各工程を含む多層ガラスセラミック基板の製造方
法において、原料粉末として30〜60重量%のアルミナ粉
末と、70〜40重量%のホウケイ酸マグネシウム系ガラス
粉末とからなる混合粉末を用いる点に特徴がある。本発
明方法では、原料粉末のアルミナ粉末とホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス粉末とを焼結する工程でコーディエラ
イト結晶が生成する。
【0010】アルミナ粉末の平均粒径は 0.5〜3μm
で、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末の平均粒径は
1〜5μmであるのが好ましい。
【0011】変形例では、原料粉末として石英ガラス、
α−石英およびムライトによって構成される群の中から
選択される粉末をさらに用い、この場合には、10〜50重
量%のアルミナ粉末と、40〜70重量%のホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス粉末と、10〜50重量%の石英ガラス、
α−石英またはムライトの粉末とを用い、各粉末の総量
を 100重量%とする。石英ガラス、α−石英およびムラ
イトによって構成される群の中から選択される粉末の平
均粒径は 0.5〜10μmにするのが好ましい。ホウケイ酸
マグネシウム系ガラス中のマグネシウムの比率は酸化マ
グネシウム換算で5重量%以上にするのが好ましい。
【0012】
【作用】本発明方法では、原料粉末(グリーンシート)
を 1,000℃以下の温度で焼結して、優れた特性を有する
多層ガラスセラミック基板が得られる。すなわち、ホウ
ケイ酸マグネシウム系ガラスは焼成時に約 700℃以上に
なると軟化を開始し、液相化する。こうして液相化した
ガラスがアルミナのセラミック粉末間、アルミナおよび
コーディエライト結晶のセラミック粉末間、石英ガラ
ス、α−石英またはムライトのセラミック粉末を同時に
用いた場合には、アルミナ、コーディエライト結晶およ
び石英ガラス、α−石英またはムライトのセラミック粉
末間の空隙を埋めて緻密化が進行する。そして 800〜1,
000 ℃の温度領域で十分な緻密なガラスセラミック体が
形成され、焼結が完了する。
【0013】本発明の原料粉末には焼結条件下で酸化物
から金属元素へ還元される元素は含まれていないので、
本発明の多層ガラスセラミック基板の原料粉末(グリー
ンシート)は還元雰囲気でも焼結できる。これに対し
て、例えば酸化鉛を含んだ従来の粉末原料の場合には、
酸化鉛が還元雰囲気下で金属鉛に変化してガラスセラミ
ック体の絶縁性を著しく低下させる。
【0014】本発明の多層ガラスセラミック基板は機械
的強度が特に優れている。半導体素子搭載用実装基板で
は機械的強度は一つの重要な特性であり、一般には少な
くとも 2,000kg/cm2 以上の抗折強度が必要である。本
発明の多層ガラスセラミック基板は焼結によって上記の
緻密な構造となるので、この基準を十分に満たすことが
できる。すなわち、焼結時にアルミナと液相化したガラ
スとが化学反応してコーディエライト結晶を生成する。
従って、焼結後のガラスセラミック体はアルミナ粒子
と、ガラス質部分と、コーディエライト結晶と(石英ガ
ラス、α−石英およびムライトによって構成される群の
中から選択される第4成分をさらに含む場合には、さら
に、これらの粒子と)が三次元的に緻密に結合したセラ
ミックとガラスとが強固に結合した構造となり、基板と
して抗折強度が高くなる。以下、本発明の実施例を示す
が、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0015】
【実施例】実施例1(アルミナ粉末+ホウケイ酸マグネ
シウム系ガラス) 原料粉末としてアルミナ粉末とホウケイ酸マグネシウム
系ガラスとの混合粉末を用いた。アルミナ粉末:ホウケ
イ酸マグネシウム系ガラス粉末を30重量%:70重量%〜
60重量%:40重量%の比率で十分に混合し、グリーンシ
ート集積法によってシート状に成形した。アルミナ粉末
の平均粒径は 0.5μm〜3μmであり、ホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス粉末の平均粒径は1〜5μmである。
なお、使用したホウケイ酸系マグネシウム系ガラスの組
成は下記の通りである: 成分 重量% 成分 重量% B2 3 15 CaO 1 SiO2 65 BaO 1 MgO 12 TiO2 1 Na2 O 2 ZrO2 1 K2 O 2 混合した原料粉末をポリビニルブチラール、ポリビニル
アルコールまたはポリアクリル系樹脂等の有機バインダ
ーとともに溶媒中に分散し、泥漿化した後、スリップキ
ャスティング法でグリーンシートにする。グリーンシー
トの厚さは10〜400 μmの範囲で自由にコントロールで
きる。
【0016】次に、打ち抜き装置を用いて上下導体を接
続するためのヴィアホールをグリーンシートに形成し、
ヴィアホールに電気的接続を行うための導体ペーストの
埋め込みと、配線パターン印刷を行う。導体はAu、Ag、
Ag−Pd、Cu、Ni、Ag−Ptを主成分とした導体ペーストを
用いてスクリーン印刷法で所定の位置に印刷した。導体
