JP2712930B2 - 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 - Google Patents
多層ガラスセラミック基板とその製造方法Info
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- JP2712930B2 JP2712930B2 JP3242309A JP24230991A JP2712930B2 JP 2712930 B2 JP2712930 B2 JP 2712930B2 JP 3242309 A JP3242309 A JP 3242309A JP 24230991 A JP24230991 A JP 24230991A JP 2712930 B2 JP2712930 B2 JP 2712930B2
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- glass
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- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSI素子を実装する
ための多層ガラスセラミック基板に関し、特に低温焼結
できる多層ガラスセラミック基板とその製造方法に関す
るものである。
ための多層ガラスセラミック基板に関し、特に低温焼結
できる多層ガラスセラミック基板とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体技術の発展に伴い、電子装置、シ
ステムの小型化、高速化が増々要求されている。半導体
素子においては、VLSI、ULSIと高密度化、高集
積化され、これらをアセンブリするための実装技術は極
めて高密度微細化が必要とされている。特に半導体素子
を搭載するための実装基板は、配線密度の増大による微
細配線化とともに、配線抵抗の低減化、高速化に対応し
た基板材料の低誘電率化、および高密度配線化が要求さ
れる。基板材料として従来から使用されているものにア
ルミナ多層基板がある。この基板の製造方法としては、
厚膜印刷多層法およびグリ―ンシ―ト積層法があるが、
高密度化の要求に対しては、グリ―ンシ―ト積層法が有
利である。グリ―ンシ―ト積層法は、薄いセラミックグ
リ―ンシ―ト各層に配線を印刷形成し、一体に積層して
得られるため、配線層数を任意に多くすることができ、
その結果、厚膜印刷多層よりも配線密度を高くすること
ができる。しかし、アルミナセラミックは焼結温度が1
500℃以上と高く、配線導体に電気抵抗の比較的高い
Mo,W金属を使わなければならず、配線の微細化が困
難であった。
ステムの小型化、高速化が増々要求されている。半導体
素子においては、VLSI、ULSIと高密度化、高集
積化され、これらをアセンブリするための実装技術は極
めて高密度微細化が必要とされている。特に半導体素子
を搭載するための実装基板は、配線密度の増大による微
細配線化とともに、配線抵抗の低減化、高速化に対応し
た基板材料の低誘電率化、および高密度配線化が要求さ
れる。基板材料として従来から使用されているものにア
ルミナ多層基板がある。この基板の製造方法としては、
厚膜印刷多層法およびグリ―ンシ―ト積層法があるが、
高密度化の要求に対しては、グリ―ンシ―ト積層法が有
利である。グリ―ンシ―ト積層法は、薄いセラミックグ
リ―ンシ―ト各層に配線を印刷形成し、一体に積層して
得られるため、配線層数を任意に多くすることができ、
その結果、厚膜印刷多層よりも配線密度を高くすること
ができる。しかし、アルミナセラミックは焼結温度が1
500℃以上と高く、配線導体に電気抵抗の比較的高い
Mo,W金属を使わなければならず、配線の微細化が困
難であった。
【0003】一方、最近、低抵抗導体のAu,Ag−P
d,Ag,Cu等を用いる低温焼結型のセラミック材料
が開発されている。例えば、アルミナとホウケイ酸鉛系
ガラスの複合材料の場合、1000℃以下の低温で焼結
