JPH079169A - 金属薄板の溶接方法および装置 - Google Patents

金属薄板の溶接方法および装置

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JPH079169A
JPH079169A JP5177446A JP17744693A JPH079169A JP H079169 A JPH079169 A JP H079169A JP 5177446 A JP5177446 A JP 5177446A JP 17744693 A JP17744693 A JP 17744693A JP H079169 A JPH079169 A JP H079169A
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潔 小西
Tetsuyuki Shibuya
哲以 渋谷
Tsugio Fukuda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音波溶接を特定された条件下で行うことに
よって、金属薄板の超音波溶接による接合強度を、連続
塗装ラインにおいて金属薄板に加わるライン張力に耐え
られる程度のものとし、それにより超音波溶接を連続塗
装ラインにおける長尺金属薄板のコイル同士の接合にも
適用できるものとすることによって、長尺金属薄板のコ
イル同士の接合を迅速かつ容易に行えるようにする。 【構成】 長尺金属薄板のコイル同士を接合するための
金属薄板の溶接方法において、各コイルの金属薄板12
a,12b端部同士の重ね合わせ部分14を、加圧しな
がら超音波振動するホーン22とこれに対向するアンビ
ル20との間に挟持して、超音波溶接すると共に、この
超音波溶接にあたり、金属薄板12a,12bの厚さを
0.40mm以下、金属薄板の重ね合わせ部分14の幅
を1.5〜4.0mm、ホーン22の加圧力を50kg
f以上、および、ホーン22の振幅Xを20μm以上に
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続塗装ライン、缶蓋
打抜きライン、2ピース缶の打抜き・絞り加工ライン、
更には金属薄板から成形される部品等の打抜きラインの
ような連続加工ラインにおいて、長尺金属薄板のコイル
同士を接合するための溶接方法および装置に関し、特
に、2枚の金属薄板の端部同士の重ね合わせ部分を超音
波溶接によって溶接するための金属薄板の溶接方法およ
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料用缶等の原材料となる、ブリ
キ、極薄錫メッキ鋼板(LTS)、ティンフリースチー
ル(TFS)、ニッケルメッキ鋼板、アルミニウム等の
金属薄板に塗装を施す場合、長尺の金属薄板を巻回して
纏めたコイルを塗装ラインの始端に配置し、このコイル
により長尺の金属薄板を連続的に塗装ラインに送り込む
ことによって、金属薄板を搬送しながら連続的かつ自動
的に塗装を施すということが一般的に行われている。
【0003】このような長尺金属薄板のコイルを用いて
連続的に塗装を行うような場合、一定時間(1つのコイ
ルが使い尽くされる)毎に、あるいは、塗装する対象が
変更される毎に、1つのコイルに他のコイルを接合する
ことが必要となってくるが、その際、塗装ラインの停止
を最小限に抑える必要があることから、予めアキューム
レーター内に予備のコイルをバッファとして取り込んで
おき、コイル変換時にはアキュームレーター内のコイル
を消費することでこれに対応している。
【0004】ところが、コイル同士の接合の途中でアキ
ュームレーター内の予備のコイルの塗装焼付けが終わる
と、塗装ラインを停止せざるを得ず、そのため印刷、焼
付け工程に位置している金属薄板の印刷ロールとの接触
あるいは焼付け炉内への滞留が継続されることとなり、
そのため塗装不良品の発生率が大きくなるという問題が
生じる。
【0005】このように、連続塗装ラインにおいて、コ
イル接合時間の長時間化はそのまま塗装不良発生率等に
大きく影響を与えることから、コイルの変換および接合
作業は極めて短時間のうちに迅速に行う必要がある一
方、その接合強度については、塗装ラインにおける金属
薄板の搬送速度が極めて速く、また、金属薄板に付加さ
れるライン張力が1〜5kgf/mm2 であることか
ら、金属薄板そのものの強度に比較してもさほど遜色の
ないものでなければならない。
【0006】このような連続塗装ラインにおけるコイル
同士の接合には、従来、各コイルの金属薄板の端部を重
ね合わせてリベットで止め合わせ、さらにリベットによ
るラインへの悪影響を防止するために、重ね合わせ部に
耐熱テープを巻き付けておこなうリベット接合方式、あ