パターンが印刷され且つヴィアフィルされたグリーンシ
ートを所定の層数になるように積層し、熱圧着する。成
形時に添加した有機バインダーおよび溶剤は脱バインダ
ー工程で 400℃〜700 ℃の温度に加熱して除去する。次
いで、 800〜1,000 ℃の温度範囲で焼成して多層ガラス
セラミック基板を得た。焼成時には、アルミナとガラス
との化学反応でコーディエライト結晶が生成し、また、
ガラスが軟化し、結晶粒子間の空隙に生成したガラスが
侵入して緻密化が進行する。焼結後の基板のガラスセラ
ミック層の組成は〔表1〕にまとめて示してある。この
組成はX線回折法によって決定した。X線回折ではSi
を標準試料とし、これとピーク比からアルミナおよびコ
ーディエライト結晶の量を求め、全体からこれらの量を
引くことによってホウケイ酸ガラスの量を求めた。
【0017】多層ガラスセラミック基板を製作したとき
の導体、焼成条件、積層数、配線仕様および得られた特
性は〔表2〕〔表3〕にまとめて示してある。なお、
〔表1〕の試料番号と〔表2〕〔表3〕の試料番号は対
応している。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】〔表1〕に示す本発明の組成物を有する多
層ガラスセラミック基板は〔表2〕〔表3〕の結果から
も明らかなように、実用上必要な機械的強度も充分満足
し、高密度で微細な配線が容易に形成でき、その他の特
性上も優れている。
【0022】なお、アルミナが12重量%未満の場合には
抗折強度が不充分(2,000kg/cm2 未満) になる。また、
アルミナが59.6重量%を越えると 1,000℃以下の温度で
は焼結が不充分なため絶縁抵抗が低下し、抗折強度も
2,000kg/cm2 未満になり、誘電率も7を越えるため、
高速化に不利となる。従って、いずれの場合も実用的な
多層ガラスセラミック基板が得られない。
【0023】また、ホウケイ酸マグネシウム系ガラスが
18重量%未満の場合にはアルミナ粒子間の空隙を占有す
るに十分なガラス相を得ることができなくなるため、強
度が低下し、信頼性が得られなくなり、逆に、ホウケイ
酸マグネシウム系ガラスの量が69.6重量%を越えと、ガ
ラス本来の強度が支配的となって抗折強度は 2,000kg/
cm2 未満になってしまう。
【0024】また、コーディエライト結晶が1重量%未
満の場合にはコーディエライト結晶による強度補強効果
がなくなるため 2,000kg/cm2 以上の抗折強度は得られ
ず、逆に、コーディエライト結晶が50重量%を越えると
多層ガラスセラミック基板の収縮性が不均一になり信頼
性が低下する。
【0025】なお、原料粉末として用いるホウケイ酸マ
グネシウム系ガラスのマグネシウム比率が酸化マグネシ
ウム換算で5重量%未満になると、焼成時にコーディエ
ライト結晶はほとんど生成されない。
【0026】さらに、原料粉末として用いるアルミナ粉
末が 0.5μm未満の場合および3μmを越える場合およ
びホウケイ酸系ガラス粉末が1μm未満の場合および5
μmを越える場合には、混合物の焼結性が悪く、多層ガ
ラスセラミック基板の特性上の信頼性が著しく低下する
ため、実用的な多層ガラスセラミック基板は得られな
い。
【0027】実施例2(アルミナ粉末+ホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス+石英ガラス) 実施例1の操作を繰り返すが、原料粉末に石英ガラス粉
末を加えた。すなわち、原料粉末としてアルミナ粉末
と、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末と、石英ガラ
ス粉末とを用い、(アルミナ粉末+石英ガラス粉末):
ホウケイ酸マグネシウム系ガラスの比が30重量%:70重
量%〜60重量%:40重量%の比率となるように十分に混
合した。この場合、アルミナ粉末は少なくとも10重量%
以上含まれるようにした。焼結後の基板のガラスセラミ
ック層の組成は〔表4〕にまとめて示してある。また、
多層ガラスセラミック基板を製作したときの導体、焼成
条件、積層数、配線仕様および得られた特性は〔表5〕
〔表6〕にまとめて示してある。なお、〔表4〕の試料
番号と〔表5〕〔表6〕の試料番号は対応している。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】〔表4〕に示す本発明の組成物を有する多
層ガラスセラミック基板は〔表5〕〔表6〕の結果から
も明らかなように、実用上必要な機械的強度も充分満足
し、高密度で微細な配線が容易に形成でき、その他の特
性上も優れている。
【0032】なお、石英ガラスが10重量%未満の場合に
は、誘電率が7を越えてしまい、逆に石英ガラスが30重
量%を越えると、焼結が不十分になって絶縁抵抗を低下
し、抗折強度も 2,000kg/cm2 未満に低下する。
【0033】また、原料粉末として用いるアルミナ粉末
が 0.5μm未満の場合および3μmを越える場合、ホウ
ケイ酸系ガラス粉末が1μm未満の場合および5μmを
越える場合、そして、石英ガラス粉末が 0.5μm未満の
場合および10μmを越えた場合には、混合物の焼結性が
悪く、多層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著