が可能で、Au,Ag−Pd,Agを配線導体に用いた
多層基板が開発されている。しかしながら、この材料は
鉛を含んでいるため、卑金属であるCuを配線に用いる
ことは困難であり、更に誘電率においても7.5以上に
しか低減することができない。また、低誘電率化と10
00℃以下の還元雰囲気焼成をねらったホウケイ酸系ガ
ラスを用いたガラスセラミック材料も開発されている。
これは誘電率が5.5程度と低く抑えられ、Cu配線に
よる多層化が、ガラスセラミックと導体との同時焼結法
により実現されているが、焼結時に結晶化を起こしてお
らず、機械的強度が著しく低くなる欠点があった。
d,Ag,Cu等を用いる低温焼結型のセラミック材料
が開発されている。例えば、アルミナとホウケイ酸鉛系
ガラスの複合材料の場合、1000℃以下の低温で焼結
が可能で、Au,Ag−Pd,Agを配線導体に用いた
多層基板が開発されている。しかしながら、この材料は
鉛を含んでいるため、卑金属であるCuを配線に用いる
ことは困難であり、更に誘電率においても7.5以上に
しか低減することができない。また、低誘電率化と10
00℃以下の還元雰囲気焼成をねらったホウケイ酸系ガ
ラスを用いたガラスセラミック材料も開発されている。
これは誘電率が5.5程度と低く抑えられ、Cu配線に
よる多層化が、ガラスセラミックと導体との同時焼結法
により実現されているが、焼結時に結晶化を起こしてお
らず、機械的強度が著しく低くなる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のアルミナ多層基
板では、高温でしか焼結できないため電気抵抗の高いM
o,Wしか導体に利用できないため、配線抵抗が高くな
ったり、微細配線が不可能であった。またアルミナの誘
電率は約10と高く、信号の高速化には不利であった。
アルミナとホウケイ酸鉛系ガラスの複合材料は、低温焼
結化ができ、低抵抗導体を配線に使えるが、還元雰囲気
焼成や卑金属導体配線の実現が困難であった。更にホウ
ケイ酸系ガラスを用いたガラスセラミック基板では、C
u多層配線および低誘電率化は可能であるが、機械的強
度が著しく低くなった。基板の機械的強度は、極めて重
要な特性であり、特に基板上に多数の半導体素子が実装
されるマルチチップ実装基板においては、基板サイズが
大面積化するとともに入出力端子またはピンが多数接続
されるため、アセンブリ―工程ばかりでなく製品の状態
で基板破損や金属との接合不良等の問題が発生する。本
発明の目的は、このような従来の実装基板の課題を解決
することにより、1000℃以下の低温で、しかも酸化
性ばかりでなく中性および還元雰囲気で焼成でき、誘電
率の低い、機械的強度のすぐれた多層ガラスセラミック
基板を提供することにある。
板では、高温でしか焼結できないため電気抵抗の高いM
o,Wしか導体に利用できないため、配線抵抗が高くな
ったり、微細配線が不可能であった。またアルミナの誘
電率は約10と高く、信号の高速化には不利であった。
アルミナとホウケイ酸鉛系ガラスの複合材料は、低温焼
結化ができ、低抵抗導体を配線に使えるが、還元雰囲気
焼成や卑金属導体配線の実現が困難であった。更にホウ
ケイ酸系ガラスを用いたガラスセラミック基板では、C
u多層配線および低誘電率化は可能であるが、機械的強
度が著しく低くなった。基板の機械的強度は、極めて重
要な特性であり、特に基板上に多数の半導体素子が実装
されるマルチチップ実装基板においては、基板サイズが
大面積化するとともに入出力端子またはピンが多数接続
されるため、アセンブリ―工程ばかりでなく製品の状態
で基板破損や金属との接合不良等の問題が発生する。本
発明の目的は、このような従来の実装基板の課題を解決
することにより、1000℃以下の低温で、しかも酸化
性ばかりでなく中性および還元雰囲気で焼成でき、誘電
率の低い、機械的強度のすぐれた多層ガラスセラミック
基板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、ガラス
セラミック層がアルミナ、ホウケイ酸系ガラスおよびア
ノ―サイト結晶からなる無機組成物であって、アルミナ
