JP2872273B2 - セラミツク基板材料 - Google Patents

セラミツク基板材料

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JP2872273B2 JP1163549A JP16354989A JP2872273B2 JP 2872273 B2 JP2872273 B2 JP 2872273B2 JP 1163549 A JP1163549 A JP 1163549A JP 16354989 A JP16354989 A JP 16354989A JP 2872273 B2 JP2872273 B2 JP 2872273B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高速LSIを実装する低温焼成セラミック多
層基板材料に関する。
[従来の技術] 近年、電子機器の小型化傾向の要求にしたがい、IC、
LSIなどの半導体素子の集積度が向上し、素子の小型化
が進んでいる。それに伴い、素子を実装する基板の小型
化、高密度化が、システム全体の小型化、高速化の点で
重要となってきた。
従来より、高密度配線可能で高い信頼性の基板として
一般に使用されてきた実装基板は、90〜96%のアルミナ
セラミックスを絶縁材料とした多層基板であった。しか
し、このアルミナ多層基板は、誘電率が大きいため配線
間容量が大きくなり、信号伝播遅延時間が長くなる欠点
があった。さらに、アルミナ多層板は焼成温度が高いた
め、導体材料としては高融点金属のW、Moなどを使用せ
ざるをえず、その高い導体抵抗は配線の微細化・高密度
化の障害となるだけでなく、信号伝播遅延時間の短縮化
における問題にもなっていた。
そこで、以上の問題を解決するために、アルミナ基板
に代えて、低融点ガラスにアルミナを添加してなるガラ
スアルミナ複合セラミックスにより、多層基板を構成す
ることが提案されている。このガラスアルミナ複合セラ
ミック多層基板(以下、低温焼成多層基板と記す)は、
ガラスマトリックス中にアルミナフィラーが分散して存
在するもので、ガラスの粘性焼結により緻密化が生じ
る。そのため、850℃から950℃での低温で焼成すること
が可能となり、低抵抗導体(Au、Ag、Cuなど)を配線導
体として使用できる。さらにまた、ガラス成分が多くな
ることから、基板の誘導率が低くなり、その結果、信号
伝送遅延時間も短くなり高速デバイスに対応した実装基
板がえられる。
これらの低温焼成多層基板のうち、とくに導体材料と
してCuを使用した基板(以下、銅導体セラミック基板と
記す)は、前記の特性をすべて満足するだけてなく、配
線導体の特性もよくなり、とくに半田くわれ、マイグレ
ーション、信号伝送特性などの点において優れたものと
なる。
ここで、この銅導体セラミック基板のプロセスについ
て説明する。原料は、粒径を制御したガラス粉末とアル
ミナ粉末とし、成形するためこれらに有機結合剤、可塑
剤、分散剤、有機溶剤などを加える。混合はボールミル
により24時間から48時間スラリー状になるまで行ない、
そののち、これをドクターブレード法により有機フィル
ム上にシート成形してグリーンシートを作製する。有機
フィルムから剥離したグリーンシートは所望の寸法に切
断し、ドリルやピンなどによりスルーホールを形成し、
銅ペーストをスルーホール内へ充填したのち、上下面の
少なくとも一方に銅ペーストを印刷し、面内配線パター
ンを形成する。つぎに、これら印刷されたグリーンシー
トを必要数枚重ねて、80℃から150℃の温度で、120kg/c
m2から250kg/cm2の圧力をかけて積層プレスにより一体
化し、水蒸気、水素、微量酸素のうち少なくとも一つ以
上を含む窒素雰囲気中で焼成し、最後に必要に応じてメ
ッキ、ピンのロウ付などを行なう。また、一層の高密度
配線を形成するため表面に銅ポリイミドを形成すること
もある。この銅ポリイミドは写真製版法により銅のファ
インパターンを形成し、層間絶縁膜として感光性ポリイ
ミドを使用するものであり、それにより高密度で高い信
頼性をもつ基板がえられる。しかし、銅ポリイミドプロ
セスは、種々の表面処理を必要とするため、基板材料に
対して、耐酸、耐アルミナ性を要求する。
以上、低温焼成多層基板とくに銅導体セラミック基板
の特性とプロセスについて説明してきたが、つぎに従来