るいは、接合される各コイルの金属薄板の端部のそれぞ
れに切込部を設け、それらの切込部を相互に噛み合わせ
ることによっておこなうステッチャー接合方式などが一
般的に適用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
なリベット接合方式によれば、リベットによる止め合わ
せ作業が人手を介して行われ、更に耐熱性テープの巻付
けをも行うことから、極めて多大の労力を必要として、
長時間にわたるラインの停止が避けられないものになる
と共に、接合されるコイルの金属薄板の重ね合わせ部の
領域を大きく取らなければならず、しかも、接合部分に
大きな凹凸を生じることとなるため、ライン上配置され
ている多数のローラーに対して過負荷、あるいは損傷を
与えるという虞がある。
【0008】また、上記のステッチャー接合方式によれ
ば、金属薄板の板厚が薄いと、その接合部分が塗装ライ
ンにおいて金属薄板に加わるライン張力に耐えることが
できない場合がある。
【0009】なお、従来から、一般的な金属板コイル同
士の接合には、スポット多点抵抗溶接、ローラーシーム
による連続抵抗溶接、YAGレザープラズマ溶接等の溶
接方法が用いられているが、それらの溶接法では、金属
の融点以上で溶接が行われるため、冷間圧延により引張
強度を高めている製缶用薄鋼板、製缶用アルミ板等の金
属薄板においては、溶接部周辺に焼きなまされた領域が
出現し、そのような領域の存在により破断強度の低下と
熱歪とを回避することが難しいものとなる。
【0010】また、製缶用の金属薄板の端部同士の接合
のために超音波溶接を用いるということが、特公平3−
54033号公報等により従来公知ではあるが、そのよ
うな従来公知の金属薄板の超音波溶接は、缶胴を製造す
るために金属薄板の両側縁部同士を接合するためのもの
であって、連続塗装ラインや連続打抜きライン等におい
て使用される長尺金属薄板のコイル同士を接合するため
のものではない。
【0011】そして、上記のような従来公知の超音波溶
接の技術をそのままコイル同士の接合に適用しても、ホ
ーンによる加圧力の問題や、更には、缶胴溶接ではホー
ンに対して缶胴を移動させるのに対し、コイル同士の溶
接ではコイルに対してホーンを移動させなければなら
ず、その場合にコイルの逃げが問題となる等のことか
ら、連続塗装ラインや連続打抜きライン等において金属
薄板に加わるライン張力に耐えることができる程度の接
合強度を得ることはできない。
【0012】本発明は、上記のような従来技術の持つ不
都合を解消することを目的としており、より具体的に
は、超音波溶接を特定された条件下で行うことによっ
て、金属薄板の超音波溶接による接合強度を、連続塗装
ラインや連続打抜きラインのような連続加工ラインにお
いて、金属薄板に加わるライン張力に耐えられる程度の
ものとし、それにより超音波溶接を連続塗装ラインにお
ける長尺金属薄板のコイル同士の接合に適用できるもの
とすることによって、長尺金属薄板のコイル同士の接合
を迅速かつ容易に行えるようにすることを目的としてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、長尺金属薄板のコイ
ル同士を接合するための金属薄板の溶接方法において、
各コイルの金属薄板端部同士の重ね合わせ部分を、加圧
しながら超音波振動するホーンとこれに対向するアンビ
ルとの間に挟持して、超音波溶接すると共に、この超音
波溶接にあたり、金属薄板の厚さを0.40mm以下、
金属薄板の重ね合わせ部分の幅を1.5〜4.0mm、
ホーンの加圧力を50kgf以上、および、ホーンの振
幅を20μm以上に設定することを特徴とするものであ
る。
【0014】さらに、そのような金属薄板の溶接方法に
おいて、金属薄板の重ね合わせ部分の隔離された複数の
箇所を、複数のホーンによって同時的に超音波溶接した
り、あるいは、金属薄板の重ね合わせ部分に対して、ホ
ーンを往復移動させながら超音波溶接したりすることを
特徴とするものである。
【0015】また、本発明は、長尺金属薄板のコイル同
士を接合するために、各コイルの金属薄板端部同士の重
ね合わせ部分を、加圧しながら超音波振動するホーンと
これに対向するアンビルとの間に挟持して、超音波溶接
するための溶接装置において、ホーンに突起部を形成す
ることを特徴とするものである。
【0016】
【作 用】上記のような特定の条件の下において各コイ
ルの金属薄板の端部同士の重ね合わせ部分を超音波溶接
すると、連続加工ラインにおいて金属薄板に加わるライ
ン張力を上回る破断強度のある溶接を行うことが可能と
なる。すなわち、溶接される金属薄板の厚さが0.40
mmを超える場合には、超音波溶接による接合自体が極