12〜59.6重量%、ホウケイ酸系ガラス18〜6
9.6重量%、アノーサイト結晶1〜50重量%の組成
範囲で総量100%になるように構成され、複数の導体
層を前記ガラスセラミック層を介して積層したことを特
徴とする多層ガラスセラミック基板である。本発明の第
2は、第1の発明の多層ガラスセラミック基板の製造方
法であって、アルミナ粉末30〜60重量%およびホウ
ケイ酸カルシウム系ガラス粉末40〜70重量%で総量
100%になるように混合した原料粉末を用いることを
特徴とする。ここで、ホウケイ酸カルシウム系ガラス粉
末中に含まれるカルシウム組成は、酸化物換算表記に従
ったとき、ガラス組成に対して酸化カルシウムが5重量
%以上であることを好適とする。本発明の第3は、第1
の発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法であっ
て、原料粉末としてアルミナ粉末、ホウケイ酸系ガラス
粉末およびアノーサイト粉末を用い、それぞれの平均粒
径がアルミナ粉末0.5〜3μm,ホウケイ酸系ガラス
粉末1〜5μm,アノーサイト粉末1〜10μmの範囲
にある粉末を混合する工程と、該混合粉末をスラリー状
態にした後、グリーンシート化する工程と、グリーンシ
ートにバイアホールを形成し、該グリーンシートに導体
を印刷および穴埋めする工程と、印刷されたシートを積
層・熱圧着し1000℃以下の温度で焼成する工程とを
含むことを特徴とする。この時の各原料粉末の配合量
は、ホウケイ酸系ガラス粉末に含まれるカルシウム量に
よって異なる。
セラミック層がアルミナ、ホウケイ酸系ガラスおよびア
ノ―サイト結晶からなる無機組成物であって、アルミナ
12〜59.6重量%、ホウケイ酸系ガラス18〜6
9.6重量%、アノーサイト結晶1〜50重量%の組成
範囲で総量100%になるように構成され、複数の導体
層を前記ガラスセラミック層を介して積層したことを特
徴とする多層ガラスセラミック基板である。本発明の第
2は、第1の発明の多層ガラスセラミック基板の製造方
法であって、アルミナ粉末30〜60重量%およびホウ
ケイ酸カルシウム系ガラス粉末40〜70重量%で総量
100%になるように混合した原料粉末を用いることを
特徴とする。ここで、ホウケイ酸カルシウム系ガラス粉
末中に含まれるカルシウム組成は、酸化物換算表記に従
ったとき、ガラス組成に対して酸化カルシウムが5重量
%以上であることを好適とする。本発明の第3は、第1
の発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法であっ
て、原料粉末としてアルミナ粉末、ホウケイ酸系ガラス
粉末およびアノーサイト粉末を用い、それぞれの平均粒
径がアルミナ粉末0.5〜3μm,ホウケイ酸系ガラス
粉末1〜5μm,アノーサイト粉末1〜10μmの範囲
にある粉末を混合する工程と、該混合粉末をスラリー状
態にした後、グリーンシート化する工程と、グリーンシ
ートにバイアホールを形成し、該グリーンシートに導体
を印刷および穴埋めする工程と、印刷されたシートを積
層・熱圧着し1000℃以下の温度で焼成する工程とを
含むことを特徴とする。この時の各原料粉末の配合量
は、ホウケイ酸系ガラス粉末に含まれるカルシウム量に
よって異なる。
【0006】本発明のガラスセラミック基板は、100
0℃以下の温度で焼結可能となるため、所望のグリ―ン
シ―ト積層法によって容易に多層化ができ、また導体と
してAu,Ag,Pd,Pt等の元素ばかりでなく、中
性または還元雰囲気で焼成するCu,Ni等の卑金属の
元素を含め、それぞれ1種およびこれらの2種類以上を
含む合金が安心して使用できるようになり、実装密度が
高く機械的強度に優れた多層ガラスセラミック基板を実
用に供することが可能となる。ここで本発明による基板
の機械的強度は、抗折強度で2000kg/cm2以上
を有しており、十分な強度を有している。
0℃以下の温度で焼結可能となるため、所望のグリ―ン
シ―ト積層法によって容易に多層化ができ、また導体と
してAu,Ag,Pd,Pt等の元素ばかりでなく、中