から使用されているガラス材料について説明する。
ガラス材料は、そこに形成される配線導体の点から大
別すると、大気中焼成可能なAu、Ag、Ag-Pd導体用のPbO
を含むSiO2‐B2O3‐PbO-RO(ただし、RはII族またはII
I族の金属元素)系ガラスと中性または還元性雰囲気中
での焼結を必要とするCu導体用のSiO2‐B2O3系、SiO2
B2O3‐Al2O3‐R′O(ただし、R′はアルカリ土類元
素)系、SiO2‐B2O3‐Al2O3‐R′O-ZnO系ガラスなどの
種類がある。
前記SiO2‐B2O3‐PbO-RO系ガラスは特公昭60-8229号
公報に示された系に代表されるもので、セラミックの酸
化物換算表記で酸化アルミニウム5〜90重量%、酸化鉛
1〜40重量%、酸化ホウ素1〜30重量%、2酸化硅素2
〜60重量%、II族元素酸化物0.05〜25重量%、IV族元素
(ただし炭素、硅素、鉛を除く)酸化物0.01〜10重量%
の組成範囲で総量100重量%となるように選んだ組成物
で構成されている。ここに示したセラミック組成によ
り、1400℃以下の温度でグリーンシート積層の高密度配
線基板がえられる。しかし、このセラミックは大気中で
焼成してAu、Ag、Ag-Pdを配線導体とする際はよいが、
本質的にPbOを含むため、Cu、Niなど還元雰囲気での焼
成を必要とするばあいは、PbOの還元半導体が生じ金属P
dが析出してセラミック層の絶縁性をわるくするという
問題が起こる。さらに、PdOは人体にとって有害である
ため切削加工時の粉体処理など、環境問題が発生し、基
板として使いづらいところがある。
また、前記SiO2‐B2O3のガラス材料は、特開昭59-995
号公報に記載があるようにAl2O3、SiO2、B2O3、Na2O、K
2O、CaO、LiOなどの酸化物で構成され、その組成はガラ
スセラミックの組成でAl2O3:50.5重量%、SiO2:35重量
%、B2O3:13.0重量%、Na2O:0.75重量%、K2O:0.70重量
%、CaO:0.15重量%、LiO:0.15重量%である。この組成
はガラスは、熱膨張計数が小さく、科学的耐久性がよい
ため、シリコン素子を直接実装するばあいなどには適し
ている。しかし、本質的にアルカリ元素を含んでいるた
め基板材料としたばあい、高湿度雰囲気で高圧を印加す
るとアルカリ成分がエレクトロマイグレーションを起こ
す可能性もある。
さらに、前記SiO2‐B2O3‐Al2O3‐R′O系ガラス材
料は、特開昭62-292654号公報にあるように、ガラス組
成でSiO2:30〜50重量%、B2O3:30〜50重量%、Al2O3:5
〜15重量%、R′O(R′はアルカリ土類元素):5〜25
重量%に代表されるものである。このガラス材料は、コ
ージェライト粉末と混合し、1000℃以下で焼結できる
が、B2O3成分が多いため、化学的安定性(耐酸・耐アル
カリ性)が充分であるとはかぎらない。Al2O3を添加す
ることによって、その化学的安定性は向上しているが、
Al2O3を15重量%以上添加するとガラス軟化温度が高く
なり焼結性に影響をおよぼすため、その効果にも限度が
ある。そこで、その化学的安定性を、さらに高めるべ
く、ZnOをそこに添加して、SiO2‐B2O3‐Al2O3‐R′O-
ZnO系のガラス材料としたものがある。これは、特願昭6
3-227724号に記載されているごとき、SiO2:48〜56重量
%、Al2O3:12〜18重量%、B2O3:8〜19重量%、MgO:1〜1
0重量%、CaO:2〜8重量%、SrOまたはBaO:2〜9重量
%、ZnO:1〜9重%の組成のガラス材料で、1000℃以下
でアルミナ粉末と混合して焼結させることができ、しか
も耐酸性も向上した。
しかし、実装密度が一層高くなると、グリーンシート
積層法による低温焼成多層セラミック基板の配線幅/配
線間隔だけでは実装密度が不充分となり、写真製版法を
取り入れた銅ポリイミドを低温焼成多層セラミック基板
上に形成することが必要となる。この銅ポリイミドは、
電子通信学会誌CPM86-63の29〜34頁に、その形成プロセ
スが説明してあるが、めっきによる銅導体形成と感光性
ポリイミドによる絶縁層形成を行なうが、その際に表面
処理として強酸、強アルカリ処理を必要とする。強酸、
強アルカリの処理は、基板を5%程度のHCLやNaOH中
に、60〜80℃の温度で、30〜150分間浸漬させて行な