めて困難となり、金属薄板の重ね合わせ部分の幅が、
1.5mm未満であると超音波溶接時に2枚の金属薄板
が隔離して接合不良を発生することがあり、4.0mm
を超えると接合はされるものの破断強度が低下する傾向
があり、また、ホーンの加圧力が50kgf未満である
と良好な接合状態を得ることができず、更に、ホーンの
振幅が20μm以下であるとやはり良好な接合状態を得
ることができない。
【0017】そして、コイル同士の接合を超音波溶接に
より行うことによって、連続加工ラインにおけるコイル
同士の接合を、自動的に短時間で迅速に行うことがで
き、溶接による接合部がライン中に送り込まれても、従
来のように、リベット等による突出部によりラインのロ
ールに負荷や損傷を与えたり、耐熱性テープのような異
物の混入により製品の品質を損ったりすることがない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明の金属薄板の溶接方法
を実施するための超音波溶接装置の概略を示すものであ
って、超音波溶接装置10は、矢印X方向に超音波振動
するホーン22と、ホーン22に対して接合すべきコイ
ルの金属薄板12a、12bの重ね合わせ部分14を挟
んで対向配置されたアンビル20と、ホーン22に超音
波振動を付加するための振動子26と、振動子26に高
周波駆動電流を供給するための超音波発振器28とを有
するものである。
【0019】この超音波溶接装置10に対して、接合す
べきコイルの金属薄板12a、12bの重ね合わせ部分
14は、図中紙面と直交する方向に伸長しており、この
重ね合わせ部分14に沿って溶接を行うために、超音波
溶接装置10は、図示されていない駆動装置によって紙
面と直交する方向に移動可能に設置されている。
【0020】そして、この移動可能な超音波溶接装置1
0により重ね合わせ部分14を連続的に超音波溶接する
ために、ホーン22は、円盤状に形成され、かつ、超音
波溶接装置10の紙面と直交する方向への移動に伴い矢
印Y方向に回転するように設けられていて、超音波溶接
装置10の移動にかかわらず各接合部分で静圧力の付加
が行われるようになされている。
【0021】このような超音波溶接装置10において
は、ホーン22にアンビル20方向への圧力を付加しつ
つ矢印X方向に超音波振動を行わせることにより、金属
薄板12a、12bの重ね合わせ部分14における互い
に接触する接合面に静圧力を加えながら超音波振動を伝
え、金属薄板12a、12bの接合面に微小振動塑性滑
りを発生させ、金属薄板表面の酸化物等の不純物を排除
しながら、清浄化された接合面の摩擦熱を利用しつつ、
接合面における金属原子間の相互引力および相互拡散に
より、冷間圧接による溶接が行われるものである。
【0022】ところで、このような超音波溶接装置10
によって長尺金属薄板のコイル同士の接合部を溶接しよ
うとする場合、従来公知の缶胴を製造するための超音波
溶接と同様の条件によっては、連続塗装ラインにおいて
金属薄板に加わるライン張力に耐えられるような充分な
接合強度を有する溶接を行うことは不可能である。
【0023】そこで、上記のような超音波溶接装置10
による溶接を長尺金属薄板のコイル同士の接合に適用す
ることができるものとするため、超音波溶接によりライ
ン張力に耐えられるような充分な接合強度を有する溶接
を行うことが可能な条件を求めて、以下に示すような各
種の実験を行った。
【0024】なお、以下に示す実験においては、その評
価は図2(A)に示すような引張試験、あるいは、図2
(B)に示すような剥離試験により行われた。引張試験
については、コイル連続塗装ラインを考慮してラインの
搬送力に耐え得る接合強度が有るか否かを試験したもの
で、100mm幅の2枚の金属薄板同士を接合し、両金
属薄板端部を反対方向に引張り、破断が生じる引張力を
kgf/mm2 で示したもので、剥離試験については、
接合部分が搬送ロールに挟み込まれる際等に生じる作用
力を考慮したもので、kgf/cmで示したものであ
る。
【0025】まず、図4は、アルミニウム5052合金
冷間圧延薄板(厚さ0.36mm,0.32mm,0.
27mmの3種)について、ホーンによる加圧力を変え
て接合した場合の破断強度および剥離強度の測定結果を
示すものであって、これより、破断強度については加圧
力による影響は少ないが、剥離強度については加圧力に
よる影響が大きいことがわかる。
【0026】また、同じく図4から、0.36mmアル
ミニウム薄板を接合した場合には、50kgf程度の加
圧力でも5kgf/cm程度の剥離強度が得られ、コイ
ル塗装連続ラインにおける実測張力約3.5kgf/c
m、あるいは、リベット接合の場合の剥離強度の約3.