性または還元雰囲気で焼成するCu,Ni等の卑金属の
元素を含め、それぞれ1種およびこれらの2種類以上を
含む合金が安心して使用できるようになり、実装密度が
高く機械的強度に優れた多層ガラスセラミック基板を実
用に供することが可能となる。ここで本発明による基板
の機械的強度は、抗折強度で2000kg/cm2以上
を有しており、十分な強度を有している。
【0007】次に、本発明の各構成成分を限定した理由
について記す。 アルミナが12重量%未満の場合、
抗折強度が2000kg/cm2未満となり不充分とな
る。また59.6重量%を超えると1000℃以下の温
度で焼結が不充分となり、その結果、絶縁抵抗が低下す
るとともに抗折強度も2000kg/cm2未満とな
る。更に誘電率も7を超えるため高速化に不利となり、
実用的な多層ガラスセラミック基板が得られない。
ホウケイ酸系ガラスが18重量%未満の場合、アルミナ
粒子間の空隙を占有するのに十分なガラス相を得ること
が出来なくなるため、強度が低下するとともに信頼性が
得られない。69.6重量%を超えるとガラスの本来も
つ強度が支配的となり抗折強度が2000kg/cm2
未満になってしまう。 アノーサイト結晶が1重量%
未満の場合、アノーサイト結晶による強度補強効果がな
くなり抗折強度2000kg/cm2以上が得られな
い。50重量%を超えると多層ガラスセラミック基板の
焼結収縮性が不均一になり信頼性が低下する。
について記す。 アルミナが12重量%未満の場合、
抗折強度が2000kg/cm2未満となり不充分とな
る。また59.6重量%を超えると1000℃以下の温
度で焼結が不充分となり、その結果、絶縁抵抗が低下す
るとともに抗折強度も2000kg/cm2未満とな
る。更に誘電率も7を超えるため高速化に不利となり、
実用的な多層ガラスセラミック基板が得られない。
ホウケイ酸系ガラスが18重量%未満の場合、アルミナ
粒子間の空隙を占有するのに十分なガラス相を得ること
が出来なくなるため、強度が低下するとともに信頼性が
得られない。69.6重量%を超えるとガラスの本来も
つ強度が支配的となり抗折強度が2000kg/cm2
未満になってしまう。 アノーサイト結晶が1重量%
未満の場合、アノーサイト結晶による強度補強効果がな
くなり抗折強度2000kg/cm2以上が得られな
い。50重量%を超えると多層ガラスセラミック基板の
焼結収縮性が不均一になり信頼性が低下する。
【0008】 原料粉末として用いるアルミナ粉末が
30重量%未満の場合、焼結時のアノーサイト結晶生成
に対しガラスとの化学反応性が低下し、結晶生成が不充
分となるか、あるいは結晶が不均一に生成することにな
り、その結果、抗折強度が2000kg/cm2未満に
なってしまう。60重量%を超えると1000℃以下の
温度で焼結が不充分となり絶縁抵抗が低下するとともに
抗折強度も低下する。また誘電率も7を超えてしまう。
原料粉末として用いるホウケイ酸カルシウム系ガラ
ス粉末が40重量%未満の場合、アルミナとの反応性が
低下し、アノーサイト結晶の生成が大きく阻害され、均
一な結晶生成が起こるため強度が低下する。70重量%
を超える場合には、焼成時のガラス軟化反応が進むため
焼成基板の寸法安定性が悪くなり、実用的な基板が得ら
れない。
30重量%未満の場合、焼結時のアノーサイト結晶生成
に対しガラスとの化学反応性が低下し、結晶生成が不充
分となるか、あるいは結晶が不均一に生成することにな
り、その結果、抗折強度が2000kg/cm2未満に
なってしまう。60重量%を超えると1000℃以下の
温度で焼結が不充分となり絶縁抵抗が低下するとともに
抗折強度も低下する。また誘電率も7を超えてしまう。
原料粉末として用いるホウケイ酸カルシウム系ガラ
ス粉末が40重量%未満の場合、アルミナとの反応性が
低下し、アノーサイト結晶の生成が大きく阻害され、均
一な結晶生成が起こるため強度が低下する。70重量%
を超える場合には、焼成時のガラス軟化反応が進むため
焼成基板の寸法安定性が悪くなり、実用的な基板が得ら
れない。
【0009】 原料粉末として用いるホウケイ酸カル