う。そのため、前記耐酸性を向上させたSiO2‐B2O3‐Al
2O3‐R′O-ZnO系のガラス材料にしても、強酸、強アル
カリ処理時に処理液の中にガラス成分が溶出し、メタラ
イズ強度、ガラスセラミック強度の低下や配線間の導通
不良などが生じる可能性がある。
[発明が解決しようとする課題] 従来の低温焼成基板用ガラス材料は、このように構成
されているため、PbOを多量に含むガラスは耐酸性はよ
いが基板誘電率の増加、環境問題などの問題点があり、
また、アルカリ成分を含むガラスはエレクトロマイグレ
ーションが心配される。さらに、SiO2‐B2O3‐Al2O3
R′O系およびSiO2‐B2O3‐Al2O3‐R′O-ZnO系のガラ
スは、銅ポリイミドプロセスでの酸・アルカリ処理に際
して、ガラス溶出量が多く、配線短絡や基板強度低下が
生じるなどの問題点があった。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、アルミナ粉末、コージェライト粉末、シリカ
粉末の少なくとも1種と混合し、850〜950℃の大気中ま
たは還元雰囲気中(数%の湿潤水素を含む雰囲気)にお
いても焼結しうるとともに耐酸・耐アルカリ性にすぐれ
た低温焼成多層基板を作製しうるガラス系材料をうるこ
とを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明のセラミック基板材料は、アルミナ粉末、ムラ
イト粉末、石英粉末およびコージェライト粉末からなる
群より選ばれた少なくとも1種の無機質粉末20〜65重量
%と、SiO2:49〜56重量%、Al2O3:9〜20重量%、B2O3:1
0〜15重量%、CaO:3〜8重量%、BaO:3〜8重量%、Mg
O:5〜15重量%およびZrO2:1〜6重量%よりなる、PbOを
含まない無アルカリガラス粉末80〜35重量%とからなる
混合物を焼結してえられ、ガラス成分中のZrO2がネット
ワークを形成しているセラミック基板材料である。
[作用] 本発明のセラミック基板材料は、前記特定の無機粉末
と前記ZrO2を含むガラス粉末とからなる原料粉末が焼結
されてえられるものであるので、大気中または還元雰囲
気中において850〜950℃での焼結が可能であり、耐酸性
が著しく向上する。
[実施例] 本発明に用いるZrO2を含むガラス粉末としては、SiO2
を基本構成要素として、PbOを含まず、無アルカリで、B
2O3を含む組成とし、アルミナおよびアルカリ金属酸化
物の混合比を選択し、ZrO2を加えることにより、低温焼
結性と耐酸性を高くしたものが好ましい。
すなわち、本発明において要求される好ましいガラス
の主成分は、耐酸性および焼結性から、SiO2、AlA2O3
B2O3、MgO、CaO、BaO、ZrO2から構成されるものであ
る。そのガラスの好ましい組成範囲は、SiO2が49〜56重
量%、Al2O3が9〜20重量%、B2O3が10〜15重量%、CaO
が3〜8重%、BaOが3〜8重量%、MgOが5〜15重量
%、ZrO2が1〜6重量%であることが望ましい。
この組成において、SiO2がこの範囲より少ないと耐酸
性がわるくなり、この範囲をこえると焼結性がわるくな
る傾向がある。また、Al2O3がこの範囲よりも少ないと
耐酸性がわるくなると同時に相分離を起こしやすくな
り、多いと焼結性がわるくなる傾向がある。B2O3がこの
範囲より少ないと焼結性がわるくなり、多いと耐酸性が
わるくなる傾向がある。BaOは、多いほど焼結性がよく
なるが、前記範囲をこえると耐酸性がわるくなる傾向が
ある。ZrO2は、耐酸性を向上させるのに効果があるが、
この範囲をこえると耐酸性がわるくなる傾向がある。
前記のガラス粉末はアルミナ粉末、ムライト粉末、石
英粉末およびコージェライト粉末からなる群より選ばれ
た1種類の耐火性無機質粉末とともに前記特定の配合比
で原料粉末として用いられ、従来法と同様にグリーンシ
ートを形成したのち、850〜950℃で焼結することにより
耐酸性の高いセラミック基板がえられる。
本発明におけるガラス成分の作用は、SiO2、B2O3、Zr
O2によるネットワーク形成、B2O3、MgO、CaO、BaOによ
る低温焼結性実現およびAl2O3、ZrO2による耐酸性向上
である。すなわち、たとえば特開昭62-128961号公報に
記載のMgO-CaO-B2O3系またはP2O5‐Al2O3‐SiO2系ガラ
スのごときSiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaOから構成され
ていたガラスの一部をBaOとZrO2でかえることにより耐
酸性が向上するのである。後述するように、第1図はそ
の耐酸性向上の例を示すグラフで、SiO2:52、Al2O3:1
3、CaO:5、B2O3:13、BaO:5、MgO:12−x、ZrO2:x(x=
0、2、4で数字はいずれも重量%)の組成のガラス粉
末を用いて、アルミナ粉末と1:1で混合し基板を作製し
たばあいの耐酸性(5%HCl、60℃水溶液に0〜120分間
浸漬したばあいの単位面積あたりの減量)が示されてい
る。なお、第1図において、x=0のもの(a)は従来
例であり、x=2のもの(b)および4のもの(c)が
それぞれ後述の本発明の実施例1および2である。耐酸
性の結果としては、x=4のもの(c)がもっとも効果
があることが明らかであるが、パッシベーション用ガラ
スの耐酸性と比較して、第1図中(b)および(c)の
耐酸性であれば問題はない。
以下、本発明の基板材料の実施例を説明する。
実施例1 SiO2:52、Al2O3:13、CaO:5、B2O3:13、BaO:5、MgO:1
0、ZrO2:2(重量比)の組成のガラスを作製した。この
ガラスを粉砕した粉末とアルミナ粉末とを1:1の重量比
で混合し、混合粉100に対して、イソブチルメタクリレ
ート樹脂:ジブチルフタレート:トリオレインを各々9:
4:1の重量比で混合し、溶剤として酢酸イソブチルを50
〜70の重量比で混合してスラリーを作製した。このスラ
リーを適当な粘度になるまで脱泡し、ドクターブレード
成形して、厚さ0.20〜0.25mmのセラミックグリーンシー
トを作製した。このグリーンシートを50mm角に切断し、
4枚積層プレスし、これを精密雰囲気炉で、N2中、900
℃で焼成した。昇温速度は5℃/minとし、脱バインダー
は、試料温度が250〜820℃のときに雰囲気を露点70℃以
上の湿潤窒素とすることによって行なった。
このようにして、焼結したセラミック基板を60℃の塩
酸水溶液(5%)にX分間(x=30、60、90および12
0)浸漬し時間に対するセラミック基板表面からのガラ
ス溶出量を測定した。その結果を第1図中に(b)で示
す。横軸は時間(分)で、縦軸は単位面積あたりのガラ
ス溶出量(mg/cm2)で、測定は30分ごとに行なった。溶
出量は、120分間浸漬しても0.21mg/cm2の重量減少にと
どまり、メッキなどの酸処理を必要とする電子部品搭載
用のセラミック基板として充分使用できるレベルのもの
であった。
比較例1 ガラス組成として、SiO2:52、Al2O3:13、CaO:5、B
2O3:13、BaO:5、MgO:12のガラスを作製し、実施例と同
様にして基板を作製後、耐酸性を測定した。結果を第1
図中に(a)で示す。
実施例2 ガラス組成として、SiO2:52、Al2O3:13、CaO:5、B2O3:1
3、BaO:5、MgO:8、ZrO2:4のガラスを作製し、実施例1
と同様にしてセラミック基板を作製し、その耐酸性を評
価した。第1図に、その時間に対するセラミック基板か
らのガラス溶出量の測定結果を(c)で示す。
第1図から、ZrO2成分が増えるにしたがい耐酸性が向
上していることが明らかである。しかし、実施例1と2
のセラミック基板の収縮率、吸水率を測定するとZrO2
分が0の比較例1の基板(第1図中(a))と2重量%
の実施例1の基板(第1図中(b))の収縮率および吸
水率は、ともに13.0±0.2%および0%であったが、ZrO
2成分が4重量%の実施例2の基板(第1図中(c))
では、11.0±0.4%および0.02%であった。これは、ZrO
2成分が4重量%のガラスを使ったばあい、焼結条件が
必ずしも充分でないことを示している。
第2図に、ZrO2成分が0、2、4の基板、すなわち比
較例1(a)、実施例1(b)、実施例2(c)の基板
に用いたガラスの粘度と温度の関係を示す。(d)はガ
ラス軟化粘度(下限値)を示す。第2図から、ZrO2成分
が0および2重量%のガラス(第2図中(a)および
(c))では、900℃での粘度(logη)は、6以上であ
るが、2重量%のガラス(第2図中(b))は、5.6で
あることがわかる。なおηの単位はポアズである。一般