しく低下するため、実用的な多層ガラスセラミック基板
は得られない。
【0034】なお、アルミナを12重量%未満の場合およ
び59.6重量%を越えた場合と、ホウケイ酸マグネシウム
系ガラスが18重量%未満の場合および69.6重量%を越え
た場合と、コーディエライト結晶が1重量%未満の場合
に優れた特性が得られない理由は実施例1の場合と同じ
である。また、原料粉末のホウケイ酸マグネシウム系ガ
ラスのマグネシウム比率が酸化マグネシウム換算で5重
量%未満になると、焼成時にコーディエライト結晶はほ
とんど生成されないことと、混合物の焼結性が悪く、多
層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著しく低下
するため、実用的な多層ガラスセラミック基板は得られ
ない理由も実施例1の場合と同じである。
【0035】実施例3(アルミナ粉末+ホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス+ムライト) 実施例2の操作を繰り返すが、石英ガラス粉末の代わり
にムライトを用いた。すなわち、原料粉末としてアルミ
ナ粉末と、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末と、ム
ライト粉末とを用い、(アルミナ粉末+ムライト粉
末):ホウケイ酸マグネシウム系ガラスの比が30重量
%:70重量%〜60重量%:40重量%の比率となるように
十分に混合した。この場合、アルミナ粉末は少なくとも
10重量%以上含まれるようにした。焼結後の基板のガラ
スセラミック層の組成は〔表7〕にまとめて示してあ
る。また、多層ガラスセラミック基板を製作したときの
導体、焼成条件、積層数、配線仕様および得られた特性
は〔表8〕〔表9〕にまとめて示してある。なお、〔表
7〕の試料番号と〔表8〕〔表9〕の試料番号は対応し
ている。
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】〔表7〕に示す本発明の組成物を有する多
層ガラスセラミック基板は〔表8〕〔表9〕の結果から
も明らかなように、実用上必要な機械的強度も充分満足
し、高密度で微細な配線が容易に形成でき、その他の特
性上も優れている。
【0040】なお、ムライトが10重量%未満の場合には
誘電率が7を越えてしまい、逆に、ムライトスが30重量
%を越えると焼結が不十分になって絶縁抵抗を低下し、
抗折強度も 2,000kg/cm2 未満に低下する。
【0041】また、原料粉末として用いるアルミナ粉末
が 0.5μm未満の場合および3μmを越える場合、ホウ
ケイ酸系ガラス粉末が1μm未満の場合および5μmを
越える場合、そして、ムライト粉末が 0.5μm未満の場
合および10μmを越えた場合には、混合物の焼結性が悪
く、多層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著し
く低下するため、実用的な多層ガラスセラミック基板は
得られない。
【0042】なお、アルミナを12重量%未満の場合およ
び59.6重量%を越えた場合と、ホウケイ酸マグネシウム
系ガラスが18重量%未満の場合および69.6重量%を越え
た場合と、コーディエライト結晶が1重量%未満の場合
に優れた特性が得られない理由は実施例2の場合と同じ
である。また、原料粉末のホウケイ酸マグネシウム系ガ
ラスのマグネシウム比率が酸化マグネシウム換算で5重
量%未満になると、焼成時にコーディエライト結晶はほ
とんど生成されないことと、混合物の焼結性が悪く、多
層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著しく低下
するため、実用的な多層ガラスセラミック基板は得られ
ない理由も実施例2の場合と同じである。
【0043】実施例4(アルミナ粉末+ホウケイ酸マグ
ネシウム系ガラス+α−石英) 実施例2の操作を繰り返すが、石英ガラス粉末の代わり
にα−石英を用いた。すなわち、原料粉末としてアルミ
ナ粉末と、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末と、α
−石英粉末とを用い、(アルミナ粉末+ムライト粉
末):ホウケイ酸マグネシウム系ガラスの比が30重量
%:70重量%〜60重量%:40重量%の比率となるように
十分に混合した。この場合、アルミナ粉末は少なくとも
10重量%以上含まれるようにした。焼結後の基板のガラ
スセラミック層の組成は〔表10〕にまとめて示してあ
る。また、多層ガラスセラミック基板を製作したときの
導体、焼成条件、積層数、配線仕様および得られた特性
は〔表11〕〔表12〕にまとめて示してある。なお、〔表
10〕の試料番号と〔表11〕〔表12〕の試料番号は対応し
ている。
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】〔表10〕に示す本発明の組成物を有する多
層ガラスセラミック基板は〔表11〕〔表12〕の結果から
も明らかなように、実用上必要な機械的強度も充分満足
し、高密度で微細な配線が容易に形成でき、その他の特
性上も優れている。
【0048】なお、α−石英が10重量%未満の場合には