シウム系ガラスのカルシウム組成が酸化物換算表記に従
ったとき酸化カルシウムで5重量%未満のとき、焼成時
にアノーサイト結晶がほとんど生成されない。 原料
粉末として用いるアルミナ粉末が0.5μm未満および
3μmを超える場合、ホウケイ酸系ガラス粉末が1μm
未満および5μmを超える場合、更にアノーサイト粉末
が1μm未満および10μmを超える場合には、混合物
の焼結性が悪く、多層ガラスセラミック基板の特性上の
信頼性を著しく低下させるため、実用的な多層ガラスセ
ラミック基板が得られない。
シウム系ガラスのカルシウム組成が酸化物換算表記に従
ったとき酸化カルシウムで5重量%未満のとき、焼成時
にアノーサイト結晶がほとんど生成されない。 原料
粉末として用いるアルミナ粉末が0.5μm未満および
3μmを超える場合、ホウケイ酸系ガラス粉末が1μm
未満および5μmを超える場合、更にアノーサイト粉末
が1μm未満および10μmを超える場合には、混合物
の焼結性が悪く、多層ガラスセラミック基板の特性上の
信頼性を著しく低下させるため、実用的な多層ガラスセ
ラミック基板が得られない。
【0010】
【作用】本発明の多層ガラスセラミック基板は、100
0℃以下の温度で焼結できるがその理由を次に示す。ホ
ウケイ酸カルシウム系ガラスまたはホウケイ酸系ガラス
は、焼成の際、約700℃以上で軟化を開始する。この
液相化したガラスがアルミナまたはアルミナとアノーサ
イトとのセラミック粉末間の空隙を埋めることになり緻
密化が進行する。こうして800〜1000℃の温度領
域で十分緻密なガラスセラミック体が形成され焼結を完
了する。次に還元雰囲気で焼結できる理由は、本組成物
がこの条件下で酸化物状態から還元され、金属元素に変
化することが抑えられる元素を用いているためである。
例えば酸化鉛を含んだ組成物の場合、還元雰囲気下では
金属鉛に変化し、ガラスセラミック体の絶縁性が著しく
劣化する。機械的強度は多層ガラスセラミック基板にお
いて重要な特性の一つであり、本発明は特にこの特性に
対して効果が大である。強度を2000kg/cm2以
上に実現できる理由は、焼結後のガラスセラミック体の
構造に起因する。つまりアルミナと液相化したガラスと
は、焼成時に化学反応を伴い、アノーサイト結晶が形成
される。こうして焼結後のガラスセラミック体には、ア
ルミナ粒子とガラス質部分およびアノーサイト結晶とが
三次元的に緻密に構成されることになり、セラミックと
ガラスとが強固に結合され、その結果、基板として抗折
強度の十分な特性が得られる。
0℃以下の温度で焼結できるがその理由を次に示す。ホ
ウケイ酸カルシウム系ガラスまたはホウケイ酸系ガラス
は、焼成の際、約700℃以上で軟化を開始する。この
液相化したガラスがアルミナまたはアルミナとアノーサ
イトとのセラミック粉末間の空隙を埋めることになり緻
密化が進行する。こうして800〜1000℃の温度領
域で十分緻密なガラスセラミック体が形成され焼結を完
了する。次に還元雰囲気で焼結できる理由は、本組成物
がこの条件下で酸化物状態から還元され、金属元素に変
化することが抑えられる元素を用いているためである。
例えば酸化鉛を含んだ組成物の場合、還元雰囲気下では
金属鉛に変化し、ガラスセラミック体の絶縁性が著しく
劣化する。機械的強度は多層ガラスセラミック基板にお
いて重要な特性の一つであり、本発明は特にこの特性に
対して効果が大である。強度を2000kg/cm2以
上に実現できる理由は、焼結後のガラスセラミック体の
構造に起因する。つまりアルミナと液相化したガラスと
は、焼成時に化学反応を伴い、アノーサイト結晶が形成
される。こうして焼結後のガラスセラミック体には、ア
ルミナ粒子とガラス質部分およびアノーサイト結晶とが
三次元的に緻密に構成されることになり、セラミックと
ガラスとが強固に結合され、その結果、基板として抗折
強度の十分な特性が得られる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。 実施例1 アルミナ粉末とホウケイ酸カルシウム系ガラス粉末を表