に、ガラス成分が多いばあいの焼結は、高温でのガラス
粘度低下によるガラスの粘性焼結によってひき起こされ
るため、弱干のガラス粘度の違いが焼結性(収縮率・気
孔率)に影響してくることが多い。そのため、ZrO2成分
が4重量%のガラス材料を使用する際は、第2図から、
その粘度(logη)が6以下となる温度、すなわち920℃
以上で焼結させることが必要となる。
つぎに、耐酸性と同様にして耐アルカリ性を評価し
た。耐アルカリ性は、60℃の2%NaOH水溶液中で行なっ
た。その結果を第3図に示す。第3図から、120分間、6
0℃、2%NaOH水溶液に浸漬させても、比較例1、実施
例1および実施例2の重量減は、いずれも0.05mg/cm2
下であり、ZrO2成分0、2、4重量%のどのガラスにつ
いても良好なものであった。
実施例3 実施例1では、セラミックフィラーとしてアルミナ粉
末を使用したが、ここではムライト粉末を使用して、他
は実施例1と同様の材料およびプロセスでセラミック基
板を作製した。ムライトを使用したばあいでも焼結性
は、アルミナのばあいとほとんど変わりなく、収縮率お
よび気孔率は、12.9±0.02%および0%であった。な
お、耐酸性はムライト自体の耐酸性がアルミナよりも小
さいことから弱干低下したが、基板としては充分使用に
耐えられる程度であった。また、ムライトの誘電率がア
ルミナよりも小さいため、ガラスセラミック基板自体と
しての誘電率は、アルミナ−ガラス系の6.0〜6.5に比べ
て、ムライト−ガラス系では、5.0〜5.5と小さくするこ
とが可能となる。したがって、将来高速信号伝送が必要
とされ、基板の低誘電率化が望まれるようになったばあ
いには、ムライト−ガラス系セラミック基板が重要とな
る。
[発明の効果] 以上のように、本発明によればアルミナ粉末またはム
ライト粉末などとの焼結性が高く、焼結後の耐酸性が高
くなる特定のガラス組成を用いるため、900℃前後の低
温で焼結でき、耐酸、耐アルカリ性の高い、緻密なセラ
ミック基板がえられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のセラミック基板材料を用いた基板の耐
酸性におよぼすZrO2成分の効果を示すグラフ、第2図は
本発明のセラミック基板材料用ガラス材料の粘度と温度
との関係を示すグラフ、第3図は本発明のセラミック基
板材料を用いた基板の耐アルカリ性におよぼすZrO2成分
の効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 勲 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 山田 浩嗣 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 内海 良和 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 奥村 正富 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 斉藤 清 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 播磨 三弘 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−107838(JP,A) 特開 昭62−252340(JP,A) 特開 昭60−254638(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ粉末、ムライト粉末、石英粉末お
    よびコージェライト粉末からなる群より選ばれた少なく
    とも1種の無機質粉末と、SiO2:49〜56重量%、Al2O3:9
    〜20重量%、B2O3:10〜15重量%、CaO:3〜8重量%、Ba
    O:3〜8重量%、MgO:5〜15重量%およびZrO2:1〜6重量
    %よりなる、PbOを含まない無アルカリガラス粉末との
    混合物であって、無機質粉末20〜65重量%とガラス粉末
    80〜35重量%とからなる混合物を焼結してえられる、ガ
    ラス成分中のZrO2がネットワークを形成しているセラミ
    ック基板材料。
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