誘電率が7を越えてしまい、逆に、α−石英が30重量%
を越えると焼結が不十分になって絶縁抵抗を低下し、抗
折強度も 2,000kg/cm2 未満に低下する。
【0049】また、原料粉末として用いるアルミナ粉末
が 0.5μm未満の場合および3μmを越える場合、ホウ
ケイ酸系ガラス粉末が1μm未満の場合および5μmを
越える場合、そして、α−石英粉末が 0.5μm未満の場
合および10μmを越えた場合には、混合物の焼結性が悪
く、多層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著し
く低下するため、実用的な多層ガラスセラミック基板は
得られない。
【0050】なお、アルミナを12重量%未満の場合およ
び59.6重量%を越えた場合と、ホウケイ酸マグネシウム
系ガラスが18重量%未満の場合および69.6重量%を越え
た場合と、コーディエライト結晶が1重量%未満の場合
に優れた特性が得られない理由は実施例2の場合と同じ
である。また、原料粉末のホウケイ酸マグネシウム系ガ
ラスのマグネシウム比率が酸化マグネシウム換算で5重
量%未満になると、焼成時にコーディエライト結晶はほ
とんど生成されないことと、混合物の焼結性が悪く、多
層ガラスセラミック基板の特性上の信頼性が著しく低下
するため、実用的な多層ガラスセラミック基板は得られ
ない理由も実施例2の場合と同じである。
【0051】
【発明の効果】本発明の粉末原料(グリーンシート)は
1,000℃以下の温度で焼結でき、所望のグリーンシート
積層法によって容易に多層化ができ、導体としてAu、A
g、Pd、Pt等の金属は勿論、中性雰囲気または還元雰囲
気で焼成する必要のあるCu、Ni等の卑金属とこれらの合
金も使用することができる。本発明の多層ガラスセラミ
ック基板は機械的強度に優れ、誘電率が低く、実装密度
の高い微細配線を形成できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の導体層をガラスセラミック層を介
    して積層した多層ガラスセラミック基板において、 ガラスセラミック層がアルミナと、ホウケイ酸マグネシ
    ウム系ガラスと、アルミナとホウケイ酸ガラスとの化学
    反応で生成するコーディエライト結晶とを含む組成物で
    作られており、この組成物中でアルミナは12〜59.6重量
    %、ホウケイ酸マグネシウム系ガラスは18〜69.6重量
    %、コーディエライト結晶は1〜50重量%の範囲内にあ
    り、各成分の総量は 100重量%であることを特徴とする
    多層ガラスセラミック基板。
  2. 【請求項2】 上記組成物が石英ガラス、α−石英およ
    びムライトによって構成される群の中から選択される第
    4成分をさらに含み、この第4成分の比率は10〜30重量
    %の範囲内にあり、各成分の総量は 100重量%である請
    求項1に記載の多層ガラスセラミック基板。
  3. 【請求項3】 原料粉末を混合し、混合した粉末をスラ
    リーにしてグリーンシート化し、グリーンシートにヴァ
    イアホールを形成し、グリーンシートに導体を印刷・穴
    埋めし、印刷されたシートを複数枚積層・熱圧着し、
    1,000℃以下の温度で焼成する各工程を含む多層ガラス
    セラミック基板の製造方法において、 原料粉末として30〜60重量%のアルミナ粉末と、70〜40
    重量%のホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末との混合
    粉末を用いることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 アルミナ粉末の平均粒径が 0.5〜3μm
    で、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末の平均粒径が
    1〜5μmである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 原料粉末としてα−石英およびムライト
    によって構成される群の中から選択される粉末をさらに
    用い、この場合には、10〜50重量%のアルミナ粉末と、
    40〜70重量%のホウケイ酸マグネシウム系ガラス粉末
    と、10〜50重量%の石英ガラス、α−石英またはムライ
    トの粉末とを用い、各粉末の総量を 100重量%とする請
    求項4項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 石英ガラス、α−石英またはムライトの
    平均粒径が 0.5〜10μmである請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ホウケイ酸マグネシウム系ガラス中のマ
    グネシウムの比率が酸化マグネシウム換算で5重量%以
    上である請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
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