1記載のように30重量%:70重量%〜60重量%:
40重量%の比率で十分に混合し、グリーンシート積層
法によってシート状に成形する。ここで用いるホウケイ
酸カルシウム系ガラス粉末は、酸化物換算表記で酸化カ
ルシウムが5重量%含まれている。グリーンシートに作
成する方法は、混合粉をポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアルコールあるいはポリアクリル系樹脂などの有機
バインダーとともに溶媒中に分散し、泥漿化したのちス
リップキャスティング法により形成する。グリーンシー
ト厚みは10〜400μmの範囲で、均一にしかも自由
にコントロールすることが可能である。次に上下導通を
接続するためのビアホールを打抜き装置によりグリーン
シートに形成する。該ビアホールに電気的接続を行うた
めの導体ペーストの埋込みおよび配線パターン印刷を行
う。ここで用いた導体としては、Au,Ag,Ag−P
d,Cu,Ni,Ag−At等を主成分とした導体ぺー
ストであり、スクリーン印刷法によって所定の位置に印
刷される。導体パターンが印刷されビアフィルされたグ
リーンシートを所定の層数になるように積層し、熱圧着
する。成形時に添加された有機バインダーおよび溶剤を
400〜700℃の温度の脱バインダー工程により除去
した後、800〜1000℃の温度範囲で焼成し、多層
ガラスセラミック基板を得た。本焼成に際し、ガラスが
軟化し、アルミナ粒子間の空隙をガラスが占有すること
になり緻密化が進む。更にアルミナとガラスとの化学反
応によりアノーサイト結晶が生成される。得られたガラ
スセラミック層の構成比を表2に示す。なお、表2にお
ける試料番号1〜15は表1の原料番号1〜15に対応
したものである。
る。 実施例1 アルミナ粉末とホウケイ酸カルシウム系ガラス粉末を表
1記載のように30重量%:70重量%〜60重量%:
40重量%の比率で十分に混合し、グリーンシート積層
法によってシート状に成形する。ここで用いるホウケイ
酸カルシウム系ガラス粉末は、酸化物換算表記で酸化カ
ルシウムが5重量%含まれている。グリーンシートに作
成する方法は、混合粉をポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアルコールあるいはポリアクリル系樹脂などの有機
バインダーとともに溶媒中に分散し、泥漿化したのちス
リップキャスティング法により形成する。グリーンシー
ト厚みは10〜400μmの範囲で、均一にしかも自由
にコントロールすることが可能である。次に上下導通を
接続するためのビアホールを打抜き装置によりグリーン
シートに形成する。該ビアホールに電気的接続を行うた
めの導体ペーストの埋込みおよび配線パターン印刷を行
う。ここで用いた導体としては、Au,Ag,Ag−P
d,Cu,Ni,Ag−At等を主成分とした導体ぺー
ストであり、スクリーン印刷法によって所定の位置に印
刷される。導体パターンが印刷されビアフィルされたグ
リーンシートを所定の層数になるように積層し、熱圧着
する。成形時に添加された有機バインダーおよび溶剤を
400〜700℃の温度の脱バインダー工程により除去
した後、800〜1000℃の温度範囲で焼成し、多層
ガラスセラミック基板を得た。本焼成に際し、ガラスが
軟化し、アルミナ粒子間の空隙をガラスが占有すること
になり緻密化が進む。更にアルミナとガラスとの化学反
応によりアノーサイト結晶が生成される。得られたガラ
スセラミック層の構成比を表2に示す。なお、表2にお
ける試料番号1〜15は表1の原料番号1〜15に対応
したものである。
【0012】実施例2 次に、ガラスセラミック体の他の製造方法を示す。アル
ミナ粉末を粉砕により平均粒径0.5〜3μmになるよ
うにコントロールする。またホウケイ酸系ガラスを例え
ばアルミナボールミル等により平均粒径1〜5μmにな
るように粉砕し微粉末化する。更にアノーサイト粉末を
同様に1〜10μmになるように粉砕する。これらの粉
末を目標組成になるように秤量し、アルミナボールミル
等により均一に混合する。該混合粉末をポリアクリル系