5kgf/cmと比較しても、充分な接合強度が得られ
るものであるが、0.32mmアルミニウム薄板、ある
いは、0.27mmアルミニウム薄板を接合する場合に
は、70kgf以上の加圧力が必要であり、好ましく8
5kgf〜115kgfの加圧力が必要であって、この
85kgf〜115kgfの加圧力の場合をピークとし
てそれ以上あるいはそれ以下では剥離強度が著しく低下
する傾向があることがわかる。
【0027】このように、ホーンによる加圧力に関して
は、50kgf以上、好ましく85kgf〜115kg
fであることが要求され、例えば、特公平3−5403
3号公報に示されているような、従来公知の缶胴側部の
溶接における150kgfというような加圧力では高す
ぎて不適当であることがわかる。
【0028】つぎに、図5は、アルミニウム5182合
金冷間圧延薄板(厚さ0.285mm)同士を接合する
場合のホーンの振幅と剥離強度との関係を示すもので、
ホーンの加圧力を85kgfに設定して、その振幅を1
8〜28μmの範囲で変えて接合した場合の剥離強度の
測定結果を示すものであり、この結果からホーンの振幅
を20μm以上とすることが必要であることがわかる。
【0029】すなわち、振幅が18μmでは、剥離強度
が3.0kgf/cm程度となり、コイル連続塗装ライ
ンに適用するには強度が低いのに対して、振幅を20μ
m以上とすると剥離強度が4kgf/cm以上となり、
コイル連続塗装ラインの搬送力にも充分耐えることがで
きるものとなっている。
【0030】さらに、図6は、接合される金属薄板の重
ね合わせ部分の幅と破断強度の関係を示すもので、アル
ミニウム5182合金冷間圧延薄板(厚さ0.285m
m)について、溶接ホーンの加圧力を70kgf、溶接
ホーンの移動速度を4.5m/分で接合した場合の重ね
合わせ部分の幅と破断強度との測定結果を示すものであ
り、これより、重ね合わせ部分の幅が1.2mm以下に
なると破断強度が極めて低くなり、また、重ね合わせ部
分の幅が1.7mmを超えると徐々に破断強度が低下す
る傾向にあることがわかる。
【0031】これは、重ね合わせ部分の幅が1.2mm
以下では、接合部まわりでの材料の座屈による重ね合わ
せ部分の逃げが発生し、接合部面積が急激に小さくな
り、充分な接合状態が得にくいのに対して、重ね合わせ
部分の幅が1.7mmを超えると、接合されるべき2枚
のアルミニウム薄板の重ね合わせ部分の中央のみが溶接
され、両端部が溶接されない所謂バタフライ状態を生
じ、接合後にコイルに引張力が加わると、この両端部が
ノッチとなって破断強度の低下を招くことによるものと
考えられる。
【0032】なお、この重ね合わせ部分の幅の適正域
は、接合されるべき金属薄板の厚さが薄くなるにつれて
下方にずれ、金属薄板の厚さが大きくなるにつれて上方
にずれる傾向があるため、金属薄板の厚さを0.40m
m以下とした場合には、重ね合わせ部分の幅の適正域は
1.0〜2.0mm、好ましくは1.2〜1.7mm程
度となる。
【0033】このように、重ね合わせ部分の幅と破断強
度とは密接な関係を有していて、重ね合わせ部分の幅が
大きすぎても破断強度が低下するが、このような現象
は、メッキ層に厚みがあるLTS材等のようにものにつ
いて、特に顕著に現われる。
【0034】すなわち、LTS材等のようにメッキ層に
厚みがあるものでは、メッキ層を充分除去しないと溶接
強度を上げることができないため、一度溶接した部分を
再度溶接する2パス方法(往復作動)が必要とされる
が、2パス方法(往復作動)によれば、再溶接時に溶接
両端部に不必要な振動エネルギーがホーンにより与えら
れ、これにより当該部分が疲労脆化して引張強度が低下
する。
【0035】そこで、上記のようなLTS材等における
引張強度の低下に対応するためには、その金属薄板の全
幅にわたって重ね合わせ部分の幅を極めて小さく設定す
る必要があるが、それによって溶接自体が困難なものと
なってくる。
【0036】このような点を考慮して、特にLTS材等
のようにメッキ層に厚みがあるものにおいて破断強度を
低下させないで重ね合わせ部分の幅の範囲をより広くと
ることができるように、超音波溶接装置におけるホーン
自体の形状と接合状態との関係について更に検討を行っ
た。
【0037】従来、通常の超音波溶接に使用されている
ホーンは、図3(A)に示すように、断面台形形状のも