樹脂,ポリビニルブチラールおよびポリビニルアルコー
ルなどの有機バインダーとともに溶媒中に分散し泥漿に
する。該泥漿をドクターブレード法やロール法等のスリ
ップキャスティング法により絶縁層を形成するのに適し
た膜厚例えば10〜400μmの範囲でグリーンシート
とする。次に上下導通を得るためのバイアホールをグリ
ーンシートにダイおよびポンチで形成する。バイアホー
ルの形成されたシートに導体ペーストを埋込み、配線パ
ターン印刷を施す。印刷およびペーストが埋込まれたシ
ートを複数枚積層し、100〜120℃の温度で100
〜300kg/cm2の圧力で熱圧着し積層体を得る。
400〜600℃で有機バインダーを分解、除去したの
ち800〜1000℃の範囲で焼結を完了する。ここで
用いた導体ペーストはAu,Ag,Ag−Pd,Cu等
を主成分としたペーストを用いた。得られたガラスセラ
ミック層の構成比を表2〜表3の試料番号16〜40に
示す。
ミナ粉末を粉砕により平均粒径0.5〜3μmになるよ
うにコントロールする。またホウケイ酸系ガラスを例え
ばアルミナボールミル等により平均粒径1〜5μmにな
るように粉砕し微粉末化する。更にアノーサイト粉末を
同様に1〜10μmになるように粉砕する。これらの粉
末を目標組成になるように秤量し、アルミナボールミル
等により均一に混合する。該混合粉末をポリアクリル系
樹脂,ポリビニルブチラールおよびポリビニルアルコー
ルなどの有機バインダーとともに溶媒中に分散し泥漿に
する。該泥漿をドクターブレード法やロール法等のスリ
ップキャスティング法により絶縁層を形成するのに適し
た膜厚例えば10〜400μmの範囲でグリーンシート
とする。次に上下導通を得るためのバイアホールをグリ
ーンシートにダイおよびポンチで形成する。バイアホー
ルの形成されたシートに導体ペーストを埋込み、配線パ
ターン印刷を施す。印刷およびペーストが埋込まれたシ
ートを複数枚積層し、100〜120℃の温度で100
〜300kg/cm2の圧力で熱圧着し積層体を得る。
400〜600℃で有機バインダーを分解、除去したの
ち800〜1000℃の範囲で焼結を完了する。ここで
用いた導体ペーストはAu,Ag,Ag−Pd,Cu等
を主成分としたペーストを用いた。得られたガラスセラ
ミック層の構成比を表2〜表3の試料番号16〜40に
示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】表4〜表7には実施例1および2において
多層ガラスセラミック基板を作製した時の焼成条件、配
線仕様および特性を示した。焼結後の基板におけるガラ
スセラミック層の組成を示した表2および表3の試料番
号と表4〜表7の試料番号は対応している。
多層ガラスセラミック基板を作製した時の焼成条件、配
線仕様および特性を示した。焼結後の基板におけるガラ
スセラミック層の組成を示した表2および表3の試料番
号と表4〜表7の試料番号は対応している。
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】
【表6】
【0020】
【表7】
【0021】表4〜表7からも明らかなように、本発明
の組成物を使用することにより、容易に高密度で微細な
配線を形成されるばかりでなく特性上もすぐれ、かつ、
実用に供されるために必要な機械的強度も充分満足する
多層ガラスセラミック基板を得ることができる。
の組成物を使用することにより、容易に高密度で微細な
配線を形成されるばかりでなく特性上もすぐれ、かつ、
実用に供されるために必要な機械的強度も充分満足する
多層ガラスセラミック基板を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば1
000℃以下の低温焼結が可能で、中性、還元雰囲気を
問わず焼成でき、かつ誘電率も十分に低くでき、機械的
強度としての抗折強度が大きな基板を得ることができ
る。
000℃以下の低温焼結が可能で、中性、還元雰囲気を
問わず焼成でき、かつ誘電率も十分に低くでき、機械的