のであって、薄板12a,12bの重ね合わせ部分を全
体的に押しつぶして溶接するマッシュタイプのものであ
る。これに対して、本発明者等は、LTS材等のように
メッキ層に厚みがあるものに適用するための超音波溶接
装置において、図3(B)に示すように、ホーンの一部
に突起部22aが設けられたものを使用した。
【0038】このような一部に突起部22aが設けられ
たホーンにより溶接すると、突起部22aに集中して加
えられる力により、メッキ層を中心から両側へ排除しな
がら重ね合わせ部分の1部分が強固に溶接されると共
に、その両側部分に未接合部が存在するバタフライタイ
プで溶接されて、変形し易く金属新生面が現れる機会の
多いエッジ部の溶接が行われないため、当該部分の疲労
脆化を防ぐことができ、結果的に重ね合わせ部分の幅の
余裕を大きくすることができた。
【0039】上記のようなバタフライタイプの溶接は、
従来のマッシュタイプの溶接により形成されるバタフラ
イタイプの溶接とは大きく異なる。すなわち、前者で
は、未接合部が存在するものの、ホーンの突起部22a
の直下にあたる部分は溶接が良好でその接合強度は高
く、しかも、未接合部にはホーンの振動エネルギーがあ
まり伝えられていないので疲労脆化せず、結果的に充分
な破断強度が得られるのに対して、後者では、図3
(A)に示すように、断面台形形状のホーンで重ね合わ
せ部分を押圧するため、エッジ部が変形し易く金属新生
面も出現して、ホーンからの振動エネルギーにより未溶
接部となるエッジ部が疲労脆化してしまい、破断強度は
下がる。
【0040】このことから、マッシュタイプの溶接で
は、重ね合わせ部分の幅を極めて小さく設定する必要が
あるが、バタフライタイプの溶接では、重ね合わせ部分
の幅が多少大きくなったとしても、溶接部がしっかりと
溶接されているため、破断強度に急激な低下が生じるこ
とはない。
【0041】図7は、上記のようなホーンの形状の相違
による溶接結果の破断強度と重ね合わせ部分の幅との関
係を示すもので、これから見ても、従来、通常使用され
ているホーンの場合には、重ね合わせ部分の幅が2.7
mm程度になると、徐々に破断強度が低下し始めるのに
対して、突起部22aを設けたホーンの場合には、重ね
合わせ部分の幅が4.0mm程度になっても、未だ良好
な破断強度を維持しており、重ね合わせ部分の幅の設定
に大きな余裕を生じていることがわかる。
【0042】ところで、既に述べたように、本発明の溶
接方法においては2枚の金属薄板の重ね合わせ部分の幅
を1.5〜4.0mmの範囲に設定する必要があり、安
易に重ね合わせ部分の幅を大きくすることはできないの
であるが、超音波溶接機10を一台用いて溶接を行う場
合には、例えば、図8(A)に示すように、金属薄板1
2a,12bの重ね合わせ部分14を適正な重ね合わせ
幅に維持して、超音波溶接機10により端部位置より矢
印方向に向かって溶接を開始しても、図8(B)に示す
ように、ホーンによる接合部分への加圧力により、徐々
に金属薄板12a,12bの重ね合わせ部分14が離反
するようにずれてしまうことがある。
【0043】そこで、このような問題を解決して本発明
の溶接方法を効果的に実施するために、図8(C)に示
すように、複数のホーンが金属薄板の重ね合わせ部分1
4に隔離して配置されるように、複数の超音波溶接機1
0a,10bを設置した。
【0044】これにより、金属薄板12a,12bの重
ね合わせ部分14は、隔離した2点で保持されながら溶
接されるため、図8(B)に示すように、重ね合わせ部
分14が離反するようなずれが生じることはない。
【0045】さらに、本発明による金属薄板の溶接にお
いて、金属薄板の接合強度を更に高めたい場合には、金
属薄板12a,12bの重ね合わせ部分14において、
例えば、図8(C)に矢印方向で示すように、ホーンを
往復移動させながら溶接を二度行うことにより、確実、
かつ、強固な接合状態を得ることができる。
【0046】すなわち、強固な接合状態を得るためにホ
ーンの加圧力を必要以上に大きくすれば、接合部の変形
等が大きくなる傾向があるが、加圧力を適正に維持しつ
つ二度溶接操作を行うことにより、重ね合わせ部分のズ
レや接合部の変形を最小限度に抑制することが可能とな
る。
【0047】以上説明したように、超音波溶接するとき
の条件を特定することによって、超音波溶接によっても
金属薄板の端部同士の重ね合わせ部分を高い接合力をも