強度としての抗折強度が大きな基板を得ることができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 ガラスセラミック層がアルミナ、ホウケ
イ酸系ガラスおよびアノーサイト結晶からなる無機組成
物であって、アルミナ12〜59.6重量%、ホウケイ
酸系ガラス18〜69.6重量%、アノーサイト結晶1
〜50重量%の組成範囲で総量100%になるように構
成され、複数の導体層を前記ガラスセラミック層を介し
て積層したことを特徴とする多層ガラスセラミック基
板。 - 【請求項2】 請求項1に記載の多層ガラスセラミック
基板の製造方法であって、アルミナ粉末30〜60重量
%およびホウケイ酸カルシウム系ガラス粉末40〜70
重量%で総量100%になるように混合した原料粉末を
用いることを特徴とする多層ガラスセラミック基板の製
造方法。 - 【請求項3】 ホウケイ酸カルシウム系ガラス粉末中に
含まれるカルシウム組成は、酸化物換算表記に従ったと
き、ガラス組成に対して酸化カルシウムが5重量%以上
である請求項2記載の多層ガラスセラミック基板の製造
方法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の多層ガラスセラミック
基板の製造方法であって、原料粉末としてアルミナ粉
末、ホウケイ酸系ガラス粉末およびアノーサイト粉末を
用い、それぞれの平均粒径がアルミナ粉末0.5〜3μ
m,ホウケイ酸系ガラス粉末1〜5μm,アノーサイト
粉末1〜10μmの範囲にある粉末を混合する工程と、
該混合粉末をスラリー状態にした後、グリーンシート化
する工程と、グリーンシートにバイアホールを形成し、
該グリーンシートに導体を印刷および穴埋めする工程
と、印刷されたシートを積層・熱圧着し1000℃以下
の温度で焼成する工程とを含むことを特徴とする多層ガ
ラスセラミック基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3242309A JP2712930B2 (ja) | 1991-08-29 | 1991-08-29 | 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3242309A JP2712930B2 (ja) | 1991-08-29 | 1991-08-29 | 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0555407A JPH0555407A (ja) | 1993-03-05 |
JP2712930B2 true JP2712930B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=17087304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3242309A Expired - Lifetime JP2712930B2 (ja) | 1991-08-29 | 1991-08-29 | 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2712930B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0811696B2 (ja) * | 1993-04-22 | 1996-02-07 | 日本電気株式会社 | 多層ガラスセラミック基板とその製造方法 |
WO2011021484A1 (ja) * | 2009-08-18 | 2011-02-24 | 株式会社村田製作所 | ガラスセラミック組成物、セラミックグリーンシートおよび多層セラミック基板 |
-
1991
- 1991-08-29 JP JP3242309A patent/JP2712930B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0555407A (ja) | 1993-03-05 |
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