って接合することが可能となり、それにより、高いライ
ン張力が加わる連続塗装ラインにおいて長尺金属薄板の
コイル同士の接合を超音波溶接により行うことが可能と
なって、その接合作業が迅速かつ容易に行えるものとな
る。
【0048】なお、本発明の金属薄板の溶接方法および
装置については、実施例に示したような連続塗装ライン
におけるコイル同士の接合に適用するのに効果的なもの
ではあるが、連続塗装ラインへの適用にのみ限られるこ
となく、連続打抜きラインその他の連続加工ラインにお
けるコイル同士の接合にも適用できる可能性を有するも
のである。
【0049】
【発明の効果】以上説明したような本発明の金属薄板の
溶接方法および装置によれば、金属薄板同士の溶接が、
金属薄板に高いライン張力が加わる連続塗装ラインにお
いても使用に耐え得るような高い接合強度をもって接合
できるものとなるため、これを連続塗装ラインの長尺金
属薄板のコイル同士の接合に適用した場合、リベット方
式等による従来のコイル同士の接合と比べて、接合作業
の大幅な短時間化、自動化、省力化を図ることができる
と共に、搬送ラインに対して過負荷を与えたり、異物の
混入を招いたりすることがなくなって、結果的に不良品
の発生率を低下させ、製品ロスの低減を図ることができ
る。
【0050】さらに、高いライン張力に耐え得る接合強
度により接合できるものであるため、連続塗装ライン以
外に、連続打抜きライン等のその他の連続加工ラインに
おいても広く使用することができると共に、超音波溶接
により溶接するものであるため、アルミニウム、TFS
等のように一般の溶接には馴染みにくい材質についても
適用が可能となって、連続加工ラインでの加工材料の相
違に対する汎用性も大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄板の溶接方法を実施するための
超音波溶接装置の概略を示す説明図。
【図2】本発明により溶接された金属薄板の接合強度を
検査するための試験方法を示す説明図。
【図3】従来の超音波溶接において通常使用されている
ホーン(A)と、本発明の一実施例による改良ホーン
(B)とを比較して示す説明図。
【図4】ホーンによる加圧力と接合状態の関係を示す説
明図。
【図5】ホーンの振幅と剥離強度の関係を示す説明図。
【図6】金属薄板の重ね合わせ部分の幅と破断強度の関
係を示す説明図。
【図7】ホーンの形状と破断強度の関係を示す説明図。
【図8】超音波溶接機が1台の場合と2台の場合との作
用の比較を示す説明図。
【符号の説明】
10 超音波溶接装置 12a 金属薄板 12b 金属薄板 14 金属薄板の重ね合わせ部分 20 アンビル 22 ホーン 22a ホーンの突起部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺金属薄板のコイル同士を接合するた
    めの金属薄板の溶接方法において、各コイルの金属薄板
    端部同士の重ね合わせ部分を、加圧しながら超音波振動
    するホーンとこれに対向するアンビルとの間に挟持し
    て、超音波溶接すると共に、この超音波溶接にあたり、
    金属薄板の厚さを0.40mm以下、金属薄板の重ね合
    わせ部分の幅を1.5〜4.0mm、ホーンの加圧力を
    50kgf以上、および、ホーンの振幅を20μm以上
    に設定することを特徴とする、金属薄板の溶接方法。
  2. 【請求項2】 金属薄板の重ね合わせ部分の隔離された
    複数の箇所を、複数のホーンによって同時的に超音波溶
    接することを特徴とする、請求項1に記載の金属薄板の
    溶接方法。
  3. 【請求項3】 金属薄板の重ね合わせ部分に対して、ホ
    ーンを往復移動させながら超音波溶接することを特徴と
    する、請求項1および2に記載の金属薄板の溶接方法。
  4. 【請求項4】 長尺金属薄板のコイル同士を接合するた
    めに、各コイルの金属薄板端部同士の重ね合わせ部分
    を、加圧しながら超音波振動するホーンとこれに対向す
    るアンビルとの間に挟持して、超音波溶接するための溶
    接装置において、ホーンに突起部が形成されていること
    を特徴とする、金属薄板の溶接装置。
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